09/12/25 20:01:16 YXFbaGcbP
「じゃあな。おやすみ、千早」
彼が、私の頬へ口づけをする。
「……はい。おやすみなさい」
そう言って、私は自宅へ―といっても、マンションの隣の部屋なんだけど―に、戻った。
「ただいま」
未だ高校にも通い始めたばかりの年だっていうのに、私は一人暮らし。
私の家族は、私の愛すべき人たちは、今はもう、いない。
……でも、今はあの人がいる。忘れかけた愛の香りを、私に思い出させてくれた。
頬を、手でそっと撫ぜる。
愛する人に口づけをされて、嬉しくないはずなんてないのに。何故だろう。
「……くっ……うっ…………うぅ……プロデューサーぁ…………」
苦しくて、苦しくて。涙が止まらない。
あなたの、甘くて曖昧で、優しい口づけが、とても悲しい。
あなたが、ずっと隣にいてくれる保障なんて無い。
それが、たまらなく怖いんだ。
プロデューサー。乱暴でもいい。苦しくてもいい。
だから、だから次はどうか、はっきりした口づけを、私に下さい。
―――――――――
山下達郎さんの「あまく危険な香り」を聞いてたらティンと来たので。流れ的にピタリだったのも。
千早に「愛してる」って、ちゃんと言わないとね。ダメだからね。親愛の証って訳じゃないからね。
千早も、いつかこんな色っぽい曲を歌えるようになるのかしら。
……いや、千早。今が色っぽく無いって言ってる訳じゃないからな?だから脱ぐのはやめなさい!