08/10/28 02:10:51 2iQtsaHe0
おまけです…
>>823で端折った、由香が「わざとした理由」を告白する部分
>由香:…あのね…由香ね…
からの4行に相当します
由香:…あのね…由香ね…この保健室に来た時…
おしっこ…がんばって…我慢してたけど…
哲志:うん。
一見、由香は無関係なことを話し始めていましたが、
哲志は余計な茶々を入れずに相槌だけで聞くつもりでした。
由香:がんばっても…けっきょく…だめじゃないかなぁって…
いくら探しても…おトイレなんて…なくて…いつまでも…おしっこできなくて…
もし…おしっこできないで……おしっこ…したくて…おしっこ…したいままで…もし…
哲志:…由香。
茶々を入れないつもりだった哲志も、これにはたまらず制止しました。
哲志:落ち着け。焦らなくていいから。 そんなに「おしっこ」を連発されると変な気分になる…
由香:うん…
由香は一度深呼吸して、後を続けました。
由香:もし…おしっこ…したいままで…死んじゃったら…
ずっと…ずっとおしっこしたいよぉ…って…苦しまなきゃ…いけないから…
哲志:ふむ…
由香:そうなるぐらいなら…この保健室で…しちゃった方がいいって思った…
でも…おもらし…したら…お兄ちゃん…
どうしてその辺で済ませなかったって…怒るかもって…
哲志:んん…?
由香:それでね…おねしょだったら…寝てたんだから…意識…なかったんだから…
仕方ない事なんだからって…お兄ちゃん…許してくれるかなぁって…
哲志:ふむぅ。
由香はまた深呼吸をしました。一度ではだめで、二度必要でした。
由香:(目が…熱いよぉ)
泣き出してしまうまで、あまり余裕はなさそうです。
由香:(まだ…まだ泣いちゃだめ…一番大きな理由…言えてないもん)
由香は小さな手をぎゅっと握り締めます。
由香:だから……おねしょするつもりで……寝たのに……起きたら……してなくて……
何だか……寝る前より……おなか……ちょっと……楽になってて……
でも……また起きて……おトイレ……探すの……?
もういいよぉ……わざとしちゃおう……って……それで……
哲志:………
核心に近づいているのを悟った哲志は、相槌を打つのも忘れていました。
由香:……それで……それで…
いよいよ、一番大きな理由です。
それは一番言いたくなかった理由でもありますが、言わないと哲志への答にはなりません…
由香:(泣くのを我慢するのって…おしっこを我慢するのと同じぐらい苦しいよぉ)
目には涙がいっぱいたまり、握り締めた小さな手はふるふる震えています。
深呼吸をしようとしましたが、もう無理でした。
由香:(もう、待っても落ち着けない。言わなきゃ)
由香はできるだけ大きく息を吸うと、一番大きな理由を言いました。
由香:………わざとしちゃって………しちゃって………
おねしょ………しちゃったぁ………って………泣いたら………お兄ちゃん………
優しく……由香のこと……慰めて………くれるって………思ったの………
「思ったの」はほとんど涙声でしたが、まだ由香は泣いていませんでした。
由香の涙が溢れたのは、「思ったの」を言い終わった、一瞬の後のことです…
由香:ぐすっ……ぐすっ……ひっく……
全てを告白し終わった由香の、静かなすすり泣きだけが響きます…