【むすんだ絆と】天海春香53周目【ほどけぬ愛を】 at GAMECHARA
【むすんだ絆と】天海春香53周目【ほどけぬ愛を】 - 暇つぶし2ch768:名無したんはエロカワイイ
09/05/05 18:48:42 2LLRTmmv0
フラクラって、フラグを建築するから可能なんだと思う。
この絵をみてから、そろそろ1年たつんだなあ。春香ーッ 雨だーッ! 気をつけろーッ!!
URLリンク(imasupd.ddo.jp)

@ある雨の日の風景(ランク不明)

「小鳥さん。あたし、もうダメかも」
「は、春香ちゃん!? どうしたの? 転んだくらいでそんなコト言っちゃだめよ」
「あっ、ち、違うんです! そういうネガティブなダメ、じゃなくて……その」
 言いよどんだ春香の口を、ノックの音が完全にふさいだ。
「はいりますよ。音無さん、春香は大丈夫ですか」
「ええ、ほんとうにちょっとすりむいただけでした」
 プロデューサーの手には、トレイと、マグカップが3つ。
「ほら春香。ホットココアだ。ヘコんだときはあったかいものが良いだろ」

◇ ◇ ◇

 厭に石くさいゴツゴツのアスファルトに跳ねる雨粒と、耳に障る空気が冷たい。
 コケたらしい。
 やっちゃった、きれいに受身をとれなかった、私、なにやってるんだろう、そんな類の言葉
が頭の中を這い回る。湧き上がる負の感情に抗おうと、春香はきっと口を引き結んだ。立とう
として顔をあげた目の前の地面を、スーツの膝がズシリと突く。仰ぎ見ると、"大"をつけても
お釣りがくるくらいの真面目な顔が、さらに真面目を上乗せして覗き込んでいた。

「春香、大丈夫かっ!」
「え、あ、はい、あの……ッ痛」
「ほら、つかまって」
 自分のそれより、ひとふたまわり大きな両手に上腕をがっしりと掴まれ、肘がふっと浮いた。
曳かれるままに、その腕を掴みかえす。暖かい。スーツの生地と手のひらの間の、砂粒の感触
に目をやると、雨水が染みていた。汚れちゃいます、いいですと言おうと口をあけかけたが、
ぐいと持ち上げられたその勢いで、言葉を飲み込んでしまう。
「うん、ちょいと失礼」
 プロデューサーの右手とチェック柄のハンケチが、ふわふわと顔の周りを踊る。頬を顎を、
鼻をなでていく布の感触に、思わず目をしばたいた。
「え、え。あの、大丈夫です」
「いま、痛そうにしただろ。見える怪我は膝のすりむいたのだけだな。手を離すぞ」
「すいません、ほんとに大丈」
 離れかけたプロデューサーの左手が、すぐに戻って、右腕を掴まれる。立った後、支えられ
たままで気づかなかったが、足が笑っていた。転んだショックだろうか。
「しっかり立って」
「は、はい」
 首をひとつ横に振って足に力を入れる。そうしてようやく、ぼうっとしていた自分に気づく。
灰色の視界、車が水溜りを跳ね上げる音。濡れたスカートが煩わしい……。プロデューサーが
くるりと体の向きを変えて、トートとその中身を拾いだした。拾ってもらっちゃった、いけな
い、自分で動かなきゃ、傘はどこ、と視線をめぐらせるが、もう拾われていた。

「……どちらにしてもその格好じゃ出歩けんな。いったん事務所に戻るぞ。これ、もって」
 お気に入りのトートバッグと、自分の傘と―何故か、プロデューサーの鞄まで渡された。
一瞬、心に疑問符が浮かんだが、気おされるままに、まとめて抱きかかえる。
「あ、はい、ありが―きゃあっ!?」
 屈んだプロデューサーの頭頂が視界にアップになった次の瞬間、体が宙に浮いた。
 スーツと自分の私服の向こうから押し付けられる、男性のいかつい骨格と、それを鎧う筋肉。
 春香は、自分の足ほどにも太い両腕に、抱きかかえられていた。
「あっ歩けます! 自分で歩けますって!!」
「ダメだ。震えている。階段でコケたら……なに、すぐ上るから。荷物を落とすなよ」
 階段に響く靴音がひとつ鳴る度に、頭に血が昇り、視線が泳ぐ。顔が熱い。
 これはナニゴトだろう、いったい何の冗談なんだろう、私、どうしちゃったんだろう。
 未体験の感覚の連続にパニックに陥りかけながら、お気に入りのトートとプロデューサーの
鞄を、力いっぱいに抱きしめる。高鳴る胸の鼓動を隠すように。


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