コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ 31at GAL
コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ 31 - 暇つぶし2ch517:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/11 22:47:40 v7m0c+Lu
#(・∀・)支援ありがとうございました。2章前編終了、後編に続きます
#藤堂さんとは我が騎士との対戦後に遭遇したと言うことにして下さい。連戦お疲れ様です
#本編沿いはどうしても劣化コピーになってしまう…改めてLCシナリオライターさんは凄い

518:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:00:46 Nf/IhJ6i BE:631223036-2BP(0)
(・∀・)卿
gjです!
これからどう本編とどう変わっていくのか、それ以上に藤堂対ライにwktkだったりします。

>>499
gjです!
カプは井上さんでしたか!
酔っていたシーンはレナみたいな井上さんを想像してしまいました。

カレンには気の毒ですがさすが一級フラグ建築士ですねw

あいかわらず、上手かわいいSSごちそうさまです。


さて、自分も一つ16レス分のSSを投下しようと思っているんですが、23時15分から投下してもよろしいですか?

519:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:03:57 at4YaNWm
支援はお任せを

520:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:16:27 Nf/IhJ6i BE:841630638-2BP(0)
俺式ロスカラ続編~騎士団カレンルート~ 4話
一応シリアス系でタイトルどおり、騎士団カレンルートから特区日本の失敗ifからの続き。
ライカレ前提のお話ですが、今回は戦闘メイン
だいたいライ視点。

「ライくん002チャンネルで面白いものやってるわよ~」
ちょうど今、中華連邦の山岳地帯で実地試験を行っていた最中だったのにラクシャータさんから通信がはいってきた。

今回の試験は前回のように輻射波動の試験ではなく、暁の指揮官機 残月のテストを僕がそれに乗って行うというもの。
外見や名前は以前の暁0式と変わらないものの、駆動系などの中身は明らかなチューンアップを実現していた。
試験内容はおもにペイント弾での模擬戦闘なので、以前より安全なところで行えるのである。

「日本人よ私は帰ってきた!聞けブリタニアよ、葛目せよ力をもつすべての者たちよ!」

モニターからは、一年前に見てからそれ以来見ることがなくなった仮面の男
『ゼロ』が大袈裟にマントを翻しながら演説を行っている。

「ついに成功したんだ!カレンたちは!」

模擬戦などほったらかして画面に釘付けになる。
「ラクシャータさん。当初の作戦通りただちに上海方面に戻りましょう!
たぶんブリタニアは、今つかまってる黒の騎士団の処刑を近いうちに行うはずです。」




521:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:17:02 at4YaNWm
支援

522:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:18:03 Nf/IhJ6i BE:1402716285-2BP(0)

ライの予想はしっかりあたっていた。
しかし、急いで試験を終わらせてトラックを飛ばしても中華連邦の奥地で模擬戦を行っていたため、
神楽耶のところに着いた時には処刑の一時間前。

「ゼロ様はこのピンチを潜り抜けられるでしょうか?」
と神楽耶が訪ねてくる。
「愚問ですな。咲世子 先々の手配を、それと戦闘隊長は新型の積み込みを。」
ディートハルトは当然というように自信たっぷりである。
はたして本当に大丈夫だろうか。
僕は移動中にゼロが起こしたバベルタワーでの情報を集めてみた。

あのタワーを爆破しその瓦礫によってカラレスを押しつぶした。
さらには倒れた塔を道として使い中華連邦の総領事館に立てこもったという。

この手並みから、あのゼロは本物で中身はルルーシュだと確信はできる。
けれど、アッシュフォード学園の状況は以前C.C.から聞いていたので
ルルーシュは常に記憶が戻ってないように行動しなければならな事もしっている。
はたしてここまでの逆境を跳ね返すことができるのだろうか。

「信じましょう。ゼロ様を。今の私たちにはそれくらいしかできないのだから。」
僕が心配しているとそれが伝わったのか神楽耶が僕の強く握ったこぶしの上に手をそっと置いた。
「私なら悪を為して巨悪を討つ」
それまでのギルフォードとゼロの会話はオープンチャンネルだったため、ライたちには全て聞こえてはいたが
ライは一切耳を傾けずにこの作戦が成功する事例を片っ端から想定していった。
しかし、先ほどの言葉がライを思考の世界から現実に引き戻してくれたのだ。
正確にはあの言葉もそうだが、直後に起こった音により引き戻された。

あの言葉の次の瞬間、映像の中からすごい音とともに処刑場が崩れて下がっていくのがわかった。
そう、それはまるで かつて僕が参加できなかったブラックリベリオンのように
処刑場の地面となる基盤の対震構造となるベースをパージしたのだ。

523:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:19:51 at4YaNWm
支援

524:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:20:05 Nf/IhJ6i BE:1402716858-2BP(0)
決闘の武器として鎮圧用の盾を借りた意味がようやく理解できた時、ルル―シュは既に中華連邦の総領事館に入っていた。
神楽耶の言うとおりどんな事例を想像したって連絡すらとれない今では意味がない。
最初から彼を信じていれば、歴史的瞬間をもっと落ち着いた状態で友を見守ることができた事に少し後悔を覚える。

僕らの基地ではみんなが大喜びしていた。

カメラからは崩れた地面の向こう側の情報はわからない。
このあとのブリタニア軍の追撃の様子は一切わからないが、そうかんたんには手だしできないだろうし
なによりも扇さんたちが救われた事は間違いない。
自分たちのこの一年の活動が実り、大きな成功を導けたこと、嬉しくないはずはない。
ディートハルトはモニターを抱えながら飛び回り、咲世子と神楽耶はハイタッチしている。
ラクシャータですら相当の笑顔でキセルをポンポンとリズムよく手のひらに当てながら喜んでいる。
ゼロが起こす奇跡によって団員が魅了され、作戦が成功する度に少人数でこうやって喜ぶ。
人数はかなり減ってしまったが、僕が入ったころの騎士団の様子とあまり変わらない。
咲世子と神楽耶が僕にハイタッチを求めてきた。
笑顔がとてもかわいらしく見えた事はカレンには口が裂けでもって言えない。
ただ、今はとてもうれしいし断る理由もない。

「これから忙しくなる事がこんなに嬉しいなんて思っても見なかったよ。」
と、嬉しくて頬が緩む。

「お義兄様はこれからいーっぱい働くんだから、いまの言葉 忘れちゃダメですわよ。」
いたずらっぽく笑いながら僕の胸を小突く彼女をまたもかわいいと思ってしまった。

いけない、いけない…
ふと浮かんできたカレンは紅蓮のコクピットから僕をひきつった笑顔で見下ろしていた。
たぶん長いあいだカレンにあってないから、色々溜まってるんだろう。
と都合よく解釈して頭の中で怒ってるカレンを気にしない事にした。

525:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:21:41 at4YaNWm
支援

526:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:23:10 ac2avdz1
支援

527:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:23:51 Nf/IhJ6i BE:736426837-2BP(0)
そして、その日のうちに僕とラクシャータさんは潜水艦の準備を開始し、咲世子さんは蓬莱島の手配に取りかかった。

数日経ってからゼロからの連絡がついにきた。

主な内容は卜部さんの戦死やバベルタワー、団員奪還作戦での被害状況。
それと、どうやら明日ナナリーが新総督として日本にくるらしいので
こちらの残った全戦力で奪取を試みるらしい。
向こうはありったけの戦力をぶつけるつもりらしいが、それでも戦力として乏しいものがある。
今回の通信目的は、その増援として直ちに出発せよとの事だった。
積もる話もあったが、ゼロと二人きりで話す そんな事はできないとわかっていたので、
“精一杯頑張ろう”とルルーシュへのメッセージを送った。
案の定、僕の発言の意味を知ってか鼻で笑いながら 
”頑張るだけでは無意味であり結果が全て”と訂正してきた。
どうやら、兄としての覚悟は決まっているらしい。

「すまない。当たり前のことだったな。」

仮面のしたで彼はフンと鼻で笑ったのが相変わらずのしぐさであり、とても彼らしい仕草だ。

528:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:24:43 ac2avdz1
支援

529:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:24:49 at4YaNWm
支援

530:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:26:11 Nf/IhJ6i BE:1963803078-2BP(0)
作戦開始から一時間がすぎている。
ブリタニア軍の東京からの援軍ももう到着しているだろう。

ライのテストへの参加により予定よりも早期に完成した暁が潜水艦には数機あったが、僕は単独で発進する事にした。
ゼロに実地試験でのラウンズによる奇襲を報告し、僕らが地下活動の時に集めた戦力で海洋警戒部隊の陽動作戦をするように頼んだ。
そのおかげもあって、この潜水艦は途中攻撃される事もなく日本にむかう事ができたものの、これから先 母艦への敵襲がないとは限らない。
それに、脱出した騎士団の回収も行わなければならないからだ。

出撃してすぐにナナリーの乗る旗艦を捕捉できたものの状況はすこぶるよくない。
こちらの戦力は少し前に朝比奈さんが脱出した上無事な機体はどうやら月下3機とカレンの紅蓮だけのようだ。
それに比べ、向こうはラウンズが2人もいる上に以前戦ったヴィンセントのような機体だけでも5機いる。
あらかじめ、僕らを警戒していたハワイ駐屯部隊の一部が合流していたのだろう。


「聞いてたとおり、戦力は多いわね。」
藤堂のハーケンを使い3機目のフロートユニット装備型サザーランドを仕留めた紅蓮のパイロットはそうこぼした。
護衛艦にとりついた機体が本艦に取りつくまで、敵の増援もあってか予定以上に遅れてしまった。
その上、こちらの戦力は全員がエースといえどたったの4機。加えてナイトオブラウンズまで出てきたという始末。

さすがに、この戦力差と作戦へのプレッシャーからは黒の騎士団のエースでも逃れることは難しいのだ。
「ライっ、はやく来て…」

一方そのころ、ブリッジにアラートが鳴り響いた。
大型物体が自分たちの船に接近している事を意味するアラート

「右翼護衛艦操舵不能!このままでは本艦に直撃します。」
「はぁ?!」

アーニャの駆る機体。ラウンズの中でも重装甲機であるモルドレットがシュタルクハドロン砲を構える。

531:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:28:47 Nf/IhJ6i BE:631223036-2BP(0)
しかし、彼女がトリガーを押すことはなかった。
なのにnけたたましい音と閃光が戦艦は爆発を起こす。
原因は斜め下からの赤黒い光線だった。
「相変わらずだな、モルドレットのやることは」
「……私じゃない」
「えっ?」

―――――――

小型艦を撃破して間を開けず輻射波動砲弾を撃ちはなった。
固まっていたヴィンセントの部隊への射程距離はギリギリだったものの、ヴィンセントを二機撃破できた。

海のようなやや深い青色の機体、頭部についている機体より濃い青の毛束。
キラキラと銀色に光る水面のようにその機体の左腕は輝いている。
海を背景に海のような機体が飛んでくる様はとても綺麗でどこか幻想的だった。
以前の暁0式を残月用の試験機として改造した機体。先行試作型残月。

「みなさんお久しぶりです。こちらライ。これより援護します!」

532:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:29:27 ac2avdz1
支援

533:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:30:46 Nf/IhJ6i BE:2209278479-2BP(0)
誤字すいません。

なのにnけたたましい音と閃光が戦艦は爆発を起こす。

なのに、けたたましい音と先行が起こり戦艦は爆発する。

534:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:31:18 ac2avdz1
支援

535:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:31:26 Nf/IhJ6i BE:561086944-2BP(0)
「助かった戦闘隊長殿!!」
「ありがとうライ!」
音声だけの通信だけれど、みんなが喜んでくれているのが分かりこちらまで嬉しくなる。
以前 王と呼ばれ自ら戦にたった時にも、こういった歓喜を浴びせられるのは心地いいものだった。

ヴィンセントの残った部隊は混乱をすぐに回復し、藤堂さんたちに追撃をかけている。
どうやら優秀な指揮官がヴィンセント隊の指揮を取っているのだろう。
援護するために、機体を動かそうとした時。巨大なハーケンがこちらに飛んできた。
かわす事が無理だと判断し即座にシールドを展開する。
ハーケンが大きかったせいか機体へのダメージはないものの、かなりの衝撃をもらってしまう。
攻撃してきた機体は以前、試験を襲撃してきた機体とかなり似ていた。
「ちぃっ、あの時のラウンズか!」

特徴から、機体のバージョンアップだろう。パイロットは以前 孤島での奇襲時に戦ったであろうジノ・ヴァインベルグ。

しかし、こちらも暁のポテンシャルを超えた機体、残月の先行試作型を使っている。

以前よりも十分に強化されているだけでなく、勘を取り戻すためと言うよりはむしろ腕前を上げるために
シュミレーションでの 対精鋭多数戦や大幅な性能差がある機体との模擬戦など、僕自身も様々な努力をしてきた。
それらに加えて、この戦場には以前と違ってみんながいる。そのことがなにより心強い。
それらの好条件がそろい、今はとても澄んだ感覚で残月を操縦できる。
「この間のかりを返させてもらう!」
僕はトリスタンに狙いをつける。

536:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:32:23 Nf/IhJ6i BE:736426837-2BP(0)
ちょうどそのとき、別方向から新しい機体がこちらに向かってくるのが見えた。
どうやら少し離れた輸送艦からスザクがランスロットを発進させてきたようだ。
(しまった、こちらはトリスタンの相手とヴィンセントへの牽制で精一杯。)

「まずいカレン。艦の中へ!」
「でも、まだみんなが」
と言ってランスロットのヴァリスを輻射波動で受ける。
しかし、スザクは連続してハドロンブラストを放つ。
流石のグレンもこれには耐えきれず、右腕と頭部を破損させてしまう。
その衝撃により取り付いていた戦艦から落ちてしまう。
「紅月!!」
と千葉さんの月下が助けようとするが、間に合わないどころかモルドレットに捕まってしまい、傷ひとつ付けられないまま撃破されてしまう。

「だめ、脱出レバーが動かない。」
脱出勧告する画面は出ているものの一向に紅蓮の脱出機構は作動しない。
ガコッという音が虚しくコクピットに響き渡る。
「落ちちゃう。ごめんね紅蓮 お母さん、お兄ちゃん………………………ライっ。」

「カレン大丈夫かい?」
目の前にいるラウンズと戦いながら、音声だけで通信を行う
「ライ、どうしよう。脱出できないの」
「大丈夫だよカレン。もうそろそろだから。」
何の事かわからず落ち着かない様子で首を傾げるカレン
そこへいきなり、ラクシャータが通信を送ってきた。
「ベストポジションじゃない」
「ラクシャータさん!?」
「おまたせ~ 黒の騎士団特製、飛翔滑走翼。教本の予習はやった?」
「はい!」
「じゃあ問題ないわね~ 舞上がりな~ 飛翔滑走翼~」

537:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:32:33 at4YaNWm
支援

538:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:33:54 ac2avdz1
支援

539:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:34:35 Nf/IhJ6i BE:2209278097-2BP(0)
今、相手にしなければならない僕の敵は6機
そのうち3機は藤堂さんの追撃。援護したいのは山々だが、さすがにラウンズが三人もいる以上彼らから目を話す事は許されない。

ラウンズの機体は火力重視の機体と、スザクが駆るバランスのとれたランスロット。
そして、以前戦ったトリスタン
どう戦うか様々なシュミレーションを頭の中で即座に行いながら僕は残月のレバーをさらに強く握りしめた。

「二人とも、本気でいけ! あのパイロット ラウンズ並みの腕前だ。
奴に対して無闇に背中を見せるのは危険だ。総督はこいつを何とかしてから助けよう。」
「ジノがそう言うなんて、以外…」
「ジノがそこまで言うなんて…あの機体やっぱり……」
「おいおい、二人ともさり気にひどい事いってないか?」

そんな他愛もない会話を行っていてもやはり腕前は帝国最強というラベルをもらうことはある。
隙のない攻撃と間合い。ラウンズを簡単に突き崩せないという事を改めて実感せざるを得ない。

3機のラウンズ専用機が一斉に攻撃を行うがシールドと機体の反応速度をフルに利用した精密な操作入力で、
弾をかわしつつランスロットに斬りかかったものの、向こうもMVSで斬り防いぎ、鍔ぜりあいに持ちこまれた。
流石にもう油断はしてくれないみたいだ。
「ライ!ライなんだろう?ジノやロイドさんから話は聞いていたけど、やはり生きていたんだね。」
「あぁ、この通りな。でも、どこかの虐殺皇女様のおかげで本当に殺されそうだったよ。
そのせいでゼロも守りきれなかったしね。」
と皮肉を込めて挑発してみる。
「何も知らないくせにっ!ユフィを、ユフィを愚弄するなぁっ!」
「落ち着けスザク!」
案の定、 スザクは挑発に引っかかり、一度距離をあけてからこちらに突撃してきた。
どうやら、ジノの制止すら聞けない位に冷静さを失っているらしい。
「知ってるよ。キミのことも、そしてゼロのことも。」

540:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:35:50 ac2avdz1
支援

541:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:36:09 Nf/IhJ6i BE:946833293-2BP(0)
輻射波動を構えるフェイントに簡単に引っかかったランスロットのヴァリスを破壊するのはとても簡単だった。
そしてちょうどそのとき、藤堂さんと仙波さんの月下は大破してしまったものの
残りのヴィンセントを紅蓮が全て撃破してからこちらの戦線に復帰した。
ついに黒の騎士団の双璧が、本当の意味で復活したのだ。

「カレン、こうやって君の背中に立てるのは久しぶりだね。」

以前日本で潜伏していた時もカレンと作戦をともに行うことはあったが、
乗っていた機体は現地の無頼だったためライは指揮を取る方が多く、前線で一緒になることは滅多になかった。

「そうね、今日はちゃんとした機体使ってるみたいだし期待してるわよ。」

紅い機体が突撃し、青い機体が紅い機体に向けて攻撃を行う機体を牽制しつつ突撃の補助を行う。
そして、カレンの突撃力の迫力もさることながら、ライの機転の利いた判断力や的確な敵行動の予測。
それらによってなされる完璧な連携攻撃は3対2の戦況をいとも簡単に優位な立場に持ち返す。
赤と青の機体が入り乱れ可憐な紫色の連携攻撃をしかける様は、他の団員にはとても綺麗な希望の色に見えただろう。

ランスロットの左足と左腕を破壊しスザクを退かすことに成功。
残りのラウンズも、僕らを警戒し後手に回っているようだったので、一気にたたみかけるように攻撃をしかけた。

「結構やっかい。」
赤黒く比較的大きな機体に乗る最年少のラウンズがボソッとこぼした。

542:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:37:52 ac2avdz1
支援

543:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:38:53 Nf/IhJ6i BE:1402716285-2BP(0)
戦況で言えば騎士団がやや有利。
しかし状況ではお互いに全く良くはない。
ゼロとナナリーを乗せた旗艦があと一分で沈没するらしい情報をライは聞いた。
(そうか、スザクの後退にはそういう理由があったのか)

「双璧をなめるな~」
カレンがモルドレットのフロートを破壊する事に成功したので
ランスロットのむかう先にゼロがいる可能性が高いとカレンに告げ、ライはこの場を受け持った。

トリスタンと空戦機動力の低下したモルドレット。
モルドレットを攻撃しようとしてもトリスタンがうまく援護をおこなう。
以前と似たような状態がまた出来上がった。

しかし、今回は決定的な違いがある。機体はお互いに性能が上昇しているが、ライ自身の性能の差
以前より対精鋭多数に苦手意識がなくなった上、調子も良好 手応えはいい感じといったところだろう。
トリスタンの攻撃を全て紙一重でかわしながら、モルドレットとの距離をつめる。
モルドレットはミサイルやハドロン砲で牽制してくるのがやっかいだったので、
2つの機体が近づいた時ゲフィオンネットを発射してみた。
無論 このミサイルの効果は知られてるはずだが、これで動きをとめる事が目的ではない。
2つの機体を離す事が本当の目的。
こうして生まれた刹那の1対1の状況。
「逃がすかぁぁぁぁぁ!!」

544:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:39:36 D0CwwXPl
支援

545:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:39:41 Nf/IhJ6i BE:946833293-2BP(0)
一気にブーストを使ってモルドレットに突撃をする。
ブレイズルミノスによって残月の左腕が直接モルドレットをつかむ事はなかったものの、
(この距離なら)
一気にボタンを押し至近距離で輻射波動砲弾をたたきこむ。
イケる。
そう思った瞬間、急に頭痛に襲われた。
「何だ?この人の意識みたいなものが流れてくる感じは」
どこかで味わった事のあるこの感覚。
必死に思い出そうとして、思いついたのは1年前の特区日本でCCに触った時の感覚にどことなく似ている。
しかしそんな事をうっすらと思い出せても、戦闘が継続できないくらい頭が痛いのは変わらない。
敵の目の前で意識を手放すという事は二度と目を覚ませなくなる可能性が極めて高い。
ふと相手の機体をみてみると向こうも動いていない。
それが死を直前にした恐怖から止まってみえたものと勘違いし、ライは絶望により意識を手放した。

このときのライには知る術もなかった。
モルドレットも自分と同じように落ちていたから動いていないように見えただけで、
モルドレットのパイロットもライと同じように頭痛に侵されていたという事を。

546:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:40:16 ac2avdz1
支援

547:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:41:18 Nf/IhJ6i BE:526018853-2BP(0)
以上です。タイミングのいい支援ありがとうございました。
前回に続き今回も戦闘メインです。
ssってイメージ湧いてもうまく表現するの難しいですよね^^;
まぁ、うまく表現できているかわかりませんが。。。それがss書く面白さだったり。

わたくし、第六話はR2で最終回と同じくらい好きなんです。
なので、あの時の紅蓮のかっこよささをライの機体でうまく表現できてたらいいなと思ってます。

それでは、次回も頑張らせていただきます。

548:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:56:11 ac2avdz1
>547
投下おつかれさまでした!

ライの新型、残月の輻射波動バージョン。
藤堂さんと並んでも絵になりそうですね。
アーニャとライ、敵同士の位置にいて、どう絡んでいくのか。
マリアーニャは絡むのか?

気になることは多々あれど。
仙波さんが死なずに済んだみたいで嬉しかったり。

次回の投下を楽しみにしております。

>>517
とうとうブラックリベリオン突入。
鬼神と化したスザク、折れることができずにいるコーネリアが辛い。
彼らを気遣うライが切なく思えました。

ここで立ちはだかるのは藤堂さんなんですね。
以外に本編でいいとこ見せられなかったりする藤堂さんの
活躍が増えますように。楽しみになります。

しかし、辛いですね。ブラックリベリオンは。
この先どう変化した世界を見せていただけるのか、楽しみにお待ちしています。

549:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 00:05:42 zcq+WNvz
>>547 乙です。なんかライカレって安心しますよね。次作もお待ちしています。

550:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 00:50:07 qGJgnToR
>>517
(・∀・)卿、GJでした!
ユフィのあっさりとした死に口が開きっぱなしでした。
いや、確かにそうだったけど……やはり、辛い。
そして、アシバーストで全てを思い出すとは!
精神的にはかなり悪い時にVS藤堂、期待せずにはいられません!

>>547
B.B.卿、GJでした!
アシバーストでの勝利を見て喜ぶ騎士団の面々、なんかいいねぇ!
試作残月、登場がナイスなタイミング!
挑発により、スザクのヴァリスを破壊、さらにカレンとの連携!
……燃えるぜ!
ラストの描写は非常に気にかかりますね。

貴公らの次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!

551:うにゃら…
08/11/12 17:29:43 IybxDZn2
投下します。
支援は必要ありません。
タイトルは「アッシュフォード生徒会の何気ない日常~迷走編その2~」

前回の続きです。
前作を読んでない方、前作を読んでつまらないと思われた方はスルーしてください。
また、終了レスはしませんので、文章の最後に<おわり>と出ていたら、それで終了です。
全部でこのレスを含め4レスです。


552:うにゃら…
08/11/12 17:30:30 IybxDZn2
アッシュフォード生徒会の何気ない日常~迷走編その2~

ルルーシュから事実を知らされて一週間が経った。
だが、僕は迷い続けている。
僕は本当は何をしたいのか。
それさえも判らなくなっていた。
そんな時だった。
あの光景を見たのは…。

その日、僕は生徒会室に行きたくなくて一人で街を彷徨っていた。
皆と一緒にいることは楽しいし、嬉しい事だ。
出来れば一緒にいたいと思う。
だが、ミレイさんの顔を見るのが辛い。
いや、それもあるがそれが原因ではない。
自分自身を誤魔化してどうする。
優柔不断でやりたいことさえ判らず、不甲斐ない自分を見せたくないという自己的な理由じゃないか…。
逃げの口実を作ってしまってどうするというんだ。
なんて情けないんだ、僕は。
そう思っているとある光景が僕の目に入った。
普段だったら気にもしない街中のカップル達。
だが、そのカップルのうちの一組が問題だった。

553:うにゃら…
08/11/12 17:31:35 IybxDZn2
そこには、眼鏡をかけた背の高い男性と二人で歩く着飾ったミレイさんの姿があった。
男性の腕に手を絡め、なにか楽しそうに会話をしているようだ。
そして、最近は見ることが出来なくなっていたミレイさんの楽しそうな笑顔が今、そこにある。
だが、その笑顔が向けられているのは、僕ではない。
僕は、それを見て悟った。
やはり、僕は…。
僕では、駄目なんだ。
あはははは…。
口から自然と自嘲の笑いが出た。
そして、気が付くと頬が涙で濡れている。
頭の中が真っ白になっていたが、その光景から目を離せないでいた。
そして、二人の姿が見えなくなると、ふらりとその場を後にした。
もう、どうでもいいや…。
自暴自棄というのはこういう気持ちなのかもしれない。
自然と僕はゲットーへと足を向けた。
もう、租界にも学園に戻りたくない。
その思いだけが僕を突き動かしていく。
そして、僕はこの街を後にした。

554:うにゃら…
08/11/12 17:33:01 IybxDZn2
ライが学園に姿を見せなくなって3日が過ぎようとしていた。
部屋に戻った形跡は無い。
思い詰めていた表情だけが頭に浮かぶ。
あの馬鹿がっ…。
俺は焦っていた。
あまりにも言い方が冷たすぎただろうか。
そういう思いが沸きあがってくる。
だが、いくらオブラートに包もうが現実は変らない。
だから、俺ははっきりと言い切った。
やつなら、きっと大丈夫だと思ったし、会長を任せられると思ったから。
だからこそ、奮起のつもりで言ったはずだった。
それがこんな事になるとは…。
自分の読みの甘さとライの不甲斐なさに怒りさえ沸いてくる。
しかし、今はライを探し出すことが先決だ。
そう思い、俺はあらゆる情報網を使って彼を探した。
その手段の一部がゼロとしての力であったとしても躊躇しなかった。
それほど彼との関係は大切だと俺には思えたのだ。
ライは、俺の親友だからな。
気恥ずかしかったが、それが俺が出した結論。
だから、俺を失望させるな。

<おわり>

555:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 17:44:26 b9ZqU5Qp
>>554
お疲れ様です!ライはちゃんと戻ってきますよね!?
このシリーズが好きなので次に期待してます!!

556:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 18:24:39 qGJgnToR
>>554
うにゃら…卿、GJでした!
ライの受けた衝撃、ルルーシュの友情
あぁ、目から水が溢れてきた……
ライの行方、そして話の続きは如何に!?
貴公の次の投下を全力で待っています!

557:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 20:12:11 9CJdBdp+
投下します。1レス物です。
タイトルは、『蒼き亡霊 ep00,11 ~過去。はじまりの銃声~』
支援は要りません。(当たり前か…)


558:御錬師  ◆u/BSqNBIsk
08/11/12 20:13:09 9CJdBdp+
蒼き亡霊 ep00,11 ~過去。はじまりの銃声~ 

「君が姿を消したのは……あの力のせいだね。
とりあえず、君の好きなようにするといい。
でも、僕は君をあきらめないよ。
なんといっても、君は最高のデヴァイサーだからね。
それに、僕のクラブも持っていっちゃってるんだから絶対に返しにきてよね。
んっふっふっふ~」
つい昨日、クラブのコックピットで聞いた言葉。
僕は、眠りにつくまえにやらなきゃいけないことがある。
そのために、僕は

少年は帝都へ梶を向けた。
為すべき事を為すために。


蒼き亡霊
連載開始。
変革の波が世界を揺るがす。


559:御錬師  ◆u/BSqNBIsk
08/11/12 20:20:56 9CJdBdp+
最後3行は作品ではありません。あとがきです。
最後の三行は保管しなくて結構です。
ps
トーマス卿へ
0031ー0230「紅と銀と碧△ピザ」のタイトルを、「紅と銀と碧~△ピザ~」
に変更と、0030ー0493「紅と銀と碧」カラのリンクお願いします。

560:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 20:39:58 CzM6icro
これは面白そうな話になりそうw

どんな展開になるか期待。

561:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 22:53:43 qGJgnToR
>>559
御錬師卿……ん~、なんて言えばいいんだろう?
乙でした! でいいのかな?

なかなか気になる予告、本編が楽しみですね。
1レスでは先は全く読めず、待つしかないのは結構辛い。
貴方の次の投下を全力で楽しみにしております!

562:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 23:15:18 tMFs0CBm
23:30に投下予定です
9スレほどになります、支援があれば嬉しいです

563:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 23:16:17 VnL0vML+
了解、支援します

564:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 23:23:13 Yr1MZys2
とりあえずツッコもう
長っ!

565:ピザの配達人 ◆l.sZv3iNKk
08/11/12 23:30:20 tMFs0CBm
毎度ありがとうございます、ピザーライです
久々にSSのお届けに参りました
今回は「コードギアス REGAIN COLORS」の22話を投下します
注意をよく読み、お召し上がりください

注意点
・これはライをR2に登場させたお話です
・「ギアス編」終了後からという設定になります
・ライを中心におくため本編をカットする場合があります

>>564
申し訳ありません、いつもこのくらい間隔あけていたので・・・・

566:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 23:31:08 ACSVyty3
支援いたす。


567:コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk
08/11/12 23:32:21 tMFs0CBm
第22話「悲しき願い」

「ここ・・・は・・・・・」
目を開けたライの視界に映るのは見覚えのある天井だった。
斑鳩の医務室だ、何度か怪我をしてここに来たことがあるし間違いない。
「目が覚めたみたいだな」
「藤堂さん?」
どうにか体を起こそうとするが、痛みが走り顔を歪ませてしまう。
「無理するな、脇腹に風穴を開けられていたんだぞ」
藤堂からあの後のことをライは聞くことにした。
ライはすぐに病院に運ばれて緊急治療を受けたそうだ。
その後、容態が安定すると第二の刺客の可能性も考えられるためライを斑鳩に移したらしい。
「しかし、あのゼロがあそこまで怒るとはな」
「怒る?」
「あぁ、仮面で表情は見えなかったが、刺客に対して並々ならぬ怒りがあったらしい」
無関係であったシャーリーが巻き込まれてしまった。
彼女はギアスによって幾度となく危ない目に合ってしまったのだ。
それがルルーシュにとって許せないことなのだろう。
幸いシャーリーの姿を見た男たちは殺しているため彼女に危険が及ぶことはないだろう。

568:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 23:33:43 /r948Dqk
支援

569:コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk
08/11/12 23:35:11 tMFs0CBm
「さて、私は皆にも君が目が覚めたことを伝えてくるとしよう」
そうやって立ち上がった藤堂にライは話しかけた。
「あの・・・・ゼロは?」
「極秘の任務中だ。内容は私たちでさえ教えられていない」
そうやって出て行く藤堂の言葉にまたしてもライは嫌な予感に囚われていた。
そういえばギアス嚮団について有力な情報を手に入れたと聞いていたのを思い出す。
当初はそこを押さえるための作戦にライも参加の予定だった。
しかし、それが行われる前にこの前の事件が起きた。
そして、今の話を聞く限り・・・・・。
「まさか・・・・・ルルーシュ」
ライはそう呟くと掛けてあった自分の騎士団の服に手を掛けた。
扇たちが見舞いに来た時にはライの姿はなくなっていた。
その直後、ライの暁が無断で発艦したという報せが扇たちの耳に届いた。
朝比奈たちが止めるために格納庫に行ったが、全機体の飛翔滑走翼が取り外されていたらしい。
整備員も何故自分が取り外したのか分からないと言っていた。
取り付け作業が終わった頃にはライの暁はレーダーの範囲外へと消えていた。

570:コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk
08/11/12 23:38:16 tMFs0CBm
広大な砂漠を飛んでいると前方に爆発が見えた。
どうやら戦闘が行われているようだ。
カメラの最大望遠を使って確認するとそこには蜃気楼やロロのヴィンセントの姿があった。
相手はライもデータで見たことのあるナイトギガフォートレスと呼ばれていたものだ。
「ルルーシュ!」
『なっ!?ライ、何故お前がここにいる!』
ライの突然の登場にルルーシュは驚きの声を上げた。
「ルルーシュたちが心配だったんだ。心配した通りだったみたいだね」
『お前は撃たれているんだぞ!』
「大丈夫。僕の体は頑丈だからね」
バトレーの研究によってライの体は頑丈に出来ている。それに自然治癒も一般人とは違うのだ。
とはいえライが重傷であるということには変わりない。
ルルーシュも通信のモニターを見て分かるようにライは痛みを押してここにやってきたのだ。

571:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 23:39:52 dwOcp5QX
支援

572:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 23:40:08 qGJgnToR
支援……たぶん>>564は9スレの誤字にツッコミ入れてたんじゃ……

573:コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk
08/11/12 23:41:31 tMFs0CBm
『へぇ、狂王ライまで来るとはね・・・・・・・本当に君は僕らの邪魔ばかりするね』
「僕はもうあんな思いをしたくないだけだ」
そう言って蒼い暁は一気にジークフリートへと詰め寄る。
ジークフリートのスラッシュハーケンが暁へと迫るが、暁はそれを器用に避けていく。
『君が僕とシャルルの盤上を狂わせた!君さえいなければ!』
1つのスラッシュハーケンが暁の眼前へと迫ってきた。
暁は左腕でそのスラッシュハーケンを掴み、輻射波動で爆散させる。
「君や皇帝のことなど知ったことじゃない、僕は僕にとって大切な人たちを守ってきた。
 今までも・・・・・そして、これからも!」
ジークフリートへと斬りかかろうとするが、電磁装甲のため攻撃が弾かれる。
『無駄だよ、ジークフリートにはそんな攻撃は通用しないよ』
するといつの間にかロロのヴィンセントもジークフリートへと向かってきていた。
『今度はロロかな。君も僕に嘘をついたんだね、僕にギアスは効かないって知ってるくせに』
ヴィンセントは強引にジークフリートへと向かっていく。
『取り付くだけなら!』
『君はね、失敗作だったんだよ。ギアスを使っている間自分の心臓も止まってしまうなんて、いつ死んでもおかしく欠陥品さ』
『それでも・・・・・僕は兄さんのためなら!』
そう言ってヴィンセントはジークフリートに取り付く。
しかし、電磁ユニットによってヴィンセントを高圧電流が襲った。
兄のために戦うロロの姿を見た時、ライの体は自然と動いていた。

574:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 23:43:38 qGJgnToR
支援

575:コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk
08/11/12 23:44:23 tMFs0CBm
「良くやってくれた、ロロ。では、ここでお前と・・・・・」
そう言ってヴィンセントに仕掛けられた爆弾のスイッチをルルーシュが押そうとした時だった。
『うおおおおぉぉぉぉっ!!』
ライの暁がジークフリートに向かっていく。
「なっ!?ライ、離れろ!」
今の状況でヴィンセントを爆発させればライまで巻き込むことになってしまう。
暁は剥き出しになった電磁ユニットに取り付く。
ヴィンセントと同じように高圧電流がライの暁を襲う。
『ぐうぅぅっ・・・う・・・・うおおおおおぉぉぉぉぉっ!!』
そのまま電磁ユニットを左腕で掴むと輻射波動で破壊する。
それと同時にもう片方の電磁ユニットを砲撃が襲い、破壊していた。
ライはボロボロになったヴィンセントを抱えて、ジークフリートから距離を取る。
砲撃をした暁に乗っていたのは第二皇女コーネリアだった。
(まさかコーネリアがここにいようとは・・・・・)
しかし、今は目の前のジークフリートへと意識を向ける。
「ジークフリートの装甲は破損した!後は直接・・・・滅せよ、ギアスの源」
ルルーシュとコーネリアの攻撃によってジークフリートは墜落していった。

576:コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk
08/11/12 23:47:19 tMFs0CBm
その後、ジークフリートに乗っていたV.V.をルルーシュとライは探していた。
「ライ、無理はするな。もう後は俺に任せろ」
『そういうわけにはいかない。僕も一緒に行く』
先ほどの戦闘で傷口が開いていないのはライにとっては幸いだろう。
頑なに断るライにルルーシュも何も言うことができなかった。
もしかしたらC.C.ならライを止められたのかもしれないと頭の中で考える。
しかし、C.C.とは先ほどから連絡が取れていない。
『ルルーシュ!生体反応が!』
そんなライの言葉でルルーシュもセンサーの反応に気が付く。
2人がそこを見た時、傷だらけのV.V.の姿を見つけた。
「元の場所に戻っていたか、V.V.!」
『ルルーシュ!前の扉が!』
そちらを見ると神根島で見たことがある扉が開き、光が溢れてきていた。
「何っ!?しまった、これは神根島の!」
その瞬間、ルルーシュとライは光に包まれた。

577:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 23:47:46 Yr1MZys2
支援

578:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 23:48:09 qGJgnToR
支援!

579:コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk
08/11/12 23:49:24 tMFs0CBm
気が付けば目の前に広がるのは見覚えのない場所だった。
まるで古代の神殿・・・・・・祭壇のような作りをしている。
隣にはルルーシュが立っている。
2人とも自分の機体から降りた記憶はなかった。
「何で僕たちは機体から・・・・・」
「それにここは・・・・ホログラムとかじゃない?」
「そのとおり!」
今の状況に戸惑っていた2人に目の前の祭壇の上から声が下りてきた。
「そして、ナイトメアなど無粋なもの。アーカーシャの剣、このシステムの前にはな」
ルルーシュは憎しみを持った視線で壇上にいる人物を睨む。
「貴様ぁ!」
「我が息子ルルーシュよ。そして、狂王ライよ。時は来た、贖いの時が・・・・・・」
ライとルルーシュをすぐに機体の陰に身を隠す。
「久しいな、ルルーシュ。そして、お初にお目に掛かる、狂王ライよ。」
ルルーシュはライの呼び名に疑問を持つ暇もない。
「8年前の質問に答えてもらう。何故母さんを守らなかった。
他の皇族たちが母さんを疎んじていることを知りながら!」
「人は平等ではない。お前たちは他のものにはない力、ギアスを持っている。その力で聞き出せば良かろう」
その言葉にルルーシュとライはお互い目を合わせる。

580:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 23:50:41 qGJgnToR
支援

581:コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk
08/11/12 23:52:31 tMFs0CBm
(ルルーシュ、ここは僕のギアスを使えば・・・・・・・)
(いや、俺にやらせてくれ。ライ)
ルルーシュがシャルルを見るということはシャルルもルルーシュを見ることになる。
そうなるならば自分が出ようとしたライだが、ルルーシュはそれを断った。
シャルルの相手は自分だ、とでも言うようだった。
「どうした、狂王ライのギアスならば恐れることはなかろう」
「ふざけるな!お前の相手は・・・・・・俺だ!」
ルルーシュはそう答えると手に持っていたスイッチを押す。
その瞬間、蜃気楼の拡散構造相転移砲にある液体金属のプリズムが発射される。
そして、それが砕けてルルーシュたちの頭上へと落ちてくる。
砕けた破片は鏡となり、隠れたルルーシュの目の前に破片に映し出されたシャルルの顔が見えた。
「貴様は・・・・・死ね!」
「ぬわあああああぁぁぁぁぁっ!」
ルルーシュのギアスがシャルルへと届いた。
「よかろう」
シャルルは拳銃を取り出すと自分の胸に当て・・・・引き金を引いた。

582:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 23:55:39 Yp52QpDY
支援

583:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 23:55:59 dwOcp5QX
支援

584:コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk
08/11/12 23:56:35 tMFs0CBm
ライはハッと目を開ける。
「ここは・・・・どこだ?」
辺りを見回すが、そこは見覚えのない場所だった。
「確か・・・・僕は・・・・」
死んだはずのシャルルが生きていた。
それはシャルルがC.C.と同じように不老不死になっていたからだった。
そして、自分とルルーシュはシャルルが作動させた何かによって光に包まれて・・・・。
「くそっ、色々と理解できないことが多過ぎる」
そう呟きながら辺りを見回すが、ルルーシュの姿がなかった。
「ルルーシュ?ルルーシュ!どこにいるんだ!」
「ルルーシュは別の場所だ、ライ」
その声を聞き振り返るとC.C.の姿があった。
「C.C.!何で君がここに・・・・」
「なに、少し挨拶をと思ってな」
「挨拶?」
目の前にいるC.C.はいつものような顔をしていなかった。
とても悲しそうに・・・・・しかし、決意しているような顔だった。
「ライ、私の願いを知っているか?」
「C.C.の・・・・願い?」
「そうだ。私の願いは・・・・・・・」
ライはその答えを聞きたくなかった。耳を塞ぎたかった。夢であって欲しかった。
「死ぬことだ」

585:ピザの配達人 ◆l.sZv3iNKk
08/11/13 00:01:54 tMFs0CBm
以上です!いかがでしたでしょうか?
今回はほとんど本編準拠でオリジナルとすれば最後の部分のみ
しかし、次回の話からは自分のオリジナルがかなり入ってしまうと思います
それでもライを中心にしたお話なので入れておきたいものなので

それでは次回第23話「さよなら」の配達をお楽しみに!

そして>>562の誤字の注意ありがとございます。
9レスです、本当に9スレなんて無茶すぎますね。申し訳ありません

586:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/13 00:23:27 KAfwNMQe
>>585
ピザの配達人卿、GJでした!
今回も美味しくいただきました!
目覚めてすぐに嚮団へと向かうライ、そしてロロを援護……無理しすぎだ!
皇帝と合間見えたライ、その後で知ったC.C.の願い。
それを聞いたライの心境はやはり……
次回から更にオリジナルが多くなるとは! かなり楽しみです!
貴公の次の配達を全力を挙げてお待ちしております!

587:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/13 00:25:20 KAfwNMQe
……あれ?

ゴメンナサイ、sage忘れました

588:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/13 11:45:53 AlaH4ooL
>>585
遅ればせながらもピザの配達人卿GJでした!
2,3回前辺りからオリジナル展開が目立ってきてるな~と思ったら次回からは「かなり」ですか!
…これは期待せざるを得ない
卿の次回の投下を全力でお待ちしています!

589:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/13 23:09:36 uggtvoUc
23:15あたりから投下しようと思うのですが、どなたかいらっしゃいますかー?

590:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/13 23:12:17 uW/JK3QE
imasu

591:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/13 23:13:12 A80I1t3X
支援

592:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/13 23:15:36 uggtvoUc
(・∀・)つ|投下予告|

親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT

#第2章後編。>>516 の続きです。引き続き鰤軍メイン
#1期23話以降のネタバレを含みます。R2に繋げるため基本的なストーリーは変わりません
#ナイトメアフレームについての激しい捏造があります
#もうシリアスは疲れたよパトラッシュ

予告と終了あわせて9レスです。まったり支援願います。

593:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/13 23:16:11 uW/JK3QE
支援

594:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/13 23:17:17 uggtvoUc
親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT 2*ブラックリベリオン(後編)


今の攻防でお互いの実力は知れた。さすがはスザクに武術を教えた男だけあって、そう簡単に倒せる相手ではない。
ただ、僕の目的は負傷者が政庁に撤退する時間の確保。
致命打は必要ない。足止めし、あわよくば相手の動きを鈍らせるような一撃を加えるだけで充分。
そう狙いを決め、改めて月下に向かい合う。

《君が『もう1体の白兜』か》
オープンチャンネルで藤堂が呼びかけてきた。
《変わった経歴の持ち主らしいが、なぜブリタニアに与する》
おかしい、僕はロイドさんが作った偽造のIDを持っているが、そこには平凡な経歴しか載っていないはずだ。
それに僕の過去を知っている人はもう誰も生きていない。あの【契約者】を除いて。
だがこうやって時間を稼げるなら好都合だ。僕は藤堂との会話に乗ることにした。
「僕を知っているのか?」
《『興味深い男がいる』そうゼロが話していた。記憶がなく、正体不明の男がコーネリアの親衛隊にいると》
「…記憶は、戻った」
《何?》
「確かに僕は『今の』ブリタニアにも日本にも関わりはない。言うなれば過去の亡霊かな」
自嘲気味な気持ちがつい言葉に乗ってしまった。藤堂の声に熱がこもる。
《ではブリタニアで戦う理由は何だ?奴らの卑劣なやり方に何も感じないのか?拾われた恩義なのか?》
「今のブリタニアが正しいとは思っていない」

595:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/13 23:17:39 uW/JK3QE
支援

596:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/13 23:19:07 uggtvoUc
僕は思う。
統治者として生き、その責任と誇りを体現するあの女性を。
その影で悩み、迷いながらも自分の道を歩み始めていた少女を。彼女を隣で支える白き騎士の姿も。
共に歩いていきたいと願った人たちを。

「でも僕は、行政特区日本の成立を心から望んでいた。そこから変えていけると信じた」

藤堂はしばらく沈黙した。
《…君の言葉は真であると信じよう。だが、今この場で相対したからには、お互い信じるものの為に戦うのみ》
カラーリングの違う同じタイプのナイトメアが2機、藤堂の側に現れる。しまった、増援か。

《参る!!》


藤堂ともう1機が左右から迫る。後から現れた2機目は僕の退路を断つような位置で控えていた。3機で来てくれれば
突破する隙も生まれようものの、ああやって見張られてては逃げようがない。
かと言って2機同時に相手をするのは自殺行為だ。僕はあえて藤堂機に向かって突っ込んでいく。廻転刃刀の突きに
対してスラッシュハーケンを合わせる。ハーケンごときじゃとても突きに対抗できるものじゃないけれど、動きを
一瞬遅らせるだけでいい。懐に入り込んでランスで腹部をなぎ払う。
しかしそれはあくまでフェイク!跳んで避ける藤堂機には目もくれず、背面に迫っていたヤツに対して振り向きざまに
突きを入れる。僕の狙いは始めからこっちだ。
「なっ!」
控えていたはずのもう1機の刃が僕を襲っていた。思わぬ方向からの斬撃に僕の反応が僅かにずれる。
刃を避けきれず、左肩のシールドパーツが持っていかれた。
腕の動作に支障はないが、左のファクトスフィアからの情報が途絶えている。控えてたヤツが戦闘に参加したってことは
退路が出来たんじゃないかと期待したけれど、今度は藤堂機がもう逃げ道を塞いでいる。

597:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/13 23:20:15 uW/JK3QE
支援

598:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/13 23:21:11 uggtvoUc
やれやれ、彼らはただの増援じゃない。機体性能の差を絶妙なコンビネーションで補っている。
いや、補うどころか乗算の効果を挙げていると言ってもいいだろう。これが『奇跡の藤堂』とその懐刀たちの実力か。
もう充分に時間は稼いだが、今度は自分自身の脱出が難しくなってしまった。黒の騎士団のエース級3名を相手に
とても無傷では済みそうにない。どこか冷静な頭に、ロイドさんとの会話が甦る。

「クラブの起動キーを渡す前にひとつ言っておきたいんだけどね」
「…自壊コードでしょうか」
「ご名答!どうしてそうだと思ったの?」
「わざわざスザクに聞かれないように話す内容なら、僕にとってマイナスの事だと思いました」
「ふふーん?やっぱりキミは勘がいい。じゃあ理由は話すまでもないかな?」

このクラブは試作機とは言えブリタニア最新技術の塊だ。敵に捕獲され、その技術を奪われる事態は避けなければいけない。
特派の機体がどんなに強力でもそう頻繁に実戦に投入されなかったり、形勢が不利になったらいち早く離脱したりするのは
それなりの理由があるのだ。…もっともそれは本来の場合であって、今の特派が疎まれているのはデヴァイサーのスザクが
日本人であることが一番の理由である。

(コードを入力したら早く機体から離脱してね。キミ自身が一番重要な《パーツ》なんだから)

自壊コードを入力するとメインシステムの消去と共にコアルミナスに使われているサクラダイトが核融合反応を
引き起こし、機体を破壊する。それが最後の手段。
─いや、まだ手は残っていた。僕は眼窩の奥底で紅い鳥が今にも羽ばたこうとしているのを感じる。
使うのか、あれを。自国の民を滅ぼし大切な人を死に追いやったギアスを。
ユフィを助けられなかったのに、自分だけが生き残るために使うのか!!

599:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/13 23:21:41 uW/JK3QE
支援

600:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/13 23:23:22 uggtvoUc
ふいに大量の熱反応をレーダーが感知した。
藤堂たちとの間を遮るようにミサイルが着弾する。包囲の一角に隙が出来たのを見逃さず、僕はアサルトライフルを
連射しながら突破を図った。追撃にきた相手の鼻先にハーケンをぶつけて怯ませ、安全圏まで距離をとる。

《隊長!ご無事ですか!》
第3分隊の数名が援護に戻ってきてくれたのだ。その中に1機、見慣れないグロースターがある。
「貴方は確かグラストンナイツの…」
《アルフレッド・G・ダールトンです。卿のお噂は父よりかねがね。もっと落ち着いた場所できちんと
ご挨拶したかったのですが、こんな状況なので失礼します》
近々このエリアに配属されると聞いていたダールトン将軍の『息子』だった。
《コーネリア殿下がお呼びです。ひとまず政庁へお戻りを》

それ以上藤堂たちは追ってこなかった。
見逃してくれたのか、僕たちに構っている時間が無かったのかは、わからない。
政庁に戻る間中ずっと、あの紅い鳥が頭から離れず僕は自己嫌悪に陥っていた。



メカニックにエナジーフィラーの交換を指示し、僕はいったんクラブを降りる。
政庁内は戦場のようだった。ああ、比喩ではない。ここは戦場なのだ。
各ポイントの状況が刻々と伝えられてくる。
航空戦力はガウェインのハドロン砲によって一掃されてしまった。空からの支援は期待できない。
放送局はすべて黒の騎士団に押さえられている。湾岸施設・航空管制塔も制圧されたようだった。

601:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/13 23:25:20 uggtvoUc
《学園地区、黒の騎士団によって占拠された模様》
届いたばかりの情報に驚く。アッシュフォード学園!?あそこには民間人しかいない。人質のつもりなのだろうか。
ミレイさんたち学園の皆の無事を、今の僕は祈ることしか出来ない。僕は歯がみをする思いでその報告を聞いた。
こんな時スザクがいてくれたら、と虚しく考える。
僕の生きた時代と違い、現代の戦争は1人の力が及ぶ範囲は限られている。全体を見る戦略に対し、その流れに
個の力で抗えるのは一部の局面だけだ。ブリタニア軍に一度も負けなかった藤堂鏡志朗がいても日本は負けた。
個人は英雄にはなれるが勝者にはなれない。
だが、スザクは違う。彼の力は戦略をひっくり返せる。
スザクと2人ならこの綿密に練られたゼロの戦略をうち破れる。
でもいま、僕の隣に彼はいない。


「コーネリア殿下!」
屋上庭園に向かう廊下の入り口で、やっと僕はコーネリア様を見つけた。
「ライか」
彼女にしては珍しく、何かを言いかけてまた口を閉じる。そして少し眉を寄せて呟いた。
「…酷い顔をしているな」
「は?」
「自覚がないのか。…まあ良い。ライ、お前はグラストンナイツと共にギルフォードをサポートしろ」
「イエス、ユア・ハイネス。殿下はどちらへ?」

「私は祭の準備だ」

602:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/13 23:25:30 uW/JK3QE
支援
すまない、誰か頼む。トイレ行きたい

603:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/13 23:27:02 uggtvoUc
コーネリア様に命じられた通り一度は政庁防衛の配置についた僕だったが、やはりコーネリア様のお側に親衛隊が
誰1人ついていないのは不安に感じた。グラストンナイツも全員前線に出ている。どこかで防衛線を突破され、
政庁への侵入を許せば万が一のこともありえる。やはり戻ろうか。逡巡する僕に通信が入った。
《…ライか》
「その声は、ダールトン将軍!ご無事でしたか!!」
行政特区日本の式典会場で行方不明となっていたダールトン将軍だ。僕は目の前が明るくなる思いだった。
《…姫様は今いずこにおられる》
「コーネリア殿下は政庁内に…。将軍、もしや負傷されているのでは?!」
将軍の苦しそうな声色が心配になる。僕が到着した時には既に式典会場は黒の騎士団に制圧され、近寄れない状態だった。
あそこから脱出してきたのであれば怪我を負っていても不思議ではない。
《大事ない、貴公は引き続き政庁を守れ。姫様はこのダールトンが責任を持つ》
「イエス、マイ・ロード!殿下をお願いいたします!」
ダールトン将軍が戻ってきた。それだけで希望が持てる。


クラブは策敵能力に優れたレーダーを持っているので、政庁防衛における僕の役割は直接相手とやり合うより
敵の規模や位置を把握し、応対する指示を出すのが主だった。藤堂たちとの戦いで左のファクトスフィアは
壊れてしまったから、そちら側に関してはカメラの目視しかない。その視界の隅を一瞬、白い輝きが横切った。
「ランスロット?出撃していたのか」
広域レーダーで確認すると、ランスロットの識別番号を表す光点が急速に戦場を離れつつあった。
「スザク、いったいどこへ…?」
最後に別れた際の彼の様子が気になっていたので後を追いたかったが、持ち場を離れる訳にはいかない。
それにフロートユニットを外してしまっている。エナジーも残り少ない。
成す術なくランスロットが去った方向を見やった僕の目に一条の光が射し込む。

夜明けだ。

604:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/13 23:29:22 uggtvoUc
戦闘が始まってから5時間が経過した。錯綜する通信の中に混じったある情報が僕の気を引く。
《ゼロとの連絡が取れない》
黒の騎士団のナイトメアはブリタニア軍から奪った物も多く含まれている。混乱の中、黒の騎士団の誰かが誤って
オープンチャンネルを使って通信をしてしまったのだろうか。フェイクの可能性もあったが、この時間になって敵軍は
明らかに個々での応対を迫られているように見えた。もしこれがゼロの作戦だとしても、この最終局面では悪手でしかない。
「ギルフォード卿、敵の指揮系統に乱れがあるようです」
《ライもそう思うか。ここで攻勢に出れば亀裂を入れられるな》
「ええ、敵が再編成される前に叩くべきかと」
ギルフォード卿の決断は早かった。

《全軍突撃!反乱軍を一挙に粉砕する!!》

号令が響く。
ブリタニア軍の突撃を受け、浮き足立っていた黒の騎士団は脆くも崩れた。
政庁の包囲は崩れ、勢いはブリタニア軍に傾く。戦局は完全に決した。
その黒の騎士団の敗走を待っていたかのようにクラブのエナジーフィラーが尽きる。動かなくなったクラブのコックピットの中で
僕は深いため息をついた。力一杯握りすぎて固まった手を操縦桿から何とか引き剥がし、震える指でミレイさんの携帯に連絡を入れる。
何回かコールを繰り返し、僕が焦り出した頃になってようやく応答があった。
「もしもし、ミレイさん!?ライです。そちらの状況は?」
『ライ?こっちは無事。今はスザク君のところの…、なにか大きな航空艦に生徒を収容してもらったわ』
電話の向こうから(アヴァロンだよー)と、のんきに指摘する声が聞こえる。ロイドさんだ。
「良かった!そこなら安全だ。生徒会の皆も怪我はしていないか?」
『ルルーシュとナナリーは別の所にいるけど大丈夫、スザクくんが保護してくれているそうよ』

良かった。本当に良かった。
ホッとしたら力が抜けた。電話を切った僕はシートにもたれ、もう一度、それこそ肺が空っぽになりそうな程のため息をついた。
街の被害は計り知れない。両軍共に死傷者はかなりの数に上るだろう。それでも長い夜は終わったんだ。

605:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/13 23:31:06 uggtvoUc
#支援ありがとうございましたー(・∀・)2章終了。3章アッシュフォード学園編に続きます。やっとR2…
#この頃スザクがルルーシュを「保護」してる訳です。悲劇回避補正のまるで無いライでサーセン
#軍人篇のライは隊長or後方支援型イメージ。ナイトメア無双はスザクに任せます
#R2に繋げるためとは言え、このライはフラグをミスり杉

606:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/13 23:31:31 BihR3mxx
支援

607:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/14 00:01:50 X1A+3FP/
(・∀・)卿、乙であります!支援!!

っていうか、これで終わりじゃにですよね?続きますよね!?

608:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/14 00:06:19 aH9KTD06
とりあえず3章に続きますよー。そして全力で自己訂正
>>601
祭→宴

ガウェインで政庁の屋上に現れたゼロ。そこで見たものは櫓が建てられ提灯きらめく祭り会場だった!
はっぴを着たコーネリアが太鼓を叩きながら叫ぶ。
「ようこそゼロ(ドン)、ブリタニア政庁納涼大会へ!(ドッドン)」
C.C「似ているな、アリエスの離宮に」
ルル「似るかッーーーーーー!!」

ごめん

609:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/14 00:12:02 NduP2AJR
>>605
乙です。これからR2につながるということは、ナナリー達のことを知ったライはどう思うんだろう。
次回をお待ちしています。

>>608
ハチマキとサラシを巻いた、凛々しいネリ様を想像した。似合ってるなーw

610:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/14 00:24:53 X1A+3FP/
>>609さん

まさに『いなせ』ですなw

611:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/14 01:15:13 y+IWnHh6
>>605
(・∀・)卿、GJでした!
確かに色々ミスってますね、ライ
ニアミスというか、なんというか……
……しかし、逆に新鮮味があっていいかんじです!
ルルーシュを「保護」……あぁ、普通にそうなりますか
まぁ、仕方ないよね。
R2へと繋がるとのことで続きが非常に楽しみです。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

612:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/14 14:42:23 ICIjzQrs
>>605
GJ!
ああ、フラグをミスりまくっているライが悲しすぎる…
私達読者はいわゆる神の視点を持っているわけですからこの展開は見ていてもどかしすぎますね。

しかし半日以上書き込みがないとか珍しいなー

613:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/14 22:21:49 ig6C4+Yr
確かに書き込み自体が最近減ってきてるよね…。
久しぶりにロスカラやってロスカラ分を補給しよっと。

614:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 01:45:41 KalPTaFy
皆忙しい訳ですね。

615:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 02:16:27 Kms27JO0
実はロスカラ2のシナリオを協力してるんだよ、きっと

616:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 05:12:31 3nYuSWja
少し経ったら長編ssを一気に投下してくれるんですね
わかります

617:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 07:44:26 72Vn1NfZ
まぁ、マジレスするとこの時期はリアルが忙しい時期だからな。

618:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 07:58:06 KalPTaFy
そうですねぇ。

619:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 11:46:48 NLARla7I
誰かいますか?

620:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 11:50:52 3IsVFKfI
いますん

621:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 11:53:10 3IsVFKfI
ゴホン……います。いつもの癖で自動変換が出た

622:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 11:55:54 NLARla7I
親衛隊アナザーの人です。
連投で申し訳ないのですが、都合で来週中に完結させないと年越してしまいそうなので…。
前置きと終了あわせて全11レス、12:00から投下します。

623:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/15 12:01:16 NLARla7I
(・∀・)つ|ご注意|

親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT

>>604の続き、第3章の前編です。R2より半年前ぐらいの時間設定ですが2期のネタバレがあります
#メインは生徒会メンバー。2期なので当然ニーナとカレンはいません
#帝国の制度についてのかなりの捏造があります
#軍人篇と学園篇混ぜるな危険。ギアスにコスプレは必須のようなのでつい
#はっちゃけています

624:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/15 12:03:44 NLARla7I
親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT 3*偽り の 学園(前編)


主がいない政庁の屋上庭園。形ばかり修復されてはいるが、コーネリア様が愛した美しい庭園は見る影もない。
《ブラックリベリオン》と呼ばれるようになったあの夜から4ヶ月が経った。
焼き払われ無惨な姿を晒している花々、ランスに貫かれ破壊されたグロースターは炎を残し煙を上げていた。
傷ついたコーネリア様を抱え、医療班を呼ぶギルフォード卿の取り乱した声。すべて昨日のことのように覚えている。

ゼロと交戦し負傷したコーネリア様は治療のために本国に戻り、その怪我が癒えるか癒えないかの頃に忽然と姿を消した。
エリア11の総督の地位を返上し、誰にも、唯一の専任騎士であるギルフォード卿にさえも行き先を告げぬままに。

理由もなく職務を放棄するようなコーネリア様ではない。
あの夜にゼロと何があったのか、コーネリア様の行方を知るすべを探して僕ら親衛隊は奔走した。通信記録から
コーネリア様と最後に会話をしたのはスザクだと判明している。スザクはコーネリア様からゼロの居場所を伝えられ、
そして騎士の称号を授けられたのだった。後からそれを知った僕たちが当時の詳しい状況を尋ねようにも
既にスザクは捕らえたゼロを連行してブリタニア本国に戻っていた。その後すぐにスザクはナイトオブセブンに叙され、
…ラウンズに命令を下せるのはブリタニア皇帝ただひとりだ。

満足な捜索活動も行えず焦燥ばかりがつのるが、主不在の僕たちは圧倒的に権限が不足している。僕と言えば
エリア11に赴任してきたカラレス新総督の元、残されたレジスタンスの掃討に駆り出される日々だった。
気が進まないので、かなり手を抜いている。今の僕を見たらコーネリア様はきっと叱咤するだろうな。
『この脆弱者が』と。

625:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/15 12:08:15 NLARla7I
そんなある日、ギルフォード卿の呼び出しを受けた僕は政庁に出頭していた。
ブラックリベリオンの後始末やら復興作業やら、新総督就任に伴う異動人事のゴタゴタやらで僕は1ヶ月以上も
ギルフォード卿と顔を合わせていなかった。

「久し振りだな、ライ」
コーネリア様の肖像が描かれた絵皿に一礼し、ギルフォード卿は僕に向き直る。
「卿は確か学生だったな」
「はい。もっとも、この数ヶ月は休学状態でありますが」
「復学する気はないか」
「は!?」
耳を疑った。
「それはつまり、もう僕は親衛隊に不要ということでしょうか」
思わず刺々しい口調になってしまう僕をギルフォード卿は苦笑いで制した。
「ともかく話を聞け。…黒の騎士団は壊滅した。矯正エリアとして軍も増強されグラストンナイツも健在の今
エリア11を脅かす存在は多くない。それに卿は今の任務に納得していないのだろう?」

どうやら僕の手抜きはバレているようだ。
ロイドさんたち特派(「元」だ)がナイトオブセブンことスザクの専任機関となり、僕のランスロット・クラブは
ブラックリベリオンの際に受けたダメージの修理が出来ないまま格納庫で眠っている。本当は早く修理してあげたい
(きっとロイドさんも今のクラブを見たら泣くだろうな、ごめんなさい)が、スザクと共に転戦する彼らは
エリア11に立ち寄っている暇がない。だから僕は最近の戦闘では借り物のグロースターに騎乗している。

クラブじゃないと嫌だと言っている訳じゃない。人々に恐怖を与えるだけの戦いに僕のクラブが使われずに済んで
むしろホッとしていた。それに今クラブを見ると特派を、スザクを、ユフィを思い出してしまい正直言って辛い。

626:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 12:08:41 3IsVFKfI
支援

627:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 12:09:09 2RB1LfrL
推参支援

628:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/15 12:10:29 NLARla7I
ギルフォード卿は話を続ける。
「今の私は預かりの身。姫様の捜索がしたくとも思うように動けない。我らには自由に動ける人間が必要なのだ。
卿ならばそれを任せることが出来る。復学を理由に軍を休職し、この件の調査を行って欲しい。
必要なバックアップは出来る限りしよう」

本当ならば自分で、今すぐにでもコーネリア様を探しに行きたいに違いない。僕は彼の気持ちを酌むことにした。
「わかりました。その任、慎んでお受け致します。…でも休職なんて制度が軍にあったとは知りませんでしたよ」
「ああ、推薦状も書いたしな」
「…推薦状?」
「『右の者は文武両道に秀で、かつ判断力に優れた希有な人材であり帝国の発展に貢献することが期待される。
特例として官僚試験資格取得のために1年間の就学を要望する。ギルバート・G・P・ギルフォード』」

僕はのけぞった。官僚、官僚と言いやがりましたかこの眼鏡は。
絶句する僕を見てギルフォード卿はニヤリと笑う。ああ、これは『してやったり』って顔だ。
「推薦したからには試験も受けてもらうぞ、せいぜい励めよ」
「い、イエス、マイ・ロード…」

なんだか責任重大な気がしてきた…。

629:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/15 12:14:09 NLARla7I
あの学園祭以来のアッシュフォード学園だ。ブラックリベリオンでこの学園も戦火に巻き込まれたが、幸か不幸か
黒の騎士団の作戦司令部に使われた関係で施設の大部分は損傷もなく、今は授業も再開しているとの話だった。
でもねぇミレイさん、なんで貴女も当たり前のように学生やっているんですか…。
(まだまだモラトリアムは終わっていないのよ!!)
電話口で叫んでいたミレイさんの声を思い出して僕は笑う。コーネリア様の捜索と言う任務とは別に、またこの学園で
過ごせる時間を楽しみになっていた。学園に向かう足が自然と早くなる。

ところが学園の敷地内に一歩足を踏み入れた瞬間、僕は違和感を覚えて立ち止まってしまう。
何だ?
その原因を探るためにぐるっと周りを見渡した。校舎、中庭、クラブハウス、講堂。風景に変わりはない。
違うのはそこにいる人たちだ。
見慣れないあの教師、彼は軍の関係者なのか?軍人特有の訓練された歩き方をしている。それに生徒達、確かに僕は
そんなに学園に通っていた時間は長くはなかったけれど仮にも生徒会の仕事もしていたし物覚えも悪くはない
(過去の記憶を失っていたのはギアスによるものなのでノーカウント)。なのに、見覚えのある顔が誰ひとり
見つけられないのはどういうことだ?

630:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/15 12:19:27 NLARla7I
学校の変化に戸惑いつつ、最初に生徒会室に足を向ける。ミレイさんが待っていてくれているはずだ。
「ライーー!!」
扉を開けるなりミレイさんとシャーリーが飛びついてくる。その後ろでルルーシュがひらひらと手を振って歓迎してくれた。
僕は心が暖かくなるのを感じる。迎えてくれる人がいるのはこんなに嬉しいものなんだな。

ミレイさんたちは、僕がいなかった間の近況を口々に話してくれた。
ニーナは独自に行っていた研究内容が認められ、ブリタニア本国に渡って研究開発室のチーフを務めているらしい。
人見知りで物静かだったけど、研究については目を輝かせて話してくれたニーナ。またどこかで会うことが出来るだろうか。

そしてカレン。彼女のことを考えると心が痛む。結局僕は、ブラックリベリオンの指名手配者リストにカレンの名前を
見つけるまでその正体に気付かなかった。記憶を無くした僕の『お世話係』として租界を案内してくれた彼女。
日本人の境遇に心を痛めているのは知っていたが、まさか黒の騎士団の、しかもあの紅い機体のパイロットだとは
考えもしなかった。今思えば、軍の仕事でスザクと一緒に授業を抜け出す僕の姿を、いつも何かもの言いたげな顔をして
見ていた気がする。
カレンは黒の騎士団が学園を占拠したときに、その素顔を晒して抵抗をしないよう説得したそうだ。
きっと学園の皆が傷つくのを見たくなかったのだろう。優しい彼女らしい行動だった。

「怪我をしていないといいけれど…」
ミレイさんが寂しそうに呟く。

631:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/15 12:25:11 NLARla7I
そうそう、とシャーリーが暗くなった雰囲気を変えるように両手を叩いた。
「そう言えばライ、学園祭のコスプレ喫茶でチャイナ服を着たんだって?」
「このミレイさんに黙って!ずるいわ!そんな美味しいものを!」

僕の顔が青くなる。なぜそれを。
生徒会でそれを知っているのは一緒に仮装をしたスザク(あまり思い出したくない)と、うっかり遭遇したルルーシュ…。
見るとルルーシュは手元の書類に没頭するフリをしている。間違いなく情報の漏洩源はここのようだった。
「いきなりだったから大した準備も出来なかったのが残念だわ」
そう言いながらミレイさんが紙袋から取り出した『それ』に僕の顔色は青を通り越して白くなった。


「おーっす、ライ!久し振りじゃないか」
リヴァルが生徒会室に入ってきた。中の様子に彼は目を丸くする。
「おろ?なんだか羨ましいことになってる?」
前からシャーリー、後ろからミレイさんに羽交い締めにされている僕は世間一般的に羨ましいと呼ばれる体勢なのかもしれない。
…この後に起こる悲劇を除けば。
「何だったら代わるか?」
そう聞いた僕があまりにも悲壮な顔つきをしていたのだろう、リヴァルは慌てて首を振り半笑いを浮かべながら後ずさる。
こうなったらルルーシュも道連れだ、きっと僕なんかよりずっと似合うに違いない。
ところがさっきまでいたルルーシュの姿が見えない。
「あー、ルルーシュならさっき『すまないライ!俺も自分の身が可愛いッ!』とか叫んで走っていった」
リヴァルが気の毒そうに告げる。

ル、ルルーシュ!!

「さーて、着替え着替え!!」
ミレイさん達に引きずられて行く僕をリヴァルだけが見送ってくれていた。

632:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/15 12:30:22 NLARla7I
「兄さん、またヴィレッタ先生が…」
生徒会室に入ってきた少年と僕の目が合う。

「…………誰ですか」
真顔で呟く少年。そりゃレースひらひらのメイド服に身を包んだ男にいきなり遭遇したら警戒もするだろう。
メイド服というのは本来、旧英国ヴィクトリア朝時代を源流とする家事労働を行う女性使用人が制服として着用した
エプロンドレスで、ただし旧日本ではサブカルチャーとして流行した時代があったらしい。ちなみに僕が着せられて
いるのは後者の方だ。…しかし何を意図してバトレーは僕の頭にこんな情報を押し込んだんだろう。

「あら、ロロ。美人だからわからなかったかなー?ほら、ライよ!久し振りに戻ってきたのよー!!」
ミレイさんが僕の背中から抱きついて嬉しそうに少年に言う。お願いですから僕の偽胸を寄せて上げないで下さい…。
それに背中に、その、本物の感触がですね。
「ルルーシュならそのうち戻ってくるわ。それよりロロも!ライの復帰祝パーティ、一緒にやるわよ!!」
なんだろう、僕は彼を知らない。この少年の戸惑いぶりを見るに、きっと彼も僕を知らない。
だけどミレイさんも、シャーリーもこの少年が僕を知っているのを当然のようにしている。

「どうしたんだ、ロロ」
「あ、兄さん」
ほとぼりが冷めたと思ったのかルルーシュが生徒会室に帰ってきた。僕の惨状を見て目を逸らせたのは、少しは罪の意識を
感じてくれているのだろうか。だが本来ルルーシュの役割だったコレを僕に押しつけた罰は受けてもらうぞ。
僕は両手を組み合わせてルルーシュにずい、と迫ると精一杯かわいい声で言った。
「『お帰りなさいご主人様、今お茶をお入れします。レモンとミルク、どちらがよろしいですか?』」
「お、俺が悪かった。頼むから止めてくれ、ライ…」
冷や汗をかきながら謝るルルーシュに溜飲が少し下がる。どうだ、気持ちが悪いだろう!ちなみに今のは《メイドさん》と
書かれた引き出しに入っている『メイドさん萌え台詞傑作選』からの引用だ。…ええい、バトレーめ!私の頭に変な情報を詰め込むな!!

ルルーシュに一矢報いられたが、自分にもダメージが大きかった。後ろでミレイさんとシャーリーが目を輝かせて
いるのは見なかったことにしよう。

633:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 12:34:28 Kms27JO0
支援


634:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/15 12:34:57 NLARla7I
そんな不毛な会話を呆然と見守っていた少年が、ようやく本来の目的を思い出したようだった。
「兄さん、どこに行っていたの?ヴィレッタ先生が探していたよ」
「また補習か。出席日数は足りているんだから体育なんて必要ないのに」
明らかにうんざり、といった様子のルルーシュに少年が食い下がる。
「兄さん!」
ルルーシュは少年の頭にポン、と手をおくと微笑んだ。
「ロロにまで迷惑を掛ける訳にはいかないな。会長、ちょっと行って来ます。ライ、また後でな」

…先ほどからこの少年がルルーシュを「兄さん」と呼ぶのが気になる。ルルーシュの唯一の肉親はナナリーだけだったはず。
あまりの溺愛っぷりにミレイさんは「あれはシスコンじゃなくてナナコンよね」と評していたぐらいだ。
ルルーシュに弟なんていたのか?疑問をそのまま口に乗せようとしたその瞬間、鋭い視線を感じて背中が粟立つ。
「…ッ!」
とっさに振り返ると、ロロと呼ばれた少年がルルーシュと共に出ていくところだった。栗色の髪が扉の向こうに消える。
何だ、今のは…殺気?

何かおかしい。僕はリヴァルを部屋の隅に引っ張って小声で確認する。
「リヴァル、ルルーシュの兄弟って何人いるんだ?」
「え?ルルーシュはあの弟のロロだけだぜ?おかげでルルーシュはロロに激甘だし、ロロもルルーシュべったりだし」
僕はリヴァルの顔をまじまじと見つめた。その顔はいたって普通で、冗談を言ったり嘘をついたりしている様子はない。
「…なぁリヴァル、『ナナリー』って誰だか分かるか?」
「『ナナリー』?いや、聞いたことがないな。うちの学校の子か?」

いったい何が起きているんだ。僕は気分が悪くなってきた。
ナナリーが消えて、ロロとか言う『弟』がルルーシュの側にいる。みんな何も疑問に思っていない。
よほど青い顔をしていたのだろう、ミレイさんたちが心配してくれて僕の歓迎会は早々とお開きになった。

635:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 12:36:05 Kms27JO0
支援

636:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/15 12:38:37 NLARla7I
久し振りの「我が家」。
親衛隊に入ってからは宿舎や遠征先のトレーラーで仮寝していたのでほとんど戻れなかったけれど部屋は綺麗だった。
僕が帰ってこない間も欠かさず掃除をしてくれていたのだろう。
(安心して帰ってこられる場所が必要なのよ)
ミレイさんの言葉を思い出す。記憶が戻ったことをミレイさんたちに伝えるべきなんだろうか。僕は過去の人間で、
ここにいるべき存在じゃない。でもここは本当に優しくて暖かくて、それに甘えてしまいたくなる。

ベッドに腰掛け、手元の端末でアルバムを読み出した。僕が学園を離れていた間も沢山のイベントを開催していたらしい。
ミレイさんのお祭り好きと行動力、何のかんの言いつつもそれにつき合う皆のノリの良さに笑顔がこぼれる。
でもページをめくるうちに笑みが消え、眉間にしわが寄ってきた。

ナナリーがいるべき位置に、あのロロと言う少年が入れ替わっている。
それだけじゃない、本来ナナリーがいた場所─その写真がすべて無くなっていた。

端末の電源を切り、天井を仰ぐ。
消えたコーネリア様、消えたナナリー、おかしな事になっている生徒会の皆の記憶。
ブラックリベリオンのあの夜が全部のきっかけだ。調査する価値はあるだろう。

637:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 12:39:15 2RB1LfrL
支援

638:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 12:39:45 Kms27JO0
支援

639:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/15 12:41:12 NLARla7I
#(・∀・)3章前編終了。次で完結です
#今回は1期6話とかのノリで

640:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 12:47:23 2RB1LfrL
GJ!ライならばこそのブリタニア側からの視点、お見事です!
そしてユーモラスな場面に冷水を浴びせるロロの存在感もまた然り。
これは先を楽しみにせざるを得ませんね。全力で期待しています!

641:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 13:28:46 2RB1LfrL
む、コピペミスで書き落とした。追記します。

ときに「バトレー将軍、貴方ってナニモノ?」という問いが脳内にコダマし続けています。
たぶんこの話でもBRの最中は政庁地下でアレを調整してたんでしょうが、本国へ戻るまで
ライと再会しないよう祈っておいてあげましょうwww


642:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 17:51:42 SuNfy32j
>639
うまくショートカットされていて読み易い!
ロロと予備知識なしに遭遇は心臓に悪いですね。
これは危険だ。逃げてー。
展開がどう変わっていくのかまた楽しみになってきました。
コーネリア捜索にもつながっていくのかな?

次回を楽しみにお待ちしています。
それでは!

643:貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE
08/11/15 18:24:52 4WE5ql6G
誰かいらっしゃますか? 
六時四十五分ごろから投下したいと思ってたりします。
OK?


644:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 18:27:12 KS2ymje9
>>639
(・∀・)卿、GJでした!
良いですね、これは!
ブリタニア側にいて、しかも学園から離れていた。
故に感じる違和感、疑問が素晴らしい!
このまま進めば、如何なる道を辿るのか!
ワクワクシテキマシタ!
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!

645:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 18:35:39 SuNfy32j
できる範囲で支援いたします

646:貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE
08/11/15 18:46:13 4WE5ql6G
ありがとうございます。
今回は『吸血鬼の花嫁シリーズ 戦乙女の条件』をお送りします。
何と予定レス数が16(後書き含む)……バカな!? 正気か、私。
規制を喰らったらごめんなさい。

647:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 18:46:33 SuNfy32j
支援

648:貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE
08/11/15 18:47:53 4WE5ql6G
私 マリーカ・ソレイシィは大きな緊張の最中にあった。
貴賓室にて一度も座った事が無かったフカフカの椅子に座っているのに、体が緊張でガチガチ。
緊張の発端は彼女の後ろに立っている軍学校の先輩 リーライナ・ヴェルガモンに数日前告げられた内容。
『貴女をグランサム・ヴァルキリエ隊に推薦したい』
最初は何を言っているのか解らなかった。ヴァルキリエ隊とはリーライナ先輩が所属する親衛隊の名前。しかも唯の親衛隊ではない。
帝国最強と唄われるナイトオブラウンズの一人、ナイトオブテン ルキアーノ・ブラッドリー卿の親衛隊である。
リーライナ先輩がその所属になった時は「やっぱり先輩は凄いな~私は地道にしかし確実に功績を積み重ねて~」と嘆いていた。
それなのに! まさか私にまで声をかけてくれるなんて! 持つべきは優秀な先輩である。

「なるほど……確かに士官学校での成績は文句無しだね」
「きょっ恐縮です!! ライ卿」

そして緊張の原因は自分と対面する形で座る人物。私がヴァルキリエ隊に相応しいかを判断する人。
ライという名前、知と武に優れ、美しいと言う事だけが知られるヴァルキリエ隊の隊長。
その後ろに立つ同じくヴァルキリエ隊のお二人も、それぞれが違った魅力を放っているけど、彼女のソレは質が違う。
流れるように肩下まで伸びる美しい銀髪、片方の肩に纏うマントの下から伸びる細い手。
長い丈ながらも際どいスリットが入ったスカートから覗くしなやかな足、私の履歴書と内申書の字を追う憂いを抱いた視線。
それら全てが合わさって……なんだろう? この空気。
これがルキアーノ・ブラッドリーが唯一心を許す『吸血鬼の花嫁』の力?


649:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 18:48:22 SuNfy32j
支援

650:貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE
08/11/15 18:50:38 4WE5ql6G
「じゃあ軽く面接でもしようか」
「はっはい!!」
「そんなに緊張する必要は無いからね?」

ふっと空気が優しいソレに変わる。ライ卿の小さな微笑。耽溺の息と共に気合が出そうになるのを我慢。
緊張する必要は無いと言われても、これにはソレイシィ家の未来が懸かっているのだから、力を抜くリスクを負うことは出来ない。

「ヴァルキリエ隊への入隊を志願した理由は?」
「はい! 偉大なる母国、神聖ブリタニア帝国の礎となるべく…『あ~そう言うのは要らないんだ』…え?」

士官学校で教え込まれたブリタニア賛美の一文は冒頭でやんわりと制止されてしまった。
軍隊に就職するならばコレだけ言えれば受かるとまで言われる殺し文句なのだが……

「私達の主がどんな人物か知ってる?」
「えっと……」

知っている。ヴァルキリエ隊については面接を受けるにあたり、調べつくしてきた。
ルキアーノ・ブラッドリー。実力こそが唯一の評価基準であるラウンズを体現しているような人物。
下級貴族から軍属へ、問題行動を多数起こすもその戦火を認められてラウンズに上り詰めた。
性格は極めて攻撃的且つ残忍、ついた渾名は『ブリタニアの吸血鬼』。

「そんな人の部隊だからね? 建前も礼儀も経歴も一切問わない」


651:貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE
08/11/15 18:51:49 4WE5ql6G
すっと伸ばされたライ卿のキレイな指が私の顔のラインを撫でる。

「さぁ、聞かせて欲しいな? 貴女の本心を」

指から伝わる暖かさと冷たさ、相反する二つの存在に心が昂ぶるのを感じる。
この人に全てをぶつけても良いと思った。

「誰もが認める功績が欲しいんです! 家のために! そして……兄の為に!!」

軍人だった兄、あのエリア11で命を散らした兄。大好きな兄に代わり、兄の為に家を守り栄えさせる。
その思いの丈を普通ならばありえないほどにぶちまけた。

「なるほど……オーリス」
「はい? 何かしら、隊長殿?」

『言い過ぎたかな?』とか『無礼に思われてないかな?』って若干顔を青くしている私から視線を外した。
後ろに控えていた美女の一人、ブリタニアには珍しい黒髪にメガネをかけた柔らかい雰囲気の女性に耳打ち。
そんな時、私は見逃さなかった。黒髪の女性の口元がオモチャを見つけたネコのように笑みを作った事を。

「クスクスッ……それは楽しそうですわね。さっそく責任者にお話してきます」

「ベッキー、外で待たせていた整備の皆さんに連絡とってもらえるかな?」

黒髪の女性は部屋を後にし、ライ卿はもう一人の逞しい健康的な女性にも一声。


652:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 18:51:58 SuNfy32j
支援

653:貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE
08/11/15 18:53:52 4WE5ql6G
「ん? なんだ、なんだ!? 何か面白い事か?」
「アレを演習場まで運んで欲しいんだ。駆動テストをしよう」

やはり何を言っているのか解らない。私の後ろに立っていたリーライナ先輩とも顔を見合わせて首を傾げる。

「はは~ん、そりゃあ良い! 了~解だ」
「あのライ卿? いったい何を……」

ライ卿は立ち上がり、見惚れてしまうような笑顔で言った。

「ヴァルキリエ隊の条件の一つは強さ……決闘と洒落込もう、マリーカ・ソレイシィ」

物騒なお誘いは舞踏会のダンス。



ナイトメア・フレームでの近接戦闘技術を磨く為のスペースは、ただコンクリートによって作られた平らなスペースだ。
中央には二騎が最初に向かい合うべき場所を示す二つの短い線。いわゆる格闘技全般の試合場と変わらない。
違う事があるとすれば人間とは違う大きさとスピード、衝撃に対応すべく広大に設定されている程度だ。
各国でのナイトメア・フレームの実戦配備が進んだこと。
そして第三皇子暗殺からブラックリベリオンまで、エリア11で高度なKMF同士の戦いが記録されたこと。
以上の二点により、ブリタニア軍がKMFの近接戦闘技術の向上を目的として、各基地に順次整備している施設。


654:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 18:54:49 tSxF1Z2j
携帯に移って支援

655:貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE
08/11/15 18:55:33 4WE5ql6G
「おい、何かあるのか? ずいぶんギャラリーが集まってるけど」

ボクシングなどの格闘技がテレビ中継される事に代表される事例として、『人間は他者同士が戦うのを見る事を好む』生物だ。
古くはローマ帝国にて剣闘士たちの戦いに熱狂したこと、新しくはKMF近接戦闘訓練も軍人達にとっては良い娯楽。

「あぁ! 何でもあのヴァルキリエ隊が模擬戦をするらしい」
「なんだって!?」

戦闘に巻き込まれない範囲に群がる軍人たち。既にフィールドの真ん中では一騎のナイトメアが待機している。
神聖ブリタニア帝国軍の主力ナイトメア・フレーム サザーランド。手には模擬戦用のアサルトライフルとランスがある。

「識別番号は……マリーカ? おいおい、大丈夫かよ」
「アイツなんかヘマやったのか? 吸血鬼の飼い犬は手加減を知らないぞ」

訓練場で相対する者を待つ鋼の軍馬の騎手はマリーカ・ソレイシィ。
先程までの緊張とは異なる戦場の緊張に身を委ね、武者震いにも似た震動を必至に抑える。
これから行なわれる模擬戦は彼女の全てが決まると言っても過言ではない。
ラウンズの親衛隊として認められるか、一軍人として再び日を過ごすか。

「来たぞ!」

かなりの数に達していたギャラリーの一角が声を上げる。
マリーカ機と相対する形、反対側からフィールドの入ってきた機体はサザーランドではなかった。


656:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 18:56:37 tSxF1Z2j
支援

657:貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE
08/11/15 18:57:08 4WE5ql6G
「アレは……まさか!?」

上位機体 グロースターでもない。第五世代と称されるナイトメア・フレームですらない。
サザーランドが騎士を模した兵器であるならば、そのKMFは鋼の騎士そのもの。
機械で再現可能なのか?と疑いたくなる人間らしすぎる柔軟な動き。
頭部にはツインカメラアイと飾り角。肩には大型のファクトスフィアが二つ。
機体色はヴァルキリエ隊のパーソナルカラーである薄紅色をメインに染められている。
装備こそマリーカのサザーランドと同様のモノだが、他の全てが違う存在であると主張している。

「第七世代か……」

特派と呼ばれる技術部がエリア11で開発し、シンジュク事変より運用した現技術の二つ上を行く存在だ。
名誉ブリタニア人部隊から皇女の騎士、ナイトオブラウンズまで上り詰めたクルルギ卿の愛機 ランスロット。
そんな名機を量産する事をコンセプトに作られた先行量産機。それこそライが騎乗する『ヴィンセント』である。

「さて始める前にルールを説明するね?」
「はいっ!」

ナイトメアのコクピットでウィンドウ越しに視線を交え、言葉を交わすのはライとマリーカ。
模擬的なものとはいえ戦場で対面してみて、マリーカはこれから自分を計る戦乙女の長の力を肌で感じる。
圧倒的な威圧がある訳ではない。ただ静かな……冷たい氷……鋭い刃のような。


658:貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE
08/11/15 18:58:03 4WE5ql6G
「これは模擬戦という形式を取っているけど、どちらかが勝利する事を目的としない。
 ただ私が君を『ヴァルキリエ隊の相応しいか?』という一点を見極める為に刃を交える。
 故に君が私に勝利しても敗北しても審査の内容が決する事は無い」

両者のウィンドウで始まっていたカウントダウンが10を切ったところで、『もっとも……』とライは前置きして呟く。

「あまりにも早く終わる事が無い方が良いかな?」
「むっ!? ご期待には全力で答えます!!」

マリーカ・ソレイシィは何処にでもあるブリタニア貴族の家系に生まれた。
故に礼節も遠慮も弁えている。だが同時にブリタニア貴族であるが故に……前へ前へと進む力も強く……負けず嫌いだった。
サザーランドはアサルトライフルを腰に納め、両手で模擬ランスをシッカリと腰で構える。明確な刺突の体勢。
対するヴィンセントは両手の得物を構える事無く、腕部はダラリと垂れ下がった無の構え。


「きえぇえ!!」

カウントゼロ、先に仕掛けたのは体勢の語るとおりにマリーカだった。
自身を奮い立たせる裂帛の叫びと共に、地を捉えたランドスピナーが高速回転。
サザーランドの鋼のボディが構えたランスごと突撃を開始する。決して幼稚で無謀な行為ではない。
速度と機動性を武器とする全く新しい兵器であるナイトメア・フレームにとって、ランスを用いる突撃は立派な戦法である。

「思い切りは良し……でも!」


659:貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE
08/11/15 18:59:11 4WE5ql6G
しかし第七世代という新たな地平の突入したヴィンセントに、従来の戦法は通用しない。
本来ならばランスによる突撃は同じくランドスピナーを展開し、左右に移動する事で回避するのが定石。
マリーカもその回避を想定し、追撃など次の行動を考えていた。だがライの選択した方法は……

「なっ!?」
「とんだ……」

ギャラリーからも上がるどよめき。とんだと言っても『飛行』ではない。
一つ一つは小さなアクション。膝を屈め、重心を前へ……膝と呼ばれる部分の力を解き放つ。
サザーランドやグロースターなど、高速移動をランドスピナーに頼る第五世代KMFでは不可能な『跳躍』。
人間らしさを感じる自然な動きでありながら、大量のサクラダイトに裏打ちされたソレは高く、早い。


ランスの間合い、マリーカが想定した間合いを遥かに飛び越えて、ライのヴィンセントは宙を舞う。
高速で動く視界に惑わされる事なく、構えられたアサルトライフルが火を噴いた。

「このぉ!!」

ランスによる突撃が想定外の形で回避され、マリーカは舌打ち。
頭上というありえない場所から撃ち込まれる弾丸。スティックを捻り、機体が上げる悲鳴を無視して急加速。
間合いを計り直し撃ち返す。空中では姿勢制御が出来ないから狙い易い。
だが遅かった。薄紅色の敵機は既に地面に両の足を付き、ランドスピナーを展開。すぐさま開始された高速機動は……


660:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 19:01:08 05vR+0LM
支援

661:貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE
08/11/15 19:09:25 4WE5ql6G
「早すぎる!?」
「これが第七世代の性能か……」

マリーカよりも客観的に状況を見る事が出来た観客達がざわめく。
サザーランドが相手ならば間違いなく当たるだろうマリーカの正確な射撃が掠りもしない。
瞬く間に距離を詰め、ヴィンセントは重量級のランスで軽々と薙ぎ払う。サザーランドは慌ててソレを受け止めるが……

「パワーも……キャッ!?」

驚きを感じるまもなく、コクピットごとマリーカの小さな体を揺さ振る衝撃。
まるで耐える事も出来ず、サザーランドは吹き飛ばされて地面へと打ち付けられたのだ。
ディスプレイに愛機の悲鳴を示すサインを見つけながらも、マリーカは慌てて愛馬の体勢を持ち直す。
その背中に走るのは冷たい汗。自分が僅かにでも『勝って認めさせる』なんて絵空事にしか感じられない圧倒的な『差』。

「機体性能が……いや、パイロットの腕も……違いすぎる」

少なくとも訓練学校で主席を取ったマリーカの腕が悪いわけではない。それでもその腕前は学校の中でのモノ。
片やライはラウンズの親衛隊 ヴァルキリエ隊の隊長として、主が好むような激戦区を駆け抜けてきたのだ。

「なんで当たらないの!?」

先程の自分のように、ランスを両手で構え突っ込んでくるヴィンセントを見ながら、マリーカが叫ぶ。


662:貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE
08/11/15 19:11:42 4WE5ql6G
直線的な突進であるならば、いかに早かろうと射撃を当てることは難しくない。
だがヴィンセントには当たらない。薄桃色の機体が直進しながらも、陽炎の様に僅かに揺れる。
すると当たるはずのペイント弾が地面へと赤い花を咲かせるだけに終わるのだ。


「さてマリーカ・ソレイシィ、ヴァルキリエ隊に入るには二つ……必要なものがある」

ランスで鍔迫り合いをしながらのオープン通信で、ライは静かに語り始めた。
本当は三つ『美しい女性である』と言うのが含まれるのだが、ライは今回そこの所を盛大にスルー。

「一つは『力』ナイトメア・フレームの操縦能力。これについて、君の能力は申し分ない」
「光栄……です」
「だがもう一つ、『覚悟』はどうかな?」

『覚悟』
その言葉にマリーカが思い浮かべた事のは……

「それは戦場で殺し殺される覚悟という事ですか!? そのくらい私だって……」

士官学校の情操教育で必ず学ぶような事柄。戦場に出た事がない新米だが、少なくとも形式的な覚悟は会得しているつもりだった。
しかしライが叫ぶのは否定の言葉。

「違うな! 間違っているぞ、マリーカ・ソレイシィ! ヴァルキリエ隊に『殺される覚悟』など必要ない!!」
「えっ!? じゃあ何を……」


663:貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE
08/11/15 19:13:15 4WE5ql6G
「私たちに求められるのは『奪い続ける覚悟』!」

一見すれば『奪い続ける』と言う言葉には傲慢な考えしか感じる事が出来ない。
だがそれは違う。奪い続けると言うのは勝ち続けなければならないと言う事。
ナイトオブラウンズとは栄光と名誉で飾られた帝国の鉄砲玉に過ぎない。
たった個人で殺した数を計る事が出来るならば、ラウンズの平均は一般的な兵士を容易く凌駕するだろう。
皇帝が自由に動かし、一般軍人の被害を少なく戦争を早期勝利へ導く為、誰よりも多く血を被ることがその役目。
そこには名誉なき戦い、一方的な戦闘も含まれる。そしてラウンズには、その親衛隊にも敗北は許されない。

「一方的な虐殺も、達成困難に思える作戦も! ただ『イエス、マイロード』と返答する。
 怨みが篭った断末魔にも、悲しみにも戸惑う事無く任務をこなす。
 命を奪われる事など考えてはならない!! 最後の最後まで、地獄で前のめりに倒れるまで他者の大事な物を自分の為に奪い続ける覚悟が……」

不意にヴィンセントが力を抜いた事で、ランスによる鍔迫り合いは終焉を迎える。
理由は解らずともソレは勝利へのワンステップと理解し、マリーカが攻勢に出る前に……ランスが両断された。

「っ!?」

いつの間にかヴィンセントの手にはランスがなく、真っ赤な刀身の剣が一つ握られている。
MVS メーザー・バイブレーション・ソード。かのランスロットの装備がオリジナルとなった次世代の近接武装。
刀身が高速震動することで無類の切れ味を得て、如何なる物体も両断することができる。
その特性から言えば模擬戦には適さない。何処に当たっても確実に機体は破損するし、胸部に直撃すればパイロットは確実に死ぬ。


664:貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE
08/11/15 19:15:46 4WE5ql6G
「君にはその覚悟があるか!? マリーカ・ソレイシィ!!」

しかしそんな武装だからこそ問い掛け、引き出す事が出来る答えがある。
今までの精錬された無駄の無い動きではなく、まるで儀式のように優雅な予備動作から、ヴィンセントが繰り出すのは突き。
狙いはサザーランドのコクピットブロックに寸分の狂いなく打ち込まれる。
『殺される』
そんな言葉が心の内で響き渡り、走馬灯のように幾つもの場面が過ぎった。
小さいながらも貴族としての体裁を持つ生まれ育った邸宅。訓練学校での厳しい日々。
そして……もう会えない大好きな兄 キューエル・ソレイシィの笑顔。

「私は……私はまだぁあ!!」


何も出来ていない。何も成し遂げていない。兄の志を成就する事無く、家を守り栄えさせる事もなく……
マリーカの脳内で光が弾けた。視界がパッとクリアーになり、意識が研ぎ澄まされていくのが解る。
付いて行くだけで精一杯だったライ操るヴィンセントの動きを冷静に見極める事が出来る。

「このぉ!!」

マリーカの無茶苦茶だが正確な入力により、サザーランドが僅かに身を捻った。
それでも避けきることは出来ず、先端を失ったランスが持っていた腕ごと斬り飛ばされる。
それでも命を奪われる事なく、MVSの間合いではなくサザーランドが持つ近接武装の間合いに引き込む事に成功。
掠るほど懐に引き込み、突きを回避したことにより、眼前に見えるのはヴィンセントのコクピット部分。

665:貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE
08/11/15 19:17:11 4WE5ql6G
打撃と共に高圧電流を流し、敵機を機械的に戦闘不能にするスタントンファーを展開。
模擬戦では電流を切って使用するのだが、極限状態と言っても良いマリーカは反射的に、スイッチを入れていた。
密着するような体勢ゆえに高々と振り上げられた片腕のトンファーに紫電が宿る。
勝負が決した。見る者が見れば、最後の突きは吸血鬼の花嫁らしくないモノだったのだが、大部分のモノがそう思った。

「見事」

極限状態、振り下ろされんとする自機のスタントンファーを、ゆっくりと眺めていたマリーカにライは呟く。

「戦争の極限状態では『奪う』・『奪われない』と強く思った者に先が開ける。
 戦闘中、常にその空気を感じる事が出来るようになれば君はもっと強くなるだろう。
 だけど、今は一瞬でも見えたのならば……私に一撃を加えた君は合格だ」
「その為にワザと!?」

そこで通常の感覚に復帰したマリーカは、自分が上官にスタントンファーを振り下ろさんとする現状に気がつく。
ライもまさか反撃までしてくる優秀な娘だとは読みきれなかった。
だが止めを刺す行為として、スタントンファーの電源を入れたのは、むしろ評価に値する。
それだけ優秀な人材を確保できるならば、数瞬後に自分に襲い掛かるビリビリなど安いモノ。
ただライが心配するのは折角与えられたヴィンセントが、数時間と持たずにスクラップに成りはしないか?と言う点くらい。

だが衝撃も電流もライとヴィンセントを襲うことは無かった。
代わりと言っては何だがスタントンファーが残った片腕と共に粉微塵になった。


666:貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE
08/11/15 19:20:00 4WE5ql6G
「なっ!?」
「キャッ!」
「この機体は……」

ギャラリーからは驚きの声、両手を失った機体が転倒したマリーカからは悲鳴、そしてライからは眼前に舞い降りたKMFについて。
その機体は頭部に一本角を生やし、背中には実用化されたばかりのフロートユニット。手にはミサイル発射機構を備えた盾。
そしてスタントンファーを粉砕した、ブレイズルミナスを発生させてドリルにもなる凶悪な爪。
ヴィンセントの上を行く出力と柔軟な動きが可能なこの機体の名前はパーシヴァル。

「じゃあパイロットは……『なかなか滾る熱い戦いだったぁ!』……ルキアーノさん?」
「ブッ、ブラッドリー卿!?」

ライは落ち着いた様子で、マリーカは慌ててコクピットから半身を出し、胸に拳を当てる臣下のポーズ。
数秒送れてパーシヴァルのコクピットから現れたのは、オレンジ色の特徴的な髪を逆立たせラウンズの衣装に身を包んだ長身の男性。
ルキアーノ・ブラッドリー。ナイトオブラウンズの十番、ブリタニアの吸血鬼と恐れられる戦闘狂。
そしてライの主であり、マリーカの新たな上官。

「ライ、お前から見てコイツはどうだった?」

ルキアーノは顎で示すようなテキトウなアクション。それでもマリーカからしてみれば、認められるかの緊張の瞬間。
問に答えるのはライ。大きく頷いて言った。


667:貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE
08/11/15 19:24:45 4WE5ql6G
「まだまだ未熟ですが、これから戦場で磨けば…『ふ~ん』…ご納得頂けない?」
「いや、お前の見立てなら信じるさ」
「じゃあ!」

ライとルキアーノの会話を合格発表を待つ女学生のように聞いていたマリーカに笑顔の花が咲いた。

「合格だ、お前をこの時からグラウサム・ヴァルキリエ隊の一員となる。血と殺戮と名誉をオレ様の傍らで与えよう」
「はいっ!!」

頷いた彼女は、いつの間にかサザーランドを上ってきたリーライナに抱き締められた。
かわいい妹分の大出世を喜ぶ基地の軍人たちによって胴上げまで開始される。

「やったわね、マリーカ!」
「大出世だな、それ~」
「祭りだ祭りだ」
「キャーキャー」

その様子をヴィンセントの上から眺めつつ、ライは苦笑。
どうやら新しい仲間はブリタニア人には珍しく、人から好意を持たれやすいタイプのようだ。
しかしそんな彼女が敵からは忌み嫌われ、味方からは疎まれる自分たちの部隊で大丈夫だろうか?といまさら思ったり。

「おい!」

ふと声をかけられてライは視線を上げた。そこには何故か視線を合わせない上司が居る


668:貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE
08/11/15 19:26:27 4WE5ql6G
「はい? なんですか、ルキアーノさん」
「お前の一番大事なものはなんだぁ?」

それは主従、吸血鬼とその花嫁の確認の儀式。

「私の大事なものは貴方です、ルキアーノ・ブラッドリー卿」
「ならオレ様の許可無しにくだらない理由であぶねーマネするんじゃねえよ」

何時も自分も他人も危険な道を巻き込んで突っ走るバトルマニアには似合わない言葉。
何処で話を聴きつけて戦場でもない場所でKMFによる飛行、基地に侵入し備品を破壊。
それだけならば唯の軍規違反なのだが、それがたった一人の部下の為にとなると……
余りにもらしくなくて、同時に可笑しくて可愛らしくて、ライは小さく笑い同意を示す。

「くすっ……イエス、マイロード」

男女ともに見惚れる美しい微笑だったのだが、浮かべたライ本人は勿論のこと、恥ずかしくてそっぽを向いていたルキアーノもソレを知る事はなかった。


669:貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE
08/11/15 19:30:20 4WE5ql6G
以上でした~……たぶん私は疲れていたんだと思う(ぇ
マリーカ視点は難しいし、長いだけでグタグタだし、戦闘には切れが無いし……
なんとかテンさんを詰め込みました感がバリバリだし……

あっ! 実はナナリーのエリア11行きに何の不幸か? 
移動する航空艦のトラブルでご一緒する事になるルキアーノさんとヴァルキリエ隊一同と言う話を考えてるんだけど(ry


670:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 20:23:20 SuNfy32j
>669
こちらのシリーズ初読だったのですが、なんだか不思議な魅力のある話!
ライは女性?なんてミステリアスな。ルキアーノにわずかの人間らしさが?
マリーカの奮闘と、ライの超然としたさまにドキドキします。
保管庫行かなければ。

途中、諸事情により支援離脱し申し訳ありませんでした。
次回のお話を拝見できる日を楽しみにお待ちしております。

671:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 21:10:52 Hh9/WaUb
>>669
GJでした!!
最後のルキアーノの台詞で彼がツンデレに見えました。
マリーカ入隊を喜ぶ他のメンバーも可愛らしい。
次回の投下をお待ちしてます。

自分も前回の続きを投下したいのですが、22レスほど使用しますので支援お願いできませんでしょうか?


672:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 21:12:51 4WE5ql6G
支援待機~

673:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 21:13:02 VFO1J5hB
支援しまっせ


674:ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark
08/11/15 21:14:12 Hh9/WaUb
有り難うございます。ではその前に例の如く注意書き等を少々。

タイトル  コードギアス 反逆のルルーシュ L2  
     ~ TURN01 魔神が目覚める日(後編)~

カップリング なし 
前作 ~ TURN01 魔神が目覚める日(前編)~ の続きになります。

以下注意点
●根幹は黒騎士ルートを準拠してますが、オリジナルと言ってもいい内容です。
●王様ライの性格は自分の考えに依存してます。苦手な方はご注意下さい。
●オリキャラ出ます。同じく苦手な方はご注意下さい。

それでは、投下行きます。

675:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 21:15:31 VFO1J5hB
支援

676:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 21:16:38 4WE5ql6G
支援

677:ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark
08/11/15 21:16:59 Hh9/WaUb
 ―バベルの塔―
 その呼称は、ある書物では「混乱」を意味する「バラル」と関係付けられている。
 それが正しい解釈であるかどうかは定かでは無い。
 しかし、現代においてその名を冠したビル、バベルタワーは今まさに混乱の極みにあった。
 至る箇所から黒煙を噴き上げているバベルタワー。それは人為的に起こされた「災害」によるものだ。
 そして、その中で敵対する者達がぶつかり合えば引き起こされるのは「悲劇」のみ。
 然らば、その先に待っているものは「崩壊」以外有り得ない。
 災害、悲劇、そして崩壊。皮肉にも、それらはタロットに描かれている塔そのままの意味だった。

コードギアス 反逆のルルーシュ L2  
~ TURN01 魔神が目覚める日(後編)~

 深紅の玉座に腰掛けたライは、嚮団のメインホールでV.V.と共にモニターに映し出されるている映像を眺めていた。直ぐ傍には子供達の姿も見受けられる。
 子供達はモニターに映る映像を見てそれが映画の世界ではなく現実に起きている出来事なのだと知らされると、やや興奮した面持ちで見入っていた。
 既に最初の変化が起きてから数十分経つが、ライは一向に飽きる事なくモニターを見続けていた。
 ライは表情にこそ出さなかったがルルーシュの身辺に明確な動きが出た事に内心喜んでいたからだ。
 そんな彼等を余所に、一人眺め続けるのに少し飽きていたV.V.は暇つぶしにとでも思ったのだろうか、ライに問い掛けた。
 「そういえばさ、彼への報告は?」
 だが、ライは視線を移す事無く淡々とした口調で答える。

678:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 21:18:13 VFO1J5hB
支援


679:ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark
08/11/15 21:20:02 Hh9/WaUb
 「機情に直接行わせた」
 「なんだ、君が報告したんじゃなかったんだね」
 V.V.の言葉は少し呆れた色を含んでいた。その為、少し引っ掛かったライが問い掛ける。が、相変わらず視線はモニターに釘付けのままだ。
 「何か問題でも?」
 「ううん、何でも。ただ、寂しがってるんじゃないかと思ってね」
 「寂しがる?あの男が?馬鹿な―」
 ライはその言葉を聞いた時、初めてそれまでモニターに向けていた視線をV.V.に移すと、少し驚いた様子で問い掛けたが最後は鼻で笑っていた。
 すると、V.V.は得意げな表情を浮かべたまま話しを続ける。
 「ライは知らないだろうけど、彼は君の事を凄く気に入ってるんだよ?話したがってると思うけどね」
 だが、その表情を見たライはV.V.がまた自分をからかっているのだと思った。
 「いつもこちらが一方的に話して終わりなのだが?」
 そう尋ねると訝しむ視線を投げ掛けるが、V.V.は意にも返さない。
 「決めた!報告に行ってきてよ」
 「それは命令か?下らない事を―」
  「これはお願いだよ。扉をくぐるだけじゃない。でも、断るなら断るで構わないけどね」
 自身の中で勝手に結論を出したV.V.をライは咎めたが、あっさりと引き下がったV.V.の態度に何か引っ掛かるものを感じたようだ。
 「お前がそう簡単に引き下がるとはな、嫌な予感がする。続きを言え」
 「もし断るならこれから毎日ライとはアレで話そうと思っただけだよ」
 それを聞いたライは心底嫌そうな顔をした。V.V.が言ったアレとは念話の事だ。
 当初、V.V.はライの姿が見えない時は決まってそれを飛ばして来た。
 ライもライで、初めの頃はその物珍しさと便利さから特に気にしてはいなかった。その結果、それはエスカレートする事となった。

680:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 21:21:22 SuNfy32j
支援

681:ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark
08/11/15 21:23:09 Hh9/WaUb
 やがて、V.V.はライが食事をしていようと風呂に入っていようとも、姿が見えないというだけでお構い無しに飛ばして来たのだ。
 末期には就寝中にライはそれで叩き起こされた事もある。寝ている最中に頭の中で声がするのだ。それはどんな目覚ましよりも強力だった。ただし、目覚めは頗る不快だったが。
 その為、ライはその事に文句を言うと共にV.V.の傍を離れる時は、必ず一言付け加えてから離れるようにしていた。
 そのお陰か使用頻度も最近では殆ど無くなっていたのだが、アレがまた始まる事を想像して酷く憂鬱な気分になったライは、とうとう折れた。
 「分かった。その代わり今まで通り緊急時以外は絶対に使わないと約束出来るか?」
 その答えにV.V.は笑顔で頷いたが、次にライから小指を差し向けられると首を傾げた。
 「何それ?」
 「母から教わった。いいから同じ様にしろ」
 V.V.は相変わらず首を傾げたままだったが、ライに言われるがまま自身の小指を差し出す。
 すると、ライは素早くV.V.の小指に自身の小指を絡ませた。
 そして事が終わると素早くその指を解く。するとライが独り言のように語った言葉を聞いていたV.V.は納得した様子で語る。
 「ああ、針を千本も呑まされたくなかったら守れっていう事かあ。面白いね」
 だが、ライはそれに答える事無く静かに席を立つと紅いギアスの紋章が彫られた扉に向けて歩き出した。
 が、その足が不意にピタリと止まる。
 「何か動きがあった場合は連絡しろ。それとV.V.約束は守れ。お前は先程冗談
のように捉えていたようだが、私はそのつもりで使ってはいないからな」
 「ライ、君は意地悪だね」
 V.V.は口をへの字にして抗議の声を上げた。それもそのはず。V.V.は如何に不死だと言っても痛みぐらいは感じるのだ。
 そんな身体に針を千本も呑まされたら苦痛にのたうちまわる事請け合い。堪ったものでは無い。
 普通なら、そんな事は拷問以外の何物でもなく行う人間は限られる。だが、ライはやると言ったら本当にやる存在だと言う事をV.V.は十分理解していた。
 一方で、V.V.の抗議の声を聞いたライは満足げな表情を浮かべると振り返る事無く扉に向けて歩いていった。


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