08/11/16 22:39:14 TaA7z8rR
しかし、少しでも逃げようと考えをめぐらすもいい案が浮かばない。
こういうのは苦手なんだよなぁ。
そう思っていたら、1つだけ浮かんだ。
「連れていくったってどこだよ?騎士団の所には連れて行けないぜ。だからさぁ…」
そう言いかけた俺の言葉を井上の言葉が打ち消す。
「私のところでいいわ。責任は私が持つから手伝いなさい」
そこまで言われてしまえば、反撃の術はない。
あー、なんでこう井上相手だと言い返せないのかねぇ。
そして、そう思いつつも手伝う気になっている自分自身の不甲斐なさに情けなくなる。
「運ぶの手伝うだけだかんな」
「わかっているわよ。そっち持って…」
「ああ、わかったよ」
そして、俺は行き倒れの男の右側に回りこむと抱えあげたのだった。
《おわり》