09/05/27 00:13:06
投下しているみんなGJ!ついでに投下。
戒めの花
この季節になると、俺は必ず思い出す。今日のように暑く、晴天だったあの日を。
あの日は雲一つ無い晴天で、まるで真夏のようだった。
そんな真夏日でも、汗水を垂らしながら自転車のペダルを強く踏み込んでは漕ぐ。
そしてたまごを孵しては生まれたばかりのポケモンの能力を調べ、落胆して逃し、また自転車に跨がるの繰り返し。
生まれたポケモンを逃して、そいつらがどうなろうと俺には関係無い。
野生に帰しただけだ、そう納得して、時折見かける弱った野生のポケモンからは目を逸らしていた。
そんなある日の真夏日の下、自転車を休む間もなく繰り返し漕いでいたためか、俺は倒れた。恐らく疲労のためだろうか。
辺りは背の高い草むらが生い茂り、通りすがりの人間からも俺の姿は見えないだろう。
少し離れた場所まで来たことをすぐに後悔した。
容赦無く頭上から照りつける太陽に、ガンガンと頭が悲鳴を上げ始め、水分を求めて口の中が渇く。
手持ちにはたまごと孵化の手助けの為のマグカルゴ。
今ここで動きの鈍いマグカルゴをボールから出せば自分の首を絞めるだけだ。
どうしたものか、と考えようとするものの、頭痛が思考の邪魔をする。
そんな時、視界の端に見えた影。重い頭を持ち上げて見ると、それは見たことのある姿だった。
俺が逃がしたポケモンだ。