10/03/26 22:13:51 6EyJYLcv
記者の目:点字受験の機会を保障せよ=遠藤哲也
自分の使う文字を否定され、何事にも挑戦する前に「無理だ」と決め付けられる。こんな仕打ちは、誰にとっても、耐えられないはずだ。
目の見えない人にとって、指先で読みとる点字は、かけがえのない文字である。国内唯一の週刊点字新聞を発行する毎日新聞は、
転落事故の絶えない駅ホームの危険性など視覚障害者を取り巻くさまざまな問題を報じてきた。その中で私が強く疑問に感じるのが、
地方公務員の採用試験の実情だ。点字受験を認めている自治体は全国で6割弱にすぎない。「働くことは無理」と、試験に挑戦する
スタートラインに立つことさえ、地域によって許されていないのだ。鳩山民主党は、障害者差別禁止法の制定を政策に掲げる。
公務員試験での差別的な現状を早急に是正すべきだ。
「障害のない人からすれば当たり前すぎることさえも、権利主張しなければ勝ち取ることができないことこそ、障害者にとって、
体の不自由さ以上の『障害』であるように思います」。全盲の保育士の小山田みきさん(32)=大阪市=の言葉が忘れられない。
私立保育園に勤務する小山田さんが、昨年度と今年度の大阪市の保育士採用試験に申し込もうとしたところ、
点字受験を拒否された。この問題を毎日新聞で昨夏報道後、同市は一転、点字受験を認めた。受験のスタートラインに
ようやく立つことができた時、小山田さんが述べた感想だ。
小山田さんはその後、今年度の試験に挑み、残念ながら合格には至らなかったが、「障害者にとって、体の不自由さ以上の
『障害』」という彼女の指摘は、障害のある人の人権を考えるうえで、重要なことを示唆していると思う。
未熟児網膜症のために光を失った小山田さんは、自身の幼稚園での楽しい思い出が心に残り、「保育士になりたい」と
京都の短大に進学。念願の保育士資格を取得し、私立保育園で既に8年の実務経験を持っていた。私立では1年単位の契約職員だったため、公立保育所を希望した。
しかし、受験資格を満たしているにもかかわらず、08年度の採用試験では「視覚障害者が働く職場は確保されていない」と
大阪市から門前払い。今年度も当初は取り合ってもらえなかった。
URLリンク(mainichi.jp)