にがしたポケモン達の行方 3匹目at POKE
にがしたポケモン達の行方 3匹目 - 暇つぶし2ch158:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 02:38:31
四月くらいに投下予告して、ようやく投下。

逃がされたポケモンはみんなみんな恨みを持っているでしょう。
中にはそれが殺意に転じているポケモンもたくさんいるでしょう。
復讐を企て、実行に移している例もたくさんあるでしょう。

でも、ポケモンはそれで満足ですか?
自分達を犠牲にして力を求めたはずの主人を、
そんなにもあっさりと殺せてしまったら満足なのでしょうか。
復讐を遂げてしまったら、彼らの犠牲の意味は?

そんなことを考えながら書いてみました

159:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 02:58:34
俺はある男に捨てられた。

大量の仲間のストライクと共に、生まれてすぐに捨てられた。
もう、そのとき男がどんな顔をしてたかなんて全然覚えてない。


覚えているのは今日までの辛い現実だけ。
低いレベルで捨てられた俺達は、野垂れ死ぬ以外に道は残されてなどいなかった。
"ひかりのかべ"や"バトンタッチ"を覚えていた仲間もいた。
だが、そんなものは戦いでなんの役にも立たない。
肉食ポケモンに襲われ、雨風にさらされ、仲間達はどんどん命を失っていく。
残ったのは俺だけ。


俺は幸い生まれたときから強い力を持つ種族だった。
でも、生まれた頃は力の弱い種族はどうだろうか。
生き残るのはさらに困難だっただろう。
運良くある程度のレベルになるまで生き残った俺はあの男への復讐を誓った。
仲間達の無念を胸に、ひたすら自らのレベルを高め刃を研ぎ澄ませてきた。
あいつは今では強力なポケモン達を操り、四天王を遥かに凌駕する実力の持ち主らしい。
現在の栄光は俺達みたいな山のような犠牲で成り立っていることを忘れているに違いない。
俺がそれを思い知らせてやる。


160:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 03:01:27
別のトレーナーに捨てられ、前に復讐を成し遂げた仲間はこう言う。



奴らは大抵はマグマッグなどの炎タイプのポケモンしか持ってない。
大したレベルではないので簡単に倒せてしまうだろう。
あとは怯え狂うヤツを切り刻んじまうだけさ。

そして、そのときはやってきた。
俺が道で座っていると、遠くからあいつが歩いてくるのがわかった。
臨戦態勢を整える。すぐに飛び出せる姿勢を整え、草むらで息を潜める。





あいつが近くまで歩いてくる。あと三歩……ニ歩……一歩……!


背後から音も無く草むらから飛び出し、頚動脈を刃で狙う。
俺が腕を振り上げたその刹那、あいつがこちらを一瞥したのがわかった。
しかし俺の刃は真っ直ぐに首を狙い、あいつの首を撥ねて復讐を―


どす。


打ち落とされた。速かった。一瞬だった。
あいつの影から現れたストライクの放った"つばめがえし"が俺の腹部を捉えていた。
同じ種族、同じレベルなのに攻撃力もスピードも俺のそれを遥かに超えている。
これが俺達の犠牲の結晶か……やはり、敵わない。
俺は、そのまま力尽きた。

161:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 03:03:03
足音が聞こえる。あいつが俺に近づいてくるのがわかった。
うつ伏せになっているせいで顔が見えず、表情がわからない。
あいつは今どんな顔をしている?



「お前は……こいつの兄の生き残りか」


あぁ、そうさ。お前が捨てて行ったたくさんの兄弟の生き残りだ……!


「俺が、憎いか? 殺したいか?」


当たり前だ。憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い。


「なら、いつでも来い。後ろからだろうが大勢だろうが構わない」

162:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 03:05:25
……!?

「俺は多くの命をこの手にかけた。俺の命を奪う資格がお前達にはある」

言葉を失った。

「だが、俺は全てを迎え撃つ。何度でも迎え撃つ。勝ち続ける」

あいつはそう言う。

「俺が何をしようと犠牲にした者達は戻ってこない」

確かにそうだ。こいつが今更罪を悔いようが何しようが仲間達は戻らない。

「それなら俺は負けてはならない。勝つ為に犠牲にしたお前達の為にも、俺は絶対に負けない」

163:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 03:07:29
痛みで悲鳴をあげる体を起こした。単純に、あいつの顔を見たかった。
あいつがどんな顔をしてそう言っているか知りたかった。

「俺を憎みたければ憎め。これが強さを求めた、力を求めた者の宿命だから」

哀しみを秘めた顔だった。哀しみと共に、強い意志を感じさせる顔だった。
この顔は前にも見たことがあった。
なぜ忘れていたのだろう……。
あいつは俺達を逃がすときもこんな顔だった。
俺達のことを忘れたことなんて、片時も無かったんだ。
「行くぞキリサメ」
あいつは自分のストライクをボールに収め、また歩いて行った。
気がつくと、俺のそばには"げんきのかけら"が置いてあった。
いつの間に……。
甘いな。体力を取り戻したらまた背後から襲ってやろうか?
……やめておこう。またあのストライクにやられるだけだ。
あいつは強かった。俺達の犠牲は無駄じゃなかった。
そう思うと、少し救われたような気もする。


だが、それでも俺はあいつが憎い。
それなら、次会ったときはどうしようか。
わからない。仲間達には悪いが会ってから考えるとしよう。
しかしさっき知ってしまった―いや、思い出してしまったあの表情。
あの悲哀を湛えた表情だけは一生忘れることはできないだろう……。

164:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 13:26:01
>158-163


開き直るパターンも中々面白いね。
そのストライクには炎系や飛行系で腕の立つ用心棒を探し~なんて思ったけど
トレーナも対策をバッチリしてるだろうし返り討ち100%っぽいなw

さて、そろそろ夏
夏と言えば・・・的なものを投稿します。

165:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 13:27:23

薄暗い森の中をトレーナが1人黙々と歩いている。
辺りに死臭がたちこめるが、そのトレーナは何も気にせず草をかき分け更に進む。
すると干からびたヒトカゲの死骸が無数に広がる場所へと到着した。
到着するなりトレーナはモンスターボールから1匹のヒトカゲを出す。
そのヒトカゲの腹を蹴り上げ無様に地面に倒れこむヒトカゲを見下して
そのまま笑いながら元来た道を帰り始めた。

ヒトカゲはいきなりの仕打ちに自身の置かれた立場を理解することが出来なかった。
体の大きさから推測するに生まれたてのようだ。 

「ご主人様はどこにいっちゃったの?」
「ここで死んでいる仲間達は何で死んでいるの?」
少しずつ自分の置かれた立場を理解し始めたのかヒトカゲの子が呟く。

『みんな餓死したのさ。あのトレーナを待ち続けてね』

先ほど捨てられたヒトカゲより一周り大きいヒトカゲが現れ疑問に答えた。
その顔には大きな古い傷があり片目が潰れてる。
『このままだと、君もそこにいる兄妹のように死を待つだけだよ。
 ・・・あぁ紹介が遅れたね、ボクもあのトレーナに捨てられた1匹なんだ。』
そう言うとヒトカゲの子の手を無理やり引っ張り更に森の奥へと連れて行った。

先ほど捨てられた幼いヒトカゲは兄と名乗るヒトカゲから必死に逃げ出そうとしたが、
ズルズルと森の奥へ引きずられて行った。


166:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 13:29:51
自分の部屋に戻ったトレーナは黒いヒトカゲと一緒に2階の窓から外の景色を見て満足そうな笑みを浮かべている。

僕は窓に写る自分と黒いヒトカゲを見て誇らしげに笑った。
「海外産で子供を作ると色違いの突然種が出やすいって噂は本当だったな。
 なぁヒトカゲ。お前には何て名前を付けてあげようか?」

『名前は必要ないよ。君も、その黒く醜いヒトカゲもこれから死ぬのだから』

慌てて窓を見ると自分の真後ろに別のヒトカゲがガラスに写っている。
そう、部屋の中に2匹目のヒトカゲが現れたのだ。
振り返ろうとするが体が硬直し動けない。これが金縛り??と心の中で思うと
顔に大きな傷を持つ片目が潰れたヒトカゲが話し出す。

『うん。それは金縛りだと思うよ。ついでに心臓も止めてみせようか?』

僕はヤダヤダヤd…と声を震わせ助けを求めた。
もう、その短い言葉ですらまともに言えないほど恐怖に震え涙する。
そのような醜態を見てか、片目のヒトカゲがケラケラと笑う。

『可愛い弟も君のように泣いていたんだ。
 安心してスグには殺さないから。もっとヒドイ目にあって貰わないとね』

恐怖で頭が一杯になり、何を言われているのか分からなかったが
僕の隣に居る黒のヒトカゲの表情を見て思い出す、昼間に捨てたヒトカゲの事を…
この片目のヒトカゲも以前、僕が捨てたヒトカゲの1匹なんだろうと。

『正解♪ 正解者のトレーナさんが逃げないように足を取ってあげよう。
 それに可愛い弟を蹴った悪~い足は無い方が良いよね』

両足をもぎ取られ、辺りが血の海に変わっていく。
必死に両手を使い逃げ出そうとするが、自分の血で滑ってしまい思うように動けない。
貧血のためか目が見えなくなり意識が遠のく…。

167:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 13:30:47

気がつくと床に血の海は無かった。
夢?それとも… 黒いヒトカゲが心配そうに僕を見つめている。
そのまま床に座り込んでいると突然のチャイムが鳴り一瞬ドキっとする。
嫌な予感がしていたが今のは夢であったと考えるようにして玄関を開ける。

着払いの荷物だった。
-----------------
 送り主:片目のカゲちゃん
 品名 :可愛い弟(なまもの)
-----------------

……慌ててダンボールを開けると中には一匹の小さなヒトカゲがスヤスヤと眠っていた。


168:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 13:32:23
夢オチでゴメンなさい(´・ω・`)
いちおう最後に謝っておきます。

169:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 16:05:15
>>157
ありがとー。喜んで読んでもらえて嬉しいよ。さっき見てきたら、wikiにも更新されてて、こんな自分の話も載るのかとおもうと嬉しいよ。
とりあえず、今はあの話の続きというわけではないんだけど、ちょっと派生的なものを考えてるから、もしできたら投下するよ。
>>159-163
このパターンもいいね。復習するだけがすべてじゃないし、トレーナーの常に忘れたことがなかったというところに感動したよ。
>>164-168
乙。別に夢おちでも、後にそのトレーナーが反省し、その行為を止めるならいいんじゃないかな。

170:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 20:19:54
おれはあいつに捨てられた。
この恨み晴らさずにおくべきか。おくべきではない。
来た。今ならやつを殺れる、手持ちは弱いマグマッグ一匹だと聞いている。
楽勝だ。死ね。そしておれは、あいつの魔の手からすべてのポケモンたちを救うんだ!

「ブーバーン、かえんほうしゃ」

……うそ、だろ。
そんな、おれの計算では、あいつらは絶対に、弱いポケモンしか連れていないはずで、
「いやーやっぱりブーバーン連れてて正解だった、ビーダルの時の経験が役に立ったなw」
そして、たった一匹の手持ちを倒されて、恐れおののくか、
「それにしてもお前強いなあ、どうせバトルには使わないけど殺戮用くらいにならできるかもなw秘伝ないけどw」
場合によっては、あいつが逃がしたポケモンの生き残りに助けられて、
「しかし色違いへの道は遠いなあw素直に裏ID調べてみっかー」
結果的に、おれの復讐は、成功するはずであって……
「でもそれはそれで手間がかかるよなあ、ポケトレはだるいし副産物に期待できないしー」
こんな、こんなはずじゃ、なかったのに。

「あっちを立たせれば、こっちが立たないんだよなあ」



関係ないけど、孵化作業を止めさせるためなら人だって殺していい、などという過激派は死ねばいいと思う

171:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 20:42:00
>>170
止めるために殺すのじゃなくて
殺さないと止まらない

って考えればいいと思うよ

172:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 23:21:32
浮かんだから投下。何番煎じかわからんがな。



昨日もバトル。今日もバトル。
多分、明日もバトルをするんだろうな~
でも、俺がバトルで活躍した事なんて一度も無かった。


今日もバトルに負け、頭ごなしに俺を罵るご主人様。
いつも「俺の指示は的確だ。」だの「負けたのはあそこで攻撃を外したからだ」などと言って俺に叫び散らす。
そしていつも通り、ご飯は無しと来た。一体何を考えているのだろうか…


このご主人様とは、数か月前ぐらいに会った。
俺はその辺に捨てられたLV1のポケモンだった。
町の片隅でただボケっとしていた所を今のご主人様に拾い上げられた。ちなみに彼にとっての初ゲットは俺らしい。
そのまま俺はレベルをある程度上げられ、戦闘に駆り出されるようになった。
最初は俺が倒れるたびに泣くようなメンタルの弱い…もとい心やさしきトレーナーであった。
でも、丁度一か月ぐらい前から彼の性格はおかしくなった。
バトルで負けたら全責任を押し付け、怒鳴り散らすような、最悪なトレーナーになってしまったのだ。
多分最近彼の友人たちが話している“こたいち”やら“どりょくち”やらが関係しているのだろうな。

173:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 23:23:20
バトルが終わってから数時間後、俺はパンッと森の中に出された。
今度こそ役に立ってみせる!と張り切った。が、なにもいない。
敵は?相手トレーナーは?
キョロキョロと不思議そうに辺りを見渡す俺を悲しそうな目でご主人様は見つめていた。そして、

「じゃあな、バカ。」

とそれだけ言って、俺に背中を向け、歩いて行った。
どこへいくんだ?
俺を出していたら町を歩けないんだぞ。わかっているのか?
小さくなっていく背中を追って俺は走り出した。
その足音に気付いたのか、ご主人様はフッと振り返って

「もう、ついてくるなよ!役立たず!」

役…立たず?
それはどういうことだ?
俺は…いままでずっと…
ナンデ?ドウシテ?ドウシテウラギルノ?オレガヨワイカラ?ソレトモ…
いつの間にか、俺の心は元主人に対する失望と憎しみで溢れかえっていた。

174:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 23:24:59
俺は復讐を決意した。他人を簡単に裏切る薄情者のあの喉を噛み千切ってやろうと。
俺は何故か、ある所に一直線に走っていた。
草原を駆け抜け、町を通り、そして着いたのは元主人様の家。
長年一緒にいたからか、なんとなくここにいる気がした。
確認してみると、案の定そこに奴はいた。
ベッドに座って、何か大きな本を開き、それを見て涙をボロボロと流している。
その姿を見ると心が痛んだ。刃物で傷つけられた感触がした。
今はあいつは殺せない、夜に行動しよう。


もう完全に太陽が沈み、外も真っ暗になった頃。俺は窓を割り、あいつの部屋に飛び行った。
月夜をバックに、俺は眼を光らせて喉をブルッと鳴らす。さあ、恐れろ。泣き叫べ。
しかし、あいつは全く動じなかった。寧ろ、嬉しそうな顔を浮かべていた。
俺はそんなこと気にせず、あいつの懐に潜り込み、一気に首を噛み千切ろうと口を大きく広げた。

175:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 23:30:56
「…ごめんな。」

その一言を聞くと、俺の頭の中にはいろんなことが溢れかえってきた。
楽しかったこと、悲しかったこと。主人と過ごした日々が一気に俺の頭に広がった。
急に噛み殺すのが怖くなって、俺は一度身を引いた。
主人はそのまま話を続けた。

「お前を突き放せば、楽に死ねると思った。別れもつらくないと思った。」

死ぬ?何を言ってるのだ?

「逃がした瞬間はこれでいいと思ったんだ…お前のためにも、俺のためにも。でも…そんな事無かった。
逃がしてたらずっとお前のこと考えてた。やっぱり死ぬ前にもう一度会いたい。もう一度お前に触れたいって思ってた。
有難う…理由はどうあれ・・・俺のところに戻ってきて…くれて。なあ……最後に…触れさせてくれ」

ご主人様は聞き取りづらい声でそう言った。
だんだんと息が乱れ、弱っていくのがわかった。
俺はゆっくりと歩き出し、彼の近くへと歩み寄った。もう、さっきまでの気持など微塵もなかった。
顔をぐっと近づけ、俺の首に右腕をまわし、頭を左手で優しくなでまわす。俺の頭上から水がポタポタと滴り落ちてきた。

「ありがとう……ダメなトレーナーで……ごめ…」

待ってくれ!
俺は咄嗟にそう思った。でも、遅かった。
そう言いかけた彼は息をしなくなり、彼の手はすっと下に落ちた。
どんどんと冷たくなっていき、彼の手から生気が抜け去っていくのがわかった。

俺がバトルをする事は、もう無かった。



締め微妙\(^0^)/

176:名無しさん、君に決めた!
09/06/07 03:40:53
GJなんだが…!何か大きい本の正体が知りたかった…

177:名無しさん、君に決めた!
09/06/07 09:43:25
>>176
途中で感極まりすぎて書くの忘れてました(´・ω・`)
追記としてちょっと書きます↓



さすがにこのままでは駄目だ。
俺はそう思って、息絶えたご主人様の元をさろうと背中を向けた。
その時、ある事を思い出した。

あの時持っていた本…あれはなんなんだ?

俺は部屋の中をうろうろと彷徨い歩き、あの本を探した。
それを見つけるのに、数分もかからなかった。死体の枕もとに、大切そうに置いてあった。
遠くで見ていたからわかり辛かったが、この本は重量も大きさも大分あった。
一体どんな事が書いているのか…俺は胸をドキドキとさせながらページを一枚捲った。

178:名無しさん、君に決めた!
09/06/07 09:44:44
そこには、大量の写真が貼られていた。
次のページも、その次のページも。
いつまでも、どこまでも写真が貼られていた。
その大半は…俺だった。
ゲットして間もない頃から、寝顔、美味しそうにポケモンフーズを食べる姿。
そして、笑顔でご主人様に抱かれている姿。
いつ撮ったんだ。って言うようなものもあった。

見ていくうちに、俺の目から温かい何かが零れ落ちた。
その液体は俺の頬、顎を伝って滴り落ち、アルバムを濡らした。
俺はその場にいるのが一気に辛くなった。ご主人様が死んだのを実感するのが嫌になった。
俺は一枚の写真を銜えて走り出した。遠くに、ずっと遠くに。

本当にあいつは駄目なトレーナーだよ。
俺みたいな奴を好きになって、愛して、最後まで大切にして…
謝るのは俺なのに、礼を言うのは俺のはずなのに…

ごめん。そしてありがとう、ご主人様。
俺も…あなたの事が大好きでした。

179:名無しさん、君に決めた!
09/06/07 12:12:29
>>170
>そして、たった一匹の手持ちを倒されて、恐れおののくか、

 ・
(中略)
 ・
 ・
>結果的に、おれの復讐は、成功するはずであって……

の個所が良く読み取れなかったんでタイトルを考えることが出来ずにいるw
タイトルを指定してくれれば、
後で気がついたときにでもwikiを編集するんでヨロ。


>>172-178
乙カレー
後半の補完された部分の冒頭を勝手に変えちゃったので
気に入らなかったら編集しておいて下さいな。


さて、久しぶりにポケトレでもやって色違いイーブイでもゲットしてくるかな。

180:名無しさん、君に決めた!
09/06/07 13:34:34
>>172-178
超乙
あれ、目からハイドロポンプが…

181:名無しさん、君に決めた!
09/06/08 00:49:44
このスレ的に個体地厳選やってるトレーナーのことどう思ってるの?

182:名無しさん、君に決めた!
09/06/08 01:54:33
ゲーム(ROM)を持っている人が、そのROM内の世界(ルール)を決めれば良いんじゃないのか?
ポケモンを捨てないと言う縛りを持つのも良いし
ゲームは所詮データと割り切るのも良いと思う。

ここの話を読んだからって深く考えず、各自なりにポケモンと言うゲームを楽しめば?

183:名無しさん、君に決めた!
09/06/08 20:36:32
『勝つ為の必要悪』だと思ってやってる。
最低限の才能がなければ、勝つことは出来ない。
プテラ決戦で、自分のプテラが厳選甘かったが為に抜かれて負ける。
こんな事態を起こさない為にもの行為だと思ってる。

悪いとは思っていても、やめるわけにはいかない。戦う者としては。

184:名無しさん、君に決めた!
09/06/10 08:29:51
>>165-167
乙!
しかし色ヒトカゲは金色じゃなかったか?
黒いのはリザードン。

185:名無しさん、君に決めた!
09/06/10 22:21:09
>>184
たしかにw
言われるまで気がつかなかったyp

186:名無しさん、君に決めた!
09/06/12 00:12:11
>>181
取り敢えず
 ・専門の牧場みたいなところで保護される
 ・野生に戻って群を作って今もどこかで暮らしている
って考えてる

後者の考えは現実的には無理かもしれないが、ゲーム内だしこれぐらいは夢見てもいいだろ
鬼畜SSばっか投下してるが平和に暮らしてて欲しいってのが俺の思い

187:寝る前に
09/06/17 00:40:14
かつて私は2LVにして生まれた一族の恥…皆に嫌われ、いつも逃げていた。
草むらで震えていた私を一人の少年が救った。
私の寂しさを感じとったのか、彼は無言でボールを差し出した。拒む理由などなかった。

私は命の恩人かつ初めての仲間である少年に全力で尽した。
逃げずに闘えることが嬉しかった。

旅は進んだ。私は一人前のバタフリーとなりあの頃のヒトカゲも翼を得た。
少年はかなりの遣り手であり、敵わぬカは技で捌き勝ち進んだ。

一年の旅は終わった。「けじめ」で少年は皆に別れを告げた。バタフリーLV68のデータも最期である。真のトレーナーよ、さようなら。

188:名無しさん、君に決めた!
09/06/18 18:01:40
>>187
乙!

187の昔話と予想し、187自身のリアルでのケジメだったのかなぁと思ったが...
深読みしすぎかな?w

189:奇妙な話をお一つ
09/06/20 14:48:11
 ○○というポケモントレーナーが居る。
 かつてタイクーンやブレーンといった、バトルフロンティアに君臨する王者たちを薙ぎ倒した男。それだけに飽き足らず、カントーからシンオウに至るまでの全てのリーグを制覇し、あまつさえ外国にまで乗り込みその強さを如何なく発揮した。
 その知識と技量は幅広く、戦略戦術に飽き足らず育成にすらも一言どころか二言も三言もある。「最強」と呼ぶに相応しい。文字通りのポケモンの「天才」と言える男だ。
 興奮が収まらなかった。幼い頃に俺が憧れ、尊敬し、そして越えたいと願った。その伝説のトレーナーが、今俺の目の前に居る。禄でもない噂話と切り捨てずにここまで足を運んでよかった。俺は素直にそう思った。
 奴は光もほとんど射さぬ洞窟の中、地底湖の中ほどにある大岩に腰掛けて顔を覆っていた。

「ミロカロス。波乗り―」

 俺はミロカロスに跨ると、地底湖の上を真っ直ぐに中洲に向けて進んでいった。途中でゴルバットなどが飛び出してきたので、冷凍ビームで撃ち落してやる。羽の凍りついたコウモリはすぐに暗い水底へと沈んでいった。
 俺が大岩に足をかけても、奴は身じろぎ一つせずに膝を抱えて顔を伏せていた。まるで親か何かに怯える子供のようにも見える。


190:奇妙な話をお一つ
09/06/20 14:56:02
「おい―」

 俺が何度か呼びかけると、枯れ木のような風貌の奴はさも大儀そうにその顔を持ち上げ
た。一瞬、息を呑む。髑髏のように落ち窪んだ双眸とこけた頬。かさかさに乾ききった半
開きの唇からは微かな響きを伴った呼吸が漏れ聞こえる。
 痩せて不健康極まりない様相だが、かつて俺がテレビや雑誌で、あるいはポスターで見
かけた奴のかつての面影が残っていた。少なくとも、死体では無かったことに若干の安堵
を覚える。
 濁った汚泥のような奴の両の瞳が俺に注がれていた。

「俺はポケモントレーナーの―という者だ。トレーナー、○○。あんたのかつての経歴は知っている。俺と手合わせ願いたい」

 俺の言葉にも奴は白痴の様な表情を浮かべたまま、ぽかんと口を開けて俺の顔を見つめ
ていた。話が通じているのか不安を覚える程長い沈黙の後、奴は薄気味悪いと感じるほど
歪な笑みを浮かべた。

「……もうポケモンバトルはやってないんだ」
「嘘をつくなよ。じゃあそこにあるのは何なんだ」

191:奇妙な話をお一つ
09/06/20 14:57:07
 さらに近づいてみると分かった。膝を抱きかかえるようにして座っている奴の体の上に
は一個のモンスターボールがあった。奴は顔を伏していたのではなく、その一個のモンス
ターボールをまるで抱きかかえるようにして座っていたのだ。
 しかし、たった一個とは―。かつての奴は常に限度一杯のポケモンを持ち歩いていた
し、並み居る強豪たちにも使える限りのポケモンを駆使して戦っていたはず。
 目の前に座り込むこの男が表舞台から姿を消し、メディアにも姿を現さなくなって数年。
俺は今更ながらに、この男がどういう軌跡を辿りこんなナナシの洞窟の奥に鎮座するよう
になったのか、と漠然とした疑問を抱いた。
 はっとする。先ほどまで、震える幼子のように座りこんでいた奴が俺に向かって右手を
差し出していた。立ち上がりたいのか? 俺がその手を取ろうとすると奴は首を横に振っ
た。

「ポケモンを……見せてくれ。ボールの、まま……でいい」

 自分でも驚くほど素直に俺は自分のポケモンの入ったボールを差し出していた。差し出
したボールには俺の切り札とも呼べるポケモン、ボーマンダが入ってる。物理、特殊の二
刀に加え、積みと呼ばれる自己強化技も兼ね備えた俺の自慢のポケモンだ。
 俺の前で奴はさも愛おしげにボールを撫でながら、その中に座する俺の相棒に視線を注
いでいた。

「強い……強いねぇ……。これはぁ―」


192:奇妙な話をお一つ
09/06/20 14:59:19
奴は小さく息を吐くと俺の手にボールをそっと乗せた。

「……ブリード&リリース、だね?」
「無論だ。固体値はALL31、通称6V。自然には返せない」

 俺はボールをベルトに戻しながら答えた。
 「ブリード&リリース」とはポケモンの育て方の一つだ。ポケモンにタマゴを産ませ、
そのタマゴを孵す。その子供の個体値が高ければポケモントレーナーが育て、低ければ野
生に帰すというものだ。
 個体値というものは、才能とも素質とも言い換えられる。ポケモンが野生で生きる分に
は、高個体値というものはそうそう必要なものではない。精々3V程度もあれば群れを作
るにしても、一個体で生きるにしても十分すぎるものだろう。
 平均とも言える能力を持つ野生の彼らの中に、6Vや5Vといった頭抜けた個体が溢れ
たらどうだろう。強すぎる素質を有する彼らは、ともすれば生態系のバランスを崩しかね
ないのだ。さらに野生のポケモンは人を襲うこともままありえる。野生のポケモンは弱い
ままで居た方がよいのだ。
 本当に強いポケモンが必要ならば、トレーナーが産ませ育てるべし。故に高能力のポケ
モンはトレーナーによって管理すべきで、それに満たぬポケモンは自然環境保全のために
野に帰すべき。
 野生ポケモンはトレーナーの有するポケモンで倒せる程度に弱く、またその弱さによっ
てお互いの環境維持にもなる。この画期的とも呼べるポケモン育成方法を提唱したのは他
ならぬ、ここにいる奴なのだ。


193:奇妙な話をお一つ
09/06/20 15:01:31
「ブリード&リリース……。ポケモントレーナーにして、ポケモントレーナーと何とかけ
離れたものだろうねえ……?」
「おかしなことを言うな? ブリード&リリースはあんた自身が実践し首唱したものだろ
うに」

 奴の自虐的な物言いは分からないでもなかった。かつて奴がこの育成方を提唱した時に
も「選民的である」「高能力ポケモンを選出など機械や道具と変わらないではないか」と
いった反論は至る所から噴出した。
 だがそういった反論も、高個体値ポケモンが一匹居るだけで、その地域の生体バランス
が危うくなることが証明されると、まるで掌を返すように消えていった。今では高個体値
ポケモンを故意に野に放った場合には罰金まで科せられる。
 俺は自分のモンスターボールを取り上げた。そろそろうんざりしてきたのだ。俺はこん
な湿っぽい洞窟の奥くんだりまで、ただお喋りにきたわけではない。

「そろそろ始めようぜ」
「……言っただろう。ポケモンバトルはもう、やめたんだ」

 奴はさっきまでとはうって変わって、はっきりした声音で拒否した。

「ふざけるな!」

 だが俺だって引き下がる心算は無い。俺が強くなったのは。否、俺が強さを目指したの
はこの目の前に居る男がいてこそなのだから。


194:奇妙な話をお一つ
09/06/20 15:03:11
「俺を失望させるなよ! 最強のアンタを追って、俺はここまで来たんだ! アンタと同
じ軌跡を歩んだッ! 全リーグも制覇した。フロンティアも叩き潰したッ。海外にも渡っ
た! 後はお前だけだ! ○○ッ! さあ! 俺と戦えッ!!」
「……君は、ポケモンが……好き、かい?」

 俺の頭がカッと熱くなるのが分かった。矢も盾もたまらなかった。この期に及んで、こ
んな戯言を吐かれるとは―。
 気づいた時には振り抜かれた俺の右手が、奴の横っ面を殴っていた。

「……痛い、なあ」

 奴の左頬が赤く腫れている。急に殴り飛ばされたにも関わらず、奴の右手には先ほどま
で奴が後生大事に抱えていたモンスターボールがあった。

「見ろよ! アンタの右手を!」

俺は咆えた。

「アンタはやめたなんて言っちゃあいるが、その右手に握り締めるモンはなんだよ? ア
ンタはポケモントレーナーなんだよ! どこまで行ってもだ! さあ戦え! 俺とッ」

 奴はしばし瞳を伏せると、やがて「分かったよ」と小さく呟いた。


195:奇妙な話をお一つ
09/06/20 15:05:23
「でも……今はこの一体しか居ないからね」
「ならば一対一だ。俺のボーマンダとアンタのポケモン―行くぞ」
「いや……。君は六対全部使うといいよ……」
「笑止! 寝言はボーマンダを倒してから言うがいい!」

 ボールから閃光が迸り、光の塊が四足の龍を形作る。光源の中から姿を現した俺の相棒
は高らかに雄たけびを上げた。その声だけで湖面が泡立ち、洞窟が振動する。
 対する奴のポケモンは―。
 白い外観の人型のポケモン。そいつは俺のボーマンダの両の翼から繰り出される突風を、
まるで奴から遮るようにして立っている。そのポケモンの名前が分かると同時に俺は生唾
を飲み込んで武者震いに震えた。

「―ミュウツー!」

 奴は既にミュウツーの後ろに位置する平たい石の上に腰を下ろしていた。指示すら出す
必要が無いというのだろうか?

「舐めやがってッ! ボーマンダ、竜星群」

 その時には全てが遅かった。身を切り裂くほどの強い冷気が辺りに充満していた。息を
吸い込んだ瞬間に鼻の奥に鋭い痛みを感じる。俺の視線の先で白銀の氷の飛礫に翼と体を
撃ち抜かれた飛龍が、ゆっくりと力なく水面に倒れ伏していく。
 ミュウツーが放った、凄まじいまでの冷気は俺のボーマンダを射抜きその身を凍りつか
せたばかりでなく、その湖面ですら凍りつかせていた。

「……今のは吹雪だよ。それと君、鼻血出てる」

 俺の足元にぼたぼたと赤い液体が滴り落ちる。白く凝結した岩の上で、その赤は鮮やか
に、くっきりと俺の目に映えた。


196:奇妙な話をお一つ
09/06/20 15:07:14
「戻れ、ボーマンダ! 行けっ、ミロカロス」

 ボールから飛び出した水龍は氷の途切れた場所から、素早く水中へと身を隠した。直後
にミュウツーの放った強烈な念波が凍りついた水面をクラッカーの様にグシャグシャに打
ち砕いた。
 懐から取り出したデバイスに目をやった俺は驚愕に震えた。すでに俺のミロカロスのH
Pは半分を切っている。

「バカなッ―。水中だぞ? 直撃は免れたはず……」
「……お陰で氷も割れた。さあ―ミュウツー」

 奴の言葉に応じるようにミュウツーが自身の両の手を胸の前にかざした。瞬間、中空に
唸りを上げる光球が迸る。プラズマ現象だ。気体に電流が流れることにより発生し―。

「ミ、ミロカロス! もどれぇーーーッ」
「……遅い」

 巨大な光球から見るものの目を引き裂かんばかりの閃光が走った。湖面が波立ち、煽り
を喰らった魚やらが腹を上にしてぷかぷかと浮き上がる。生物としての許容量を遥かに越
える電圧をかけられた彼らの体は破裂し湖面は真っ赤に染まっていた。それらの死体に混
じってぴくりとも動かないミロカロスが水面を漂っている。

197:奇妙な話をお一つ
09/06/20 15:10:04
 ここから先はよく覚えていない。それから俺のポケモンは六匹中五匹が瀕死となり、残
る一匹であるメタグロスも死に際とと言うところで、ようやく奴のミュウツーの技とHP
が尽きた。持ってきた回復薬も使い果たし、鞄の中身は既にスプレーと穴抜けのヒモくら
いしか残っていない。
 立ちはだかる俺の目の前で、奴は満身創痍で横たわるミュウツーを膝に抱いていた。奴
の病人のような様相と奴のミュウツーを覗き込む表情に俺は微かな違和感を覚えた。奴は
自分の傷だらけのポケモンを抱きかかえているはずのに、これっぽっちも心配だとか労り
だとかそういった感情が感じ取れなかった。

「強いな……。アンタ、やっぱり強い」


俺の呟きに奴は顔を上げた。奴の顔を見て俺はぞっとした。奴の顔には最初に話した時に
目にしたようなねじれた、見る者が吐き気を催すほどの奇怪な笑みが貼りついていた。

「……おめでとう。僕に勝ったね。おめでとう」

 奴はまるで壊れたレコードのように「おめでとう、おめでとう」を繰り返し始めた。録
音した音のように抑揚の無い声だった。奴の手を見て吐き気を催した。奴の手はミュウツ
ーの、ああ、ミュウツーの引き裂かれた傷口の上で蠢いていた。奴の指が傷口を穿り返し、
その肉を抉るたびにミュウツーが力ないうめき声を上げる。
 俺はぶつぶつと口を動かす奴の手からミュウツーの入っていたボールを奪い取ると、そ
の中にミュウツーを戻した。無理やり奴のぬらぬらと赤く濡れる手にミュウツー入りのボ
ールを押し付け、その両肩を掴む。奴の両目は俺を見てはいない。肩を握る手に力を込め
無茶苦茶に揺さぶった。

198:奇妙な話をお一つ
09/06/20 15:12:07
「おい! おい……。どうなっちまったんだよ! あんたは? 俺が憧れてたあんたはど
こいっちまったんだよ? いつも輝いてて、強くて、最強で天才のトレーナーだろ? あ
んたに何があったんだよっ……どうしちまったんだよ……」

 やるせなかった。認めたくなかった。これがかつて俺が畏敬の念を抱き、その高みを目
指したいと思った男なのか。俺が無理に戦いを強要したせいでここまで壊れたのか? い
や、初めに話していたときからどこかおかしかった。何がこの人をここまで変えてしまっ
たんだ。わからない。わからない、わからないっ。

「……声が聞こえるんだ」

奴の口が動いた。

「……声が……聞こえるんだ。俺たちを、強くしろと。もっともっと強くしろと。声が言
うんだ。もっともっともっともっともぉぉっとぉぉ……おぉっぉ」
「何だ? 声って何だよ? 何を言ってるんだ」
「……おかしいとは……思わないか? 思わなかったか? おかしいんだよ。 おかしい
んだ……」

 奴の両肩を掴んでいたはずの俺の両手は外れていた。しかし奴から離れられない。奴の
両手が、俺の手首を強く握って離さないのだ。奴の俺の腕を握る手がヌルヌルする。奴の
指の間から、まだ乾いていなかったミュウツーの体液が滲み出た。やめろ。おれの手に滲
みこませないでくれ。

199:奇妙な話をお一つ
09/06/20 15:14:21
「……おかしいんだ……おかしいんだよ」
「何がっ! 一体何がおかしいって言うんだよっ」

 俺は何とか奴の手を振りほどこうともがいた。しかし奴の枯れ木のような手は、まるで
万力のように俺の腕を捕まえて離さない。

「何で……なんでポケモンは戦うんだと思う? 人間に戦わされるんだと思う? 何で人
間は……ポケモン同士を戦わせるんだと思う?」
「知る……知るかよ、そんなことっ。頼むから離してくれよ、なぁ―」
「……なんでポケモンは戦うんだと思う? 戦うんだと思う? 何でだ……?」
「そ、そんなのっ。野生の動物だってみんな戦うだろうがっ? 烏も蟷螂もライオンもゾ
ウも、戦うだろ? エサをとるためとか縄張りとか、いろいろあるだろそんなんっ!」

 もう俺は泣きそうだった。奴に握り締められた手首から先の感覚がない。そんな状態の
俺にも構わず奴は続けた。

「……野生動物とはちがう。ポケモンは違う、違うんだ。奴らはなぜ、人間の手によって
戦いあうんだ? おかしいだろ」
「闘鶏とか……闘犬とか、居るだろ? ポケモン以外にもさ」
「……そうじゃない。それらは違う。犬の一部とか。鶏の一部とか……限られた種に限ら
れる。ポケモンは……違う。ポケモンは、魚だろうと犬だろうと猫だろうと何だろうと、
種族が違っても戦う。餌としてじゃない……ポケモンは被食者が捕食者と戦う。おかしい
とは思わないか? 普通、虫はライオンとは戦わない。ライオンも虫と戦わない。だがポ
ケモンは……違う―」
「だから……それは、人が―」
「何で人はポケモンをたたかわせるんだぁぁああっぁっっ?」
「知らねえよっ!」



200:奇妙な話をお一つ
09/06/20 15:17:50
 怒鳴った拍子に腕を思い切り振った。先ほどまでの抵抗が嘘のように俺の両腕は奴の手
から解放される。勢い余って、俺は盛大にしりもちをついた。痛む尻を引きずって、奴か
ら何とか距離をとる。
 奴はまるで糸の切れたマリオネットのように、両手と両足をだらんと伸ばしたまま石の
上に座り込んでいた。追ってくるかとも思ったがどうやらその意志はないようである。そ
もそも奴に奴の意志が残っているのかすら怪しいが。
 手首にくっきりと残った血の手形をさすっていると、奴がまた口を開いた。

「……不思議に思ったことはないか? あるポケモン同士は……住む場所や生体系、そう
いったものが重なれば、たとえ姿かたちが違っても……卵を作ることができる。……ある
特定の、ポケモンは……どんな種族とでも……タマゴを作れる」

 奴が何を言いたいのか、俺にはさっぱり理解できなかった。何か奴にとって大事なこと
を言おうとしているのは分かった。ただちぐはぐで、つぎはぎで、あいまいで全くもって
理解できない。少なくとも一つだけ分かることがあった。
 奴は気狂いだ。つまり奴にとっての大事なことなんて、常人にとっての芥ほどの価値す
らない。これ以上話していても無駄だろう。むしろ危険だ。一刻も早く俺はこの場所から
立ち去りたかった。

「……姿かたちがちがっても、子を為せる。まるで……そう……にんげんの、ような……。
昔……博士が言ってた。しんかする……ポケモンは生物として不完全だから、進化する…
…のか? ならば進化しないポケモン、は完成形? ……ちがう。そうじゃ、ない」

 まだ何かぶつぶつ言っている。無視して俺はかばんの中を探った。穴抜けのヒモの陰に
隠れて、使われなかったげんきのかけらがまだ一つ残っているのに気がついた。
 奴のこの様子では、奴のミュウツーがちゃんと回復してもらえるかも怪しい。俺は座り
込んだまま何事か呟き続けている奴から見える位置に、それを置いた。



201:奇妙な話をお一つ
09/06/20 15:20:27
「ここに……回復薬置いておくからな。早めにミュウツー、回復してやれよ?」

 聞こえたのか聞こえなかったのか。奴からは何の反応も無い。諦めて俺は穴抜けのヒモ
を取り出した。

「……君は、ポケモンが……好き、かい?」

 穴抜けのヒモの準備を終えたところで奴が言葉を発した。思えば戦う前に奴が口にした
質問だ。もう二度と会いたいとも思わないが、かといって無視して帰るのも気が引けた。

「勿論。大好きだ―」

 俺の言葉は奴に届いただろうか。穴抜けのヒモの力によって、俺の体はふわりと地面に
開いたワープゾーンの中に吸い込まれていく。
 ふと思ったことを俺も尋ねてみた。
 あんたはどうなんだ? と。
 奴の唇が微かに動く。次の瞬間、俺の体はさんさんと惜しみなく降り注ぐ陽光の下にあ
った。自分が出てきた洞窟の入り口を振り返る。真っ暗な口がぽっかりと俺の後ろに開い
ていた。もう戻る心算は無い。
 俺の好きだった。憧れだったトレーナーは死んだのだ。そう思うことにした。
 奴のミュウツーが早めに回復してもらえますように。そう願って俺はナナシの洞窟から
立ち去った。


202:奇妙な話をお一つ
09/06/20 15:22:54
 俺が奴と戦ったあの時から随分と時が経った。
 俺は名実共に最強のトレーナーだった。そう、「だった」のだ。今では。
 今になってようやく、俺は奴の言っていたことの意味が分かってきたような気がする。
ポケモンは……おかしいのだ。普通の生命体とは違う。貪欲に戦いを求め、異種間同士の
戦いの勝敗に躍起になる。
 強さを追い求め、追い続けてようやく漠然と感じるようになった。異種間などではない
のだ。人間が学校で学び、社会に出て人々に貢献し、そして人類としての種をより強固な
ものへと成長させるように、ポケモンはそれ自体が一つの種族なのだ。だから姿かたちが
異なろうと、生態系の重なりがあれば子を為せる。白人、黒人、黄色人種がお互いにこと
をなし子供を産めるように。まるで人間のように。
 奴は言っていた。声が聞こえる、と。強くしろと囁く声が聞こえると言っていた。
 俺にはそんな声は聞こえなかった。けれど分かるのだ―。俺はポケモンを育ててきた
のではない。ポケモンが俺に育てさせてきたのだ。
 奴らは人の手によって、その自然に持って生まれた力を伸ばしていく。何世代もかけて。
 奴がどうしてあそこまでポケモンバトルを避けていたのか、今ではよく分かる。奴は恐
れていたのだ。ポケモンにとって、自らを強く育て上げられない人間は不要なのだ。
 奴はミュウツーだけ持っていなかったのではなかった。
 ミュウツーしか残っていなかったのだ。

203:奇妙な話をお一つ
09/06/20 16:43:19
 自然から生まれ出でたポケモンは生まれながらに本能にして強さを求める。野生動物な
らば親から学び、兄弟から学ぶことで生き抜く強さを手に入れるのだろう。だがポケモン
は違う。人の手に拠ることで種としての強さを手に入れる。だからミュウツー以外の奴の
ポケモンは奴から姿を消したのだ。奴が彼らを育てることを放棄したからだ。
 それ故に人の手によって生み出された、自然の及ばぬポケモンだけが奴の手元に残った
のだ。それが人工のポケモン、ミュウツー。
 自らが育てていたポケモンが、まさか自らが育てさせられていると知った時の奴の驚愕
と絶望はどれほどのものだったのだろう。
 ミュウツーを除き、唯一の人工ポケモンであるポリゴンシリーズを連れて、俺は奴の居
たこの場所まで帰ってきた。
 ここに戻ってきた時、奴の服を着た骸骨が転がっていた。別れ際、奴は言っていた。
「好きだった」と。俺も同じだ。ポケモンの習性を知ってしまった以上、もう素直にポケ
モンを愛せない。俺にも分かるのだ。奴らは自分たちをもっと強くしろと常に訴えている。
 ミュウツーの入っていたはずのボールは既にどこかへ消えていた。まあ恐らくミュウツ
ーなら野生化しても生きていけるだろう。
 人の手によって生み出されたポケモンが、野性としてその生に根を下ろす。ミュウツー
もまたポケモンという巨大な単一種の中に組み込まれていくのだろう。
 俺はこれから待ち続けるのだろう。かつて奴がそうしたように。
 俺が死んだら、こいつらポリゴンシリーズも野生化するのだろうか。だとしたら面白い。
 この世界で人間という生き物はまさにポケモンという種を増やし、育むための存在とし
て確かに機能していることになる。
 トレーナーもブリーダーもいつか世話になった育て屋夫婦も大人も子供も皆、これから
もポケモンと共に過ごし彼らを育むのだろう。それがポケモンの遺伝子レベルで組み込ま
れた、彼らの生きるための習性であるとも知らずに。
 穏やかな地底湖の波音に耳を傾けながら、俺はゆっくりとその瞳を閉じた。

-奇妙な話をお一つ:おわり-


204:奇妙な話をお一つ:おわり
09/06/20 17:12:27
あとがきに代えまして

思ったより長ったらしい話になってしまいました。
拙作ですが、楽しんでいただければそれに尽きる喜びはありません。
楽しんでいただけなくとも、このお話が読んで頂いた方の心に少しでも、
違和感や奇怪な感じを残せたのでしたら、このお話の成功と喜べます。

このお話は捨てられたポケモンが可哀想、悲しいというお話に対しての
アンチテーゼを掲げています。
もちろんこれまでの職人様方々のお話を否定するつもりは毛頭ないですし、
何よりそういったお話が作られるであろう原点たる、優しさや暖かさを
ないがしろにする心算もありません。

ポケモンに限らず、野生に生きる動植物は強いです。
ポケモンは実際はゲームではありますが、
もし仮にポケモンが私たちの世界に生きていた場合、
果たして彼らは大人しくポケモンバトルやコンテストに
使われ、人にただ従うだけなのでしょうか?
私自身はそこに何とはない疑問を抱きまして、
ポケモンに人間と共生する理由を、生物として持たせたいと思いました。
強かに、力強く、狡猾に、貪欲に、
ポケモンという種をより反映させるために、
彼らポケモンは自ら望んで人の手でブリード(繁殖)させられる、
という設定にしてみました。
野生動物は時として人間よりも打算的です。
それに気づいた人間(トレーナー)はどうなるのか。

正直書ききれたのか不安が残る出来では在りますが、
これにて締めくくりさせていただきたいと思います。
それではまた、ポケモン板のどこかで m(_ _)m


205:名無しさん、君に決めた!
09/06/20 17:14:03
>>204

反映×
繁栄○

でした。
すみません

206:名無しさん、君に決めた!
09/06/22 00:21:10
ほしゅ

207:名無しさん、君に決めた!
09/06/26 22:06:51
>>189-205
超乙
考えを変える小説になりそうだ
ちょっと読み込んでみる


208:名無しさん、君に決めた!
09/06/27 15:46:40
>>202の誤です
すみません。


× 奴はミュウツーだけ持っていなかったのではなかった。
○ 奴はミュウツーだけしか持っていなかったのではなかった。
  

209:名無しさん、君に決めた!
09/06/28 10:58:57
人間がポケモンを育てて戦わせているんじゃなくて、
ポケモンが人間に育てさせ戦わさせ、種全体として強くなろうとしている
この発想は無かったな。面白かった

それとゴルバットの扱いひでぇwwwww

210:名無しさん、君に決めた!
09/07/01 00:29:26
だいじに だいじに そだてると ポケモンって どんどん なつくのよー
(あなたのポケモンはあなたになついてたかしら…)

こないだ ジョギングしてたら ポケモンに おいかけられてね
(君がくるまではこんなことはなかった…)

たましいの ねむる ばしょ… ここが ロストタワー なんだな
(おや…君には関係なかったね…)

ポケモンが のびのび できそうだろ!
(みんなのびのび生きてほしかった…)

ふたつが ぶつかり まざりあって あたらしい ドラマが うまれるのだ!
(少しでも…ほんの少しでもこんな考えを持ってくれていれば…)

あたし まだ ちいさくて じょうずに たたかえ ないから…
(おにいちゃんが逃がしたポケモンもそうだよね?ねぇ気付いてる?)

まいしゅう にちようびは ロストタワーに いくの…
(…)

たびの トレーナーさん ここには なんにも ないわよ
(そう…ここにはなにもない…あるのは…)

211:名無しさん、君に決めた!
09/07/01 00:32:04
いつのまにか ポケモンや ひとが あつまって まちに なったんだ
(ポケモンを保護する人達が集まったのさ…)

どこまでも はしる ぼくたち みちが つづくかぎり…
(君は…どこまで走り続けるの?)

きみと ポケモンも あるいみ おやこの きずな だなあ
(名ばかりの親だがな…)

ポケモンを さわってるとだね あたたかさと いっしょに やさしさが つたわって くるんだな
(君からはなにも伝わらない…)

ママも ふたごさん なのー
(おにいちゃんのポケモンはなんにんきょーだいかな?)

ポケモンの うまい そだてかた? うーん やっぱり あいじょう?
(「アイジョウ」ッテシッテル?)

「ズイを知る者」

212:名無しさん、君に決めた!
09/07/01 00:38:04
ネタ被ってたらスマソ

213:名無しさん、君に決めた!
09/07/01 22:18:53
なんかゾクゾク来るな。乙

214:名無しさん、君に決めた!
09/07/03 18:30:40
過去ログのめんどくさがり主人とガブちゃんの話とか
のうてんき主人とブラッキーの話みたいな
ダメ主人と呆れながらも傍にいてくれる苦労性ポケモンの話好き(*´∀`)

215:名無しさん、君に決めた!
09/07/12 13:26:39


216:名無しさん、君に決めた!
09/07/12 17:56:23 ioQTvBB+
固体値が糞なので逃がしたんだよ
バーカくだらんスレだな
死ね偽善者ども

217:名無しさん、君に決めた!
09/07/12 18:01:14 ioQTvBB+
所詮ポケモンはデータなんだよおお

218:名無しさん、君に決めた!
09/07/12 23:55:33
保守ついでに


ここってあんまり長くなったらいけないかな?
やはり多くとも10レスぐらいで終わらせた方がいいのか?

219:名無しさん、君に決めた!
09/07/13 00:48:26
2スレ目後半ぐらいから長い話が増えてきて、議論や単発の短い話なんかが見るに減少してきてるね

ここに限らずとも100レスぐらい使われると、ちょっと……って思うかもしれない
レス数消費するのが気になるなら適当なスペース確保してそこにアップロードすればいいんじゃないか

220:名無しさん、君に決めた!
09/07/15 17:17:16
>>218 >>219
♀29+♂1スレ(そっちも過疎ってるが)のように、3~5レス程度の固まりを数回に分けて投稿するのも一考かと。
向こうのマリルリの話なんか、半年前に1回目が投稿され、現時点のレス数換算で50前後に達してるし。

というわけで、連載レベルの長編も期待してますよ >職人さん

221:名無しさん、君に決めた!
09/07/17 20:31:36
やあ、生きてるかい。
もう駄目そう? それとも既に絶えてるのかな。
返事がないね。まいっか、いただきまーす。

ボクは地面に倒れたまま動かないその生き物に静かに角をあてがえて。そっと、その生き物の感情を食べる。
ボクの好きな恨みの感情だ、美味しくて腹にもたまる。
ほどなく食事を終えてふと視線をその生き物の顔に向けると、その表情が崩れて微笑んでいるように見えた。
相変わらず頬がひどく痩せこけてて判断つかないけどね。でも動いたのは確かだ。
まだ生きてたんだ。ちぇ。

どこから湧いて出てるのか分かんないけどこの辺りで、この一つの種族がほとんど生まれたままの姿形で大量発生してるんだよね。
外見からしてこの辺りに適応できそうにもない種族で、案の定多くの数が飢餓状態にあって、他の種族に狩られたり餓死を迎えてる。
大きく成長するまでに生き永らえてるのもいくらかいるみたいだけど、様子を見ててもだいたいは同種族の亡骸を食べて飢えをしのいでるだけでやっぱり適応しきれてない。
ただちょっと面白いのは、息絶えた亡骸でも、何かを恨む感情が残ってることが多いんだよね。
感情なんて魂と一緒にどこかに飛んで行っちゃうのが通例で、思念が残るなんてありえないって思ってたのに。
この辺りに来るまで亡骸に惹かれることなんてなかったし、目もくれたこともなかったのにさ。あるいはこの種族の特徴なのかな。
いつもの生きてる相手と違って、面倒事にならずに食事にありつけるのはいいことなんだけど。
彼らに何があったのかなんて、ちょっとだけ気になるね。仮にもボクのメインディッシュなんだから。
生きてるにしても、遺恨の念がとても強い生き物がたくさんいるし、何かしらあったんだろうなって思う。
その発生源はきっとすごく美味しい感情であふれてるんだろうなって、考えずにはいられない。
でもこの辺だって十分、ボクにとっては一面が好物に見舞われた、この世の天国みたいなところだし。発生源を知ったところでどうにかするかって言ったら、たぶん何もしないだろうけどね。

222:名無しさん、君に決めた!
09/07/17 20:32:40
この生き物、数だけは多いから何かあれば一気にこの辺りの覇権を取れちゃうとは思うんだよね。
この種族が増えてくれれば、それだけボクにとっての好物が増えると思うから、頑張って欲しい。
でも他の種族の生き物も、それをなんとなく分かってるのか、元々は狩る者と狩られる者に分かれてた種族でも同じくしてこの種族を狩ろうとしてるし。難しいんだろうね。
ま、そこまでいくとボクには関係ないことだねー。

すっと、生き物のほうに視線を戻す。
地面に倒れたままで微笑んでるような表情も変わらず、安らかに眠っていた。
もうこの生き物、かじっても美味しくないな。食べちゃったのに今更また何かに遺恨の念を持てっていうのも無茶だろうし。
後に残った、やせこけた肉なんかは同士や他の生き物がいただいてくれるさ。天国にいけるといいね。

223:名無しさん、君に決めた!
09/07/21 23:20:52
>>220
職人と呼ばれる人みたいな立派なものは書けないけど長編投下する。つまらなかったらごめん。



ここは209番道路。ズイタウンの南にある道。
強さを求めるトレーナーたちが、生まれたばかりのポケモンをたくさん逃がしている場所だ。
この物語はそんな逃がされたポケモンの保護に奮起するポケモンたちのお話。

224:名無しさん、君に決めた!
09/07/21 23:23:34
「頑張り屋な♀とかいらね。糞個体氏ね」
そう言って一人のトレーナーが1匹のイーブイを草むらに向けて放り投げた。
産まれたばかりでまだ何もわからない幼児だ。
イーブイは精一杯主人を呼んだ。しかし主人が振り向くことはなく、主人の背中はどんどん小さくなりやがて見えなくなった。
「ごしゅじんさま…」
イーブイがこれからどうすればいいか思案していると、背後から物音がしてポケモンが現れた。
「君、捨てられたの?」
声がするほうを見ると、ビーダルがいた。
「うん…」
するとビーダルがニヤリと笑った、そして…
「そうか、でももう何も心配しなくていい。君はぼくの今晩の夕飯だから」
そう言い、イーブイに体当りをしてきた。
イーブイは不意を突かれ、回避も防御もできずビーダルの攻撃を受け数メートルほど突き飛ばされた。
「いたい…いたいよ…」
たかが体当りだが、レベル1のイーブイからすれば致命傷となる一撃だ。
(ごしゅじんさま、たすけて…)
食べられる恐怖か、命の灯火が消える直前なのかどちらかわからないが、イーブイの全身が震えた。
「いただきま~す♪」
そしてゆっくりとビーダルが迫る。
「きゃぁぁ!!」
イーブイの悲鳴が周囲に響きわたった。
次の瞬間、イーブイとビーダルの間を電撃が駆け抜けた。
「止めましょうよ。幼い女の子いじめるのは」
電撃が飛んできた場所。そこには一匹のピカチュウがいた。
「そのイーブイは僕が預からせてもらいます。嫌と言うのなら力ずくでも…」
ピカチュウはほっぺたの電気袋を充電させながら言った。
「チッ、分かったよ。こいつは好きにしろよ!」
そしてビーダルはピカチュウから逃げるように、草むらの茂みへと走っていった。

225:名無しさん、君に決めた!
09/07/21 23:25:52
「もう大丈夫ですよ」
ピカチュウは優しい笑顔を浮かべ、イーブイに歩み寄った。
「たすけてくれて、ありがと…」
感謝の一言を言うと、イーブイは気を失った。
「!」
一瞬、ピカチュウの顔が強張る。だが、すぐに冷静になり自分の耳をイーブイの心臓に近づけ、心音を確認した。
(まだ生きてる。良かった…)
しかし傷を負ったこの状態はよくない。一刻も早く治療をしなければ命が危ないだろう。
ピカチュウはイーブイの体の下に自分の体を潜りこませ背中の上に乗せた。
そして落ちないように尻尾でイーブイを支え、自分の巣に向けて走り出した。



つづく(予定)

226:名無しさん、君に決めた!
09/07/22 23:10:47
>>224-225に期待age

227:名無しさん、君に決めた!
09/07/24 20:42:49
ボクタチモ ツヨク ナリタインダヨ?

ソレナノニ ドウシテ ナンビキモ ナンビキモ ワカレチャウノ?

ボクタチ ヨワイカラ ステラレチャウノ? チケット メアテ? ソレトモ オカネガ ホシイカラナノ?

ドウシテ ボクタチハ ツヨク ナレナイノカナ?

ホンモノノ ポケモント オナジヨウニ ウゴケルシ ワザモ ダセルシ タタカエルヨ!

ソレナノニ ボクタチハ ナニガ チガウンダロウ?

…モシカシテ ボクタチガ ネジヲ マカナキャ ウゴケナイ”ポケモンノオモチャ”ダカラ?



…せっかく職人さんが書き始めた所ぶった切ってすみません。
最近沸々と昇ってきた思いがだいすきクラブの夏休み大作戦!を見て急に書く気が起きてしまいました。
無機物っぽく全文カタカナにしましたが、見づらくなってしまった事をお詫び申し上げます。
本来のテーマから外れた乱文失礼致しました。

228:名無しさん、君に決めた!
09/07/24 22:58:33
>>227
お疲れ様!

最後のネジの部分を見たら時期が時期なだけに「ポケモンスクランブル」かと思った

229:227
09/07/25 11:42:16
>>228
その通りでございます。
Wiiウェアポケモンシリーズは皆牧場グラフィックなのですが、牧場と乱戦で同じグラフィックなのに
かたやDSと通信できる、かたやネジ式おもちゃという扱いの差に疑問を浮かべて書きました。
純粋に乱戦は楽しいですよ。しかし何故牧場やDSと通信できないのだろうと考えていたら…

230:名無しさん、君に決めた!
09/07/25 22:58:53
〈二話〉
「皆、すまん。今日は獲物をピカチュウに奪われちまった」
先ほどピカチュウと対峙していたビーダルは、巣の中で家族に謝っていた。
ビーダルの家族は、老若男女のビッパとビーダルが二十匹ほどいる。
「気にするな。今日は俺が散歩の途中にポッチャマを二匹捕まえてきたから心配ない」
この巣のリーダー格のビーダルが、逃げてきたビーダルを励ました。
「リーダー、すまねえ。今日の食糧調達の当番は俺なのに…」
野生のポケモンは皆、自給自足で生きている。
餌をくれるトレーナーのいない野生のポケモンにとっては食糧調達は生活のうえで一番大事なことだ。
「しょうがねえよ。銀月のやつらは強すぎる。俺がお前と同じ立場なら同じ結果になってたさ。さぁ、そんなことより飯にしよう」
『銀月』というのは、逃がされた野生のポケモンを保護すべく働いている組織だ。ピカチュウもそこの一員で日夜保護のため活動している。

「しかし、銀月のやつらもわけのわからんことするぜよ。この世は弱肉強食だと言うのによ~」
ポッチャマの肉を頬張りながら一匹のビーダルが言った。
「命を守りたいんじゃないの?僕には自らの食糧を保護してる馬鹿にしか思えないけどwww」
まだ子供のビッパが笑いながら答える。
「かっこつけるのは勝手だけど、こっちはいい迷惑だぜ。今日もピカチュウがいなかったらこの食卓にイーブイの肉もあったのに…」
獲物を取り逃がしたビーダルも話に加わってきた。ピカチュウの行動は彼らにとって奇怪でしかない。
「しかもあいつらってこの周辺だけじゃなくって210番道路や211番道路でも仲間を配置してやってるんだよねwすげー馬鹿じゃんwww」
「リーダー、ムクバードやラルトスの家族とかと手を組んであいつら潰すべきぜよ」
「まあ待て。今は我慢の時だ。あいつらはもう少しで終わる」
銀月の話題で盛り上がっていた面々だったが、リーダーの一言で一気に注目がリーダーに集まった。
「それはどういう意味ぜよ?」
「時期が来るまでのお楽しみだ」

231:名無しさん、君に決めた!
09/07/25 23:02:12
〈三話〉
獣道を走ること数分。ピカチュウは自身の巣に着いた。
ピカチュウの巣は、木の上に住居を建てていてヒマワキシティの家と似たような構造になっている。
ただ、四足歩行のポケモンでも出入りしやすいように階段は段差が低めの螺旋状階段だ。
「ピカチュウ君、おかえり」
巣の上からピカチュウに声をかけたポケモン、それはピカチュウの同居人であるオオタチだ。
普段なら彼女の笑顔とおかえりの一言で気持ちが安らぐのだが、今はそれどころではない。
「今日も逃がされたポケモンがいたんだけど、今から治療できます?」
そう言って背中に背負っている負傷したイーブイを見せた。
「勿論。早く連れてきて」
ちなみにオオタチは以前ポケモンセンターで働く職員の手伝いをしていたことがあり、ポケモンの治療に関してはスペシャリストだ。
訳あって逃がされ、今はここにいる。
「はい!」
オオタチの返事を聞いた後、電光石火で階段を上った。

「ふぅ…。これで大丈夫よ」
オオタチの優れた技術のおかげで治療はすぐに終わり、オオタチはイーブイをベッドへ移した。
(早く元気になってくれよ…)
ピカチュウは横たわっているイーブイの右前足を両手で優しく握り、目を閉じ、回復を神に願った。

232:名無しさん、君に決めた!
09/07/25 23:04:33
「そういえば、リザードンはどこに行ったんですか?」
もう一匹の同居人、リザードンの姿がないことに、今気付いた。普通なら巣の警備をするため、ここにいなければならないんだが…
「リザードンさんなら、217番道路に飛んで行ったわよ」
オオタチがリザードンに対してさん付けなのは、リザードンは彼らのボスだからだ。
「え?」
「210番道路支部のピジョンがさっき来ててね、自分じゃウリムーが生きていくのに適したところに連れていけないから、リザードンさんの力を借りたいって言って…」
「ウリムーを野生に返すため飛んでいったというわけですか」
「あたり」
orz で表すのがピッタリな姿勢にピカチュウがなる。厄介な展開になるのが、今までの経験からすぐにわかった。
「そこで、ひとつお仕事頼みたいんだけどいいかな?」
「何ですか?」
「明日からの食糧調達。お願い」
甘い声でオオタチにああ言われるとピカチュウは断れなくなる。
「了解です…」
普段食糧調達はリザードンとピカチュウが一日ずつ交代でやっている。
食糧調達の当番じゃないほうは巣の警備となり、敵が来ないかぎり一日中のんびり過ごすことができる。
警備はいわば休日のようなもので、これからはそれがリザードンが帰ってくるまでなくなる。
「リザードンさん曰く217番道路までは遠いし、道のりが険しいから一週間は帰れないって」
「はい…」
オオタチは戦闘が苦手じゃないか。
オオタチはかわいい女の子だし、ビーダルたちに襲われるかもしれないじゃないか。性的な意味で
ケガしているイーブイの傍にオオタチがいたほうがいいじゃないか。
無理矢理理由をつけて、無理矢理自分に言い聞かせた。

「でもやっぱり自宅警備員がいいなぁ」

233:名無しさん、君に決めた!
09/07/25 23:06:01
>>225の続き投下。チラ裏に書いてろって言われそうな駄文になった。

>>226
期待してくれてありがとう。その期待に応えれるよう頑張るよ。

234:名無しさん、君に決めた!
09/07/26 09:41:28
>>230-232
お疲れ様

さて、職人様が書き始めたところで悪いんだが
自分もネタ思いついたので投下してもよろしいか?

235:名無しさん、君に決めた!
09/07/26 14:06:57
>>234
楽しみにしてるから頼む勝手に投下してくれ
聞かれても困……る

236:名無しさん、君に決めた!
09/07/29 22:05:47
>>227
ポケモンのおもちゃという設定には正直まいった
まあいろいろなポケモンを使わせるというコンセプトだから、
しょうがないと思ったが
しかし俺は主人公コラッタでエンディングを迎えた

>>230-232 >>234
期待age

237:名無しさん、君に決めた!
09/07/29 22:06:01 N/iO/ZNN
「でんのうせんしポリゴン」リメイク決定 今年冬に放送
スレリンク(river板)

238:名無しさん、君に決めた!
09/07/30 20:05:05
やさしくて、おおきな水に揺られて出てきた。一生けんめいに呼吸しなきゃ、って思った。
立ちたいのに立てなくて、大きな手が助けてくれた。
「おお、雌のイーブイだ!!!」
濡れている毛皮を乾かして、ミルクをくれた。歯も生えてないから。
「いくらで売れるかな。性格一致だと…」
だんだんハッキリしてくる視界には、人間と他にも数個のタマゴ。
「ふうん、そんな強くねぇな。」
徐々に冷たくなる視線。むしんにミルクを飲んでいたから気付かなかった。

ぜんぶ飲んだら、その人は抱っこしてくれた。
「特上ミルクなんだからな」
そう言って、首の後ろを掴んだ。苦しくなかった。そのまま宙吊りで、まちの外れまで行った。
「じゃあな!」
草むらにおいてきぼり。人間はすでにとおく。
「まってまって!」
鳴いたけど、振り向いてもくれなかった。追いかけようと、草むらから外に出た。
 

239:名無しさん、君に決めた!
09/07/30 20:35:42
 そうしたら、足はじめんから離れた。からだに風がはしった。せなかが痛い。どんどん離れるじめん。とても怖かった。もっと鳴いた。けど放してくれなかった。

 しんじゃう、こわい、たべられる、たすけてたすけて


「まだ赤児だろう?」
近くで爆発したような音がした。あんだけ暴れてもビクともしなかったのが、すぐに放してくれた。けど、すぐに速くじめんが近付いてきた。こわいと思った。柔らかいところに抱っこしてもらった。


 気がついたら、小さな洞穴にいた。ぜんぶきいろい、せなかの横縞のピカチュウ。
「大丈夫か?」
「うん」
「お前親は?」
「わかんない。」
「人間のポケモンか?」
「たぶん」
「そうか。行く宛がないのなら、俺のところで生きていく方法を学ばないか?」
二つ返事で、お願いしますと言った



「っていうのが師匠との出会いだったわ。超運絡みだけど、人間のところにいなくて良かったと思う。」
そうまくし立てるのはサンダース。夫との馴れ初めを聞かれて少し恥ずかしいらしい。
「へー。それよりも人間のポケモンだったって意外。」
「そういえば、最近はこのあたりでも人間見るらしいから、注意しなきゃ。やつらは疫病神だよ全く。」
森のポケモンたちは井戸端会議もそこそこに、自分の巣へと帰っていった

240:名無しさん、君に決めた!
09/07/30 21:01:42
>>238-239
現実味を帯びた話…なにか悲しくなる

頭の中での描写がうまくいかないので、
行間および背景描写を更に加えてくれると助かるかも

241:名無しさん、君に決めた!
09/07/31 04:44:39
>>222
遅レスだけどこの雰囲気好きだ
語り手のポケモンはだれなんだろ

242:名無しさん、君に決めた!
09/08/02 20:23:19
〈四話〉
「んっ……」
ピカチュウがイーブイを保護した次の日の朝、イーブイは意識を取り戻した。

イーブイの視界には、見知らぬ二匹のポケモンが食事をとっていた。
一匹は黄色の小型のポケモン。おそらく自分と同じくらいの大きさだ。もう一匹は茶色とベージュ色で黄色いポケモンよりは一回り大きい。
そのうちの一匹、黄色いほうがこちらに近づいてきた。
「目、覚めたんですね。よかった…」
「あなたはだれ?」
恐る恐る聞いてみた。
「僕はピカチュウ。あそこにいるのは僕の仲間のオオタチです。もう君を襲うポケモンはいないから安心してください」
「ねえ、あなたたちはわたしをたべないの?」
さっきから質問攻めだが、無理はない。産まれてすぐに捨てられ、襲われ、そして目が覚めると、知らない場所で寝ていた。
イーブイには理解できないことばかりだ。
「はい。僕たちは君みたいな逃がされたポケモンのためにある組織、銀月のメンバーですから」
「ぎんげつ?」
「産まれたてのレベル1のポケモンじゃ野生のポケモンとして生きていくことは不可能。だいたいが他のポケモンに食べられ、良くて餓死です。
そんな捨てられたポケモンを救うために作られた組織なんです。ちなみにここ209番道路支部の他に210道路支部、211番道路支部があるんですよ」
笑顔で丁寧にピカチュウは答えた。
だが、イーブイにはひとつのことが強く頭に残っていた。


243:名無しさん、君に決めた!
09/08/02 20:25:11
「わたしってごしゅじんさまにすてられたポケモンなの?」
「はい…。残念ながら」
捨てられたポケモンに、その事実を突きつけること。ピカチュウにとって、これだけは慣れない仕事となっている。毎回悲しくなり、横暴なトレーナーたちが憎くなる。

「そうなんだ…」
目に涙を浮かべながらイーブイは言った。
「ごしゅじんさまぁ…」
一番悲しいのは捨てられた本人だろう。ごしゅじんさまと思っていた人に捨てられる。“おや”に甘えたい赤ん坊には悲しすぎる現実だ。

「泣きたかったら、我慢せずに泣いていいんですよ。僕たちは、ご主人様の代わりにはなれません。でも君を慰めることはできますから」
ピカチュウの一言のあと、イーブイは何かが吹っ切れる。そしてピカチュウの胸に顔を埋め泣き始めた。

その日、イーブイは涙が枯れる限界まで泣いた。ごしゅじんさまに捨てられた現実を受け入れると泣かずにはいられなかった。

244:名無しさん、君に決めた!
09/08/02 20:28:07
>>232の続き投下
クオリティーの低さは変わりません

245:名無しさん、君に決めた!
09/08/02 21:57:54
>>242-243
いやいや楽しみにしてますよ、期待あげします
>>236
コラッタって…まさか最初の強さ28ですか

246:名無しさん、君に決めた!
09/08/02 22:17:37
>>241
作者さんではないが、恨みの感情が好物・角があるあたりから
自分はカゲボウズかなーと思ってた

247:名無しさん、君に決めた!
09/08/02 23:39:56
>>243
なんと哀れなイーブイ
その悲しさがここまで伝わってくる
期待

>>245
強さ28のコラッタでミュウツーを倒しました
理由は強さ主義への反抗
おそらくほとんどの主人公コラッタは逃がされるだろうから、
ここの題材にもなりそうだな…と思います

248:名無しさん、君に決めた!
09/08/04 01:14:24
〈五話〉
ムックルの鳴き声がもうすぐ聞こえてきそうな夜明け前。
「ねぇ、ねぇってば」
ピカチュウは何度も小声で自分に話し掛けるイーブイのせいで、いつもより早く起きてしまった。
「どうしたんですか…」
今にも死ぬのではないかという声でピカチュウが答えた。木の実だけで食糧を調達するというのは意外とハードな仕事だ。
しかもリザードンが居なくなってからの五日間ずっとこれを続けているため、体力は限界に近づいてきてる。
「だれかがここにくるよ。あしおとがする」
イーブイにそう言われ、周囲の物音に注意を払ってみた。
言われてみると、階段を上っているポケモンの足音がするような気がする。
「もしかしてリザードンが予定より早く帰ってきた!?」
一筋の希望の光が見え、疲れが吹き飛ぶ。
ドアへダッシュし、入ってくるポケモンが開けるよりも早くドアを開けた。

249:名無しさん、君に決めた!
09/08/04 01:16:04
「残念。俺だ」
ピカチュウたちの巣の前にいたのはリザードンではなく、仏頂面のエルレイドだった。
彼は銀月210番道路支部のナンバー2で、リザードンほどでは無いが、ピカチュウと互角の力は持っている。
「あなたですか…」
吹き飛んだ疲れが戻ってきた。
エルレイドは明るさや愛嬌といったものを持っておらず、いつも不機嫌そうな顔をしている。
彼がキルリアだった頃から知っているが、一緒にいると無駄に気を使って体力を消費した記憶しかない。

「まあいいや…。どうせ大好きなオオタチちゃんに会いたいから来たんでしょう?」
おそらく銀月の中でピカチュウだけが知ってるエルレイドの弱みを呟いた。
「て、てめえ…」
エルレイドが顔を真っ赤にしながら、肘にある刃でいつでも攻撃できる姿勢をとる。だがピカチュウはお構い無しだ。
「さーて、これからはこのネタでいじめながらリザードンの帰りを待つとしますか。ヒヒヒヒヒ」
ピカチュウが悪役のような黒い笑いを見せる。その直後…
「死ね糞鼠!」
刃を使ったきりさくを受け、その場に倒れた。
「俺がこの巣の警備しといてやるから、てめえはとっとと食糧調達に行きやがれ!」
エルレイドが怒鳴ったあとピカチュウは尻尾を掴まれ、巣の外へ投げ飛ばされた。巣が木の上にあるぶん地面に落ちたときには少しダメージを受けてしまった。
「痛っ…。まあいいか。エルレイドがいたほうが安心できるし」
ピカチュウはなんだかんだでエルレイドの力を認め、信頼している。
巣にオオタチとイーブイだけの状態にして外に出かけるのは不安だったし、この援軍はありがたい。

エルレイドの片思いが実ることはないだろうと思いながら、ピカチュウは食糧調達のため森の奥へと向かった。

250:名無しさん、君に決めた!
09/08/04 01:20:06
>>245>>247に期待と言われ調子に乗った俺が続きを投下。
ちなみにレベルはピカチュウとエルレイドが30代後半、オオタチが20代半ばの設定です。

251:名無しさん、君に決めた!
09/08/08 11:36:32
「ばいばい ヨマワル!」
淡々と別れの言葉を告げ、あの人は去っていった。
タマゴの外に出て、育ててくれた親の幸せそうな顔を見て、
これからどんな旅に連れて行ってくれるのだろう、などと思い巡らせていた
そんな矢先のことだったから、初めはその意味がよく理解できなかった。
けれど…もうあの人はもう側にいないと分かったとき、
寂しさだか悔しさだかよくわからない気持ちで胸が痛んだ……。
幸か不幸か、私に身に付いていた技「いたみわけ」。
でもこの痛みを誰と分ければいいのだろう…。

それからしばらくして、私は自分と似た姿をした者と出会った。
聞けば彼もあの人に育てられ、棄てられたという。
そして彼もまた「いたみわけ」を覚えていた。
でも…同じ痛みを分け合ったところで、何も変わりはしない。
あとから次々と、同じ境遇の者たちがやってくる。
いくら増えても同じ事だ。同じ痛みを持つ者同士で
この痛みをどうやって分ければいいのかわからない…。

幸せそうな顔をした人が、自転車に乗って草むらを横切る。
あの人といたみわけをすれば、この痛みも少しは癒えるだろうか。

252:名無しさん、君に決めた!
09/08/08 14:57:37
>>248‐249 >>251
乙カレー

しかし片思いのエルレイドが被ってしまうなんてな(´・ω・`)
早速ネタを変えてくる

253:名無しさん、君に決めた!
09/08/08 23:59:51
やれやれ…今日もおつかいか。
女房の奴、なかなか子供が出来ないからって捨てられたポケモンの子供を拾ってきては育ててるからな。
幸いここは大都会だ。
手に入らないものは何も無い。
ポケモンだけで暮らしていくのに十分な食料もあれば根城に使えそうな物だって沢山ある。
根城にしてる下水道から出ておつかいに行くことにする。
そういえば生まれたばかりのガキども用のポケモンフーズもパクってこないとな。
夕方までに帰ってこないと、あのクソアマは不倫相手がいるのかとか煩いのなんの…
まったく亭主をなんだと思ってやがる。
そんな奴を女房にした俺も相当な物好きだが、お互い人間に捨てられた者同士で気が合ったんだから仕方ない。

さて、今日も人間どもを相手にしたぶっ飛んだ一日になりそうだ。

254:名無しさん、君に決めた!
09/08/09 05:33:06
>>253
過去や行く末の想像をかき立てられるいい話だ
今が平和ならそれでいいんだけどね、ほんと

255:名無しさん、君に決めた!
09/08/10 12:59:06
良スレ

256:名無しさん、君に決めた!
09/08/11 04:32:52
強いポケモン 弱いポケモン
そんなの人の勝手
本当に強いトレーナーなら
好きなポケモンで勝てるよう頑張るべき

四天王のカリンさんに勝利し、貰った言葉
感動した
その通りだと思った
どうしたってポケモンの種族で強さに差はあるけれど
好きなポケモンで頑張ろうと思った

でも限界はあった
でも諦めなかった

大好きなポケモンで勝てるよう
そのポケモンの中でもより強い奴を育てようと思った
沢山子供を産ませては能力を調べる
期待する能力に満たなければ逃がす

好きなポケモンを逃がすのは心苦しいけれど
好きなポケモンで勝ちたいのだから仕方ない
仕方ないんだ

今の僕の姿を見たらカリンさんはどんな顔をするんだろう
僕は間違っていますか?

好きなポケモンで強くなりたいんです
僕は間違っていますか?


257:名無しさん、君に決めた!
09/08/12 23:54:17
どうして、そのポケモンで勝ちたいの?
それをもう一度考えてみるといいんじゃないかな?

ふたりで力をあわせて戦って、強い相手に打ち勝って、
その時に顔を見合わせて「にこっ」とする相手があの子であって欲しいから

…そんな理由だったら、たぶん私も君と同じ気持ちを持っていると思う。


でも、私は好きなポケモンを沢山増やしはしないことにしているんだ。
昔、私との勝負に負けたライバルに、恩師がかけていた言葉を思い出すから。

「何故負けたのか判るか?」
「それはお前が、ポケモン達への信頼と愛情を忘れているからだ」
「それではどんなに頑張ってもトップには立てんぞ!」

…それにね、同じ姿でも違うんだよね。
私が「にこっ」としたい相手は、今、私の手元にいる…素直で辛抱強い、この子。
同じ姿でも、「臆病で物音に敏感」なのはもちろんこの子じゃないし、
同じ「素直で辛抱強い」でも、この子は私の手元にいる、この子しかいないから。

258:名無しさん、君に決めた!
09/08/14 14:56:46
>>256
GJ
ところで、恩師とライバルと言うのは誰のことを
指しているのだろうか?

259:名無しさん、君に決めた!
09/08/14 21:41:19
〈六話〉
エルレイドが来た次の日の朝。
ピカチュウとエルレイドは現在二匹でオオタチが作った朝食を食べている。二匹の間に会話は一切無く、第三者から見ると気まずい空気が漂っていた。
その頃、残りの二匹は何をしているかというと…

「もう大丈夫ね。今日からは思いっきり体を動かしていいわよ」
イーブイの怪我を診断していたオオタチが言った。
「よかったね、イーブイ」
「うん!」
イーブイはご機嫌な様子で尻尾を左右に振り、笑顔を見せた。
「元気になったことだし、今日から生きるための技術を頑張って学んでね」
「ほえ?」
突如オオタチに言われた言葉の意味が分からず、イーブイが首を傾げる。
「食糧調達の仕方と自分の身を守る方法を知っておかないと生きていけないでしょ」
イーブイはどういうことかを理解したようで、首を一回縦に振った。
「ちなみにこの技術はピカチュウ君から教わってね。私、こういうの苦手だから」
再びイーブイが首を縦に振る。そして、食事中のピカチュウのもとへゆっくりと歩いていった。
「ねぇ、ピカチュウ」
「なんですか?」
「いきるためのぎじゅつをおしえて」
それを聞き、ピカチュウが胸をポンと叩く。
「そういうことならお任せください。では、今から行きましょうか」
「うん!」
ピカチュウが残っていた料理を一瞬で平らげると、二匹は外に出ていった。

「怪我治ったばかりだっていうのに頑張り屋だね、イーブイは。だから逃がされちゃったのかな…」
巣の窓から二匹の後ろ姿を見て、オオタチが呟いた。

260:名無しさん、君に決めた!
09/08/14 21:44:25
勢いよく螺旋階段を降りたところで、イーブイの足がかなしばりでも受けたかのように急に止まった。
この巣は森の中に作られた巣なので、周りは草木が茂っていて見通しが悪い。
どこから自分のことを食糧として見ているポケモンが出てくるか予測できない恐怖。それがイーブイの足を止めた理由だ。
「そんなに恐がらなくても大丈夫ですよ」
恐怖で震え始めたイーブイを見てピカチュウが優しく言った。
「え?」
「僕が君を守りますから」
イーブイにピカチュウの力強い眼差しが送られた。
すると、イーブイは目の前にいる約40cmの小さなポケモンがとても大きく、そしてたくましく見えた。
「では、最初に食糧調達の仕方から教えますね。イーブイはどんな味の木の実が好きですか?」
「えっと…あまいの!」
少し考えたあと、元気な声でイーブイは言った。先ほどまでイーブイの体を縛っていた恐怖はもう無い。



久しぶりに長編の続きを投下。見苦しい駄文でサーセン

261:名無しさん、君に決めた!
09/08/14 23:45:13
>>247
遅レスすみません、私は五匹以上同種が集まるとすぐまとめて逃がしてしまうので最初のコラッタはもういません。。。
今更ですが、こういう番外ソフトを扱った文章でもここに投下して良いんですよね

262:名無しさん、君に決めた!
09/08/14 23:56:32
皆乙

>>258
第一世代のオーキドとグリーン(仮)だと思う
台詞うろ覚えだけど確かそんな感じ

>>261
まぁ独自の世界観で書かれてる物とかもあるし

263:名無しさん、君に決めた!
09/08/15 17:43:10
>>256だけど、>>257とは別人なんだ
256に答えを出してくれた257本当GJ

264:名無しさん、君に決めた!
09/08/18 22:51:34
こんなの見つけた

184 +1:名無しさん、君に決めた! :sage:2009/08/18(火) 21:25:25
そういえば日本のペットショップの子犬と子猫の親は
利用価値が無くなるまで子を無理矢理産み続けられて
質のいい子供は業者の利益のためだけに使われて
出来の悪い子供は放置されて見殺しにされるんだよな



なんだ、ポケモン厳選と同じじゃないか

265:名無しさん、君に決めた!
09/08/18 23:43:06
なんだ、メタモンか……

266:観覧客
09/08/21 13:55:48 WWqAa6Zc
>>260の続きがみたい。

ディアパルとか湖の3匹書けない? 自分は才能がないのだ

267:名無しさん、君に決めた!
09/08/21 18:22:24
何気なく小説サイトを巡ってたら、パーム某で>>57そのものを見つけたw
上手いと思ったら、元々小説書きだったのか

268:名無しさん、君に決めた!
09/08/21 20:12:15
>>267
みかん箱の横で立ち竦んでいるパルキアを想像して吹いたw

269:名無しさん、君に決めた!
09/08/21 20:17:36
あ・・・268のは、、>>266

270:名無しさん、君に決めた!
09/08/22 12:43:03
>>267
>>85で完全版をうpしたと宣言してるな。

271:冥界からギラティナ
09/08/23 19:35:41 YOIo/TvX
「改造伝ポケって割りには弱い・・・LV1だし、テラワロスwwww
こんなのいらね」
そういう声が聞こえてオレはくさむらに放り投げられた。
「いてて・・・」
オレは腰をさすりながら前を見た。
オレを捨てた奴はもう、遠くに行っていた。1度も振り返ることはなかった。
オレはシンオウの伝説ポケモン。パルキアっていうらしい。
対になるディアルガはいない。あのトレーナーはオレの特攻が強かったため
ディアルガじゃなく、このオレをあるコードを使って造りだした。
そう、オレは自然のパルキアではない。普通のパルキアでもない。
オレは・・・、
改造された最強のパルキアだ。

こんな感じです。才能なくてすいませんorz
また今度書きたいと思いますが、邪魔なら書かないことにしますので
なにかあれば言ってください

272:すたあ ◆xK87tlVRH8bU
09/08/23 19:44:45
>>271
ストーカーっぽくてすいません・・・
いいと思いますよ?シンオウの三龍はかわいいから、それを好きになることはとてもいいことだと思います。

273:名無しさん、君に決めた!
09/08/23 19:50:20
俺の金のレポートが壊れた・・・悲しすぎる・・・

274:酉つけてみた ◆D2F0gsd3V6
09/08/23 20:25:06
>>266
私ごときに勿体なきお言葉、ありがとうございます。
続きはできるだけ早く書くよ

275:観覧客
09/08/25 16:08:19 LT1HklSz
>>271
すごいっ!! いいじゃないですか!!

276:名無しさん、君に決めた!
09/08/26 00:17:40
孵ったポケモンを見て、俺は舌打ちした。
「また不一致か…」
さっさとにがして、次のタマゴを孵さなければならない。最初こそ心が痛んだが、今はもうそんなこともない。
慣れてくると早いもので、あっという間に別れを済ませてしまう。
「よし、次いくか」
俺は再び自転車で走り出す。
バトルに勝つためには、優秀な個体を選ばなければならない。少しの差が勝敗を分ける。
だから、走り続けなければならない。あの頃の俺はそう思っていた。

ある日のことだ。
少し遠出して道具を買ってこようと、俺は森の中を進んでいた。
ドンッ!
鈍い音と共に俺の身体が吹っ飛ぶ。うっかり背後から野生のポケモンに攻撃されたのだ。
俺は慌てて自分のポケモンを出そうとして、ふと野生のポケモンと目が合った。
「野生の…ポケモン?」
それは明らかに人工のポケモンだった。その目を見て、俺は怯んだ。
このポケモンに感情はないはず。それなのに。
目の前のポリゴンは明らかな憎しみを俺に向けていた。
気圧されて、腕が動かない。混じり気のない恐怖に襲われた。
ポリゴンは容赦なくさらに攻撃を加えてきた。無様に地面を転がる俺。

277:名無しさん、君に決めた!
09/08/26 00:19:24
おんがえし。
今の技は…レベルアップでは覚えない技だ。やはり、このポリゴンは元々誰かに育てられていたのだろう。
立ち上がろうとしたが、全身の痛みがそれを邪魔した。
ポリゴンがトドメを刺すべくビームを放とうとしているのが見え、俺は目を閉じる。
さあ、来い…。
逃げることを諦めて、ただ来るべき時を待っていた。
しかしいつまで経ってもそれは来なかった。目を開けてみれば、そこにはひどく悲しげな様子のポリゴン。
ポリゴンに感情がないなんてウソだ。そう思った。
「どうして…」
ポリゴンは、その問いには反応せず逃げていった。

傷だらけで街を歩いているとやはり人目を引く。
「もしかして、あなたも野生化したポケモンに襲われたの?」
「え?」
「あそこの家の男の子ね、長く患っていた病気が治って、誕生日に貰ったポケモンと一緒に旅に出たの」
そう言って女性は大きな家を指差した。きっとお金持ちが住んでいるのだろう。
「でもね、育て屋の近くで野生化したポケモンの群れに襲われて…今もまだ、目覚めないらしいの。一体誰がポケモンをにがしたのかしら…怖いわねぇ」
「それって…」
男の子が使っていたのはポリゴンで、襲われたのは…。
背筋が寒くなり、俺は痛みも忘れて逃げ出した。

278:名無しさん、君に決めた!
09/08/26 00:23:16
タマゴを全てボックスに預けている時、ある時、あるボックスで手が止まった。
そこには俺が最初に手に入れたポケモンがいた。性格不一致だから、という理由で長らく預けていた最初の相棒。
ボックスから引き出し、モンスターボールから出してみる。
「!?」
いきなり飛びつかれて息がつまった。背中から火まで出して、かなり興奮している。
「おい…っ…やめろ」
ようやく解放され、相棒の顔をまともに見る。久しぶりの再会だ。
……本当に嬉しそうにしている。
その様子を見ていると、無性に懐かしくて、本当に申し訳なくて、涙が溢れた。「ごめんな…ごめんな…」

「なあ…どうしたらいいと思う?」
このまま孵化作業を続けて、ポケモンバトルで上を目指すことはできなかった。
だが…バトルをやめて何が残るのだろう。俺はバトルが好きだった。大切なことを忘れるほどのめり込んでいた。
だからこそバトルを続けることも、きっぱりやめてしまうこともできなかった。
「情けないよなぁ…」
あれからあの街へ行っていない。きちんと向き合わなければないことなのに。
バトルの場でなければ、自分が酷く臆病な人間だということを思い知らされた。
道路を、走りすぎていく人たち。トライアスロンでもやっているのだろう。

279:名無しさん、君に決めた!
09/08/26 00:24:28
相棒はただ無邪気にその様子を眺めていたが、立ち上がって走り始めた。真似をしているのだ。
「何やってんだ、お前…」
気のない突っ込みしかできなかった。だがそれを見ているうち、ある考えにたどり着く。
「トライアスロンか…」

数年の月日が流れ。
「そんなに強いなら、バトルの方をやればいいのに…もったいないです」
俺は首を振った。
「今の俺にはこっちの方が大切だ」
結局、競争を否定することはできなかった。
上を目指すことは悪いことではないし、かつて孵化作業をしていた俺が否定する資格もない。
だから別の方法を探した。競う方法が多ければ、それだけ輝くポケモンが増えるはずだ。
バトル以外でも競えるということは、既にコンテストが証明してくれていた。
より多くのポケモンが輝けるように、無闇に捨てられるポケモンが増えないように。
今の俺は、ポケスロンのオーナーだ。ポケモンたちを様々なスポーツで競わせる…それが俺の答えだった。
「好きな技ってあります?」
俺はためらいなく答えた。
「おんがえし…だな」
あの日のポリゴンが使った、おんがえしの痛みを忘れない。あれは間違いなく最大威力のおんがえしだった。
「おんがえし?私はですね…」
「わかったから早く掃除してくれ」
「あ…はい!」
向こうの方から別のスタッフが小走りでやってくる。
「オーナーに会いたいという方が…」
「俺に?」
待っていたのは、1人の少年。そしてその傍らには……あの日のポリゴンの姿があった。

280:名無しさん、君に決めた!
09/08/26 00:27:02
中途半端ながらここで終了です。
切り貼りしてたら3つ目の一行目でミスしてしまった…ごめんなさい

281:名無しさん、君に決めた!
09/08/26 01:37:14
GJ!
新要素うまく絡めててすげー

282:名無しさん、君に決めた!
09/08/26 15:01:27
投下されたSSを見て、俺は舌打ちした。
「またこのパターンか…」
さっと読み飛ばして、次のSSを待たなければならない。
最初から心が痛むことはないし、今後もそんなことはないだろう。

>>276の最初2行を見た正直な感想はこんなのだった
こう似通ったSSばっかだと、どっかにテンプレでも転がってるのかと思っちまうわ

283:名無しさん、君に決めた!
09/08/26 16:13:52
ポケモン板(笑)のSS(笑)スレに何かを期待する方がどうかしてる。
投下する方も読む方も暇つぶしでやってるだけだからな。

たまーに面白いのが転がってるけど、そっちの方が例外みたいなもんだし。

284:冥界からギラティナ
09/08/26 19:20:10 CK37OX/1
オレのすべての能力はLV1にしてLV100のアルセウスを打ち負かす程高い・・・
すくなくとも、オレはそう思っている。いや、オレの能力を見れば、だれだって
そう思う事だろう。それくらい、オレは強いのだから。
しかし・・・、
オレを捨てたあのトレーナーは、改造伝ポケにしては弱いと言った。一体どういうことだ?
オレは自分を強いと思っている。オレがタマゴから生まれた時に自分の体の中から
確かに湧き上がるようなすさまじい力を感じたのだ。オレが弱いわけがない。
では、あのトレーナーはどうしてオレを弱いとののしったのか?
おそらく、あのトレーナーはオレの能力が自分の想像よりも低かったからオレを捨てたんじゃないか?
本当はもっと強いパルキアが生み出されると勘違いしてたんじゃないか?
人間というものは自分の期待通りじゃないとすぐ失望するクセがある。そして、
つくった物がそれなりに使えるようでも、それを捨ててしまう。だから、あのトレーナーは
オレを捨てたんだ。自分の期待はずれなパルキアだったから。
いま思うとただ単にオレは自分自身が弱くないと認めるために、このようなことを
思ったのかもしれない。オレはプライドが高かったから。
しかし、そのときのオレは、そんなことみじんにも思っていなかった。オレはトレーナーが
自分を捨てた理由が分かるとナゾが解けた快感よりも違う感情を抱いていた。
怒り。
自分の勝手な理由でオレを捨てたアイツが許せなかった。ポケモンになんの感情も
持たず、捨ててしまうのはアイツだけかもしれないが、そんなことはどうでもいい。
人間は、悪だ・・・。オレは完全にそう思っていた。
なあに、オレは神と呼ばれしポケモン。しかも、改ポケだ。ザコな人間共など一発だ・・・。
オレはくさむらをゆっくり歩き出した。体中に殺気を漂わせて。
すべては、人間に復讐するために。

すたあさん、観覧客さん、お褒めの言葉ありがとうございます。
こんな駄作ですが、どうぞ見てください。


285:名無しさん、君に決めた!
09/08/26 19:29:32
捨てられたポケモンを見て、俺は舌打ちした。
「またこのパターンか…」
俺も不要のポケモンを捨てているので
心が痛むことはないし、今後もそんなことはないだろう。

俺が捨てたポケモンは全て〆ているので生きているはずが無い。
俺は目の前の草むらに隠れていたポケモンを踏みつけ
高個体値がなかなか生まれない不満を晴らし孵化作業に戻った。

しかし一部始終を見ていた他のトレーナにツーホーされ
俺の孵化作業は強制終了させられた。

俺が捨てた訳じゃないのに!!            FIN




・・・・Σ( ゚Д゚) >>282はお題じゃなかったのか!

286:名無しさん、君に決めた!
09/08/26 19:32:51
>>285
オチの部分で盛大に吹いたw

287:名無しさん、君に決めた!
09/08/26 20:09:07
「行くぞ! ムクホーク!!」
その掛け声と同時に私はご主人を背に乗せ飛び立つ。



突風にあおられ体制を崩してしまい、ご主人を盛大に落としてしまった。
そう、私は捨てられた元そらをとぶ要員だ。

------------------------
○月△日 ( はれ           )

 自由の身になったので日記をつけることにした。

 今までXXXを探して来い!などと
 よく命令されていたが、もうそんな苦労は無い。

 舐めんなよサ○シ

------------------------
○月△日 ( くもり          )

 今日は捨てられたイーブイを見つけた。
 プリップリのお肉に、ちょっと苦味のある肝が最高。

 と言うのはウソで、ウラヤマさんちのうらにわへ
 連れてってやった。


288:名無しさん、君に決めた!
09/08/26 20:11:09
------------------------
○月△日 ( はれ ときどき らいう )

 今日も大空を自由に飛びまくる最高の日々のはずが
 急に雷を伴う雨になっちまった。

 しかも かみなり 食らうし最低。
 あの電気鼠がやったんじゃないだろうな?

------------------------
  月  日 (               )







------------------------
  月  日 (               )





289:名無しさん、君に決めた!
09/08/26 23:29:12
復讐がどうのこうのじゃない話のほうがおもろい
どれも似たような展開の話なんだもん
ま、作りやすいんだろうなぁ

290:名無しさん、君に決めた!
09/08/27 00:56:15
>>282
>>285
愚痴にしても厭味にしても、他人様の作品をダシにするなんて最低のゲス野郎共だな

291:名無しさん、君に決めた!
09/08/28 19:07:14
>>267
発見されてしまいましたか
順序は手書き→ここ→自サイトで期間限定公開→ポケモンサイトに掲載依頼→掲載、今に至ります
夏休みに例の友人と映画行った際に何匹か返してもらったのでいつか続きを書こうかと思います
でもその前にピカチュウとイーブイが出る話が書きたかったのでそっち投下しますね

292:観覧客
09/08/29 15:29:40 0PhcKKoa
>>284
一言。すげー

293:名無しさん、君に決めた!
09/08/29 17:43:11 q5NYcNhG
>>126,>>133 <br> ゲームだからwwww


294:観覧客
09/08/31 00:06:41 HOMOEkBl
>>292
ええと・・・・勝手に人の名前使うのはどうかと思うよ?? なりすましはヤメてください!

295:名無しさん、君に決めた!
09/08/31 00:49:41
ココはイーブイである。ココ・ジ・イーブイ。
ココは家族である。ココ・イズ・ア・メンバー・オブ・マイ・ファミリー。
ココは女の子である。ココ・イズ・ア・ガール。
ココは散歩が好きだ。ココ・ライクス・トゥー・テイク・ア・ウォーク。

クマはピカチュウである。クマ・イズ・ピカチュウ。
クマはご近所さんである。クマ・イズ・アワー・ネイバーフッド。
クマは男の子である。クマ・イズ・ア・ボーイ。
クマはココが好きみたいだ。クマ・ルックス・ヒー・ライクス(ラブズ?)・ココ。
クマは実はぬいぐるみだ。クマ・イズ・ア・ドール・イン・ファクト。

何回も留守番してもらって申し訳無かった。でもありがとう。仕事の合間の散歩は楽しかったかな?
いつからこんなに体が弱くなったのか知らないけれど…悪い、オレはもう長くないらしいんだ。
頑張って書類とか色々準備したから、もしもの事があっても大丈夫だよ。
じゃ、疲れたから寝るね。  おやす み

296:冥界からギラティナ
09/08/31 12:39:17 h3iq5535
しかし・・・、
ぐぅ~~~
まるで、カエルがなく様な音がしたかと思うと、オレはその場に座り込んだ。
「ハラ・・・、減った・・・。」
そう、オレはあまりにもハラが減りすぎていて、動けなかった。
そういえば、今朝からなにも食べていなかった。いや、オレがうまれてから、
あのトレーナーはオレに何も食べ物を与えてはくれなかった。つまり、オレは
ここ数日、絶食状態だったわけだ。
「ヤ、ヤベェ・・・。なんか食わないと、コレ、死んじまうって・・・マジで・・・」
オレはコレはマズイ!と本気で思った。尋常な空腹じゃなかった。
復讐どころじゃない・・・、オレは死にそうになりながら、なんとか立ち上がり、
復讐のために・・・、ではなく食料調達のために歩き出した。
だが、食料を探す事が案外難しいことをオレは始めて実感した。
木の上を見ても、地面を見ても、どこにも食べれそうな物は、まったくなかった。
気がつくと、オレは草むらではなく、森のなかに入っていたが、その森にも
木の実はおろか、木の実の破片さえなかった。
(なんで、ねえんだよ・・・、いじめかよ・・・)
オレはついにその場に倒れ込んでしまった。
(・・・生まれてから、まだ日が浅いのに、オレは空腹のせいで死ぬのかよ・・・)
そんなことをぼんやり考えていた。
それから、しばらく時間がたった。オレはしょうこりもなく(なんとか)生きていた。
しかし、自分がこのままでは、餓死する事は百も承知していた。
なんか食わないと・・・、なんか食わないと・・・、そう思っていた時だった。
「ん・・・?」
なにか、かすかに聞こえたような気がした。
気のせい・・・?
・・・。
ハハッ!・・・
いや、気のせいじゃない!たしかに今笑い声がした!
オレは最後の力を振り絞り、立ち上がると、声のする方目指して、
大儀そうに歩いていった。

297:名無しさん、君に決めた!
09/08/31 23:26:04
朝は誰の元にも訪れる。家中に眩しい朝日が差していた。ただ一部屋を除いて。
いち早く東からの陽光に気付いた一匹のイーブイがソファーの上で飛び起き、カーテンを閉め切った部屋へ忍び足で急いだ。
扉は閉まりきっておらず、僅かな隙間から体をよじらせて部屋の中へ滑り込んだ。いやに静かである。
薄暗い部屋の内側で、イーブイの黒光りした目は簡素なベッドに横たわる人間の姿を捉えた。長い耳はその者の深い寝息を聞き取った。
イーブイは恐る恐る人間の顔まで近づき呼吸しているのを確かめた。同時に不安の表情が消えた。
このひとはまだいきている。
そうと分かれば今日も一日規則正しく良い気分で過ごしてもらおうと、窓際に駆け寄ってカーテンを咥えて思い切り反対方向に走る。
分厚い布が遮っていた朝を告げる白い光が徐々に部屋中に染み渡る。イーブイは再び人間の顔色を窺う。
このひとはちゃんとおきてくれるだろうか。

298:名無しさん、君に決めた!
09/09/03 08:26:09
1レス程度の短文をダラダラ投下されても反応に困るわ
そういうことする書き手は、結局途中で飽きて放棄する場合がほとんどだしな

299:名無しさん、君に決めた!
09/09/03 22:27:29
正直言って今回その場で書いてますサーセン、アイデア自体は前からあったのですがね


イーブイの心配は杞憂だった。朝日の眩しさか体毛のくすぐったさが人間の感覚器官を刺激し、人間はようやく目を覚ました。
全体的にゆっくりした動きで上半身を起こし髪の毛をいじると大きく伸びをした。
イーブイと目が合った人間はここ最近、お決まりの挨拶を交わした。イーブイはあまり聞きたくなさそうにさっと耳を伏せる。
また一日長生き出来たよ。おはよう。

外は鳥達の鳴き声がやかましい程だったが、一人と一匹だけが朝食を摂る一軒家のダイニングルームは時折人間が操る食器の音だけがするだけだった。
イーブイは皿に張られたミルクを舐めつつ人間の体調を横目でちらちら気にしていた。
端から見れば普通の人より少々痩せているだけだ。しかし人間が以前呟いた通りならば、人間の体内には治る見込みの無い病魔が巣くい現在進行中のはず。
別の人間の話によればもう満足に食べられなくなっても、いやいつ命が尽きてもおかしくは無かった。それがどうにか保っていられたのは人間が静かで無欲に、節制に気を遣った生活を送り続けてきたからだろうか。
長年独り身同士で支え合い言葉や種族の壁を乗り越えてお互いを理解してきただけに、イーブイは彼が本当に長くない事を何となく悟っていた。人間がそれを周りに感じさせない様に振る舞っているのが見ていて辛かった。
こちらに向けられる力の無い笑顔がイーブイを俯かせる原因となった。その度に泣くのをやっとこさ堪えているという事に、人間は気付いていなかった。

ソファーの上でイーブイがよれよれの黄色いぬいぐるみを抱き枕代わりにし手持ち無沙汰に転がっていると、朝食に一時間、皿洗いに三十分掛けた人間が帽子とビニール袋を両手に提げて近づいてきた。
先程までTシャツ一枚だったのに、いつの間にかパーカーを羽織っている。どう見ても外出する気まんまんだった。
今日は久々に散歩しよ…話す事があるんだ。

300:名無しさん、君に決めた!
09/09/04 00:19:31
>>299
そのお話、いつまで続くの?
書き溜めてからまとめて投下するのなんて、そんな難しいことでもないだろうに。
最終的な分量は変わらないわけだしさ。

301:名無しさん、君に決めた!
09/09/04 04:35:41
アイデア自体は前からあったのですがね(キリッ

だからどうしたと
アイデアなんざ誰だって持てるっての
一番面倒な書き起こす作業を場当たり的にやりながら投下し続けられるヤツなんてそうはいないし、
それができるヤツだって、1回の投下がノート1ページ分以下の文量なんてことはまずない

302:名無しさん、君に決めた!
09/09/04 08:40:21
てすと

303:名無しさん、君に決めた!
09/09/04 17:16:35
今日は柔らかい日射しでまさに散歩日和。これ以上の重ね着は必要無さそうだったが、人間は日焼けか紫外線を恐れてかわざわざUVカット仕様の眼鏡とマスクの着用を怠らない。
イーブイは人間のぎこちない動作ひとつひとつを凝視していた。玄関でしゃがんで靴紐を結ぶ、扉を開けて外に出る、慎重に鍵を閉め、最後に振り向いて笑みを見せる。
そんなかおしないでほしい。どんどんかなしくなるから。
人間の顔を見ているとイーブイは突然機嫌を損ねた子供の様に口を尖らせ足早に道路へ飛び出し、右折した。今日も行き先は多分「きいろのもり」だろう。
人間は仕方ないなと小さく呟き、早歩きで後を追う。ただし体への負担を考え、決して走らない様に。

少しずつ一人と一匹の差が開いていたのと夢中で走っていたのとで、イーブイは白い体毛の中に隠しておいた物が落ちた事に気が付かなかった。
人間がそれに気付いたのは一度落ちた地点を過ぎてからだった。拾い上げてみれば、何とと言うべきかやはりと言うべきか困ったが、古ぼけたピカチュウドールだった。
昔自分がイーブイの誕生日プレゼントに買ってあげた暇潰し用品に下らない理由でクマと名付けたのは人間の方。あまりに低レベルだから人間はもう理由を覚えていない。
まだ自分が元気だったあの頃、イーブイはよくソファーを占領して一日中ぬいぐるみで遊び倒していた。近年でも人間を放っておく余裕がある時はピカチュウを頭の下に敷いたり、抱き枕にしていた。

クマを見つめていた人間の脳裏で、ベッドから見える窓の向こうの景色が蘇る。あそこに本物のピカチュウが姿を見せる様になったのはいつからの事だったか。

304:名無しさん、君に決めた!
09/09/04 18:39:30
あーぁ、意固地になっちゃってさ

305:観覧客
09/09/05 15:41:04 +Cnar/w/
>>293
え・・・。かぶっただけじゃんっ

306:観覧客
09/09/05 15:43:45 +Cnar/w/
>>305
ごめん。>>294だった

307:名無しさん、君に決めた!
09/09/05 21:55:25 jIfqgljh
私はドクケイル。
ある日、色違いのドクケイルと恋におち、その時に逃がされた。
主人に凄く懐いていたからだからこその逃がされた悲しみとも、今は決別できた。
毎日彼と幸せに暮らしている。
しかし、たまに主人のことを思い出すと、やはり切なさが募ってくる。
そんな時はいつも、彼は私を一人にしてくれ、私は主人と別れた湖で懐古する。
今日もそうだった。
満月が映る湖はとても綺麗で、街の街灯を思い出す。
ドクケイルである私は、それに惹かれずにはいられない。
私はしばらくそれを眺めていたが、次第に空が曇ってきた。
綺麗な湖が見れなくなったので、私は彼のもとへ帰ることにした。
帰り道、主人のよく食べていたものを見つけた。カンヅメだ。
私カンヅメのもとへ近寄ろうとした。その瞬間、視界がブレた。硬い衝撃。
私は、木に激突し、そのまま地面へと落ちた。
声がきこえる。「もう一度だ!エアームド、はがねのつばさ!」
私は持ち直し、抵抗した。向かってくる相手に対し、使った技は、吹き飛ばし。
相手のポケモンを吹き飛ばし、戦闘を強制終了させられれば、無事に帰られる。
しかし、トレーナーはもう少しのところでポケモンを交代した。

308:名無しさん、君に決めた!
09/09/05 21:57:48
sage忘れてしまった…
スイマセン

309:名無しさん、君に決めた!
09/09/06 00:04:16
>>306
どうでもいいから糞コテ外せ

310:名無しさん、君に決めた!
09/09/06 20:46:57
いま投下されてるいくつもの1レス連載小説のうち、
何本が放棄されずに完成するんだろ

311:名無しさん、君に決めた!
09/09/07 02:35:48
>>310
ヒント:話を書きる力量、根性がある人は最初から散発投下なんてしない

312:307
09/09/07 08:11:03
繰り出されたポケモンはユレイドル。
特性により吹き飛ばしは不発に終わってしまった。
特性や技の効果をきちんと理解して使っているようなので、
相手のトレーナーは並以上の腕はありそう。
手持ちも2、3体はいるように見える…
岩攻撃を食らったら絶望的だ。が、どんな時も諦めてはいけない。
主人から学んだことだ。
打つ手はある。
野生でいる間にLvも上がっているので、当然技も増えている。
私は銀色の風を繰り出した。
間合いが離れた。その隙に打ち込むのは、毒毒。
そのまま光の壁へと繋ぐ。
守りながら持久戦に持ち込めば、勝てる。
さきほど拾ったカンヅメという食べ残しもある。
守ると月の光で耐えきり、岩攻撃を受けずにユレイドルを倒せた。
相手が再び繰り出すエアームド。
吹き飛ばしで逃げられるだろう。
…しかし相手は先手エアカッター。
相手は吹き飛ばしたが羽を怪我して動けなくなってしまった。

…心細くなってきて、泣きそうになってきたところで、彼が来てくれた。
彼におぶさり、巣へ帰る。
道中で何があったかを彼に話す。
主人と一緒だったころはバトルでほとんど勝てなかったのに、
今はそこそこ勝てるようになった。彼のお陰だ。


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