09/06/28 03:05:20 krTkge+W0
彼女は、氷の女王なんかじゃない……気高くもあたたかい、慈愛の歌姫になりたいんじゃないのか?
俺はもしかして、大事な選択を迫られているんじゃないのか?
……いや、たかが夢に見たからといって、千早のイメージを軽々しく変えていいのか?
【氷の歌姫】で、もうメジャーランクに上がったんだぞ?下手すりゃ大失敗して寿命を縮めるぞ!?
でも、それでも!!俺はこんな千早を見てみたいと思っているんだ……
心から幸せそうに、最高の笑顔で歌っている千早を見たいんだ。
狂おしいほどに心が痛く、胸が締め付けられ……何故か、涙が溢れて止まらない。
これはただの夢なのに。
千早の過去が、こんな子である確証など何処にも無いのに……
『ちーちゃん、いっしょに、うたおう!』
そう言って微笑む天海さんと、手を取り合って歌う千早の顔を見ていると、良く分からない衝動がこみ上げて来る。
俺は、彼女のこんな笑顔が見たい。この笑顔を、本当の意味で取り戻したい!!
……いや、だから待てって!【取り戻す】も何も、昔の千早がこんなだったかは分からないわけで……教えてくれ千早……誰のためにそこまで頑張れる?
誰のために、そんなに可愛くて……まばゆいばかりの笑顔を見せられる?
そして、いつの日か……俺の前で、そんな風に笑ってくれるのか?
■
「千早……ちは……や……ちーちゃん……」
「プロデューサー、もう時間ですよ……お昼休みは終わりです……プロデューサー?」
「う……」
夢だと分かっていた夢なのに、目の前に大きな千早がいることに驚く。
……いや、大きいじゃなくて元通りの15歳……と言うべきか?
「午後から2本、仕事が入ってるんですよね?メジャーランクに上がったのですから、急がないと」
「お、おう……すまん。それじゃ、行くか!」
そういえばランクCに上がった記念に、ゴールデンタイムの収録が一本入っている。
昔から千早の歌唱力を買っていたTVプロデューサーがご祝儀にと入れてくれた仕事だ。
「ちーちゃん……歌おっか?」
「へ?今、何と仰いました?プロデューサー……」
「いや、何でもない。頑張ろうなって、言っただけだよ」
千早のご両親が、かなり仲が悪いのは昔ミーティングで聞いたとおりだ。
でも、仮に……あくまで仮に、俺の夢があながち間違っていなくて、昔の千早があんなに明るい子だったら……
俺は、あの夢に見た笑顔を千早に取り戻して欲しい。
何があったのか……きっと相当辛い事があったに違いないのだろうが、それでも俺は……
千早に幸せになって欲しいんだ。そのためなら、多少痛いことでも、千早を傷付けてでも、
あの、全身の毛がぞわりとする歌を、日本国民……いや、世界中の人々に聴かせてみたい。
もしも、もしも……千早が俺に自分の過去を打ち明けてくれたその時は、俺も自分の気持ちを打ち明けよう。
俺の信じる千早の幸せのために、千早の気持ちに踏み込んでみよう。
「あの、プロデューサー……午後の仕事の前に、少し……時間ありましたよね?」
「ああ、一時間くらいな。レッスンでもする?」
「いえ……TV局の近くに、港の見える公園がありますよね……そこで少し、ミーティングしませんか?
ちょっと、話したい事があるんですけど……」
「お、珍しいね。暇さえあればレッスンレッスンの千早が……いいとも、是非付き合うよ」
そうとも、まだランクCに上がったばかり。時間はまだ残されている。
俺の他愛ない夢は置いといて……今、現実に目の前にいる女の子の事を第一に考えなくちゃ!
まだ、多少ボーっとしている脳に気合を入れ、俺達はTV局へと向かっていった……
※>>34千早を愛するが故に、重いのもお馬鹿のも書けるのだと、数だけは書いてる俺が言ってみるテスト。
【あいますほいくえん】という文字がノートに殴り書きされていたのでそこから妄想を拡げてみた。
全員園児で同い年。保父さんがPたち、子供服業者が小鳥さんというワケのわからん設定だったが、
住民の妄想を手助けできるようなモノが出来るといいなぁと思いつつ投下。