08/11/17 21:48:22 ZV6abxKF
零細企業には仕事が回ってこなくなる
以下は『ワーキングプア 日本を蝕む病(NHK)』より引用
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シャッターの張り紙には「ご愛顧ありがとうございました」といった言葉とともに
「破産」「倒産」の文字が並んでいた。
廃業を決意した田村さんも、自ら命を絶った堺さんも、業績が決定的に悪化したのは、
ここ三年ほどのことだ。その間、海外の製品との価格競争になんとか耐えてきた中小
企業に、新たなるグローバルの波がおしよせてきていた。低賃金で働く外国人である。
彼らは最低賃金を下回るわずかな額で、長時間働かせているケースが全国であとを
絶たない。人件費を削るための安い労働力として利用されているのだ。
業者間で際限のない競争が始まる。
「あそこの業者がいくらなら、うちはそれより安くやる」という具合だ。
競争の犠牲となるのは利益の出ない仕事を押しつけられる、下請け、孫請けだ。
ここ数年で中小企業を追い込んでいったメガニズムがここにある。
<<中略>>
日本ではわずかな賃金であっても、中国では大金となる。
<<中略>>
それでも井上さんの暮らしは苦しいままだ。中国人を使う業者が増えてさらに競争が激しくなり、
工賃が下落し続けているためだ。井上さんのような零細企業は生活を成り立たせるために、
違法な待遇で中国人を使ってきた。その結果として工賃はさらに下落していき、
働いても働いても、収入が増えない状況が続いている。
負のスパイラルが深く進行している。
今、岐阜の繊維業界は、中国人を低賃金で働かせることを前提としたような極めて低い工賃が横行している。
中国製品との価格競争にはなんとか耐えてきた業者でも、もはや限界に達しつつある。
「別の業者はこの金額で請け負っている。服部さんも中国人を使ったらどうか」
中国人が事実上の労働力として急激に流入した岐阜は、日本の将来の姿とも言える。
そこで起こったのは、外国人労働者に対する不法な低賃金をベースに、
日本人の賃金も急激に低下し、ワーキングプアが生み出されるという負の連鎖だった。
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(r.t.b.)