08/09/28 13:50:55 eIA9rHcq0
「まあ、そんな事は置いといて、そろそろ行くか。ロケ地の公園は車で5分位なんだ。多分駅前にタクシーがいるから、それを……」
「プロデューサーさん!」
「な、なんだ、春香。急に」
「その、どうしてプロデューサーさんはこんなに早くここに?」
「ええっ? どうしてって言われても……そんなに重要なことなのか、これ?」
「はいっ」
「そうだな……。うーん……。まあ、あえて言うとだな」
「あえて言うと……?」
「その、なんだ、早く会いたかったのかな、春香にさ」
「……え?」
「やっぱり、どうせ会うならなるべく早めのほうがいいと思うから。それに……こんな待ち合わせの時は、
相手を待たせたら仕事の時以上に、失礼だろ?」
……今、なんて言いました!? プロデューサーさん! 今、何て!?
こんな待ち合わせって……仕事の時以上って……それって今日は!?
「……春香? なんかぼーっとしてるな。大丈夫か?」
プロデューサーさん、ケイが言ってたんです。待ち合わせにどれだけ早く来るかで、その人の想いが判るって……。
私、すっごく早く来ました。でもそれは、電車の都合でも何でもなくて、ホントはプロデューサーさんと同じで……。
「じゃあ、行くか。天気もいいし、今日は絶好の……」
「わ、私もそうなんです!」
「えっ? 何が?」
「今日、早く来たのは……その、電車がじゃなくて……ぷ、プロデューサーさんに早く……」
「春香……」
「あっあわわ、す、すみませんっ、やだ、私ったら変な事言っちゃって。あ、あの、今のはその全然関係無いことで……。
ぷ、プロデューサーさん、早く行きましょう?」
「あ、ああ」
「どんな公園なのかなー。うふっ、楽しみですね♪……プロデューサーさん、どうしたんですか?」
「いや……タクシーはやめて歩いていこうかな、って思ってさ。春香はいい?」
「え? 私は、構いませんけど……何でですか?」
「せっかく、春香とこうしているんだから、タクシーで移動ってのも味気ないしな。……たまには二人でのんびりと
歩くってのもいいんじゃないかって思ったんだ。ははは、なんか照れるな」
「プロデューサーさん……」
「照れたついでに言うけど……さっきの春香の言葉、嬉しかったよ。それに今日のその服……似合ってる」
さっきまで爆発しそうだった胸が、きゅうってなってる。頬も目の奥もじんじん熱くなってる。
なにか言いたくても、喉が詰まった感じがしてるし、唇も動かない。
あ……なんか私……だめ。プロデューサーさんに何もいえないし顔も見れないよ。
でも……この気持ち、何とか伝えたい、プロデューサーさんに……。
「よし、行くか。車で5分なら歩いても……は、春香?」
プロデューサーさん、さっきの言葉のお礼です。
仕事の時はこんなこと無理だけど、今日くらいならいいですよね。
……でも、いつかはプロデューサーさんとこうして腕を組んで歩くのが当たり前になるといいなあ。
ごめん、流れ無視して。