10/03/07 02:49:20 pwLjpA9ZO
「まゆり?」
人混みの中、隣を歩いていたはずの幼なじみの姿がない。
いや、幼なじみではもうない。
色々あって、まゆりが俺の恋人になったのはもう随分前の話だ。
まゆりのバイト先であるメイクィーンニャンニャンまで買い物がてら迎えに行き、ラボへと向う途中だったのだが、突然消えてしまったのだ。
まぁ…いつものことと言えばいつものことなのだが。
きっと、そのあたりで空に向かって星屑との握手〈スターダストシェイクハンド〉を発動させているんだろうが…。
解っていても不安になる。また俺の前からいなくなってしまうのでないかと。
ちゃんと手を繋いでいればよかったのだ。
「オカリン?まゆしぃ、待っててっていたのに~」
手にはホットコーヒーの缶とココアの缶。
「はい。寒かったでしょ?待っててくれたオカリンにありがとうなのです」
手渡されたコーヒーを白衣のポケットにいれ、まゆりの手を握る。
「これなら寒くないぞ、まゆりがいるからな」
…どうやらいなくなっていたのは俺のようだが。まぁどちらでもいい。こうしていれば離れることはないからな。