08/11/16 21:15:27 V1DzRDPg0
■ある日の風景（ランクＡ）
「すまない千早。本当は空港まで行きたいんだけど、やはり仕事があるし……でも、
向こうの地で得るものは大きいはずだし、俺がいなくても千早ならやってくれると信じてるさ！
だから……気をつけてな。生水とか飲むんじゃないぞ！あと、ちょっと言葉が通じなくても気合で頑張れ！」
「プロデューサー……はい。しばしのお別れですが、帰ってきた暁には、きっと……」
「わかってくれ千早っ！俺だって本当は一緒に行きたい！でも、それは許されない……」
「はい。それはわたしも分かっています。ですからプロデューサーは仕事に集中して下さい！！」
「だぁらっしゃぁー！！たかが修学旅行でお別れＢＧＭ流すな、そこのバカップル共ー！！」
明日から五日間千早と会えないと言うのに、小鳥さんも洒落がわかってないなぁ……
まぁ、それは置いといて。千早が修学旅行に沖縄へ行くとかで、珍しくスケジュール帳に長めの空白が出来た。
俺達が現役の頃は、普通に京都だったんだけどな……今は飛行機も安いので、北海道とか海外に
修学旅行に行く学生達も多いらしい。
幸い、春香や真、雪歩とスケジュールが重ならないのは、幸いと言わねばなるまい……
トップアイドルが五日間もオフを取るというのはちょっと事務所的に痛いが、
何せ学生達の思い出に残る修学旅行だ。本人はパスして仕事をしても、なんて言ってたが、
一度きりの高校生活なんだし、ここは俺個人としても行かせてあげたかった。
ただ、何せ五日千早と会わないんだ。正月でさえそんなに間が空くなんて無かったのになぁ……
そう言えば小鳥さんは年末に三日、年始に二日休みを取ってたな。
【年末限定の本屋さん】に行くとか言ってたけどそれと関係あるんだろうか？
……まぁ、千早がいないならいないでやること一杯だし、こっちも気合入れて仕事するか！
おっと、久しぶりに後輩の律子Ｐに預けてる、俺のお宝本も返してもらおう。
そうして、千早が無事で帰ってくることを願いながら、俺は書類の束をやっつけにかかったのだった……
～翌週～
「はい。春香には希望通りちんすこうショコラ。萩原さんにはゴーヤ茶、高槻さんには沖縄そば詰め合わせ……
あと、事務所のために沖縄民謡と沖縄出身アーティストの音楽ＣＤをいくつか買ってきました。
それと小鳥さん。残念ながらご注文の泡盛古酒80年物は直接持って帰ると人目が、その……
なので、宅急便にしておきました。明日あたりに届くと思います」
「小鳥さん！誤解を招きそうな土産を千早に頼まないで下さい！！……ま、ほんとに怪我とか無くてよかったよ。
日焼けもちゃんと対策したよな？今日は旅の疲れを癒して、明日からまた頼むぞ！」
「はい！鈍っていると思うので、また厳しくお願いします！……ところで、プロデューサーのお土産なんですけど、
音無さんが『男の人へのお土産なら、木刀で決まりでしょ♪』と言ってたので、
一振り買ってきたのですが……これで良かったでしょうか？」
『小鳥さん！？』
俺が無言で振り向くと、もうすでに彼女の姿は消えていた。
うわぁ、この歳になって旅行先の木刀なんて持つとは思わなかった。懐かしいなぁ……
とりあえず笑顔で受け取りながら、普通の学生が買うには豪華すぎるこの木刀をどう使おうか。
久しぶりに会った千早を前に、俺の脳内は早くもそんな悩みで一杯だった……
※修学旅行シーズンってことで一本。
そういや最近の学生は、おやつの限度額が525円になってると聞いて驚いた、税無し200円限度の俺。