09/10/16 13:12:16
「さぁ……いらっしゃい、ヒカリ」
コトネはヒカリの背後に回り込み、ヒカリの首にそっと腕を回した。
「もう何にも怯えなくていいの。もう何も考えなくていいの。ただずっと……私の腕の中で眠っていれば、それで」
コトネの腕の力が、だんだんと強くなっていく。
ヒカリはコトネに言われるまでもなく、もう何も考えてはいなかった。母親のことも、サトシのことも。
「さよなら……可愛かったよ、あなた」
コトネの腕の中で何かが折れたような音がした。
それと同時に、ヒカリの目も白くなる。
「クッ……アハハ……だから言ったでしょう?私に逆らうなって。タケシにも言われたはずなのに、あなたは仲間の忠告すら無視して私に楯突いた。
それがどういうことだか……今わかったはずよ」
コトネは冷たい目で、ただの人形になったヒカリを見下ろした。
「ヒロインは私一人で十分ってことね!」
―数日後、ヒカリを探しに森に入ったサトシ達によって、ようやくヒカリの死体は発見されるのである。
この事件は、シンオウで稀に見る残酷な事件として、テレビや新聞で大きく取り上げられることになる。
赤いリボンの付いた帽子を被り、青いサロペットを着た少女。
彼女の恐ろしさを知る者がいるとすれば、その者は既にこの世にいないだろう……。