08/11/13 23:29:22 uggtvoUc
戦闘が始まってから5時間が経過した。錯綜する通信の中に混じったある情報が僕の気を引く。
《ゼロとの連絡が取れない》
黒の騎士団のナイトメアはブリタニア軍から奪った物も多く含まれている。混乱の中、黒の騎士団の誰かが誤って
オープンチャンネルを使って通信をしてしまったのだろうか。フェイクの可能性もあったが、この時間になって敵軍は
明らかに個々での応対を迫られているように見えた。もしこれがゼロの作戦だとしても、この最終局面では悪手でしかない。
「ギルフォード卿、敵の指揮系統に乱れがあるようです」
《ライもそう思うか。ここで攻勢に出れば亀裂を入れられるな》
「ええ、敵が再編成される前に叩くべきかと」
ギルフォード卿の決断は早かった。
《全軍突撃!反乱軍を一挙に粉砕する!!》
号令が響く。
ブリタニア軍の突撃を受け、浮き足立っていた黒の騎士団は脆くも崩れた。
政庁の包囲は崩れ、勢いはブリタニア軍に傾く。戦局は完全に決した。
その黒の騎士団の敗走を待っていたかのようにクラブのエナジーフィラーが尽きる。動かなくなったクラブのコックピットの中で
僕は深いため息をついた。力一杯握りすぎて固まった手を操縦桿から何とか引き剥がし、震える指でミレイさんの携帯に連絡を入れる。
何回かコールを繰り返し、僕が焦り出した頃になってようやく応答があった。
「もしもし、ミレイさん!?ライです。そちらの状況は?」
『ライ?こっちは無事。今はスザク君のところの…、なにか大きな航空艦に生徒を収容してもらったわ』
電話の向こうから(アヴァロンだよー)と、のんきに指摘する声が聞こえる。ロイドさんだ。
「良かった!そこなら安全だ。生徒会の皆も怪我はしていないか?」
『ルルーシュとナナリーは別の所にいるけど大丈夫、スザクくんが保護してくれているそうよ』
良かった。本当に良かった。
ホッとしたら力が抜けた。電話を切った僕はシートにもたれ、もう一度、それこそ肺が空っぽになりそうな程のため息をついた。
街の被害は計り知れない。両軍共に死傷者はかなりの数に上るだろう。それでも長い夜は終わったんだ。