09/11/07 17:36:04 ZBe7Bkr2
舞は改めて十三人のアイドル候補生と向かい合った。
いやな顔だった。初めての顔合わせに一人残らずおびえ切ってはいたが、どこかにふてくされたような色がある。
そして何よりも、誰一人としてトップアイドルを目指すという自覚がない。むしろしぶしぶ強制参加させられたという不平不満のほうがありありと目についた。
三十路手前のおばさんがアイドル気取りかよ、笑わせんな。どの顔もそう云っている。中にはかっかと怒っている候補生さえいた。
甘やかされ、思い上がった顔である。このオーディションにも何とか勝てるだろうと漠然と考えている。相手はたった一人じゃないか。
十三人が一丸となってかかれば、どうということはあるまい。
その顔が舞の気持ちを鎮めた。
<殺す>
はっきりそう決めたのである。石川社長がどう思おうと知ったことではない。
ママー!大人気ない!と愛は云うかもしれないが、そんなことも糞くらえだ!こんな嫌な顔をした小娘等を生かして置けるものではなかった。
舞はゆっくり朱色のドレスの裾をまくった。
カッ
「アイドルの作法をしかと見ておけ!冥途のみやげにな!!!」