にがしたポケモン達の行方 3匹目at POKE
にがしたポケモン達の行方 3匹目 - 暇つぶし2ch50:名無しさん、君に決めた!
09/04/14 21:48:50

お母さん、お母さん

そろそろ新しい木の実も出来てるんじゃないの
そろそろ新しい友達も来たって良いと思うんだ
いつもリボンをくれる人間の所に連れてってよ
バトルにも出してよ
体なまっちゃうよ

ねぇねぇ、僕たちが此処から一歩も動かなくなって
もう何日になるかな?
お母さんが返事をしてくれなくなって
もう何日になるかな?

もう僕たち、ずっと此処にいるしかないのかな




プラチナ無くしたんで…orz
逃がしたのとは違くてごめん

51:名無しさん、君に決めた!
09/04/14 21:53:09
自分が失くしたダイヤもそういう状況になってんのかな…orz

52:名無しさん、君に決めた!
09/04/17 21:01:53
保守

53:名無しさん、君に決めた!
09/04/20 13:44:41
age

54:名無しさん、君に決めた!
09/04/21 16:51:19
アイテム増やすついでに伝説も増殖してたら
カイグラレックがすごい数になったから今度まとめて逃がそうかな

生態系?しらねーよ

あ、やっぱデータ末梢寸前のサブロムに送るのもいいかな?
きっとサブロム主人公がかわいがってくれるさ

55:名無しさん、君に決めた!
09/04/24 16:54:52
いつかのミロカロスやガブリアスみたいに罪もない高個体兄弟
ぶっ殺してるやつら絶対虐ヲタの生き残りだろ避難所に帰れよ

56:名無しさん、君に決めた!
09/04/25 14:41:09
と、Ямот

57:名無しさん、君に決めた!
09/05/05 11:43:00
画面の向こうの皆様、初めまして。
私は皇帝ポケモンのエンペルト。主人からは「ワタリ」と呼ばれている。由来は某俳優と某ミュージシャンと某バンドのアルバム曲から来ていると聞いた。
ゲームの世界にいない人間の事はよく知らない。ゲーム機の電源が点いている間しか現実世界と接触できないからだろうか。
残念だが私達は所詮デジタルデータでしか存在できない架空の生物。人工ポケモンもいれば無線で交換される事もある。
悲観するとキリが無いが、それでも私達は「おや」の為に尽くす。現実世界のプレイヤーを楽しませるべく、この世界を創り上げた開発者様から言いつかった使命を果たすべく。

私の主人はこちらの世界でも現実世界でも、毎日何かしらのポケモンに向かい「可愛い!」を連発するわ、受験生なのにテクノ依存症で将来は心配だが、
余りにも多くのポケモンを育てるのに夢中で用意されたシナリオが進まない位重度のお人好しな少女が私の主人で良かったと思っている。逃がされる心配は無いから。
そんな親バカ主人が変わってしまったのは晩秋の事だった。



三月までリアル受験生だった私が通りますよ。
文字通り晩秋にダイヤモンドのソフトにまつわる悲劇が起きたので多少脚色して書いてみる。
長いので何回かに分けて書くと思います。

58:名無しさん、君に決めた!
09/05/05 14:51:27
>>57に期待age

59:名無しさん、君に決めた!
09/05/05 17:15:43
>>50に心がきゅんとなった。初代を起動させようか…。
>>57に期待。

60:名無しさん、君に決めた!
09/05/05 18:37:13
あれは私がまだポッタイシの頃のことであった。
突然ゲーム機の電源が入った。内蔵時計によると、今は夜中の四時か五時位だからいつもなら主人はぐっすり眠っている時間だ。
デジタルデータであるが故私達は電源さえ入れば昼行性も夜行性も関係なく活動可能で俊敏性等に無駄が出る事も無い。
ポケモンセンターで回復すれば一瞬で体力・PP全快等々現実世界の生物には無い利点も多かった。
私は模試続きの主人の健康以外は特に気にせずモンスターボールの中で控えていた。

主人は私を含む手持ち六匹の体調を確認してハクタイシティのポケモンセンターを出た。
今日はハクタイの森でジム戦の練習でもするのかと思っていたら、何故かハクタイマンションへ走った。
確か悪者にポケモンを取られた人が住んでいた。取り返してあげたいのはやまやまだが主人は今現実世界の勉強で手一杯だ。
最低三ヶ月は待たせるだろう…と心の中で住人に謝っている間に私は「ワタリ」から「ポッタイシ」に名前が戻っていた。
主人は無言で手持ちポケモンのニックネームを全て取っ払った。
捕まえたポケモンには必ずソフトごとに一定の法則を以てニックネームを付けていた主人が急にどうしたのだ…?一体何故?

61:名無しさん、君に決めた!
09/05/05 19:20:07
行動の変化はそれだけでは無かった。
余計なトレーナー戦を避け、インターネットで調べてきたらしい「努力値」に少しは気をつけ相手を選んで戦っていた主人が、
いきなり周囲のトレーナーを根こそぎ倒し一日でハクタイジムをクリアしてしまったのだ。
マンションの住人のポケモンを取り返す日が早くなったのは私も嬉しかったが、それ以上に不安が大きかった。
まるで主人が別人に変わってしまったかの様だった。

それからも主人はゲーム機の内蔵時計で言う所の朝三時四時に始めて二時間位でひとつの街を越える勢いで駆け足の旅に出ていた。
育てるポケモンを私とムクバード(元は「カワサキ」と言うニックネームで、野球選手から取られた)とルクシオ(コリンク時代の顔つきから「テヅカ」と命名されていた)の三匹に絞り、
道ばたに落ちているアイテムには目もくれずひたすらレベル上げだけの為に戦う日々が続き、気が付けば一ヶ月弱で残りのジムバッジがあと一個と言う所まで来た。
受験勉強は厳しさを増して朝五時半に起きる日が度々あったが主人は年内にシナリオを片付けてしまいたいのだろうか。
シンオウ地方の東側を旅する間にエンペルトに進化した私はモンスターボールの中で出番待ちの最中、暇さえあれば硬質化した翼で形にならない腕組みをして無い頭を捻っていた。

62:名無しさん、君に決めた!
09/05/05 19:56:59
現在地はナギサシティ、このままのペースでいけば明日はジム戦だ。
私達三匹はジムリーダーの専門タイプ・電気に対して皆相性が宜しくないので、
鎗の柱で鎮めるつもりがうっかり捕まえてしまった時間の神「ディアルガ」様が代わりにあしらってくれるのだろうな。
もしくはアルミアと言う遠い土地から彷徨ってきた「ダークライ」が眠らせて終わらせるだろう。

…思い返せば私は全く知恵が足りていなかった。
最初の方に電源が点いている間しか世界は接触できないとは書いたが、こちらの世界からあちらの世界が全く見えない訳では無い。
見ようと思えば電源が点いていなくても上空に浮かんだゲーム画面と思しき黒い長方形を見上げて目を凝らせば現実世界を見られるのだ。
私はそれをフーディンの「ユアサ(主人曰く通称・弁護士)」に教えてもらったが、知能の高いエスパーポケモンの特権だと思いこんでいた。
ユアサは学名に戻されたあげくボックス送りになってしまい、道中のハードな戦闘を重ねる内にその様な事は忘れていった。
私は戦いに勝利する事だけを追い求めていた。進化して強くなると同時に態度も大きくなったせいで重大な事に気が付かなかったのだ。
…主人が本当に別人に変わっていた事に。

63:名無しさん、君に決めた!
09/05/05 20:46:04
まさかソフトを誰かに盗られたのか?
とにかく>>57に期待

64:名無しさん、君に決めた!
09/05/05 23:20:05
私はようやく悟って、直後に自分がプライドの高いポッチャマ一族である事を初めて疎ましく感じた。
こちらの世界からプレイヤーの顔が見えにくい-私は見えないと思いこんでいた-のを利用し、
本当の主人が爆睡中に主人の弟がこっそり主人の部屋のゲーム機と私達のデータが入ったソフトを自室に持って行き夜な夜な遊んでいたと言うのが事の次第だった。
ああ、あんなにも正反対の行動に出ていたのに私は何故気付かなかった?
内蔵時計は夕刻を指していた。不意にゲーム機の電源が点いた。
私達はこれからポケモンリーグへ挑戦するべく、ひたすら海上を進んでいる所で前回のレポートが書かれた。

主人…私の「おや」トレーナー♀(現実世界のプレイヤーが変わってもやり直さない限りデータは変わらない)は並べ替えをしようと手持ちをチェックする。
私達ポケモンと同じくトレーナーもゲームの世界の存在なのでドット職人が打った表情のバリエーションも単純だから、こういう時は案外無表情だったりするのだ。
彼(彼女)の手は先日保護してそのまま手持ちに加わったユクシーのボールの位置でぴたりと止まった。
次の瞬間、私は信じられない光景と懐かしい言葉を聞いたのであった。

「…ワタリ……カワサキ…テヅカ………ダークライに、ロッククライム…!?
何考えてんのあいつ…………それより、皆ごめん。ごめん…ごめ、ぅう、ぐすっ…ふ、ふええええ!!!」

ボール越しに見えた桃色マフラー少女の大泣きは、声は、雰囲気は、紛れもなく主人の物だった。
私こそ一番の古株なのに気づけず申し訳無い。そっと目を閉じたら、代わりに涙が一粒浮いてきた。

65:名無しさん、君に決めた!
09/05/05 23:54:30
あの大泣きから一週間と経たずに、主人は弟の魔の手からゲームを一旦取り返した。
だがその際主人は弟に私達のデータ入りソフトを譲渡する方向に持って行かれたらしく、私達のいる世界を捨てねばならなくなった。
つまりデータの消去並びにリセットだ。幸いすぐにでは無く主人のポケモン友達に頼み、
その人のボックスが許す限り配信された限定ポケモンや、ニックネームを元に戻した私・カワサキ・テヅカ、
他には正月に捕まえた色違いコリンクの「ハツハル」等、どうしても主人が捨て置けないポケモンを預かってもらってから弟の手に渡る事になった。
私は現在そのご友人のソフトに用意された専用ボックスを借りて、主人が新しく買ったゲームに私達を引き取ってくれるのを待ち続けている。
実際、無事大学が決まった後主人はご友人が預かっているポケモンの内、例のアルミア地方出身の「ダークライ」や同じくアルミア地方から送られた卵、映画館で配信された「シェイミ」等を返還してもらった様だ。
他は主人が交換用ポケモンをあまり用意できなくて次回にお預けとなった。

私はふと気になった事があってこれを書いている。
スペースの関係でこちらに預けきれなかった同胞は今頃どうしているだろうか。
ほとんどは別のゲーム機に設立された「ポケモン牧場」と言う仮想空間で元気に遊んで過ごしているらしい。
が、ごく一部は消されたデータと運命を共にしてしまったはずだ。私達の世界では、正式なトレーナーは最低一体ポケモンを所持するのが義務だからだ。
彼らは何も悪くないのだ。彼らは何もわるくないのに。

―――消えたデータの行方は、今いずこ。

66:名無しさん、君に決めた!
09/05/06 00:07:58
期待レスくれた人ありがとうございます。以上で話は終了となります。
2chで長文書き込むのは初めてなので読みづらいとは思いますが、ご了承下さい。
人間パートは実話です。ちなみに弟は当時小六でしたが、母はむしろ不法侵入の方を怒ってました。
NNもそのまま。元ネタが全部分かった人とは話が合いそうです。
忘れてました、タイトルはここのスレタイをもじって「きえたデータの行方」です。
誤字脱字意見感想批評批判質問その他ツッコミ、出来る限りお受け致します。

最後までご覧頂き誠にありがとうございました。

67:名無しさん、君に決めた!
09/05/06 12:46:01
>>66
久しぶりに来てみたら何だか凄いのが投下されていた
乙であります

68:名無しさん、君に決めた!
09/05/06 22:47:26
>>66

こんなの俺は書けないぜ

69:名無しさん、君に決めた!
09/05/10 19:50:05
俺はいつからか『テスト前』って奴が楽しみになっていた。
その時期が来ると、ご主人様は思い出したように俺たちに会いに来る。
その度「テスト近いのになぁ…」と苦笑している顔が画面越しに見える。
幼い頃のご主人様は毎日俺に会いに来てくれたが、最近は『テスト前』にならないと来てくれない。
本音を言えば、少々寂しいが…時の流れには逆らえない。今でも会えるだけマシなんだろう。
『テスト前』が何なのかよくわからないが、それは俺にとって幸せの約束された時間だった。
何をするでもなく街をぶらついたり、カードめくりに興じたり。
運が良ければ散髪にも連れていってもらえる。こんなことは普段ない。
そんなご主人様がよく行くのが、トキワシティのトレーナーハウスだ。
小学校の時の親友がトレーナーとして出てくるかららしい。
友達っていいもんだな。今でも連絡を取っているのかは知らないが。
俺は…俺たちは、こんな「テスト前」だけの冒険でもいい…と考えるようになっていた。
だが、そんなささやかな幸せもやがて終わりを告げる。

70:名無しさん、君に決めた!
09/05/10 19:56:55
最初はちょっとしたことだった。時間が微妙にズレ始めたのだ。
最初は誰も気にしていなかったが、暗い顔をしている奴がいた。ポリゴン2だ。
「おい、どうしたんだ?」
ポリゴン2はうつむいて、小さな声で言った。
「もうすぐ、ご主人様ともお別れなんだね…」
「………え?」
一瞬、言われたことの意味がわからなかった。
「『テスト前』になったら会えるだろ?」
俺はそう反論したが、奴は首を振った。
「そうじゃないよ」
「じゃあ何だよ?」
「僕たちはもうすぐ…消えるんだ」
俺はその言葉を鼻で笑った。
「そんな訳ねえだろ」

だが、時が経つにつれポリゴン2の言葉はどんどん現実味を増していった。
時間のズレは大きくなり、世界はゆらめく。
「なあ…どうにもならないのかよ」
ポリゴン2は悲しそうに説明した。
バーチャルポケモンであるポリゴン2は、真っ先にこの運命を悟ってしまったのだ。
「電池切れは…僕らにはどうしようもないよ」
「何だよ…それ。このまま消えるしかないのかよ…ふざけんな!」
それから俺は必死になって方法を探したが、そんなものある訳がなかった。
ゲームの外のことには、俺たちは干渉できない。
そして…ついに終わりがやってきた。だが、ご主人様はやってこない。『テスト前』ではないから。

71:名無しさん、君に決めた!
09/05/10 19:57:58
俺とポリゴン2以外は、もう皆消えてしまった。
こうなったら、潔く消えてしまうしかない。
「もし今願いが叶うなら…生まれ変わっても、ご主人様と旅がしたい」
ポリゴン2がくすっと笑った。「データに生まれ変わりなんてあるのかな?」
「あるって言ったらあるんだよ!」
なかったら救われない。俺はもう一度、ご主人様に会いたい。
「僕は…生まれ変わるなら電池切れのない世界がいいな」
「あ、それも追加」
俺たちのデータが消えてゆく。
次に会う時は、電池切れのない世界を飽きるまで冒険しようぜ。

その時までさよならだ……ご主人様。

72:名無しさん、君に決めた!
09/05/10 20:01:29
金銀リメイク発表を知って我慢できずに書いてしまった
慣れないことはするものじゃないね…今は反省している

73:名無しさん、君に決めた!
09/05/10 23:03:39
いや、GJだ

74:名無しさん、君に決めた!
09/05/11 01:37:00
このスレのバイオリズムおかしいだろjk・・・

沢山のロコン達は元気にしているだろうか

75:名無しさん、君に決めた!
09/05/11 21:16:04
>>69-71
うわあああん
超GJ!

76:名無しさん、君に決めた!
09/05/12 00:40:09
>>71
GJです!
自分のクリスタルのこと思い出したよ…(´Д`)

77:名無しさん、君に決めた!
09/05/13 10:31:32
低い呻き声が絶え間なく響く薄暗い施設
ここではポケモンの姿を変える研究が行われているという

なんでも目の肥えたファンというのは見慣れた生体だけでは
目もくれないらしい
だからこうして「フォルム」を変形させた種を用意し
客寄せの為に使うのだという

本来あるべき姿を歪められ、ただの客寄せ道具に作り変えられる生命
ただし、「客寄せ」になれるものはまだ幸せなのである…


某日 ジョウト地方のとある研究所施設

78:名無しさん、君に決めた!
09/05/14 05:50:31
その頃シンオウ地方ではピチューの毛にクセをつけていた

79:名無しさん、君に決めた!
09/05/14 21:06:56 hbf1v2iJ
良スレあげ

80:名無しさん、君に決めた!
09/05/14 21:16:18
>>71
目から…汗が…

81:名無しさん、君に決めた!
09/05/16 16:57:11
なんという良スレ…

82:名無しさん、君に決めた!
09/05/16 23:22:11 mZHQd8WB
良スレあげ

目からハイドロポンプ

83:名無しさん、君に決めた!
09/05/17 03:30:21 FI82CjEd
視界が影分身

84:名無しさん、君に決めた!
09/05/17 04:00:25
>>71
俺の電池切れした緑版思い出して泣きそうになった。


85:名無しさん、君に決めた!
09/05/17 09:08:55
>>71
タイムリーでグッと来ました…クリスタルは銀より後に買ったのに先に電池切れしたな…

突然ですが、「きえたデータの行方」の作者です。まとめへの転記&レスありがとうございます。
完全版を自分のサイトにアップ致しましたのでよろしければそちらもどうぞ。
まとめサイトの方に転載して下さっても構いません。長くなるので再投稿は諦めました(汗)
URLリンク(www7a.biglobe.ne.jp)

86:名無しさん、君に決めた!
09/05/17 09:35:06
目にどくどくなスレだぜ!
さっきから何故か玉葱を切ったかのように目が痛いのは何でなんだぜ?!

87:名無しさん、君に決めた!
09/05/17 14:01:44
>>85

データの儚さに泣いた

88:名無しさん、君に決めた!
09/05/17 14:24:07
こんなスレあったのかw最初から読んでみたけど、いい話ばっかだな。
電池切れ起こしたクリスタルとデータ最初からにしたエメラルド思い出した。
このスレ見ちゃうと最初から出来ないなあもう。


チラ裏だけど途中個体選別してた奴の話があったけど、
俺もやってるけどポケモン逃がしてないよ。というか何か逃がせない。
おかげでナゾノクサしかいないBOXとかピカチュウしかいないBOXとかある。
もう駄目だな。

89:名無しさん、君に決めた!
09/05/17 15:58:25
>途中個体選別してた奴の話
ごめん、そっちがメイン

90:六丸
09/05/17 22:44:20
どうしてあなたは私を捨てたのですか?
私のことを最高のパートナーだと言ってくれたのは嘘だったのですか?
あなたの横にいるポケモンは誰なんですか?
どうしてあなたはそんなに笑顔でいられるのですか?
私はこんなに悲しい気持ちでいっぱいなのに、こんなにあなたを愛しているのに、あなたにとって私はその程度のものだったのですか?
どうして…
どうして…
私はあなたにいつでも忠誠を誓った。
私はあなたをいつでも信じた。
私はあなたのことを最高の主人だと思っていた。
でもなんで?
あなたの横のポケモンに向ける笑顔は私のものなのに、何故私に向けてくれないのですか?
何故私をそんな目で見るのですか?
私はいてはいけないのですか?
何故…?
なんで…?


何が書きたいのかよく分からなくなったorz

91:名無しさん、君に決めた!
09/05/18 00:24:04
>>90

背景描写をつけて再うp希望

92:六丸
09/05/19 12:56:49
>>91
背景設定考えてないので書けなうわなにをするや

93:名無しさん、君に決めた!
09/05/21 09:29:36
辺りは血の海。隣にはご主人さまの首のない死体。
周りには黒光りする銃を持った無数の人
どうして…どうしてこうなっちゃったの?


私は数年前……ご主人さまがチャンピオンに勝つ前からずっと貴方の手持ちとして働いてきました。
LVが上がる度に喜んで抱きしめてくれたり、一緒に何度も何度も殿堂入りをしたり…
楽しかったですよ、貴方と過ごした日々は。

一か月前頃でしょうか私と貴方が離れ離れになったのは。
「ごめん…ボックスが一杯なんだ」
そう言って私を209番道路に置いて自転車をコキコキと走らせて去って行った。
何度も何度も貴方を呼びとめるために鳴いた。大声で、喉が潰れるほどに
でも、貴方は足を止めずに走り去って行った。
影が見えなくなってから実感しました。私は捨てられたんだ…と

数日したら、また貴方はこの209番道路に訪れましたね。何匹もの私の同族を抱えて。
でも、その時の貴方は今までの"あなた"ではなかった。
そのままその子達を投げ捨てて行く。去る時にはこんな事を言ってましたね
「屑が、お前たちなんていらねえんだよ!」
どうしたんですか…昔の貴方はそんな人じゃなかった。そんな怖い人じゃなかったのに…

その子達は、皆死んで行きました。
ある者は野生ポケモンに食い千切られ、ある者は餓死。そして遂にはその状況に耐えられず、発狂し、木に頭を何度も叩きつけ死んで行くものもいました。
その光景は何とも無残なものでしたよ。
自然の摂理。とは言えども、やはり同族の死には心が痛みます。
その後も、貴方は子供を捨てに何度も何度も訪れました。
そして皆。何十匹も何百匹もの同族が死んで行きました。
その時から、貴方が捨てて行く度に大量の憎悪が、私の心の奥底から湧き出てきました。
いつの間にか憎悪が大きく膨れ上がって、それは殺意となっていました。

94:名無しさん、君に決めた!
09/05/21 09:30:20
また貴方は手持ち一杯の同族を持ってこの道路に現れました。
そして同じように、「屑が!」と吐いて子供たちを捨てて行く。
私は気持ちを抑えられなくなって、あなたに攻撃を仕掛けることを決意した。

遠くから金縛りを放って相手の動きをある程度拘束してから、私は彼の前に姿を現しました。
まず念力で体を宙に浮かして身動きを完全に封じる。恐怖のあまり、尿を漏らす貴方はとても滑稽でしたよ。
数回右へ左へと数回振り、死なないように5mぐらいから自然落下させる。
骨の粉砕する音が辺りに響き渡り、ざわざわとニンゲン共が騒ぎを聞きつけて周りに集まってくる。
周りなんてどうでもいい。後はコイツを殺すだけだ。
でも、心の何処かで迷っていた。本当に殺してしまっていいのだろうか?
一緒に旅して来た主を、愛していた主を殺してもいいのだろうか?
急に体が震えだす。怖い…
頭の前に翳している手が細かく震えだす。私はまだ迷っていた。

「御免なさい…痛いよ…死にたくない…ユルシテユルシテユルシテユルシテ…」

死にたくない?
その時の彼の発言に一気に胸がカッと熱くなり、強い念力を頭の中に大量に送り込んだ。あの時の迷いなど全く無かった。
どんどんと頭が膨れていき、次第にパン!大きな音を鳴らしてと中の物を飛び散らせながら破裂した。

95:名無しさん、君に決めた!
09/05/21 09:32:12
これで、私の望みは叶った。
この結果を私は望んだのに、涙が止まらなかった。心が痛んで止まなかった。
彼の腕を持ち上げてみるも、あの時の温かさは無く、重さも殆ど感じない。
私は死体の胸に顔を沈めて泣いた。涙が止まる事はなかった。
泣き続ける私の周りに、緑色の服と帽子に身を包んだニンゲン達が集まった。
腰にはモンスターボールが付いていなく、手には黒光りする物を持って、それを私に向ける。
その瞬間、私は死を直感した。
最早、私はポケモンとしては扱われていなかった。唯の"ニンゲンの生活を脅かす危険な生物"だった。
ねえ…ご主人さま。あの世でも…会えますよね?
もし会えたなら、又宜しくお願いします。

「射撃用意、………撃てぇ!」

合図と同時にパンパンと乾いた発砲音が青空の下に連続で響き渡った。



なんか書いてることが意味不明ですが、なんとなく思いついたので書かせていただきました。
文章力の低さが…\(^0^)/

96:名無しさん、君に決めた!
09/05/21 11:25:52
>>94-95
超乙 泣けた

タイトル希望

97:名無しさん、君に決めた!
09/05/21 12:25:10 Beuyoy6l
タイトル「セーラー服と器管汁」

98:名無しさん、君に決めた!
09/05/21 13:05:17
タイトルとか考えるの苦手なので適当に決めちゃってくださいな

99:名無しさん、君に決めた!
09/05/21 15:19:22
映画配布ダークライの話。配布厳選なんでちとスレ違いかも。すまん


私は繰り返し運ばれた。
そして繰り返し消えていった。
今ここにいる“私”は、
数多の私の中の欠片に過ぎない。

ふわふわと漂っていた私は、
ある日大きな力で引き寄せられて
この広い、しかし小さな世界へとやってきた。
その中で私は幾度も幾度も形作られては消され、
ようやく今の身体を形作るに至った。
今のこの身体は
少しばかり身のこなしが素早いとか、
闇の力が幾何か濃いとか、
恐らくそういった理由で選ばれたのだろう。

来る日も来る日も届けられては破棄された
私の残滓は渦を巻き、
薄暗い悪夢となって私を取り巻く。
そんな私はただ在るだけで
否応なしに棄てられた悪夢を撒き散らしてしまうが故に
世界に疎まれ、嫌われる。

私は知っている。
私が今在るこの世界の外側にも、
かつて私が漂っていた世界があることを。

100:名無しさん、君に決めた!
09/05/21 15:21:45
あの日、私はきらきらした瞳に迎えられて
くすぐったいような、どこか温かい何かを初めて知った。
だから、私が小さな散り散りの欠片になることだって
何とも思わなかったのだ。
私を取り巻く、私が棄てられる悪夢が
十重二十重に濃くなろうとも、
初めて望まれ、求められた、ただそれだけで
私は幸せだった。

そうして選りすぐられた私だったが、
私のこの力は外の世界でも疎まれることにすぐ気がついた。
私の欠片が優れていれば嫌がられ、
劣っていれば嘲笑される。
悪夢を纏うこの身体も相まって、
私が力を揮えば揮うほど、私は疎まれた。

私は結局、
あの繰り返し生まれては消される悪夢の果てに生まれても
内なる世界でも外の世界でも疎まれる存在であるという事実に
変わりは無かった。

打ち棄てられた私の欠片は積み重なって
濃く沈殿した悪夢は、
私の血肉となって今も重く濁っている。

でも、それでもいい。
私を望み、迎え入れてくれた時の
あのきらきらした瞳を私は決して忘れない。
私は暗闇の化身、ダークライ。
悪夢の中、ただ一つだけ輝いている
運命的な出会いをしたあの日の記憶を抱いて、
今日もひっそりと生きている。

101:名無しさん、君に決めた!
09/05/21 23:55:16
切ないな・・・
一匹一匹捨ててくのもあれだけど、何度もダメ出しされ続けるのも辛いよなあ

102:名無しさん、君に決めた!
09/05/24 21:31:50
>>94
最後で「ご主人様」に戻った直後に殺されるのが…(´・ω・)

>>99-100
まさに何度でも繰り返す終わらない悪夢だな


それとwiki更新されてたね
乙です

103:名無しさん、君に決めた!
09/05/25 20:04:29
>>90
>>93-95
>>99-100
この3つはWikiに貼るべきだと思うんだが、タイトルどうしよう?

104:名無しさん、君に決めた!
09/05/25 20:41:27
特に書き手からタイトル決められてない話は、編集人がその時の気分で付けてるんだと思う

>>95
現実の熊とかもそうだよなぁ……もう少し理解しあえたらいいのにとか思うのに
不憫だ

105:名無しさん、君に決めた!
09/05/25 20:55:10
一応初代の人は漢字一文字かその話を代表するような言葉を抜粋してたみたいだけど
編集する人の気分で勝手につけちゃっていいんじゃないのかな

106:名無しさん、君に決めた!
09/05/25 23:21:19
タイトルの希望がある作者さんには先に自分で付けておいてもらえばいいだろう
付いてなければ編集者が勝手に付けてくれるみたいだし

107:名無しさん、君に決めた!
09/05/26 21:16:46
さようなら 私はもうじきこの世から消えてなくなります
もう永遠にこの世に現ることはないでしょう
もう永遠に貴方と旅をすることもないのでしょう

貴方は最初の一匹として私を選んでくださいました
貴方は私をいつでも一番強くしてくださいました
貴方は私を何時でも傍に置いてくださいました
トレーナーと戦う時だって、ロケット団を倒す時だって、殿堂入りする時だって、
貴方のポケモンであることが私の何よりの誇りでした
貴方の顔を画面越しに見ることが私の何よりの喜びでした

貴方はある日突然私と共に旅をすることをやめてしまいました
貴方は私の事を忘れてしまったのでしょうか
それとも私の知らない誰かと、私の知らない何処かへ旅立ってしまったのでしょうか
貴方と会わなくなってからどれほどの時が経ったのでしょうか

さようなら、私はもうじきこの世から消えてなくなります
貴方の知らないこの時、この地で


108:名無しさん、君に決めた!
09/05/27 00:13:06
投下しているみんなGJ!ついでに投下。

戒めの花

この季節になると、俺は必ず思い出す。今日のように暑く、晴天だったあの日を。

あの日は雲一つ無い晴天で、まるで真夏のようだった。
そんな真夏日でも、汗水を垂らしながら自転車のペダルを強く踏み込んでは漕ぐ。
そしてたまごを孵しては生まれたばかりのポケモンの能力を調べ、落胆して逃し、また自転車に跨がるの繰り返し。

生まれたポケモンを逃して、そいつらがどうなろうと俺には関係無い。
野生に帰しただけだ、そう納得して、時折見かける弱った野生のポケモンからは目を逸らしていた。

そんなある日の真夏日の下、自転車を休む間もなく繰り返し漕いでいたためか、俺は倒れた。恐らく疲労のためだろうか。
辺りは背の高い草むらが生い茂り、通りすがりの人間からも俺の姿は見えないだろう。
少し離れた場所まで来たことをすぐに後悔した。

容赦無く頭上から照りつける太陽に、ガンガンと頭が悲鳴を上げ始め、水分を求めて口の中が渇く。
手持ちにはたまごと孵化の手助けの為のマグカルゴ。
今ここで動きの鈍いマグカルゴをボールから出せば自分の首を絞めるだけだ。

どうしたものか、と考えようとするものの、頭痛が思考の邪魔をする。
そんな時、視界の端に見えた影。重い頭を持ち上げて見ると、それは見たことのある姿だった。
俺が逃がしたポケモンだ。

109:名無しさん、君に決めた!
09/05/27 00:15:10
そいつは俺の元へ歩いてくると、興味津々、といった様子で俺のことを見つめた。
身体は逃がした時より少し大きくて、傷だらけだった。
自分をこんな目にあわせた俺を恨んでいるんだろう、と思った。

「…くそっ…。」

そう呟いた後に自暴自棄になり、好きにしろよ、お前の仇はもう動けない状態なんだぞ、などと呟く。
そいつは俺はじっと見つめた後、俯せの俺の首に小さいながらも鋭い牙が光る口を近付けた。

しかしいくら待っても痛みは来ることが無く、思わず閉じた瞼を開けるとそいつは俺の服を口にくわえて足に力を込め、踏ん張っていた。
そして押したり引っ張ったりの末、ほんの少しずつ引き擦られる俺の体。訳が分からず俺が動かないでいると、暫くして頭上が涼しくなった。
辛うじて上を見上げると、上には緑の葉が繁った小さな木があり、木陰となっていた。

「…お前…あり…が…とう…。」

小さく呟くと、そいつは俺の手を一舐めして去っていった。
俺はあんなにも酷いことをしたのにどうして、と考えても答えは分からなかった。能力の計算だとかは出来るのに。

暫くして体力も少しずつ戻ったのか、なんとか立ち上がることは出来た。
毎日のように自転車を漕いでいたために、意外にも体力がついていたのだろうか。
ふらふらとしながら、何とか来た道を戻る。

すると突然、誰か人の驚いたような声と、鋭い悲鳴に近い鳴き声が聞こえた。
ふらつく足取りでその叫び声のした方へ向かうと、一人の人間とガブリアスが見えた。
近付いてみるとそこには俺が逃がした、俺を助けてくれたポケモンが横たわっていた。

「ったく、何だこのポケモン!いきなり飛び出してきやがって!いきなり飛び出すから自転車で轢いちまったじゃねーか!…お前のポケモンか!?」

俺が黙っていると、男は、こいつがいきなり飛び出して、挙げ句の果てに威嚇までするから、俺は正当防衛をしたまでだ!と怒鳴った後、ガブリアスを戻し自転車で走り去ってしまった。

110:名無しさん、君に決めた!
09/05/27 00:21:38
その男が走り去った後、見ればあいつは元からあった傷よりも鋭い傷を負っていて、周りには潰れて中の汁が飛び出、ぐちゃぐちゃになった木の実が数個散乱していた。

「…お前、こ、これを、お、れに…。」

ぐったりとした身体を抱き上げると、そいつは力無く鳴き、俺の手をペロリと舐めた。

どうして威嚇なんかしたんだと呟くと、潰れて原型を残していない木の実をそいつは見た。拾った木の実を潰されて、怒ったのかと聞くと、もう一度力無く鳴いた後に目を閉じた。ダラりと垂れる手足。

その姿を見て、俺は呆然としていた。だんだんと涙が溢れ出すのが分かり、最後には泣いていた。真夏のような太陽が照りつけても、涙は枯れなかった。
もう動かないそいつを抱き締めて大声で泣き続けていた。


あれから俺はもう、ポケモンを逃がさなくなった。俺があいつを見捨てたにも関わらず、あいつは俺を見捨てなかった。
俺がしていたことは間違っていたのだと、あの時気付かされたから。

あいつは俺の家の庭の隅に埋めた。そしてあいつが運ぼうとしてくれた木の実を育て、実が成るとそれを必ず置く。
不思議なことに、あいつが埋まっている場所には、種を撒いた訳でもないが毎年小さい花が咲く。

そしてこの真夏日のような季節になると、その小さい花が咲き、俺は必ず思い出す。今日のように暑く、晴天だったあの日を。あの日のことを、俺は絶対に忘れないだろう。

111:名無しさん、君に決めた!
09/05/27 19:01:13
>>107>>108-110
GJ!このスレ見ると本当切なくなるな…

112:名無しさん、君に決めた!
09/05/27 20:29:03
>>107 >>108-110

泣けた

113:前スレ910
09/05/27 22:26:11
物凄く間が空いてしまってすみません・・・
「復讐」を投稿した直後に仕事の関係で引っ越しなどでゴタゴタしてて、最近になってようやく落ち着いてきました。
なので近々「償い」の続編エピソードが投稿できそうなので、そのときはまた宜しくお願いします。


114:名無しさん、君に決めた!
09/05/28 00:39:17
>>113
超期待age

115:名無しさん、君に決めた!
09/05/28 00:53:13
いきものがかりの「帰りたくなったよ」
歌詞を変えなくても何か当てはまるきがして切なくなる(´・ω・`)

116:名無しさん、君に決めた!
09/05/29 07:00:26
>>115
うp

117:名無しさん、君に決めた!
09/05/29 23:07:40
>>116
これだと思う。なんというか、いらないとかそういう理由で逃がされたよりは、初代スレにあった仕方なく逃がして別れたラプラスの話とかにあいそうだな。

「帰りたくなったよ」/いきものがかり

心の穴を埋めたいから 優しいフリして笑った
出会いと別れがせわしく 僕の肩を駆けていくよ
ダメな自分が悔しいほど わかってしまうから損だ
強くはなりきれないから ただ目をつぶって耐えてた
ほら 見えてくるよ

帰りたくなったよ 君が待つ街へ
大きく手を振ってくれたら 何度でも振り返すから
帰りたくなったよ 君が待つ家に聞いて欲しい話があるよ
笑ってくれたら嬉しいな

たいせつなことは数えるほど あるわけじゃないんだ きっと
くじけてしまう日もあるけど 泣き出すことなんて もうない
ほら 見えてくるよ

伝えたくなったよ 僕が見る明日を
大丈夫だよってそう言うから 何度でも繰り返すから
伝えたくなったよ 変わらない夢を
聞いて欲しい話があるよ うなずいてくれたら嬉しいな
帰りたくなったよ 君が待つ街へ
かけがえのないその手に今 もう一度伝えたいから
帰りたくなったよ 君が待つ家に
聞いて欲しい話があるよ 笑ってくれたら嬉しいな

118:名無しさん、君に決めた!
09/05/30 07:26:59
↓見たらこのスレ思い出した。

ママをさがして7こくらいのよるをすごした。。
ママはぼくがきらいになったのかな?
ママはどこへいっちゃったんだろう。
すてられたの?
おなかがすいてぺこぺこになった。
しかたがないからゴミすてばにいたんだ、
そしたら
おにいちゃんがきて ぼくをいえにつれていった。
あたらしいおうちだとおもって、
とっても うれしかった。
おいしいごはんもくれたのに、、
なんで?
なんでぼくのしっぽをきったの?
なんでぼくのあしをきったの?
ぼく いいこにしてたよね
なんのために 
ぼくうまれたの?

   /l、
   (゚、 。`フ
   」  "ヽ
  ()ιし(~)~

119:名無しさん、君に決めた!
09/05/31 12:30:17
うわぁぁぁぁ(つД`)゚.

120:前スレ910
09/05/31 21:20:47
ようやく「償い」の続編エピが描きあがったので投下します。
ちなみに「償い」以前に描いた話とも繋がった話になってますが、どの話かはちょっと伏せておきます。


とある町のトレーナーズスクールは生徒の卒業を翌日に控えていた。
既に生徒たちは全員帰宅しており、職員室もまばらだ。
1人の若い教員も既に今日の仕事を終え、いつでも帰宅できる状態だったが物思いにふけていた。
それもそのはず。
明日卒業する生徒たちは彼の初めての教え子たちなのだ。


ここに来てもうすぐ1年か。
そんなことを思いつつ、机に置いてある小さな箱からタバコを取り出そうとしたら彼の足元で餌を食べていたポッチャマがいつの間にか机の上に上がっておりタバコが入ってる箱を取り上げられた。
そしてタバコの吸いすぎだと言わんばかりに一声鳴いた。
やれやれ・・・拾ったのはいいが習慣になってるタバコを吸うなと口うるさいのはどうにかならないのか。
まだ何かひっきりなしにポチャポチャ鳴いてるが大方タバコは健康に悪いとでも言っているのだろう。


このポッチャマを拾ったのは半年前のことだった。
恐らく誰かが捨てていったのだろう。
腹を空かせたのか町中に現れ、八百屋の商品を狙っていたのを店主に棒で滅多打ちにされていた。
休日だったので買い物に出かけたら偶然その場に居合わせていたのだが、棒で叩いてるうちにポッチャマが血を吐いて動かなくなったときは店主が青い顔をしていた。
その後のことはよく覚えてない。
気がついたらポケモンセンターの治療室の前にいて、服はポッチャマが吐いたと思しき血で赤く汚れていた。
あの場は無視していればこんな面倒なことにはならなかった。
そして以前の自分なら間違いなく無視していただろう。
自分が捨ててきた無数のポケモンの中にも人里に出てきたばかりに命を落としたポケモンもいたはず。
それを見せ付けられた思いだった。
だから目の前にある捨てられた命を救おうとしたのだろうか?
自分でもなぜ助けようと思ったのかよくわからない。
だが、少なくともポケモンを都合の良い道具として思わなくなったことだけは確かだった。

121:名無しさん、君に決めた!
09/05/31 21:21:31
ポッチャマの様態は最悪だった。
棒で叩かれた際に折れた肋骨が数本、肺を突き破ってマトモに呼吸ができない状態だったという。
さらに内臓破裂に加え、栄養失調による衰弱もあり、手術を終えても1週間ほど予断を許さない状況だった。
一命を取り留めたのは奇跡だったという。
このポッチャマは退院後、俺が引き取ることにした。
あとで聞いた話だが、このポッチャマには仲間が1匹いたらしいが、八百屋の騒動でどこかに逃げてしまったという。
かなり絶望的だが、なんとか元気でやってれば良いのだが・・・

それ以来、実技の授業ではこのポッチャマを使っている。
勿論そこに至るまで人間不信になってたポッチャマに信頼してもらうために色々あった(それこそ俺が病院送りになる出来事が何度もあった)が、それは別の話。
話を本題に戻そう。
校長からは卒業式が終わった後の最後のホームルームで何か話をするように言われているのだ。
どの子も本当に良い子で俺みたいなロクデナシには勿体無い教え子たちだ。
さらに上のランクのスクールに進学することになっている子もいれば、ポケモンを貰って旅に出ることになってる子もいる。
未来ある子供たちに何を話すべきか。
・・・やはり俺の左脚のことを話したほうが良いのかもしれない。
そして昔の俺がどれだけ酷い奴だったかも教えたほうが良いだろう。
子供たちは俺が左脚の怪我でトレーナーを引退することになったことは知っているが、義足ということは知らない。
そしてなぜ左脚を失うことになったかも知らないのだ。
全ては未来ある子供たちが間違った道に進まないようにするためだ。
自己満足と罵られてもかまわない。
真実を話そう。

122:名無しさん、君に決めた!
09/05/31 21:22:25
翌日、卒業式が終わった後、生徒たちは教室に集められていた。
そこで俺は更衣室で左脚にはめられている義足を外し、朝早くに持ち込んでいた松葉杖を両脇に抱えて立ち上がった。
義足に慣れていたせいか妙な違和感を感じるが仕方あるまい。
俺は杖を着きながら教室へと向かっていった。
教室に入るとそれまでにぎやかにお喋りを楽しんでいた生徒たちが一斉に黙り込んだ。
生徒たちの視線が膝から先が無く、動くたびにズボンの裾がなびく左脚に向けられていた。

「みんな卒業おめでとう。今からとても大事な話があるんだ。先生の最後の授業だと思って真剣に聞いてほしい。」

そこで俺の過去を洗いざらい話した。
自分の名誉のために数多くのポケモンを死なせたことを。
それも生まれたばかりの子供をだ。
教室の至るところから生徒のすすり泣く声が聞こえ、冷たい視線が教室中から向けられている。
そしてかつて自分が捨てたアブソルに左脚を奪われたことと、こんな俺のことを助けようとして命を落としたリオルのことまで話し終わった。

「君たちには一人一人個性があるよね。例えば勉強が出来る子、スポーツが得意な子、ポケモンの世話をするのが好きな子・・・とにかく色々だ。
ポケモンも同じだ。その個性を認めてほしい。たとえバトルが苦手なポケモンでも何か良い部分はある。それを認めずに数字だけを重視するやり方にノーと言える勇気を持ってもらいたい。
みんなは先生のことを最低なトレーナーだと思っただろう。それでいいんだ。その気持ちを忘れないでほしい。これからトレーナーとしてみんなは活躍するけど、
今言ったやり方を薦めるトレーナーがいるかもしれない。そして君たちの育て方やポケモンを否定するかもしれない。それでも忘れないでほしい。
本当に強いトレーナーは常にポケモンを信じ、力を引き出すための努力を惜しまない。今は例えどんなに弱かったとしても大事にしていれば必ず答えてくれる大切な友達だということを」

一呼吸置いて続ける。

「先生が授業で教えたバトルのテクニックは全部忘れても良い。ポケモンは友達だということだけは忘れないでほしい」



123:名無しさん、君に決めた!
09/05/31 21:25:20
こうして俺の最後の授業は終わった。
今回の俺の行動が正しかったかはわからない。
それでも子供たちが間違った道に進まないためにできることはこれだけだった。
果たしてこれが正しかったかどうかは自分の教え子たちのこれからを見れば自ずと分かることだ。

夕日で建物が紅く照らされる頃に義足をはめなおし、校庭の芝生に腰を下ろしタバコをゆっくりと吹かす。
子供たちが1人もいなくなった校舎を見ているうちにいつの間にか口に咥えていたタバコが視界から消えていた。
ポッチャマが煙を上げてるタバコ片手に怒ってるような様子でなにやら鳴き声を上げてる。
大方喫煙について悪口を言ってるのだろう。
たしかに最近ちょっと吸いすぎだよな。
こいつとこういうやり取りをできるのもいつだろう。
あのアブソルが現れた後、俺の替わりに育ててくれそうな奴を今のうちに探しておいた方が良さそうだ。
そんなことを考えながら、ポッチャマをお供に校舎の職員室に向かっていった。

124:名無しさん、君に決めた!
09/05/31 21:27:01
これで終わりです。
長い間待たせてしまってすみませんでいた。

次の機会があればその時はまた宜しくお願いします。

125:名無しさん、君に決めた!
09/05/31 22:12:52
>>120-124
乙!

そのポッチャマが♀だとしたら何となくどの話だったか分かる気がする。
あえてここでは言わないことにしておきますが。

126:名無しさん、君に決めた!
09/06/02 09:43:10
弱いポケモンを逃がすことを非難する人がいる。
しかしそんな人ほど、実は、ポケモンを戦いの道具としかみていない。
ポケモンにとって、戦うことは生活のほんの一部に過ぎない。
戦いだけがポケモンのすべてではないのである。
ゆえに、戦いが苦手なポケモンも存在するのは当然である。
トレーナーは、ポケモンが戦いに適しているかを見極め、不適とした場合は
別の生き方を選択させる義務があるのではないか?
それは、そのポケモンを否定することにはならないはずだ。

トレーナーは、本来ポケモンが野生としての生活を謳歌する権利を奪っている。
どんな理屈をつけようと、それは事実なのだ。

さて、ポケモンを逃がすことはトレーナーからすれば、悲しい別れかもしれない。
しかしそれは、あまりに一方的で、傲慢な考えである。
何故ならあなたは、もうすでに、そのポケモンを、その家族や、友達から引き離しているのだから。
野生での生活を無価値と考え、自分との生活のみを価値あるものととらえる、
これ以上に人間中心的な、傲慢な考えがあるだろうか。

「ポケモンは友達」と言う人へ
そのポケモンにも、かつてはあなたのような友達がいたのだった。
誘拐犯が被害者と友達になれようか?
使わないポケモンを逃がすということは、罪を背負ったトレーナーの
せめてもの償いというべきではないのか。
逃がすということは、そういう意義を持っていると思う。


このスレの住人的にはどう思う?
スレ違いだったらすまん

127:名無しさん、君に決めた!
09/06/02 10:22:41
このスレにおいての「弱い」ってのは個体値というより
レベルの低い生まれたての、って意味合いが強いんだけどな
「個体値を知ったからこれまでずっと戦ってきたけどお前いらね出てけ」ってなお涙頂戴話はそれでいいけど

128:名無しさん、君に決めた!
09/06/02 20:25:53
>>127
いや、両方だと思う。
生まれたてで個体値が低い=逃がす対象になる
じゃないかと。

因みに当の漏れは逃がしたことが実は、ない。

129:名無しさん、君に決めた!
09/06/02 21:25:44
普通のトレーナーが個体値に執着し不幸になる話や
既に高個体値に執着したトレーナの話で生まれたてのLvが低く・・ってのまであるね。

「逃がしたポケモン達」の行方なのでそう言う話が多いけど、
あえて逃がされなかったポケモンの行方と言うスレ違いを投下してみる。

130:129
09/06/02 21:26:29
所々青い模様が特徴の黒い毛皮に包まれたポケモンは
目の前に立ちはだかるモウカザルという種を見上げ
「マスターよ私は悪タイプだ、おいうちなどと命令してないで早く交代してくれ」
そう(愚痴を)吐きつつ追い討ちの体制をとろうとしたが、モウカザルの容赦ないインファイトの前に
そのポケモンは一撃で意識を失った。


意識を失うと同時に走馬灯のごとく過去の悪夢が甦る・・・。


私の前のマスターは個体値の高いポケモンを探す為に沢山のタマゴをかかえ
自転車で右往左往する日々を続けていた。
兄弟は生まれると同時に個体値を測定され、性格も診断され捨てられたそうだ。
捨てられた兄弟のその後は私は知らない、いや考えないようにしている。

私は運が良かったのか兄弟と違う色の毛皮を持っていたので捨てられず、
その代わり「ボックス要員」という役目を押し付けられた。
何年もボックスで暮らしているうちに
「ここはお腹も空かなければ天敵と言う者も居ない最高の環境なのだ」
と私は思い込むようにしていた。
そうでもしなければ、この退屈な環境に耐えられないからだ。

これだけでは、捨てられた他の兄弟に比べればマシだと?
違う違う、これは序章なのだ・・・今のマスターに引き取られるまでのな。

131:129
09/06/02 21:27:32
今のマスターに出会ってしまったのはWi-Fiと言う奇妙な名を持つ
"不要になった"ポケモンの交換を支援している団体だった。
私は長年のボックス暮らしからボックス整理という名目でこの団体に預けられた。

今のマスターは私を見るなり前のマスターと同様に性格を調べ始めた
「ずぶといかぁ」と呟き落胆すると、今度は個体値を調べ初めた・・・


長い長い静寂が続いた。
私はまたボックス要員か、兄弟のように捨てられるのだろうと考えていると
マスターは頭をかきつつ
「個体値ってのを調べないと目覚めるパワーのタイプが判らないのか。何かメンドクサイなぁ」
と独り言を言いながら、また色々な本やポケッチという機械と睨めっこし始めた。

私がもし人の言葉を話せるならコイツに教えてやりたい
「残念だったな、私の目覚めるパワーのタイプは 虫 だ。
 前のマスターがちゃんと調査してくれているぞ」
と・・・。
そんな事を考えているうちマスターは急に私をモンスターボールに押し込めボソっと呟いた

「まっいっか」

お・・・お前!!もしお前に性格とやらをつけるなら「のうてんきだ!」

そう、私の不幸とはこのマスターに出会ってしまったこと
進化ポケモンという私を何も考えず育てブラッキーにしたり
相手との相性も考えず行き当たりばったりの命令

いつになったらこのマスターをチャンピオンロードと言う場所へ連れて行ってやれるのか
そう思いつつ私は今日も必死に戦いつづけている。

132:名無しさん、君に決めた!
09/06/02 21:29:55
 死 ばかりの話じゃ重くなるからね。

たまには、こーいう気軽な話も良いかなぁと思って投下してみた。
後悔はしていない。

133:名無しさん、君に決めた!
09/06/02 21:48:49
>>126
今日一日このレスについて考えてみた

たしかに野生ポケモンを捕まえて我が物のように扱うのは
自己中心的であり、あまりポケモンの事を考えていない。
それならば、逃がすことは非難されるどころか賞賛されるべき事である

しかし、このスレで言われている「逃がされたポケモン」は、
タマゴから生まれて、トレーナーを親だと思っているポケモンの事であり、
それを逃がすことは、いわば三歳児を見知らぬ土地に放置するのと同じ事だ。
ポケモンのその後の事をまったく考えていない。

ボックスがいっぱいだから逃がすのならば、
せめて野生で暮らせるようにしっかりと訓練してから逃がすべきである
それが親としての最低限の務めではないだろうか

>「ポケモンは友達」と言う人へ
全面的に同意する

134:名無しさん、君に決めた!
09/06/02 21:54:24
>>129-132

このブラッキー…一応なついているんだよなwwwwww
さらに能天気なトレーナーwwww
なんか笑えたwwwwww

このブラッキー(イーブイ)が人語を話せたらよかったのに
そういう翻訳機があったらいいな

ガンバレブラッキー

タイトル希望

135:名無しさん、君に決めた!
09/06/02 22:10:57
>>133
どこかのスレで人間に"捕まる為に"友達と一緒に特訓し
草むらの影で人間を待ち伏せしては人間が連れているポケモンに戦いを挑み
やられて毎度瀕死になる話があったけど、、、ここのスレだったっけ?
いつか自分のトレーナを見つけるまでガンバリマス!的なの。

それ読んでから努力値貯めで野生を倒しまくるのを
(ちょっとだけ)躊躇するようになったのを思い出したw


>>134
お褒めの言葉(?)ありがとうございます。
本当は「ひねくれもの」的な性格があったらそれにしたかったんだけど。
なかったので(ry
そんな性格なのと進化しタイプが「あく」になったので毒舌ですが
本人(元イーブイ)は現在のトレーナに感謝し懐いていると思いますよ。

136:名無しさん、君に決めた!
09/06/02 23:04:50
ていうか、あれだけポケモン関連のサービスが充実してる世界なんだから
ボックスに入りきらないポケモンくらいどうにかしてくれそうな気もする。
ポケモンブリーダーなんて職業もあるし。

137:126
09/06/02 23:44:02
>>133
>しかし、このスレで言われている「逃がされたポケモン」は、
>タマゴから生まれて、トレーナーを親だと思っているポケモンの事であり、

ごめんスレの趣旨を勘違いしてたw
それだと当てはまらないのは当然だな
タマゴから生まれたポケモンなら、きちんと育てる必要があると自分も思う。
できれば産みの親(両親のポケモン)の元においてやりたい
そういえばアニメとかでトレーナーが世話することがあるけど、
実の両親が登場して世話する描写ってほとんどないし、意識されてないよね
特に異種の場合、適切に育てることができるのだろうか

138:名無しさん、君に決めた!
09/06/03 00:20:40
>>126,137
元はそう言うのを討論するみたいなスレだったし、スレチじゃないと思うよ
タマゴから生まれて、という話は確かに多いし初代>>1を見る限りはそう言うスレだったのかもしれないけど、
だいぶ広義的になって、野生から捕獲されて逃がされる云々の討論も何度か行われてる
またその背景にある、直接逃がされたポケモンとは関係ない話なんかもなくはないくらい

でまぁ、確かにポケモンが野生として生活する権利は奪われていると思う
同じ生き物である我々人間にとっては、環境の変化というのはそれだけでストレスになる
ポケモンにも果たして同様のことが言えるかは分からないが。一度捕獲という名目で服従させたなら、その責任は最後まで取り続けるべきだと考える
捕獲された時も、また逃がされた時も環境の激変ということには変わりない
見解を変えれば、弱肉強食の世界のトップに人間がいる以上、最初からポケモン達に自由なんてないのかも知れない
人間という最大の捕食者の魔の手からいかに逃れるか、それこそが野生するポケモン達の至上命令なのかも知れない
かつては人間もポケモンも同じであったと言われていて、その頃の共存の道を忘れきれないでいる形が、今の、ポケモンは友達と唱える形なのだろうか
あるいは、人間という種族の未来性を見て、例え嘘でもポケモンは友達と唱え続けなければならないのか
どちらにせよ上から目線でしか見れない我々人間が単独で結論を出せるとは思い難い所だが
正直何を言いたいのか分からなくなった
幼い頃からじゃれあったりして遊んだ、とかそんな関係なら友達と呼んでもいい気がするが
屈伏させ捕獲したポケモンを友達と呼ぶのは、俺も何かおかしい気がする

あとアニメでの親の描写ってほんとないよね、ポケモン達の巣立ちは想像以上に早いのかも知れないけど
時折母親がセットで出てきて世話してたなんてことあるけど……あれ、そういえば父親見たことないぞまさか

139:名無しさん、君に決めた!
09/06/03 00:27:56
ポケモンってゲットされたくて草むらから飛び出してきてるんだと思ってたw

あしあとおじさんのとこつれていくと、
「草むらからほかのポケモンたちがうらやましそうに見ているぞ」って言うポケモンいるし

140:名無しさん、君に決めた!
09/06/03 02:03:51
ただのプログラム、って認識もあるんじゃないかなあ

141:名無しさん、君に決めた!
09/06/03 20:57:52
流れが止まったようなので、昨日投下したスレ違いな
「逃がされなかった」の「逃がされたポケモン版」を投下してみます。

長いのは構成力が足りないせいです。
今まで投稿された諸先輩方の力を改めて感じつつ
投下した後はおとなしくROMに戻ります。


-----------------------------
前のマスターは他の兄弟を個体値や性格が悪いと言う理由だけで生まれてすぐ捨てたが
私は色違いという珍しいポケモンだったために捨てられずボックス内で退屈な日々を過ごしていた。
捨てられた他の兄弟に比べれば幸運なこの生活であったが、私はその退屈を呪っていた。
その後ボックス内が満杯となり色の違いだけが取り柄の私は交換に出された。

そして今のマスターが居る。
最近のこのマスターは肩にピカチュウと言うポケモンを乗せ全国各地を旅する番組の影響を受け
私をボールから連れ出し一緒に歩かせるのが日課となっていた。
私や他の手持ちポケモンを気分次第で選び一緒に歩かされるのだ。
強制的に歩かされるこの行為を忌み嫌っていたが、
今では出番がいつくるのかワクワクしながら待っている私が居る。
悪タイプだというのに我ながら情けない…。

そう私はブラッキーと言うポケモンだ。


142:名無しさん、君に決めた!
09/06/03 20:58:52
新しいマスターと旅を始めてからもう半年ほど経った頃、見覚えのある町が見えてきた。
ズイタウンだ。

もう日が暮れだったため、ズイの町明かりが遠くに見えていた。
その中間に位置する小高い丘の上に古びた塔がある。
私の第六感がそこに入るなと知らせていたがマスターはその塔に入ろうとしていた。

私はマスターの後を追おうとしたが、足がすくんでしまいその場で固まっていた。
マスターは『のうてんき』な性格のため(私が勝手に決めた)、
私の異変に気がつかず塔の奥にズカズカと入っていった。
このマスターの性格のお陰でボックス要因から開放された事には感謝していたが
今更ながらこの時だけは恨んだ。

どのくらい時が過ぎた頃であろうか、近くの草むらからガサっという物音が聞こえた。
固まったままその草むらを凝視していると、こちらを見つめる眼光があるのに気がつく
同時に数匹の傷だらけのイーブイが飛び出してきた。
その傷は古傷から最近ついたであろう傷まで様々あり生々しかった。
イーブイ達に囲まれ硬直していると、目の前の1匹が問い掛けてきた。


143:名無しさん、君に決めた!
09/06/03 20:59:40
「お前、あの人間のポケモンだな?」

戸惑っている私を見て更に問い掛けてきた
「お前の匂い覚えているんだよ。色あせていた兄弟の1匹だろ?
 僕らは捨てられたけど、どうしてお前は捨てられなかったの?
 何が違うんだい? 色? そんな理由で僕らは捨てられたの?」

私は一瞬で悟った。
目の前のイーブイ達は前のマスターに捨てられた兄弟達だと言うことを、
そして目の前にいる以外の他の兄弟達は皆死んだことに。
「ちがう個体値が…」と反論しようとしたが、ここで事実を突きつけてもしょうがない。
何も答えられず固まっていると急に激痛が走る。
振り返ると後ろを囲んでいた兄弟が私の後ろ足を噛み付いていた。

私は塔に入った人間は君達を捨てた人間ではない事を必死に伝えた。
しかし兄弟達は聞く耳を持たず次々と私に飛び掛ってくる。
野生化し鋭くなった兄弟の眼光に圧倒され私は逃げることも反撃できずにいた。
ついに私は耐えれなくなり反撃を余儀なくされる。
悪の波動で吹き飛ぶ兄弟達。
倒れても、倒れても彼らの攻撃は止まらなかった。
私は目をつぶり何度も何度も波動を四方八方へ飛ばしているうちに
攻撃がこなくなった事に気がつき目を恐る恐る開く。

兄弟達は口から黒い血を吐き、その場にうずくまりピクピクと痙攣し始めていた。

何度かポケモンバトルという状況で『ひんし』と言う状態を経験したが
今この場にある状況はそれと比べ物にならないほど悲惨な光景になっていた。
気がつくと私はこの光景を見て再び硬直し何も出来ないでいた。


144:名無しさん、君に決めた!
09/06/03 21:00:22
ふと私の足元に私以外の何者かの影があるのに気がつき慌てて振り返る。
私の目に映った者は塔に入ったはずのマスターであった。
マスターが塔から出てきたのだ、いつから居たのだろう?
一部始終を見ていたならマスターは私を軽蔑するだろう。
そして倒れこみもう動かなくなった兄弟達と同様に私も…
そのような悪い考えがぐるぐると脳裏を横切る。

「おっ!これイーブイじゃん ラッキ~」

静寂を破る間の抜けたマスターの声に私の開いた口は塞がらない。
そんな私を他所にマスターは兄弟達を次々とモンスターボールで捕獲していく。
「えらいぞ ポチ。相手を弱らせておいてくれたんだな
 でも次はもうちょっと手加減しろよ」
と言いながら私の頭を撫でてくれるマスター。

そのニックネームだけはカンベンしてくれ。じゃないじゃない
状況を考えてくれ…などと独り言を言うがマスターにはポケモンの言葉が通じない。
そんな私を尻目にマスターは兄弟達が入ったモンスターボールを回収し小走りでズイタウンに向う。
私もその後を追う、自分を呪いながら。


兄弟達はズイのポケモンセンターのシュウチュウ チリョウシツと言う特殊な部屋に入院した。
その部屋の前でマスターはジョーイさんと言う人に怒られていた。
私がそっとマスターに身を寄せると
マスターはいつもの笑顔で「だいじょうぶだよ」と言いながら頭を撫でてくれる。
そのようなやり取りを見ていたせいかジョーイさんはフゥと溜め息をつきその場を離れた。

その後、兄弟達はジョーイさんの的確な治療とマスターの看病のお陰で一命を取り留めた。
人間を恨んでいる兄弟達が新しいマスターをすんなり受け入れたわけではない
この話をすると長くなってしまうので私の胸の中にしまっておこう。

(EN・・やっぱつづく)

145:名無しさん、君に決めた!
09/06/03 21:01:18
新たに兄弟達が仲間になったせいで時々ボックスに入れられてしまうのが私の今の悩みだ。
ただ、ボックス要員で暮らしていた頃と違い、ここは笑い声が聞こえてくる。
今日もボックス内のポケモン達は集まりマスターへの悪ぐ…じゃない
愚痴や自慢話を話あっている。

「こないだバトルした時なんだけど、私の苦手な電気タイプと戦わせるんだよ?
 地面技を教えてもらえれば善戦出来たはずなんだけど結果は聞かないでね。」
苦笑いしながらエンペルトが話す。
実はこのエンペルトを「あねき~」などと呼ぶと鋭いクチバシで容赦なく攻撃してくる。
あの強さをバトルでも発揮すれば無敗連勝だろうに。
だが皮肉にも彼女のニックネームは「アネキ」
だからこそ、みんなそう呼んで彼女をからかうのだ。

すると集団の真中付近にいる小さなポケモンが話し出す。
「ボクなんか物拾い要員で捕獲されたんだ。
 でも ざ・ん・ね・ん 特性にげあし♪」
一瞬の間が開き、ちょっと気まずい空気が流れるていのを感じる。

すると慌ててその小さなポケモンが話を続けた。
「じつはこの特性を主人は知っていて今でも旅のお供に加えてくれるんだ~
 こんなボクでも役に立つことはあるんだよ
 こないだなんか、ノモセジムリーダのポケモンを2匹抜き!
 3匹目がナマズンじゃなければ ボクだけでフェンバッジをGETできたはずなんだけどね」
舌をペロっと出してパチリスは笑う。

「1匹目でナマズンにあたっちまえ」
「あの主人が・・水タイプに電気タイプをぶつけるなんて…ヒドイ」
などと野次や愚痴(?)が飛び交う。
仲間のこのような何気ない話を聞きながら今はこのボックス暮らしを満喫している。


146:名無しさん、君に決めた!
09/06/03 21:02:04
そうこうしているうちにパソコンの起動音が聞こえる…。
話は急に止まり辺りが静寂に包まれる。皆それぞれが緊張しているようだ。
手持ちに加えてもらえるかも?という望みを胸に秘めつつ。

しばらくすると手持ちに加えられていたポケモン達が帰ってくる。
1・2・3・4・5・・・帰ってきた仲間を数えていると、
兄弟のイーブイ達が次々とモンスターボールへと転送されているのが見えた。
私は嬉しくもちょっと残念で複雑な気持ちになるが、
そんな私の気持ちを知ってか主人が私を選んでくれた。
すると突然視界がパっと明るくなる。

じつは私と兄弟達は今もケンカしている。
もちろん口喧嘩だ。
イーブイ「イーブイの方が可愛いからマスターの横を歩く権利は当然ぼくらの物だ」
ブラッキ「進化したポケモンの方がカッコイーにきまっているだろ、だから私が…」
イーブイ「進化ならぼくらだって出来るよ~ 何になろうかな?」
ブラッキ「あのマスターが計画的に進化させるわけ無いだろ?今のうちに諦めちまえ」
イーブイ「うるさいなぁ  ポ  チ  の癖に」
ポ チ 「 ・ ・ ・ ・ 」
ちなみに私が負けているのは相手の数が多すぎるせいだ。(1対1なら勝てるハズである)

そんな兄弟喧嘩を横目にエンペルトのアネキがマスターの横を確保していた。
エンペルトいわく「早い者勝ち」だそうだ。
数匹のイーブイに1匹のブラッキー、そしてエンペルトに囲まれながらマスターは次の町を目指す。

END


147:名無しさん、君に決めた!
09/06/03 21:26:52
>>141-146
超乙
途中はどうなるかと思ったが、最後はハッピー(?)エンドでよかった…
ブラッキーかわいいよブラッキー
次作にも期待age

148:名無しさん、君に決めた!
09/06/05 23:02:24
 「大将、負けました。やっぱり、大将は強いですね。」
 「なに、お前ももうちょっと修行すれば強くなるさ。」
 「いや、俺は個体値も低いし、努力値もまともに振られてないからどんなに頑張っても大将のように強くなれないですよ。」
 「個体値、努力値、か。」
 「あれ、大将どうしたんですか?」
 俺の表情が今までの明るいものから暗いものへと変わったからなのだろう、あいつは俺にその理由を聞いてきた。
 「いや、何でもないんだ。ちょっと、部屋に戻ってるよ。」
そう言って、俺は自分の部屋に戻った。
 部屋に戻った俺は、さっきあいつが言ってた個体値・努力値について考えていた。そして、ある一つの思い出がよみがえってきた。

149:名無しさん、君に決めた!
09/06/05 23:06:15
 俺は、数十年前に極々普通のミニリュウとして生まれた。
俺のかつての主人は俺が生まれると飴と薬を幾つか与え、何かの機械を操作していた。そして、その作業の後、俺を撫でてくれた。その感触はかなり気持ちが良く、俺はこの主人のためにすべてを捧げようと思った。
 その後、俺はたくさんの野生ポケモンや、四天王と呼ばれる強いトレーナーと戦い、バトルの経験を積み、ハクリューを経てカイリューに進化した。
そして、主人とともにバトルフロンティアという施設や、たくさんのバトルの大会に参加し、主人がフロンティアを制覇したり、大会でチャンピオンになるのを全力で助けた。
さらに、主人が私の同属を育てるというので、そいつの親になったりもした。俺は、とても幸せだった。そう、あの現場を見るまでは。

150:名無しさん、君に決めた!
09/06/05 23:11:33
 ある日、主人は「お前もバトルばかりではストレスが溜まるだろう。たまには、外を自由に飛びまわってもいいぞ。」と言って、俺をボックスから出してくれた。
かなり嬉しかった。今まで、ボックスやバトルフィールドばかりを飛び回っていて、正直気晴らしがしたかったからだ。
 外は、気持ちがよかった。野生ポケモン達は仲良く木の実を食べていたし、町では人々が忙しそうにいろいろな店を回っていた。
俺には、すべてが初めてだった。そして、こんな気晴らしをさせてくれる主人がますます好きになった。

151:名無しさん、君に決めた!
09/06/05 23:14:15
 そんなとき、一つの看板が目に入った。そこには、『ポケモン育て屋』と書かれていた。
俺が特に気にもせずにその場を通り過ぎようとしたとき、そこに主人がいた。主人は、育て屋の周りを自転車で猛スピードで走っていた。
つれているのは、1匹のマグマッグと大量の卵だった。(何をやってるんだろう)、俺は興味を引かれ、主人をそっと観察した。
しばらくすると、卵が孵った。卵が孵ると、主人は生まれたばかりの子供に幾つか飴と薬を与え、何かの機械を取り出し、それをずっと眺めていた。
まもなく、主人の舌打ちが聞こえてきた。そして、主人は冷たく言い放った。
 「どいつもこいつも個体値が低くて使えねえな。お前らなんかどっかに行っちまえ。」

152:名無しさん、君に決めた!
09/06/05 23:16:40
 俺は、信じられなかった。俺にあんなに優しい主人が平気で生まれたばかりで、まだバトルのやり方も満足に知らないポケモン達を逃がしていることが。
俺は、主人の前に飛び出した。
 「おい、主人。こいつらを何で逃がすんだ。」
 主人は多少驚いたようだが、すぐにこう言った。
 「あいつらは、個体値が低いから、努力値を振ってもバトルでたいして使えねえ。だから逃がすんだよ。
ああ、お前は逃がさないよ。何しろ、攻撃とHP・素早さがVで、その他の能力も20以上なんだから。
それに、お前を逃したら、お前の兄弟達が可愛そうだろ。」

153:名無しさん、君に決めた!
09/06/05 23:19:22
 その言葉を聞いたとき、俺の中で怒りが爆発した。主人は、俺を1匹のポケモンとして見ていたのではなく、ただのバトルをするための道具としてしか見ていなかったのだ。
そして、俺は高く飛び上がり、主人目掛けて急降下した。
 「おい、どうしたんだよ、カイリュー!」
そんな主人の驚いた声が耳に入ったときには、俺は主人を押しつぶしていた。
そして、その光景を目の前で見ていた逃がされようとしていたポケモン達を背に乗せ、俺は空高くへと飛んで行った。

154:名無しさん、君に決めた!
09/06/05 23:21:04
 その後、俺はカイリュー達がたくさん住んでいる竜の穴という場所に辿り付いた。
そして、今はそこの大将となり、ジョウト地方で逃がされたポケモン達を見つけては、仲間と一緒に育てている。
おそらく、俺のかつての主人以外にも、ポケモンを戦いの道具としか見ず、個体値が低いという理由で逃がしているトレーナーはたくさんいるだろう。
その逃がされたポケモン達を1匹でも多く救うために。
因みに、俺があのとき背に乗せてきたポケモン達は立派に成長し、それぞれの住むべき場所に戻って幸せに暮らしている。

155:名無しさん、君に決めた!
09/06/05 23:27:17
とりあえず、一つ思いついたんで書いてみた。至らない点がたくさんあると思うけど、そこは多めに見てください。

156:名無しさん、君に決めた!
09/06/05 23:34:53
>>148-155
超乙 イイハナシダナ~
こんなポケモンや人間がいれば、モラルを欠いたトレーナーは減ると思うのだが…

157:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 00:09:54
おい待て、主人を殺して回るポケモンがいたら
モラルを欠いたトレーナーどころかトレーナー自体が激減すると思うが

158:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 02:38:31
四月くらいに投下予告して、ようやく投下。

逃がされたポケモンはみんなみんな恨みを持っているでしょう。
中にはそれが殺意に転じているポケモンもたくさんいるでしょう。
復讐を企て、実行に移している例もたくさんあるでしょう。

でも、ポケモンはそれで満足ですか?
自分達を犠牲にして力を求めたはずの主人を、
そんなにもあっさりと殺せてしまったら満足なのでしょうか。
復讐を遂げてしまったら、彼らの犠牲の意味は?

そんなことを考えながら書いてみました

159:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 02:58:34
俺はある男に捨てられた。

大量の仲間のストライクと共に、生まれてすぐに捨てられた。
もう、そのとき男がどんな顔をしてたかなんて全然覚えてない。


覚えているのは今日までの辛い現実だけ。
低いレベルで捨てられた俺達は、野垂れ死ぬ以外に道は残されてなどいなかった。
"ひかりのかべ"や"バトンタッチ"を覚えていた仲間もいた。
だが、そんなものは戦いでなんの役にも立たない。
肉食ポケモンに襲われ、雨風にさらされ、仲間達はどんどん命を失っていく。
残ったのは俺だけ。


俺は幸い生まれたときから強い力を持つ種族だった。
でも、生まれた頃は力の弱い種族はどうだろうか。
生き残るのはさらに困難だっただろう。
運良くある程度のレベルになるまで生き残った俺はあの男への復讐を誓った。
仲間達の無念を胸に、ひたすら自らのレベルを高め刃を研ぎ澄ませてきた。
あいつは今では強力なポケモン達を操り、四天王を遥かに凌駕する実力の持ち主らしい。
現在の栄光は俺達みたいな山のような犠牲で成り立っていることを忘れているに違いない。
俺がそれを思い知らせてやる。


160:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 03:01:27
別のトレーナーに捨てられ、前に復讐を成し遂げた仲間はこう言う。



奴らは大抵はマグマッグなどの炎タイプのポケモンしか持ってない。
大したレベルではないので簡単に倒せてしまうだろう。
あとは怯え狂うヤツを切り刻んじまうだけさ。

そして、そのときはやってきた。
俺が道で座っていると、遠くからあいつが歩いてくるのがわかった。
臨戦態勢を整える。すぐに飛び出せる姿勢を整え、草むらで息を潜める。





あいつが近くまで歩いてくる。あと三歩……ニ歩……一歩……!


背後から音も無く草むらから飛び出し、頚動脈を刃で狙う。
俺が腕を振り上げたその刹那、あいつがこちらを一瞥したのがわかった。
しかし俺の刃は真っ直ぐに首を狙い、あいつの首を撥ねて復讐を―


どす。


打ち落とされた。速かった。一瞬だった。
あいつの影から現れたストライクの放った"つばめがえし"が俺の腹部を捉えていた。
同じ種族、同じレベルなのに攻撃力もスピードも俺のそれを遥かに超えている。
これが俺達の犠牲の結晶か……やはり、敵わない。
俺は、そのまま力尽きた。

161:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 03:03:03
足音が聞こえる。あいつが俺に近づいてくるのがわかった。
うつ伏せになっているせいで顔が見えず、表情がわからない。
あいつは今どんな顔をしている?



「お前は……こいつの兄の生き残りか」


あぁ、そうさ。お前が捨てて行ったたくさんの兄弟の生き残りだ……!


「俺が、憎いか? 殺したいか?」


当たり前だ。憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い。


「なら、いつでも来い。後ろからだろうが大勢だろうが構わない」

162:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 03:05:25
……!?

「俺は多くの命をこの手にかけた。俺の命を奪う資格がお前達にはある」

言葉を失った。

「だが、俺は全てを迎え撃つ。何度でも迎え撃つ。勝ち続ける」

あいつはそう言う。

「俺が何をしようと犠牲にした者達は戻ってこない」

確かにそうだ。こいつが今更罪を悔いようが何しようが仲間達は戻らない。

「それなら俺は負けてはならない。勝つ為に犠牲にしたお前達の為にも、俺は絶対に負けない」

163:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 03:07:29
痛みで悲鳴をあげる体を起こした。単純に、あいつの顔を見たかった。
あいつがどんな顔をしてそう言っているか知りたかった。

「俺を憎みたければ憎め。これが強さを求めた、力を求めた者の宿命だから」

哀しみを秘めた顔だった。哀しみと共に、強い意志を感じさせる顔だった。
この顔は前にも見たことがあった。
なぜ忘れていたのだろう……。
あいつは俺達を逃がすときもこんな顔だった。
俺達のことを忘れたことなんて、片時も無かったんだ。
「行くぞキリサメ」
あいつは自分のストライクをボールに収め、また歩いて行った。
気がつくと、俺のそばには"げんきのかけら"が置いてあった。
いつの間に……。
甘いな。体力を取り戻したらまた背後から襲ってやろうか?
……やめておこう。またあのストライクにやられるだけだ。
あいつは強かった。俺達の犠牲は無駄じゃなかった。
そう思うと、少し救われたような気もする。


だが、それでも俺はあいつが憎い。
それなら、次会ったときはどうしようか。
わからない。仲間達には悪いが会ってから考えるとしよう。
しかしさっき知ってしまった―いや、思い出してしまったあの表情。
あの悲哀を湛えた表情だけは一生忘れることはできないだろう……。

164:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 13:26:01
>158-163


開き直るパターンも中々面白いね。
そのストライクには炎系や飛行系で腕の立つ用心棒を探し~なんて思ったけど
トレーナも対策をバッチリしてるだろうし返り討ち100%っぽいなw

さて、そろそろ夏
夏と言えば・・・的なものを投稿します。

165:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 13:27:23

薄暗い森の中をトレーナが1人黙々と歩いている。
辺りに死臭がたちこめるが、そのトレーナは何も気にせず草をかき分け更に進む。
すると干からびたヒトカゲの死骸が無数に広がる場所へと到着した。
到着するなりトレーナはモンスターボールから1匹のヒトカゲを出す。
そのヒトカゲの腹を蹴り上げ無様に地面に倒れこむヒトカゲを見下して
そのまま笑いながら元来た道を帰り始めた。

ヒトカゲはいきなりの仕打ちに自身の置かれた立場を理解することが出来なかった。
体の大きさから推測するに生まれたてのようだ。 

「ご主人様はどこにいっちゃったの?」
「ここで死んでいる仲間達は何で死んでいるの?」
少しずつ自分の置かれた立場を理解し始めたのかヒトカゲの子が呟く。

『みんな餓死したのさ。あのトレーナを待ち続けてね』

先ほど捨てられたヒトカゲより一周り大きいヒトカゲが現れ疑問に答えた。
その顔には大きな古い傷があり片目が潰れてる。
『このままだと、君もそこにいる兄妹のように死を待つだけだよ。
 ・・・あぁ紹介が遅れたね、ボクもあのトレーナに捨てられた1匹なんだ。』
そう言うとヒトカゲの子の手を無理やり引っ張り更に森の奥へと連れて行った。

先ほど捨てられた幼いヒトカゲは兄と名乗るヒトカゲから必死に逃げ出そうとしたが、
ズルズルと森の奥へ引きずられて行った。


166:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 13:29:51
自分の部屋に戻ったトレーナは黒いヒトカゲと一緒に2階の窓から外の景色を見て満足そうな笑みを浮かべている。

僕は窓に写る自分と黒いヒトカゲを見て誇らしげに笑った。
「海外産で子供を作ると色違いの突然種が出やすいって噂は本当だったな。
 なぁヒトカゲ。お前には何て名前を付けてあげようか?」

『名前は必要ないよ。君も、その黒く醜いヒトカゲもこれから死ぬのだから』

慌てて窓を見ると自分の真後ろに別のヒトカゲがガラスに写っている。
そう、部屋の中に2匹目のヒトカゲが現れたのだ。
振り返ろうとするが体が硬直し動けない。これが金縛り??と心の中で思うと
顔に大きな傷を持つ片目が潰れたヒトカゲが話し出す。

『うん。それは金縛りだと思うよ。ついでに心臓も止めてみせようか?』

僕はヤダヤダヤd…と声を震わせ助けを求めた。
もう、その短い言葉ですらまともに言えないほど恐怖に震え涙する。
そのような醜態を見てか、片目のヒトカゲがケラケラと笑う。

『可愛い弟も君のように泣いていたんだ。
 安心してスグには殺さないから。もっとヒドイ目にあって貰わないとね』

恐怖で頭が一杯になり、何を言われているのか分からなかったが
僕の隣に居る黒のヒトカゲの表情を見て思い出す、昼間に捨てたヒトカゲの事を…
この片目のヒトカゲも以前、僕が捨てたヒトカゲの1匹なんだろうと。

『正解♪ 正解者のトレーナさんが逃げないように足を取ってあげよう。
 それに可愛い弟を蹴った悪~い足は無い方が良いよね』

両足をもぎ取られ、辺りが血の海に変わっていく。
必死に両手を使い逃げ出そうとするが、自分の血で滑ってしまい思うように動けない。
貧血のためか目が見えなくなり意識が遠のく…。

167:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 13:30:47

気がつくと床に血の海は無かった。
夢?それとも… 黒いヒトカゲが心配そうに僕を見つめている。
そのまま床に座り込んでいると突然のチャイムが鳴り一瞬ドキっとする。
嫌な予感がしていたが今のは夢であったと考えるようにして玄関を開ける。

着払いの荷物だった。
-----------------
 送り主:片目のカゲちゃん
 品名 :可愛い弟(なまもの)
-----------------

……慌ててダンボールを開けると中には一匹の小さなヒトカゲがスヤスヤと眠っていた。


168:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 13:32:23
夢オチでゴメンなさい(´・ω・`)
いちおう最後に謝っておきます。

169:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 16:05:15
>>157
ありがとー。喜んで読んでもらえて嬉しいよ。さっき見てきたら、wikiにも更新されてて、こんな自分の話も載るのかとおもうと嬉しいよ。
とりあえず、今はあの話の続きというわけではないんだけど、ちょっと派生的なものを考えてるから、もしできたら投下するよ。
>>159-163
このパターンもいいね。復習するだけがすべてじゃないし、トレーナーの常に忘れたことがなかったというところに感動したよ。
>>164-168
乙。別に夢おちでも、後にそのトレーナーが反省し、その行為を止めるならいいんじゃないかな。

170:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 20:19:54
おれはあいつに捨てられた。
この恨み晴らさずにおくべきか。おくべきではない。
来た。今ならやつを殺れる、手持ちは弱いマグマッグ一匹だと聞いている。
楽勝だ。死ね。そしておれは、あいつの魔の手からすべてのポケモンたちを救うんだ!

「ブーバーン、かえんほうしゃ」

……うそ、だろ。
そんな、おれの計算では、あいつらは絶対に、弱いポケモンしか連れていないはずで、
「いやーやっぱりブーバーン連れてて正解だった、ビーダルの時の経験が役に立ったなw」
そして、たった一匹の手持ちを倒されて、恐れおののくか、
「それにしてもお前強いなあ、どうせバトルには使わないけど殺戮用くらいにならできるかもなw秘伝ないけどw」
場合によっては、あいつが逃がしたポケモンの生き残りに助けられて、
「しかし色違いへの道は遠いなあw素直に裏ID調べてみっかー」
結果的に、おれの復讐は、成功するはずであって……
「でもそれはそれで手間がかかるよなあ、ポケトレはだるいし副産物に期待できないしー」
こんな、こんなはずじゃ、なかったのに。

「あっちを立たせれば、こっちが立たないんだよなあ」



関係ないけど、孵化作業を止めさせるためなら人だって殺していい、などという過激派は死ねばいいと思う

171:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 20:42:00
>>170
止めるために殺すのじゃなくて
殺さないと止まらない

って考えればいいと思うよ

172:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 23:21:32
浮かんだから投下。何番煎じかわからんがな。



昨日もバトル。今日もバトル。
多分、明日もバトルをするんだろうな~
でも、俺がバトルで活躍した事なんて一度も無かった。


今日もバトルに負け、頭ごなしに俺を罵るご主人様。
いつも「俺の指示は的確だ。」だの「負けたのはあそこで攻撃を外したからだ」などと言って俺に叫び散らす。
そしていつも通り、ご飯は無しと来た。一体何を考えているのだろうか…


このご主人様とは、数か月前ぐらいに会った。
俺はその辺に捨てられたLV1のポケモンだった。
町の片隅でただボケっとしていた所を今のご主人様に拾い上げられた。ちなみに彼にとっての初ゲットは俺らしい。
そのまま俺はレベルをある程度上げられ、戦闘に駆り出されるようになった。
最初は俺が倒れるたびに泣くようなメンタルの弱い…もとい心やさしきトレーナーであった。
でも、丁度一か月ぐらい前から彼の性格はおかしくなった。
バトルで負けたら全責任を押し付け、怒鳴り散らすような、最悪なトレーナーになってしまったのだ。
多分最近彼の友人たちが話している“こたいち”やら“どりょくち”やらが関係しているのだろうな。

173:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 23:23:20
バトルが終わってから数時間後、俺はパンッと森の中に出された。
今度こそ役に立ってみせる!と張り切った。が、なにもいない。
敵は?相手トレーナーは?
キョロキョロと不思議そうに辺りを見渡す俺を悲しそうな目でご主人様は見つめていた。そして、

「じゃあな、バカ。」

とそれだけ言って、俺に背中を向け、歩いて行った。
どこへいくんだ?
俺を出していたら町を歩けないんだぞ。わかっているのか?
小さくなっていく背中を追って俺は走り出した。
その足音に気付いたのか、ご主人様はフッと振り返って

「もう、ついてくるなよ!役立たず!」

役…立たず?
それはどういうことだ?
俺は…いままでずっと…
ナンデ?ドウシテ?ドウシテウラギルノ?オレガヨワイカラ?ソレトモ…
いつの間にか、俺の心は元主人に対する失望と憎しみで溢れかえっていた。

174:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 23:24:59
俺は復讐を決意した。他人を簡単に裏切る薄情者のあの喉を噛み千切ってやろうと。
俺は何故か、ある所に一直線に走っていた。
草原を駆け抜け、町を通り、そして着いたのは元主人様の家。
長年一緒にいたからか、なんとなくここにいる気がした。
確認してみると、案の定そこに奴はいた。
ベッドに座って、何か大きな本を開き、それを見て涙をボロボロと流している。
その姿を見ると心が痛んだ。刃物で傷つけられた感触がした。
今はあいつは殺せない、夜に行動しよう。


もう完全に太陽が沈み、外も真っ暗になった頃。俺は窓を割り、あいつの部屋に飛び行った。
月夜をバックに、俺は眼を光らせて喉をブルッと鳴らす。さあ、恐れろ。泣き叫べ。
しかし、あいつは全く動じなかった。寧ろ、嬉しそうな顔を浮かべていた。
俺はそんなこと気にせず、あいつの懐に潜り込み、一気に首を噛み千切ろうと口を大きく広げた。

175:名無しさん、君に決めた!
09/06/06 23:30:56
「…ごめんな。」

その一言を聞くと、俺の頭の中にはいろんなことが溢れかえってきた。
楽しかったこと、悲しかったこと。主人と過ごした日々が一気に俺の頭に広がった。
急に噛み殺すのが怖くなって、俺は一度身を引いた。
主人はそのまま話を続けた。

「お前を突き放せば、楽に死ねると思った。別れもつらくないと思った。」

死ぬ?何を言ってるのだ?

「逃がした瞬間はこれでいいと思ったんだ…お前のためにも、俺のためにも。でも…そんな事無かった。
逃がしてたらずっとお前のこと考えてた。やっぱり死ぬ前にもう一度会いたい。もう一度お前に触れたいって思ってた。
有難う…理由はどうあれ・・・俺のところに戻ってきて…くれて。なあ……最後に…触れさせてくれ」

ご主人様は聞き取りづらい声でそう言った。
だんだんと息が乱れ、弱っていくのがわかった。
俺はゆっくりと歩き出し、彼の近くへと歩み寄った。もう、さっきまでの気持など微塵もなかった。
顔をぐっと近づけ、俺の首に右腕をまわし、頭を左手で優しくなでまわす。俺の頭上から水がポタポタと滴り落ちてきた。

「ありがとう……ダメなトレーナーで……ごめ…」

待ってくれ!
俺は咄嗟にそう思った。でも、遅かった。
そう言いかけた彼は息をしなくなり、彼の手はすっと下に落ちた。
どんどんと冷たくなっていき、彼の手から生気が抜け去っていくのがわかった。

俺がバトルをする事は、もう無かった。



締め微妙\(^0^)/

176:名無しさん、君に決めた!
09/06/07 03:40:53
GJなんだが…!何か大きい本の正体が知りたかった…

177:名無しさん、君に決めた!
09/06/07 09:43:25
>>176
途中で感極まりすぎて書くの忘れてました(´・ω・`)
追記としてちょっと書きます↓



さすがにこのままでは駄目だ。
俺はそう思って、息絶えたご主人様の元をさろうと背中を向けた。
その時、ある事を思い出した。

あの時持っていた本…あれはなんなんだ?

俺は部屋の中をうろうろと彷徨い歩き、あの本を探した。
それを見つけるのに、数分もかからなかった。死体の枕もとに、大切そうに置いてあった。
遠くで見ていたからわかり辛かったが、この本は重量も大きさも大分あった。
一体どんな事が書いているのか…俺は胸をドキドキとさせながらページを一枚捲った。

178:名無しさん、君に決めた!
09/06/07 09:44:44
そこには、大量の写真が貼られていた。
次のページも、その次のページも。
いつまでも、どこまでも写真が貼られていた。
その大半は…俺だった。
ゲットして間もない頃から、寝顔、美味しそうにポケモンフーズを食べる姿。
そして、笑顔でご主人様に抱かれている姿。
いつ撮ったんだ。って言うようなものもあった。

見ていくうちに、俺の目から温かい何かが零れ落ちた。
その液体は俺の頬、顎を伝って滴り落ち、アルバムを濡らした。
俺はその場にいるのが一気に辛くなった。ご主人様が死んだのを実感するのが嫌になった。
俺は一枚の写真を銜えて走り出した。遠くに、ずっと遠くに。

本当にあいつは駄目なトレーナーだよ。
俺みたいな奴を好きになって、愛して、最後まで大切にして…
謝るのは俺なのに、礼を言うのは俺のはずなのに…

ごめん。そしてありがとう、ご主人様。
俺も…あなたの事が大好きでした。

179:名無しさん、君に決めた!
09/06/07 12:12:29
>>170
>そして、たった一匹の手持ちを倒されて、恐れおののくか、

 ・
(中略)
 ・
 ・
>結果的に、おれの復讐は、成功するはずであって……

の個所が良く読み取れなかったんでタイトルを考えることが出来ずにいるw
タイトルを指定してくれれば、
後で気がついたときにでもwikiを編集するんでヨロ。


>>172-178
乙カレー
後半の補完された部分の冒頭を勝手に変えちゃったので
気に入らなかったら編集しておいて下さいな。


さて、久しぶりにポケトレでもやって色違いイーブイでもゲットしてくるかな。

180:名無しさん、君に決めた!
09/06/07 13:34:34
>>172-178
超乙
あれ、目からハイドロポンプが…

181:名無しさん、君に決めた!
09/06/08 00:49:44
このスレ的に個体地厳選やってるトレーナーのことどう思ってるの?

182:名無しさん、君に決めた!
09/06/08 01:54:33
ゲーム(ROM)を持っている人が、そのROM内の世界(ルール)を決めれば良いんじゃないのか?
ポケモンを捨てないと言う縛りを持つのも良いし
ゲームは所詮データと割り切るのも良いと思う。

ここの話を読んだからって深く考えず、各自なりにポケモンと言うゲームを楽しめば?

183:名無しさん、君に決めた!
09/06/08 20:36:32
『勝つ為の必要悪』だと思ってやってる。
最低限の才能がなければ、勝つことは出来ない。
プテラ決戦で、自分のプテラが厳選甘かったが為に抜かれて負ける。
こんな事態を起こさない為にもの行為だと思ってる。

悪いとは思っていても、やめるわけにはいかない。戦う者としては。

184:名無しさん、君に決めた!
09/06/10 08:29:51
>>165-167
乙!
しかし色ヒトカゲは金色じゃなかったか?
黒いのはリザードン。

185:名無しさん、君に決めた!
09/06/10 22:21:09
>>184
たしかにw
言われるまで気がつかなかったyp

186:名無しさん、君に決めた!
09/06/12 00:12:11
>>181
取り敢えず
 ・専門の牧場みたいなところで保護される
 ・野生に戻って群を作って今もどこかで暮らしている
って考えてる

後者の考えは現実的には無理かもしれないが、ゲーム内だしこれぐらいは夢見てもいいだろ
鬼畜SSばっか投下してるが平和に暮らしてて欲しいってのが俺の思い

187:寝る前に
09/06/17 00:40:14
かつて私は2LVにして生まれた一族の恥…皆に嫌われ、いつも逃げていた。
草むらで震えていた私を一人の少年が救った。
私の寂しさを感じとったのか、彼は無言でボールを差し出した。拒む理由などなかった。

私は命の恩人かつ初めての仲間である少年に全力で尽した。
逃げずに闘えることが嬉しかった。

旅は進んだ。私は一人前のバタフリーとなりあの頃のヒトカゲも翼を得た。
少年はかなりの遣り手であり、敵わぬカは技で捌き勝ち進んだ。

一年の旅は終わった。「けじめ」で少年は皆に別れを告げた。バタフリーLV68のデータも最期である。真のトレーナーよ、さようなら。

188:名無しさん、君に決めた!
09/06/18 18:01:40
>>187
乙!

187の昔話と予想し、187自身のリアルでのケジメだったのかなぁと思ったが...
深読みしすぎかな?w

189:奇妙な話をお一つ
09/06/20 14:48:11
 ○○というポケモントレーナーが居る。
 かつてタイクーンやブレーンといった、バトルフロンティアに君臨する王者たちを薙ぎ倒した男。それだけに飽き足らず、カントーからシンオウに至るまでの全てのリーグを制覇し、あまつさえ外国にまで乗り込みその強さを如何なく発揮した。
 その知識と技量は幅広く、戦略戦術に飽き足らず育成にすらも一言どころか二言も三言もある。「最強」と呼ぶに相応しい。文字通りのポケモンの「天才」と言える男だ。
 興奮が収まらなかった。幼い頃に俺が憧れ、尊敬し、そして越えたいと願った。その伝説のトレーナーが、今俺の目の前に居る。禄でもない噂話と切り捨てずにここまで足を運んでよかった。俺は素直にそう思った。
 奴は光もほとんど射さぬ洞窟の中、地底湖の中ほどにある大岩に腰掛けて顔を覆っていた。

「ミロカロス。波乗り―」

 俺はミロカロスに跨ると、地底湖の上を真っ直ぐに中洲に向けて進んでいった。途中でゴルバットなどが飛び出してきたので、冷凍ビームで撃ち落してやる。羽の凍りついたコウモリはすぐに暗い水底へと沈んでいった。
 俺が大岩に足をかけても、奴は身じろぎ一つせずに膝を抱えて顔を伏せていた。まるで親か何かに怯える子供のようにも見える。


190:奇妙な話をお一つ
09/06/20 14:56:02
「おい―」

 俺が何度か呼びかけると、枯れ木のような風貌の奴はさも大儀そうにその顔を持ち上げ
た。一瞬、息を呑む。髑髏のように落ち窪んだ双眸とこけた頬。かさかさに乾ききった半
開きの唇からは微かな響きを伴った呼吸が漏れ聞こえる。
 痩せて不健康極まりない様相だが、かつて俺がテレビや雑誌で、あるいはポスターで見
かけた奴のかつての面影が残っていた。少なくとも、死体では無かったことに若干の安堵
を覚える。
 濁った汚泥のような奴の両の瞳が俺に注がれていた。

「俺はポケモントレーナーの―という者だ。トレーナー、○○。あんたのかつての経歴は知っている。俺と手合わせ願いたい」

 俺の言葉にも奴は白痴の様な表情を浮かべたまま、ぽかんと口を開けて俺の顔を見つめ
ていた。話が通じているのか不安を覚える程長い沈黙の後、奴は薄気味悪いと感じるほど
歪な笑みを浮かべた。

「……もうポケモンバトルはやってないんだ」
「嘘をつくなよ。じゃあそこにあるのは何なんだ」

191:奇妙な話をお一つ
09/06/20 14:57:07
 さらに近づいてみると分かった。膝を抱きかかえるようにして座っている奴の体の上に
は一個のモンスターボールがあった。奴は顔を伏していたのではなく、その一個のモンス
ターボールをまるで抱きかかえるようにして座っていたのだ。
 しかし、たった一個とは―。かつての奴は常に限度一杯のポケモンを持ち歩いていた
し、並み居る強豪たちにも使える限りのポケモンを駆使して戦っていたはず。
 目の前に座り込むこの男が表舞台から姿を消し、メディアにも姿を現さなくなって数年。
俺は今更ながらに、この男がどういう軌跡を辿りこんなナナシの洞窟の奥に鎮座するよう
になったのか、と漠然とした疑問を抱いた。
 はっとする。先ほどまで、震える幼子のように座りこんでいた奴が俺に向かって右手を
差し出していた。立ち上がりたいのか? 俺がその手を取ろうとすると奴は首を横に振っ
た。

「ポケモンを……見せてくれ。ボールの、まま……でいい」

 自分でも驚くほど素直に俺は自分のポケモンの入ったボールを差し出していた。差し出
したボールには俺の切り札とも呼べるポケモン、ボーマンダが入ってる。物理、特殊の二
刀に加え、積みと呼ばれる自己強化技も兼ね備えた俺の自慢のポケモンだ。
 俺の前で奴はさも愛おしげにボールを撫でながら、その中に座する俺の相棒に視線を注
いでいた。

「強い……強いねぇ……。これはぁ―」


192:奇妙な話をお一つ
09/06/20 14:59:19
奴は小さく息を吐くと俺の手にボールをそっと乗せた。

「……ブリード&リリース、だね?」
「無論だ。固体値はALL31、通称6V。自然には返せない」

 俺はボールをベルトに戻しながら答えた。
 「ブリード&リリース」とはポケモンの育て方の一つだ。ポケモンにタマゴを産ませ、
そのタマゴを孵す。その子供の個体値が高ければポケモントレーナーが育て、低ければ野
生に帰すというものだ。
 個体値というものは、才能とも素質とも言い換えられる。ポケモンが野生で生きる分に
は、高個体値というものはそうそう必要なものではない。精々3V程度もあれば群れを作
るにしても、一個体で生きるにしても十分すぎるものだろう。
 平均とも言える能力を持つ野生の彼らの中に、6Vや5Vといった頭抜けた個体が溢れ
たらどうだろう。強すぎる素質を有する彼らは、ともすれば生態系のバランスを崩しかね
ないのだ。さらに野生のポケモンは人を襲うこともままありえる。野生のポケモンは弱い
ままで居た方がよいのだ。
 本当に強いポケモンが必要ならば、トレーナーが産ませ育てるべし。故に高能力のポケ
モンはトレーナーによって管理すべきで、それに満たぬポケモンは自然環境保全のために
野に帰すべき。
 野生ポケモンはトレーナーの有するポケモンで倒せる程度に弱く、またその弱さによっ
てお互いの環境維持にもなる。この画期的とも呼べるポケモン育成方法を提唱したのは他
ならぬ、ここにいる奴なのだ。


193:奇妙な話をお一つ
09/06/20 15:01:31
「ブリード&リリース……。ポケモントレーナーにして、ポケモントレーナーと何とかけ
離れたものだろうねえ……?」
「おかしなことを言うな? ブリード&リリースはあんた自身が実践し首唱したものだろ
うに」

 奴の自虐的な物言いは分からないでもなかった。かつて奴がこの育成方を提唱した時に
も「選民的である」「高能力ポケモンを選出など機械や道具と変わらないではないか」と
いった反論は至る所から噴出した。
 だがそういった反論も、高個体値ポケモンが一匹居るだけで、その地域の生体バランス
が危うくなることが証明されると、まるで掌を返すように消えていった。今では高個体値
ポケモンを故意に野に放った場合には罰金まで科せられる。
 俺は自分のモンスターボールを取り上げた。そろそろうんざりしてきたのだ。俺はこん
な湿っぽい洞窟の奥くんだりまで、ただお喋りにきたわけではない。

「そろそろ始めようぜ」
「……言っただろう。ポケモンバトルはもう、やめたんだ」

 奴はさっきまでとはうって変わって、はっきりした声音で拒否した。

「ふざけるな!」

 だが俺だって引き下がる心算は無い。俺が強くなったのは。否、俺が強さを目指したの
はこの目の前に居る男がいてこそなのだから。


194:奇妙な話をお一つ
09/06/20 15:03:11
「俺を失望させるなよ! 最強のアンタを追って、俺はここまで来たんだ! アンタと同
じ軌跡を歩んだッ! 全リーグも制覇した。フロンティアも叩き潰したッ。海外にも渡っ
た! 後はお前だけだ! ○○ッ! さあ! 俺と戦えッ!!」
「……君は、ポケモンが……好き、かい?」

 俺の頭がカッと熱くなるのが分かった。矢も盾もたまらなかった。この期に及んで、こ
んな戯言を吐かれるとは―。
 気づいた時には振り抜かれた俺の右手が、奴の横っ面を殴っていた。

「……痛い、なあ」

 奴の左頬が赤く腫れている。急に殴り飛ばされたにも関わらず、奴の右手には先ほどま
で奴が後生大事に抱えていたモンスターボールがあった。

「見ろよ! アンタの右手を!」

俺は咆えた。

「アンタはやめたなんて言っちゃあいるが、その右手に握り締めるモンはなんだよ? ア
ンタはポケモントレーナーなんだよ! どこまで行ってもだ! さあ戦え! 俺とッ」

 奴はしばし瞳を伏せると、やがて「分かったよ」と小さく呟いた。


195:奇妙な話をお一つ
09/06/20 15:05:23
「でも……今はこの一体しか居ないからね」
「ならば一対一だ。俺のボーマンダとアンタのポケモン―行くぞ」
「いや……。君は六対全部使うといいよ……」
「笑止! 寝言はボーマンダを倒してから言うがいい!」

 ボールから閃光が迸り、光の塊が四足の龍を形作る。光源の中から姿を現した俺の相棒
は高らかに雄たけびを上げた。その声だけで湖面が泡立ち、洞窟が振動する。
 対する奴のポケモンは―。
 白い外観の人型のポケモン。そいつは俺のボーマンダの両の翼から繰り出される突風を、
まるで奴から遮るようにして立っている。そのポケモンの名前が分かると同時に俺は生唾
を飲み込んで武者震いに震えた。

「―ミュウツー!」

 奴は既にミュウツーの後ろに位置する平たい石の上に腰を下ろしていた。指示すら出す
必要が無いというのだろうか?

「舐めやがってッ! ボーマンダ、竜星群」

 その時には全てが遅かった。身を切り裂くほどの強い冷気が辺りに充満していた。息を
吸い込んだ瞬間に鼻の奥に鋭い痛みを感じる。俺の視線の先で白銀の氷の飛礫に翼と体を
撃ち抜かれた飛龍が、ゆっくりと力なく水面に倒れ伏していく。
 ミュウツーが放った、凄まじいまでの冷気は俺のボーマンダを射抜きその身を凍りつか
せたばかりでなく、その湖面ですら凍りつかせていた。

「……今のは吹雪だよ。それと君、鼻血出てる」

 俺の足元にぼたぼたと赤い液体が滴り落ちる。白く凝結した岩の上で、その赤は鮮やか
に、くっきりと俺の目に映えた。


196:奇妙な話をお一つ
09/06/20 15:07:14
「戻れ、ボーマンダ! 行けっ、ミロカロス」

 ボールから飛び出した水龍は氷の途切れた場所から、素早く水中へと身を隠した。直後
にミュウツーの放った強烈な念波が凍りついた水面をクラッカーの様にグシャグシャに打
ち砕いた。
 懐から取り出したデバイスに目をやった俺は驚愕に震えた。すでに俺のミロカロスのH
Pは半分を切っている。

「バカなッ―。水中だぞ? 直撃は免れたはず……」
「……お陰で氷も割れた。さあ―ミュウツー」

 奴の言葉に応じるようにミュウツーが自身の両の手を胸の前にかざした。瞬間、中空に
唸りを上げる光球が迸る。プラズマ現象だ。気体に電流が流れることにより発生し―。

「ミ、ミロカロス! もどれぇーーーッ」
「……遅い」

 巨大な光球から見るものの目を引き裂かんばかりの閃光が走った。湖面が波立ち、煽り
を喰らった魚やらが腹を上にしてぷかぷかと浮き上がる。生物としての許容量を遥かに越
える電圧をかけられた彼らの体は破裂し湖面は真っ赤に染まっていた。それらの死体に混
じってぴくりとも動かないミロカロスが水面を漂っている。

197:奇妙な話をお一つ
09/06/20 15:10:04
 ここから先はよく覚えていない。それから俺のポケモンは六匹中五匹が瀕死となり、残
る一匹であるメタグロスも死に際とと言うところで、ようやく奴のミュウツーの技とHP
が尽きた。持ってきた回復薬も使い果たし、鞄の中身は既にスプレーと穴抜けのヒモくら
いしか残っていない。
 立ちはだかる俺の目の前で、奴は満身創痍で横たわるミュウツーを膝に抱いていた。奴
の病人のような様相と奴のミュウツーを覗き込む表情に俺は微かな違和感を覚えた。奴は
自分の傷だらけのポケモンを抱きかかえているはずのに、これっぽっちも心配だとか労り
だとかそういった感情が感じ取れなかった。

「強いな……。アンタ、やっぱり強い」


俺の呟きに奴は顔を上げた。奴の顔を見て俺はぞっとした。奴の顔には最初に話した時に
目にしたようなねじれた、見る者が吐き気を催すほどの奇怪な笑みが貼りついていた。

「……おめでとう。僕に勝ったね。おめでとう」

 奴はまるで壊れたレコードのように「おめでとう、おめでとう」を繰り返し始めた。録
音した音のように抑揚の無い声だった。奴の手を見て吐き気を催した。奴の手はミュウツ
ーの、ああ、ミュウツーの引き裂かれた傷口の上で蠢いていた。奴の指が傷口を穿り返し、
その肉を抉るたびにミュウツーが力ないうめき声を上げる。
 俺はぶつぶつと口を動かす奴の手からミュウツーの入っていたボールを奪い取ると、そ
の中にミュウツーを戻した。無理やり奴のぬらぬらと赤く濡れる手にミュウツー入りのボ
ールを押し付け、その両肩を掴む。奴の両目は俺を見てはいない。肩を握る手に力を込め
無茶苦茶に揺さぶった。

198:奇妙な話をお一つ
09/06/20 15:12:07
「おい! おい……。どうなっちまったんだよ! あんたは? 俺が憧れてたあんたはど
こいっちまったんだよ? いつも輝いてて、強くて、最強で天才のトレーナーだろ? あ
んたに何があったんだよっ……どうしちまったんだよ……」

 やるせなかった。認めたくなかった。これがかつて俺が畏敬の念を抱き、その高みを目
指したいと思った男なのか。俺が無理に戦いを強要したせいでここまで壊れたのか? い
や、初めに話していたときからどこかおかしかった。何がこの人をここまで変えてしまっ
たんだ。わからない。わからない、わからないっ。

「……声が聞こえるんだ」

奴の口が動いた。

「……声が……聞こえるんだ。俺たちを、強くしろと。もっともっと強くしろと。声が言
うんだ。もっともっともっともっともぉぉっとぉぉ……おぉっぉ」
「何だ? 声って何だよ? 何を言ってるんだ」
「……おかしいとは……思わないか? 思わなかったか? おかしいんだよ。 おかしい
んだ……」

 奴の両肩を掴んでいたはずの俺の両手は外れていた。しかし奴から離れられない。奴の
両手が、俺の手首を強く握って離さないのだ。奴の俺の腕を握る手がヌルヌルする。奴の
指の間から、まだ乾いていなかったミュウツーの体液が滲み出た。やめろ。おれの手に滲
みこませないでくれ。

199:奇妙な話をお一つ
09/06/20 15:14:21
「……おかしいんだ……おかしいんだよ」
「何がっ! 一体何がおかしいって言うんだよっ」

 俺は何とか奴の手を振りほどこうともがいた。しかし奴の枯れ木のような手は、まるで
万力のように俺の腕を捕まえて離さない。

「何で……なんでポケモンは戦うんだと思う? 人間に戦わされるんだと思う? 何で人
間は……ポケモン同士を戦わせるんだと思う?」
「知る……知るかよ、そんなことっ。頼むから離してくれよ、なぁ―」
「……なんでポケモンは戦うんだと思う? 戦うんだと思う? 何でだ……?」
「そ、そんなのっ。野生の動物だってみんな戦うだろうがっ? 烏も蟷螂もライオンもゾ
ウも、戦うだろ? エサをとるためとか縄張りとか、いろいろあるだろそんなんっ!」

 もう俺は泣きそうだった。奴に握り締められた手首から先の感覚がない。そんな状態の
俺にも構わず奴は続けた。

「……野生動物とはちがう。ポケモンは違う、違うんだ。奴らはなぜ、人間の手によって
戦いあうんだ? おかしいだろ」
「闘鶏とか……闘犬とか、居るだろ? ポケモン以外にもさ」
「……そうじゃない。それらは違う。犬の一部とか。鶏の一部とか……限られた種に限ら
れる。ポケモンは……違う。ポケモンは、魚だろうと犬だろうと猫だろうと何だろうと、
種族が違っても戦う。餌としてじゃない……ポケモンは被食者が捕食者と戦う。おかしい
とは思わないか? 普通、虫はライオンとは戦わない。ライオンも虫と戦わない。だがポ
ケモンは……違う―」
「だから……それは、人が―」
「何で人はポケモンをたたかわせるんだぁぁああっぁっっ?」
「知らねえよっ!」



200:奇妙な話をお一つ
09/06/20 15:17:50
 怒鳴った拍子に腕を思い切り振った。先ほどまでの抵抗が嘘のように俺の両腕は奴の手
から解放される。勢い余って、俺は盛大にしりもちをついた。痛む尻を引きずって、奴か
ら何とか距離をとる。
 奴はまるで糸の切れたマリオネットのように、両手と両足をだらんと伸ばしたまま石の
上に座り込んでいた。追ってくるかとも思ったがどうやらその意志はないようである。そ
もそも奴に奴の意志が残っているのかすら怪しいが。
 手首にくっきりと残った血の手形をさすっていると、奴がまた口を開いた。

「……不思議に思ったことはないか? あるポケモン同士は……住む場所や生体系、そう
いったものが重なれば、たとえ姿かたちが違っても……卵を作ることができる。……ある
特定の、ポケモンは……どんな種族とでも……タマゴを作れる」

 奴が何を言いたいのか、俺にはさっぱり理解できなかった。何か奴にとって大事なこと
を言おうとしているのは分かった。ただちぐはぐで、つぎはぎで、あいまいで全くもって
理解できない。少なくとも一つだけ分かることがあった。
 奴は気狂いだ。つまり奴にとっての大事なことなんて、常人にとっての芥ほどの価値す
らない。これ以上話していても無駄だろう。むしろ危険だ。一刻も早く俺はこの場所から
立ち去りたかった。

「……姿かたちがちがっても、子を為せる。まるで……そう……にんげんの、ような……。
昔……博士が言ってた。しんかする……ポケモンは生物として不完全だから、進化する…
…のか? ならば進化しないポケモン、は完成形? ……ちがう。そうじゃ、ない」

 まだ何かぶつぶつ言っている。無視して俺はかばんの中を探った。穴抜けのヒモの陰に
隠れて、使われなかったげんきのかけらがまだ一つ残っているのに気がついた。
 奴のこの様子では、奴のミュウツーがちゃんと回復してもらえるかも怪しい。俺は座り
込んだまま何事か呟き続けている奴から見える位置に、それを置いた。




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