09/01/12 02:45:38 ni5waxma0
■雑誌取材(ランクA)
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいですっ!!悪いのは全部わたしですから、
どうか千早さんを叱らないであげて下さいですー!!」
「いいえ、高槻さん……あなたは悪くないわ。気付かなかったわたしの落ち度です。
ですからプロデューサー、高槻さんを責めないで下さい!」
昼飯を終えたあたりの時刻……事務所内で二人のアイドルと一人のPが、
独特の臭いを漂わせながら俺に土下座して謝っていた。
まぁ、高槻さんと一緒の昼飯とあらば、うちの千早がテンション上がるのは当然だ。
ただ、問題は昼飯の内容で……ナンジャタウンに仕事に行ったはいいが、二人で入ったのは
餃子専門店だったんだよな。高槻さんは以前からナンジャタウン名物って事で食べたがってたし、
千早は、高槻さんと楽しいご飯が食べられるなら幸せだった。
……二皿目を食べ終わったところで、うちの千早だけはこの後取材が入っていることを思い出したそうだ。
(高槻さんとそのPは、午後はレッスンなので問題ないらしい)
「……ま、食べちゃったものはしょうがないさ。高槻さんも、気にしないでいいよ」
確かにこの後、ニンニク臭を漂わせながら取材ってのはマズいが、高槻さんがうちの千早と
飯を食おうと思って誘ってくれたことは俺も嬉しい。次からはお互い気をつけてもらうとして、
善永さんの取材をどうやって乗り切るかだよなぁ……
悪徳記者と違って、記事にされたりはしないだろうが……それでもちょっとしたイメージダウンだよな。
ブレスケアにミント味のタブレットを食わせてみたが、完全に臭いが消えるわけじゃない。
うちの千早は毎日牛乳を飲んでるのが、不幸中の幸いだ。おかげで少しでも臭みが消えてるらしい。
それでこの破壊力ってんだから、餃子スタジアムってどんなところなんだよ!?
「本当に、すみません……あの、やっぱりこの状態では、仕事は受けられないのでしょうか?」
「そうしたいけどさ、善永さんだしこっちの都合でキャンセルってのは申し訳ない。
だから取材は受ける。イメージダウンしても、それは個人の責任において受け止めろ」
「は、はい。くっ……」
落ち込んでる千早には悪いが『餃子の臭い程度』で済まされないのがこの業界なんだよな……
ある意味素直というか、閉鎖的というか……餃子の臭いをプンプンさせてるアイドル、なんて
噂が流れた日には悪徳記者やライバル事務所がここぞとばかりに攻めてくる。
可愛い声を出せる声優さんなのに、歯並びが悪くて口が臭いだけで【モルボル】なんてあだ名を
付けられた、すごく可愛そうな人を知ってるだけに今回の悩みは簡単なものじゃないんだ。
………でも、俺は千早のプロデューサーだ。
記者やただのファンと違って、何があっても千早の味方でいるべき人間なんだ。
そんなプロデューサーである俺がする事といったら……決まってるだろう?