09/02/21 18:38:26 a/CnA7Dh0
その時、偶然が黒井の眼と小鳥の眼をまともに合わせた。
（今見たのは・・・）
それはあからさまな色気だった。この女は干される気ではない。犯す気なのだ。
一瞬にしてそれが判った。だからわざと怒らそうとしているのだ。自分が平手打ちするために
近づいた時・・・その時こそこの女は一跳びに襲ってくる。
黒井は改めて、相手のネコのようなしなやかで力強い肢体に気づいた。ぞっとした。
「ちょっと待て」
小鳥は中途半端な姿勢のままぴたりと止まった。
（気づかれた・・・？まあいいわ、このまま黒井社長の唇を堂々と奪って
叩き出されるのも、悪くないかしら・・・？）
「まず座れ」
黒井が低く言った。声に凄みがある。
「もう、せっかくここから高木×黒井のくんずほぐれつが・・・。ぷう」
小鳥はどっかりと椅子に座った。黒井がその姿を鋭く見た。
「で、何故だ？」
９６１の重役たち『そうだ・・・。なぜ社長の前で８０１劇など・・・。干されたいのか？』
だが違う。これは何故自分を犯そうと決意したのかという意だった。
小鳥だけがその真の意味を悟った。これは黒井と小鳥だけの密かな対話なのだ。
「さて・・・・・・？」
「何びとかのためか？」
「まさか」小鳥は一笑に附した。（本当に何故だったかしら？）ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ
重役たち『あ、あの事務員、自分がどこにいるのか判っているのか・・・？』ｻﾞﾜ…
Ｐ「し、心臓が痛いい・・・！」
黒井「訳がない筈があるまい！よく考えろ！
（理由もなく貞操を奪われてたまるかーっ！！）」
重役たち＆Ｐ（よく考えろとは奇妙な！！？）
「そうねえ・・・。強いて申せば、意地とでも申しましょうか・・・」
「意地・・・？腐女子の意地、と言うか？」
「人としての意地ですわ！」
黒井（はッ！！そ、そうか！）
社長であろうが事務員であろうが人は人である。面白半分に人が人を呼びつけ
晒し者にしていい筈がない。思い上がりもいい加減にしなさい！
この女はそう言っているのだ！
黒井（この女・・・、絶対に飼いならすことのできぬ、けだもの・・・。
まさしく腐ったけだものだ！ゴクリ・・・、叩き出すか？）
だが黒井もまた一個の腐男（かぶきもの）である。当たり前のことに
身を委ねることを嫌う性癖がある。なんとか、重役どもの鼻を明かしてやりたい。
「その意地、あくまでも立て通すつもりか？」
「やむを得ませんね」
「立て通せると思うか！？」
「私にも判りません」
そして小鳥は微笑（わら）った。ちょっと照れたような、はにかみの微笑だった。
黒井はこの笑顔にしびれた。まことに久しぶりに、熟れた女のいい微笑を見たと思った。
怒る気が一気に失せた。
「見事腐女（かぶ）いたものよ！大儀であった！」
「はいっ！うふっ」パチン‐☆
Ｐ「はわっ！？・・・」