09/01/08 00:50:08 qzVgRKZe0
■オフイベント(ランクA)
「欲しい物って、いきなり言われてもなぁ……」
「アンタみたいな独身の貧乏男なら、いくらでもあるでしょ!?お金とか家とか車とか!」
……そりゃそうだが、一応トップアイドルを育成したPとしてボーナスも出たし、
20代の男としては、平均以上の収入を稼いでるつもりなんだが。伊織に比べりゃ月とすっぽんだけどさ。
車は会社のがあるし、都内に住んでりゃあまり必要無い。最悪、タクシー呼べるし。
家も……でかいの買ったら管理が大変なんだよな。だから気楽な賃貸アパートで十分だ。
だからいきなり【トップアイドルになった記念に、伊織ちゃんから下僕にご褒美をあげる】
なーんて言われても、正直何を欲しがっていいんだか分からないんだよな。
「あ、じゃあ米欲しい!ちょうど足りなくなってきて困ってたんだ。5キロでいいから」
「ふざけんなー!!その程度のお礼ですむと思ってるの?このアイドル神ランクの伊織ちゃんが、
トップアイドルを育て上げた男への感謝の気持ちなのよ!それが、たかが米5キロですって!?」
「…………さっきは、下僕への褒美って言ったのに」
「……………あ!?」
たっぷり、30秒ほどの硬直。いつもならここで瞬間湯沸かし器となって逃げるパターンだが、
さすがはトップアイドル。今回は逃げずに踏みとどまったようだ。
「とっ……とにかく!何かいいなさい!金額なら5,000万円以上にすること!!」
「それ、無茶すぎないか?このご時世現金の譲渡は法律や税金やらで面倒この上ないんだぞ。
だいたい、水瀬グループの象徴である伊織からお金なんて貰えないってば」
「心配しなくても、水瀬グループのお金じゃないわよ!わたしの個人資産が2億はあるから……」
「それでも遠慮する。生活には困ってないよ。そうだな……せっかく伊織が何かしてくれるなら、
伊織が自分で何かしてくれるのがいい!新堂さんと水瀬グループの力、抜きで!」
「わたし一人で?アンタに何かしろって?」
「うん。あ、勿論俺も手伝うぞ!何たって俺たちは二人でここまでやってきたんだからな。
俺のためにしてくれるとはいえ、俺が黙って見てるなんてこと、しないの分かるだろ?」
「新堂と、家の力抜きで、アンタも手伝って、わたしでないと出来ないことで、アンタが
欲しがるもの…………うーん…………」
「駄目かな?でも、俺はお金よりそっちのがいい!なんてったって伊織の……だから」
空腹のあまり、想像するだけで出てしまうよだれを飲み込んだら、伊織の顔が真っ赤になった。
なんだ?この反応は……
多分伊織ならエリート教育の一環として、習ってると思うから言ったんだけど……
最近は忙しくて、してないから断られるかな?【手料理】なんて。
「あっ……アンタ、本気!?責任取れるの?」
「あたりまえだ!仕事でもプライベートでも、伊織に何かあったら責任取るさ!」
「でも、はじめてだし、血が出るし痛いって言うし……」
「伊織、はじめてなのか?……大丈夫!俺も頑張るから(包丁とか俺がやるし)痛い思いはさせないよ!」
「でも、場所とか……さすがにうちでは無理よ。新堂やパパたちにばれたらタイヘン……」
「そっか……(厳しいな水瀬家は。料理一つ自由にさせてくれないのか)なら、俺んち来ない?」
「な!!?」
「一応、俺んちにも(材料)あるから」
「でもっ……あんたのアパートって布団じゃない?あそこは狭いかもっ……」
「別に、布団でメシ食うわけじゃないし……確かに俺は万年床で暮らしてるみたいなもんだけど、
料理くらいはキッチンでやるさ。伊織の手料理だし、寝床で食うような失礼はしないぞ」