05/06/07 23:42:58
胸のうちいちど空にしてあの青き水仙の葉をつめこみてみたし 前川佐美雄
あまりにも前衛的な僧侶かなメタセコイアの高さに泣いて 菊池裕
視覚的な短歌。「青き水仙の葉」「メタセコイアの高さ」を
心のありように重ねたとき、はっきりと伝わってくる何かが
ありますね。「新緑の上に広がる青空に賑やかに鳥が囀る」心は
ひろびろと清清しい思いがいたします。
192:星屑ぅ
05/06/19 17:21:39
塚本邦雄
柿の木のほかに樹知らず仲人はジャン・ジャック・ルソーを褒めちぎる
杉の花天(そら)にみちつつ 反歌てふ透明の檻あればわれあり
ヒマラヤ杉風に折れたる二メートル等身の友が深夜訪ひ来る
二番星見つけしや杉の実の芳しうして葉隠れの生
#回想の詩人ランボーをこよなく愛し、永遠の新しさを求めて一行詩人は逝った。
193:まにあ
05/06/26 11:51:32
鳥は樹にひとは泉に疲れたるたましひの緒をひたしゐたるかな 中山 明
あわれなるものにぞありける五十年にして再会せる谷の泉の水 斎藤茂吉
皐月待ちゐる日々の彼方に深緑をつらねて森も林も香る 塚本邦雄
#戻りゆく安らぐ場所も無かりけり老いたる我が身過去への執着。…テナトコカナ。
194:まにあ
05/07/18 20:27:06
しんそこは一つ想ひとなりしかど夕映えかげる李(すもも)の花は 前川 緑
自動車(くるま)の灯消せばかすめる月の下びに咲きしづもれる花の梢みゆ 水町京子
麦の穂浪はての竹叢(むら)その奥の森のさやぎともろもろの音 安部静枝
#2005年7月も半ばを過ぎて暑い季節になりました。過去を思い出せば
日一日と皺の数程、思い出が重なってゆきます。静かに静かに時は
過ぎてゆきますね。淋しい限り。でも気を取り直して生きていきましょう。
195:詠み人知らず
05/08/04 12:33:57
人も樹も
強剪定で
素っ気無し
(お役所仕事)
196:まにあ
05/08/14 21:59:22
逸りきてけやき大樹にこもるかぜ非命の魂の万の鈴音 山田あき
とびやすき葡萄の汁で汚すなかれ虐げられし少年の詩を 寺山修司
#かも知れず樹もしらずとや気も知れず。…>>195
197:あかね ◆wSdkSdy/To
05/08/17 01:30:41
一人の刺客を措きてえらぶべき愛なくば 水の底の椿 塚本邦雄
ヨカナーンの首を所望したサロメ。暴力は絶望の隣で輝いて見えることが
ありますが、傷跡は何年も何十年も繰り返し悲しまれることによってしか
癒えないのだなぁと、思わされる季節でした。いつも少し厳しいほうへ
航路を執りたいと思っております。それは良心が命じるほうへということ
かもしれません。
198:まにあ
05/08/21 08:56:43
柿の木のほかに樹知らず仲人はジャン・ジャック・ルソーを褒めちぎる 塚本邦雄
#こころざし厳しき道を求むれば刺客放せど刺客に討たる。
199:のんだくれ
05/09/04 08:15:19
秋風のこころよさに…啄木の秋をよむ
青に透くかなしみの玉に枕して松のひびきを夜もすがら聴く
神寂し七山の杉火のごとく染めて日入りぬ静かなるかな
愁い来て丘にのぼれば名も知らぬ鳥啄めリ赤き茨の実
はたはたと黍(きび)の葉鳴れるふるさとの軒端なつかし秋風ふけば
ほのかなる朽木の香りそがなかのたけの香りに秋やや深し
森の奥遠きひびきす木のうろに臼ひく侏儒の国にかも来し
時雨降るごとき音して木伝ひぬ人によく似し森の猿ども
#物悲し森の行方の奥底のさだめ知らずや我が身にしりぬ
200:あかね ◆wSdkSdy/To
05/09/09 23:16:23
きつつきの木つつきし洞の暗くなりこの世にし遂にわれは不在なり
---葛原妙子
かつかつという乾いた音とともに深く深く抉られてゆく木の洞は
暗く暗くいつしか「わたし」もそのなかに溶けてなくなってしまう
ようです。きつつきの赤い頭頂部がその暗い洞に吸い込まれて
みえなくなってしまうように。
おおきなる欅の木には異界へと続く洞あり風を嗅がばや あかね
201:まにあ
05/11/13 08:55:08
秋を食む。
一合の椎の実をひとり食べをへぬわが悦楽に子はあづからず 石川不二子
唇は木の実のごとく甘ければ朝(あした)にたろべ夕にたうぶる 吉井 勇
才媛になぞらへし木の実ぞ雨ふればむらさきしきぶの紫みだら 木村草弥
#秋風も吹き過ぎてゆく晩秋のたわわに実る柿も色づき。
202:詠み人知らず
06/03/20 02:14:34
天皇椰子ディズニーランドに茂りおり罪なきものは行きて見るべし 前田透
203:まにあ
06/09/10 08:39:45
よろこべばしきりに落つる木の実かな 富安風生
萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 女郎花(おみなへし) また 藤袴 朝貌(あさがお)の花
(旋頭歌) 山上憶良
ちなみに春は
セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ、春の七草。
#やはり秋、田畑も山も色づきて稔り豊かに秋は来にけり。・・・アキガフタツモアキアキスルカナ?
204:まにあ
06/10/05 21:47:53
悲しき玩具
竹とんぼこころもとなく光りつつこの世のほかのいづかたへ飛ぶ 永井陽子
遊びに出て子供かへらず、取り出して走らせて見る玩具(おもちゃ)の機関車 石川啄木
#2ちゃんねる。言葉あそびの玩具かな声も聞こえず顔さえ見えず。
見るは言葉の山ばかり。ナンテネ。
205:まにあ
07/03/10 22:27:12
春の岬旅のをはりの鴎どり
浮きつつ遠くなりにけるかも 三好達治
#旅の終りは旅の始まり。だって。もう春なんでつね。
でも此方はまだ雪が舞ってるよん。さむいなあ~。
206:詠み人知らず
07/04/15 13:23:07
>>1->>225
207:まにあ
07/06/03 10:01:08
鳳仙花散りて落つれば小さき蟹鋏ささげて驚き走る 窪田空穂
#蟹鋏片手小さく片手大きく目を立て走る仕草可愛く。・・・チョット、ジアマリ。
208:朧
07/06/08 21:58:29
過去レス読んでませんが、
与謝野晶子が
「マロニエのパリ」でなんとかと紹介されていました。
パリで「木」詠むとは珍なり。されど、我うろ覚え・・・
209:まにあ
07/06/08 22:49:42
ああ皐月仏蘭西の野は火の色す君も雛罌粟(コクリコ)われも雛罌粟 与謝野晶子
URLリンク(allabout.co.jp)
此のサイトが参考になりました。こくりこって花の名前だったんですね。
210:朧
07/06/09 07:37:51
>>209まにあさん感謝(^з^)-☆
蛇足ながら、「木」が入ってる句もコピペしておきます。
物売にわれもならまし初夏のシヤンゼリゼエの青き木のもと 晶子
(モノウリニ、ワレモナラマシ、ハツナツノ、シャンゼリゼエノ、アオキコノモト)
歌集『夏より秋へ』
211:まにあ
07/10/13 14:46:59
いま君をへだてていたる川の数、木の数、昼にみる星の数 江戸雪
風立ちてマロニエとわれをあばくときじっと動かぬ皇居の森は 梅内美華子
母という裸樹となる友のためやさしく吹けよはつなつの風 後藤由紀恵
#夏過ぎて秋来るらし吹く風の行く末寂し若き乙女ら。・・・オヒサシ。