09/10/16 20:46:13 NfJUzRFTO
こんな夜更けに、闇と風の中に馬を走らせるのは誰だろう。
それは父と子だ。父はおびえる子をひしと抱きかかえている。
父 「息子よ、なぜ顔を隠すのだ」
子 「お父さんには魔王が見えないの。リボンをつけて、わっほいをしている・・・」
父 「あれはたなびく霧だ・・・」
魔王 「かわいい坊や、一緒においで。面白いわっほいをしよう。
岸辺にはきれいなわたが咲いているし、金のかかる服をゲイツがたくさん用意して待っているよ。」
子 「お父さん、お父さん！きこえないの。魔王がぼくにわっほいっていうよ。」
父 「落ち着きなさい、枯葉が風にざわめいているだけだよ。」
魔王 「いい子だ、私と一緒に行こう。アイドルたちがもてなすよ。
お前をここちよくゆすぶり、踊り、歌うのだ。」
子 「お父さん、お父さん！見えないの、あの暗いところにアイドルが！」
父 「見えるよ。だが、あれは古いしだれ柳の幹だよ。」
魔王「愛しているよ、坊や。お前の財産がたまらない。わっほいづくでもつれてゆく！」
子 「おとうさん、おとうさん！魔王がぼくをわっほいする！魔王がぼくをひどい目にあわせる！」
父親はぎょっとして、馬を全力で走らせた。わっほいする子供を両腕に抱え、やっとの思いで館に着いた・・・
腕に抱えられた子はすでに紳士になっていた。