09/08/26 00:17:40
孵ったポケモンを見て、俺は舌打ちした。
「また不一致か…」
さっさとにがして、次のタマゴを孵さなければならない。最初こそ心が痛んだが、今はもうそんなこともない。
慣れてくると早いもので、あっという間に別れを済ませてしまう。
「よし、次いくか」
俺は再び自転車で走り出す。
バトルに勝つためには、優秀な個体を選ばなければならない。少しの差が勝敗を分ける。
だから、走り続けなければならない。あの頃の俺はそう思っていた。
ある日のことだ。
少し遠出して道具を買ってこようと、俺は森の中を進んでいた。
ドンッ!
鈍い音と共に俺の身体が吹っ飛ぶ。うっかり背後から野生のポケモンに攻撃されたのだ。
俺は慌てて自分のポケモンを出そうとして、ふと野生のポケモンと目が合った。
「野生の…ポケモン?」
それは明らかに人工のポケモンだった。その目を見て、俺は怯んだ。
このポケモンに感情はないはず。それなのに。
目の前のポリゴンは明らかな憎しみを俺に向けていた。
気圧されて、腕が動かない。混じり気のない恐怖に襲われた。
ポリゴンは容赦なくさらに攻撃を加えてきた。無様に地面を転がる俺。