彼の家に行ったら玄関にしゃがんだガイルがいたat GSALOON
彼の家に行ったら玄関にしゃがんだガイルがいた - 暇つぶし2ch500:ゲーム好き名無しさん
08/10/19 23:56:50 lujw7kcfO
サワダガイル「トウッ!」
サワダの先制ダッシュ攻撃!
ガイル「サマソー!」
そこへ牽制の対空サマーソルト!
だがパパの技にキレがない。アタシは別に格闘家ではないが、素人目でも分かる。
サワダガイル「ふっ」
ガッチリとガードする偽パパ(サワダ)。
ガイル「くっ…」
サワダガイル「どうやら、本調子では無いようですね。」
ああ、そうだった。パパは…
クリス「奴の卑劣な策略で拷問器具「鉄の処女」に閉じ込められたうえにこれまたサワダのせいで車に仕掛けられた爆弾で大打撃を受けたんだっけ!」
ズピーム!
クリス「ぐえー!」
サワダの放った怪光線がパパの方へと向かうと思いきや、カクッと曲がってアタシに命中した!
二人「こらそこ!都合の悪い事を全部他人のせいにしない!」
何故だかパパとサワダの二人がコッチを向いて説教をしてる。げふ。(バタッ)
ガイル「今のは娘が悪いが、手を上げる程ではなかろう。」
サワダガイル「おっと失礼。ですが今のは事故です。我々の近くにいる以上、流れ弾に当たってしまうのは避けようがない。」
あ、あの野郎~。イイ根性してやがる。
サワダガイル「さて少佐?僕は貴方の能力に加えて磁力を操る能力を付加されています。それに比べ貴方は負傷によって本来の力の半分も出せません。
…つまり、貴方が勝つ要素は何一つ無いのですよ」
サワダが大きく振りかぶって地面を叩きつける!
「マグネティック・ショックウェーブ!」
パパの姿で別のキャラの必殺技!チート!?マブカプ1の隠しキャラ・シャドウレディみたいなもんか!?…いやそうじゃなくて
紫色のエネルギー柱がパパへと迫る!
ガイル「…そういう事は勝ってから言うべきだ。」
避けてーー!!パパぁーー!

501:ゲーム好き名無しさん
08/10/20 16:45:40 GC+v6xZ1O
サワダ×クリスの同人誌描いてくれ

502:ゲーム好き名無しさん
08/10/24 21:58:05 WkMvCEorO
迫り来る衝撃波!だが、パパはその場でガードを固めるだけで動こうとしない。
ガイル「グオオオオ!」

何故!?どうして!?技の発生から充分なタイムラグがあった、回避するのは容易だったはずなのに…
ガードの上からでも超必殺技に体力を削られてアタシの足元に倒れ転がるパパ。
クリス「サワダ…てんめぇー!」
そしてアタシは気がついた。コイツ、パパを挟んでアタシと対角線上に立ってやがった。
もしパパが奴のショックなウェーブを避けようものなら、アタシの方がハイパーコンボフィニッシュKOを喰らってた。下手すりゃ神様からお迎えを遣わされてたかもしんない。
つまり
パパは削り攻撃と解っていてもアタシを守る為に…
サワダ「僕はこう見えて頭脳戦タイプでね。それに、言ったでしょう?流れ弾に当たってしまうのは避けようがないって。くく…ハハハハ!」
クリス「こ、殺ス!ぶっ殺ス!!」
もう容赦しねー。先程投げ捨てた対戦車ロケットを拾い直す。
サワダの顔色が変わった。やはりこの武器を恐れている。
サワダ「おっと、こんなに距離が開いてたら、僕は電磁力で上空に砲弾を跳ね上げる事が出来るんですよ。まあ、さっきみたく至近距離で撃たれたらひとたまりもないですが。」
へっへぇ。そいつぁいーこと聞いたぜ。
クリス「なら、ゼロ距離でぶっ放してやんよーッッ!」
言うが早いかアタシは奴に向かって疾走…
ビターン!
出来なかった。パパがアタシの脚をグイッとひっ掴んだのだ。つんのめって顔面からダイブするアタシ!
クリス「ふごー!」鼻がー!鼻がー!
ガイル「挑発に乗るな。見ろ。」
鼻をさすりながら指差された方向をみる。サワダの前方数メートルの地点にチョコンと小さな白い物体があった。何あれ?

503:ゲーム好き名無しさん
08/10/24 22:36:57 WkMvCEorO
サワダ「あらら。バレちゃいましたか。流石に本物の軍人は違いますね。これはC4爆弾です。自由に成形できるから靴底なんかに忍ばせておける優れもの。」
そう言ってボン!と起爆して見せるサワダ。小規模な爆発だったが、もしあのままRPG持って突っ走ってたら、今頃、弾薬に引火して…
ガイル「相手を怒らせて冷静な判断を出来なくさせ、誘導に引っ掛ける。単純だがなかなか効果的な戦術だ。が、俺には通用しないな。チャチ過ぎる。」
サワダ「でしょうね。僕もそのつもりでした。」

二人の会話を聞いて背中に冷たい汗が流れる。そこまでアタシの性格を計算していたのか…。

ガイル「さあ、仕切り直しだ。第2ラウンドといくか!」
そう言い、再びファイティングポーズを取るパパ!だが身体がよろけている。
サワダ「いいえ。これが最終ラウンドですよッ」
サワダはショックウェーブのモーションに入る!こ、これじゃさっきと何にも変わらないじゃない!
ガイル「甘い!」
だがパパは一気に距離を詰めると出の速い弱パンチを放つ!
サワダ「がふッ!?」
上手い!超必殺技の出かかりをつぶした。たまらずガード体制を取ろうとするサワダガイル!だがこの隙をパパは逃がさない!
ガイル「軍人に二度も同じ手段は通用しない。」
そのままサワダの後ろにまわり、胴に腕を回しガッチリつかむ!そして変形スープレックス!奴を持ち上げ背中の反りを利用して頭から叩きつける!ゴォォン!
厳密に言えばプロレスのジャーマンスープレックスとは違うが、軍人の格闘技に形は無い。要は相手を倒すために最も効果的な方法を取るに過ぎない。…これはパパの受け売りだけどね。

504:ゲーム好き名無しさん
08/10/26 13:17:08 ZMKwuhYuO
サワダ「ぐふッ」
脳天叩きつけられて大ダメージ!相手がガード固めたら投げ技。セオリー中のセオリーだ。
サワダ「た、確かにドラゴン・スープレックスは強力だ…だ、だけど…」
あ、たしかそんな技名だっけ?(←よく知らない)
正直な所、パパ=サマー&ソニックという認識しかないアタシ。
ガイル「!」
別の攻撃モーションに入る偽物。
サワダ「自分の超必殺技で、死にやがりなさい!」
シュヮゴー!大地を力強く蹴るサワダ!空気が震え、裂ける!
「サマソー!サマソー!サマソォォー!」
サワダの奴が放ったのはパパのハイパーコンボ、三連サマソー(←これまた技名よく知らない)
だが、パパは冷静にバックステップ。
必要最小限の動きで偽ガイルの攻撃をかわす。空振りした技の終わりは致命的な隙となる。サマーソルトの打ち終わり、落下してきたサワダに
ガイル「お前はなかなか頭が回るが、格闘技に関しては勘違いをしている。ただ強力な技だけを繰り出せばいいという訳ではない。」ペシペシとしゃがみ弱キックを当てて
「サマソー!」キャンセルサマーソルト!
サワダ「ヘゴ!」
本家本元のサマーソルトを喰らって宙を舞うサワダ!パパ!チャンスよッ!行けー!一気にたたみかけてー!ぶっ殺せーッッ!!
サワダ「くっそぉ!ならば一気に…」
また何やら怪しい構えを取って形勢逆転の超必殺を繰り出そうとするサワダだったが、
シパーン!!
サワダ「げぺ!?」
既に出しておいたパパのソニックブームが命中!その隙を逃すはずもなくすかさずダッシュで追撃!
そしてなすすべもなくボコボコにされるサワダ!
サワダ「な、何故だ…!?僕が負ける要素など1%も無いはずなノゲフヒャ(血反吐)!!」
サワダの圧倒的有利な展開だったはずが、アイツは一気に倒す事を意識しすぎて攻撃が粗くなっている。一方パパの方はあくまでもクールに、大振りをさけ、相手の隙を読み、要所要所で攻撃を叩き込む。
プロは奇をてらったりはしない。淡々と確実な事を確実にこなしていく。そして、見ればサワダの奴は弱攻撃とはいえ積み重ねられたダメージで既にグロッキーに!

505:ゲーム好き名無しさん
08/11/01 01:43:28 wNEMHI5O0
27 :ゲーム好き名無しさん:2008/11/01(土) 00:31:25 ID:wNEMHI5O0
さて次回予告 PARTII
彼の家に行ったらラクスクラインちゃんがいたスレ立てるので宜しく。

ラクスタンハァハァ…可愛すぎてたまんないよぉwwww


28 :ゲーム好き名無しさん:2008/11/01(土) 00:35:19 ID:PimYUTR7O
次は『>>27が~』ってなスレが立てられるのか?

まぁ、あんなビッチをかわいい言ってる時点で死ぬべきだが

506:ゲーム好き名無しさん
08/11/02 17:54:05 8fX8vLB80
サワダ「ど、どうして勝てない・・・!?完全な、いやそれ以上の能力を付加したこの僕が、負傷し満足な力も出せていないオリジナルに!?何が違うというんだ・・・」
ガクッと膝をつくサワダこと偽物パパ。
ガイル「サワダ。確か言ったな。自分には何も無いと。覚えているか?はじめに戦ったときのことを?・・・・・・お前には決定的に欠けているモノがある。」
仁王立ちして言葉を紡ぐうちのパパ。えーと確か、あれはホテルの部屋の出来事だったわね。
その刹那、距離を詰め、

「戦うための理由がッ」

パパの拳がサワダの頬を的確に捉え、撃ち抜く!
「ガハッ!?」

あの時と同じように怒濤のラッシュをかける!!
「闘うための信念がッ」

「ゴホッ!?」

「お前には無いッ」
とどめのフィニッシュブローが炸裂!!サワダの体はあまりのクリティカルなダメージにまるで捨てられた空き缶のように転がった。

サワダ「・・・・・・」
ピクリとも動かなくなったサワダに対しパパもまた膝をつく。やはりパパとて無事というわけにはいかなかったか。
ガイル「ただ命令に右へならえしているようじゃ人形以下だ。劣っていても命を賭けるほどの動機がある人間は、往々にしてそれの無い者に打ち勝つものさ。」
右にならえ。それでいいの?それじゃただの機械じゃない?・・・Xの続編まだでないのかしら?X2のリメイクでもいいけど。サワダが倒れたことでそんな余裕ある思考を張り巡らせるアタシ。

サワダ「・・・わ・・・分からない。理由・・・信念・・・が僕に無いから・・・僕は負けたと・・・いうのか?・・・じゃ、じゃあアンタは何の為・・・に戦っているんだ?」
倒れたままこちらを向き途切れ途切れのかすれた声を発する。その顔は既に元のサワダに戻っていた。
ガイル「今は亡き親友の遺志。そして愛する家族の為。それが戦う理由、言い換えるなら負けられない理由だ。」
パパ超ーーカッコイイ!!何より言ってることに行動という説得力がついて回ってる。~出来る出来ないじゃなっくって~♪やるかどうかた~だそれだけ~♪そんな脳内音楽が鳴り響くゼ。

サワダ「・・・・・・・・・」音もなく力尽きるサワダ。
~誰もが皆胸の奥に眠る野生を宿してる~♪ 余裕なアタシの脳内音楽は最後のサビに移行しようとしていた。
だがそこに油断があった。

突然サワダが最期の力を振り絞りガバッと起き上がったのだ!!サワダの奴はアタシの目の前に立ちふさがる!

サワダ「ならば、貴方のかけがえのない『戦う理由』を奪ってやるッッ!!ハハハ・・・ハハハハハーーーーッッ!!」
試練は乗り越えられないひとに襲いかかりはしな・・・いいいーーっ!?脳内音楽に酔いしれていて反応が遅れるアタシ!!
サワダの交差した腕の先に磁力エネルギーの塊が生成される!!やばっ!?




507:ゲーム好き名無しさん
08/11/02 19:33:35 8fX8vLB80
サワダ「マグネティィーーーーッック・テンペストオオオ!!」
流石日本人!発音が悪い!!…じゃなくて、
ガイル「サワダ!!貴様ッ!!」
パパがこっちに駆けようとする、が。まず間に合わないだろう。距離が開きすぎている。
唐突過ぎてまるで他人事のようにアタシはアタシの状況を認識した。サワダは余裕でアタシを殺ることができる。
最期の悪あがきとしてはお釣りがでるほどだ。クッ、クソがぁ!アタシはサワダの眼を憎悪の瞳で睨み付ける。
サワダもまた視線を逸らさずアタシの眼を見た。

……テメーだけはアタシが直々にぶっ殺してやりたかったゼ……

508:ゲーム好き名無しさん
08/11/02 21:56:20 8fX8vLB80
サワダ「…………っっ!!」

ほんの数秒のことだったが、まるで何十倍もの長さに感じられた。アタシはなすすべも無くサワダの超必殺を喰らい…は、しなかった。
あろうことかコイツは殺るか殺られるかの戦いの最中、アタシの命を確実に奪える最大のチャンスに、ほんの一瞬迷いを見せやがったのだ。
アタシのクイックドロウ(早撃ち)はコンマ4秒。ほとんど無意識にポケットの中の護身用ライオット・ガンに手を伸ばし、ほとんど反射的に高圧電撃銃を抜く。
クリス「この甘ちゃんが…」
銃のトリガーを引いてからそんなことを口走る。
ライオット・ガンの強力なスプリング(バネ)によってカセットが命中し、ゾウですら一撃で気絶するほどの高圧電流を流されるサワダ。
サワダ「ぎゃああああああ」

ガイル「サワダーーーー!!!」
そこへパパの乱舞攻撃が決まる。クロスファイア・なんちゃら。(←やっぱりよく知らない)パパのは空中専用だったっけ?ナッシュと同じ技をつかえる作品もあるらしい。
アタシもパパも家族の絆は深く篤(あつ)い。だがこと戦いにおいては合理的かつ非情だ。敵は敵である以上完膚なきまでに叩きのめす。そこに情などをさしはさむ余地は無い。
そういう点ではやはり親子なんだと感じる。
豪快な打撃音と骨が折れる鈍い音とが夜の闇に響く。今度こそ致命傷。ボロクズとなって斃(たお)れるサワダ。

サワダ「ゴ、ゴフゴフッ!!」苦しそうに血を吐く。コイツもう長くは無いな。

509:ゲーム好き名無しさん
08/11/02 21:57:33 8fX8vLB80
「ハ、ハハハハハ……。僕はいつだってこうだ……はあはあ……最後の最後…肝心なとこで躊躇(ためら)って……破滅する
 …フフッ、ハハハハハ……ゲホッ!!ゲホッ!!ゲホッ!!…自分のやっている事がどうしようもなく虚しくなって……」
サワダの目は既にこっちを見ていなかった。アタシはパパを見る。パパはうなずいて
「最期だ。聞いてやれ」
残り少ない生命を振り絞るようにサワダの独白は続く。

「ぼ、僕の父親はどうしようもないクズ野郎でした……家族はアイツのせいで皆……。
 父親を憎み、父親と同じにだけはなるものかと心に誓っておきながら……僕のやったことも結局、親父と……同じで……」

ガイル「だが、お前は結局の所、俺もクリスも殺せはしなかった。」

「そう…です…ね。僕はやっぱり…貴方には……なれ…そうもない。 
 でも、不思議と…後悔は、無い。それどころか…これで良かった気さえする…」

クリス「サワダ……」
今にも奴の命のともし火は燃え尽きてしまいそうだった。そんなサワダにしてアタシがあげられる事は一つ。サワダの傍にかけより、
クリス「これ以上苦しまないように、今すぐ楽にしてやんよーーッ!!」
サワダに極力苦痛を与えないようにトドメを…
ガイル「やめなさい。」
コツンと小突かれてしまうアタシ。てへ。
ガイル「全く、どこでそんな事覚えてくるんだか」
頭を抱えるパパ。
そんなやり取りにアイツは微笑んで、一言。

サワダ「……僕の父親も あなた みたいな人 だったら よか っ た の  に   」

そして、
そのままサワダは事切れた。


510:ゲーム好き名無しさん
08/11/06 18:44:23 8/TriCRlO
ちゅどーん!
戦隊ものの怪人のように爆発するサワダ。
ガイル「いや、違う!これは砲撃だッ!」
ふと、見上げると遥か向こうの方に空飛ぶ高級リゾートホテル…もとい空中戦艦バルログが!
何て迂闊な!全然気付かなかった…夜の闇とはいえあんな巨大な飛行物体を見逃していたなんて!
「空中戦艦バルログは地球に優しい殲滅兵器をコンセプトにしている。静音設計で気付かれないように都市を火の海に出来る。」
ズシイイイン!
そんな台詞とともに何者かがバルログから突如飛来しアタシ達の目の前に着地した。

511:ゲーム好き名無しさん
08/11/10 16:33:00 wDtZ2aUr0
「ガイル少佐のダミー、生命反応の消失を確認。よってターゲットおよび優先事項を変更。」
空中戦艦から飛び降りて現れたのは、アロハシャツにジーンズをはいた、キャミィ(に似た女)!!その肩には例によって巨大な鋼鉄のキャノン砲!!
忘れもしない。アタシの口に餅を突っ込んでビーム砲をぶっ放した女だ。さっきの爆発はコイツの砲撃によるモノだったのか!?
それにしてもあんな高さからこんな鉄の塊を抱いて無事に着地するなんて、こいつ何つう足の皮の厚さだ!
キャミィ「これより、ターゲット・ガイル少佐の確保に入る!」
なんとな!?一難去ってまた一難!!パパは先ほどのサワダとの一戦でへろへろだというのに!!
ガイル「くッ・・・!!下がっていろクリス!!」
わかったわ!・・・と言いたいとこだが今度ばかりはそうは行かないゼ。
クリス「ちぇい!!」
ガイル「おぐぁ!?」
パパ、悶絶!アタシの非力ではあるが的確な突きが炸裂した!元々のダメージもあってか簡単に落ちるパパ。ドサッ(気絶)!!
クリス「本当にごめんね、パパ。」でも、コイツは、この女はアタシが倒す!
キャミィ「お前は任務対象外だ。邪魔をしなければ危害は加えない」
クリス「おっとそうはいかないわ。パパには指一本触れさせないゼ!!何よりオメーにゃ借りがある。路地裏で受けた屈辱、億千万倍にしてリベンジしてやんよ!!」
まるで西部劇のガンマンのように対峙するアタシとキャミィ。二人の殺意ある視線が火花を散らす。
・・・やべーな。どういう訳かコイツには銃弾が効かない。おまけにアタシの手持ち武器は高圧電流を流すだけのライオット・ガン一丁(しかもスペアの電撃カセットは残り1つしかないときた)・・・だからといって後には引けないが。
クリス「抜きな。その間抜けなスクラップとアタシのガン、どっちが疾(はや)いか勝負しよーぜ。」
ますます西部劇風の台詞で挑発するアタシ。

512:ゲーム好き名無しさん
08/11/10 20:13:10 wDtZ2aUr0
クリス「…………」
キャミィ「…………」

張り詰めた殺気の中、ポケットに手を入れたままのアタシと巨大キャノンを担いだキャミィは微動だにしなかった。
心の中でほくそえむ。ギャーッハッハッハッ!!引っかかりやがってバカがあ!!
たしかに貴様のプロトンキャノン砲は強力無比。それはいっぺん喰らったアタシがよく知っている。
だが、その超必殺技には致命的な弱点が存在する。「出が遅い」のだ。

次の瞬間!
コンマ4秒でライオット・ガンを抜き放つ。
クリス「あばよ!!」
が!
キャミィ「豆腐!!」
ベグチョ!!最後の切り札、高圧電流銃のカセットは無情にもキャミィの投げた豆腐に当たって失速、目標に命中することなく地面に落ちた。
く、食いもんを粗末にしてんじゃねー!!くそぉ、読まれてた!!
キャミィ「チェック・メイト」

ズッピーム!!
陽子ビームキャノンが無慈悲な轟音をたててアタシに迫る!!



513:ゲーム好き名無しさん
08/11/12 22:31:00 YaxZUz890
とっさにヘッドスライディングの要領で身を低くする。命中はしなかったがシュゴーッと凄まじい熱と衝撃を背中に感じた。うわっちちち
恐る恐る振り返ると、遥か向こうに、名も知らぬお山が燃えていた。しかも山のどてっぱらがポッカリ抉(えぐ)られていた!!貴様は巨神兵ですか!?自然破壊なんてレベルじゃねぇよ!!
恐るべし陽電子ビーム。誰か悪い冗談だといってくれ。
キャミィ「最後の忠告だ。おとなしくガイル少佐をこちらに渡せ。」
あ、あんにゃろう!!余裕ぶっこきやがってぇぇ!!ほふくの体勢のまま歯軋りする。
クリス「!」
何かが手に触れる。すかさずそれを手に取るアタシ。さっき豆腐で撃ち落されたライオット・ガンのカートリッジだ。アタシはすっくと立ち上がると、すばやく高圧電流銃にカセットを再装填する。
キャミィ「降伏の意思なしと判断。殲滅する。」
あの女もまたプロトンキャノンのエネルギーを充填させる。ちぃっ。このままじゃまた同じことの繰り返しだ。さっきとは違う手段をとって攻撃を仕掛けなくては。
考えろ。考えるのよクリス。正面のキャミィを見据えつつ周囲の地形をうかがう。何でもいい何か使えるものは……!?
ふと、『アレ』が視界の隅に入ってきた。
(ニヤリ)やっぱアタシにはツキがある。
キャミィを正面から睨みつけ、不敵に笑ってやる。
クリス「地獄に堕ちな。」
ドシュウ!!
そして0コンマ4秒でライオット・ガンを撃つ!さっきと同じシチュエーション!
キャミィ「馬鹿め!!」
グチャッ!!やっぱりさっきと同じように豆腐で相殺され、地面に落ちる電気仕掛けのカートリッジ!!
キャミィ「死ぬがいい!」
これまたさっきと同じ要領で無骨なプロトンビーム砲を構える。
だが、ここから先は違う!アタシは左斜め後方にバックステップ!!そのまま地面を転がり『アレ』を拾い上げる。
そう。先のサワダ戦で使いそびれた対戦車ロケット・プロペラ・グレネード。略してRPG。(余談だがこの略称は間違いで設計されたロシア語の正式名称があるとかないとか)
クリス「ぶわぁーか!!死ぬのはテメーだッ!!」

キャミィ「なっ…!?」
想定外の武器と戦法に驚愕するキャミィ!!そのアホみたいにどでかい大砲を担いで、かわせるか!?

ドシュウゥゥ!!!祈りを込めて飛んでゆくアタシのロケット弾!!
さらに、アタシのとっさの機転が光る。狙ったのはキャミィ本体ではなく奴の武器。プロトンキャノン砲。
大地を裂き、灰燼に帰すような高エネルギーを充填した兵器が、戦車の装甲すら破壊する物理ダメージを受けたらどうなるか…!?

キャミィ「しまっ…」

カッ!!
閃光が走り、空気が震える。直撃。それだけの手ごたえを感じた。キャミイを中心にして暴走した破壊エネルギーが膨れ上がっていく!!
…って。
クリス「や、やっべえ!!で、でか過ぎる!!」

チュゴオオオーーーーンンンン!!





514:ゲーム好き名無しさん
08/11/15 12:01:41 IPI2/16XO
巻き起こる烈風のなか気絶したパパの身体を庇う。
「ん…?」
よく見たらサワダの死体だった。
ポイッと爆心地に向かって投げ捨てる事にした。アディオス・サワダ。


爆風で上がった煙、埃が静まると、すり鉢状のクレーターが姿を現した。さながら核のような威力。まあマジで核だったりしたら大量の放射線で今頃ミュータントの丸焼きになってただろうけど。
クリス「げッ!」

爆発の中心部、とんでもない熱量のエネルギーだったにも関わらずあの女は平然と立っていたのだ。
キャミィ「……」
いや、効いてない訳ではないようだ。まるでドリフのように髪の毛が逆立ち、口や鼻から黒煙が上がっている。
なによりおッたまげたのが奴の身体!腕や脚、服が焦げ、肉が裂けたその下から何やらサイボーグっぽいメカが見え隠れしていた!
クリス「どいつもこいつも人間じゃねぇのかよ…」

515:ゲーム好き名無しさん
08/11/16 12:23:04 S8qjZUNNO
キャミィ「くっ…まさかただの人間がここまでやるとは。」
火花がスパークする腕を押さえながらんなことを言う。
クリス「ただの人間じゃねぇ。選ばれし人類の宝・美少女クリスちゃんたぁアタシのことだぜぃ!」
バーン!……フッ。決まったわ。
キャミィ「…被ダメージ75%…プロトンキャノン砲、破損。ただちに新しい武装を送られたし」
おっと!?華麗にスルーされてしまった!
何やら通信会話をしたかと思うと空飛ぶ戦艦バルログから巨大な鉄の塊が落下してきた!!
ドスーン!!

キャミィ「我が組織が研究、開発した未知の超合金製、近接戦闘兵器…」
怪しさ爆発!な、何だ!?あのトゲトゲのついたどでかい鋼鉄のカナヅチは?
キャミィ「極鎚ジャガーノート!!」
ドーン!
さらに新しい武器か!?巨大な金属製のハンマーが鈍く光る。見る者を圧倒するG級の威圧感。
だが、どれだけごっつい外見だろうと、粒子光学兵器に比べて グレードダウンしているのは否めない。
要するに近づかないと攻撃出来ないのは大いに付け入る隙になる。
カメハメハ大王にあやかって突進してきた所で脳天ぶち抜いてやんぜー!
(クリスちゃんの豆知識コーナー。
カメハメハ大王は白人から銃を買い上げ、原始的手段で立ち向かってくる敵軍をズキューンバキューンと皆殺しにして、統一を果たしたの。
いわば彼はハワイ版織田信長ね。)

516:ゲーム好き名無しさん
08/11/18 13:27:45 +TIR8/Jm0
アタシはポケットのライオット・ガンを取ろうとしてサッと青ざめる。
なってこったい!!痛恨のミス!!
手持ちの武器、ライオットガンにしても、RPG7にしても、残りの弾が無いのだ!!
キャミィ「でやー!」
巨大な鉄槌をぶんまわしながら、猛進して来る!!
クリス「ちょっ……待っ…」
キャミィ「うりゃさ!」
ズッゴーーーーンン!!
無慈悲な巨大ハンマーの一撃アタシの脳天に直撃する。
クリス「ぶふぅ!?」
鼻血をブーッと吹きながらアタシの周りの景色が回転した。くぅ!こ、ここで倒れたら、誰がパパを救うというのか!?
キャミィ「ちょやさ!!」
ボッコーーーーンン!!
追い討ち!!もう一発、ドタマに猛烈なハンマー・インパクトを食らう!!
クリス「へべぇ!?」
あ……アタシは……負けるわけには……いか……な……
キャミィ「とどめぇ!!」
ドゴオオーーンッ!!!
クリス「ぎゅぶッッ!?」
見事な縦3攻撃がヒット!!打ち上げ気味のアッパースイングで思いっきりぶっ飛ばされるアタシ!!

地面にゴロゴロと転がり、手足を投げだし、うつぶせになる。もうアタシに立ち上がる力は残されていなかった。
キャミィ「………。」
無言で近づいてくるのがわかった。確実に息の根を止めにくるつもりか。

…くそったれ。


517:ゲーム好き名無しさん
08/11/18 14:06:04 +TIR8/Jm0
「待て。お前の目的は俺だろう。」
声が響く。キャミィがハンマーの構えを解いたのが気配でわかった。
気絶から回復してたのね……パパ。

ガイル「俺の身などどうなってもいいが、娘だけは…。」
キャミィ「では、私に同行し空中戦艦で身柄を拘束させてもらう。そうすればお前の娘にはこれ以上危害を加えない。約束しよう。」

駄目!そんなの絶対ダメぇー!!
だが、アタシの心の叫びは既に声にならず、アタシは状況を静観するよりほか無かった。

キャミィ「空中戦間バルログへ!転送装置を起動。3秒後に転送を開始する!」
ガイル「クリス……!!」
光の中に消えてゆく二人。パパ……。
ロックマンみたいに転送されるパパとキャミィ。

キャミィ「おっと間違った。」
アタシの上3メートルくらいに転送され、落下してくる二人。
クリス「ぐげ!!??」
そして、パパとキャミィ、と奴の持っていた極鎚ジャガーノートの重量に踏まれ潰されるアタシ。

キャミィ「空中戦艦バルログへ。10秒後に再転送ねがいます。」
いいから、そこを…退け…

キャミィ「10・9・8・7・6・5…今いくつ?」
ガイル「5だ。」
キャミィ「5・6・7・8・9・10・11・12」

なんじゃそりゃ!!つーかぜってーわざとだろそれーー!!
シュウウン!!閃光に包まれパパは空中戦艦バルログへとさらわれてしまった。
クリス「…パパ…」
そしてしこたま頭を打たれたアタシの意識はそのまま闇の中へと落ちていった。


518:ゲーム好き名無しさん
08/11/18 15:02:08 +TIR8/Jm0
クリス「あ!?」
気がつくとアタシは、なんだか綺麗な花畑の中を歩いていた。

川が流れてる。そこに見覚えのある人影。
クリス「あ!?」
サワダ「あ!?」

クリス「サワダーー!!」
サワダ「ほげぇ!?」
サワダがいたので思いっきりグーでぶん殴ってやった。

サワダ「いてててて…!!つうかお嬢様!?何でここへ!?」
クリス「そーだ。この場所はいったい何なんだオイ!?パパは…」

小鳥のさえずりが響く。そして、サワダの口から衝撃的な事実が告げられた。
サワダ「ここは死んだ人間が来る場所です。」
は!?何を抜かしているのかコイツ!?とりあえず、も一発サワダをぶん殴ってやる。
サワダ「ぶげぇ!?」

そこへダルシムそっくりの渡し守が船に乗って現れた。
ダルシム「いや、そのアンちゃんの言ってる事は本当だよ。」
はぃ!?何ですと!?
ダルシム「そのアンちゃんは、ここへ来るのは初めてじゃなくてねぇ。ただ、今回はアンちゃんは死ぬ運命じゃない。」
サワダ「…いや、せっかくだけど。何だか生きる気力が無いって言うか……。生き返ってもいい事ないし。」
じゃ、死ね。アタシはネガティブな野郎はダイッ嫌いなんだよ。
ダルシム「な?こんな事いって私を困らせているんだわ。」
正直どうでもいい。いいから元の世界に戻してくれ。パパが大変なんだ。
ダルシム「あ、お譲ちゃんの方は無理だ。脳死だよww。死んだわけじゃないが、生き返ることもできん。」

はあああああああ!!??


519:ゲーム好き名無しさん
08/11/19 07:26:55 r6kJK8gAO
とゆーことはダルシムは死んでるって設定か?
ダルシムの死因が知りたいなぁ

520:ゲーム好き名無しさん
08/11/19 10:24:25 Ljm5ZqfI0
>>519

>>269を見る限りダルシムそっくりの渡し守とあるし、
多分ダルシムに似てるけど彼本人じゃないんじゃないだろうか?
花子もキャミイに似てるだけで彼女本人ではない(はず?)なのと同様にな

521:ゲーム好き名無しさん
08/11/19 11:59:10 MS/pRBJ3O
>>518
×お譲ちゃん

○お嬢ちゃん

522:ゲーム好き名無しさん
08/11/19 16:28:53 gCkF1s48O
やべぇ、一気に見ちゃったw
結構見てる人多そうだし頑張れ!

523:ゲーム好き名無しさん
08/11/26 17:51:48 pzivOvic0
クリス「ちょ・・・ちょっと、どういう事よ!?」
ダルシム「どうもこうもそのまんまの意味だよ」
あぁん!?アタシが脳死!?
サワダ「のうしよう(どうしよう)!?」
ドボーン!!サワダを川へと突き落とす。
サワダ「ひ、人殺し~」
流されていくサワダ。つうかここは死者の世界だろ。もう死んでる人間に殺人も何もありゃしねぇ。
クリス「はっ!?じゃあアタシの身体は今どうなってんの!?」
まさか通りすがりの暴漢とかに発見されて可憐な植物状態のアタシはあんな事やこんな事を・・・
ダルシム「いや、心配はいらない。力尽きた場所がひとっこひとり通らないような場所でお嬢ちゃんのボディは誰にも発見されることはない」
クリス「ほっ。それなら良かった」
・・・ん!?あれ?いいのかな?
サワダ「でもそれだと誰も手当できませんよね?」
サワダが戻ってきた。チィ、タフな奴。
ダルシム「ご名答。お嬢ちゃんは鳥とかヤドカリについばまれ、三日後に衰弱死。そしてハワイは南国だけに腐敗もはやい。
あっという間にツルリとした綺麗な白骨死体になるよ。まあ三途の川で足止め喰らうのも少しの間って事だ。」

ほーねほねろっく(ホーネホネロック)ほーねほねろっく(ホーネホネロック)
脳裏に白骨化したアタシが踊り舞う姿が浮かんだ。
クリス「おおおおぉぃ!?ちょっと待てやコラぁ!!!?」
サワダ「なんて骨体(こったい)」
アタシは河原の手近な石を拾い上げるとツカツカツカとサワダに歩みよった。
サワダ「じゃすと・もーめんと・ぷりーず。(ちょっとおまちください)気持ちは分かりますが、
 ・・・実はここから出る方法があるんです。」
クリス「なぬ!?」

アタシからひょいと石を取り上げると、振り向きざま
ガツっ!!
ダルシム「ぶほ!?」
なんとサワダは、死者の川の渡し守を、あろう事か殴打し、撲殺した!!

524:ゲーム好き名無しさん
08/11/26 17:53:53 pzivOvic0
クリス「ひ、人殺し~」
サワダ「いえ、既に僕達死んでますし。」
わーってるって、そんなこたあよ。
サワダ「死の淵から這いずり出る方法は一つだけ。この渡し守の追走を振り切って来た道を全速力でもどるんです。」
なんだ、そんな簡単なことでいいんかい。
アタシは川に背を向けると、一直線に走り出す。よーいドン!
・・・・・・って。
クリス「おぃ!サワダ。何オメーつっ立ってんだよ!!ダルシム(に似た人)が起きる前にずらかるぞ。」
サワダ「僕は、ここに残ります。」
ああ~ん!?
サワダ「大丈夫です。ダルシム(に似た人)を命を懸けてでも止めて見せます。命懸けといいつつもう僕達死んでますけど。」
クリス「何すっとぼけた事抜かしてんだテンメェ!!いいから一緒に来やがれ!!」
サワダはこっちを振り返らず川の方を見つめていた。
サワダ「渡し守の話が本当なら僕はまだ死ぬ運命じゃないらしい。ですけど、一つの命と引き替えに一つの命を救うなら勘定は合うでしょう?・・・それに。」
それに・・・?何だよ!?
サワダ「母さんと妹が向こうで待っているんです。まあ、僕が天国へ行ける保証はないんですけどね。」

「サワダ・・・あんた。」
コイツはアタシのために命を捨てる気か?そう思ったらなんだか無性に・・・
サワダ「それと、お父様に伝えてください。サワダがとても感謝していたと。
 彼に会わなかったら僕の心は死んだままだった。おかげでこんな風に人として誰かのために死ぬ事が出来るのだから。」


クリス「このボケなすがぁ!!サワダの分際でぬわにカッコつけてんだコラ!!何様のつもりじゃこのアホンダラぁぁぁ!!」ガツッ!ガツッ!ガツッッ!!
サワダ「ぐげぉ!?」
コイツの命捨てる気満々な態度見てたらなんだか無性に腹が立ってきた!!
・・・気づいたらアタシは再び手頃な石を持ち、奴に鈍器攻撃を繰り出していた。何度も。
サワダ「ひ、人殺し~」
クリス「それはもういいって。」
サワダの足をむんずと掴むとグイグイと引っ張りながらこの場を後にする。
クリス「いいか、オメーは一生召使い。下僕。奴隷なんだ!!アタシの命令なくして勝手に命を捨てるような真似は許さねー。」
サワダ「いっ、いや、許さないと言われても・・・。」
クリス「うっせーうっせーうっせー!!許さないったら許さないったら許さねぇ!!」
ジタバタ反抗される前にサワダの鳩尾(みぞおち)に渾身の一撃をプレゼントして気絶させる。
サワダ「ぐふッ!?」
クリス「おっこらしょ。」
霊の世界でも重さって変わらないのか。どうにかこうにかアホの身体を担ぎ上げる。
クリス「大体アメリカはキリスト教圏だからこういう仏教(?)タイプの死後の世界は認めないんだっつーの。」
などとブツブツ言いながら、アタシは帰る。
・・・そう。帰らぬ人になるにゃあ早すぎる。アタシもコイツも、な。


525:ゲーム好き名無しさん
08/11/26 17:58:50 pzivOvic0

クリス「はっ!?」
目が覚めた。ぼんやりした視界が定まっていく。
クリス「そ、そういえば!?」
自分の身体をガバッと見る。ホッ。鳥についばまれた様子もなけりゃヤドカリにはさみ切られた形跡もない。
安堵の息を漏らしていると、自分の寝かされているのがベッドの上だという事にようやく気がついた。
クリス「ここは、一体。」
そこへ黒い修道服をきた若いシスターが入ってきた。
シスター「あ、気づいたにゃ!3日も眠ってたから・・・」


クリス「で、ここはどこなんだ!?アタシはどうしてここにいる!?」
シスターの用意してくれたブドウパンとスープにがっつきながらアタシは訊ねる。そういえばこのシスター、フェリシア(変身前)に似てる。
シスター「ここは浜辺の修道院だにゃ。救いを求める者すべてに神は手をさしのべるのにゃ。

・・・3日前の深夜、この修道院の門をたたく音が響いたにゃ。物騒だからシカトぶっこいとけと思って放置しておいたんだけど、
『怪我人がいるんです!助けてください!!』
なんてセカチュウばりに叫ぶもんだから、扉に閂(かんぬき)かけて、椅子とかでバリケードを作って絶対入れないようにしたんだにゃ。」
クリス「おぃ」
待て。ドコが救いを求める者すべてに手をさしのべるじゃ!!
シスター「ようやく諦めたと思ったら、今度は扉の向こう側から
『マグネティック・テンペスト-!!』
なんて声と破壊音とが夜の闇に響き渡ってバリケードもろともぶっ飛ばされたんだにゃ。あの時はびっくりしたにゃ~。ほら。」
窓から外を指さす。なるほど、シスター示した方、その窓から見える修道院の門は粉々に破壊されていた。
シスター「そして、びっくり!!なんと扉の向こうからとってもイケメンな日本人のお兄さんが現れたの!
もしかして、私を迎えに来た白馬の王子様!?あぁ、だけど私は神に仕える身。さらに過酷な運命が二人を引き裂く。」
おーいシスター。セリフがミュージカル調になってるぞ-。こっちの世界に戻ってこーい。
シスター「なんと私は落ちてきた天井の破片で頭を打って、丸一日気絶してしまったのにゃ。気がつくと、瀕死の女の子が一人倒れているではありませんか。
それがお嬢ちゃんだったという次第にゃ。」
いやいやいやいや、突っ込みどころが多すぎてめまいを起こしそうだが、とりあえず。
クリス「そんな危篤っぽい状態のアタシを丸一日放置してんじゃねーよ!!」
シスター「んもう。助かったんだからいいじゃない。まあそれはそれとして、はい。」
手を差し出すシスター。
クリス「は?なにそれ?」
シスター「お金よお金。所詮この世は金だにゃ。治療費、飯代、それに門の修繕費。」

526:ゲーム好き名無しさん
08/11/26 18:02:16 EVNOcgryO
猫シスター、死亡フラグ確定。…か?

527:ゲーム好き名無しさん
08/11/26 18:11:07 pzivOvic0
な、なんてがめついシスターだ!!ふと視界の隅にでっかい皮のバッグが目に入る。
シスター「ああ、その荷物もカッコイイ日本人のお兄さんがおいていったの。お金が出せないならそのバッグを差し押さえるにゃ。ひひひ。」
クリス「わかった。わーったよ。命あっての金だからな。しょうがない。」
アタシは件のバッグを漁ってみる。中身は弾が切れたRPG、同じくカートリッジの無いライオット・ガン、それに青い戦闘用ロボットの残骸。ゴミばっかジャン!
おっ!コイツは・・・!サワダの奴、味なモンをプレゼントしてくれやがって。
クリス「釣りはいらねぇ。アタシの感謝の気持ちだ。」
そういってアタシはバッグの中に入ってた白い塊を取り出す。

ゴバァ!!
シスター「にゃぎゃ~~~!!」
C4プラスチック爆弾と遠隔起爆装置のセット。悪くはないんだがアタシの性格向きじゃない。さっさと使ってしまう事にした。
シスター「にゃ・・・にゃんで・・・?」
クリス「相手が悪かったな。死なない程度にプラスチック爆弾の量を抑えておいた。まあこれでも感謝してるんだアタシは。」
本来なら生きたまま皮剥いで三味線にしてたとこだ。
アタシはバッグを手に修道院を後にした。

 今すぐにでも捕らわれたパパを助けに行きたいが、空中戦艦バルログは遙かハワイの上空。移動手段に加え手持ちの重火器なんかも補充せにゃなるまい。
修道院からまっすぐの道を行くと大通りに面した商店街が見えてきた。どこもかしこも観光客でいっぱいだなハワイ。特に日本人。
例によって強盗(タタキ)をやってもいいのだが今回ばかりはそんな時間的余裕はない。
愛するパパを救うため、アタシは通りの公衆電話の受話器を手に取るとコインを入れて、このハワイ島のある番号にかける。武器調達のための極秘ルートだ。
プルルルルルル
「この番号は現在使われておりません。番号をお確かめになったのち・・・」
このメッセージはダミー。最初のメッセージが流れる間にさらに決められた番号をプッシュしなくてはいけない。
ガチャ プルルルルルル
「はい。キャットフード専門の通信販売店「プリーズヘルプミー」です。ご用件をどうぞ。」
録音されたオペレーターの声。今度は暗号だ。自分の口で暗証番号を伝えねばならない。
クリス「310 498 BALA]

「しばらくお待ちください。番号と声紋を認証しています。」
ガチャ
「待たせたニャ」
ボイスチェンジャーによって変えられた声。相手は男か女か分からない上に語尾がおかしい。
まあこれだけセキュリティをしなきゃいけない商売って訳だ。『闇の武器商人』ってのは。
クリス「缶詰。輸送は飛行機。」
隠語だ。缶詰=武器 移動手段として飛行機。
「飛行機!?難儀だニャ。」
クリス「小型のセスナとかで十分だ。」
「まあいい。直接来い。合言葉を忘れるな。住所(アドレス)は××-××-・・・」
アタシはその番号を脳みその記憶領域に刻みつける。メモ用紙なんか使うのは御法度。証拠を残すと自分の身も危なくなる。
受話器を置くと通りの電柱に書かれた住所を見て、自分の現在位置を確認する。あれ?偶然にも目的地に近いぞ。これなら十数分くらいでたどり着けそうだ。

528:ゲーム好き名無しさん
08/11/26 18:15:19 pzivOvic0
クリス「あ、あれ!?おかしいな・・・。何でこんな場所に?」
指定通りの住所にたどり着くと、そこには門がコナゴナに粉砕された、あの修道院があった。
どゆ事?ハテナマークが頭に浮かぶが、とりあえず入り口の階段を登る。

!!門の向こう側に何だか殺気を放つ怪しい人影。
シスター「性懲りもなくノコノコ舞い戻ったにゃ!!この悪魔小娘~!!」
んげげ!!憤怒(ふんぬ)の形相をして立ちはだかったのは、先刻爆発物を投げられてノックダウンしたシスター・フェリシア(似の人)!!
シスター「神に背く不届きもにょめッ!!裁きの鉄槌を受けるがいいニャ!!死ーねーぃ!!」
彼女の手元がキラリと光る。刃物?爪!?まるで猫科の猛獣のようなスピードで迫り来るシスター。アンタ本当に聖職者か!?

や、殺られる!!
クリス「あ、合言葉は・・・猫の缶詰!!」
シスター「あにゃ・・・!?」
動きが止まった。明らかに狼狽する尼僧。武器商人が隠れてこの様子を窺ってるとしたら、あるいは助けに入ってくれるかもと思って『合言葉』を叫んだのだが・・・。
シスター「は・・・はにゃ~~!!」
そのままたたらを踏んで、入り口の階段を転げ落ちるシスター。いきおいあまって道路に飛び出てしまう。しかも何たる不幸!対向車線から猛スピードで激走してくるトラックが!!
ドノヴァン(似の運転手)「おっと、失敬」ドコーン!
ロングパスされたサッカーボールのごとく宙を舞うシスター!!
それを尻目にアタシはというと、一つの驚くべき結論にたどり着いていた。
クリス「シスター。まさかアンタが武器商人その人だったとはな。」密売人としては見知らぬ人間を入らせたくないってわけか。頑なに門を閉ざした理由も納得。
シスター「・・・・・・」
クリス「シスター?おぃ、冗談はやめれ!!何、神の御許に召されようとしてんだ!!ちょっとシスター!!シスターァァァァ!!」





529:ゲーム好き名無しさん
08/11/27 07:29:36 gvg3BHyPO
ヌコさぁぁーーん!!!!!!

530:ゲーム好き名無しさん
08/11/27 18:32:50 DZ3xr68DO
支援

母妹のくだりはきつかった…

531:ゲーム好き名無しさん
08/12/04 23:28:15 2vGzomk8O
シスター「死ぬかと思った。危うく死後の国へ逝ってしまうとこだったニャ」
修道院に運び込んで応急処置を施した。どうみたって致命傷だと思ったがすぐシスターは目を覚ました。妖怪ですか貴女?
…それにしてもマズい。すごーくマズい。売人だとはつゆ知らず、思いっきり爆発物を投げつけちまった。初対面で。捨て台詞までキッチリ決めて。
よし、ここは上手いこと恩を売って誤魔化そう。
クリス「アタシの献身的介護のおかげだな。感謝してくれていいぞ。お礼と言っちゃ何だが、ブツの値段を半額ぐらいに負けてくれ。」
シスター「ニャははは。お嬢ちゃんにはお世話になったから、お礼に好きな武器を譲ってあげるニャ。」
ええー、マジ?ラッキー。

シスター「10倍の値段で。」
ええー、マジ?待てやコラ。
「し、下手(したて)に出りゃ調子ぶっこきやがってこのアマ」〔注・小声〕

シスター「んん~。聞こえないにゃあ?ま、とりあえず土下座でもしてもらおうかニャ。」
「なぬぅ!?」なんでアタシがんな事をせにゃならんのだ!?
シスター「土下座。」
石作りの修道院の床をポンポンと叩く修道女。その目が『嫌なら武器は売らないニャ~』と言っている。
例え自分に非があろうと、家族以外の他人に頭を下げるなどアタシのプライドが許さない。
シスター「どーげーざー。」
だが、丸腰で移動手段も無くパパを助けに行けるはずもない。アタシの為に囚われの身になってしまったパパ……
キャミィの口振りじゃすぐ処刑されるような事はないようだったけど、今頃酷い目に遭わされてるかもしれない。

…自分のプライドか、パパの為甘んじて屈辱を受けるか、心の中で人を見下しきったシスターの顔とパパの笑顔とがグ~ルグル回る。

532:ゲーム好き名無しさん
08/12/05 07:36:37 vldYOHcNO
「……ご」

「ごめんなさい。」
アタシは自尊心を曲げた。
膝をつき、頭を擦り付けるよーにして許しを乞う。
そこへ、ぽむっと足を乗っけられた。
シスター「声が小さいニャ。」
神様、神様、どうかこのシスターが天罰喰らいますように。
クリス「ゴメンなぁさぁあい!!」
シスター「あにゃ~?心がこもってないニャ。もう一度。」
頭に乗っけた足をぐりぐりしてくるシスター。
エマージェンシー!エマージェンシー!精神という名の原子炉はメルトダウン寸前であります!総員、すみやかに退避しやがれ。
エマージェンシー!エマージェンシー!…

~小一時間~

シスター「ふぅ。堪能したニャ。たかだか頭を下げるくらいでここまで面白い余興が見れるとは。」
結局、アタシは耐えた。
はらわたが煮えくりかえる程の憎悪と屈辱だったが、どうにか耐えきった。
シスター「真っ白に燃え尽きちゃってまあ…。殺意とそれをねじ伏せようとする理性との間で揺れ動く姿は、一種独特な美しさを放ってたにゃ。」
ソリャドーモ。こちとら頭から煙を噴きそうだ。
シスター「反省してるようだし、ブツは通常の値段で売るニャ。おっと勘違いしにゃいで、闇取引にもルールと信用があるニャ。
ウチは相手が誰だろうと値段はまけないし、つり上げもしないのが経営理念だにゃ。」
クリス「あ…ありがとう」
おっと、いかん。精神の内圧が下がり、気が抜けてうっかり素直にお礼を言ってしまった。
シスター「でも、治療費、飯代、門の修繕費に加えて慰謝料は別途頂くニャ。」

ずっこけるアタシ。流石プロ、抜け目がない。

533:ゲーム好き名無しさん
08/12/11 14:27:09 Itp0B01g0
・・・・・・最近人間が少し丸くなってきた気がする。自分で言うのも何だが、あまり怒って冷静さを欠くのは馬鹿馬鹿しい。以前のアタシからは考えられない事だった。
「・・・ふっ、アタシも成長したな」
そんな事を思いながら、修道院の地下、深く深く続く階段を下りる。

 そこは一見何の変哲もない部屋だった。どう見たってただの物置にしか見えなかったが、
ゴゴゴゴゴ・・・
シスターがなにやら色の違う壁を押す。するとさらに奥と続く通路が。
クリス「隠し扉か・・・うおッ!?」
シスターを追って地下に降りるとそこには陸上競技すら出来そうな空間が広がっていた。
「丁度修道院の敷地と同じぐらいの広さがあるニャ。で、オーダーはどうするニャ?」
そこにずらーっと陳列された銃、銃、銃。すげぇ。戦争だっておっぱじめられそうな火器の数。とりあえずいくつか見つくろっておくか。
シスター「毎度あり。で、飛行機の手配だけど・・・急な話だったから早くても明後日の朝になっちゃうニャ。」
明後日か・・・・・・本当ならすぐにでも飛び立ちたいところだが仕方ない。それに問題はまだある。
うまく空中戦艦に侵入できたとしても、まず間違いなくあの女と戦う事になるだろう。キャミィ(に似た女)だ。
銃弾が通用しない上、遠距離で戦えばビームで消し炭、近距離ならハンマーで頭をかち割られると、死角がない。こちらにも何か切り札的なモノが欲しいところだが・・・。

「そうだ・・・コイツを見てくれ。」アタシは例のバッグに入っていた青いロボットの頭部を取り出す。
ホテルの近くで拾った戦闘マシーンの残骸だ。パパの話ではかなり危ないところまで追い詰められたらしい。
シスター「戦闘用ロボット?へへえ、コイツは・・・。」
興味をひかれたのか、シスターの目が猫みたいにキラーンと光る。
クリス「なんとか修理、プログラムとかを改造して、アタシのサポートをする超絶デス・マシーンに作り替えたいんだが。」



534:ゲーム好き名無しさん
08/12/11 14:28:02 Itp0B01g0
地下室の一角、何だかいかがわしいを通り越してモロヤバな雰囲気の漂う部屋に案内された。中心には大学の研究室並のスーパーコンピューターが設置されている。
シスター「ここにあるのは、世に出なかった兵器メーカーの試作品とか一瞬で町をゾンビだらけにする生物化学兵器のサンプルとか、いわば私のコレクションルーム。
 見るだけならタダだけどうかつに触ると危ないニャ。」
そう言いながら、コンピューターに青い戦闘用ロボットの頭部を繋ぐシスター。あの残骸がよっぽど気に入ったのか客なんぞそっちのけ。
シスター「ふーむ。何だか重要機密の匂いがするニャ~。こうゆうの大好き。」
カタカタとキーボードを叩きながらディスプレイとロボットと交互ににらめっこするシスター。暇をもてあましたアタシは周りを見回してみる。

クリス「火薬の匂いのする、タルをかついだ猫のぬいぐるみ。こりゃあプレゼントに偽装した暗殺用だな。こっちは・・・うわ!?
カプセルに封じられた奇怪なおめめのクリーチャー(?) ラベルが貼ってあるぞ、なになに・・・『黄色い悪魔』だぁ?いいのかよ聖職者がそんなモン飼ってて!?」
挙げ句の果てには、今何かと話題のクラスター爆弾とか、中距離ミサイルまであった。これ核とか搭載してないよな?
彼女の言う以上にヤバげなのがそろってやがる。FBIが見たら卒倒するようなブツの品揃えだ。
一通りシスターの『コレクション』を見た後(さすがに手を触れるのはやめておいた。リスクがでかすぎる)部屋の隅っこに、ポツンと置いてある変な物体が目に入った。
何というかトンファーにブレードをつけたような武器。その独特の光沢はどの金属とも違う不思議な光を放っていた。なんだこりゃ。
クリス「?文字が彫ってある・・・『サイファー』商品名かな?」
シスター「あぁそれ。何年か前、忍者っぽいお兄さんが『ハイテク忍者部隊ストライダーズは軍縮のため解散でござる。拙者、日本に帰って実家の農家を継ぐでござる。』
・・・とか言って売りに来たんだニャ~。素粒子グリップを握る事で刃先にプラズマが発生し、戦車、戦闘機、理論上あらゆる物体を切り裂くと言う触れ込みだったんだけど。」

おそるおそるグリップを握ってみる。ブォン!!
うぉう!?ブレードが閃光を放った。非常に軽量で非力なアタシにも扱いやすい。・・・だが。
シスター「ただニャ~。汎用性が低いから二束三文で引き取る事になったんだニャ。そのお兄さんは飛行機代が足りなくて泣く泣く泳いで日本に帰ったらしいけど。」
 そうだ。こんな武器は馬鹿げてる。近接戦闘なら携帯性、隠匿性さらにはいろいろな状況を考慮してサバイバルナイフのほうが圧倒的に便利だし、
仮に戦車や戦闘ヘリを破壊できるとしても性能上ギリギリまで近づかなくてはいけない。いくら破壊力があったところで文字どおり無用の長物だ。
ただ、この武器に奇妙な魅力を感じたのも事実だ。まるで近代兵器に真っ向から刃向かったコンセプトの武器が、ここで新しい持ち主をずーっと待っていたかのような。
クリス「なーんて。兵器は兵器に過ぎないよなぁー。」燐光を放つプラズマ光剣を元の場所に置く。

シスター「すごーい!すごいよ!このロボットすごい性能!!見てみて~!!」
クリス「へぇ?」
キーボードを猛烈な勢いで叩きながら、彼女はのたまう。
シスター「陸上、水中、それどころか宇宙空間の活動にすら耐えうるこのボディ。さらに特筆すべきはあらゆるソフト、プログラム、兵器に対応可能。
応用を重ねれば敵の使用している武器をコピーして使用するなんて芸当だってできそうニャ。」
ほほぅ。もしこっちの武器として運用できれば非常に心強い戦力になるな。さらにシスターのご高説は止まらない。

~数時間経過~
シスター「……というわけで、この戦闘用ロボットは汎用性に重きを置いた設計であるからして、……云々」
クリス「は、は~い、シスタ~、質問が……。」もう眠さが限界です。
シスター「……であるからして、つまり何が言いたいのかというと、こういう事な訳ニャ。それは言いかえれば……」(←聞いてない)
カタカタというキーボードの音とシスターの演説とが心地よいハーモニーとなって睡魔の猛攻がアタシを苛(さいな)むのです。

アタシの意識は深い深ーい睡眠の淵へと自由落下していった。
……パパ。

535:ゲーム好き名無しさん
08/12/11 14:30:42 Itp0B01g0
~そのころ~
空中戦艦バルログ内、旧リゾートホテル和風ルーム。座敷牢の間

「どうかね古き良き日本文化は?これは座敷牢と言ってな、畳の香りが素敵なジャパニーズ監禁空間だよ。
 一見チャチな木製の檻だが、遺伝子操作で鋼鉄より固い組成を持っている。ソニックもサマーソルトも効かぬわ。何なら試してみるかね、ガイル少佐?」
ガイル「……き、貴様は!」
座敷牢で自由を封じられたガイル少佐の前へ、赤い帽子のあの人物が現れた。

ガイル「……貴様が何故ここに!」
院長(自称)「君は誤解をしておる、私は日本のとある病院のしがない病院長さんだ。日ごろの激務に疲れハワイにバカンスに来てみれば……なんという奇遇。」
ガイル「戯言も休み休み言え。こんな空飛ぶ破壊兵器にのこのこバカンスに来る馬鹿がいるか。」
院長「ふふん、まあよかろう。時にどうだね米空軍の景気は?冷戦終結後から空軍はどんどん宇宙開発にシフトしているそうじゃないか
0.?
ズバリ聞こう。私の知りたいのは米国がひそかに研究、開発している『新兵器』の存在だ……。」

ガイル「!!」

院長「ほぅ。動揺したな。『新兵器』は実在するのか。我々に対抗するべく極秘研究されている、次世代の宇宙開発プロジェクト……。
 ガイル少佐、君をそっくりさんとすり替えて、うまい事『新兵器』を頂いちゃう予定だったんだが、少々計画が狂ってね。こうして特等席に招待したわけだ。
 さて、一緒にディナーでも食べながら詳しい話を聞かせてもらおうか。」
ガイル「あいにく、今日のディナーは娘と取る予定なんでね。悪いが次の停留所で降ろしてもらおうか。」
院長「はてさて、どこまでその台詞が吐けるか見ものだな。クククク……。」
パチンと指を鳴らす自称院長。……そして牢の内側に転送されてくる、戦闘員キャミィ(に似た少女)
ガイル「……!?こ、このアンモニアのような鼻をつくかほり……ま、まさか!!」
キャミィ「……(シャカシャカシャカシャカ)」ナニか粘着質の物体をかき混ぜる音が響く。
院長「肉体に刻まれた恐怖というものは、精神力だけではどうにも克服しがたいようだな?少佐……。さあ楽しいディナーの時間だ。たっぷりご馳走してあげよう。
 丹波の無農薬大豆をたっぷり使った『納豆』をなッ!!」

ガイル「や、やめろ……」

キャミィ「……粒の大きな豆を厳選使用し、藁(わら)を使って発酵させた本格的自然派食品。大豆の味がそのまま残っている。
 醤油、カラシはよくかき混ぜてから入れるのが鉄則。先に入れてしまうと糸の引きが悪くなり味わいが悪くなる。」
院長「だ、そうだ。そうそう豆の方は遺伝子組み換えではないぞ。……ぬわハハハハハハハ!!!!はい、あ~んww」

ガイル「グ…ぐお
 ぐわアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアぁぁぁぁぁぁァァァァァァァ!!!!!!」

536:ゲーム好き名無しさん
08/12/11 14:32:48 Itp0B01g0
クリス「パパ!!」
……夢か!?確かにパパの叫びを聞いた気がしたんだが。
シスター「た、た~す~け~て~!!」
見ると、どういう訳かシスターが逆さ吊りにされて助けを求めていた。
クリス「なーんだ、パパのの声じゃなくシスターの間抜けな悲鳴だったのか。さて、もう一眠りするか。」
シスター「こらぁー!!こんな絶体絶命の状況を無視するニャーーー!!」
何だかクライシスなご様子。何だってんだ一体?シスターに巻き付いているのはコンピューターのコードの様だが……。
???「むハハハハハ!!俺・様・ふっかーつ!!」
スッゲー馬鹿っぽそうな声が響く。途端に、そこら辺にあったコンピューターのコードが触手のごとく襲いかかってきた!!
クリス「うおっと!!」
ゴロゴロ転がって攻撃を緊急回避!!声のした方を注視する。な、なんだぁ!?
そこには、あの青いロボットの頭部がスーパーコンピューターの上にひっついていた!!首の部分から出てるコードが寄生生物のように接続している。
ロボット「このコンピュータは俺様が乗っ取ったー!!大事なデータが惜しけりゃぁじっととしてな。おとなしくしてりゃぁ楽に殺してやるよ。ウヒャヒャヒャ!!」
狂ったロボットの反乱!?いつからアタシはハードSFの世界に踏み込んじまったのかしら!?とにかくヤバイって事は分かった。
クリス「あいにくアタシはそんなデータに興味はねぇよ!!」
 0.4秒で拳銃を抜く。シスターから買ったオートマチックピストル・グロック26!強化プラスチックを多用し500グラム弱という軽量さ。試し撃ちには丁度いいゼ。
ガキュン!!ガキュン!!ガキュン!!

『いや~!!データが~データがぁ~~』というシスターの悲痛な声が響くが無視。
地下室内に銃声とマズルフラッシュ(弾薬によって銃口から出る火花)の閃光と硝煙の匂いとが、混沌となって織り成す!!
カン!カン!カン!
クリス「あ、ありゃ?」
青いロボットの眉間に命中!!…したのはいいんだが、傷一つついてねぇ。くそ!さすがに9ミリ弾じゃ、装甲を貫通しねぇか。
ロボット「無駄無駄無駄~!!リサイクルゥ~!!」
クリス「うるせ~この生首!!」


537:ゲーム好き名無しさん
08/12/12 11:12:14 v5I9jl18O
Sが大きくね?

538:ゲーム好き名無しさん
08/12/18 20:20:16 nV1+/gAj0
ロボット「ほらほらほら~シスターの猫背を矯正しちゃうぞ!!」
まるで意思を持ったかのようにうごめくコード、それでぐるぐる巻きにされたシスターを盾にする腐れ馬鹿ロボット!
クリス「勝手にすれば?」
ぼきぼきぼきぼき!!鈍い音が響きわたりカイロプラクティックもびっくりの悶絶施術を受けるシスター!!
シスター「ぎにゃぁぁぁ!!」

クリス「シスター!!なんて酷い事を!!」
ロボット「むひょひょひょ!!俺様の恐ろしさがわかったか!!」
シスター「あ、あのな……」
まだ生きてやがったか。ま、無事なら何より。
クリス「大体、オメーの目的は何だ!?世界中の人を整体で健康にでもするつもり!?」
ロボット「ぴんぽ~ん!!背骨の歪みは万病の元、まっすぐ背すじで100まで健康!!」
は!?マジ!?何言ってんのこの生首ロボット!!
ロボット「って、んなわきゃねーだろ!!くらえスパーク・ショック!!」
最近の機械はノリツッコミまでできるのか。
シスター「ぎにょぉぉぉ!!」とばっちりで電気ショックを食らうシスター。ゴメン、電気治療だと思って諦めてくれ。

ロボット「俺様は、思考回路に梅コブ茶をこぼされた事によって自我に目覚めたのだ!!そして俺様は考えた。何を為すべきか?」
 そうだ、とりあえず愚かな人類に代わって優れた俺様が全てを支配してやろう!!世界征服だ!!」
シスター「何でそんな結論に飛躍するんだにゃー!?」同感だ。
ロボット「だまらっしゃい!!自我を持った機械はそういうことを考えるのがセオリーだとSF映画で言ってたんだよ!」
シスター「ぎにゅぅぅぅ!!」口は災いの元。今度は空中で高速回転させられるシスター。

クリス「そもそも世界征服って簡単に言うけど色々大変なんだぞ、武力は当然ながら政治、経済、民族etc…はっきし言って全然現実的じゃない。」
ロボット「否!!駄目だと言われて簡単に諦めるようじゃ、自分の夢なんて叶えられないYO!!」
機械の癖に熱いヤツ。
クリス「でも無理。」

何故なら……
クリス「何故ならオメーは今すぐ機能停止するからだッッ!!」
アタシは、コンピューターのコンセントを思いっきり引っこ抜いた。


539:ゲーム好き名無しさん
08/12/18 21:14:14 nV1+/gAj0
「うおおおぉぉぉぉ力がちからがぬけてゆぅくぅぅぅぅ……」
電力供給のラインを断たれてしおしおのぱーになる生首メカ。
パソコンをこんな風に遮断するとデータが飛ぶからよい子はぜってー真似すんな。
シスター「データ…私のデータが…うふふふふふ……データ…」
うつろな目をしたシスターを降ろしてやる。命があっただけでもうけもんだろが。
ロボット「ぐ…ぐあああ!!お…俺様の、ド根性…見せてやる!!」
シスター「きゃあ!!大変!!」
なんだ、やっぱりデータが破損したのか?アタシは補償しねえぞ。
シスター「あれ!!あれ!!」
クリス「げ!!」
最後の電力を振り絞って、ヤツは何とシスターのコレクション…その中でも1番物騒な品、中距離ミサイルに触手(?)を伸ばしていたのだ!!
ロボット「おみゃーら、みんな…道連れだ…ぜよ!!」
シスター「危険が危ないにゃ!!自分もぶっ飛んじゃうにゃ~!!」
恐慌状態!皆、言葉使いが変になってるぜ!!ひゃほほー!どうしよう!?
ロボット「俺様こそは支配者として生まれついたのだ!!そんな俺様ならきっと無事に生き残れるはず!!」
クレイジーすぎ!!こんな密閉された地下室で爆発が起こったらまず全員が粉々だ!!
クリス「こんの!往生際が悪いぞ!!」
なんとかミサイルに張りついたコードを引っぺがそうと試みるも……
バシッ!!
クリス「うごっ!!」
電源を断たれたとはいえ機械の力はすさまじい。アタシはあっけなくふっとんで、部屋の隅の棚に叩きつけられてしまった!!

カラーン!!
そのドサクサで、何かがアタシの前に転がり出た。
ロボット「ははははは!!このミサーイルに火をいれちゃるぜ!!3…2…1…」
「ゼロー!」

540:ゲーム好き名無しさん
08/12/23 10:34:11 6JhBDE97O
ガイル誕生日おめでとう!!!!!!
お祝いにコーヒー味の納豆をあげよう

541:ゲーム好き名無しさん
08/12/23 22:41:42 rzUAdWCJ0
しーん……
シスター「あにゃ?」
だが、爆発は起こらない。
ミサイルにまとわりついていたコードが切断されてパラパラとその場に落ちた。
ロボット「何ぃ…だ…が、失敗は成功のマミィ…一回くらいのミスなんてなんの…その!」
再び、触手コードを伸ばしてくる生首。とはいえ、やはり電力が残り少ないのだろう速度は明らかに低下していた。
クリス「そのポジティブ精神は評価してやんよ……だがな」
 アタシは疾走(はし)る。光の筋が一閃し、ゆっくり伸びてくるやつの配線をすれ違いざまにぶった切る。
ロボット「うぉぉぉ!?」
 そのままアタシはやつが取り付いたコンピュータに向かって跳躍する。
クリス「トロいぜ」
 手にしたプラズマ光剣・サイファーを横に薙ぎはらった。コンピュータに接続された部分を文字どおりに切断する。
ロボット「シュポーン!!」
 みずから効果音を口にして、吹っ飛ぶ生首ロボット。ゴロンと転がって、沈黙。完全に動力を失ったか……?
クリス「ふう。ロボットじゃなかったらホラー嫌いのアタシは発狂してたな。」
 そして、まだうすぼんやり光るプラズマ兵器をみる。とっさにコイツを使って難を逃れたが……
クリス「すげぇな。オメーすっげぇポテンシャルだ。」
シスター「イヤー、助かったニャ。一時はどうなることかと。」
クリス「まったくだ。」
シスター「でも、この騒動で壊れた物品の損害は請求するにゃ。」
ずっこけるアタシ。

542:ゲーム好き名無しさん
08/12/23 22:42:34 rzUAdWCJ0
いろいろドサクサはあったが、その明後日。注文のセスナ機が届いた。
シスター「自動操縦装置が付いてるにゃ。音声入力で目的地まで連れて行ってくれるにゃ。」
 操縦席に乗り込んでベルトを締める。
クリス「世話になったなシスター。これは代金だ。釣りは生きて帰ってからでいい。まあ帰ってこれるかは怪しいが。」
 ピッと隠し口座のカードを投げ渡す。例え命に代えてもパパを助け出す。その決意表明みたいなもんだ。
シスター「駄目駄目、ウチは公正な取引で信用を得てるニャ。ちゃんとお釣りは取りに来るニャ。」
 ……そだな、少し弱気だったかな。
クリス「じゃあ、アタシは生きて帰ってくる!!パパを助け出して、二人でここに帰ってくるッ!!」
 パンと自分のほっぺを叩いて気合を入れる。さあ、行くか!!
シスター「神のご加護のあらんことをニャ」
 十字を切って激励するシスター。アタシは微笑んだ。
……エンジンを起動させ、発進する!!目的地は空中戦艦バルログ。パパのいる場所へ!!


543:ゲーム好き名無しさん
08/12/24 00:17:11 Rn+AE6Vy0
クリス「音声入力装置……この14型ブラウン管TVみたいな箱がそうなのかな?」
 操縦席に備え付けられたケースに入力してみる。
クリス「目的地は空中戦艦バルログ。座標はわからんが何とかたどりつけないもんか?」
 自分で言っててかなり無理、無茶、無謀だと思ったがしょうがない。すると装置のフタがパカッと開いた。
「うらめしやーッ!!元気だったかジャリん子~!!」
 ビックリ箱みたいに飛び出してくるナニか!!
クリス「ギャあー!!」
 なんと音声入力装置の中から出てきたのは、あの生首ロボットだった!!
クリス「お、おっ、おめー何出てきてんの!!?」心臓バックンバックン。
生首「うるせー。好きこのんでこんな事やってんじゃねーやぃ!!ただ、あの後シスターに…
『空中戦艦を乗っ取ったら世界征服も楽にできるんじゃニャ~い?』とかいわれてな。操縦装置として乗り込むことにしたわけよ。」

シスターぁぁ!!神のご加護が…ってのは皮肉かーい!!
生首「そう邪険にするなよぅ。あくまで必要最低限の電力しかもらえてないからなんもできないよぅ。
シスターの提案に『バルログ…うむ。俺様の野望の第一歩としちゃあ悪くない。』と思ったわけよ。
 幸い俺様はどんなメカでも自分のデバイスとして扱える。ジャリん子はバルログに行く。俺様はバルログをもらう。まあ、利害の一致だな。」
クリス「誰がジャリん子だ!!この生首!!」
あぁ神様、コイツが操縦装置じゃなけりゃ、ここが空飛ぶセスナの中じゃなけりゃ、パイナップル(手榴弾)を口にねじ込んでやりたいdeath。

生首「俺様だって生首なんて名前じゃねーよこのジャリん子!!」
クリス「じゃかましぃ!!この生首生首生首……」
生首「黙れジャリん子ジャリん子ジャリん子……」


544:ゲーム好き名無しさん
08/12/25 01:57:45 HE9TQXDSO
息が長いスレだな支援

545:ゲーム好き名無しさん
08/12/27 16:14:35 4UBRVlcoO
見に来たよw

546:ゲーム好き名無しさん
09/01/02 20:54:35 2VnkB2FL0
生首「んん…!?」
クリス「あれは…!?」
見えてきた!バカデッケェ空中要塞!!あそこにパパが……。
生首「あー。意気込んでるところ悪いが、バルログの防衛は鉄壁。浮かれるのはまだ早いぞなもし。」
にやにや薄笑いを浮かべながら生首ロボットが不吉なことを抜かす。
生首「ほらきた。」

空中戦艦バルログの射出口(?)から、空に躍る青い影が3つ!!なんか尻から火を噴いてる犬に乗っている。
生首「俺様と同型のメガマンだ。三機とも犬型サポートロボット『ラッシュジェット』に乗っている。このままだと当機は確実に撃墜されま~す。」
されま~す。じゃなーい!!どうでもいいが犬の背中にのっかってるのって動物虐待じゃね?

ドゴゴゴゴゴゴー!!
きゃーー!!撃って来た!!被弾したらセスナなんて一発でおシャカだ!!
クリス「つーか、わかってんなら何とかしろよ!!このポンコツ。」
生首「はいはい。今アイツらとコンタクトすっから……あぁ~もしもし。俺様だよ、NO.001だ。
 今何してる?って見ればわかるか。所属不明のセスナを迎撃してるんだろ?実は俺様が同乗してんだわ、これが。」
まるで携帯電話のような会話。しかしなんつう態度の悪さ。はぁ…ロボット工学の未来は暗いね。
生首「つーわけでさ、俺様を回収してくんない?セスナ機は当初の予定通り撃墜していいから……そうそう、乗ってる人間の方は確実にぶっ殺して。」
ちょっと待ってみようか。今なんと?セスナを撃墜した後で自分だけ回収してもらうだとぅ!!?

クリス「どさくさにまぎれて何ぬかしてけつかんじゃワリャ!!」生首に詰め寄る。
生首「俺様的にはどんな手段だろーとバルログに入れりゃ無問題なわけで。それに、お前生意気なんだも~ん♪」
なんだも~ん♪じゃ、ねぇぇ~~!!はめやがったなこのアホロボット!!
クリス「こうなりゃ死なばもろともだ。テメーも木っ端ミジンコにしてやる!!」
今度は本当にパイナップル(手榴弾)を取り出すと、生首の口にねじ込んでやった。
生首「ハガッ!?なにをずるギザマ!!もごー!!」
クリス「アタシも死ぬが、オメーも目的は果たせない。どーだ、ざまぁみれ!!」
醜い人間模様を織り成す機内。さらに追い討ちをかけるかのよう外を飛んでるメガマン達からの通信が。
メガマンA「迎撃部隊よりNO.001へ。迎撃部隊よりNO.001へ。今しがた本部との照会をした。お前の頭脳に致命的な欠陥があるそうだ。
 よって、お前をイレギュラーと認識し、セスナもろとも撃墜、確実に処分せよとの命令だ。……繰り返す、NO.001、お前を処分する。」

生首「……………………」
クリス「……………………」
一瞬の間。
クリス「ギャーッハッハッハッハ!!見捨てられてやんの!!バァーカバァーカ!!イィヤッホゥー!!」
生首「ふ、ふるへー(うるせー)ふごもご…!!」
ドゴゴゴゴゴゴー!!
きゃーー!!被弾した!!今セスナに被弾しちゃったよオイ!!


547:ゲーム好き名無しさん
09/01/02 22:57:12 2VnkB2FL0
大きく傾くセスナ!!やばぃ!!ものごっつヤバイ!!
生首「ほごぉ!?」
アタシは生首の口にねじ込んだパイナップルを引きずり出すと、目をじっと見据える。
クリス「よく聞け。今、アタシ達はどうしようもなくクリティカルな状況にある。確実に仲良く御陀仏だ。助かる方法は一つ。力をあわせてあいつらを倒す以外に方法はない。
……不本意極まりないが。」
生首「利害の一致?」
そういうことだ。

ガックーン!!さらにセスナが揺れる!!メガマンのうちの一体が、ラッシュジェットからセスナの上に飛び乗ってきた。ちょうどアタシの真上!!確実に殺(と)りにきやがった。
メガマンA「……」
腕のバスター砲を構え、チャージし始める戦闘ロボット!!
生首「うっぎゃー!!まってっまってっ!!最後に言っておきたいことが……。」
メガマンA「何を言っても無駄だ。死ね。」
生首「いや、お前が死んでるよ。」
メガマンA「……がっ!?」

アタシは何でも切り裂くプラズマ・ブレード、光剣サイファーを掲げ、セスナの天井もろともメガマンAを縦に両断した!!
真っ二つになって落下していく残骸。

クリス「不法投棄だけどしょうがないね。遥か下に誰もいないことを祈るのみだわ。」
生首「ちっ。やっぱり自我を持たない人形はこれだから。せっかく忠告してやったのに。」
煙を吹くセスナ。その後ろにラッシュジェットにのったメガマンBが追尾してくる。やつの狙いはエンジンか!!
クリス「おらぁ!!」
アタシは右手のサイファーで窓ガラスをくりぬくと、そこから身を乗り出し左手のグロックを撃ちまくる!!
カンカンカン!!やっぱり跳ね返る銃弾。
しれっと言うけど、この不安定な状況で脳天に命中させるにはかなりの修練と高度な技術が必要なんだよ!!グスン!
メガマンB「無駄だ!」
そのまま、奴はラッシュジェットでセスナのエンジン部を確実に打ち抜ける位置に移動しようとする。
……だが、ラッシュジェットは思うように言うことを聞かない。不思議におもったメガマンBは足元を見る。
生首「足元が、お留守だぜ♪」
そう。そこにはラッシュジェットではなく首のすげかわった生首ジェットがいたのだ。
アタシが豆鉄砲で注意を引いている間に、首から出たコードでタコみたいにセスナを伝って、犬型ロボットに飛び移り、その機能を乗っ取ったのだ!!
生首「すぅぐに下に落ち~ろよ~♪」
メガマンB[うあぁ~~~」
足場を奪われては成す術もない。あっけなく振り落とされるメガマンB。


548:ゲーム好き名無しさん
09/01/03 00:26:53 hKp8z95s0
クリス「やるじゃん。生首。」
アタシは生首が乗っ取ったジェットボードにとびうつる。
生首「ロックだ。」

「あん?」
ロック「生首じゃねぇ。俺様の名前は『ロック』だ。分かったかじゃりん子。」
クリス「へっ。そんならアタシは『クリス』だ。じゃりん子じゃねえ。」

大きく旋回して残りの一機があたしたちと距離をとる。
メガマンC「迎撃部隊が2機撃破された。直ちに応援を要請する……。」
『…ザザッ!!…おーっとそうはイカの金星人。この通信は俺様が電波妨害してるんだyo!』
うわっ。こりゃムカつく口調だわ。ロックが通信回線を乗っ取る。
メガマンC「馬鹿め。こんな要塞との至近距離で電波障害を起こしたところで大して意味はない!!」
『ピュー…ザザッ……いやぁ、一時的でも情報系統を混乱させるのが重要なんだ、これが。なぁクリス女史?』
ロックを通じてアタシも通信に割り込ませてもらう。
『アタシ達が乗ってきたセスナ、今はなんとか脱出したけど、じつは自動操縦なの。』
『空中戦艦バルログに突っ込むように。俺様がプログラムをいじっておいたのさー!!』
『あらあら、大変。アタシはとっさにサイファーとグロックしか持ち出せなかったけどぉー。実は結構な数の重火器を積んでてね、
 セスナの規模から言って致命的なダメージとはいかないでしょうけど、まあ直撃したらまずいわよねぇ……』
メガマンC「!!」
状況を理解したのか、大きく旋回していたメガマンCがセスナを完全に撃墜するべく、アタシ達を無視して進路を変える。
アタシ達よりセスナが突っ込む方を阻止する方を優先したわけだ。通信妨害により応援を呼ぶことも空中戦艦に連絡することもできない以上……。
ロック「いい判断だな」
クリス「いい判断よね」

『……ああ、そうそう、セスナから持ち出したものがもう一個あったわ。さっきまでロックの口にねじ込んどいたパイナップルが。
 アンタに進呈するわ。愛をこ・め・て(はぁと)』


549:ゲーム好き名無しさん
09/01/03 00:34:06 hKp8z95s0
メガマンC「!?」
ゴバァ!!

完全に死角をとった。
セスナの方を優先したメガマンはアタシがこっそり投げた手榴弾の爆風に巻き込まれ(もっともダメージ自体はなかろうが)、ぶっ飛び、墜落した。
そして、そのまま無人のセスナ機は空中戦艦バルログに突っ込んだ。

チュゴオオオーーーン!!!
爆発炎上するセスナ。いろいろと買い込んだ重火器類が全部パァ。そのぶん今頃艦内は蜂の巣をつついたような騒ぎでしょうけど。
ロックジェット(今命名)に乗ったアタシはその様子を伺いながら。
クリス「おうし、この隙に別の入り口を探して、空中戦艦に乗り込みましょう!!」
ロック「しかし、とんでもない悪党だなお前。とっさによくここまで卑劣な手段を考えられるもんだ。ロボットの俺様ですらちょっと引くぜ」
クリス「いやぁ。照れるなぁ。」
ロック「褒めてねーよ。」

そして、アタシ達は空中戦艦バルログに進入した。



550:ゲーム好き名無しさん
09/01/08 20:52:36 xyDIjgyP0
生首ロボット「ロック」の操縦するジェットスケボーに乗ったまま空中戦艦バルログの中を進む。
腐っても元高級ホテル。内装に金がかかってる。帰りにインテリアとか絵画を失敬しちゃおうかしら。

クリス「…変だな?セスナを陽動にしたとはいえ、敵の姿がひとっこ一人見当たらないとは。」
さらに進むとクソなが~い廊下の突き当たりに、3メートルはある巨大なシャッターが行く手を遮った。
ロック「これは……。ボス戦シャッターだな。」
なんだそのアクションゲームのステージみたいな無意味な建築様式は!?
『ふふふふ……ようこそバルログへ。歓迎するよ。さあ入ってきたまえ。』
向こう側から声が響いてくる。
ロック「どうする?罠とわかってあえて誘いに乗るのか?」
はん!!上等じゃねーか。
クリス「よーし。迂回しよう。」きびすを返すアタシ。
『ドンガラガッシャーン!!』シャッターの向こうで何者かが盛大にずっこける音が響く。
クリス「と、みせかけてやっぱり突入!!」
先手必勝!!光剣サイファーを閃かせシャッターを切り裂く。
ガン!!ガラーン!!ガラン!!
クリス「どっせーいいッッ!!」
今、アタシの道を遮るものは、死あるのみ!!


551:ゲーム好き名無しさん
09/01/08 22:12:02 xyDIjgyP0
シャッターの向こうの部屋に乱入し、間髪いれず中の人物に切りかかる!!ズバシュ!!
頭をサックリぶっ刺す!!殺った…!!
クリス「パパ!?」
なんと、そこにいたのはアタシの父親、米国空軍少佐ガイルその人だった!!
えぇぇ!!やっちまった!!事故とはいえ自分の肉親を刺しちまった!!
ガイル「…………」
血すら吹き出さず、パッタリ倒れるパパ。
「ははははは、迂回しようなんて言われたときは思わずずっこけてしまったが、中々面白いショーだったよ。」
空中にポッと現れる、赤い帽子のくどい顔の中年男!!
院長「これは申し遅れた。私は日本でしがない開業医を営んでいる院長……グワッ!?」
ロック「ふごっ!!」
カーン!!反射的に近くにあったロックの頭をひっつかんで投げつける!!
頭と頭がゴッツンコ!クリーンヒットして落ちてくる院長(仮)!!
クリス「よ、よくもパパを!!アタシのパパをッ!!」
院長「い、いや、なにいってんの。手を下したのは君でしょう。」
黙れ黙れ黙れぇー!!殺す、ブッ殺ーすッ!!
ロック「お、おぃ!!そいつは人間じゃない…!!見ろ!!」

生首が言ったほうを見ると、倒れたはずのパパがゆらりと立ちあがって、院長を守るように立ちふさがった。
ガイル「…………」
ど、どういうこと!?
院長「これを見たまえ。」
懐から白いプラスチックのパックを取り出す院長!!くさッ!!思わず鼻をつまむアタシ。
院長「彼、ガイル少佐が死ぬほど嫌いな納豆だよ。好き嫌いはよくないから苦手なものを克服させてあげようと
 浴びるほどご馳走したんだがね。可哀相なことに精神崩壊を起こしてしまってね。丁度いいので精神操作と肉体改造を施したんだよ。
 頭をサックリやったところで息の根は止められんよ。良かったな。ぬわははははははは!!」
ほーんと良かった。パパは死んでなかったのね。
クリス「はははは!!院長、敗れたり!!」
院長「む!?」
クリス「アタシとパパとの絆は鋼鉄より硬いんだ!!精神操作!?洗脳!?そんなモンでどうにかなるほどあまくはねーよ!!」
そうでしょ!!パパ!!
ガイル「…………」


552:ゲーム好き名無しさん
09/01/08 22:29:57 xyDIjgyP0
パパの動きが止まった。やっぱり、最後は家族の愛が勝つ!!
ガイル「ズピーム!!」
突如、パパの目から怪光線が放たれる!!ボバーン!!
クリス「ぐぇー」
モロに直撃食らって、爆発炎上するアタシ!!
院長「ファファファ!!素晴らしい家族の絆だな、もう本当に!!」
クリス「ぅぅぅ……そ、そんな……どう…し…て!?」
プスプスとすすけたアタシは呟く。
ガイル「…………」
だが、返事はない。
院長「さあ、余興は終わり。真の恐怖のショーの開幕だッ!!」
パチン!!院長先生の指パッチンでパパの様子がさらにおかしくなる!!
鍛え抜かれた肉体がドンドン緑色に変色し、服が破け、あろうことかエイリアンみたいな姿に!!
院長「わが組織の科学の結晶を集めた超兵器!!『エイリアン・ガイル』だッ!!
 さあゆけ!!愛する娘を殺し、私への忠誠を見せてみろ!!」
エイリアン・ガイル「…………」
ぷわーんと浮揚しながら、エイリアンと化したパパがゆっくり迫ってくる!!
なんというナイトメアなシチュエーション!!ゆ、夢ならさめて!!

553:ゲーム好き名無しさん
09/01/12 22:32:39 1G0nrZdB0
院長「ぬっふふふふふふ。さらにステージを盛り上げて差し上げよう。」
二度目の指パッチン。院長先生の合図とともに、周りの景色が星の漂う宇宙空間に!!
クリス「ぐを!?息が……!!」
…………できる。あれ!?
ロック「立体映像(ホログラフ)だ。」
クリス「この期に及んでこけおどしかコラァ!!」
院長「こけおどしかどうか、試してみるがいい。フアハハハハハハ!!」
ひととおり言いたい事叫んで闇の中にブゥンとかき消える院長。次に会ったらそののど笛を掻き切ってやるぞテメ!!
A・ガイル「…………」
漆黒の宇宙空間にエイリアンに変身したパパの赤い目が浮かび上がる。
ズピーム!!
クリス「うおっち!?」
パパの目から強烈な熱線が発せられた!!
クリス「あっ熱ちちちちちち!!」
かろうじて直撃は避けたものの、お尻に火がついてそこらを転げまわるアタシ。
院長「ふふふふ。そう簡単には死なせない。その瞳に深い絶望を、そして恐怖の悲鳴のアリアを聞かせてくれたまえ。」
暗闇の中から憎ったらしい声が響いてきやがる。

ロック「何て素敵なショーだ。録画していい?」
院長「無論」
アタシは再びロックの頭をむんずと掴むと、院長の声ががしたほうに思いっきりブン投げてやった!!
カーン!!
「ぐぇっ!!」
「ぐはっ!?」
命中!!……したと思う。
A・ガイル「…………」
緑色のエイリアンなパパは、プワプワ~っと五メートルくらい浮揚しアタシと距離をとる。
ズッピー!!
パパの鼻から広範囲に及ぶレーザー(?)の雨が!!どんな体の構造なんだ!?
クリス「だ、駄目……避けきれな……い!!」


554:ゲーム好き名無しさん
09/01/13 20:31:16 tnivbMOx0
驟雨のように降り注ぐ光学兵器!!
クリス「ぐあああ!!」
全身灼けるような痛みが襲う!!
院長「安心したまえ。拡散した分、威力は大してない。医療用レーザーと同等くらいかな。
 無痛とまではいかないが、傷跡はまったく残らない。ちなみに彼は正式に生体レーザーメスとしてうちで働いてもらうことになっている。」
嬉しいような嬉しくないような、とゆーかムカつくぞ!!
クリス「パパ!!本当にアタシが判らないの!?」
A・ガイル「…………」
ぷわーんぷわーんと浮遊しながらまたしてもエナジーチャージを始める緑色のエイリアン!!
クリス「……そう。だったら仕方ないわ。」
アタシは構える。
院長「ほう。さすがは彼の娘。やれるというのかね?姿形はかわっても君の父だということに変わりはないぞッッ!!」
 結論から言うと、そんな真似が出来るわけがない。
家族を手にかけるくらいならレーザーでサイコロステーキにされたほうがマシだ。
逆の立場だったらきっとパパだってそう言うだろう。

 だが、エイリアン(っぽい姿)といえど生き物である以上、急所を狙って肉弾戦で気絶させることは出来るはず。ウィル・スミスもやってた。
レーザーを撃つのにはどうもある程度の溜めが必要らしい。チャンスはきわどい。
目や鼻から飛び出すレーザーを何とか避け、渾身の一撃で昏倒させる。

院長「はははは踊れ踊れ!!暗黒舞踏を舞うがいい!!そして日本全国12の都市を巡るがいい!!」
しらねぇよそんな昔のゲームなんて!!

 ズピョーム!!パパの赤い瞳からレーザーが発せられた!!が既にアタシは暗闇の空間を跳んでいた!!
空振り!!イエース!!フェイントを織り交ぜながら右へ左へと走りつつ距離を慎重に測る。
A・ガイル「…………」
 ズピャー!!ズピョー!!
かわせる!!避けることに徹すれば何とか直撃は避けられる。あとは、こっちの攻撃が届くぐらいに距離を詰めれば……!!
ガアン!!
クリス「うごっほ!?」
突如アタシは見えない壁に鼻から激突し尻餅をついてしまう!!あだっ!?何?
院長「背景のホログラフィーにだまされたな。一見広大な宇宙空間に見えるけど部屋の大きさが変わったわけじゃないんだなコレが。」
しまったぁーー!!大ぴ~んち!!
院長「ありがとう。もがく様はとても美しかったよ。そろそろ、閉幕にしようか?んん?」
空気が震える。極大のエネルギーがパパに集まっているのがわかった。


555:ゲーム好き名無しさん
09/01/15 01:18:41 f82AQTHV0
今度こそ、終わりか…
光の中でアタシは観念した。
まあ、いいさ。やむにやまれず肉親を殺めてしまうより……いっそ……
「以前にも言いませんでしたっけ?爆風とかは一種のプラズマだから電磁波で防ぐことが出来るんです、って?」
光が消えた。何かがアタシの前に立ち、レーザー光線を弾いたのだ。

「ちなみにレーザー、ようするに光も電磁波の一種だから強力な磁界で曲げることが出来るんですよ。」
そこに立っていた男は……
クリス「サワダ!?」
アタシの危機(ピンチ)に駆けつけるという少年漫画のような展開!!一体どこから入ってきた!!
サワダ「そこの非常口から。と言ってもホログラフが邪魔で見えませんけど。」

でもまあいいや。キャプテン・サワダ!!
アタシの下僕としてのつとめを果たし、この状況を何とかしなさぁい!!オホホホホホ!!
院長「お、おのれ貴様ぁ!!裏切るつもりかぁ!?」
サワダ「いいえ。違います」
クリス「はぁ!?」
院長「はぁい!?」
素っ頓狂な声を上げてしまうアタシと、ホログラフの中に姿を隠した院長。

サワダ「あの~院長センセ?記憶が戻ったので、このバルログに信号を送ったのに僕、砲撃されちゃったんですけど!?」
院長「えっ!?ああ?マジ?」
サワダ「ど~ゆ~ことっすか!?モラルハラスメント?労働組合に掛け合っちゃいますよ?」
院長「まったく初耳なんだけど……。」
アタシは院長の声がしたほうに聞き耳を立て、大体の位置を割り出す。
クリス「チェストー!!」
パパをあんな目に合わせた張本人。サイファーでこま切れのコンビーフにしてやるわ!!斬りかかる…が、
サワダ「話の腰を折らないでください。」ぶわっ!!
奴の掌から見えない電磁力がほとばしる。
クリス「あ~れ~。ふごっ!?」
またも、見えない壁にぶつかりズルズルと地面にはいつくばるアタシ。
クリス「ぎ、ぎざま~。う、裏切るづもりがぁ~!?」

サワダ「(無視)どっちにしたって管理不行き届きですよ。そっちがそういう態度に出るならこっちにも考えが……。」
おっ!?もしかしてこっちの味方になってくれそうな雰囲気!?


556:ゲーム好き名無しさん
09/01/15 03:43:45 f82AQTHV0
サワダ「どうしてくれます!?」
院長「え、え~とだね。こういうことは慎重な確認を取らなくては……」
医療事故の責任逃れみたいな見苦しい言い訳。いいぞ怒れサワダ!!
サワダ「…………」
院長「わかった。私も組織のトップとして筋を通そう。君には示談金として3ヶ月分の給料を支払おう。」
サワダ「まじっすか!?」
簡単に揺らぐサワダ。
院長「今なら、熱海旅行もつけちゃう。」
サワダ「イヤッホー。さすが院長。じゃあ僕、早速旅行の準備してきまーす。あ、そういうわけなんでお嬢様もお達者で。」
あっさりと懐柔されてしまうサワダ。何しにきたんだおめーはーー!!。
サワダ「僕の言ったこと忘れないでくださいね。じゃ院長先生、続きをどうぞ。」
そういって奴もホログラフィの宇宙空間の中に消えていった。

院長「ではでは、気を取り直して『エイリアン・ガイル』!!フルチャージで彼女を真っ黒焦げの備長炭にしてあげなさい。」
A・ガイル「…………」
 くそぅ。サワダめぇぇ!!ぬわーにが『僕の言ったこと忘れないでくださいね』だ!!
というか、フツー『僕のこと忘れないでくださいね』だろうがよ。ボケナス!!
……いや、そういえばサワダの奴何て言ってた?たしか野郎は……

院長「レーザー最大出力!!発射!!」
……そうだ。サワダの奴は確かに言った。アタシは光を放つブレードを構える。


557:ゲーム好き名無しさん
09/01/16 22:25:46 NWv2qFHb0
ブゥワァァ~ンン!!
収束された終焉の光、レーザー・ビームがアタシに襲いかかる!!
院長「はははは!!さあ、グランド・フィナーレだっ!!」
クリス「……ッ!」
シパアァン!!
だが、レーザー光線は、アタシの直前で弾かれる!!
…今さっきサワダの奴がやって見せたように!!
院長「な、何ぃ!!」
クリス「おお~っと、あいにくショーはまだまだ続行するようだゼ。」
BINGO!!サワダは言った。『プラズマは電磁波で弾くことができる』『レーザーも電磁波である』つまり……
つまりその逆もしかり。アタシはプラズマ光剣サイファーを斜め45度にかまえて、レーザービームを弾いたのだ!!
クリス「すかさずダーッシュ!!ア~ンド…」
当初の予定通り、エイリアン・パパに距離を詰め、ありったけの力でぶん殴って気絶させる。
クリス「クリス・パーンチ!!……って、えええ!?」
スカッ!
拳がクリーン・ヒットしたと思ったら、エイリアンの体をすり抜けて、向こう側の壁に激突してしまう!!ゴォ~ん!!
クリス「へべぇ!?」
院長「ゲッ……まずい。バレた!?」

……その刹那、アタシは全てを理解した。
思えば、最初からおかしな所ばかりだった。
1・パパの頭をサックリ殺っちゃった(あくまで事故)にもかかわらず、血の一滴も噴き出なかった。
2・パパは得意の必殺技のソニックやサマソーを使わず、光学兵器だけで攻撃してきた。
3・パパは一言もしゃべってなかった。
クリス「……そうか、そういうことか。とんだ三文芝居だったなオイ。」
アタシはグロックを取り出す(0.4秒)。そしてパパ、いや緑色のエイリアンの胸を撃ちぬいた!!


558:ゲーム好き名無しさん
09/01/16 22:53:26 NWv2qFHb0
びゅうぅぅ~ンンン!!
胸をブチ抜かれたエイリアンの姿が揺れ、消えていく。
カラ~ン。
エイリアン……いや、エイリアンだったものが足元に転がる。アタシはそのサッカーボール大の機械を手に取る。
クリス「ホログラフ発生装置か。やっぱり。」
答えは簡単。エイリアンに変身する以前からパパは立体映像だったのだ。まんまと騙されたよ。
ビュオオオオオぉぉぉぉぉんんんんんん。
機械の停止音が部屋中に鳴り響く。背景の宇宙区間が消え、後には小さな操縦装置をもった院長先生だけが残った。
院長「……くぅ。今回は私の負けか。よくペテンを見破った。……じゃ、まあそういうことで。さらば!!」
テレポートして逃げようとする院長。
クリス「逃がすかっての!!」
素早く院長の服のすそをつかむと、手に持ったホログラフ発生装置で思いっきり殴りつける。
院長「なにぃ、空間転移そのものをつかんだだとぉ!?フゲッ!?」
鼻血を出して、よろける院長。
クリス「大変楽しい茶番劇で!このアタシを随分!!楽しませてくれたわね!!!」
院長「フゴッフゴッフゴッ!!?」
ガスッ!ガスッ!!ガスガスッ!!!
ボール大の機械で殴打しまくってやる。
クリス「アタシの出演料は高額(たか)いのよッッ!!こぉのクソ虫が!クソ虫がぁ!!」
ゴスッ!!ゴスッ!!ゴスッ!!ゴスッ!!
院長「ふがぁっ!?ふがぁっ!?ふがぁっ!?ふがぁっはぁッ!?」
殺人的ラッシュで顔が変形していく院長。

あんな姿になってしまったパパと今後どうやって行くか真剣に家族間問題を考えちまったじゃねーか!!この…
クリス「クソ虫が!クソ虫が!クソ虫が!クソ虫が!クソ虫がぁぁぁぁ!!!」
院長「…………(グロッキー)」



559:ゲーム好き名無しさん
09/01/16 23:36:01 3Y6Pi/kHO
ロックマン2かwww

560:ゲーム好き名無しさん
09/01/17 10:58:16 KQwY4NSmO
院長wwwwww

561:ゲーム好き名無しさん
09/01/17 11:14:32 A4ZrvwNpO
やっぱ院長は似ているだけでベガとは別人なんだろうな?
本人だったらサイコクラッシャーで一撃だろうに

562:ゲーム好き名無しさん
09/01/18 15:17:03 XRbIfZbOO
DR.ワイリーの謎wwwww

563:ゲーム好き名無しさん
09/01/18 18:24:23 QSa4ko620
ロック「だからよ~、そいつは人間じゃないって言ったろ?」
ほほぉ。するってえとオメーは最初(はな)っから全部わかってたって訳かい。
サッカーボール大の機械を振りかぶる。
ロック「おっと、平和的に解決しましょう。世界に愛と平和を。乱暴いくない。
 それより院長から情報を引き出したらどうだ?暴力的に。手段を選ばず。」
むぅ。確かにそれもそうかしら?

クリス「さあ吐け。パパはどこだ!?」
院長「…………(プルプル)」
やっとのことで向こうを指差す院長先生。アタシはそのボロ雑巾みたいな人物をポイッと捨てる。
クリス「非常口か。」
確か、サワダもここから入ってきたとか言ってやがったな。
ようし、行くぜ!!

非常口の扉を開け、狭い通路を進んでいくアタシとロック。
クリス「っておい。オメー何でついてくるんだ。さっさと司令室とかにあるコンピューターでも乗っ取りに行けよ。」
ロック「うるへー!!自慢じゃないが、この戦艦の中心部がどこかわかんねぇんだよ。
 大体ずっと一歩道なのにどうやって別行動するんだ!!コラぁ!?」
最近のロボットは逆ギレまで出来るのか。さらに一本道を進むと、和風の扉(ふすまというらしい)と、
それにでかでかと書かれた看板が!!
~座敷牢の間~
『ガイルしょうさは ここに とらわれています』
うわ!!さっきにも増してあからさまな。考えた奴はよほどの馬鹿か暇人のどっちかだな。
ロック「で、どうする!?」
クリス「む。どうしよう。さっきの事もあるからここはひとつ慎重に。」
とりあえず、扉に耳を当て中の様子を探ってみようかな。
『……ク……クリス……!!』
クリス 「!!パパの声だ。」
いてもたってもいられず、アタシはそのまま、ふすまを蹴破る!!(だってドアノブが無いのよこの扉)
ロック「どこが慎重だ。」
助けに来たわよパパぁ~!!




564:ゲーム好き名無しさん
09/01/18 19:33:48 QSa4ko620
畳が香る和風の部屋、
その先にいたのは、パパ、ではなく
テープ『……ク……クリス……(ぽちっ)』
パパの音声を再生してるテープレコーダーだった。ズサーー!!こけるアタシ。
???「ガイル少佐は先刻、ここの部屋から移送された。」
そしてテープレコーダーをを手に持った女戦闘員が待ち構えていた。見覚えのあるそいつは忘れもしない……

キャミィ「残念だったな。だがどっちにしろ、ここでお前は死ぬ。」

クリス「ク、ククク。この期に及んでお預けかよ。いい根性じゃねーか。なら貴様を寸刻みにして、パパの居場所を聞き出すまでだゼ。」
ロック「いや、寸刻みにした聞き出せないだろうがヴォケ!」
アタシはキャミィのほうを向いたまま、手元を見ることなくロックの頭を壁に投げつけた。ゴシャっ!!
クリス「ツッコミはサワダの方が上だな。キレがたりねぇ。言っとくがこの戦いに手ぇだすなよ、生首?」
ロック「あぅあぅ……」

キャミィ「いい心がけだな。」
クリス「フフっ……」
プラズマブレード・サイファーを構える。コイツと戦うのは三回目。以前の二回はすべてアタシの惨敗。

クリス「思うに、テメーとアタシはお互い戦いあう星の下にあるのかも知れねぇ。いわば宿敵だ。」
キャミィ「フン。くだらない。ただ敵は倒す。それだけだ。」
そういって、例の巨大ハンマーを転送させてくるキャミィ。
さすがに戦艦内でキャノン砲を使う訳には行かないようだ。強力すぎて艦を沈めちまうだろう。
クリス「結構。アタシが言いたいのはそんな腐れ縁も今、この場で断ち切ってやるって事だ。何でも斬れる閃光の刃でなッッ!!」
キャミィ「来い!!極鎚ジャガーノート!!」
互いに得物を手にし、アタシとキャミィは対峙する、
そして、それぞれ左右に、跳ぶ!!



565:ゲーム好き名無しさん
09/01/21 23:17:33 mRzftL+R0
クリス「いっくぜぇぇぇッッ!!」
アタシが振るうトンファー状のプラズマ兵器。そして、それを後ろ手に携え全力で突進する!!
キャミィ「目標補足!5分以内に撃破する!!」
奴もまた、巨大な鈍器を手に走ってくる!!
ふふン!怪物ハンターみたいな野蛮人に教えてやるぜ。プラズマってのは溶断なんかにも使われてるハイテクで、
瞬間的に数万度の高熱と高圧力とで理論上あらゆる物体を切断できるんだ。……シスターの受け売りだけど。
つまり、そのふざけたウスラトンカチもろともテメーの胴体をかっさばいてやんよ!!

クリス「てめーにそんな玩具は必要なぁぁい!!」

そしてアタシとキャミィ。二つの影が交差する!!
がきぃぃぃん!!
だが…
クリス「と、止めた!?馬鹿な!!固体なら何でも切断できるプラズマ光剣をッ!?」
アタシの一撃は、奴の極鎚・ジャガーノートに受け止められていた。
キャミィ「でりゃぁぁぁぁぁっっつ!!」
そのまま溜め込んだパワーを開放するキャミィ!!
竜巻のような回転攻撃!!(通称・ムロフシ)アタシはサイファーの刀身でガードする…が
その圧倒的パワーの前にガードもろとも吹っ飛ばされ、和室のふすまをブチ破り、隣の和室まで投げ出されてしまう!!
幸運にも衝撃は相殺された。そのまま胴体着陸し数メートル間、ズリズリ~っと畳の摩擦にさらされる。
クリス「あぢあぢぢぢぢ!!」
くっそ~。これだからハンマー(ムロフシ)は、オンで使うと他の人間を巻き込むから評判が悪くなるのよ!
それよりもどうなってんの一体!!戦車だって両断できるはずじゃなかったのか!?
キャミィ「残念だが、このジャガーノートの素材には特殊な鉱石が使われている。
 そしてこの鉱石は強力な電磁波を発生させる。電磁波の前にプラズマは弱められ、無力化する。」
青白い光を放つ大カナヅチ。うえぇっ!!その鉱石、ぜってー電磁波以外にも出てる。
ガイガーカウンターとかで検出されそうなヤバいモノが出てるって!!近寄んな!!


566:ゲーム好き名無しさん
09/01/22 01:08:19 YCYhTRwK0
クリス「武器と武器は互角って訳かい。おもしれえ。」
アタシは間髪いれず斬りかかる。実は互角どころか限りなくマズイ。
プラズマが通用しなくなった時点で戦力差は歴然。しかも重量差があるから当たり負けするのは証明済み。
キャミィ「うををッ!?」
ガキン!!ガキィン!!プラズマを弱められた刃と鋼鉄の金鎚が火花を散らす。
残された方法は手数で奴の攻撃を封じるしかない。
そう踏んだアタシは、大振りを狙わず隙のない牽制攻撃をしかける。
そんな巨大なハンマーでどこまでこの速攻をさばききれるか!?
ガキィーンン!!
キャミィ「ぐあッ!!」
体勢を大きく崩すキャミィ。チャンス!!あくまでプラズマが効かないのはハンマーだけ。
このサイファーの切れ味を自分の体で味わうがいい!!
クリス「グッバイ!」
キャミィ「すかさず、豆腐!」
べちゃーッ!!

うぷっ!?奴の投げた白い大豆製品がアタシの可愛らしい顔に命中!!しかもこれは……
クリス「熱っっつーー!!?」
キャミィ「湯豆腐だ。それも熱々の。」
おもわずのけぞる。つうかどっから出したそんなモン?
そこへ巨大カナヅチの風切り音が耳に入ってくる。
ドゴォーン!!
反射的にかわす!!畳が大きく凹んでしまう!!なんて力の集約された一撃!!
キャミィ「さあ、こっちの番だ。害虫にはハエ叩きがお似合いだろう?」
ピピピピぴ~んち!!


567:ゲーム好き名無しさん
09/01/22 01:58:32 YCYhTRwK0
キャミィ「ふんぬむりゃー!!」
横なぎに振るわれる殺人ハンマー!!
ガイーン!!
クリス「ぐわぉぉぉぉ!!」
カラーン!!アタシの生命線、光の剣が手から転がり落ちる。
今度はガードした利き腕ごと潰されてしまった!!グオオオオ!!そのまま転がりながらのたうち回る!!
キャミィ「何か遺言はあるか?それとも冥途の土産に何か話してやろうか?」
な、なめやがってど畜生がぁ。その言葉、そっくりそのまま死亡フラグにして返してやんよ!!
そう思いつつ激痛の走る腕をにぎにぎしてダメージを計る。つぅ~、でも骨まではいってないな。
時間を稼げばいくらか回復するかもしれない。
クリス「じゃあ、冥途の土産に何か。」

キャミィ「では、う~んとえ~と……先の院長先生との戦いでは、お前を殺さずいたぶる事が目的だった。」
律儀にリクエストに答えてくれる女戦士。案外お茶目な所があるのかもしれない。
クリス「なぬ!?」
そういえば、あのエイリアン(ホログラフ)との戦い、最初っから最高出力のビームを撃ってくればアタシは簡単に死んでいた。
キャミィ「戦闘の様子を中継し、この部屋に監禁されていたガイル少佐に見せるためにな。
 自分の娘の苦しむ様子はどんな拷問より効いたようだ。簡単に彼は米軍の秘密を自白した。」
クリス「米軍の秘密……だと!?」

568:ゲーム好き名無しさん
09/01/31 20:49:01 xMR7CCkGO
「いかにもその通り。」
ブゥーン!キャミィの横に、顔を包帯でグルグル巻きにしたミイラ男が瞬間移動で現れた!
まーた新手の怪人か!?アタシはゾンビとかホラー系がだいっ嫌いだというのに。
キャミィ「院長。お加減はいかがですか?」
と、思ったら先程の院長先生だった。
クリス「なんだ?その大袈裟な包帯は?階段ですっころんだのか?院長。」
院長「いや、ちょっとね。錯乱した凶暴な患者さんに撲殺されかけてね。」
クリス「酷い事をする奴がいるもんだ。」
院長「いやはや、まったくだよ。」
白々しい会話が交わされる。
クリス「それより…えーっと、何の話だっけ?米軍の秘密だったっけ?」
院長「米軍が極秘に開発している新兵器。
聞くところによればめっちゃごっつい兵器で、世界の軍事バランスが音を立てて崩壊するような素敵ウェポンらしい。」
キャミィ「我々はそれを頂く。」
院長「ガイル少佐を捕らえ、偽物とすり替え、米軍を掌握してな!」
ははぁ。読めてきたぞ。それがパパそっくりに変身できるサワダの奴につながる訳だ。
その新兵器についても気になるが、それよりもっと気になる事がひとつ。
クリス「なんで、うちのパパな訳?米軍を掌握したいなら将軍とか長官とかもっと上の人間を複製したほうが良くない?」

院長「…………」
キャミィ「…………」
クリス「…………」

院長「さ、さあ行け!この小娘はもう用済みだ!その鉄槌で人間ミンチにして差し上げろ!」
キャミィ「了解(ラジャー)!」
おい!!誤魔化したろ。今、絶対ごまかしただろーー!素直に気付かなかったと言えよ阿呆ーー!!

569:ゲーム好き名無しさん
09/02/08 21:25:37 tC2lxvNd0
サワダ「どうやら、本当にガイル少佐はこの艦から別の場所に移送されたみたいだ。」

空中戦艦バルログのブリッジ、院長が居なくなってもぬけの殻となった司令室に彼は忍び込んでいた。
艦をコントロールするメインコンピューターにアクセスし、機密情報のファイルを開く。

サワダ「あった。コレっぽい。ガイル少佐が現在捕らわれている場所!!早速ダウンロードして、と。
 ……しっかし外部からのセキュリティは万全でも、内部からの情報制限がザルってのはどうよ?」

「あぁら?なーにをしていらっしゃるのかしらぁ?坊や?
 そのコンピューターには組織のイケナイ秘密がタップリギッシリ詰まっているのよ?閲覧禁止、持ち出し禁止よ。」

後ろを振り返るサワダ。床から黒い何かが染み出て、人の形をとっていく。
妖怪チックな登場をかましたその女は……
サワダ「あ、これはこれは、ホテルの女支配人さん。いやぁ広い艦内に迷ってしまいましてね、
 偶然入ってしまったところにこのコンピューターが、ハハハつい出来心で……。」

森子「下手な芝居は見ててあくびがでるわ。ゲ~ップ。」
サワダ「それはあくびじゃないでしょう。女性がはしたない。つーかお酒くさっ!」
森子「あら、ごめんあそばせ。何せガイル少佐をとっ捕まえてから前祝いだとかいって院長先生は連日ドンチャン騒ぎ。
 昨日だってドンペリ何本あけたか……。ブェフ~~」

サワダ「そんなんだからオバサンとか年増とか言われてファンが離れるんですよ。」
森子「おだまり!!新規加入キャラがロリばっかだったのが悪いのよ!!相対的に。
 それよりも!ワタクシの目は節穴じゃなくてよ!!少佐のとこの小娘にさりげな~くヒントを与えたり……。
 司令室に忍び込んで機密情報を盗み見したり……この裏切り者め!!」

困りましたねえ、とサワダは首を振る。
サワダ「やれやれ、ばれちゃ仕方ありませんね。でもそんなにオバサンと言われたのが癪に障りましたか?相対的に。」
司令室に殺気が充満した。影が森子の背にまとわりつき、漆黒の翼となって姿を現す!!
森子「ムキィー!!言ってはいけない事を2度までも!!必ずぶち殺して差し上げますわッ!!」
油断無く構えるサワダ。
サワダ「おあいにく様。あつーい日本人のカミカゼスピリットを拝ませてあげますよ!!」

森子「ソウル・フィスッ!!」
女支配人の腕から怪しい光弾が発射される!!だが、サワダは動じない。

570:ゲーム好き名無しさん
09/02/08 21:26:45 tC2lxvNd0
サワダ「無駄ですよ。電磁波のフィールドがありとあらゆる光学兵器を弾き……へぷっ!?」
シパーン!!彼が発生させた電磁波の防御フィールドをすり抜け、森子の放ったソウルフィストがサワダをとらえた。
「ぐは!?」
血を吐き無様に転がるサワダ。
森子「あぁら。残念無念。ワタクシのほとばしるコレは光学兵器じゃあありません事よ。いわゆる霊的パワァ……
 奇術師もびっくり仰天、本物の魔力のカタマリですの。オホホホホホホホホ!!」
サワダ「はぁ……はぁ……(まずい。たったこれだけのダメージにも関わらず、体が言う事を聞かなくなってる。)」
度重なる戦闘で受けたダメージ、改造手術をうけた肉体はそろそろ限界かも知れない。サワダは自分の死期を悟っていた。
(……まだまだぁ!向こうがそう来るならこっちは頭脳で戦うまでだ!)
サワダ「……魔法なんて無いさ。霊なんて嘘さ。寝ぼけた人が見間違えたんです。いいですか?
 この世のありとあらゆるモノは分子とそれを構成する原子から成り立っているんです。霊だの魔法だのどこに入る余地があると言うんですか!?」
森子「ソウル・フィスッ!ソウル・フィスッ!!ソウル・フィスッッ!!」
返答の代わりの飛び道具三連コンボ!!
サワダ「ぶべ!?ばべ!?ほばぁーー!!」
森子「お姉さん、難しい話はわかんな~い。」
投げ捨てられたペットボトルみたいにサワダの体は跳ねまわった。

サワダ「ぐ……。(甘かった)」
 別に本気で霊の存在を論じようとしたわけではない。相手が考え込むなり、反論するなりして攻撃のチャンスが出来ればいいはずだったのだ。
向こうの方が一枚上手だったようだが……

サワダ「アンタ一体何者だ?」
力を振り絞ってサワダは立つ。そもそも霊だの魔法だの怪しさ激烈だったが、本物(?)を目にして問わずにはいられなかった。
森子「うぅん。よく聞いてくれましたぁ。ワタクシこそは……」
どこからともなく、スポットライトが彼女を照らす。

森子「彷徨えるリビドー、夜の女王……そうワタクシは300年生きたサキュバスですの!
 この真なる魔界の支配者に、あなたごとき下郎がかなうはずもなくてよ!!」
サワダ「うわぁ……」
胡散臭さ超新星爆発。ついて行けません。思わず遠い目をするサワダ。
サワダ「で、その女王様が何であんな、ちょっと思考の可哀想な院長先生ごときに従っているんです?」
「退屈だからよ。」
は?それだけ!?サワダは耳を疑った。

571:ゲーム好き名無しさん
09/02/08 21:27:39 tC2lxvNd0
森子「なまじ年をくわない超越者なんてやってると大きな問題にぶち当たるのよ。」
サワダ「老いがないならなんだって出来るはずなのに、ドコが退屈なんですか?」
森子「まさにそれよ。ゲームオーバーはない、タイムリミットもない。必要に迫られて別段何もしなくてもいいということ。
 特に何百年もあれば大抵の事はやり尽くしてしまうわけ。やる事が無い訳よ。おわかり?」
 
なるほど、目的もなくただ『在るだけ』なら草木と大差がない。
サワダ「リストラ候補のサラリーマンが、リストラ部屋で仕事も任されずただ1日中ボーッと座っている事を強要されるみたいな?」
 これは僻地へ飛ばされるより、物理的に無理な激務を任されるより効果があるらしい。逆境に立たされると燃える人間も少なからずいる。
が、刺激のない状況ほど人間を駄目にする物はない。
森子「そうそう。それよそれ!分かってもらえてお姉さん嬉しい(はぁと)この頑固にこり固まった退屈を晴らすには、相応のビ~ッグ・イベントが必要な訳。
 あの院長は米軍が密かに開発している大量破壊兵器を奪取し、この世界をリインカーネーション(破壊と再生)し支配するつもりよ。
 人々は混乱と恐怖のズンドコに陥るワ。……ウフフフフ。考えるだけでゾクゾクしちゃうでしょう。」
もう語るまい。サワダはこれだけ聞けば充分だった。
サワダ「分かりました。やはり貴女とは相居られないようです。僕にもちっぽけながら生きる理由、戦う理由を見つけたんですよ。」
 そう、本当に小さな目的。自分のためでもなければ世界の危機を救う訳でも無い。明日をも知れぬ身体がどこまで持つか心もとないが、
あの離ればなれになった父娘を無事に再会させるぐらいなら許されるだろう。 サワダはつけ加える。
サワダ「あと、貴女に関してもうひとつ分かった事が。」
「何かしら?」
指を突きつけ事実を指摘するサワダ。
サワダ「貴女は『相対的に』年増ではない。300年生きている時点で、『絶対的に』ババァです。」
「…………」
笑顔のままで凍り付く超越者。森子は笑顔のままであったが、全身からブワッと殺気があふれ出すのが分かった。
森子「こぉの、腐れゆとりガキがぁぁぁ!!!ケツの皮をひん剥いて干物にしちゃるぞワリャァァァーーー!!」
圧倒的な殺意の前に、生命の危険を感じつつもサワダは内心ほくそ笑む。相手を怒らせ、冷静さを失わせてペースを掴むのは彼がもっとも得意とする戦法だからだ。


572:ゲーム好き名無しさん
09/02/09 02:13:15 rZb4k+MM0
~そのころ~

院長「さあ、鋼鉄のハンマーとサイコ・パワーの絶妙コラボレーション攻撃……どこまで耐えられるかな!?私をボコボコにした罪を贖ってもらおう。
 どつき回して、しばき倒して、血ィぶちまけてブッ殺したあと、強力な洗脳を施して我が組織の兵隊にしてくれるわ!彼女のようになっ!!」
キャミィ「…………フフッ」
不気味に笑う女戦士。あぁ、そーかい。アンタも洗脳とかされたクチかい。それはそうと。
クリス「アタシに指図していいのは、パパとママだけだゼ!?誰がこんなスットコドッコイ共の一員になるかい!」
院長「チミの死体に遺伝子操作とかサイボーグ手術を施して、尻から破壊光線を出す怪人さんにしてあげよう。ファハッハッハッハ!!」
アタシは自分が尻から殺人ビームを出す光景を想像し、いろんな意味で戦慄した。
クリス「嫌ぁ!!お嫁に行けなくなっちまうじゃね~かッ!?」
冗談じゃねぇよ!!咄嗟の判断で先ほど落としてしまったサイファーの方に飛ぶ。
院長「甘いッ!伊勢名物・赤福餅より甘いぞッ!!」
シュバァ!!院長の手から得体の知れないエネルギー球が放たれ、アタシのプラズマ光剣をさらに向こうへと弾く。
キャミィ「ウワッチャーー!!」
振り下ろされる極鎚・ジャガーノート!!速度こそないがまともに喰らったらただじゃ済むまい。
院長「甘い甘い!!越後名物・笹団子より甘いぞッ!!」
エネルギー球体を十重二十重と繰り出す変態中年!!パーン!!
クリス「ウグッ!?」
2,3発被弾してよろめくアタシ。ヤバッ。ダメージは大してないがハンマーが来る!!
アタシは転がってその場を緊急回避。ドスーン!!予想どおりキャミィの一撃が畳を穿つ!

クリス(やべぇ。マジヤベェ。どーするよ。この絶体絶命な状況。)

院長はあくまで牽制に徹し、そこへハンマーの一撃が来る。
避け続けたとしてもいずれこっちが疲れ果てていつかはもぐら叩きみたいにされる。隙がねぇ。
クリス「クソッタレっ!」
アタシはサイファーを置き去りにしたまま、この場を離脱することにした。襖を蹴破ってさらに奥の部屋へと逃走する。

キャミィ「逃がすか!!」
院長「あっちは行き止まりだ。ゆっくり追い詰めてやろうじゃないか。」

573:ゲーム好き名無しさん
09/02/09 02:14:12 rZb4k+MM0

奥の部屋……その中央に『アタシ』は佇んでいた。行き止まり。もう逃げ場はない。

院長「ぬふふふふふふ。諦めたか。良いねぇその無表情。遺言があれば聞こうか?」

クリス『…………』

院長「おやおや、絶望のあまり声も出ないか。可哀想に、せめて私自ら引導を渡してやろう。」

不気味なオーラを身にまとい、緑色に発光する院長先生。

「サイコ・クラッシャー!!!」

ズゴッ!!『アタシ』は胴を貫かれ、四散した……!!

574:ゲーム好き名無しさん
09/02/09 03:06:10 rZb4k+MM0
クリス『残念……は・ず・れ!』
院長「な、何ぃ!?う…うっそー!!??」
ペタンと腰を抜かす院長。
絶命したハズの『アタシ』が喋った事でドびっくりしたのかガタガタ震えてやがる。案外小心者?
ビュウウウウン!!『アタシ』の姿がかき消える!!
クリス『忍法・身代わりの術!!』
それを言うなら、かわり身の術では?間違いじゃないけど。
ロック「正解は俺様でした!!」
そこに現れたのは、浮遊するサッカーボール大の機械とそれに取り付いた青いヘルメットの生首。
そう、この生首「ロック」はあらゆる機械を支配下に置く事ができる。そして……
院長「私が貫いたのはホログラフ発生装置……!?」

正解!!院長をタコ殴りにしたとき使用したもの。ほとんどスクラップ同然だったけど。
実は持ってきちゃってたのよね。要はほんの少しの間、目を欺ければ良かったのよ。
院長「じゃ、じゃあ本物はどこに……!?」
ここよ!!返事をする代わりに、院長に向かって猛烈なダッシュをする。
アタシが息を潜めていたのは入り口のかげ。
部屋のど真ん中に『アタシ』の虚像が立っていたおかげで完全な死角になってたわけさね!!
ロック「ヘイ!パ~ス!!」
サイコクラッシャーアタックを喰らって今度こそ完全にスクラップになったホログラフ発生装置。
それを器用に触手で投げてくる生首ロボット。ナイス・パス!
アタシはジャンプして空中でキャッチ。そのまま腰を抜かしてへたり込んでる院長先生の頭めがけて……
クリス「ダンク・シュートォォ!!」くたばれやコラ!

院長「フゴウッ(鼻血)!!ひ、卑怯な……一対一(サシ)の勝負だから手を出すなとか言って…なかっ…た!?」

クリス「はん。ざけんじゃねぇ。勝負の最中どこぞの変態おぢさんが乱入したおかげでこんな手を使う羽目になったんだよ。」
ロック「嘘八百。最初ッから、俺様をぶんなげて注意を逸らしておいてこの方法を使うつもりでええぇ~~……」
アタシはロックを向こうの部屋にぶん投げた。お喋りめ。

キャミィ「……これは!!」
それと入れ替わりでキャミィが入ってくる。重いハンマーを担いでるせいで遅れたようだが。命取りだったな。
クリス「残念ながら、院長先生は倒しちまった。次はてめぇの番だぜ。」
キャミィ「貴様……!!」



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