07/01/03 04:07:04 YjOmLGWy
それは中世のある人形師が生み出した究極の
少女を目指して作られた人形のなれの果てであった。
どんな宝石よりも無垢で、至高の美しさを持った
完全な少女との邂逅に備えて建造されたそれは、
ビスクドールやアンティークドールと異なり空間を汚染することなく、
その効果範囲における全ての姉妹を破壊する殺し合う人形であった。
丸底フラスコのフレ-ムの中に満たされた、
すべてを侵蝕し、取り込み、 進化して、
自分以外の生命体すべてを喰い尽くすまで活動を続ける人の手による絶対物質、
それは、生体物理学、錬金術、魔道力学までも応用して合成した人工の生ける魂だった。
これを七つの欠片に分割させそれぞれの人形の胴体に存在する
空間に送り込み命を吹き込む計画は完璧に進んでいるように見えた。
だが、ほんの些細なミスによって"それ"は作業場で発動した。
150時間這いずり回った"それ"はnのフィールドによって異次元の彼方へ吹き飛ばされ、
一応の決着を見たのである。中世では。
だが、"それ"は生きていた。
フィールドの中で嗚咽を続けながら胎動を繰り返す部品。
気の遠くなるような彷徨の果て、時間を乗り越え、その力の発現した先には19世紀のヨーロッパがあった。