09/12/09 04:28:35
セクリタス入隊式を二日後に控えたある日
ケンショウの髪を見たキサとケンショウ弟は「少し伸びすぎなんじゃないか?」と問う
せめて入隊式くらいはさっぱりしていったほうがいいだろう、という弟の意見を
諸事情により髪を切りたくないケンショウは「切れとは言われていないからこのままでいい」と突っぱねる
そんなケンショウの様子に「どうせ兄貴のことだから、散髪行くのが面倒くさいだけなんだろう。なんなら俺が切ってあげる」とはさみを持ち出してくるケンショウ弟
散髪断固拒否のケンショウVS打倒鳥の巣頭のケンショウ弟(&面白がっているキサ)
切る切らないの押し問答の末、このままでは埒が明かないと強行突破することに決めたケンショウは
弟の隙を突いて脇をすり抜けドアへと向かうが、あと少しというところで捕まりキサに押さえ込まれる
離すとまた逃げるだろうからこのまま髪を切ってしまおうと弟が手を伸ばし、その手が項を掠めたとき
「ひゃっ」と喉を締められた鳥のような声が部屋に響いた
思わず顔を見合わせるキサとケンショウ弟
「シュウト、今変な声だした?」「俺じゃないよ。……って君じゃないのか?」
短い遣り取りのあと、二人の視線がケンショウに集まる。
「まさか、兄貴……?」弟が恐る恐る手を伸ばし、指が髪の間を掠めた瞬間
「ひっ!」再び部屋に甲高い声が響き渡った
実は異常なくすぐったがりで、特に首筋や耳の裏など頭部の急所を触れられるのが大の苦手だったケンショウ
頭に触られるのが嫌で散髪という現実から目を背けているうちに、毎度見事な鳥の巣頭が完成していたのだった
「くすぐったいならくすぐったいって素直に言えばいいのに」
笑いすぎて滲んだ涙を拭いながらケンショウ弟が言う
キサはいまだに笑いの発作がおさまらず肩を小刻みに震わせている
床に転がって笑い続ける二人を見おろしながら
たとえ、セクリタスが長髪禁止であったとしても
上官に何を言われようとも
当分、決して、絶対に、誰にも髪を触らせはしまい
と心の奥底深く暗く誓うケンショウだった