08/11/28 00:24:10 6Q9wdr9Z
流れ切ってすみません。
重国籍の問題点についてです。
昭和59年国籍法改正の際の議論です。
国際法上、重国籍は好ましくないとの見解はほぼ固まっている。
1930年の国際連盟による「国籍の牴触についてのある種の問題に関する条約」前文で、
国籍唯一の原則(人はいずれかの国籍一個のみを有すべきである)を明らかにしている。
国連ヨーロッパ理事会では1963年「重国籍の減少及び重国籍者の兵役義務に関する協定」を採択し、
重国籍の解消のため各国が国内立法で国籍の選択制度の設置等を勧告している。
日本においても、帰化の際外国籍を失う旨の規定(5条1項5号)、外
国籍取得の際の日本国籍喪失(11条)、国籍の留保(12条)、国籍選択制度(14条ないし16条)等の規定があることから、
現行の国籍法は重国籍を原則認めない趣旨であると解される。←今回これを見直す動き
二重国籍の問題点としては、(1)国際法上の問題、(2)国内法上の問題をあげることができる。
(1)について
兵役義務・義務教育→複数の国の兵役に服さなければならない/両方の義務教育を受けるべきなのか
犯罪処罰→複数の国の法律による二重処罰の可能性
外交保護権の衝突→国際紛争の原因となる可能性(フジモリ大統領の例はこれ?)
政治的影響力→一定地域に集団で住んでいる場合の政治的影響力/重国籍者が重要な政治ポストについたとして、国同士の関係が悪化した場合の政治的問題
(2)について
国内法上、重国籍者に大きな差を設けているものは少ないが、解釈による資格制限の可能性がある。
・明文規定があるもの
重国籍者は外交官になれない→外務公務員法7条
・明文規定がないもの
重国籍者が国外において選挙権を行使している場合に、日本での選挙権を認めてよいのか
重国籍者に被選挙権を与えるべきかどうか
就学の権利を認めてよいか(義務教育の裏返し)
出典
ジュリスト790号62ページ以下(1983年)
座談会「国籍法改正に関する中間試案をめぐって(下)」
田中康久法務省民事局第二課長(当時)発言
塩野宏東京大学教授(当時)発言
宮崎繁樹明治大学教授(当時)発言
参考サイトURLリンク(www.asahi-net.or.jp)