10/02/27 23:46:06 U+6XVUli0
「真！！帰ったぞ」
「まことー！プロデューサーの人、来てるんでしょ？」
壁の向こう数メートル先にいるのは、おそらくご両親……
そう。俺たちの状況は一転して、いい雰囲気から瀕死の一歩手前まで追い込まれた。冗談抜きで。
（うわあぁぁ！！どうする真！こんな姿親父さんに見つかったら挨拶どころの話じゃないぞ）
（だ、だだだって！帰ってくるの早いんだもん！！どどどどうしましょう）
リビングのドアを開けたら、その時点でバスタオル一丁の真が見つかってしまう。
つまり、この部屋にあるモノで何とかしなければならない……
（真！服を着ろ。部屋にあるものなんでもいいから、服を着ろ！！）
（な、なんでもいいからったって……脱いだ服はお風呂場だし……あ、あった！！）
（マジか！ラッキー……とりあえずそれで時間を稼いで……って、何だそのヒラヒラの服は）
（えっと………エプロン！！）
余計悪いわっ！！！
っていうか、問答無用で俺は叩きだされるぞ。多分……っていうか絶対。
ご挨拶に伺いますという担当Ｐが、帰ってきたら娘と裸エプロンでいちゃついてるのを見た時、
普通の健全な家庭の親御さんが返すリアクションとしては何でしょうか？
模範的回答：通報
「おーい、まこ……！！？」
「……………あらあら」
全ての光景が、色を失っていく様を俺は見た…………
■
「…………というわけでこの左頬へのストレート、労災降りますか？」
「降りますよ♪あっはっは……それにしてもタイミングの悪い出来事でしたね」
翌日、小鳥さんの手当てと労災手続きの書類を受け取りながら思い出を話していた。
結局、あれから俺は父親の真一さんに右ストレートをもらってぶっ倒れたらしい。
気を失ってる間に真が全ての事実を説明してくれて誤解は解けたし、
おふくろさんが主導で話を進めてくれたし、いきなり誤解で人を殴り倒した手前、真一さんは
けっこうしっかり俺の話を聞いてくれた。
……まぁ、俺が娘を持つ父親なら、同じようにしてたかもしれないし、気持ちは分かる。
これから先、ランクＡ以上を目指すなら、ご家族のバックアップはあったほうがイイに決まってる。
ちょいと怪我はしたが、コミュニケーション的にはいい思い出になった。
そう思わずにはいられない出来事だった。
※>>395の人から妄想の種を得て作ってみました。
父と娘・バスタオル姿でうろうろ……というワードから、自然に組みあがったＳＳでござる。