09/08/14 21:41:19
〈六話〉
エルレイドが来た次の日の朝。
ピカチュウとエルレイドは現在二匹でオオタチが作った朝食を食べている。二匹の間に会話は一切無く、第三者から見ると気まずい空気が漂っていた。
その頃、残りの二匹は何をしているかというと…
「もう大丈夫ね。今日からは思いっきり体を動かしていいわよ」
イーブイの怪我を診断していたオオタチが言った。
「よかったね、イーブイ」
「うん!」
イーブイはご機嫌な様子で尻尾を左右に振り、笑顔を見せた。
「元気になったことだし、今日から生きるための技術を頑張って学んでね」
「ほえ?」
突如オオタチに言われた言葉の意味が分からず、イーブイが首を傾げる。
「食糧調達の仕方と自分の身を守る方法を知っておかないと生きていけないでしょ」
イーブイはどういうことかを理解したようで、首を一回縦に振った。
「ちなみにこの技術はピカチュウ君から教わってね。私、こういうの苦手だから」
再びイーブイが首を縦に振る。そして、食事中のピカチュウのもとへゆっくりと歩いていった。
「ねぇ、ピカチュウ」
「なんですか?」
「いきるためのぎじゅつをおしえて」
それを聞き、ピカチュウが胸をポンと叩く。
「そういうことならお任せください。では、今から行きましょうか」
「うん!」
ピカチュウが残っていた料理を一瞬で平らげると、二匹は外に出ていった。
「怪我治ったばかりだっていうのに頑張り屋だね、イーブイは。だから逃がされちゃったのかな…」
巣の窓から二匹の後ろ姿を見て、オオタチが呟いた。