【澄み渡る】如月千早60【夏の空へ】at GAMECHARA
【澄み渡る】如月千早60【夏の空へ】 - 暇つぶし2ch357:SS
09/06/30 20:50:13 RNgS6pmI0
「では、小鳥さん、俺、帰りますから」
「待って、プロデューサーさん、帰らないで」
手を振りながら立ち上がる彼のジャケットの裾に小鳥は縋り付く。
「小鳥さん・・・・・・」
「私が間違っていました。もうこんなことはしません。だから・・・・・・」
「音無さん、プロデューサーを残業に巻き込もうとするのは止めて下さい」
小鳥の手を裾から外しながら、千早はため息をつく。
「だってぇ、まだこんなに書類が残っているのよ」
「忙しいのは前々から分かっていたのでは?」
「まさか昼から動画があがっているとは思わなくって」
嬉しそうに言う小鳥に千早は再びため息。こんな日に限って、なぜ律子はいないのか?
「冷静に考えるとこの時間に高校生が働いていること自体が問題ね」
一つ納得して、千早は彼の方を見る。
「小鳥さん、会社のパソコンに自作のソフトを入れるのは止めて下さい」
「大変だったんですよ、プロデューサーさん。このOSでネットに繋ぎ、動画を保存させるのは」
「凄いとは思いますけど、才能の無駄遣いですよ」
千早にはよく分からないが彼の表情を見るに相当凄いことらしい。
「ちょっとくらい手伝って下さいよ~」
「だから、小鳥さん、今日は無理なんですよ」
「プロデューサーさん、今日は冷たい」
「いや、俺だって、小鳥さんに助けてもらっているから手伝いたいのですが・・・・・・」
そこで彼は千早の方をちらりと見る。
「千早ちゃん、お願い、今日だけプロデューサーさんを貸して」
「プロデューサー、音無さんを手伝って下さい。私は先に帰りますから」
千早は苦笑しながら、彼に頷く。
「はぁ、千早が言うなら仕方がないか。じゃあ、小一時間くらいで切り上げるから。
 小鳥さんもそれくらいあれば、終わりの目処がつきますよね」
「ええ、ごめんね、千早ちゃん」
「いえ、それでは私は先に帰っていますね」
一礼して事務所を出る千早を見送り、彼は自分のパソコンを再び起動させる。
「では、プロデューサーさん、この書類の処理をお願いしますね」
「了解です」
「それにしても今日は何かあるのですか?
 やけに千早ちゃんのことを気にしていましたが・・・・・・」
「いや、それが・・・・・・」
「もしかして、何かご予定が・・・・・・」
「いえ、確かに予定と言えば、予定なのですが・・・・・・」
「私が頼んでおいて言うのもアレですが、今からでも千早ちゃんを追いかけて・・・・・・」
「あ、それほどではないんですよ。ただ・・・・・・」
「ただ?」
小鳥の無邪気に問いかけたが対する彼の顔の真剣さに息をのむ。
「なにがあると言うのですか、プロデューサーさん」
「いえ、今日は千早特製煮込みハンバーグなんです」
「はい?」
「だから、千早特製煮込みハンバーグの日なんです」
小鳥の聞き間違いではなく、本当に煮込みハンバーグが原因のようだ。
「あの、それだけですか?」
「それだけ!? 小鳥さん、今、それだけと言いましたね!?」
彼は真剣な顔で立ち上がる。
「千早が自分の手を汚して捏ねたハンバーグ、それを煮込んであるんですよ。
 しかも、それだけ煮込みながらハンバーグは煮崩れていない。まさに究極の・・・・・・」
「分かりました。私の手伝いは煮込みハンバーグ以下の重要度なんですね?」
「違います。千早特製煮込みハンバーグよりは優先度が劣るだけです。
 他人が作った煮込みハンバーグよりは上です」
「そうですか。やはり料理のうまい女性が最後に勝ちますか。
 私が千早ちゃんの師匠なんだけど、なんで私には相手ができないのかしら」
彼の言葉にため息をつき、小鳥は自分の仕事に取りかかる。
千早の携帯に餌付けに完全に成功しているわよ、と一報を入れながら。

いつかコンビニ弁当食べるのを止めます、It's my 1st dream. 無理ぽいけど


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