09/07/30 20:05:05
やさしくて、おおきな水に揺られて出てきた。一生けんめいに呼吸しなきゃ、って思った。
立ちたいのに立てなくて、大きな手が助けてくれた。
「おお、雌のイーブイだ!!!」
濡れている毛皮を乾かして、ミルクをくれた。歯も生えてないから。
「いくらで売れるかな。性格一致だと…」
だんだんハッキリしてくる視界には、人間と他にも数個のタマゴ。
「ふうん、そんな強くねぇな。」
徐々に冷たくなる視線。むしんにミルクを飲んでいたから気付かなかった。
ぜんぶ飲んだら、その人は抱っこしてくれた。
「特上ミルクなんだからな」
そう言って、首の後ろを掴んだ。苦しくなかった。そのまま宙吊りで、まちの外れまで行った。
「じゃあな!」
草むらにおいてきぼり。人間はすでにとおく。
「まってまって!」
鳴いたけど、振り向いてもくれなかった。追いかけようと、草むらから外に出た。