【そうだそうだ】如月千早43【もっと歌いたいぞー】at GAMECHARA
【そうだそうだ】如月千早43【もっと歌いたいぞー】 - 暇つぶし2ch659:SS
08/11/21 23:56:34 nZzysdtW0
「コホンコホン、咳は治まってきたわね」
加湿器に水が入っているかを確認して、千早はベッドに入る。
「はぁ、やっぱり一人暮らしだと病気の時が大変。でも、実家にいた時よりも楽かもしれないわね」
日中は共働きで誰もいなかったし、夜間は千早が病気でも大差なし。
親のいない間しか台所を使えないので余計に気をつかって大変だった。
「熱はそれほどないし、明日の朝には大丈夫なはず」
自分に言い聞かせ、ゆっくりと目を瞑る。
「ふぅ、やっとCランクになったと思ったら。私が一番に風邪をひくなんて、情けないわね」
どうやら墓地で体を冷やしてしまったらしい。体力には自信がある方だったのだが。
ピンポーン
「こんな時間に誰かしら? 支払関係はなかったはずだけど」
通販もした記憶はないし、出前も頼んでいない。
居留守を使おうとしたが再び鳴ったチャイムに千早はため息を付いてベッドから出る。
「誰かしら・・・・・・春香!?」
ドアの除き窓から見えた見慣れた顔に千早は慌ててドアを開ける。
「春香、どうしたの? 財布を落としたの?」
「千早ちゃん、私のことをどう思っているの?」
千早をやぶにらみしてから春香は手に持った買い物袋を差し出す。
「千早ちゃんは一人暮らしだから、差し入れと看病に来たよ。具合は?」
「熱は下がってきたわ。頭痛も治まってきたし」
「何か食べた? 何か食べないと体が参っちゃうよ。お腹の具合は大丈夫?」
「朝食べたっきり。お腹の具合は悪くないわ」
「もう夕方だよ。何か食べないとお薬も飲めないよ」
「ええ、昼に多めの水と飲んだら、ちょっと胃に来たわ」
「無茶しちゃダメだよ。体が弱っているんだから。台所を借りるね」
千早をベッドに寝かせ、春香は台所で料理を始める。
「春香、ある物はどれを使ってもいいけど、お皿は割らないでね」
「千早ちゃん、ひどいなぁ。料理経験なら私の方が上なのに」
そうだったわね、と納得してゆっくりと目を閉じると材料を切る音が聞こえてくる。
(昔はこの音で目を覚ましていたわね)
起きた後、もっと早く起きた振りをして父と弟を起こしたものだ、あの日までは。
(ついこの間までは辛い記憶だったけど、今は懐かしさしか感じないわね)
それが良いことか悪いことなのか千早には判断できない。
(でも、思い出さないように心を閉ざす必要がなくなったのは、良い事よね、きっと)
過去の日常を思い出しながら、千早は軽く頷く。
「千早ちゃん、千早ちゃん、おうどんが出来たよ。起きられる?」
「え、ええ、大丈夫」
どうやら少し寝てしまったようだ。起きようとしたところで春香がティッシュで千早の頬を拭う。
「どんな夢を見ていたか知らないけど、笑顔で涙を流してたよ」
「ちょっと懐かしい夢を見たの」
千早の言葉に春香は「そうなんだ」と何も聞かずにベッドの横に腰掛ける。
「ふう、ふう、はい、千早ちゃん、あ~ん」
「春香、別にそこまで重症ではないわよ」
「いいから、いいから。はい、あ~ん♪」
春香の笑顔に負け、千早は「あ~ん」と控えめに口を開ける。春香のうどんは生姜が効いていた。
おかげで食べ終えた頃には汗でパジャマが濡れ、春香に蒸しタオルと洗濯までお願いすることになった。
「ありがとう、春香。さっぱりしたわ。そろそろ電車の時間よね? 送っていけないけど・・・・・・」
「ああ、心配しないで良いよ今日は千早ちゃんの家に泊まるから」
その答えに呆気にとられる千早に春香は微笑む。
「えへへ、明日はお仕事もお休みだから。泊まり込みで千早ちゃんの看病をしちゃいます」
「春香、そこまでしてもらわなくても」
「いいから、いいから。それにこう言う時でないと千早ちゃんに恩返しが出来ないから」
春香に肩を押さえられ、千早は仕方なく横になる。疲れと薬と体が温まっていたのですぐに睡魔が訪れる。
「分かったわ、春香。押し入れに予備のお布団があるからそれを使って」
「この前、お泊まりした時に使ったお布団だよね? うん、分かったよ」
「明日、私の体調が良かったら、遊びに行きましょう。ケーキをご馳走するわ」
「楽しみにしているから、今日はゆっくり寝てね」
頭を撫でる春香の手の感触に頬を緩ませ、千早は眠りに落ちた。

接待で飲む酒は不味い、とコンビニで麦酒を買いながら思った


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