08/11/11 22:45:11 v7m0c+Lu
ブリタニア軍は戦力と地の利を失った。このままみすみす黒の騎士団に各個撃破を許すわけにはいかない。
僕は他の負傷者をかばうように隊の陣形を整えさせると政庁までの後退を開始した。だが、移動を始めてすぐに
隊の1機が遅れがちなのに気がつく。見ると右のランドスピナーの回転率が悪いようだった。
「5番機、駆動系に問題が?」
《先程の衝撃で破損したようです。多少出力は落ちていますが、まだ走れます》
「了解した、後方のフォローに回る。2番機、僕の位置に入れ。陣形を崩すな」
そう言って僕が遅れた5番機の後ろに回り込もうとした時だった。
レーダーに熱源反応が映った、と認識するより体が反応する方が早かった。振り上げた僕のランスと相手の刃が
ぶつかり合いギイィィイインと耳障りな音を立てる。続けざまに襲ってくる刃を下から跳ね上げ、空いた胴に柄で
突きを入れる。後方に跳ね、避ける敵にアサルトライフルで追い打ちを掛けるが、相手は刀を回転させてそれを防ぐ。
《隊長!!》
「僕に構うな!!行けッ!」
《イ、イエス!マイ・ロード》
走り去る5番機と敵の間をふさぐようにして僕はそのナイトメアに対峙する。
黒のカラーリング、頭部に二房の赤い飾り髪。
黒の騎士団のTYPE-03F─月下。
搭乗者は『奇跡の藤堂』。