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●「剣豪小説」報道を抜け出せ―コラムニスト・小田嶋隆
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日本のスポーツ報道は、剣豪小説だ。人間対人間の戦いの延長に、
チームの勝敗があるのが基本になっている。だから、
スポーツ紙の見出しは人名を中心に作られ、スターにスポットを当ててドラマを展開する。
私はこれを日本のスポーツ報道の「スターシステム」と呼ぶ。
投手と打者が1対1で対戦する野球では、この形式は有効にはたらく。
しかし11人が連携して動き、攻守が瞬時に入れ替わるサッカーを語るには適当ではない。
今大会の日本代表はスター不在で魅力がないと言われているとしても、
それはスター不在のチームの描き方が分からないからだ。
タレントを呼んだり、イケメン選手を追いかけたりといった本筋と関係ないサッカー
の取り上げ方もみられる。「スター不在」は、スターシステムが招いた嘆きに過ぎない。
メディアと一緒に嘆いても仕方ない。W杯を、サッカーの観戦眼を鍛える絶好の機会ととらえたい。
別に難しいことじゃない。今大会では、一つの試合を熟練のカメラマンが操る30台ものカメラでとらえる。
サッカーを熟知したディレクターが映像を切り替えていく。
ボールばかりを追いかけるのではなく、例えばパスが出るタイミングで、
カメラを引いてサイドを駆け上がるFWを画面に入れてくれる。
いやおうなく、パスのコースや試合の流れの背後まで教えてくれる。
経験を積むと分かることが、観客にもある。野球中継で打球が右翼線方向に飛べば、
打球が映っていなくても二塁打だと分かる。一塁走者は生還できるか、と考えを巡らせる。
これは野球を見る経験を積んだからだ。サッカーの見方が分かるようになれば、
スターがいなくても、日本戦でなくても、十分楽しめる。