彼の家に行ったら玄関にしゃがんだガイルがいたat GSALOON
彼の家に行ったら玄関にしゃがんだガイルがいた - 暇つぶし2ch572:ゲーム好き名無しさん
09/02/09 02:13:15 rZb4k+MM0
~そのころ~

院長「さあ、鋼鉄のハンマーとサイコ・パワーの絶妙コラボレーション攻撃……どこまで耐えられるかな!?私をボコボコにした罪を贖ってもらおう。
 どつき回して、しばき倒して、血ィぶちまけてブッ殺したあと、強力な洗脳を施して我が組織の兵隊にしてくれるわ!彼女のようになっ!!」
キャミィ「…………フフッ」
不気味に笑う女戦士。あぁ、そーかい。アンタも洗脳とかされたクチかい。それはそうと。
クリス「アタシに指図していいのは、パパとママだけだゼ!?誰がこんなスットコドッコイ共の一員になるかい!」
院長「チミの死体に遺伝子操作とかサイボーグ手術を施して、尻から破壊光線を出す怪人さんにしてあげよう。ファハッハッハッハ!!」
アタシは自分が尻から殺人ビームを出す光景を想像し、いろんな意味で戦慄した。
クリス「嫌ぁ!!お嫁に行けなくなっちまうじゃね~かッ!?」
冗談じゃねぇよ!!咄嗟の判断で先ほど落としてしまったサイファーの方に飛ぶ。
院長「甘いッ!伊勢名物・赤福餅より甘いぞッ!!」
シュバァ!!院長の手から得体の知れないエネルギー球が放たれ、アタシのプラズマ光剣をさらに向こうへと弾く。
キャミィ「ウワッチャーー!!」
振り下ろされる極鎚・ジャガーノート!!速度こそないがまともに喰らったらただじゃ済むまい。
院長「甘い甘い!!越後名物・笹団子より甘いぞッ!!」
エネルギー球体を十重二十重と繰り出す変態中年!!パーン!!
クリス「ウグッ!?」
2,3発被弾してよろめくアタシ。ヤバッ。ダメージは大してないがハンマーが来る!!
アタシは転がってその場を緊急回避。ドスーン!!予想どおりキャミィの一撃が畳を穿つ!

クリス(やべぇ。マジヤベェ。どーするよ。この絶体絶命な状況。)

院長はあくまで牽制に徹し、そこへハンマーの一撃が来る。
避け続けたとしてもいずれこっちが疲れ果てていつかはもぐら叩きみたいにされる。隙がねぇ。
クリス「クソッタレっ!」
アタシはサイファーを置き去りにしたまま、この場を離脱することにした。襖を蹴破ってさらに奥の部屋へと逃走する。

キャミィ「逃がすか!!」
院長「あっちは行き止まりだ。ゆっくり追い詰めてやろうじゃないか。」

573:ゲーム好き名無しさん
09/02/09 02:14:12 rZb4k+MM0

奥の部屋……その中央に『アタシ』は佇んでいた。行き止まり。もう逃げ場はない。

院長「ぬふふふふふふ。諦めたか。良いねぇその無表情。遺言があれば聞こうか?」

クリス『…………』

院長「おやおや、絶望のあまり声も出ないか。可哀想に、せめて私自ら引導を渡してやろう。」

不気味なオーラを身にまとい、緑色に発光する院長先生。

「サイコ・クラッシャー!!!」

ズゴッ!!『アタシ』は胴を貫かれ、四散した……!!

574:ゲーム好き名無しさん
09/02/09 03:06:10 rZb4k+MM0
クリス『残念……は・ず・れ!』
院長「な、何ぃ!?う…うっそー!!??」
ペタンと腰を抜かす院長。
絶命したハズの『アタシ』が喋った事でドびっくりしたのかガタガタ震えてやがる。案外小心者?
ビュウウウウン!!『アタシ』の姿がかき消える!!
クリス『忍法・身代わりの術!!』
それを言うなら、かわり身の術では?間違いじゃないけど。
ロック「正解は俺様でした!!」
そこに現れたのは、浮遊するサッカーボール大の機械とそれに取り付いた青いヘルメットの生首。
そう、この生首「ロック」はあらゆる機械を支配下に置く事ができる。そして……
院長「私が貫いたのはホログラフ発生装置……!?」

正解!!院長をタコ殴りにしたとき使用したもの。ほとんどスクラップ同然だったけど。
実は持ってきちゃってたのよね。要はほんの少しの間、目を欺ければ良かったのよ。
院長「じゃ、じゃあ本物はどこに……!?」
ここよ!!返事をする代わりに、院長に向かって猛烈なダッシュをする。
アタシが息を潜めていたのは入り口のかげ。
部屋のど真ん中に『アタシ』の虚像が立っていたおかげで完全な死角になってたわけさね!!
ロック「ヘイ!パ~ス!!」
サイコクラッシャーアタックを喰らって今度こそ完全にスクラップになったホログラフ発生装置。
それを器用に触手で投げてくる生首ロボット。ナイス・パス!
アタシはジャンプして空中でキャッチ。そのまま腰を抜かしてへたり込んでる院長先生の頭めがけて……
クリス「ダンク・シュートォォ!!」くたばれやコラ!

院長「フゴウッ(鼻血)!!ひ、卑怯な……一対一(サシ)の勝負だから手を出すなとか言って…なかっ…た!?」

クリス「はん。ざけんじゃねぇ。勝負の最中どこぞの変態おぢさんが乱入したおかげでこんな手を使う羽目になったんだよ。」
ロック「嘘八百。最初ッから、俺様をぶんなげて注意を逸らしておいてこの方法を使うつもりでええぇ~~……」
アタシはロックを向こうの部屋にぶん投げた。お喋りめ。

キャミィ「……これは!!」
それと入れ替わりでキャミィが入ってくる。重いハンマーを担いでるせいで遅れたようだが。命取りだったな。
クリス「残念ながら、院長先生は倒しちまった。次はてめぇの番だぜ。」
キャミィ「貴様……!!」


575:ゲーム好き名無しさん
09/02/13 00:40:47 /RwDGL/d0
キャミィ「ぬりゃぁぁぁぁ!!」
巨大な破壊鎚を振りかざし突進してくる女戦士。ヤベェ。アタシは手近なものを見回す。
院長「へっ……?」
その場に転がっていた変態ドクター、院長先生の足をむんずと掴む。
クリス「どっせぇぇーい!!」
アタシは院長先生の体を人間ハンマーに見立て、キャミィの攻撃に応戦する!!
キャミィ「トァッ!!」
唸りを上げる鋼鉄の塊!!負けてはいられない!!
クリス「何の!!」
こちらの人間凶器も唸りをあげて、キャミィの攻撃を受け止める。
院長「ちょ……待っ……」
ドウブシュ!!
果物を床に叩き付けたような音が響く!!だがきっと気のせいだ!!
やはり、ハンマー同士の重量に差があったようだ。攻撃を受けた止めたものの、アタシはよろけてしまう。

キャミィ「フゥン!!フゥン!!ハァッ!!」
二撃、三撃とアタシを追い詰める巨大な鋼鉄の顎(あぎと)!!重い攻撃はいなすので精一杯。
ズブシュ!!ズブシャ!!ドグシャアアッ!!
ハンマーとハンマーの打撃音だけが響き渡る。
誰かさんの肉とか骨がコナゴナになった音がしたが、これまた気のせいだろう。多分。

奴の攻撃後の隙に距離をとる。重量があるだけに体勢を立て直す時間が必要らしい。
クリス「クソッ。このハンマーもう切れ味が落ちやがった。」
見るとアタシのハンマーは全身が砕けておりクラゲみたいにグニャグニャだった。
キャミィ「ウオリャァ!!」
そこへ、全重量をかけた一撃を放つべく突進してくるキャミィ。一か八か!!
アタシはハンマーを持ったままその場でグルグル回転!ジャイアントスウイングの要領でハンマーを投げつける!!




576:ゲーム好き名無しさん
09/02/13 01:54:03 /RwDGL/d0
クリス「とりゃー!!」
勢いよくアタシの手から放たれキャミィに向かう人間魚雷!!もとい、院長先生!!
キャミィ「ふんぬ!!」
べちこーん!!エースバッターのごとく簡単に打ち返される人間魚雷!!
キャミィ「無駄だ……ッ!?」
もとから無駄に終わるなんて承知の上だよッ!キャミィの打ち上げモーションの横をスライディングで抜ける。
そのまま、袋小路のこの部屋から鮮やかなタイミングで隣の部屋にダッシュ!!盗塁王と呼んでくれ。
キャミィ「させるか!!」
そのままクルリとこちらに反転して追い上げようとする怪力女。だが、
キャミィ「きゃっ!!」(ズルッ)
奴は先ほどの人間ハンマーが撒き散らした血で滑ってこける。
キャミィ「く、小ざかしい。だが……どこへ逃げようとも必ず追い詰めてやる。」

クリス「いんや。逃げる気なんてサラサラ。」
隣の部屋、アタシはキャミィの方を見たまま、先刻置き去りにしたアタシの得物を足で蹴り上げ、
空中でパシッと取る。アタシの手に収まったプラズマ兵器を見て、キャミィの顔色が変わる。
キャミィ「なっ……。」
あわてて起き上がろうとするが、もう遅い!!
サイファーのグリップを握る!ブウンと光の刃が咆哮をあげる!!
「来いーーーッ!!ローーーック!!」
これまた先刻投げ飛ばした生首ロボットを呼ぶ!!
ロック「アイヨ」
タコみたいにピョコンとアタシの光剣に飛び乗り、その触手をサイファーと接続する。
あらゆるマシンの力を操り、引き出せるオメーのチカラを見せてやんなッ!!
ロック「限定解除!!プラズマ・ブレードは今最高に熱いゼ!!」
プラズマ光剣がロックのハッキングで安全リミットを越え、すさまじい光と熱を放出する!!
クリス「地獄に……落っこちなッッ!!」

アタシは巨大なエネルギーの剣をキャミィに叩き付けた!!



577:ゲーム好き名無しさん
09/02/13 10:35:09 YOlPvvWzO
院長wwwwwwwwwwwwwww
かわいそすぎるwwwwwwwwww

578:ゲーム好き名無しさん
09/02/20 19:33:44 q+KHxdBa0
~そのころ空中戦艦バルログ・ブリッジ~

メイン・コンピュータを背にサワダは死闘を繰り広げていた。
森子「坊やには死すら生ぬるい。生きた屍として未来永劫ワタクシの肉奴隷におなりッ!!」
魔力の塊が森子の腕から乱射される!!
サワダ「大変魅力的なお誘いですが、こっちにも選ぶ権利がありますから。僕には年が上すぎます。」
冷静に、丁寧に、ソウルフィストを避け、かわし、防御する。そして、あからさまな挑発に簡単に激昂する超越者。
しかし怒れば怒るほど飛び道具の命中精度は落ち、でたらめな方向へと飛ぶ。
埒があかず、サワダを直接叩こうと、距離を詰めてくる森子。
……だが、いまや戦闘の流れは完全にサワダの手中にあった。
サワダ「ちょっと待ってください!!」
森子「遅い遅いおそぉいい!!今更、命乞いしたところで……」
その白く陶器のような腕で、サワダの臓腑(はらわた)を引きずり出さんと、弾丸のごときスピードで飛び込んでくる!!
だが、その軌道はあまりにも一直線すぎた。薄ら笑いを浮かべてサワダは勝利を確信する。
サワダ「じつは、貴女の行く先にドサクサ紛れに仕掛けたC4爆弾が……(カチッ!)」
爆音とともに、衝撃が炸裂する!!
森子「ギャアアアァァァ!!」
予想外の方向からの攻撃!!森子の身体は高性能爆薬の熱と衝撃でバラバラに砕け黒い霧となって散った!!

森子(く…やるじゃなぁい。とはいえこの身体も伊達に不死身ではないわ。)
肉体が消滅してなお、森子の声が直接頭に響いてくる。
(これで勝ったと思わないことね……。必ず……ワタク……シ、は…かえ…って……く……る)

静寂が戻ったブリッジ。サワダは油断なく周りをうかがい。
そしてようやく胸をなでおろした。
サワダ「ゴフっ!?」
だが、激しくむせ、吐血する。
サワダ(あ。ヤバいかも。今の女が本当に帰ってくるとしてもその時まで生きてられる保障はないね。)
おまけに、平衡感覚もおかしくなっている。サワダは立っていることすら困難になり、その場に膝をついてしまう。
……いや!?違う!?サワダは愕然とした。
サワダ「艦が傾いている!?」

これは、一体どういうことだろうか!サワダは周りを見回し驚愕する。
絶望をたたえたその視線の先には、ビーッとけたたましい警告音を響かせる戦艦のメイン・コンピューターの姿が。
サワダ「!!?まさか、戦艦の制御が出来なくなった……!!」
すぐさま、端末にアクセスする。
だが、操作を何一つ受け付けず、そこには、『 DEAD !!』とだけ表示されていた。
サワダ「デッド、死んだ……!?どういうことだ?」
脳裏に先ほど森子が消える前に言った言葉が浮かぶ。
(これで勝ったと思わないことね……。)
サワダは頭脳をフル回転させる。元々、この空中戦艦は彼女の経営する高級リゾートホテルだった。
おそらく彼女は、心音なり脳波なり何らかの生体反応をこのコンピューターにモニターさせていたのではないか?
もし、自分に何かあった場合、機密保持のために戦艦もろとも消滅させてしまうようなセキュリティが施されていたのでは?
サワダの推理を裏付けるように、非常アナウンスがこだまする。
『警告!!警告!! 空中戦艦バルログは動力を停止します。10分後に当施設は動力を失い地表に激突します。
 まあ逃げ遅れたらまず助からないでしょうが、あしからず。』



579:ゲーム好き名無しさん
09/02/20 19:36:22 q+KHxdBa0
~一方~
アタシがかざす極大の光の刃。斜めに構え、袈裟斬りに振り下ろす!!

キャミィ「ぐああああ!!」
奴は肩口まで切り裂かれたものの、そのまま巨大なハンマーのでプラズマブレードを止めようとする。
クリス「ぬあああああ!!」
キャミィ「うおおおお!!」
私とキャミィ。一歩も引かない。ギュイイイイイインン!!耳障りな金属音。
武器と武器が接する部分から、雨あられのように火花が飛び散る。

アタシはコイツには負けらんねぇ。今度こそ勝つ。勝って殺す!!殺して勝ぁつ!!
膨大な熱量の前に極鎚・ジャガーノートが半分ぐらいまで溶断されかける!!
クリス(いける……!!)
キャミィ「ちぃッ!!」
……ぱき!ぱきぱきぱき!!何か硬いものにひびが入るような音が聞こえた。
クリス「ゲッ!!」
プラズマを発生させるサイファーの刃もまた、限界を超えた使用法によって刀身にヒビが入っていた。
クリス(お互いこのまま白黒つけたくもあり、仕切り直したくもあるってか。)
アタシはキャミィの目を睨み付けてやる。向こうも目を逸らさず睨み返してきやがった。
上等だ。こうなったらアタシとテメー。運命が微笑むかすっころぶか!!サイファーが一段と光を放つ!!
……力と力のぶつかり合いに空気が震え、大地まで揺れているようだった!!

キャミィ「む!?」
クリス「なっ!?」
いや、本当に揺れている!?
……ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!轟音が辺りを包む!!
アタシとキャミィは鍔ぜり合いで、引くもならず、進むもならず。
その膠着状態を破ったのはアタシでもキャミィでもなく、床だった。
キャミィ「バルログの自壊モード!?コレは一体!?」
なぬ!?自壊とな!?不吉きわまりない言語に思わず腰が引けるアタシ。
キャミィ「はあッ!!」
そのわずかな隙を突きキャミィはアタシの胸部を蹴り、アタシを吹っ飛ばす!!
ズザアアーー!!アタシはすぐさま起き上がり再び、距離を詰めようとする、が!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ひときわ大きな轟音が響き、大部屋の床が突然二分割される。床と床の間にぽっかりと奈落の穴が姿を現した。
キャミィ「きゃっ!?」
アタシを蹴っ飛ばした不安定な体勢が災いしたのか、超重量のハンマーでバランスを崩したのか、
キャミィはそのままたたらをふんで、奈落の底へ落ちようとしていた。
ロック「勝ったな」
光剣にひっついた生首ロボットがそんなことをのたまう。
クリス「認めねぇ……。認めねぇぞアタシは!!」
言うが早いか、サイファーを床に放り投げ、走り出す!!
アタシの目にはまるでコマ送りのようにキャミィの姿が映っていた。キャミィは後ろ向きに倒れ込み、真っ逆さまに……

580:ゲーム好き名無しさん
09/02/20 19:37:19 q+KHxdBa0
クリス「落とすかよおおおぉぉぉ!!」
ガシッ!!
キャミィ「!?」
アタシは大穴の淵から身を乗り出し、馬鹿女の脚をがっちり掴む。
キャミィの手から極鎚ジャガーノートが滑り落ちた。眼下には漆黒の奈落ではなくなんと高々度から臨むハワイの海があった。
逆さ吊りのままキャミィが問う。
「貴様……なんのつもりだ!?」
んぎぎぎぎぎぎ。さすがにサイボーグ、鉄の塊を引っ張り上げているような感覚だぜ。
キャミィ「答えろ!!どういうつもりだ!!」
クリス「ヘッ……。テメエはぶっ倒す。……だがよ」
ふんぬうううう!!全身に力を込めキャミィを引きあげようとする。
キャミィは大穴の淵に手を掛け、腕力と全身のバネで跳躍し一回転して着地する。部屋の大穴をはさんでアタシと反対側に。
アタシは服をパンパンと払いながら途中だった言葉を繋ぐ。
クリス「だが、こんな終わり方はナシだ。アタシは認めねぇ。テメエはアタシの手で葬り去る。」
サイファーを拾い上げる。呆れた様子で生首がぶーたれる。
ロック「オイオイオイオイ。お前本物の馬鹿か!?あのまま落としちまえば勝てたのに。」
そんなに褒めるなよ。照れるだろうが。

キャミィ「………・・。」
くるりと背を向ける。キャミィ
クリス「あ、おいまだケリはついてねーぞ」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
またしても地響き。そしてアタシとキャミィとの間を挟む穴がさらに開いていく。
キャミィ「この状況では続けられまい。」
そのまま奴は向こう側の扉へと歩を進める。
キャミィ「礼は言わんぞ。代わりとっては何だが教えておいてやろう。ここに貴様の父親はいない、既に別の基地へと移送された。」
クリス「何だと!?」
キャミィ「そっち側の扉の先に非常用脱出ポッドがある。ここで死ぬつもりが無いなら急ぐがいい。」
言われた方を見る。しかしそこにあるのはただの壁だった。
クリス「いや……?」
壁をよくよく見、蹴り倒す。ガコンと扉が外れ隠された通路があらわれた。キャミィの方を振り返る。
だが既にあの女の姿は無かった。

581:ゲーム好き名無しさん
09/02/20 19:38:39 q+KHxdBa0
キャミィは崩壊するバルログの中、司令室に向かって疾走していた。何か不測の事態が起きたに違いない。
「ぐぁぁぁぁ!?」
突然、キャミィを正体不明の頭痛が襲う。戦闘によって受けたダメージとも違う。一体自分に何が起きたのか。
バルログが自壊する中、一刻の猶予も無い。だがキャミィはその場に座り込んで頭を押さえてうずくまってしまう。

キャミィはふと気配を感じた。通路の向こうから誰かが歩いてくる。見覚えのあるその顔は……。
「き、貴様は……!?」
「やあ散歩かい?こんなところで奇遇だね。」
その男は飄々として話しかけてくる。キャミィの心に正体不明の怒りと憎しみがわき上がる。飛び起き戦闘態勢をとる。…が、
キャミィ「キ、キサ…マの…しわざか?…タ…ロ…」
そこまでだった。そのままキャミィは意識を失い倒れてしまう。
「これは……洗脳が解けかけてる?もしかして院長先生の身に何かあったのか……?とはいえ、参ったな。置き去りにする訳にもいかないし。」
昏倒したキャミィを抱え上げ、青年は今来た通路を戻ってゆく。
その男はそう、まだキャミィがごく普通の一般庶民だった時、プラスチック爆弾をプレゼントし、彼女を怒りと憎しみの底にたたき落とした張本人であった。


582:ゲーム好き名無しさん
09/03/01 21:23:47 h4lE5hDU0
クリス「クソッ!揺れが激しくなって来やがった。」
キャミィに言われたとおり、脱出装置を目指す。
ロック「オイオイオイオ~~イ、あんな危険なアマの言うことを信用すんのか?」
頭によじ登った生首が不平不満を垂れ流す。うっさい。
クリス「拳を交えた者同士の勘だ。」
なんつって(笑)。
まあ院長先生ならともかく、あの女の言ってることは本当だろう。空中戦艦の異常事態に本気で狼狽えていたからな。
パパはもうここに居ない。この基地がヤバイのもガチだろう。
ロック「おい、俺様はこの空中戦艦を支配下に置いて、スカイネットばりに人類をへなちょこぷーにしてやる計画が……。」
頭上で機械の触手をパタパタ振りながらわめき散らす。うぜえ。未来でやれ。1億年くらい先で。

クリス「あれか。」
そこには一人乗り用のカプセルがズラリと陳列されていた。手近な奴に乗り込もうとしたその時!
ドゴーーン!!耳をつんざく轟音!!
クリス「きゃっっ!!?」
突如、炎熱と衝撃を背中に受けてアタシの身体が吹っ飛ばされた。
ガス爆発……!?アタシ達が進入してきた通路の後方から……!?
状況を完全に理解する間もなく、アタシはそのまま鋼鉄の床に叩きつけられた。

ロック「このウスノロ!!油断してんじゃねえ。」
アタシの頭から転がり落ちた生首型ロボットがここぞとばかりに文句をつけてくる。……だが、
クリス「……うぅ……っ」
背中に走る激痛!そのあまりアタシは満足に返事することも出来なかった。おそるおそる触れて確認してみる。
「!?」
ぬるりと手に熱い感触。手のひらを見るとべったりと血がついていた。
ロック「いやぁ。じゃりん子も女の子なんだな。今日はお赤飯を……」
バカヤロ!そりゃ下腹じゃ!お下品発言に制裁を加えるべく頭をひっつかもうとして……断念。
クリス「ぐぅぅ……」
背中に走る、焼きごてを当てられたような痛み。爆発の衝撃でビスかなんかの金属片が刺さっちまったのか。
コイツに突っ込むこともままならない。
ロック「オィ!?マジか!?」
毎度の突っ込みが来ないことで、アタシの窮状を察したのか。
うるせーなー。お前ごときに心配されるほど落ちぶれちゃいないよ。
と、言ってやりたいところだったが、アタシ発する声はひゅ~ひゅ~と無様な呼吸音だけだった。

583:ゲーム好き名無しさん
09/03/01 21:24:53 h4lE5hDU0
クリス「ぐ……おおおお。」
激痛をこらえつつ、脱出カプセルにむかってほふく移動する。
のたうち回るのは後だ。うわヤバっ、視界がぼやけてきた。一刻も早くこの場から離脱しないと。
『空中戦艦をご利用頂きありがとうございます。まーだ居残ってやがる皆様。戦艦の動力が完全に停止しました。そろそろ当艦は地球の引力によって、母なる大地へと墜落を始めます。アデュー。』
ふざけたアナウンスが響き渡り、艦が激しく振動する。
クリス「ああっ!?」ガコン!!
さらに、天井が崩落!!脱出カプセルの殆どが埋もれ破壊されてしまった。アタシの上に落ちてこなかっただけでもラッキーと言えばラッキーなんだが……
残ったカプセルは一番近い奴で20メートルはある。歩く分にはなんてこと無い距離。立ち上がることさえ困難な負傷じゃなければ。
その場で一旦ほふくをやめて、体中に力をためる。ほんの十秒でいい。アタシの身体、動いて……ッ!!

クリス「ぬああああああ!!」
絶え間なく襲い来る激痛。アタシは残った力をかき集め、立ち上がる。
一歩踏み出すだけで体がきしみ、出血で意識が朦朧としてくる。
ロックを脇に抱え込み、歯を食いしばって、走る。走る。地を蹴るごとに叫び出したい位の痛みが走る。
ほんの20メートルの距離が何十倍もの距離に感じられた。

なんとかアタシは脱出カプセルにたどり着く。ハッチを開いてそのまま中に倒れこむ。
クリス「はぁはぁはぁ……ま、まだだ。」
まだ気を失うわけにゃいかねぇ。脱出装置を作動させなくては。せまっ苦しい内部を見回して起動スイッチを探す。
クリス(……?無い!?カプセル内には起動スイッチが無いのか!?)
ロック「多分、誤作動を防ぐために起動スイッチが外部に置いてあるタイプなんだろう。」
言われて、外を見る。あった!!
皮肉にもアタシが爆風を喰らった入り口の近くにそれらしきコンピューターが確認できた。だけど……
クリス「へ……へへへ。駄目だ。もう一歩も動けや…しねぇ。」
痛みの感覚さえも曖昧になって来やがった。ここまで来て、畜生……チェック・メイトか……。

584:ゲーム好き名無しさん
09/03/01 21:26:18 h4lE5hDU0
ロック「やれやれ。機械に接続してないときの俺様は自前のバッテリーで動いてるんだぜ。限りある電力だっつうのに世話の焼ける。」
憎まれ口を叩きつつも、ピョコンとアタシの手から生首型の青いロボットが飛び出す。作動スイッチを押しに行く気か。
クリス「アンタ……。」
思えばコイツとはいがみ合ってばかりだったが、案外いいコンビなのかもな。
トコトコと脱出装置を作動させに行く姿を見てたら、柄にもなくそんなことを思ってしまった。

ブウン!!アタシの搭乗しているカプセルが軽く振動した。やった、起動した!
クリス「は、早く、来や…がれ、ポンコツ!!」
脱出カプセルのハッチが閉まり始める。
だが、アイツは脱出カプセルの前には来ず、代わりにカプセル内の通信装置越しに信じられないことを言い出した。
『残念だが、俺様はここに残る。お前とはここでお別れだ。』
一瞬、何を抜かしているのか理解できなかった。

『おっと、別にお前のために命を捨てるとかそんなんじゃないぜ。俺様は戦闘用ロボット、優しさとかヒューマニズムなんて存在しない。
何度も言うが、俺様の目的は最初っからこのバルログ。この戦艦を乗っ取ることだ。』
アホ言ってんじゃねぇよ!!もうすぐこの艦はグランドインパクトすんだぞ!!
『ま、せっかくだから俺様がここで着陸地点を入力して引導を渡してやろう。
 何ならリクエスト言ってみ?火山口とか大海原のど真ん中とか、死ねる場所はよりどりみどりだぜ!?』
くそう、所詮は鉄くず野郎か。いいコンビどころか最低だ。
クリス「いい……加減に……」
何か言ってやろうとしたが、失血がひどく思考が回らない。そして、アタシの乗った脱出ポッドは虚空に射出された!!

『俺様は、思考回路に梅コブ茶をこぼされて自我に目覚めた!そう、俺様こそ最強!俺様こそ絶対!
 俺様こそは支配者として生まれついたのだ!!俺様が生き残れない道理があろうか!?否、無いッッ(反語)!!
 
 ……フフフフフ…………ハハハハハハハハハハハハ………………ギャーッハッハッハッハッハッハッハーーーーー』

通信装置の向こうで奴の笑い声が高らかに響く。だが、その嘲笑もどんどん小さくなり……

やがて、アタシは意識を失った。


585:ゲーム好き名無しさん
09/03/01 22:39:06 h4lE5hDU0
~ハワイ・アロハオエ大学病院~

ICPO(インターポール)の女刑事、春麗(に似た人)は例によって看護婦としてこの病院に潜入していた。
件の院長先生がこのハワイでなにやらよからぬ事を企んでいるという。
春麗(似の女)「はあ……どうやらこの病院も空振りみたい。組織の影なんてこれっぽちも見当たらないわ。」
 彼女は戦闘能力こそ高いが、大雑把な性格が災いし、情報収集能力はほぼゼロだった。捜査員としては致命的である。
この病院を選んだ理由も単にあてずっぽうだった。
春麗「ハワイに来て、この病院で既に四件目の潜入捜査。また見込み違いなんて……あぁ給料が減らされちゃうわ。
 何かこう、空から決定的証拠でも降ってこないもんかしら。」
病院の中庭で一人たそがれつつ、空を見上げる。
「…………ん?んんんん!?なんだあれ!!?」
突然、彼女の上から筒状の塊が降って来た!!
春麗「気、気功掌!!!!」
とっさにカウンターで超必殺技を繰り出す看護婦さん。(潜入捜査中)
春麗「ぶげぇぇぇ!!?」
やっぱり打ち負けて、ふっ飛ばされ、病棟の外壁にめり込む看護婦さん。(潜入操作中)
春麗「な、何なの!?UFOの墜落!?」
気功掌の衝撃のおかげで軟着陸したのか、そのカプセル状の物には、傷ひとつついていなかった。
恐る恐る、中をのぞいてみると……。
春麗「お、女の子!?女の子が空から降って来た!?ジブリの映画!?
 …………!?ひどい怪我!!」

「誰か!誰かぁー手を貸してーーー!!」
彼女が大声で助けを呼ぶ。ドクターや他の看護婦たちが、何事かと中庭に集まってきた。
春麗「まだ、息がある!!急いでICU(集中治療室)に!!」
ドクター「わかった。ところで……君も致命傷じゃないのか!?」
春麗「ゴゥフッ!?」
血反吐ブチまけて昏倒する看護婦さん。白衣が血に染まる。
ドクター「お~い!ICUもいっちょ追加~~。」


586:ゲーム好き名無しさん
09/03/09 22:18:59 unKwFeNUO
~エピロ~グ~

アタシが目覚めたのはあれから丸1日経ってからの事だったらしい。

クリス「………………」
真っ白な天井、壁、ベッド。それに簡素なパジャマ。アタシは見事なまでに入院患者だった。
絶対安静とまでは行かなかったが、失血が酷くもう少しで危険な状態だったそうだ。
脱出カプセルは、大学病院の中庭に着地したという。起き上がって窓から中庭を見下ろす。
「中庭はそれほど損壊してないよーだな。」
結構な高さから落ちたからクレーターの一つでも出来てるかと思ったんだが。ただ中庭の壁面が人型にくぼんでる。人間が凄まじい速度で激突したような痕跡なのが気になった。
「ま、いいか。」
いい加減、暇なので看護婦さんに頼んで持ってきてもらった新聞に目を通す。

『謎の巨大空中建造物、ハワイ沖に墜落!!全容未だに解明されず。』

どの新聞でも空中戦艦バルログの話題で持ちきりだった。ハワイ沖20キロの所で墜落、そのまま沈没したらしい。何つう自然破壊だ。
「ざまあねぇな。結局の所、落っこちてやんの。」
あの生首野郎の最期の馬鹿笑いを思い出す。こっちが馬鹿笑いしてやりたい気分だった。
「な~にが、『支配者として生まれついたから生き残れない道理は無ーい』だ!!海の藻屑と消えてンじゃねーか!!ドアホゥが!!」
新聞を床に投げ捨てる。
「ぬわぁ~にが、『着陸地点を指定して引導を渡してやる』だ!!病院のど真ん中じゃねーか。おかげでこの通り九死に一生を得ちまったぞ、このドジ!!」
高らかに大笑いしてやる。病室で大騒ぎするのもどうかと思ったが、笑わずにはいられなかった。あっはっはっはっは。
「ぬぅわ~にが、『ロボットだからヒューマニズムとか優しさは存在しない』だ!!だったらアタシなんて見捨ててとっとと逃げるなり、コントロールを奪いに行くなりすりゃあいいじゃね-か!!
 頭のチップがいかれてやがんのかぁ!?馬鹿!間抜け!ボケナス!!オタンコナス!!……っ」
少しむせた。
涙が出てきた。
「……ば、馬鹿野郎……」

587:ゲーム好き名無しさん
09/03/09 22:22:54 unKwFeNUO
「クリス!!」
病室のドアを開けて、意外な人物が入ってきた。
「ママ!?」
ユリア(クリスの母にしてガイルの元妻)「……どこか痛いの!?酸素でも吸う?」
う。涙を見られた。
クリス「えぇと、あの、いや、それよりどうしてママがここに!?」
アタシの頭は混乱してしまった。ママにスポーツ用のO2(酸素)スプレー缶を渡される。とりあえずコレでも吸って落ち着こう。しゅこ~。
ユリア「あなたがハワイの病院に収容されたって連絡があって……」
しまった。入院なんかしたら当然家に連絡が行ってしまうか。あっちゃ~。
ユリア「友達と一緒にミシシッピ川でアリゲーター・ガーを釣りに行くって話だったのに、連絡を受けてびっくりしやったわよ。
 どうしてまたハワイくんだりまで……?」
当然ウソ。自慢だがアタシは一匹狼だ、友達なんて居ないゼ!……ちくしょう。
パパと内緒でハワイに来てたなんて事が知れたら、パパに対するママの心証が悪くなってしまうから。
さぁて、どうやってごまかそう!?病院でもなおアタシの受難は続く。大、大、大ピ~ンチ!!

???「ちょ~っと待った~ああ!!」
松葉杖をつきながら闖入(ちんにゅう)してくる、看護婦さん。いや入院患者か?
格好こそナース服だったが、彼女の右腕にはギプスがはめられており、左腕にはご丁寧に点滴のチューブをひっつけたままの登場だった。
看護婦「その子、悪の秘密結社に拉致されていた可能性が極めて高いわ!!」
なにぃ!?
ユリア「看護婦さん(?)。あなたは一体……!?」
看護婦「白衣の天使とは世を忍ぶ仮の姿……私は国際警察(インターポール)の女刑事……」
バッと服を脱ごうとする、看護婦さん……だったが、セリフの途中で倒れてしまう。貧血?
ユリア「あらあら。まあまあ。そんな怪我で大声張り上げるから。酸素でも吸います?」
もう一本酸素のスプレー缶を取り出し手渡そうとするママ。
クリス「ママ、酸素ぐらいでどうにかなる容態じゃないでしょ。」
そんなことより、この看護婦、刑事だったのか。ヤベーヤベー。アタシが武器持ってたら疑われてアウトだった。
あの脱出間際のドサクサで、手持ちの銃やサイファーは何処かに行っちまったし。まあ怪我の功名かな?惜しいけど。
看護婦「あ……あの秘密結社は、年少者を誘拐し、改造、洗脳を施して戦士に仕立て上げているそうよ。その女の子も多分……。」
ユリア「あらまあ、大変!?クリス、身体にどこかおかしいところはない?空を飛んだりとか、手から蜘蛛の糸が出たりしない!?」
飛べません。蜘蛛の糸も出ません。
しかし、場の空気は何だかうまいことごまかせそうな感じだ。ようし、やってやるぜ。
クリス「そ、そういえば、アタシは家から駅に向かって歩いていたら、空飛ぶ円盤に吸引光線(トラクタービーム)を照射されたかも。」
ユリア「まあ。物騒ねえ。これじゃ安心して買い物にも行けないわ。」
うししし。この頭脳。この機転。見事に疑いは晴れたわ。
看護婦「それはおかしくないかしら?今の彼らの活動拠点はこのハワイ。他の地域でそんな目立つ真似をしてれば当然ICPOにも情報はくるでしょうし……」
アタシは貧血で倒れている看護婦さんの傍らに座ると、
看護婦「はぐッ!?」
ママには見えない角度から、拳で思いっきり急所を打ち抜いた!!
クリス「きゃあ!看護婦さん?(裏声)」
ユリア「だ、大丈夫ですか?酸素吸います?」
看護婦「…………。」
グダグダ言わず、病人は寝てろ。

588:ゲーム好き名無しさん
09/03/09 22:26:32 unKwFeNUO
ユリア「ほら、ハワイの島があんなに小さく。」
クリス「そだね。」
飛行機の窓から臨む、ハワイの島がどんどん小さくなってゆく

 4日が過ぎ、アタシは退院し家に帰ることにした。
当然医者には止められたが、一刻も早く行方不明パパを捜しに出ねば。
それに刑事にマークされるのも勘弁して欲しかった。行動が制限されるしな(主に恐喝、強盗とか)。
結局、あの看護婦さんは集中治療室に逆戻りして、今も昏睡中なんだけどね。
意識を取り戻しそうならママの目を盗んで生命維持装置を切りに行こうかとも考えていたんだが。
ま、無益な殺生はしないさ。慈愛にあふれたこのクリス様に感謝しなさい。

クリス「…………」
 眼下に広がる広大な青い海。このどこかに空中戦艦バルログが沈んでいる。
奴らは生き延びただろうか?
あの小生意気な生首ロボット。知略に長けた謎の男サワダ。恐るべき戦闘能力の女戦士キャミィ……。
 アタシには友達が居ない。別にいじめられてるとかじゃないぜ。(そんな勇気のある奴がいても謎の大怪我を負って2度とアタシの前には立てないだろうけど。)アタシと理解し合える対等の奴が居ないんだ。
今にして思えば、強大な敵こそがアタシにとって対等だったのだ。決して交わることのない平行線でありながら、いや、だからこそ奴らの存在は大きく感じるのだろうか。
……あっさり死んでんじゃねぇぞ馬鹿共が。

飛行機はハワイを後にする。
一旦、家に帰ってからまたアタシはパパを捜す旅に出るつもりだ。どうやってママをだまくらかすかが問題だけど。
だがアイツ等が生きていれば、その旅の途中で必ず相見えることになるだろう。
クリス「だから……またな。」
ユリア「???」

589:ゲーム好き名無しさん
09/03/09 22:31:31 unKwFeNUO
クリスの家

ユリア「ただいま~。クリス、身体の調子はどう?」
ママは家のカギをあけ、郵便ポストの中身をチェックする。
クリス「んん……。やっぱちょっと疲れたかな?」
アタシはソファーに腰掛け、フゥーッと息を漏らす。やっぱり病み上がりに長旅はこたえるぜ。すぐにでも出発したいが、ママに心配を掛けたくはないし。色々と準備も必要だろう。手持ちの火器も揃えたい。
それ以前にパパを捜すための手がかりが一つもないんだけどね。
ユリア「あら?あなた宛にエアメールが届いているわよ?ハワイから。」
んん?ちょっと眠りたい……悪いけど後で。
ユリア「差出人……は、『SAWADA』としか書かれてないわねぇ。」
「!!??」
眠気が一気にぶっ飛んだ。アタシはガバッと飛び起きるとママから封筒をひったくる。
消印の日付はバルログの落ちた日。ビリビリと袋を破ると、中身を取り出す。
出てきたのはあのシスターに渡したはずのカードと、領収書。野郎、修道院に行ったのか?
それから何も書かれていないDVD-Rが入っていた。
早速、自分の部屋のパソコンを起動しDVDを開く。画像と三行の文書が出力された

・・・JAPAN-TOKYO・・・
・・・○○-○○-××-××・・・
・・・貴女の捜し物 あります・・・

クリス「コレは地図と住所……?アタシの捜し物。」
ピンと来た。パパはここにいるから来い。…ってことか?
よし、行き先は決まった。日本…東京だ!!まあ罠かもしれないが、それならそれでぶっ潰してパパの手がかりを聞くまでよ。
クリス「とりあえずプリントアウトして……と?」
画面に赤い警告文が表われていた。なんだこりゃ?

・・・警告-このDVDは機密保持のため、自動的に爆発します・・・

クリス「な、なぬ……!?」
頭が内容を理解したときにはもう遅かった。閃光と爆音がアタシの部屋を満たす。
ちゅどーーん!!
ユリア「きゃああ!?クリス、大丈夫!?まってて、今酸素ボンベを用意するから……」
クリス「ク…クックク。やってくれるじゃねえのよ。」
おシャカになったパソコンの前で、真っ黒になったアタシは薄笑いを浮かべていた。

(第3部・激闘ハワイ編 完)

そろそろ作者もだらだら続けていくのが少々辛くなってまいりました。
誤字脱字や手直ししたいところが死ぬほどありますが、ここらでキッチリまとめて、綺麗に終わらせたいと思います。
と、いうわけで名残惜しいですが次回からは最終編。お楽しみに。
筆者・KUWA(仮名)

590:ゲーム好き名無しさん
09/03/09 22:42:44 B92Z0yJg0
お疲れさまでしたー
楽しく見させて貰ってますー

最終章、がんばってくださいね!

591:ゲーム好き名無しさん
09/03/09 22:59:22 zh0B6EDdO
やっぱオモシロイなぁ!!!!

592:ゲーム好き名無しさん
09/03/17 21:38:56 LDO3TbA5O
期待上げ


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