09/07/21 23:23:34
「頑張り屋な♀とかいらね。糞個体氏ね」
そう言って一人のトレーナーが1匹のイーブイを草むらに向けて放り投げた。
産まれたばかりでまだ何もわからない幼児だ。
イーブイは精一杯主人を呼んだ。しかし主人が振り向くことはなく、主人の背中はどんどん小さくなりやがて見えなくなった。
「ごしゅじんさま…」
イーブイがこれからどうすればいいか思案していると、背後から物音がしてポケモンが現れた。
「君、捨てられたの?」
声がするほうを見ると、ビーダルがいた。
「うん…」
するとビーダルがニヤリと笑った、そして…
「そうか、でももう何も心配しなくていい。君はぼくの今晩の夕飯だから」
そう言い、イーブイに体当りをしてきた。
イーブイは不意を突かれ、回避も防御もできずビーダルの攻撃を受け数メートルほど突き飛ばされた。
「いたい…いたいよ…」
たかが体当りだが、レベル1のイーブイからすれば致命傷となる一撃だ。
(ごしゅじんさま、たすけて…)
食べられる恐怖か、命の灯火が消える直前なのかどちらかわからないが、イーブイの全身が震えた。
「いただきま~す♪」
そしてゆっくりとビーダルが迫る。
「きゃぁぁ!!」
イーブイの悲鳴が周囲に響きわたった。
次の瞬間、イーブイとビーダルの間を電撃が駆け抜けた。
「止めましょうよ。幼い女の子いじめるのは」
電撃が飛んできた場所。そこには一匹のピカチュウがいた。
「そのイーブイは僕が預からせてもらいます。嫌と言うのなら力ずくでも…」
ピカチュウはほっぺたの電気袋を充電させながら言った。
「チッ、分かったよ。こいつは好きにしろよ!」
そしてビーダルはピカチュウから逃げるように、草むらの茂みへと走っていった。