09/01/24 03:49:29 n++WJWql0
■休日イベント(ランクA)
「チョコに水あめを混ぜたら、色も変わるし加工もしやすくなるよ。
ちょっと面倒だけど、あとは冷めたら形を作って……あ、でも冷めすぎたら固くなるし、
うー……お菓子作りは得意だけど、図工はあんまり……」
1月も半ばに差し掛かるある日、わたしたちは全員で765プロのキッチンを借り切っていた。
【プロデューサーたち入室厳禁】と書かれた扉の中で、一月前からわたしたちの計画ははじまっていた。
……そう。世間がバレンタインの色に染まる前に、準備期間を含めて春香のパティシエ教室は開催され、
わたしたちはそれぞれの担当プロデューサーに、思いのたけを込めたチョコをあげるために。
それに、当日2週間も前になれば、キャンペーン番組やらで忙しくなるのは分かっているのだから。
正月番組を11月から撮っている芸能界に長くいると、早くもなんとも無い気持ちになるから、不思議だ。
チョコレートケーキにクリームで『好き!』と書く春香。
お酒を使って大人の味に仕上げたあずささん。
抹茶を使って渋めでありながら、日本人好みの味に仕上げた萩原さん。
ここぞとばかりに女の子っぽい装飾をつけまくり、チョコだか何だか分からなくなってる真……と、
みんなそれぞれの担当Pへの気持ちを込めたチョコを、本番さながらの気持ちで作っていた。
そんな中、美希だけが水あめやらクリームやらを、科学の実験みたいに調合し、緑、白、肌色の
チョコレートを作っては、ナイフで削りこんでいた……いったい何を?
■
午前中の作業が終わって、みんなが完成品をお披露目する段になって、その凄さが分かった。
みんなそれぞれ大きな失敗は無く、和気藹々と批評、試食をしていたところ……
美希の作品だけは、とてもチョコと思えず、本当にフィギュアと間違えるくらい。
黒でも茶色でもなく、水あめを駆使したその作品は、キングオブパール360の衣装を纏った美希そのものだった。
「これ……チョコなの?本当に?」
「うん!肌色はホワイトチョコをベースにカラメルを溶かして染めたの♪緑は雪歩の抹茶を借りたし、
髪の毛は普通のミルクチョコでしょ?あとは、あっと驚くキャストオフなの!服のパーツは
別のチョコで作ったから、ここだけ食べたら水着姿のミキに大変身!なの♪」
「うわ!凄いっ……うぅ、すでにコーチであるわたしの立場、無いかも……」
「でもこれ……人形の服を脱がしてるみたいで、ヘンな気持ちにならないか?」
「ねぇミキミキ!これ、脱がせるのは水着までなの?」
亜美がとんでもないことを聞くけど、さすがに水着は本体のチョコと一体化してるみたい。
だってあまりにも凹凸が無くて、別パーツではとても作れない薄さだったから。
もしわたしがこんなチョコを作れたら……やっぱりプロデューサーは、ドキドキしてくれるんだろうか?