【今年もレッスン】如月千早46【お願いします】at GAMECHARA
【今年もレッスン】如月千早46【お願いします】 - 暇つぶし2ch679:SS
09/01/12 23:35:06 KKFLrPurO
 人というのは不思議なもので、日々の規律を意識していれば、早朝に起床することも苦ではなくなる。
そして、学校の制服を着れば、学生として必要な緊張が感じられる。
二番目の姉には、このことが信じられないらしいが、それは怠惰なだけのように思える。
五人姉弟で、一人に一部屋が与えられるほど広い家に住めるのは裕福であって、ぼくは、恵まれているのだろう。
その、自室の扉を開け、一階へと降りていく。
鼻孔と食欲とを擽ってくる、朝食の芳香に、思わず、食卓に視線が移る。
 そこで、ああ、と、ぼくは小さな声を発した。今日は、父と母とが家にいるのだ。
世界という、考えるだけで威圧されそうな舞台で、忙しく働いている二人が、数ヵ月に一週間は、
ぼくたちの為に、家族で過ごす時間を作ってくれているのである。
 平生は、食事を作る役の、一番目の姉が、今朝は、穏やかに席に座り、母の料理を味わっている。
ぼくも、その幸福をいただこうとすると、
二番目の姉―食事は終えたようだ―が、すれちがいながら、どこかが疲れた声音で言ってくる。
「先に行くわよ」
「ああ、うん」
 無表情、無感動、おまけに無乳の、二番目の姉にしては、感情を表現した様に、ぼくは疑問を懐いた。
だが、それに対する答えは、砂糖を溶かし過ぎた甘さというか砂糖が溶けないほどの甘さというか、
まあ、そんな口調が教えてくれた。
「やっぱり、千早の料理が、最もおいしいな」
「ふふ。ありがとうございます。あなたに褒めてもらえることが、なによりも嬉しいわ」
「一日の幸せというものは、きっと、愛しい妻の料理を朝食にすることで始まるんだろうな」
 三十八歳とはとても思えない容姿の母が、情愛を唄う歌詞のような夫婦の会話でかれんに頬を染めるのを、
ぼくは、自室に戻って眠りたい気分で確認した。
 ていうか、おい、そこの夫婦、息子と娘との眼前で口づけしようとするな。


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