08/09/12 21:51:09 hvDaYwR60
「と、とりあえず発泡スチロールの箱に、黒い布をかぶせよう。何か運んでるように誤魔化すんだ！」
「メジャーアイドルに大荷物を運ばせるような事務所って……」
「ま、色々突っ込みどころはあるけど、ドリルを晒して歩くよりはマシだ。我慢してくれ千早」
「はい……分かりました。今日はもう、帰って休みます……色んな意味で疲れましたし」
その日一日は、もうとにかく大変でした。
右手に装着されているので字もかけませんし、料理なども出来ません。
お風呂やトイレなども、頑張って片手で何とかするしかありませんでした。
しかも、ヘンに力を入れるたびにけたたましいモーター音と掘削音がして、そのたびにプロデューサーが
心配して来てくれます。
ただ、お風呂でわたしがハダカ……もとい、ドリル一丁の時に来られても、困るだけなのですが……
そんな自体ですが、唯一許せる事があるとすれば、
「……はい、あーん…………どう？」
「ええ、美味しいですよ。炒飯ですから楽に食べられますし」
プロデューサーは、『左手でもスプーンで食べられるなら』という事で、炒飯と中華スープを作ってくれましたが、
やはりお椀やお皿を持たずに左手のみで食べるのもどうかと思いこんな事になりました。
病気の時以外で、こうしてプロデューサーに食べさせてもらうのも……ちょっと、ドキドキして
気持ちよかったと言うか、心地よかったと言うか……
結局、試行錯誤の結果、ドリル全体を冷やした後で中のＣＰＵを再起動させると何とか外れました。
久しぶりに外気に触れて、汗ばんだ右手を動かし……
ドリルも悪くないけど、やはりこうしてプロデューサーに触れて、プロデューサーの体温を感じる
生の腕が一番だ、と思いました。
こんな事故はもう勘弁して欲しいですが、担当アイドル相手にここまでしてくださる
プロデューサーの姿だけはずっと覚えていたいと思った、九月の出来事でした。
※ドリルと言えば雪歩だけど、千早が付けてもなんか似合うとピーンと来て突発的に書いた。
何だったかなぁ、漫画かドラマか忘れたけど、手錠で二人が繋がっちゃって、風呂とか生活とか
全部一緒でドキドキするような話があったのよ。20年位前に。