09/06/20 15:17:50
怒鳴った拍子に腕を思い切り振った。先ほどまでの抵抗が嘘のように俺の両腕は奴の手
から解放される。勢い余って、俺は盛大にしりもちをついた。痛む尻を引きずって、奴か
ら何とか距離をとる。
奴はまるで糸の切れたマリオネットのように、両手と両足をだらんと伸ばしたまま石の
上に座り込んでいた。追ってくるかとも思ったがどうやらその意志はないようである。そ
もそも奴に奴の意志が残っているのかすら怪しいが。
手首にくっきりと残った血の手形をさすっていると、奴がまた口を開いた。
「……不思議に思ったことはないか? あるポケモン同士は……住む場所や生体系、そう
いったものが重なれば、たとえ姿かたちが違っても……卵を作ることができる。……ある
特定の、ポケモンは……どんな種族とでも……タマゴを作れる」
奴が何を言いたいのか、俺にはさっぱり理解できなかった。何か奴にとって大事なこと
を言おうとしているのは分かった。ただちぐはぐで、つぎはぎで、あいまいで全くもって
理解できない。少なくとも一つだけ分かることがあった。
奴は気狂いだ。つまり奴にとっての大事なことなんて、常人にとっての芥ほどの価値す
らない。これ以上話していても無駄だろう。むしろ危険だ。一刻も早く俺はこの場所から
立ち去りたかった。
「……姿かたちがちがっても、子を為せる。まるで……そう……にんげんの、ような……。
昔……博士が言ってた。しんかする……ポケモンは生物として不完全だから、進化する…
…のか? ならば進化しないポケモン、は完成形? ……ちがう。そうじゃ、ない」
まだ何かぶつぶつ言っている。無視して俺はかばんの中を探った。穴抜けのヒモの陰に
隠れて、使われなかったげんきのかけらがまだ一つ残っているのに気がついた。
奴のこの様子では、奴のミュウツーがちゃんと回復してもらえるかも怪しい。俺は座り
込んだまま何事か呟き続けている奴から見える位置に、それを置いた。
201:奇妙な話をお一つ
09/06/20 15:20:27
「ここに……回復薬置いておくからな。早めにミュウツー、回復してやれよ?」
聞こえたのか聞こえなかったのか。奴からは何の反応も無い。諦めて俺は穴抜けのヒモ
を取り出した。
「……君は、ポケモンが……好き、かい?」
穴抜けのヒモの準備を終えたところで奴が言葉を発した。思えば戦う前に奴が口にした
質問だ。もう二度と会いたいとも思わないが、かといって無視して帰るのも気が引けた。
「勿論。大好きだ―」
俺の言葉は奴に届いただろうか。穴抜けのヒモの力によって、俺の体はふわりと地面に
開いたワープゾーンの中に吸い込まれていく。
ふと思ったことを俺も尋ねてみた。
あんたはどうなんだ? と。
奴の唇が微かに動く。次の瞬間、俺の体はさんさんと惜しみなく降り注ぐ陽光の下にあ
った。自分が出てきた洞窟の入り口を振り返る。真っ暗な口がぽっかりと俺の後ろに開い
ていた。もう戻る心算は無い。
俺の好きだった。憧れだったトレーナーは死んだのだ。そう思うことにした。
奴のミュウツーが早めに回復してもらえますように。そう願って俺はナナシの洞窟から
立ち去った。
202:奇妙な話をお一つ
09/06/20 15:22:54
俺が奴と戦ったあの時から随分と時が経った。
俺は名実共に最強のトレーナーだった。そう、「だった」のだ。今では。
今になってようやく、俺は奴の言っていたことの意味が分かってきたような気がする。
ポケモンは……おかしいのだ。普通の生命体とは違う。貪欲に戦いを求め、異種間同士の
戦いの勝敗に躍起になる。
強さを追い求め、追い続けてようやく漠然と感じるようになった。異種間などではない
のだ。人間が学校で学び、社会に出て人々に貢献し、そして人類としての種をより強固な
ものへと成長させるように、ポケモンはそれ自体が一つの種族なのだ。だから姿かたちが
異なろうと、生態系の重なりがあれば子を為せる。白人、黒人、黄色人種がお互いにこと
をなし子供を産めるように。まるで人間のように。
奴は言っていた。声が聞こえる、と。強くしろと囁く声が聞こえると言っていた。
俺にはそんな声は聞こえなかった。けれど分かるのだ―。俺はポケモンを育ててきた
のではない。ポケモンが俺に育てさせてきたのだ。
奴らは人の手によって、その自然に持って生まれた力を伸ばしていく。何世代もかけて。
奴がどうしてあそこまでポケモンバトルを避けていたのか、今ではよく分かる。奴は恐
れていたのだ。ポケモンにとって、自らを強く育て上げられない人間は不要なのだ。
奴はミュウツーだけ持っていなかったのではなかった。
ミュウツーしか残っていなかったのだ。
203:奇妙な話をお一つ
09/06/20 16:43:19
自然から生まれ出でたポケモンは生まれながらに本能にして強さを求める。野生動物な
らば親から学び、兄弟から学ぶことで生き抜く強さを手に入れるのだろう。だがポケモン
は違う。人の手に拠ることで種としての強さを手に入れる。だからミュウツー以外の奴の
ポケモンは奴から姿を消したのだ。奴が彼らを育てることを放棄したからだ。
それ故に人の手によって生み出された、自然の及ばぬポケモンだけが奴の手元に残った
のだ。それが人工のポケモン、ミュウツー。
自らが育てていたポケモンが、まさか自らが育てさせられていると知った時の奴の驚愕
と絶望はどれほどのものだったのだろう。
ミュウツーを除き、唯一の人工ポケモンであるポリゴンシリーズを連れて、俺は奴の居
たこの場所まで帰ってきた。
ここに戻ってきた時、奴の服を着た骸骨が転がっていた。別れ際、奴は言っていた。
「好きだった」と。俺も同じだ。ポケモンの習性を知ってしまった以上、もう素直にポケ
モンを愛せない。俺にも分かるのだ。奴らは自分たちをもっと強くしろと常に訴えている。
ミュウツーの入っていたはずのボールは既にどこかへ消えていた。まあ恐らくミュウツ
ーなら野生化しても生きていけるだろう。
人の手によって生み出されたポケモンが、野性としてその生に根を下ろす。ミュウツー
もまたポケモンという巨大な単一種の中に組み込まれていくのだろう。
俺はこれから待ち続けるのだろう。かつて奴がそうしたように。
俺が死んだら、こいつらポリゴンシリーズも野生化するのだろうか。だとしたら面白い。
この世界で人間という生き物はまさにポケモンという種を増やし、育むための存在とし
て確かに機能していることになる。
トレーナーもブリーダーもいつか世話になった育て屋夫婦も大人も子供も皆、これから
もポケモンと共に過ごし彼らを育むのだろう。それがポケモンの遺伝子レベルで組み込ま
れた、彼らの生きるための習性であるとも知らずに。
穏やかな地底湖の波音に耳を傾けながら、俺はゆっくりとその瞳を閉じた。
-奇妙な話をお一つ:おわり-
204:奇妙な話をお一つ:おわり
09/06/20 17:12:27
あとがきに代えまして
思ったより長ったらしい話になってしまいました。
拙作ですが、楽しんでいただければそれに尽きる喜びはありません。
楽しんでいただけなくとも、このお話が読んで頂いた方の心に少しでも、
違和感や奇怪な感じを残せたのでしたら、このお話の成功と喜べます。
このお話は捨てられたポケモンが可哀想、悲しいというお話に対しての
アンチテーゼを掲げています。
もちろんこれまでの職人様方々のお話を否定するつもりは毛頭ないですし、
何よりそういったお話が作られるであろう原点たる、優しさや暖かさを
ないがしろにする心算もありません。
ポケモンに限らず、野生に生きる動植物は強いです。
ポケモンは実際はゲームではありますが、
もし仮にポケモンが私たちの世界に生きていた場合、
果たして彼らは大人しくポケモンバトルやコンテストに
使われ、人にただ従うだけなのでしょうか?
私自身はそこに何とはない疑問を抱きまして、
ポケモンに人間と共生する理由を、生物として持たせたいと思いました。
強かに、力強く、狡猾に、貪欲に、
ポケモンという種をより反映させるために、
彼らポケモンは自ら望んで人の手でブリード(繁殖)させられる、
という設定にしてみました。
野生動物は時として人間よりも打算的です。
それに気づいた人間(トレーナー)はどうなるのか。
正直書ききれたのか不安が残る出来では在りますが、
これにて締めくくりさせていただきたいと思います。
それではまた、ポケモン板のどこかで m(_ _)m
205:名無しさん、君に決めた!
09/06/20 17:14:03
>>204
反映×
繁栄○
でした。
すみません
206:名無しさん、君に決めた!
09/06/22 00:21:10
ほしゅ
207:名無しさん、君に決めた!
09/06/26 22:06:51
>>189-205
超乙
考えを変える小説になりそうだ
ちょっと読み込んでみる
208:名無しさん、君に決めた!
09/06/27 15:46:40
>>202の誤です
すみません。
× 奴はミュウツーだけ持っていなかったのではなかった。
○ 奴はミュウツーだけしか持っていなかったのではなかった。
209:名無しさん、君に決めた!
09/06/28 10:58:57
人間がポケモンを育てて戦わせているんじゃなくて、
ポケモンが人間に育てさせ戦わさせ、種全体として強くなろうとしている
この発想は無かったな。面白かった
それとゴルバットの扱いひでぇwwwww
210:名無しさん、君に決めた!
09/07/01 00:29:26
だいじに だいじに そだてると ポケモンって どんどん なつくのよー
(あなたのポケモンはあなたになついてたかしら…)
こないだ ジョギングしてたら ポケモンに おいかけられてね
(君がくるまではこんなことはなかった…)
たましいの ねむる ばしょ… ここが ロストタワー なんだな
(おや…君には関係なかったね…)
ポケモンが のびのび できそうだろ!
(みんなのびのび生きてほしかった…)
ふたつが ぶつかり まざりあって あたらしい ドラマが うまれるのだ!
(少しでも…ほんの少しでもこんな考えを持ってくれていれば…)
あたし まだ ちいさくて じょうずに たたかえ ないから…
(おにいちゃんが逃がしたポケモンもそうだよね?ねぇ気付いてる?)
まいしゅう にちようびは ロストタワーに いくの…
(…)
たびの トレーナーさん ここには なんにも ないわよ
(そう…ここにはなにもない…あるのは…)
211:名無しさん、君に決めた!
09/07/01 00:32:04
いつのまにか ポケモンや ひとが あつまって まちに なったんだ
(ポケモンを保護する人達が集まったのさ…)
どこまでも はしる ぼくたち みちが つづくかぎり…
(君は…どこまで走り続けるの?)
きみと ポケモンも あるいみ おやこの きずな だなあ
(名ばかりの親だがな…)
ポケモンを さわってるとだね あたたかさと いっしょに やさしさが つたわって くるんだな
(君からはなにも伝わらない…)
ママも ふたごさん なのー
(おにいちゃんのポケモンはなんにんきょーだいかな?)
ポケモンの うまい そだてかた? うーん やっぱり あいじょう?
(「アイジョウ」ッテシッテル?)
「ズイを知る者」
212:名無しさん、君に決めた!
09/07/01 00:38:04
ネタ被ってたらスマソ
213:名無しさん、君に決めた!
09/07/01 22:18:53
なんかゾクゾク来るな。乙
214:名無しさん、君に決めた!
09/07/03 18:30:40
過去ログのめんどくさがり主人とガブちゃんの話とか
のうてんき主人とブラッキーの話みたいな
ダメ主人と呆れながらも傍にいてくれる苦労性ポケモンの話好き(*´∀`)
215:名無しさん、君に決めた!
09/07/12 13:26:39
ほ
216:名無しさん、君に決めた!
09/07/12 17:56:23 ioQTvBB+
固体値が糞なので逃がしたんだよ
バーカくだらんスレだな
死ね偽善者ども
217:名無しさん、君に決めた!
09/07/12 18:01:14 ioQTvBB+
所詮ポケモンはデータなんだよおお
218:名無しさん、君に決めた!
09/07/12 23:55:33
保守ついでに
ここってあんまり長くなったらいけないかな?
やはり多くとも10レスぐらいで終わらせた方がいいのか?
219:名無しさん、君に決めた!
09/07/13 00:48:26
2スレ目後半ぐらいから長い話が増えてきて、議論や単発の短い話なんかが見るに減少してきてるね
ここに限らずとも100レスぐらい使われると、ちょっと……って思うかもしれない
レス数消費するのが気になるなら適当なスペース確保してそこにアップロードすればいいんじゃないか
220:名無しさん、君に決めた!
09/07/15 17:17:16
>>218 >>219
♀29+♂1スレ(そっちも過疎ってるが)のように、3~5レス程度の固まりを数回に分けて投稿するのも一考かと。
向こうのマリルリの話なんか、半年前に1回目が投稿され、現時点のレス数換算で50前後に達してるし。
というわけで、連載レベルの長編も期待してますよ >職人さん
221:名無しさん、君に決めた!
09/07/17 20:31:36
やあ、生きてるかい。
もう駄目そう? それとも既に絶えてるのかな。
返事がないね。まいっか、いただきまーす。
ボクは地面に倒れたまま動かないその生き物に静かに角をあてがえて。そっと、その生き物の感情を食べる。
ボクの好きな恨みの感情だ、美味しくて腹にもたまる。
ほどなく食事を終えてふと視線をその生き物の顔に向けると、その表情が崩れて微笑んでいるように見えた。
相変わらず頬がひどく痩せこけてて判断つかないけどね。でも動いたのは確かだ。
まだ生きてたんだ。ちぇ。
どこから湧いて出てるのか分かんないけどこの辺りで、この一つの種族がほとんど生まれたままの姿形で大量発生してるんだよね。
外見からしてこの辺りに適応できそうにもない種族で、案の定多くの数が飢餓状態にあって、他の種族に狩られたり餓死を迎えてる。
大きく成長するまでに生き永らえてるのもいくらかいるみたいだけど、様子を見ててもだいたいは同種族の亡骸を食べて飢えをしのいでるだけでやっぱり適応しきれてない。
ただちょっと面白いのは、息絶えた亡骸でも、何かを恨む感情が残ってることが多いんだよね。
感情なんて魂と一緒にどこかに飛んで行っちゃうのが通例で、思念が残るなんてありえないって思ってたのに。
この辺りに来るまで亡骸に惹かれることなんてなかったし、目もくれたこともなかったのにさ。あるいはこの種族の特徴なのかな。
いつもの生きてる相手と違って、面倒事にならずに食事にありつけるのはいいことなんだけど。
彼らに何があったのかなんて、ちょっとだけ気になるね。仮にもボクのメインディッシュなんだから。
生きてるにしても、遺恨の念がとても強い生き物がたくさんいるし、何かしらあったんだろうなって思う。
その発生源はきっとすごく美味しい感情であふれてるんだろうなって、考えずにはいられない。
でもこの辺だって十分、ボクにとっては一面が好物に見舞われた、この世の天国みたいなところだし。発生源を知ったところでどうにかするかって言ったら、たぶん何もしないだろうけどね。
222:名無しさん、君に決めた!
09/07/17 20:32:40
この生き物、数だけは多いから何かあれば一気にこの辺りの覇権を取れちゃうとは思うんだよね。
この種族が増えてくれれば、それだけボクにとっての好物が増えると思うから、頑張って欲しい。
でも他の種族の生き物も、それをなんとなく分かってるのか、元々は狩る者と狩られる者に分かれてた種族でも同じくしてこの種族を狩ろうとしてるし。難しいんだろうね。
ま、そこまでいくとボクには関係ないことだねー。
すっと、生き物のほうに視線を戻す。
地面に倒れたままで微笑んでるような表情も変わらず、安らかに眠っていた。
もうこの生き物、かじっても美味しくないな。食べちゃったのに今更また何かに遺恨の念を持てっていうのも無茶だろうし。
後に残った、やせこけた肉なんかは同士や他の生き物がいただいてくれるさ。天国にいけるといいね。
223:名無しさん、君に決めた!
09/07/21 23:20:52
>>220
職人と呼ばれる人みたいな立派なものは書けないけど長編投下する。つまらなかったらごめん。
ここは209番道路。ズイタウンの南にある道。
強さを求めるトレーナーたちが、生まれたばかりのポケモンをたくさん逃がしている場所だ。
この物語はそんな逃がされたポケモンの保護に奮起するポケモンたちのお話。
224:名無しさん、君に決めた!
09/07/21 23:23:34
「頑張り屋な♀とかいらね。糞個体氏ね」
そう言って一人のトレーナーが1匹のイーブイを草むらに向けて放り投げた。
産まれたばかりでまだ何もわからない幼児だ。
イーブイは精一杯主人を呼んだ。しかし主人が振り向くことはなく、主人の背中はどんどん小さくなりやがて見えなくなった。
「ごしゅじんさま…」
イーブイがこれからどうすればいいか思案していると、背後から物音がしてポケモンが現れた。
「君、捨てられたの?」
声がするほうを見ると、ビーダルがいた。
「うん…」
するとビーダルがニヤリと笑った、そして…
「そうか、でももう何も心配しなくていい。君はぼくの今晩の夕飯だから」
そう言い、イーブイに体当りをしてきた。
イーブイは不意を突かれ、回避も防御もできずビーダルの攻撃を受け数メートルほど突き飛ばされた。
「いたい…いたいよ…」
たかが体当りだが、レベル1のイーブイからすれば致命傷となる一撃だ。
(ごしゅじんさま、たすけて…)
食べられる恐怖か、命の灯火が消える直前なのかどちらかわからないが、イーブイの全身が震えた。
「いただきま~す♪」
そしてゆっくりとビーダルが迫る。
「きゃぁぁ!!」
イーブイの悲鳴が周囲に響きわたった。
次の瞬間、イーブイとビーダルの間を電撃が駆け抜けた。
「止めましょうよ。幼い女の子いじめるのは」
電撃が飛んできた場所。そこには一匹のピカチュウがいた。
「そのイーブイは僕が預からせてもらいます。嫌と言うのなら力ずくでも…」
ピカチュウはほっぺたの電気袋を充電させながら言った。
「チッ、分かったよ。こいつは好きにしろよ!」
そしてビーダルはピカチュウから逃げるように、草むらの茂みへと走っていった。
225:名無しさん、君に決めた!
09/07/21 23:25:52
「もう大丈夫ですよ」
ピカチュウは優しい笑顔を浮かべ、イーブイに歩み寄った。
「たすけてくれて、ありがと…」
感謝の一言を言うと、イーブイは気を失った。
「!」
一瞬、ピカチュウの顔が強張る。だが、すぐに冷静になり自分の耳をイーブイの心臓に近づけ、心音を確認した。
(まだ生きてる。良かった…)
しかし傷を負ったこの状態はよくない。一刻も早く治療をしなければ命が危ないだろう。
ピカチュウはイーブイの体の下に自分の体を潜りこませ背中の上に乗せた。
そして落ちないように尻尾でイーブイを支え、自分の巣に向けて走り出した。
つづく(予定)
226:名無しさん、君に決めた!
09/07/22 23:10:47
>>224-225に期待age
227:名無しさん、君に決めた!
09/07/24 20:42:49
ボクタチモ ツヨク ナリタインダヨ?
ソレナノニ ドウシテ ナンビキモ ナンビキモ ワカレチャウノ?
ボクタチ ヨワイカラ ステラレチャウノ? チケット メアテ? ソレトモ オカネガ ホシイカラナノ?
ドウシテ ボクタチハ ツヨク ナレナイノカナ?
ホンモノノ ポケモント オナジヨウニ ウゴケルシ ワザモ ダセルシ タタカエルヨ!
ソレナノニ ボクタチハ ナニガ チガウンダロウ?
…モシカシテ ボクタチガ ネジヲ マカナキャ ウゴケナイ”ポケモンノオモチャ”ダカラ?
…せっかく職人さんが書き始めた所ぶった切ってすみません。
最近沸々と昇ってきた思いがだいすきクラブの夏休み大作戦!を見て急に書く気が起きてしまいました。
無機物っぽく全文カタカナにしましたが、見づらくなってしまった事をお詫び申し上げます。
本来のテーマから外れた乱文失礼致しました。
228:名無しさん、君に決めた!
09/07/24 22:58:33
>>227
お疲れ様!
最後のネジの部分を見たら時期が時期なだけに「ポケモンスクランブル」かと思った
229:227
09/07/25 11:42:16
>>228
その通りでございます。
Wiiウェアポケモンシリーズは皆牧場グラフィックなのですが、牧場と乱戦で同じグラフィックなのに
かたやDSと通信できる、かたやネジ式おもちゃという扱いの差に疑問を浮かべて書きました。
純粋に乱戦は楽しいですよ。しかし何故牧場やDSと通信できないのだろうと考えていたら…
230:名無しさん、君に決めた!
09/07/25 22:58:53
〈二話〉
「皆、すまん。今日は獲物をピカチュウに奪われちまった」
先ほどピカチュウと対峙していたビーダルは、巣の中で家族に謝っていた。
ビーダルの家族は、老若男女のビッパとビーダルが二十匹ほどいる。
「気にするな。今日は俺が散歩の途中にポッチャマを二匹捕まえてきたから心配ない」
この巣のリーダー格のビーダルが、逃げてきたビーダルを励ました。
「リーダー、すまねえ。今日の食糧調達の当番は俺なのに…」
野生のポケモンは皆、自給自足で生きている。
餌をくれるトレーナーのいない野生のポケモンにとっては食糧調達は生活のうえで一番大事なことだ。
「しょうがねえよ。銀月のやつらは強すぎる。俺がお前と同じ立場なら同じ結果になってたさ。さぁ、そんなことより飯にしよう」
『銀月』というのは、逃がされた野生のポケモンを保護すべく働いている組織だ。ピカチュウもそこの一員で日夜保護のため活動している。
「しかし、銀月のやつらもわけのわからんことするぜよ。この世は弱肉強食だと言うのによ~」
ポッチャマの肉を頬張りながら一匹のビーダルが言った。
「命を守りたいんじゃないの?僕には自らの食糧を保護してる馬鹿にしか思えないけどwww」
まだ子供のビッパが笑いながら答える。
「かっこつけるのは勝手だけど、こっちはいい迷惑だぜ。今日もピカチュウがいなかったらこの食卓にイーブイの肉もあったのに…」
獲物を取り逃がしたビーダルも話に加わってきた。ピカチュウの行動は彼らにとって奇怪でしかない。
「しかもあいつらってこの周辺だけじゃなくって210番道路や211番道路でも仲間を配置してやってるんだよねwすげー馬鹿じゃんwww」
「リーダー、ムクバードやラルトスの家族とかと手を組んであいつら潰すべきぜよ」
「まあ待て。今は我慢の時だ。あいつらはもう少しで終わる」
銀月の話題で盛り上がっていた面々だったが、リーダーの一言で一気に注目がリーダーに集まった。
「それはどういう意味ぜよ?」
「時期が来るまでのお楽しみだ」
231:名無しさん、君に決めた!
09/07/25 23:02:12
〈三話〉
獣道を走ること数分。ピカチュウは自身の巣に着いた。
ピカチュウの巣は、木の上に住居を建てていてヒマワキシティの家と似たような構造になっている。
ただ、四足歩行のポケモンでも出入りしやすいように階段は段差が低めの螺旋状階段だ。
「ピカチュウ君、おかえり」
巣の上からピカチュウに声をかけたポケモン、それはピカチュウの同居人であるオオタチだ。
普段なら彼女の笑顔とおかえりの一言で気持ちが安らぐのだが、今はそれどころではない。
「今日も逃がされたポケモンがいたんだけど、今から治療できます?」
そう言って背中に背負っている負傷したイーブイを見せた。
「勿論。早く連れてきて」
ちなみにオオタチは以前ポケモンセンターで働く職員の手伝いをしていたことがあり、ポケモンの治療に関してはスペシャリストだ。
訳あって逃がされ、今はここにいる。
「はい!」
オオタチの返事を聞いた後、電光石火で階段を上った。
「ふぅ…。これで大丈夫よ」
オオタチの優れた技術のおかげで治療はすぐに終わり、オオタチはイーブイをベッドへ移した。
(早く元気になってくれよ…)
ピカチュウは横たわっているイーブイの右前足を両手で優しく握り、目を閉じ、回復を神に願った。
232:名無しさん、君に決めた!
09/07/25 23:04:33
「そういえば、リザードンはどこに行ったんですか?」
もう一匹の同居人、リザードンの姿がないことに、今気付いた。普通なら巣の警備をするため、ここにいなければならないんだが…
「リザードンさんなら、217番道路に飛んで行ったわよ」
オオタチがリザードンに対してさん付けなのは、リザードンは彼らのボスだからだ。
「え?」
「210番道路支部のピジョンがさっき来ててね、自分じゃウリムーが生きていくのに適したところに連れていけないから、リザードンさんの力を借りたいって言って…」
「ウリムーを野生に返すため飛んでいったというわけですか」
「あたり」
orz で表すのがピッタリな姿勢にピカチュウがなる。厄介な展開になるのが、今までの経験からすぐにわかった。
「そこで、ひとつお仕事頼みたいんだけどいいかな?」
「何ですか?」
「明日からの食糧調達。お願い」
甘い声でオオタチにああ言われるとピカチュウは断れなくなる。
「了解です…」
普段食糧調達はリザードンとピカチュウが一日ずつ交代でやっている。
食糧調達の当番じゃないほうは巣の警備となり、敵が来ないかぎり一日中のんびり過ごすことができる。
警備はいわば休日のようなもので、これからはそれがリザードンが帰ってくるまでなくなる。
「リザードンさん曰く217番道路までは遠いし、道のりが険しいから一週間は帰れないって」
「はい…」
オオタチは戦闘が苦手じゃないか。
オオタチはかわいい女の子だし、ビーダルたちに襲われるかもしれないじゃないか。性的な意味で
ケガしているイーブイの傍にオオタチがいたほうがいいじゃないか。
無理矢理理由をつけて、無理矢理自分に言い聞かせた。
「でもやっぱり自宅警備員がいいなぁ」
233:名無しさん、君に決めた!
09/07/25 23:06:01
>>225の続き投下。チラ裏に書いてろって言われそうな駄文になった。
>>226
期待してくれてありがとう。その期待に応えれるよう頑張るよ。
234:名無しさん、君に決めた!
09/07/26 09:41:28
>>230-232
お疲れ様
さて、職人様が書き始めたところで悪いんだが
自分もネタ思いついたので投下してもよろしいか?
235:名無しさん、君に決めた!
09/07/26 14:06:57
>>234
楽しみにしてるから頼む勝手に投下してくれ
聞かれても困……る
236:名無しさん、君に決めた!
09/07/29 22:05:47
>>227
ポケモンのおもちゃという設定には正直まいった
まあいろいろなポケモンを使わせるというコンセプトだから、
しょうがないと思ったが
しかし俺は主人公コラッタでエンディングを迎えた
>>230-232 >>234
期待age
237:名無しさん、君に決めた!
09/07/29 22:06:01 N/iO/ZNN
「でんのうせんしポリゴン」リメイク決定 今年冬に放送
スレリンク(river板)
238:名無しさん、君に決めた!
09/07/30 20:05:05
やさしくて、おおきな水に揺られて出てきた。一生けんめいに呼吸しなきゃ、って思った。
立ちたいのに立てなくて、大きな手が助けてくれた。
「おお、雌のイーブイだ!!!」
濡れている毛皮を乾かして、ミルクをくれた。歯も生えてないから。
「いくらで売れるかな。性格一致だと…」
だんだんハッキリしてくる視界には、人間と他にも数個のタマゴ。
「ふうん、そんな強くねぇな。」
徐々に冷たくなる視線。むしんにミルクを飲んでいたから気付かなかった。
ぜんぶ飲んだら、その人は抱っこしてくれた。
「特上ミルクなんだからな」
そう言って、首の後ろを掴んだ。苦しくなかった。そのまま宙吊りで、まちの外れまで行った。
「じゃあな!」
草むらにおいてきぼり。人間はすでにとおく。
「まってまって!」
鳴いたけど、振り向いてもくれなかった。追いかけようと、草むらから外に出た。
239:名無しさん、君に決めた!
09/07/30 20:35:42
そうしたら、足はじめんから離れた。からだに風がはしった。せなかが痛い。どんどん離れるじめん。とても怖かった。もっと鳴いた。けど放してくれなかった。
しんじゃう、こわい、たべられる、たすけてたすけて
「まだ赤児だろう?」
近くで爆発したような音がした。あんだけ暴れてもビクともしなかったのが、すぐに放してくれた。けど、すぐに速くじめんが近付いてきた。こわいと思った。柔らかいところに抱っこしてもらった。
気がついたら、小さな洞穴にいた。ぜんぶきいろい、せなかの横縞のピカチュウ。
「大丈夫か?」
「うん」
「お前親は?」
「わかんない。」
「人間のポケモンか?」
「たぶん」
「そうか。行く宛がないのなら、俺のところで生きていく方法を学ばないか?」
二つ返事で、お願いしますと言った
「っていうのが師匠との出会いだったわ。超運絡みだけど、人間のところにいなくて良かったと思う。」
そうまくし立てるのはサンダース。夫との馴れ初めを聞かれて少し恥ずかしいらしい。
「へー。それよりも人間のポケモンだったって意外。」
「そういえば、最近はこのあたりでも人間見るらしいから、注意しなきゃ。やつらは疫病神だよ全く。」
森のポケモンたちは井戸端会議もそこそこに、自分の巣へと帰っていった
240:名無しさん、君に決めた!
09/07/30 21:01:42
>>238-239
現実味を帯びた話…なにか悲しくなる
頭の中での描写がうまくいかないので、
行間および背景描写を更に加えてくれると助かるかも
241:名無しさん、君に決めた!
09/07/31 04:44:39
>>222
遅レスだけどこの雰囲気好きだ
語り手のポケモンはだれなんだろ
242:名無しさん、君に決めた!
09/08/02 20:23:19
〈四話〉
「んっ……」
ピカチュウがイーブイを保護した次の日の朝、イーブイは意識を取り戻した。
イーブイの視界には、見知らぬ二匹のポケモンが食事をとっていた。
一匹は黄色の小型のポケモン。おそらく自分と同じくらいの大きさだ。もう一匹は茶色とベージュ色で黄色いポケモンよりは一回り大きい。
そのうちの一匹、黄色いほうがこちらに近づいてきた。
「目、覚めたんですね。よかった…」
「あなたはだれ?」
恐る恐る聞いてみた。
「僕はピカチュウ。あそこにいるのは僕の仲間のオオタチです。もう君を襲うポケモンはいないから安心してください」
「ねえ、あなたたちはわたしをたべないの?」
さっきから質問攻めだが、無理はない。産まれてすぐに捨てられ、襲われ、そして目が覚めると、知らない場所で寝ていた。
イーブイには理解できないことばかりだ。
「はい。僕たちは君みたいな逃がされたポケモンのためにある組織、銀月のメンバーですから」
「ぎんげつ?」
「産まれたてのレベル1のポケモンじゃ野生のポケモンとして生きていくことは不可能。だいたいが他のポケモンに食べられ、良くて餓死です。
そんな捨てられたポケモンを救うために作られた組織なんです。ちなみにここ209番道路支部の他に210道路支部、211番道路支部があるんですよ」
笑顔で丁寧にピカチュウは答えた。
だが、イーブイにはひとつのことが強く頭に残っていた。
243:名無しさん、君に決めた!
09/08/02 20:25:11
「わたしってごしゅじんさまにすてられたポケモンなの?」
「はい…。残念ながら」
捨てられたポケモンに、その事実を突きつけること。ピカチュウにとって、これだけは慣れない仕事となっている。毎回悲しくなり、横暴なトレーナーたちが憎くなる。
「そうなんだ…」
目に涙を浮かべながらイーブイは言った。
「ごしゅじんさまぁ…」
一番悲しいのは捨てられた本人だろう。ごしゅじんさまと思っていた人に捨てられる。“おや”に甘えたい赤ん坊には悲しすぎる現実だ。
「泣きたかったら、我慢せずに泣いていいんですよ。僕たちは、ご主人様の代わりにはなれません。でも君を慰めることはできますから」
ピカチュウの一言のあと、イーブイは何かが吹っ切れる。そしてピカチュウの胸に顔を埋め泣き始めた。
その日、イーブイは涙が枯れる限界まで泣いた。ごしゅじんさまに捨てられた現実を受け入れると泣かずにはいられなかった。
244:名無しさん、君に決めた!
09/08/02 20:28:07
>>232の続き投下
クオリティーの低さは変わりません
245:名無しさん、君に決めた!
09/08/02 21:57:54
>>242-243
いやいや楽しみにしてますよ、期待あげします
>>236
コラッタって…まさか最初の強さ28ですか
246:名無しさん、君に決めた!
09/08/02 22:17:37
>>241
作者さんではないが、恨みの感情が好物・角があるあたりから
自分はカゲボウズかなーと思ってた
247:名無しさん、君に決めた!
09/08/02 23:39:56
>>243
なんと哀れなイーブイ
その悲しさがここまで伝わってくる
期待
>>245
強さ28のコラッタでミュウツーを倒しました
理由は強さ主義への反抗
おそらくほとんどの主人公コラッタは逃がされるだろうから、
ここの題材にもなりそうだな…と思います
248:名無しさん、君に決めた!
09/08/04 01:14:24
〈五話〉
ムックルの鳴き声がもうすぐ聞こえてきそうな夜明け前。
「ねぇ、ねぇってば」
ピカチュウは何度も小声で自分に話し掛けるイーブイのせいで、いつもより早く起きてしまった。
「どうしたんですか…」
今にも死ぬのではないかという声でピカチュウが答えた。木の実だけで食糧を調達するというのは意外とハードな仕事だ。
しかもリザードンが居なくなってからの五日間ずっとこれを続けているため、体力は限界に近づいてきてる。
「だれかがここにくるよ。あしおとがする」
イーブイにそう言われ、周囲の物音に注意を払ってみた。
言われてみると、階段を上っているポケモンの足音がするような気がする。
「もしかしてリザードンが予定より早く帰ってきた!?」
一筋の希望の光が見え、疲れが吹き飛ぶ。
ドアへダッシュし、入ってくるポケモンが開けるよりも早くドアを開けた。
249:名無しさん、君に決めた!
09/08/04 01:16:04
「残念。俺だ」
ピカチュウたちの巣の前にいたのはリザードンではなく、仏頂面のエルレイドだった。
彼は銀月210番道路支部のナンバー2で、リザードンほどでは無いが、ピカチュウと互角の力は持っている。
「あなたですか…」
吹き飛んだ疲れが戻ってきた。
エルレイドは明るさや愛嬌といったものを持っておらず、いつも不機嫌そうな顔をしている。
彼がキルリアだった頃から知っているが、一緒にいると無駄に気を使って体力を消費した記憶しかない。
「まあいいや…。どうせ大好きなオオタチちゃんに会いたいから来たんでしょう?」
おそらく銀月の中でピカチュウだけが知ってるエルレイドの弱みを呟いた。
「て、てめえ…」
エルレイドが顔を真っ赤にしながら、肘にある刃でいつでも攻撃できる姿勢をとる。だがピカチュウはお構い無しだ。
「さーて、これからはこのネタでいじめながらリザードンの帰りを待つとしますか。ヒヒヒヒヒ」
ピカチュウが悪役のような黒い笑いを見せる。その直後…
「死ね糞鼠!」
刃を使ったきりさくを受け、その場に倒れた。
「俺がこの巣の警備しといてやるから、てめえはとっとと食糧調達に行きやがれ!」
エルレイドが怒鳴ったあとピカチュウは尻尾を掴まれ、巣の外へ投げ飛ばされた。巣が木の上にあるぶん地面に落ちたときには少しダメージを受けてしまった。
「痛っ…。まあいいか。エルレイドがいたほうが安心できるし」
ピカチュウはなんだかんだでエルレイドの力を認め、信頼している。
巣にオオタチとイーブイだけの状態にして外に出かけるのは不安だったし、この援軍はありがたい。
エルレイドの片思いが実ることはないだろうと思いながら、ピカチュウは食糧調達のため森の奥へと向かった。
250:名無しさん、君に決めた!
09/08/04 01:20:06
>>245と>>247に期待と言われ調子に乗った俺が続きを投下。
ちなみにレベルはピカチュウとエルレイドが30代後半、オオタチが20代半ばの設定です。
251:名無しさん、君に決めた!
09/08/08 11:36:32
「ばいばい ヨマワル!」
淡々と別れの言葉を告げ、あの人は去っていった。
タマゴの外に出て、育ててくれた親の幸せそうな顔を見て、
これからどんな旅に連れて行ってくれるのだろう、などと思い巡らせていた
そんな矢先のことだったから、初めはその意味がよく理解できなかった。
けれど…もうあの人はもう側にいないと分かったとき、
寂しさだか悔しさだかよくわからない気持ちで胸が痛んだ……。
幸か不幸か、私に身に付いていた技「いたみわけ」。
でもこの痛みを誰と分ければいいのだろう…。
それからしばらくして、私は自分と似た姿をした者と出会った。
聞けば彼もあの人に育てられ、棄てられたという。
そして彼もまた「いたみわけ」を覚えていた。
でも…同じ痛みを分け合ったところで、何も変わりはしない。
あとから次々と、同じ境遇の者たちがやってくる。
いくら増えても同じ事だ。同じ痛みを持つ者同士で
この痛みをどうやって分ければいいのかわからない…。
幸せそうな顔をした人が、自転車に乗って草むらを横切る。
あの人といたみわけをすれば、この痛みも少しは癒えるだろうか。
252:名無しさん、君に決めた!
09/08/08 14:57:37
>>248‐249 >>251
乙カレー
しかし片思いのエルレイドが被ってしまうなんてな(´・ω・`)
早速ネタを変えてくる
253:名無しさん、君に決めた!
09/08/08 23:59:51
やれやれ…今日もおつかいか。
女房の奴、なかなか子供が出来ないからって捨てられたポケモンの子供を拾ってきては育ててるからな。
幸いここは大都会だ。
手に入らないものは何も無い。
ポケモンだけで暮らしていくのに十分な食料もあれば根城に使えそうな物だって沢山ある。
根城にしてる下水道から出ておつかいに行くことにする。
そういえば生まれたばかりのガキども用のポケモンフーズもパクってこないとな。
夕方までに帰ってこないと、あのクソアマは不倫相手がいるのかとか煩いのなんの…
まったく亭主をなんだと思ってやがる。
そんな奴を女房にした俺も相当な物好きだが、お互い人間に捨てられた者同士で気が合ったんだから仕方ない。
さて、今日も人間どもを相手にしたぶっ飛んだ一日になりそうだ。
254:名無しさん、君に決めた!
09/08/09 05:33:06
>>253
過去や行く末の想像をかき立てられるいい話だ
今が平和ならそれでいいんだけどね、ほんと
255:名無しさん、君に決めた!
09/08/10 12:59:06
良スレ
256:名無しさん、君に決めた!
09/08/11 04:32:52
強いポケモン 弱いポケモン
そんなの人の勝手
本当に強いトレーナーなら
好きなポケモンで勝てるよう頑張るべき
四天王のカリンさんに勝利し、貰った言葉
感動した
その通りだと思った
どうしたってポケモンの種族で強さに差はあるけれど
好きなポケモンで頑張ろうと思った
でも限界はあった
でも諦めなかった
大好きなポケモンで勝てるよう
そのポケモンの中でもより強い奴を育てようと思った
沢山子供を産ませては能力を調べる
期待する能力に満たなければ逃がす
好きなポケモンを逃がすのは心苦しいけれど
好きなポケモンで勝ちたいのだから仕方ない
仕方ないんだ
今の僕の姿を見たらカリンさんはどんな顔をするんだろう
僕は間違っていますか?
好きなポケモンで強くなりたいんです
僕は間違っていますか?
257:名無しさん、君に決めた!
09/08/12 23:54:17
どうして、そのポケモンで勝ちたいの?
それをもう一度考えてみるといいんじゃないかな?
ふたりで力をあわせて戦って、強い相手に打ち勝って、
その時に顔を見合わせて「にこっ」とする相手があの子であって欲しいから
…そんな理由だったら、たぶん私も君と同じ気持ちを持っていると思う。
でも、私は好きなポケモンを沢山増やしはしないことにしているんだ。
昔、私との勝負に負けたライバルに、恩師がかけていた言葉を思い出すから。
「何故負けたのか判るか?」
「それはお前が、ポケモン達への信頼と愛情を忘れているからだ」
「それではどんなに頑張ってもトップには立てんぞ!」
…それにね、同じ姿でも違うんだよね。
私が「にこっ」としたい相手は、今、私の手元にいる…素直で辛抱強い、この子。
同じ姿でも、「臆病で物音に敏感」なのはもちろんこの子じゃないし、
同じ「素直で辛抱強い」でも、この子は私の手元にいる、この子しかいないから。
258:名無しさん、君に決めた!
09/08/14 14:56:46
>>256
GJ
ところで、恩師とライバルと言うのは誰のことを
指しているのだろうか?
259:名無しさん、君に決めた!
09/08/14 21:41:19
〈六話〉
エルレイドが来た次の日の朝。
ピカチュウとエルレイドは現在二匹でオオタチが作った朝食を食べている。二匹の間に会話は一切無く、第三者から見ると気まずい空気が漂っていた。
その頃、残りの二匹は何をしているかというと…
「もう大丈夫ね。今日からは思いっきり体を動かしていいわよ」
イーブイの怪我を診断していたオオタチが言った。
「よかったね、イーブイ」
「うん!」
イーブイはご機嫌な様子で尻尾を左右に振り、笑顔を見せた。
「元気になったことだし、今日から生きるための技術を頑張って学んでね」
「ほえ?」
突如オオタチに言われた言葉の意味が分からず、イーブイが首を傾げる。
「食糧調達の仕方と自分の身を守る方法を知っておかないと生きていけないでしょ」
イーブイはどういうことかを理解したようで、首を一回縦に振った。
「ちなみにこの技術はピカチュウ君から教わってね。私、こういうの苦手だから」
再びイーブイが首を縦に振る。そして、食事中のピカチュウのもとへゆっくりと歩いていった。
「ねぇ、ピカチュウ」
「なんですか?」
「いきるためのぎじゅつをおしえて」
それを聞き、ピカチュウが胸をポンと叩く。
「そういうことならお任せください。では、今から行きましょうか」
「うん!」
ピカチュウが残っていた料理を一瞬で平らげると、二匹は外に出ていった。
「怪我治ったばかりだっていうのに頑張り屋だね、イーブイは。だから逃がされちゃったのかな…」
巣の窓から二匹の後ろ姿を見て、オオタチが呟いた。
260:名無しさん、君に決めた!
09/08/14 21:44:25
勢いよく螺旋階段を降りたところで、イーブイの足がかなしばりでも受けたかのように急に止まった。
この巣は森の中に作られた巣なので、周りは草木が茂っていて見通しが悪い。
どこから自分のことを食糧として見ているポケモンが出てくるか予測できない恐怖。それがイーブイの足を止めた理由だ。
「そんなに恐がらなくても大丈夫ですよ」
恐怖で震え始めたイーブイを見てピカチュウが優しく言った。
「え?」
「僕が君を守りますから」
イーブイにピカチュウの力強い眼差しが送られた。
すると、イーブイは目の前にいる約40cmの小さなポケモンがとても大きく、そしてたくましく見えた。
「では、最初に食糧調達の仕方から教えますね。イーブイはどんな味の木の実が好きですか?」
「えっと…あまいの!」
少し考えたあと、元気な声でイーブイは言った。先ほどまでイーブイの体を縛っていた恐怖はもう無い。
久しぶりに長編の続きを投下。見苦しい駄文でサーセン
261:名無しさん、君に決めた!
09/08/14 23:45:13
>>247
遅レスすみません、私は五匹以上同種が集まるとすぐまとめて逃がしてしまうので最初のコラッタはもういません。。。
今更ですが、こういう番外ソフトを扱った文章でもここに投下して良いんですよね
262:名無しさん、君に決めた!
09/08/14 23:56:32
皆乙
>>258
第一世代のオーキドとグリーン(仮)だと思う
台詞うろ覚えだけど確かそんな感じ
>>261
まぁ独自の世界観で書かれてる物とかもあるし
263:名無しさん、君に決めた!
09/08/15 17:43:10
>>256だけど、>>257とは別人なんだ
256に答えを出してくれた257本当GJ
264:名無しさん、君に決めた!
09/08/18 22:51:34
こんなの見つけた
184 +1:名無しさん、君に決めた! :sage:2009/08/18(火) 21:25:25
そういえば日本のペットショップの子犬と子猫の親は
利用価値が無くなるまで子を無理矢理産み続けられて
質のいい子供は業者の利益のためだけに使われて
出来の悪い子供は放置されて見殺しにされるんだよな
なんだ、ポケモン厳選と同じじゃないか
265:名無しさん、君に決めた!
09/08/18 23:43:06
なんだ、メタモンか……
266:観覧客
09/08/21 13:55:48 WWqAa6Zc
>>260の続きがみたい。
ディアパルとか湖の3匹書けない? 自分は才能がないのだ
267:名無しさん、君に決めた!
09/08/21 18:22:24
何気なく小説サイトを巡ってたら、パーム某で>>57そのものを見つけたw
上手いと思ったら、元々小説書きだったのか
268:名無しさん、君に決めた!
09/08/21 20:12:15
>>267
みかん箱の横で立ち竦んでいるパルキアを想像して吹いたw
269:名無しさん、君に決めた!
09/08/21 20:17:36
あ・・・268のは、、>>266
270:名無しさん、君に決めた!
09/08/22 12:43:03
>>267
>>85で完全版をうpしたと宣言してるな。
271:冥界からギラティナ
09/08/23 19:35:41 YOIo/TvX
「改造伝ポケって割りには弱い・・・LV1だし、テラワロスwwww
こんなのいらね」
そういう声が聞こえてオレはくさむらに放り投げられた。
「いてて・・・」
オレは腰をさすりながら前を見た。
オレを捨てた奴はもう、遠くに行っていた。1度も振り返ることはなかった。
オレはシンオウの伝説ポケモン。パルキアっていうらしい。
対になるディアルガはいない。あのトレーナーはオレの特攻が強かったため
ディアルガじゃなく、このオレをあるコードを使って造りだした。
そう、オレは自然のパルキアではない。普通のパルキアでもない。
オレは・・・、
改造された最強のパルキアだ。
こんな感じです。才能なくてすいませんorz
また今度書きたいと思いますが、邪魔なら書かないことにしますので
なにかあれば言ってください
272:すたあ ◆xK87tlVRH8bU
09/08/23 19:44:45
>>271
ストーカーっぽくてすいません・・・
いいと思いますよ?シンオウの三龍はかわいいから、それを好きになることはとてもいいことだと思います。
273:名無しさん、君に決めた!
09/08/23 19:50:20
俺の金のレポートが壊れた・・・悲しすぎる・・・
274:酉つけてみた ◆D2F0gsd3V6
09/08/23 20:25:06
>>266
私ごときに勿体なきお言葉、ありがとうございます。
続きはできるだけ早く書くよ
275:観覧客
09/08/25 16:08:19 LT1HklSz
>>271
すごいっ!! いいじゃないですか!!
276:名無しさん、君に決めた!
09/08/26 00:17:40
孵ったポケモンを見て、俺は舌打ちした。
「また不一致か…」
さっさとにがして、次のタマゴを孵さなければならない。最初こそ心が痛んだが、今はもうそんなこともない。
慣れてくると早いもので、あっという間に別れを済ませてしまう。
「よし、次いくか」
俺は再び自転車で走り出す。
バトルに勝つためには、優秀な個体を選ばなければならない。少しの差が勝敗を分ける。
だから、走り続けなければならない。あの頃の俺はそう思っていた。
ある日のことだ。
少し遠出して道具を買ってこようと、俺は森の中を進んでいた。
ドンッ!
鈍い音と共に俺の身体が吹っ飛ぶ。うっかり背後から野生のポケモンに攻撃されたのだ。
俺は慌てて自分のポケモンを出そうとして、ふと野生のポケモンと目が合った。
「野生の…ポケモン?」
それは明らかに人工のポケモンだった。その目を見て、俺は怯んだ。
このポケモンに感情はないはず。それなのに。
目の前のポリゴンは明らかな憎しみを俺に向けていた。
気圧されて、腕が動かない。混じり気のない恐怖に襲われた。
ポリゴンは容赦なくさらに攻撃を加えてきた。無様に地面を転がる俺。
277:名無しさん、君に決めた!
09/08/26 00:19:24
おんがえし。
今の技は…レベルアップでは覚えない技だ。やはり、このポリゴンは元々誰かに育てられていたのだろう。
立ち上がろうとしたが、全身の痛みがそれを邪魔した。
ポリゴンがトドメを刺すべくビームを放とうとしているのが見え、俺は目を閉じる。
さあ、来い…。
逃げることを諦めて、ただ来るべき時を待っていた。
しかしいつまで経ってもそれは来なかった。目を開けてみれば、そこにはひどく悲しげな様子のポリゴン。
ポリゴンに感情がないなんてウソだ。そう思った。
「どうして…」
ポリゴンは、その問いには反応せず逃げていった。
傷だらけで街を歩いているとやはり人目を引く。
「もしかして、あなたも野生化したポケモンに襲われたの?」
「え?」
「あそこの家の男の子ね、長く患っていた病気が治って、誕生日に貰ったポケモンと一緒に旅に出たの」
そう言って女性は大きな家を指差した。きっとお金持ちが住んでいるのだろう。
「でもね、育て屋の近くで野生化したポケモンの群れに襲われて…今もまだ、目覚めないらしいの。一体誰がポケモンをにがしたのかしら…怖いわねぇ」
「それって…」
男の子が使っていたのはポリゴンで、襲われたのは…。
背筋が寒くなり、俺は痛みも忘れて逃げ出した。
278:名無しさん、君に決めた!
09/08/26 00:23:16
タマゴを全てボックスに預けている時、ある時、あるボックスで手が止まった。
そこには俺が最初に手に入れたポケモンがいた。性格不一致だから、という理由で長らく預けていた最初の相棒。
ボックスから引き出し、モンスターボールから出してみる。
「!?」
いきなり飛びつかれて息がつまった。背中から火まで出して、かなり興奮している。
「おい…っ…やめろ」
ようやく解放され、相棒の顔をまともに見る。久しぶりの再会だ。
……本当に嬉しそうにしている。
その様子を見ていると、無性に懐かしくて、本当に申し訳なくて、涙が溢れた。「ごめんな…ごめんな…」
「なあ…どうしたらいいと思う?」
このまま孵化作業を続けて、ポケモンバトルで上を目指すことはできなかった。
だが…バトルをやめて何が残るのだろう。俺はバトルが好きだった。大切なことを忘れるほどのめり込んでいた。
だからこそバトルを続けることも、きっぱりやめてしまうこともできなかった。
「情けないよなぁ…」
あれからあの街へ行っていない。きちんと向き合わなければないことなのに。
バトルの場でなければ、自分が酷く臆病な人間だということを思い知らされた。
道路を、走りすぎていく人たち。トライアスロンでもやっているのだろう。
279:名無しさん、君に決めた!
09/08/26 00:24:28
相棒はただ無邪気にその様子を眺めていたが、立ち上がって走り始めた。真似をしているのだ。
「何やってんだ、お前…」
気のない突っ込みしかできなかった。だがそれを見ているうち、ある考えにたどり着く。
「トライアスロンか…」
数年の月日が流れ。
「そんなに強いなら、バトルの方をやればいいのに…もったいないです」
俺は首を振った。
「今の俺にはこっちの方が大切だ」
結局、競争を否定することはできなかった。
上を目指すことは悪いことではないし、かつて孵化作業をしていた俺が否定する資格もない。
だから別の方法を探した。競う方法が多ければ、それだけ輝くポケモンが増えるはずだ。
バトル以外でも競えるということは、既にコンテストが証明してくれていた。
より多くのポケモンが輝けるように、無闇に捨てられるポケモンが増えないように。
今の俺は、ポケスロンのオーナーだ。ポケモンたちを様々なスポーツで競わせる…それが俺の答えだった。
「好きな技ってあります?」
俺はためらいなく答えた。
「おんがえし…だな」
あの日のポリゴンが使った、おんがえしの痛みを忘れない。あれは間違いなく最大威力のおんがえしだった。
「おんがえし?私はですね…」
「わかったから早く掃除してくれ」
「あ…はい!」
向こうの方から別のスタッフが小走りでやってくる。
「オーナーに会いたいという方が…」
「俺に?」
待っていたのは、1人の少年。そしてその傍らには……あの日のポリゴンの姿があった。
280:名無しさん、君に決めた!
09/08/26 00:27:02
中途半端ながらここで終了です。
切り貼りしてたら3つ目の一行目でミスしてしまった…ごめんなさい
281:名無しさん、君に決めた!
09/08/26 01:37:14
GJ!
新要素うまく絡めててすげー
282:名無しさん、君に決めた!
09/08/26 15:01:27
投下されたSSを見て、俺は舌打ちした。
「またこのパターンか…」
さっと読み飛ばして、次のSSを待たなければならない。
最初から心が痛むことはないし、今後もそんなことはないだろう。
>>276の最初2行を見た正直な感想はこんなのだった
こう似通ったSSばっかだと、どっかにテンプレでも転がってるのかと思っちまうわ
283:名無しさん、君に決めた!
09/08/26 16:13:52
ポケモン板(笑)のSS(笑)スレに何かを期待する方がどうかしてる。
投下する方も読む方も暇つぶしでやってるだけだからな。
たまーに面白いのが転がってるけど、そっちの方が例外みたいなもんだし。
284:冥界からギラティナ
09/08/26 19:20:10 CK37OX/1
オレのすべての能力はLV1にしてLV100のアルセウスを打ち負かす程高い・・・
すくなくとも、オレはそう思っている。いや、オレの能力を見れば、だれだって
そう思う事だろう。それくらい、オレは強いのだから。
しかし・・・、
オレを捨てたあのトレーナーは、改造伝ポケにしては弱いと言った。一体どういうことだ?
オレは自分を強いと思っている。オレがタマゴから生まれた時に自分の体の中から
確かに湧き上がるようなすさまじい力を感じたのだ。オレが弱いわけがない。
では、あのトレーナーはどうしてオレを弱いとののしったのか?
おそらく、あのトレーナーはオレの能力が自分の想像よりも低かったからオレを捨てたんじゃないか?
本当はもっと強いパルキアが生み出されると勘違いしてたんじゃないか?
人間というものは自分の期待通りじゃないとすぐ失望するクセがある。そして、
つくった物がそれなりに使えるようでも、それを捨ててしまう。だから、あのトレーナーは
オレを捨てたんだ。自分の期待はずれなパルキアだったから。
いま思うとただ単にオレは自分自身が弱くないと認めるために、このようなことを
思ったのかもしれない。オレはプライドが高かったから。
しかし、そのときのオレは、そんなことみじんにも思っていなかった。オレはトレーナーが
自分を捨てた理由が分かるとナゾが解けた快感よりも違う感情を抱いていた。
怒り。
自分の勝手な理由でオレを捨てたアイツが許せなかった。ポケモンになんの感情も
持たず、捨ててしまうのはアイツだけかもしれないが、そんなことはどうでもいい。
人間は、悪だ・・・。オレは完全にそう思っていた。
なあに、オレは神と呼ばれしポケモン。しかも、改ポケだ。ザコな人間共など一発だ・・・。
オレはくさむらをゆっくり歩き出した。体中に殺気を漂わせて。
すべては、人間に復讐するために。
すたあさん、観覧客さん、お褒めの言葉ありがとうございます。
こんな駄作ですが、どうぞ見てください。
285:名無しさん、君に決めた!
09/08/26 19:29:32
捨てられたポケモンを見て、俺は舌打ちした。
「またこのパターンか…」
俺も不要のポケモンを捨てているので
心が痛むことはないし、今後もそんなことはないだろう。
俺が捨てたポケモンは全て〆ているので生きているはずが無い。
俺は目の前の草むらに隠れていたポケモンを踏みつけ
高個体値がなかなか生まれない不満を晴らし孵化作業に戻った。
しかし一部始終を見ていた他のトレーナにツーホーされ
俺の孵化作業は強制終了させられた。
俺が捨てた訳じゃないのに!! FIN
・・・・Σ( ゚Д゚) >>282はお題じゃなかったのか!
286:名無しさん、君に決めた!
09/08/26 19:32:51
>>285
オチの部分で盛大に吹いたw
287:名無しさん、君に決めた!
09/08/26 20:09:07
「行くぞ! ムクホーク!!」
その掛け声と同時に私はご主人を背に乗せ飛び立つ。
が
突風にあおられ体制を崩してしまい、ご主人を盛大に落としてしまった。
そう、私は捨てられた元そらをとぶ要員だ。
------------------------
○月△日 ( はれ )
自由の身になったので日記をつけることにした。
今までXXXを探して来い!などと
よく命令されていたが、もうそんな苦労は無い。
舐めんなよサ○シ
------------------------
○月△日 ( くもり )
今日は捨てられたイーブイを見つけた。
プリップリのお肉に、ちょっと苦味のある肝が最高。
と言うのはウソで、ウラヤマさんちのうらにわへ
連れてってやった。
288:名無しさん、君に決めた!
09/08/26 20:11:09
------------------------
○月△日 ( はれ ときどき らいう )
今日も大空を自由に飛びまくる最高の日々のはずが
急に雷を伴う雨になっちまった。
しかも かみなり 食らうし最低。
あの電気鼠がやったんじゃないだろうな?
------------------------
月 日 ( )
------------------------
月 日 ( )
289:名無しさん、君に決めた!
09/08/26 23:29:12
復讐がどうのこうのじゃない話のほうがおもろい
どれも似たような展開の話なんだもん
ま、作りやすいんだろうなぁ
290:名無しさん、君に決めた!
09/08/27 00:56:15
>>282
>>285
愚痴にしても厭味にしても、他人様の作品をダシにするなんて最低のゲス野郎共だな
291:名無しさん、君に決めた!
09/08/28 19:07:14
>>267
発見されてしまいましたか
順序は手書き→ここ→自サイトで期間限定公開→ポケモンサイトに掲載依頼→掲載、今に至ります
夏休みに例の友人と映画行った際に何匹か返してもらったのでいつか続きを書こうかと思います
でもその前にピカチュウとイーブイが出る話が書きたかったのでそっち投下しますね
292:観覧客
09/08/29 15:29:40 0PhcKKoa
>>284
一言。すげー
293:名無しさん、君に決めた!
09/08/29 17:43:11 q5NYcNhG
>>126,>>133 <br> ゲームだからwwww
294:観覧客
09/08/31 00:06:41 HOMOEkBl
>>292
ええと・・・・勝手に人の名前使うのはどうかと思うよ?? なりすましはヤメてください!
295:名無しさん、君に決めた!
09/08/31 00:49:41
ココはイーブイである。ココ・ジ・イーブイ。
ココは家族である。ココ・イズ・ア・メンバー・オブ・マイ・ファミリー。
ココは女の子である。ココ・イズ・ア・ガール。
ココは散歩が好きだ。ココ・ライクス・トゥー・テイク・ア・ウォーク。
クマはピカチュウである。クマ・イズ・ピカチュウ。
クマはご近所さんである。クマ・イズ・アワー・ネイバーフッド。
クマは男の子である。クマ・イズ・ア・ボーイ。
クマはココが好きみたいだ。クマ・ルックス・ヒー・ライクス(ラブズ?)・ココ。
クマは実はぬいぐるみだ。クマ・イズ・ア・ドール・イン・ファクト。
何回も留守番してもらって申し訳無かった。でもありがとう。仕事の合間の散歩は楽しかったかな?
いつからこんなに体が弱くなったのか知らないけれど…悪い、オレはもう長くないらしいんだ。
頑張って書類とか色々準備したから、もしもの事があっても大丈夫だよ。
じゃ、疲れたから寝るね。 おやす み
296:冥界からギラティナ
09/08/31 12:39:17 h3iq5535
しかし・・・、
ぐぅ~~~
まるで、カエルがなく様な音がしたかと思うと、オレはその場に座り込んだ。
「ハラ・・・、減った・・・。」
そう、オレはあまりにもハラが減りすぎていて、動けなかった。
そういえば、今朝からなにも食べていなかった。いや、オレがうまれてから、
あのトレーナーはオレに何も食べ物を与えてはくれなかった。つまり、オレは
ここ数日、絶食状態だったわけだ。
「ヤ、ヤベェ・・・。なんか食わないと、コレ、死んじまうって・・・マジで・・・」
オレはコレはマズイ!と本気で思った。尋常な空腹じゃなかった。
復讐どころじゃない・・・、オレは死にそうになりながら、なんとか立ち上がり、
復讐のために・・・、ではなく食料調達のために歩き出した。
だが、食料を探す事が案外難しいことをオレは始めて実感した。
木の上を見ても、地面を見ても、どこにも食べれそうな物は、まったくなかった。
気がつくと、オレは草むらではなく、森のなかに入っていたが、その森にも
木の実はおろか、木の実の破片さえなかった。
(なんで、ねえんだよ・・・、いじめかよ・・・)
オレはついにその場に倒れ込んでしまった。
(・・・生まれてから、まだ日が浅いのに、オレは空腹のせいで死ぬのかよ・・・)
そんなことをぼんやり考えていた。
それから、しばらく時間がたった。オレはしょうこりもなく(なんとか)生きていた。
しかし、自分がこのままでは、餓死する事は百も承知していた。
なんか食わないと・・・、なんか食わないと・・・、そう思っていた時だった。
「ん・・・?」
なにか、かすかに聞こえたような気がした。
気のせい・・・?
・・・。
ハハッ!・・・
いや、気のせいじゃない!たしかに今笑い声がした!
オレは最後の力を振り絞り、立ち上がると、声のする方目指して、
大儀そうに歩いていった。
297:名無しさん、君に決めた!
09/08/31 23:26:04
朝は誰の元にも訪れる。家中に眩しい朝日が差していた。ただ一部屋を除いて。
いち早く東からの陽光に気付いた一匹のイーブイがソファーの上で飛び起き、カーテンを閉め切った部屋へ忍び足で急いだ。
扉は閉まりきっておらず、僅かな隙間から体をよじらせて部屋の中へ滑り込んだ。いやに静かである。
薄暗い部屋の内側で、イーブイの黒光りした目は簡素なベッドに横たわる人間の姿を捉えた。長い耳はその者の深い寝息を聞き取った。
イーブイは恐る恐る人間の顔まで近づき呼吸しているのを確かめた。同時に不安の表情が消えた。
このひとはまだいきている。
そうと分かれば今日も一日規則正しく良い気分で過ごしてもらおうと、窓際に駆け寄ってカーテンを咥えて思い切り反対方向に走る。
分厚い布が遮っていた朝を告げる白い光が徐々に部屋中に染み渡る。イーブイは再び人間の顔色を窺う。
このひとはちゃんとおきてくれるだろうか。
298:名無しさん、君に決めた!
09/09/03 08:26:09
1レス程度の短文をダラダラ投下されても反応に困るわ
そういうことする書き手は、結局途中で飽きて放棄する場合がほとんどだしな
299:名無しさん、君に決めた!
09/09/03 22:27:29
正直言って今回その場で書いてますサーセン、アイデア自体は前からあったのですがね
イーブイの心配は杞憂だった。朝日の眩しさか体毛のくすぐったさが人間の感覚器官を刺激し、人間はようやく目を覚ました。
全体的にゆっくりした動きで上半身を起こし髪の毛をいじると大きく伸びをした。
イーブイと目が合った人間はここ最近、お決まりの挨拶を交わした。イーブイはあまり聞きたくなさそうにさっと耳を伏せる。
また一日長生き出来たよ。おはよう。
外は鳥達の鳴き声がやかましい程だったが、一人と一匹だけが朝食を摂る一軒家のダイニングルームは時折人間が操る食器の音だけがするだけだった。
イーブイは皿に張られたミルクを舐めつつ人間の体調を横目でちらちら気にしていた。
端から見れば普通の人より少々痩せているだけだ。しかし人間が以前呟いた通りならば、人間の体内には治る見込みの無い病魔が巣くい現在進行中のはず。
別の人間の話によればもう満足に食べられなくなっても、いやいつ命が尽きてもおかしくは無かった。それがどうにか保っていられたのは人間が静かで無欲に、節制に気を遣った生活を送り続けてきたからだろうか。
長年独り身同士で支え合い言葉や種族の壁を乗り越えてお互いを理解してきただけに、イーブイは彼が本当に長くない事を何となく悟っていた。人間がそれを周りに感じさせない様に振る舞っているのが見ていて辛かった。
こちらに向けられる力の無い笑顔がイーブイを俯かせる原因となった。その度に泣くのをやっとこさ堪えているという事に、人間は気付いていなかった。
ソファーの上でイーブイがよれよれの黄色いぬいぐるみを抱き枕代わりにし手持ち無沙汰に転がっていると、朝食に一時間、皿洗いに三十分掛けた人間が帽子とビニール袋を両手に提げて近づいてきた。
先程までTシャツ一枚だったのに、いつの間にかパーカーを羽織っている。どう見ても外出する気まんまんだった。
今日は久々に散歩しよ…話す事があるんだ。
300:名無しさん、君に決めた!
09/09/04 00:19:31
>>299
そのお話、いつまで続くの?
書き溜めてからまとめて投下するのなんて、そんな難しいことでもないだろうに。
最終的な分量は変わらないわけだしさ。
301:名無しさん、君に決めた!
09/09/04 04:35:41
アイデア自体は前からあったのですがね(キリッ
だからどうしたと
アイデアなんざ誰だって持てるっての
一番面倒な書き起こす作業を場当たり的にやりながら投下し続けられるヤツなんてそうはいないし、
それができるヤツだって、1回の投下がノート1ページ分以下の文量なんてことはまずない
302:名無しさん、君に決めた!
09/09/04 08:40:21
てすと
303:名無しさん、君に決めた!
09/09/04 17:16:35
今日は柔らかい日射しでまさに散歩日和。これ以上の重ね着は必要無さそうだったが、人間は日焼けか紫外線を恐れてかわざわざUVカット仕様の眼鏡とマスクの着用を怠らない。
イーブイは人間のぎこちない動作ひとつひとつを凝視していた。玄関でしゃがんで靴紐を結ぶ、扉を開けて外に出る、慎重に鍵を閉め、最後に振り向いて笑みを見せる。
そんなかおしないでほしい。どんどんかなしくなるから。
人間の顔を見ているとイーブイは突然機嫌を損ねた子供の様に口を尖らせ足早に道路へ飛び出し、右折した。今日も行き先は多分「きいろのもり」だろう。
人間は仕方ないなと小さく呟き、早歩きで後を追う。ただし体への負担を考え、決して走らない様に。
少しずつ一人と一匹の差が開いていたのと夢中で走っていたのとで、イーブイは白い体毛の中に隠しておいた物が落ちた事に気が付かなかった。
人間がそれに気付いたのは一度落ちた地点を過ぎてからだった。拾い上げてみれば、何とと言うべきかやはりと言うべきか困ったが、古ぼけたピカチュウドールだった。
昔自分がイーブイの誕生日プレゼントに買ってあげた暇潰し用品に下らない理由でクマと名付けたのは人間の方。あまりに低レベルだから人間はもう理由を覚えていない。
まだ自分が元気だったあの頃、イーブイはよくソファーを占領して一日中ぬいぐるみで遊び倒していた。近年でも人間を放っておく余裕がある時はピカチュウを頭の下に敷いたり、抱き枕にしていた。
クマを見つめていた人間の脳裏で、ベッドから見える窓の向こうの景色が蘇る。あそこに本物のピカチュウが姿を見せる様になったのはいつからの事だったか。
304:名無しさん、君に決めた!
09/09/04 18:39:30
あーぁ、意固地になっちゃってさ
305:観覧客
09/09/05 15:41:04 +Cnar/w/
>>293
え・・・。かぶっただけじゃんっ
306:観覧客
09/09/05 15:43:45 +Cnar/w/
>>305
ごめん。>>294だった
307:名無しさん、君に決めた!
09/09/05 21:55:25 jIfqgljh
私はドクケイル。
ある日、色違いのドクケイルと恋におち、その時に逃がされた。
主人に凄く懐いていたからだからこその逃がされた悲しみとも、今は決別できた。
毎日彼と幸せに暮らしている。
しかし、たまに主人のことを思い出すと、やはり切なさが募ってくる。
そんな時はいつも、彼は私を一人にしてくれ、私は主人と別れた湖で懐古する。
今日もそうだった。
満月が映る湖はとても綺麗で、街の街灯を思い出す。
ドクケイルである私は、それに惹かれずにはいられない。
私はしばらくそれを眺めていたが、次第に空が曇ってきた。
綺麗な湖が見れなくなったので、私は彼のもとへ帰ることにした。
帰り道、主人のよく食べていたものを見つけた。カンヅメだ。
私カンヅメのもとへ近寄ろうとした。その瞬間、視界がブレた。硬い衝撃。
私は、木に激突し、そのまま地面へと落ちた。
声がきこえる。「もう一度だ!エアームド、はがねのつばさ!」
私は持ち直し、抵抗した。向かってくる相手に対し、使った技は、吹き飛ばし。
相手のポケモンを吹き飛ばし、戦闘を強制終了させられれば、無事に帰られる。
しかし、トレーナーはもう少しのところでポケモンを交代した。
308:名無しさん、君に決めた!
09/09/05 21:57:48
sage忘れてしまった…
スイマセン
309:名無しさん、君に決めた!
09/09/06 00:04:16
>>306
どうでもいいから糞コテ外せ
310:名無しさん、君に決めた!
09/09/06 20:46:57
いま投下されてるいくつもの1レス連載小説のうち、
何本が放棄されずに完成するんだろ
311:名無しさん、君に決めた!
09/09/07 02:35:48
>>310
ヒント:話を書きる力量、根性がある人は最初から散発投下なんてしない
312:307
09/09/07 08:11:03
繰り出されたポケモンはユレイドル。
特性により吹き飛ばしは不発に終わってしまった。
特性や技の効果をきちんと理解して使っているようなので、
相手のトレーナーは並以上の腕はありそう。
手持ちも2、3体はいるように見える…
岩攻撃を食らったら絶望的だ。が、どんな時も諦めてはいけない。
主人から学んだことだ。
打つ手はある。
野生でいる間にLvも上がっているので、当然技も増えている。
私は銀色の風を繰り出した。
間合いが離れた。その隙に打ち込むのは、毒毒。
そのまま光の壁へと繋ぐ。
守りながら持久戦に持ち込めば、勝てる。
さきほど拾ったカンヅメという食べ残しもある。
守ると月の光で耐えきり、岩攻撃を受けずにユレイドルを倒せた。
相手が再び繰り出すエアームド。
吹き飛ばしで逃げられるだろう。
…しかし相手は先手エアカッター。
相手は吹き飛ばしたが羽を怪我して動けなくなってしまった。
…心細くなってきて、泣きそうになってきたところで、彼が来てくれた。
彼におぶさり、巣へ帰る。
道中で何があったかを彼に話す。
主人と一緒だったころはバトルでほとんど勝てなかったのに、
今はそこそこ勝てるようになった。彼のお陰だ。
313:307
09/09/07 08:30:04
主人から学んだ心の強さ。
彼から学んだ実践での強さ。
私は、つくづく良い人達との出会いを経験したものだな、と思う。
もっとも彼はポケモンだが、人とポケモンの違いなんてボールに入るか否かだけだ。
主人は怒ると素手で野生ポケモンを倒すほどだし、
強さは基準にはなりえない。
逃がされた時、主人以外のトレーナーに再びゲットされないと誓っていた。
それを貫けたなら、私はきっと二度とボールに入らないだろう。
主人と出会っても捕まえられることはないだろうから。
私の基準では、逃がされた瞬間に私は人になったということに
気づき、ふふ、と笑った。
彼はどうかしたのかい、と聞いてきたが、
なんでもないと微笑んだ。
そして、家に帰り、傷の手当をしてくれたあと、先に寝てしまった彼と
どこにいるか分からない主人に「ありがとう」といい、一日を終えた。
314:名無しさん、君に決めた!
09/09/07 20:25:07
ご指摘を頂いたので書き溜めてきました。コメントありがとうございます。
特徴的なしっぽを失い色褪せたピカチュウのぬいぐるみを見て人間は我に返った。
自分から散歩に誘ったのにいつまでぐずぐずしているんだ。
ビニール袋にさっとぬいぐるみを放り込むと人間は先を急いだ。
一人と一匹のお決まりの散歩コースとなっている公園は野生ポケモン保護区「きいろのもり」の一部にある国立公園だ。
その昔各地方で乱獲が相次いだ際、実験的に保護区をもうけ厳しく取り締まる一方で市民に憩いの場を提供する制作が次々と行われた。
「きいろのもり」は先駆けも先駆け、ピカチュウ系統の第一号保護区+国立公園なのだ。
毎回人間が立ち寄る一本の木まで辿り着くと、茶色いポケモンは既に木陰で根と根の間にちょこんと座って黄色いポケモンと談笑していた。
瞬間、人間の頭の中で「窓辺の記憶」が再生される。窓の向こうにいたピカチュウだ。ぼんやりとした疑問は感じていたのだが、これで合点がいく。
人間は納得すると同時に、自分たちの関係に入った亀裂がもう戻れない所まで来たのでは無いかという危機感に襲われた。
草を踏みしめる音に遠くで気が付いたピカチュウはイーブイに目で合図を送って木の葉に紛れて隠れた。人間はイーブイがすぐ足元に来る位近づいてから、木の幹を背もたれに体育座りをした。
人間は木漏れ日を見上げながらマスクを外すついでに先刻のピカチュウを探してみたが、そんな不審な陰は確認できなかった。
イーブイは人間がこちらを向くまでずっと人間の顔を睨みつけていた。黒い瞳は真剣そのものである。しばしば人間の寝室の窓先に出現していたのと同個体と思しきピカチュウと会話していた時の笑顔は浮かばない。
反対に視線を足元の進化ポケモンに戻した人間の表情は引きつった笑いのままだった。その笑みさえも消えかけている。
しばしの沈黙の後、不意に人間が口を開いた。
315:名無しさん、君に決めた!
09/09/07 23:18:37
ココは誰とどこに住みたい?この後。
ココと呼ばれたイーブイは黙ったままだが人間は言葉を続けた。
書類整理が一通り昨日で終わったけれどね、実は一種類だけ用意してない。君の今後の所有権だよ。
…どうして?
だって、勝手には決められないよ。
わたしの「おや」なのに?
それは他人の定義だからね。ベタだけど、ココは「家族」ってつもりでオレは過ごしてた。
うん。ずっとわたしたちだけでくらしてきたからね、わたしたち。
もうすぐココは孤独になる。けどほんの一瞬だけ。君にはあのピカチュウがいるみたいだし。
世界一有名な電気鼠の名を聞いた途端、茶色いポケモンはぎくりとした。平静を装おうとしても体が震えるのは隠しきれない。どうやら人間の言う「あのピカチュウ」はイーブイの考えているのと同じ様だった。
前から悩んでいたけれど、君の一存に任せるのが一番早いだろうと思って。形はどうあれ
……生きてる内には君を逃がす事になりそうだから。
316:名無しさん、君に決めた!
09/09/08 10:33:31
自然界で育て屋のペースで受精卵ができたら
すぐに生態系がパンクしてしまうんだよね・・・
あの育て屋絶対種付けさせてると思う
317:名無しさん、君に決めた!
09/09/09 00:04:19
自然界だと生んだ卵が全て孵るとは限らないと思うが・・・
てか生んだ子供を全て育てるつもりなら、大量に
卵は生まないと思う。
てか確実に育てたいなら子宮で育成するはずだしな
318:名無しさん、君に決めた!
09/09/09 22:10:13
まるで熟年離婚みたいだ、と呟いた人間は虚ろな目でイーブイを見やる。話の途中で思い出した言葉が喉まで出かかるがぐっと堪えた。
一方核心を突かれたイーブイは複雑な感情同士で板挟みになり、思わず前足で頭を抱えた。
家の庭まで来る「きいろのもり」出身のピカチュウは、要するに人間の世界で言う所の浮気相手に等しかったからだ。片方に非があった訳では無いが、互いに原因として思い当たる節はあった。かといってどちらかがどちらかを攻める事も出来なかった。
人間は自分の体調ばかりを気にし過ぎて付き添う立場であるポケモンに掛かる物理的・精神的不安を解消してリフレッシュしてもらう、いわゆる「レスパイトケア」の機会を設けなかった事等に起因すると信じ、
イーブイはなまじ適応力が高かった為に「自分だけで世話できる」と高をくくっていたのが徒になり、徐々に自らを追い詰めていった挙げ句どんどん人間から気持ちが離れる悪循環に陥ってしまった事を余計に責めた。
いくら責めた所で、イーブイが人間に対して「まだしなないの」と思ってしまった事が少なからずある過去を覆す事は叶わなかった。
もっと早くレスパイトケアを行っていれば。ココだって辛い時があったのに。
もっと早くあのピカチュウを受け入れていれば。せめて仲良くなる努力をしていれば。
在宅に拘っていなければ。素直に緩和ケア病棟に移れば。
あるいはもっと他の人に助けてもらえば。
ぼくはココと二人で最期を迎えたかっただけだったのに。ぼくのせいだ。
――ぼくがココを束縛したからこうなったんだ。
あのひとがしんでしまうまえにすこしでもながくそばにいたかった。
だからびょういんには、はいってほしくなかった。いえのことはなんでもわかるから、だいじょうぶだとおもいこんでいた。でもむりだった。
わたしもあのひともしたいことをがまんして、ふたりだけでくらしていくのはさいしょならうれしかった。
けれどだんだんよわっていくあのひとをみていると、わたしもだんだんふたりきりがいきぐるしくなってしまった。
しぬのがこわいはずなのに、むりしてわらってくれるあのひとのかなしそうなえがおなんて…もうみたくなった。わたしがなきたくなっちゃうから。
あんなかおをあのひとがしつづけるくらいなら、まだしあわせだったときにおわかれしたかった。
319:名無しさん、君に決めた!
09/09/09 23:24:51
様々な思いが胸中を巡ったイーブイはしばらく黙りこくっていたが、やがて堰を切った様に鳴き始めた。人間にしてみれば、暗い部分の心情をこれから吐露される訳である。
よくうちのにわにきていたピカチュウ…クロっていうんだけどね、びょうきのこととか、すごくきにかけてくれていたの。
クロはむかしペットだったことがあったけど、「おや」のひとがあなたとおなじびょうきでしんでしまって、もともとすんでいた「きいろのもり」にかえって、それからはずっと「やせい」だっていってた。
あなたのことでなやんだときに、そうだんにのってもらった。これからのことで、じょげんをたくさんもらえた。それに…はなしているだけで、こころがおちついたの。
でもごめんなさい。いいきになって、ずっとさきのはなしばかりするようになってしまったの。そのときだけ、さみしくなくなっていたから。
あなたがつらいのに、わたしにげてた!ごめんなさい…
イーブイは人間に深々と頭を下げる様な体制で下を向いていた。
人間は今までに聞いた事の無い早口とその内容に呆然としていたが、突如何かを思い出したと言わんばかりの顔つきになった。次第に悲哀のとれた穏やかな笑顔になっていく。
…未来の事を考えるのはちっとも悪くなんか無い。気持ちの切り替えが出来ているって事さ。だって、ココは生きているじゃないか。未来を夢見て何が悪い?
それに比べてぼくは…とにかく長生きする事に拘り過ぎたかな。今日は話してくれてありがとう。
320:名無しさん、君に決めた!
09/09/13 02:31:28
誰かこのスレの状況を今北な俺に説明してくれ
321:名無しさん、君に決めた!
09/09/13 06:55:53
wikiに纏められてないのはこんな所かね、10話と4作品
連載
>>224-225 >>230-232 >>242-243 >>248-249 >>259-260
>>271 >>284 >>296
>>295 >>297 >>299 >>303 >>314-315 >>318-319
>>307 >>312-313
読み切り
>>221-222
>>227
>>238-239
>>251
>>253
>>256
>>257
>>276-279
>>285
>>287-288
322:名無しさん、君に決めた!
09/09/13 17:55:01
>>321
サンクス しかし途中で切れてる作品の続きが気になって仕方ないな
わっふるわっふる
323:名無しさん、君に決めた!
09/09/14 14:15:20
このスレの住人のせいかHGSSで
「ポケモン逃がしたりしてる?
私はボックスいっぱいになるから逃がしちゃうんだよね。
でもこないだ逃がした○○はちょっと勿体無かったかな」
という電話で微妙な気分になった。
324:名無しさん、君に決めた!
09/09/14 21:43:36
そう言って人間はイーブイの頭をなでた。目線は上に向いたままで、しばらくその状態が続いた。
背中もさすられて少しくすぐったかったが、イーブイは「家族」の手の感触を忘れたくないと、目を閉じてじっとしていた。その間に人間が「家族」に視線を落として、照れながらぽつりぽつり言葉を繋げていく。
人間がこれまで隠居状態にあったのは、緩和ケア病棟でずっと入院する程には病気が進行しておらず外来で痛みを取り除くのでまだ事足りたというのもある。
他には健康に留意して羽目を外さない、いや波風を立てない様生活すれば次の日に特効薬が開発されるのでは、という病気を「治(キュア)す」希望を捨てられずにいたのもあった。儚い夢だった。
どちらも人間にとって大きな理由だったが、何よりもとよりバツイチの現在、唯一の家族であるイーブイのココ(♀)と一分一秒でも長い余生を送りたいという思いの方が数倍勝っていた。
人間にとってイーブイは単なる手持ちと「おや」やペットと飼い主を越えた、本物の家族と呼べる存在だった。
すきなことって、なにがしたい?
……そうだなぁ。久々にお好み焼き作って食べたい。それに野球の試合も見たい。あと~~に――も!
ふふふ。いままでがまんしてきたから、やりたいことがいっぱいあるね……わたしはね、そうやってわくわくたのしそうにしているあなたをみているのがしあわせだな。
それからクロにみせてあげたい。あなたが―しているところ。
…いつでも人に優しいココは偉いなぁ。良い娘(こ)に育ってくれてありがとう。
熟年離婚の危機を迎えたかと思えば一転、仲良しな父と娘の様に人間とイーブイは振る舞う。その内に太陽は低く南中し、人間の厚着では少し汗ばむ程に気温が上昇してきた。
やがて人間が立ち上がり、「早速お好み焼きでも作るかな」と言いながらスローテンポで元来た道を歩き始めたのであった。
予定が詰まってました。~~や――の内容は人間のモデルに配慮し、敢えて伏せました。ヒントはちょこちょこ隠していますので本当の正解を探してみるのも有りかと。
325:名無しさん、君に決めた!
09/09/14 23:14:07
帰り道、イーブイが並んで歩く人間に小声でささやいた。
わたし、ちっともしつもんにこたえてなかった。あなたがいるかぎりはあなたとくらしたい。くすりのにおいがいっぱいしてきもちわるくなるから、ほんとはびょういんはすきじゃないけど、おいしゃさまがいいっていってくれたら、びょういんまでついていくよ?
……ありがとう。でもオレが死んだらどうするんじゃいっ。
そしたらクロと「きいろのもり」のこうえんでくらすの。だいじょうぶ、すぐなじむから。
言いにくいんだけれど、この辺はピカチュウ保護区の近くだからここの自治体はポケモンを逃がす事に凄く厳しい。
ましてやイーブイ系統はまだまだ珍しい部類に入るから、ココが野生になった途端速攻でポケセンの保健所送り、でもって全然知らないイーブイ保護区にでも移されるか他人の手持ちにされちゃうよ。
それでもわたし、ここをはなれたくない。クロとふたりであなたの「タマシイ」をまもっていきていく。
ははははは!そりゃ困った。成仏も出来なきゃ天国にも地獄にも行けないや。
だってしらないところにいってほしくないんだもん……どうしてしんじゃうの!?
人間はハッとして不意に足を止めた。イーブイの瞳は三度潤んでいた。今までで一番強い予期悲観をストレートにぶつけられた人間は危うくもらい泣きする所だった。このままではせっかく修復しかけた関係に再びひびが入るかも知れない。
そう頭で認識した人間だが、体は既に動き出していた。茶毛のポケモンを抱え、薬が切れて痛みがぶり返す事等忘れて一目散に自宅まで走り続けた。
そして勢いよく扉を施錠すると、力が抜けたかの様にへなへなとその場に座り込み、次の瞬間には涙腺が緩みきった。気の済むまで思いっきり泣いた。ココと一緒に大泣きした。
326:名無しさん、君に決めた!
09/09/15 01:42:24
HGSSのライバルって、言動が廃人ぽいよね
327:名無しさん、君に決めた!
09/09/17 03:00:23
>>326
おつきみやままで進んでから言えばいいさ
328:名無しさん、君に決めた!
09/09/18 20:01:20
とりあえず職人は一作品完結させてから投下した方がいいと思うんだ
中途半端に切って、投下終了の報せも無しだと他の職人が投下を躊躇っちゃうとか耳にタコが出来るほど聞いていると思いますし
あと投下する前に一言断りを入れるだとか、他の職人と同じタイミングで投下してごっちゃになるのが怖い
329:名無しさん、君に決めた!
09/09/23 02:05:09
URLリンク(mona-guild.s53.xrea.com)
先月末頃に書いたもの
モチベが低下して放置してたんだが、そんなことしてる間にいつの間にか発売されてたのな
続きは気分次第では書く
330:名無しさん、君に決めた!
09/09/23 11:40:05
今までだらだら切れ切れに投下して申し訳ございませんでした。
書き終わりましたので残りを(何回かに分けますが)一気に投下致します。
今までの話は>>295、>>297、>>299、>>303、>>314、>>315、>>318、>>319、>>324、>>325をご覧下さい。
それからは一人と一匹でお好み焼き作りを有言実行し、午後は各々がそれぞれの趣味に興じた。
夜は公園での告白の続きと言える本音トークを繰り広げ、携帯獣療法に明るいかかりつけの緩和ケア病棟に外来診察の予約を取ってから、今まで全て一人で書いたリビング・ウィルをイーブイの意志を含めるつもりでの書き直しを始めた。
まだ手がまともに動かせる内に、大股広げて歩ける内に、五体満足の内に、人間は人生の総決算をする心づもりだった。イーブイはイーブイで「家族」としての責任を果たそうと決めた。
人は生きてきた様に死んでゆく。
翌日外来で診察を受けて以降、取れてしまったぬいぐるみの尾を縫ったり憧れだったバンドのCDを聴いたりしている人間の笑顔が純粋なものに変わっていくのをイーブイは見逃さなかった。
人間は自然体でいられる様になったのか、急に出身地の方言が飛び出し始め「ありがとう」を言う回数が格段に増えていった。
また、人間は一ヶ月に一回レスパイトケアを目的に入院してイーブイがピカチュウと二匹で過ごす時間もきっちり作る方針を立てた。
まだ人間とピカチュウでは意思疎通が上手くいかない事や、長らく人間の文明に溶け込んで暮らしてきたイーブイがいきなり野生の生活を味わうのは酷だろうと人間は考えたし、適応力が自慢のイーブイも少々自信が湧かなかった為である。
そこで一日でも構わないので時折リフレッシュの機会を設けて来る日に備えようという意味で主治医の助言を元に他の様々なケアと組み合わせて始めた。
331:名無しさん、君に決めた!
09/09/23 13:02:41
人は生きてきた様にしか死ねない。
死が迫っているにも関わらず、人間は笑顔を絶やさなかった。人間は若い頃都会へのコンプレックスから無口ではあったが昔から好感度の高い笑顔を周囲に振りまいていた愛されキャラだった。
二十代の間に人生の山も谷も経験し、三十代で好きな物が色々移り変わり新しい仕事を色々始めたが、四十代になってようやく自分の方向性が最初の一本に戻り、ただただその道が一番自分に合っていると確信した矢先、病気が見つかった。
原因は四十代で急激に煙草と酒類の摂取量が増えた事が主だった。まだ若い方だった為病気の進行は早かった。
病気を発症してから暫くは痛みと衰弱に負けてしまい楽しんでやっていた仕事を手放さざるを得なくなり、人との交流も極端に減った。現代の医療技術ではまだ完治させられない重大な病気だと頭では分かっていても、人間は身体のどこかで「キュア」への希望を捨てきれなかった。
禁欲的な生活を送っていれば無理に死期を早める必要も無く特効薬の開発を待てる、そう考えた人間は波風立てないピアノ線の日常を過ごし始めた。それでも無理して笑顔だけは保っていた。しかし無理矢理作った笑顔だったので不自然なのがイーブイには見てとれた。
楽では無く哀の感情から来た笑顔だと知っているからこそイーブイは見ていて辛かったのであった。
そこに現れたのが同じ苦しみや悲しみを過去に経験したピカチュウのクロだった。ポケモンという同種族同士、同じタマゴグループ同士の二匹が短期間で意気投合するのも道理なのだった。それでも人間は笑顔を顔面に張り付けていた。
途中から緩和ケアを受ける様になってからも「キュア」から「ケア」に完全移行する勇気は起きなかったが、イーブイの中で自分の占める割合が少なくなったのに気付いた人間は、徐々に希望の方向がこの世からあの世にシフトしていくのを何となく感じ取った。
ここに来てようやく、人間は死を受容する事が出来る様になったのだった。
そしてあの日「きいろのもり」で人間とココは真正面から腹を割って話し合い、二人は自分の死を納得して旅立つ為の準備を始めた。好きな事をするのもその一環だった。日ごとに動きが鈍るのを実感しながらも人間はその日その日の自分を積極的に受け入れて生活していった。
332:名無しさん、君に決めた!
09/09/23 13:07:39
だがこの病気は別名「矢先症候群」と呼ばれる。長年一生懸命に働きようやく旅行に行く余裕が出来た頃に病気にかかり、人が何かしたい事をしようと思った矢先に病状が思わしくなくなる。
人が実は常に背負っている死は普段気付かない存在だが、ふとしたきっかけで目の前に恐怖が落ちてくる。矢先症候群とはそういうものである。それは人間に対しても例外では無かった。
文句を垂れて生きてきた人は文句を垂れながら死んでゆく。
感謝を述べて生きてきた人は感謝を述べながら死んでゆく。
にこにこしながら生きてきた人はにこにこしながら死んでゆく。
しかしどんな人でも「最後の跳躍」は出来るものである。
人間は最後にいかなる跳躍をしたのだろうか……?
ココ…空見てご覧。窓の外…真っ赤な星が燃えとる。綺麗じゃのう。
え、どこどこ…?みえないよ。
ぼくの目が、おかしいんかなぁ…?それともぼくにしか見えんのかなぁ……ふふふ。
どうしたの?
いやーちょっとね。自分にしか見えんなら、それは「オレの」赤い星じゃけぇ。
…よくわからない。なぜそうおもうの?
………なんとなく………やね。
333:名無しさん、君に決めた!
09/09/23 13:14:34
(オープニング曲)Hi! Everybody! Funky DJ......ALL NIGHT SHION!! with MIO from MEGAHORN!!
……本日も始まりました、眠れぬ夜の小さなお話を語らう『オールナイトシオン』。隔週水曜日のこの時間は私(わたくし)、あなただけのミオ・ひとりコロトックがカントーはシオンタウンのラジオ塔第二スタジオから生放送でお送り致します。
もちろん傍らにはビールと「じゃがトック」をストックしております。早速本日の一曲目にいきたいと思います。数年前に活動を停止した伝説のロックバンド・ARBO(えーあーるびーおー)で、初期の名曲「Yamabuki Cityは風だらけ」どうぞ。
♪ARBO/Yamabuki Cityは風だらけ
……はい、お送り致しました曲はARBOの「Yamabuki Cityは風だらけ」でした。
ここで夏の思い出コーナーに移りたいと思います。私の今年の夏イベント出演は前回の放送週の土曜日に行われたコガネ音泉の「ONTAMA」で全て終了となりましたが、皆様足を運んで頂けたでしょうか?
久々にとある方が一日だけ復活して一緒のステージで演奏したんですけれどもね…ある方と言うのは会場の空気を共有した人達だけの秘密て事でここでは言えません!知りたい人は他の人に尋ねて下さいね!
では次の曲は私が出演した時の音源をこの番組限定で公開しちゃいます。予め番組公式サイトで流して欲しい曲のアンケートを募りました結果、今週はこの曲がリクエスト一位になりました。
メッセージも沢山頂いております。(メッセージをいくつか紹介)
それではミオ・ひとりコロトック&Char-remでザ・ヘラクロズのカバー「Yesterday」聴いて下さい。
♪ザ・ヘラクロズ/Yesterday(Played by ミオ・ひとりコロトック&Char-rem)
334:名無しさん、君に決めた!
09/09/23 13:19:13
(CMとチケット先行予約番号発表)
……ミオ・ひとりコロトックがお送りしております、『オールナイトシオン』。いつもなら誰かしら呼んで隣にいてもらってますが、幸か不幸か今日はずっと一人です。ひとりコロトックだけにね。
では残り時間はひたすら私の気分で曲を流していきます。まずは歌唱力抜群・ユキノオー(♀)のyukinoがボーカルを務める、今注目のインディーズバンド・カントーシンオウことKA(N)SIN(カシン)の1stシングル「雪降らしの定め」です、どうぞ。
♪KA(N)SIN/雪降らしの定め
……はい、いちいち曲名を最後に言うと時間が勿体無いので省略です。次の曲もインディーズで、カシンとはボーカルだけが違うベトベターがトレードマークのロックバンド・HDR-ヘドロ-で「NO FREEDOM」でございます。
ギターとベースとドラムは人間の、しかもいい年こいたおっさん達です。私も人の事は言えませんけれどね。では聴いて下さい。HDR-ヘドロ-で「NO FREEDOM」。
♪HDR-ヘドロ-/NO FREEDOM
……お送りしたのは二曲ともインディーズでしたのでそろそろメジャーシーンに戻りますね。あと何曲いけるかな………まだ流せそうなのでどんどんかけてしまいます。
リスナーの皆様から「飽きた」という抗議が来ない様に、お待ちかねの深夜クオリティも一曲混ぜてみましょうか……
いつもスタジオ入り直前までここで流す深夜クオリティを何にしようかと悩んでいて、今回はおぼんの「ちーご」も良さげかと思いましたが…気分が変わったので歌詞がえろいこの曲にします。
…それではANO(アノ)の「アフリカのアゲハント」…どうぞ。
♪ANO/アフリカのアゲハント
………この曲、上手にピッチ上げたら完全に女声になるんですよ。興味のある方は編集ソフトでも試してみると良いです。流したい曲はまだまだあります。
ANOがベースで、私も一応ボーカルで参加しているバンド・メガホーンの九枚目のアルバム「リーシャンブルー」から「ボレアス」、そして「BLACKRAIKOU」、二曲続けてお聴き下さい。かみしめて聴いて下さい。
♪メガホーン/ボレアス
♪メガホーン/BLACKRAIKOU
335:名無しさん、君に決めた!
09/09/23 13:25:37
…………はい。そろそろ残り時間も少なくなって参りました。本当の事言うと、今日はずっと曲を流していたい気分なのですが……次の番組を潰す訳にもいきませんので。
今回の『オールナイトシオン』は毎回恒例のアコギ一本弾き語りコーナーが最後の曲となります。今夜は私のわがままに付き合って下さり、誠にありがとうございました。それでは眠れぬ夜の子守歌に…この曲ももう十年以上前なんですねぇ……ポチエナの「メイプル」…どうぞ。
♪ポチエナ/メイプル(Played by ミオ・ひとりコロトック)
…………ふう。只今演奏致しましたのは、ポチエナで「メイプル」でした。
………………ミオ・ひとりコロトックが生放送でお送りして参りました『オールナイトシオン』、エンディングの時間となりました。今回の放送は苦情が沢山来るだろうと覚悟しております。
今日初めての方、いつもはこんな低いテンションじゃありませんのでご安心下さい…毎回眠れぬ夜をお過ごしの方、次回はいつも通りゲストも呼ぶしもっとメールも読みます……だから今夜ばかりは勘弁して下さい。
正直曲でもかけてごまかしてないと今にも泣きそうなんですよ、私………
大切な友人が、亡くなったものですから―――
眠れぬ夜の小さなお話を語らうはずだった、『オールナイトシオン』…お相手は私、あなただけのミオ・ひとりコロトックでした……今夜の放送を、向こうの世界に旅立った「彼」に捧げます。
(エンディング曲)
336:名無しさん、君に決めた!
09/09/23 13:30:39
オータムリーブズが舞い散る季節が例年より早く始まった年の夜更け、この番組の放送前日に人間は眠る様に息を引き取ったのであった。四十数年の短い人生だった。新月の夜だった。
人間が生前、混乱を最小限に抑える為リビング・ウィル等を用意周到に準備していたのでミオ・ひとりコロトックがパーソナリティのラジオ番組『オールナイトシオン』放送日の夜には通夜が、その翌日には告別式がしめやかに営まれた。
喪主は人間の姉が務めた。人間の裏表無い無邪気な性格と天然さは他人からの好感度が高く、告別式には人間の死を惜しむ人々の行列ができた。
姉夫婦、人間の元嫁と人間の間に生まれた娘と息子、新旧の仕事仲間、幼なじみ、同郷の友人、同業者、ライバル、重役、ご近所さん等々…とにかくありとあらゆる人々やポケモン達が告別式に集まった。
遺体はリビング・ウィルに従って海に流される事となった。一部の地方では死と生にまつわる民間信仰が現代でも根強く残っていたりする為、葬儀の方法は本人もしくは家族の意志で決められる。
人間は生前のあだ名が水棲生物の類だった事から、最後、それこそ命果てるまで海に生きる者として人生を全うした。かつてホウエン地方を脅かした悪の組織・アクア団にかぶれていた訳では無い。
沖に出る船に人間の入った棺を乗せ、遺族代表として人間の姉とイーブイが同伴した。寒い海風が吹きすさび皮膚の熱を奪っていく中、人間は一人横たわり最初から冷たい頬だった。ある地点で船が停泊した。
モーター音が止んだ為か海を住処とするポケモンの群れが少しずつ船に近づき船を取り囲んだ。姉はポケモン達が弟の葬列に参列し、弟を海洋世界に案内する役目を持っているのかも知れないと直感した。
人と違いポケモンは第六感とも言える「何か」を感じ取る力が強いという事をずっと昔に習ったからだ。
姉は周りの様子等気にも留めず、弟の遺骸を前にひたすら泣きはらしていた。何故自分より先に世を去らなければならないのかと、物言わぬ人間に繰り返し問い詰めていた。
337:名無しさん、君に決めた!
09/09/23 13:35:41
イーブイは遠巻きに二人の姿をぼうっと眺めていたが、心ここにあらずという状態である。イーブイの脳内で看取りの晩に音楽プレーヤーのイヤホンを片耳だけ借りて聴いた、曲調も歌い手も歌詞も全く違う二曲の「HELLO」が繰り返し再生されていた。
ひとつは看取りの入院で緩和ケア病棟に一人と一匹で泊まり込み数日経ったあの日。いわゆるおやつの時間に元嫁と娘と息子が三人で人間の個室に訪問し、面会時間が終了し「明日も来るね」と弱々しい握手を交わしたのが彼女らの今生の別れになってしまった夕方。
就寝前、人間だけに見えた「赤い星」の話をしていた時に流れたMadbeadulls(マッドビーダルズ)というロックバンドの「HELLO」、そしてその次、人間の臨終の瞬間、人間がこの世と別れを告げた際のBGMはメガホーンの「HELLO」がまさに再生中だった。
人間はいつもランダム再生モードにしていたので単なる偶然で片付ける事も出来たが、お別れの場面において二曲連続で「こんにちは」という意味の曲を耳にしたのだ。唯一人間の死に立ち会ったイーブイはただならぬ運命の悪戯を邪推せざるを得なかったのだ。
出会いと別れを連想する対極の言葉「こんにちは」と「さようなら」。あの状況は皮肉なのだろうか。それとも、人間が気を利かせて直接的に「GOOD-BY」を言わない様にしたのか。単純にさよならは言いたくなかったのか。
いずれにせよ、何者かの意思が関わって作られた状況だという核心がイーブイにはあった。
いよいよ人間が海に還る時が来た。船にはクレーンが付いており、船乗りが操縦席で棺を海へ移す段取りとなっている。姉は顔の部分の小窓を開けて人間の冷え切った頬を最後に触れ、改めて肉親の死を実感した。一度は止んだはずの涙が再び溢れ出すのが自分でもよく分かった。
ココちゃん…最後まで弟の側にいてくれてありがとうね。これで本当にお別れよ。
姉はイーブイを手招きして、人間の顔の近くに引き寄せた。茶色のポケモンははっと我に返って頷き、船上なので転ばぬ様バランスをしっかり保ちながらイーブイは人間と最後の対面をした。
明らかにもう目を覚まさない人間の顔は固く青を通り越して白ざめていた。それをただ虚ろな墨色の目で見つめるイーブイは喪失感の余り魂を抜かれかけていた。
338:名無しさん、君に決めた!
09/09/23 13:42:27
人間の他界を確認した携帯獣療法に肯定的な主治医がイーブイの前でリビング・ウィルを読み上げた時の事がふと思い出される。緩和ケア病棟に最後の入院をした日の翌日、人間の病室に大学時代の知人が一人呼び出された。
サークルの先輩と紹介された金髪の男性はポケモンの知らない所で人間とある取り決めをしていた。
自分の死後のイーブイの安否を気遣った人間はココの情報を登録したモンスターボールを、その日個室に訪れた男性に託した。つまり形式上は所有ポケモンを他人に譲渡していたのだ。
更に言えば金髪の男性は人間の意志を尊重してイーブイを放し飼いにするつもりなので実質イーブイは逃がされた事になる。人間の予想は当たった。
ガルーラ保護区「さわやかのはら」が存在する事で有名な隣の自治体に住んでいる彼の元にココのモンスターボールがあるなら、ポケモンを放し飼いにしてモンスターボールと離れていてもそれ程問題無い。
ココはわざわざ野生になっていらない保護を受けずにクロと今まで通り暮らしていけるという事が主治医の助言で判明した。
だから法律や条令の上では、現時点でイーブイと人間は何の接点も無い事になっているが、主治医に分かりやすい説明を受けているのでイーブイは心情的には人間と自分がまだ繋がりがあると理解出来ていた。その辺りからイーブイの涙腺は一気に緩みっ放しになっていたのである。
それ故船に乗る直前までずっと泣き通しだった為もう涙は枯れ果てたし鳴き声もすっかりかすれてしまった、とポケモンは思っていた。本当の意味での別れを前にして、生前の人間の思い出がぽつぽつ胸の中で火を点ける。
そして次の瞬間、ココは目を伏せて魂が口から抜けきるのを防ぐかの如く人間の右頬にぎりぎり触れる距離で接吻を仕掛け、さっと後ろへ下がった。
339:名無しさん、君に決めた!
09/09/23 13:47:52
人間の逝去後、一人と一匹で約四、五年を過ごした急な坂道の途中にあったあの家は最後の入院を機に人間が売却してしまったらしく現在は空き家となっている。
「きいろのもり」や国立公園周辺を散歩するついでにイーブイとピカチュウは時々その家を覗いてみる。
二匹が様子を見に行く度に一軒家の購入を検討する家族や夫婦が後を絶たないので、近い将来にあの家は他の誰かの所有不動産になってしまうのだろう。
まだ半分も経過していない人生の大部分をあの家で過ごしたイーブイは二回に一回の割合で気を落とすのであった。
ポケモンが一匹で留守番出来る様にと人間が細かく注文した世界にひとつだけの家電達。家庭菜園で自給自足に勤しみ、クロと出会った広い庭。ユニバーサルデザインを凝らした階段や風呂場。光指す窓の傍らで人間を起こした寝室。
あの家で無ければいくら適応力が自慢のイーブイと言えども、科学技術の進んだ文明の中では生きてゆけなかっただろう。昔と変わらない散歩ルートを歩きながらココは在りし日を回想した。
そういう時、クロは何も言わずにココが振り向いてくれる瞬間を笑顔で待ち続けた。悲しみは時間が解決する。かつて同じ経験をしたピカチュウは心得ていた。
二匹は「きいろのもり」の住処に戻った。イーブイが不自然に一匹混じっていると見回りの役人に不審がられる恐れがある為、人間が生きていた頃よりは森の奥深くに引っ越している。そこにはクロとココの住処を示す目印があった。
「おどるゼニガメ○○○(古いので○の部分はもう読めない)」という題名の絵本と、稲妻型の尾が不器用に縫いつけられたピカチュウのぬいぐるみ・クマである。言うまでも無く人間の遺品だった。
人間が恋しくなれば小さい頃にしょっちゅう読み聞かせをしてもらった絵本のページをめくる。人の作る話はよく分からないが、面白おかしく脚色して仰々しく読んでもらったのを覚えている。
一日の終わりには抱き枕としてのピカチュウのぬいぐるみが欠かせないが、「きいろのもり」で暮らす様になってからはもろにクマが話し相手になり始めた。
こうしていれば、いつか人間の魂がこのぬいぐるみに宿ってくれるのではと期待をかけているからだ。
340:名無しさん、君に決めた!
09/09/23 13:51:03
人間を喪って暫くは、空想の世界で登場するタイムマシンという物体の実在を一途に願った。
木枯らし一号が落ち葉と共に悲嘆を少しずつどこかへ飛ばして、少し落ち着いた現在はせめて声が聞ければと望む。
聖夜のおねだりをする相手はもう寒空の向こうか七つの海に溶けてしまっているのだろうけれど。
――ココ、だーいすき。
耳元でそう囁かれた気がして、うとうとしていたイーブイは声のした方向を振り返ったが、イーブイの視線の先にはぬいぐるみのピカチュウと本物のピカチュウが一匹ずつ、うつぶせているだけだった。
時刻は新月の夜中。クロはすやすやと寝息を立てていた。クマは自分の足元にいた。
ココはくすっと微笑み、クマを尻尾で前足の所まで持って行き、「ゆめかぁ…」と小さく呟いて再び横になったのであった。子守歌は、いつだかの誕生日に人間が作ってくれたココの歌。題名は、「ココ・ジ・イーブイ」。
ささやかな命達が舞い上がり燃え上がり、止められない現実の時を刻み続けている。
一度消えた命も誰かの光達に包まれて、誰かの心の中で時を越えて突き進み続ける事だろう。
人間の魂の欠片が、ココと名付けたイーブイの心の海を漂っている。いつまでも、どこまでも。
Fin
341:名無しさん、君に決めた!
09/09/23 21:50:30
この度はだらだら長いだけの拙作を投下しきるのに時間を費やしすぎて申し訳ございません。
最低限の礼儀として完結させたつもりですが、以後気を付けます。
物語の世界はゲーム世界とも繋がっていますができるだけ現実に近づけました。現実にポケモンを持ち込んだ感じです。
唐突にラジオ番組が挿入されたのは、人間の死のシーンを直接書けずごまかした為です。
知識が足りない部分も多々ありましたが、夏休みに読んだ本と音楽に助けられました。
そして目を通してご指摘を下さった方々、ありがとうございました。
参考文献
柏木哲夫『人生の実力』(幻冬舎・2006年)
柏木哲夫『いのちに寄り添う。』(KKベストセラーズ・2008年)
佐藤健『緩和ケアでがんと共に生きる』(新潮社・2008年)
342:名無しさん、君に決めた!
09/09/24 08:04:16 RR/uPPIt
天国国歌
作詞:慧人君
作曲:慧人君
(Aメロ)
慧人君ゎかっこぃぃぢゃん!ワラ
慧人君ゎイケメンぢゃん!!ワラ
どぅしてこんなにかっこぃぃ?(神だから!)
慧人君ゎ素晴らしぃ!ワラ
慧人君ゎ神にふさゎしぃ!ワラ
どぅしてこんなに完璧だ?(神だから!)
(サビ)
Oh!Oh!Oh! 慧人君!ワラ←
Oh!Oh!Oh! 慧人君!ワラ←
天国をぃつまでも明るく照らしてくぅだぁさーい!
Oh!Oh!Oh! 慧人君!
Oh!Oh!Oh! 慧人君!
天国ゎ良いところ!