10/06/14 00:36:46 ahfhukNV
いいんちょ「はやぶさか。私も―かく、ありたいな」
ケミ姉「おお、いいんちょ、珍しくセンチメンタル」
いいんちょ「確かに、今しがた書面で情報を得たばかりだし……感情的になっているかもしれない」
ケミ姉「いやあ、私もずっと後ろで同じページ見てたけれど、同じ想いよお」
いいんちょ「ずっと、いたの? いつから?」
ケミ姉「いいんちょが一枚目をめくりあげるところから」
いいんちょ「最初じゃん」
ケミ姉「サブクラス・シノビを取った甲斐があったぜ」
いいんちょ「私のやってる事ってさあ」
ケミ姉「ああ、惚れ薬の研究ね」
いいんちょ「やってねえよ、いや研究ではあるんだけど、私の作ったものにしても、私自身にしても、
未来永劫残るわけではないんだよな」
ケミ姉「残らないねえ」
いいんちょ「誰かが私の事や、私のやった事を、伝えてはくれるかもしれないけれど、その頃には、
それそのものは現存しない」
ケミ姉「しないねえ」
いいんちょ「でもさ」
ケミ姉「解るんだよう、いいんちょ。付き合い長いからねえ」
いいんちょ「解る?」
ケミ姉「うん。はやぶさはね。その、最期の勇姿は、それを見た人々に多大な感動を与えたんだ」
いいんちょ「そう、なんだよね」
ケミ姉「今ここに、はやぶさの欠片は無いけれども、その時代にあった感動は、私たちだって共有する事ができる」
いいんちょ「……ロリピコちゃんがね。
ジャクソン料理店のケーキ(URLリンク(moononthemiyako.blog98.fc2.com))が好きだって、言うじゃないか」
ケミ姉「言うね」
いいんちょ「そのケーキはすっかり消化されて、この世には存在しない。
でも、その時の彼女の笑顔と、今の彼女と―それだけ知っていれば、ケーキがどれだけ美味しかったか、私たちも楽しめる」
ケミ姉「いいんちょ、ちょっと研究行き詰まってた?」
いいんちょ「ちょこ……っと、ね。
研究を完遂したからと言って、この世に、私が創造したものをどれだけ残せるかと、考えていた。
でもそうじゃない。今必要であれば、そのために燃え尽きて、いいんだ。それだけで、生きるものはあるんだ」
ケミ姉「ふふふー、いいんちょ」
いいんちょ「ん?」
ケミ姉「その理論はもっともだ。もっともだが。でもこの世には“今しか価値がない”ものもあるんだぞう」
いいんちょ「なんか、予想はつくけど、……聞かせてご覧」
ケミ姉「ふわっははは、私のいいんちょへの愛だ! 抱きつかせろ! あわよくば舐めさせろ!」
いいんちょ「いや、それはいいわ」
ケミ姉「ノーン!」