10/01/18 23:07:17 0
「親方がお待ちですので、どうぞ」
取的の案内を受け、音羽山はこの部屋の親方のいる部屋に通された。
「このたびは貴乃花がお手を煩わせるような真似をし、お詫びいたします。」
若くとも二所一門の主流派の親方であるため、いちおう頭をさげた。
この親方は現役時代の地位は、音羽山よりも下であった。
「え、大関だった音羽山さんが頭を下げられるとは・・。」
この訪問を、一門からの離脱を伝えに来たとこの親方は思っていただけに、
それは意外なことであった。
数日前に、同じ松戸に部屋を構える同じ一門の親方の訪問を彼は受けている。
そのときのことが去来した。
「俺は貴乃花ごときが理事になるのは反対だ。角界には長幼の序というものがある。
物事には順番というものがある。親方、あなたにもそれは分かるだろう。」
一方的にまくし立てられ、やや辟易したことを思い出した。
「親方のお気持は分かりました。よく考えておきましょう。」
この後、この親方は誰を支持するかについて、「白さも白し、ワシの肌と一緒だ」
と煙に巻いた。この時点で支持を得られたかどうか、音羽山には感触がつかめぬ
まま、部屋を後にした。