10/04/25 10:23:52 DhcIxFzX
見えない力が、体に宿る。勝利の女神も、運をプレゼントしてくれた。三塚が４位に浮上。
優勝を射程にとらえた。
「（前日より）パット数はよくなかったけど、ショットがピンに絡んでくれて、同じシ
ョットでも楽に１８ホールを回った気がする」と笑顔が広がる。前半は１バーディー、１
ボギーで折り返したが、後半に２バーディー。初日の５位から１つ順位を上げてホールア
ウトした。
大ピンチをスマイルで切り抜けた。通算３アンダーで迎えた１６番（パー５）。第１打
を大きく左へ曲げて、ラテラルウォーターハザードの内側へ打ち込んだ。本来はＯＢ扱い
となり１打罰で２打目を打つところだが、今大会は打てる状況であれば無打罰でのプレー
続行が許されている。ボールはハザードを示す２つのくいの中間あたりにあった。
スイング時にクラブがくいに接触する可能性があったが、８Ｉならばスイング可能と判
断。右ラフへ戻すと３打目はピン奥３メートルへ。勝利の女神もほほえむ、バーディーを
もぎとった。窮地を脱し、「ドラマでしたよ～」と自画自賛だ。
周囲も明るくさせるキャラクターだが、笑顔が戻ったのは今週からだった。先月末、５
年前から胃がんで闘病中だった父・康輝さんが死去。米女子メジャー「クラフトナビス
コ」出場で渡米中の出来事だった。周囲の配慮で、その事実を知らされたのは試合終了後。
帰国後はクラブを握れないほど落ち込んだ。それでも、辞退を検討した前週「西陣レディ
ス」は周囲の励ましで出場を決意。喪章を付け、最終日までプレーした（２２位）。
「ずっと落ち込んでいたけど、ようやく吹っ切れました。（自分には）やっぱりゴルフ
しかないなと、先週の試合が終わってから気付きました」。父は１３歳で始めたゴルフの
師匠。地元・茨城県内で試合があれば、つらい体をおして観戦にきてくれた。いま、気丈
にゴルフをする姿を何よりも喜んでくれるはずだ。
「父のためにもがんばりたいですね」。短い言葉に闘志を込める。天国への報告は、父
に一番近い場所、テッペンから発進する。（恵濃大輔）