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日刊ゲンダイ2008/11/26 田中康夫 奇っ怪ニッポン
『闇の子供たち』を突き落とすな
「全会一致」で衆議院を既に通過し、参議院本会議でも28日(金)に可決予定の「国籍法の一部を改正する法律案」は、
本年6月4日の最高裁判所大法廷に於ける「違憲」判決を受けて、
父母が婚姻していない子にも届出に拠る日本国籍の取得を可能とするものです。
日本人男性と外国人女性の間に生まれた子は、その父母の婚姻が出生後であっても、日本国籍の取得は可能です。
然るに、何らかの「理由」で出生後も婚姻関係に至らぬ父母「闇」の子は、仮に父が生後認知を行った場合でも、
日本国籍の取得は認められていませんでした。それは、平等原則を謳った憲法14条に違反する、との判決です。
然れど、法律の狭間に留め置かれた罪無き子供を救済せよ、と第百七十回臨時国会に提出された筈の今回の改正案は、
看過し得ぬ瑕疵を内包しているのです。
而して、それ故に新たに別の、罪無き子供を奈落の底へと突き落とす蓋然性が極めて高いのです。
当初、懸念されていたのは、偽装認知奨励法案に他ならぬ、との指摘でした。
即ち、実際は父母「間」の子でないにも拘らず、偽装認知を行って国籍を取得する"居直り合法"移民が急増するのでは、との。
が、のみならず、同法案の成立は、人身売買促進法案、乃至は小児性愛黙認法案と呼び得る危険性をも孕んでいるのです。
桑田佳祐氏が音楽を担当。宮崎あおい、江口洋介、妻夫木聡の各氏が出演。8月に公開された映画『闇の子供たち』が問題提起した、
東南アジアの子供達を「輸出入」し、小児性愛(ペドフィリア)の被害者・犠牲者へと貶める、憂慮すべき事態を助長し兼ねません。
それもこれも、婚姻関係に至らぬ父母間の「実子」たり得ると認定する場合の大前提条件である筈のDNA鑑定を、
あろう事か、人権侵害に当たると法務省が拒んでいるからです。
欧州では既にイギリス、デンマーク、ノルウェー、オランダ、フィンランド、ベルギー、ドイツ、
イタリア、スウェーデン、オーストリア、フランスなど12カ国で、DNA鑑定が制度化されているにも拘らず。
仮令、閣議決定の手続を踏んだ事柄とて、至らなさを改むるに如くは無し。
明日(木)の参議院法務委員会で僕は、DNA鑑定制度導入を明記すべし、と質問に立ちます。