10/05/05 03:30:03 YEKJKH1u0
■TV出演(ランクA)
なんだって、トップアイドルになったこの伊織ちゃんがドキドキしながらTV見なきゃいけないんだか……
それもこれもアイツのせいだ。だって、気を抜くとどんな事言うのかわかりゃしないんだもん!
そもそも、事の発端は一月前……番組出演のオファーが、わたしじゃなくてアイツに来た事だった。
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※【一流の裏方たち】という番組で、是非765プロの誇るトップアイドル水瀬伊織をプロデュースしたという方を
取り上げさせていただきたく思います。宜しければお仕事の話や、プロデュースにあたっての苦労話などを収録させていただき……
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そんな感じだったと思う。確かに、美希も戻ってさらに二人もアイドルが増えたんだし、高木のおじ様が言うように、
会社のイメージアップをはかって、若きプロデューサーを募集したいという気持ちは分かるんだけど……
はっきり言って、大丈夫?イメージ下がるかもしれないのよ。あんな変態をTVに出して!!カメラを前に
『いやぁ……俺、凸ちゃんのパンツが見たい一心で毎回衣装を選んでまして!!あれは素晴らしいものですよ。
成熟しかけの一番可愛い頃を俺が写真やカメラにおさめんでどうするよ?というのが俺の使命で……』
なんて言って、お茶の間どっ引きさせたら……わたしの人気まで下がっちゃうじゃないの!!
アイツなら、放送禁止用語がギリギリ出ないレベルで、変態トークやりそうだわ。だから性質が悪いのよ!!
生放送で変態を電波に乗せるなんて、TV局のスタッフは何を考えてるんだか……ああ、ドキドキするっ!?
収録語、何を聞いても『まぁ、放映当日をお楽しみにって事で』の一点張りだったし。
「ほら伊織ちゃん、そろそろ例の番組、はじまるけど」
小鳥はのんきなもので、おせんべいをかじりながら楽しそうにしてる……765プロの危機かもしれないのに。
……あ!はじまった!?
■
『というわけで、今日のゲストはこの方。今やトップアイドルプロデューサーと呼べる、
765プロ所属の売れっ子プロデューサーさんです!どうかよろしくお願いします』
「どうも」
『……では、早速水瀬伊織ちゃんをプロデュースしようと思ったきっかけを話していただけますか?』
「そうですね……まず、とにかく光るものがありました。この子は絶対スターになれると私は思ったんですよ。
型破りなところがあるというか……ただ、可愛いだけのお嬢様とは違う、輝きを見たんです。そして……」
……………あれ?何この模範的な回答。
なんかホントにイケメンの今っぽいプロデューサー像が、そこには流れてた。
ハッキリ言って、猫かぶってた営業モードのわたしより自然かもしれない……
「これはこれで、なんかムカつくわね……アイツ、完璧に猫かぶって出演してるじゃないの!
いつもはパンツの話とか、セクハラトークとか、踏んでくれとか言ってばっかのくせに」
「あははは……さすがにTVで言っちゃいけない加減は知ってるわよ。それに、あの様子なら
伊織ちゃんのイメージもアップするんじゃないの?」
そうかもしれないけど、やっぱ何ていうか面白くない……認められるなら、いつものアイツでがいい。
馬鹿で変態だけど、気持ちよく歌わせてくれたり、やりたいように仕事させてくれるアイツの凄さを、
TVを通してパパやクラスメイトのみんなが分かってくれたら、わたしだって……
もっと誇らしげに、アイツと並んで歩けるのに。
「……でもね、これはあたしの感想だけど、プロデューサーさん、なんかキャラ作ってる気がしないわよ。
ひょっとして、いつものセクハラ魔人こそが照れ隠しで、ビジュアルにだけは愚直なまでにこだわり続ける
あの姿勢こそが本当のプロデューサーさんだったりして」
「え………え!?」