09/01/13 06:41:20 WzIzt5dy
見渡す限りの白雪に囲まれながら、私たちはその生涯を閉じようとしていた。
雪のベッドにぬくもりはなく、少しずつ体温を奪っていく。
空からは白い粒がゆっくりと降りてきて、
ここに居る私たちを世界から隠そうとする。
私は、怖かった。
目の前にいるのは、知っている人間で、知らない女性。
私が恋愛の対象として意識したことがない人だった。
彼女は歯の根の合わない唇から、無理やりに言葉をつむいでいく。
「・・・・ボクたち・・・・、死ぬ・・・・んだ・・ね・・・・」
そう言って彼女は、嬉しそうに笑う。
「これで・・・・、ずぅ・・・・っと、一緒・・・・」
零れ落ちる言葉がそのまま呪詛となる。
たとえこのまま地獄に落ちるとしても、永遠に二人は離れることがないかのように・・・
「・・・・サリサ・・・・・・・・」
私の、大切な仲間・・・。
彼女のことが好きだった。
でも、その感情が恋愛から程遠いことに、彼女は気づいていたのかもしれない。
私が愚かであるばかりに、たくさんの人を失ってしまった。
これはその報いなのだろうか。
サリサの小さい手に、私の手を合わせる。
応じるように、彼女は指を絡ませる。
その顔はほのかに赤みを帯びている。
期待に満ちた眼差しに、涙が浮かぶ。
・・・これでいいんだ。
二度と悲劇を繰り返さないために、
私はこの雪原で、彼女の罪と共に眠ろう。
・・・・・・おやすみ。サリサ。