08/11/11 18:40:04 aft5C0jf
ともあれ向こうは無事だと安堵して、ちょっと忙しいから後でねと電話を切ったら、既に退路が断たれていた。
「どうするんですか先輩!」
どうすると言われても、後はヤツの脇を駆け抜けるぐらいしか方策が無い。
しかし、ロロを連れていては無理だ。たぶん捕まってしまうだろう。
捕まってもマシュマロまみれになるだけだが、やはりそれは沽券に関わる。というか、凄く気持ち悪そうだ。
「ライ!」
「こっちだ!」
グラウンドから校舎裏に抜ける辺りに建っている巨大な金属製のオブジェから、声が飛んできた。
ちなみにこれはクロヴィス殿下が抽象系インスピレーションとやらでナイトメアを動員して作らせたものの置き場に困り、寄贈という名目で押し付けられたのだそうだ。
その、地上4メートルほどの一番下の枝先で、ジェレミア卿とヴィレッタ卿が呼んでいる。
絡み合った構造物の上の方には生徒が鈴なりでリヴァルやシャーリーの顔も見えたが、支柱周辺は蠢くピンク色に埋め尽くされている。普通に登るのは無理だ。
「ロロ、君だけでも逃げろ!」
「え」
僕はロロの首筋をひっ掴んだ。
「先生、パス!」
「えええ?」
片脚を軸に思い切りスイングさせ、二人に向かって投げる!
「任せろ!」
ジェレミア卿がキャッチして、横投げにヴィレッタ卿へパス。
「トス!」
「えええええ?」
「待てヴィレッタ、何をする!」
「ああっ!すみません!授業の癖で!」
だが口を「え」の形のまま静止させ上空へ飛んでいったロロは、リヴァルやそこらの男子連中にいいタイミングで受け止められた。俄か仕立てとは思えないチームワークだ。
これも日頃、ミレイさんに鍛えられた賜物だよな。ここ以外で何かの役に立つとは思えないが。
451:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 18:40:12 lnD5HRIT
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452:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 18:40:18 So36ipDA
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08/11/11 18:43:25 6pi3KmGX
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454:銀鰻 ◆yFhURPPFHA
08/11/11 18:45:00 aft5C0jf
「ライ、来い!」
ジェレミア卿はそのまま膝を引っ掛けてぶら下がり、真下へ駆け込みながら伸ばした僕の腕を掴んだ。
僕が地面を蹴るタイミングと合わせて、ぐいと上体を引き上げる。ヴィレッタ卿が素早く手を貸し、僕も無事に避難することができた。
「すっげー、先生!実は結構鍛えてる?」とリヴァル。
「ハッハッハ!任せておけっ!このぐらいは朝飯ま……え?」
細い鉄棒の上に立って胸を張ったジェレミア卿はバランスを崩し、今度こそ真っ逆さまに墜落しかけた。
「わぁ!ちょ、ちょっと、先生!」
僕らが必死で捉まえて、ようやく事なきを得る。
「詰めが甘いなあ」
一緒になって上着の裾を掴んだロロが無表情に呟く。
それから不思議そうな顔をして手を離し、僕を見て首を傾げる。なんだろう。
そこへリヴァルがロロの肩に腕をまわし、いつもの調子で声をかけた。
「よっ、お疲れ、転入生!そういえば生徒会に入るんだって?」
「え、まだ決めてな」
「わ~、新メンバーね!よろしく!」
シャーリーが反対側から声をかけ、握手の手を差し出す。
「ぼ、僕は、任……いえ、用事があるんですけど」
「ライと組んでれば大丈夫だよ。心配すんなって!」
無責任なこと言ってくれるなよリヴァル。僕は今、全力で忙しいんだってば!
「ジェレミア卿、ご無事で」
「うむ」
かれらの間を離れ、僕らは小声で状況を確認し合った。
彼は事件勃発後、真っ直ぐクラブハウスへ行こうとして連中と出くわし、足止めがてら戦っていたのだそうだ。
ちなみに得物はオブジェから抜き取った鉄パイプ。どっかのホラーゲームのようだ。
そこへヴィレッタ卿に引率されて避難して来た生徒達が合流、皆を登らせている間に敵が集まってしまい、動きが取れなくなったという。
「あの御……いや、クラブハウスの方はまだ連中が行っていないようだが」
「ルルーシュなら大丈夫です。連絡したら『こんな事もあろうかと防壁を巡らせてある、今回は陣形F2のトラップで対処可能だ』と言ってました」
「普段どのような事を考えておいでなのだ、あの御方は?」
その台詞はロイドのような連中の決まり文句ではないか、と幾分苦々しげに呟く。まあ、若干似た部分はある。
455:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 18:46:01 lnD5HRIT
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08/11/11 18:48:45 6pi3KmGX
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457:銀鰻 ◆yFhURPPFHA
08/11/11 18:51:09 aft5C0jf
「それにしても心配だ。なんとか突破できんか?」
「この状況では難しいですね」
オブジェの周囲はピンク色で埋め尽くされ、ごぽごぽふしゅーという音と甘酸っぱいラズベリーの香りが一面にたちこめている。
「かくなる上は止むを得ん。君、降りて行って囮になれ」
「助けておいて、それですか」
「冗談だ。殺気を放つな」
かなり本気の目だった気がしますと追求しかけた時、足元から衝撃が来た。さらに巨大化した小山のようなマシュマロの塊が支柱に体当たりしている。
「地上走行専用で助かりましたね」
念のため皆をもう一段ずつ上へ移動させながら、僕らはその名状し難い這い寄るシロモノを眺めるしかなかった。
「うーむ、結構美味いのだがな」
「あ、ほんとだ」
「だがいくら何でも食いきれんな」
「解決法としては穏便なんですけどね」
「味見してる場合ですか!」
ヴィレッタ卿の叱責が降ってきたところで、ようやくそいつの動きが止まった。
頭上を埋めた生徒達から歓声が上がった。
「やったぁ!」
「俺たちの勝ちだ~!」
「逃げ切っただけでしょ」
「いいからいいから!ほれ!」
皆で歓声を上げてハイタッチし合い、ばんざーいばんざーいオールハイルブリターニアーとか叫び飛び跳ねていたら、何か不吉な音がした。
ナイトメアで戦った時によく聞く、金属が曲がり折れる音だ。
言うまでもなく、ここにナイトメアは無い。音は、僕らが登っていたオブジェの、支柱の根本から発していた。
……マシュマロと僕らの与えた衝撃が原因だろうけど、もしかすると鉄パイプは抜かないほうがよかったのでは。
「ちょ!」
「え!」
「わ!]
「ウソ!」
「不覚!」
「ぎゃー!」
結局、僕らはみんなマシュマロの海にダイブすることになった。
458:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 18:51:21 So36ipDA
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08/11/11 18:54:07 6pi3KmGX
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460:銀鰻 ◆yFhURPPFHA
08/11/11 18:56:36 aft5C0jf
翌日から科学の担当はセシルさんになった。初日の挨拶で彼女はこう言った。
「皆さん、最初に覚えておく大切な事があります。『混ぜるな危険』です」
企画その2以降については永遠に封印され、ロイドさんの事は、誰も何も言わなかった。
悪いけど僕も気にしたくなかったとつけ加えておこう。
その日最後のイベントは、戦後処理だった。
といっても、今まで避難していた生徒が一斉に飛び出してきて、片端からマシュマロを持ち去っただけだが。
後に残った金属パーツは、科学部が責任をもって回収した。
どさくさ紛れに例のオブジェの残骸も持っていかれてしまい、ジェレミア卿はちょっと寂しそうな顔をして台座に鉄パイプだけを戻していた。
情景としては余計に寂しい気がするんだが、まあ、いいか。
赤い三角錐の台座に突き刺さった鉄パイプで、何かをイメージする人が居るかもしれない。芸術なんてそんなものだ。
「ジェレミアk……先生、彼をお願いできますか。脚をくじいたみたいなんです」
「心得た。君、ちゃんと掴まっているのだぞ」
他に目を回した生徒を一人小脇に抱えた彼がロロを背負い、僕は同じように着地に失敗した女子を抱いて医務室に向かうことにした。
ヴィレッタ卿は、何故か鼻血を出したソフィを支えている。たぶんまた何かで箸が転んだんじゃないかと思うが、聞かないほうがいい気がした。
そんなこんなで、僕がジェレミア卿を連れてクラブハウスへ帰った時には、もう夜もすっかり更けていた。
「殿下、申し上げても宜しいでしょうか」
皇族相手の礼儀なのだろう、ジェレミア卿はらしくもなく遠まわしに切り出した。
「話せ!」
階段の踊り場で、月明かりの窓に影絵のように立ったルルーシュが応じる。
「かような刻限に、またこのような風体で拝謁」
「構わん!本題に入れ!」
このような風体というのは、マシュマロまみれになったスーツの代わりに着た服の事だ。
寮住まいのクラスメイトに口利きを頼み体格のいい生徒のを借りてあげたのだが、かなり抵抗があったらしい。
「過日お目通り願った際、身の程も弁えず差し出がましい事を申し上げ、誠にご無礼を」
「そこまでだ!許す!」
461:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 18:56:52 So36ipDA
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08/11/11 19:00:40 6pi3KmGX
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463:銀鰻 ◆yFhURPPFHA
08/11/11 19:00:40 aft5C0jf
謝罪を途中で断ち切って、ルルーシュは階段を降りてきた。ホールの明かりに、主従が照らし出される。
……Tシャツジーンズサンダル履きのジェレミア卿と、制服にピンクのエプロンのルルーシュ。
控えめに言っても変テコな光景だ。しかし二人とも、大真面目な態度を崩さない。僕は腹筋を試されてる気がしてしばらく呼吸を止めた。
「貴公が善意で助力を申し出てくれたのも、おれを案じてくれたのも分かっている。もう気に病むな」
ルルーシュはそう言って、僕のほうをちらりと見た。
「だがそれだけでは納得はできまい。どういう事か、これから見せよう」
ルルーシュはそう言って、かっこいいポーズとともにエプロンを翻して廊下を歩き出した。
「こっちへ来い。ライもだ!」
僕らが連れて行かれた先はキッチンだった。なんだかいい匂いが漂っている。
彼はそこのテーブルにつけと、幾分横柄に見える仕草で示した。
「今焼いてるのはキッシュだ。おれが作った」
「は」
何を始めるんだ、と言おうと思ったが、ルルーシュが僕を見てかぶりを振ったので言葉を飲み込む。
「パイの中に卵と生クリームを主とした生地が入り、具材はアスパラと挽肉を用いている!」
ジェレミア卿に向かって、ルルーシュは作り方の説明を始めた。
まず材料の選び方と購入場所から始まって、手順をひとつひとつ。ガワの部分がけっこう長かった。そして中身。
「卵を割るときは、殻が入らないように気をつけねばならん。これは初歩の初歩だ」
「は」
「また混ぜるのにも注意が必要だ。均一に、かつ空気が入らないよう丁寧に、だが手早く!」
「……で、殿下?」
「黙って聞け」
「はっ!」
「具材を均一に並べ、隅々まで行き渡るよう生地を流し込む!ここでも気泡を入れぬよう注意!」
以下略。
全部終わってからルルーシュは「覚えたか」と言った。
「い、いえ殿下、私には」
「だろう。だがおれは、これと同レベルのものを本にして20冊分は記憶している。しかも、デザートは別だ!」
464:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 19:01:20 So36ipDA
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08/11/11 19:04:34 6pi3KmGX
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466:銀鰻 ◆yFhURPPFHA
08/11/11 19:05:17 aft5C0jf
ルルーシュ、そのかっこいいポーズは本当に必要なのか。
ツッコみたかったが、話の腰を折る訳にも行かないので黙っている。
「確かに必要に迫られて始めたことだが、これだけ手の込んだことを、嫌々ながらで出来ると思うか?
貴公はスザクに聞いたことで苦労ばかりを思ったようだが、技術を磨くのもけっこう面白いんだぞ。
手順を組み立てるのには戦略的な愉しみさえある。
それに、ナナリーやライが美味しいと言ってくれると、本当に嬉しいんだ。
だから過去の事は無駄でも不幸でも無いだろう?」
ルルーシュにしては素直に語ったじゃないか、と微笑ましく思ったら、彼はこう付け加えた。
「ああ、言っておくが料理だけ得意な訳ではない。学業も常にそれなりの成績を維持しているぞ。安心しろ!」
それにだ、と言葉が続く。
「いいか、もとより山野の草など、知識が無くて食えるか!そして転んでも只で起きるおれではない!調理のメモからレシピ本を書き、ちゃんと元も取った!おれの勝ちだ!」
そんな事もしてたのか、君。ていうか勝ち負けってあるのかこの場合。
だがジェレミア卿からは、食べるにさえ事欠いてか弱く育ってしまった皇子様のイメージは払拭されたらしい。
「流石はマリアンヌ様の御子!見た目は優しげながら逞しくお育ちだ!」
本気で分からない。マリアンヌ皇妃様って、どんな人だったんだろう。
とりあえず、僕の母は違うタイプに違いない。そう思いたい。
そこでタイマーが鳴り、キッシュは焼きあがった。見事なタイミングだと言うべきなのか。
「では、食ってもらおうか!」ルルーシュ、その言い草は、なんだか違うんじゃないか。
「イエス、ユア・ハイネス!」ジェレミア卿が応える。これもやっぱり何か違う。
「泣くなよ!塩加減が分からなくなるからな」
「泣きませぬ!」
ジェレミア卿は不思議に穏やかな、けれど決然とした表情でルルーシュを見つめていた。
感動すべきなんだろうか。
それとも、この妙ちきりんな主従に呆れるべきなんだろうか。
467:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 19:05:30 So36ipDA
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468:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 19:08:45 6pi3KmGX
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469:銀鰻 ◆yFhURPPFHA
08/11/11 19:09:12 aft5C0jf
何はともあれ解決をみて、疲れと安堵の配分を決めかねつつ椅子に凭れた時、視界の端で何かが動いた。
黄緑色の、長い髪。
ノックもせずにドアを開け、C.C.が入って来ようとしていた。
スザク以上に始末が悪い。ぶち壊されてたまるか!これ以上厄介事を増やすな!
「ライ?」
「どうした!」
背後で二人が呼んだが、僕はラリアットの要領でC.C.の首をひっかけ、そのまま廊下を一気に抜けて自室へ駆け込んだ。
「痛いじゃないか」
彼女はいつものように淡々と文句を言った。
「罰としてピザを買え」
「罰も何も、最初からそのつもりだったろ」
「小賢しいな、坊や。さらに罰だ。二枚買え」
「分かった。買うから今夜はルルーシュのところへ行かないでくれ」
にんまりと魔女は笑った。
「あれは面白い玩具を手に入れたな。ちょっと騒々しいのが難だが、相変わらず愉快だ」
相変わらず?
「しかし、お前のせいであれは変わってしまった。わたしの目的には適わなくなる」
まあ、それも悪くはないかと視線を窓の外へ投げ、彼女は吐息のように囁いた。
「その罰も追加で三枚買え。ポイントシールも忘れるな」
いいだろう、魔女め。結ぶぞ、その契約!
四枚買ってシールは全部やろう。ただし、一枚は僕のだ。
今日は朝から菓子パンとマシュマロしか食べてないんだ!
470:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 19:10:07 So36ipDA
支援
471:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 19:12:17 6pi3KmGX
支援
472:銀鰻 ◆yFhURPPFHA
08/11/11 19:13:00 aft5C0jf
【Epilogue】
「ジェレミア卿のこと、お兄様に伺いました」
翌朝、登校前にようやく逢えた姫君は、これから僕が咥えて走る予定のパンをトースターに入れてくれながら言った。
「やっとお会いできるのですね。楽しみです」
「様子を伝えてるだけで、待たせてしまったな。彼に頼みたい事があるんだよね」
「ええ。わたしのお願い、聞いていただけるでしょうか」
たぶん、問題は無いと思うが。
「ねえ、ナナリー。それって、ルルーシュや僕じゃ駄目な事なのか」
「……内緒です」
な・い・し・ょ・と区切られた一音節ごとに心拍数が跳ね上がる。君は何という危険物。
「ところで、お兄様が何かお悩みのようなのですが、原因をご存じですか?」
ジェレミア卿と話してて、せめて数学の授業に出てくださいと言われたんだよ。
成績はいいけど出席日数が足りないから、下手をすると留年だって。
かっこ悪くて顔を出したくないらしいけど、仕方ないよな。
473:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 19:13:33 aft5C0jf
以上です。1レスはみ出してしもたorz
時ならぬ長文投下にもかかわらず、ご支援いただきありがとうございました!
474:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 19:20:55 6pi3KmGX
銀鰻卿GJです!
続きを心待ちにしておりました!
今回もテンポよくコミカルに展開されていて読みやすく、尚且つワクワクしました!
そして、相変わらずジェレミアを始め各キャラがいい味を出してます!ロロの動向も気になりますし
次回の投下もお待ちしております!!
475:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 19:32:32 So36ipDA
>>473
銀鰻卿、GJでした!
先生達が大活躍だwww
特にロイド先生ww生き生きとしてるwww
マシュマロマン、無駄にスゲーwww
あぁ、笑ったら負けだというのなら、私は完敗ですwww
シリアスなのに、脳内で再生される映像はシュールというカオスwww
あー、もう、続きが気になる!
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
476:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 20:08:48 XRvjEr37
>>473
GJ!! 楽しかった!!
先生方のタガのはずれっぷりがwww
ダールトン先生の歴史は受けてみたいです。真剣に。
なんだかんだ言ってルルーシュが楽しそうだww
ただ、ロロの動向がちらりちらりと見えてきて、ちょっと不安にも思ったり。
次回の投下も楽しみにしております!
477:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 20:48:15 TzHcUWy9
人が居ましたら投下しますが居ますか?
478:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 20:49:43 tYfHOVQH
OKです
479:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 20:50:58 ac2avdz1
>473
おつかれさまでした!
あああもう本当に楽しかった!!
最初の日誌からラストの主従関係に至るまで、
なんてイキイキテンポがいいんでしょう。笑いが止まらない。もうみんな大好き。
ダールトン先生の歴史、受けたくてたまりません。
先生の軍記の詠唱なんて聞けたら一生ものの思い出だよ!!
湧き上がるキャラクターたちへの愛しさ、すばらしいと思います。
続きを拝見できる日を心待ちに。ありがとうございました!
480:萌は文化
08/11/11 20:51:38 TzHcUWy9
では投下します
タイトル「プレゼント」
8レスくらいです
カップリングは終了宣言で明かすので好き嫌いがある人は終わってから判断してください
注意点
やっぱりギャグよりなので嫌いな人はスルーしてね
481:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 20:51:47 ac2avdz1
支援待機いたします。
482:萌は文化
08/11/11 20:53:06 TzHcUWy9
明るく騒がしい夜の街中。
ライは1人ベンチに座り、待ち合わせの相手を待ち続けていた。
かれこれ1時間近く待っているライは通りすがりの女性に幾度となく声をかけられたが約束があると全て断っていた。
もう今日は来ないのかと諦めかけたその時、約束していた燃えるような赤い髪の少女を見つけ、ライは嬉しそうに微笑んだ。
「ごめんなさい、紅蓮の整備に時間かかっちゃって…」
いつも人前では病弱を演じる彼女だがこの時ばかりは遅刻した後ろめたさがあったのだろう。
ライを見つけた瞬間、すぐに駆け寄ったカレンはライの前まで来ると息を切らしながら頭を下げていた。
「気にしないでいいよ。無理にお願いしたのは僕だからね」
そんなことよりも忘れずに来てくれたのが嬉しいとライは優しく微笑んだ。
そんなライの微笑みにわずか数秒、カレンは見入ってしまい、すぐに我に返ると恥ずかしそうに視線をそらした。
「それじゃあ行こうか。早くしないとお店が閉まるからね」
そう言ってライは歩き出すと慌ててカレンもライを追いかけた。
そんなカレンの姿を見てライはクスリと小さく笑った。
483:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 20:54:13 ac2avdz1
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484:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 20:54:40 tYfHOVQH
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485:萌は文化
08/11/11 20:54:51 TzHcUWy9
なんだかデートみたい。
夜の煌びやかな街を歩きながらカレンはそんなことを思い、1人赤くなった。
「でも突然付き合って欲しいってどうしたの?」
赤くなった自分の顔がライに気づかれないようにカレンは言った。
実は今日の帰り際、黒の騎士団での仕事を終えたライはまだ作業が残っていたカレンに一言「今晩買い物に付き合って欲しい」とカレンの返事も聞かずに伝えるとさっさと先に帰ってしまったのだ。
それでカレンは何故今晩なのかと不思議に思い聞くとライは恥ずかしそうに頬を人差し指でかきながらカレンから視線をずらした。
「えっと、実は…プレゼントしようと思って」
「え…?」
カレンの胸が期待で膨れ上がった。
(プレゼントって………私に)
顔を真っ赤に染め、カレンの視線が泳いだ。
「普段お世話になってるからね。だがらそのお礼にと思って…」
少し穏やかな口調で言うライの照れ笑いを見てカレンの心臓の鼓動が絶頂に達した。
「だから選んでもらいたいなと思って……」
照れるライの視線がとある店のウィンドウに展示されている商品に止まった。
486:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 20:56:25 ac2avdz1
支援
487:萌は文化
08/11/11 20:56:42 TzHcUWy9
展示されている商品とライを見てカレンは驚愕した。
ライが照れながらも真剣に見ている商品は指輪だったからだ。
(ウソ……ライったらまさかいきなりのプロポーズ? そんな…私達まだ学生なのに…………でも約束だけならいいよね。私だってライが相手なら問題ないわ)
1人行きすぎた妄想にふけりながらカレンは自分で自分を抱きしめるような仕草をしていた。
「どうしたのカレン。寒いの?」
そんなカレンの姿を見て心配そうにライが尋ねた。
「え、あ、いやいや、これは、その…」
慌てて誤魔化すカレンにライは自分の上着を脱ぐとカレンにそっとかけてあげた。
「え………ライ」
「夜は冷えるからね。女性が体を冷やすのは良くないよ」
「………うん、ありがとうライ」
ライの気遣いにカレンは頬をほんのり赤く染め、体だけでなく暖かな気持ちになっていた。
「じゃあ、時間もないから少し急ごか」
「ええ」
早足で歩き出すライ。
その後ろをカレンは追うように歩き出した。
プレゼントなんていらない。
ただこの時間が長く続けばいい。
そんなことを考えながらカレンはかけてもらったライの上着を大丈夫そうに握りしめた。
488:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 20:57:18 aft5C0jf
支援参加
489:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 20:58:25 tYfHOVQH
支援
490:萌は文化
08/11/11 20:59:35 TzHcUWy9
「ねえ、カレン。これなんてどうかな」
とある店の前でライが立ち止まり、指差したのはショーケースの中の少し派手めなネックレスだった。
「うーん、少し派手じゃないかしら」
「そうかな。でも井上さんにはちょうどいいと思うんだけど」
「確かに井上さんには似合うでしょうけど………………井上さん?」
何故そこで井上さんが出て来るのか?
カレン表情が凍った。
「やっぱりそうか。ありがとうカレン。値段も手頃だしこれにしよう。すみませんこれ」
表情が固まったカレンに気がつかずにお礼を言うとライは店の中に入って行った。
「プレゼントって………まさか井上さんに?」
1人店の前に残されたカレンは舞い上がっていたこともあり、一気に突き落とされた気持ちになっていた。
「買えた買えた。ありがとうカレン。やっぱり女性の意見があると助かるよ」
そんなカレンの気持ちに気付かずに井上へのプレゼントを買えて喜んでいるライを見てカレンの怒りが頂点に達した。
「フフフ……ライ」
「何だいカレ………ッン!?」
カレンは胸倉をつかみ勢いよくライに背負い投げ喰らわした。
491:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 21:00:00 aft5C0jf
支援
492:萌は文化
08/11/11 21:01:25 TzHcUWy9
しかし、それだけではカレンの怒りはおさまらず、さらにそのままライの足をつかみカレンは1、2度ライを地面に叩きつけた。
「ライの………馬鹿ぁぁぁ!!」
ライを放り投げるてカレンは泣きながら走り去って行った。
「…………な、何故?」
自分の説明不足が招いた痛みに苦しみながらライは呟いた。
「あれ~ライ君だ~」
ボロボロになったライの元に、おぼつかない足でライの見知った人物が近づいて来た。
「井上さん…?」
「なんでライ君がボロボロになって倒れてるのかな~かな~かな~」
ヘラヘラ笑いながらライを突っつく井上を見てライは思った。
酔ってる。
酔っ払っている。
どこかで飲んで来たのだろう。
井上の目がトロンとしていて頬もほんのりと赤い。
「あ~もしかして捨てライ君かな?」
「そんなわけないでしょ。っていうか捨てライってなんですか」
痛む体を起こし、ライは井上に突っ込むが酔っ払った井上は聞いてなどいなかった。
「うーん、しくしく可哀想に。ライ君を捨てるなんて酷い飼い主ね」
「人の話を聞いてください」
493:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 21:01:39 ac2avdz1
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494:萌は文化
08/11/11 21:03:25 TzHcUWy9
泣いたフリをしながらライをなでなでする井上。
周囲の目など気にしないのは酔っ払いだからだろう。
「安心して、ライ君は私が責任持って育てるから」
意を決したように井上は拳を握りしめた。
「育てるってなんですか育てるって!」
悪い予感しかしないライが叫ぶがもちろん井上はお構いなしだ。
「大丈夫~♪ 私ライ君大好きだから」
「な! 井上さん………って何を」
酔ってるとはいえ井上に好きだと言われて赤面するライだったが、そんなライを井上は大事そうに抱き上げた。
恥ずかしくて抵抗するライだがカレンの一撃が原因で上手く体が動かず、井上の好きなようにされていた。
「それじゃあ帰るわよGO~♪」
「は、離してください井上さん!」
結局ライは井上にお持ち帰りされ、井上が酔いつぶれまでお酌をしていたらいつの間にか朝になってしまい、ライが帰宅したころには昼過ぎになってしまったらしい。
495:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 21:04:37 ac2avdz1
支援
496:萌は文化
08/11/11 21:05:58 TzHcUWy9
おまけ
カレン「井上さん」
井上「ん、何カレン?」
カレン「私、負けませんから」
井上「?」
ゼロ「惚れたら負けとは言ったものだな」
C.C「お前が言うかそれを。で、どちらが勝つと思う?」
ゼロ「うむ、やはり学校でも一緒にいる分カレンではないか。そう言うお前は?」
C.C「私か? 私は私に賭けよう」
ゼロ「………本気か?」
C.C「何か問題か?」
ゼロ(あとでライの奪い合いの2次被害の対策を考えねばな)
497:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 21:06:18 aft5C0jf
支援
498:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 21:08:33 tYfHOVQH
GJ! 色々と誤解を生んだ上にお持ち帰りされるライ乙w
酔っ払っていようとライをお持ち帰りできるパワーがある井上さんって(ry
そしてガンガレ、カレン。もう一度GJ!!
499:萌は文化
08/11/11 21:09:04 TzHcUWy9
以上で終了
ネタバレになるのでカップリングは最初に表記しませんでしたがカップリングはライ×井上、またはライ→井上でした
すみません誤字です
>>487
大丈夫そうに→大事そうに
では支援ありがとうございました
500:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 21:10:19 aft5C0jf
GJ!無自覚少年、不憫ながらある意味自業自得w
そしてこの後の騎士団の混沌っぷりが楽し…いやいや、気の毒になりますね!
501:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 21:10:28 tYfHOVQH
面白すぎて投下終了宣言の前に感想を書いてしまった……スイマセン
502:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 21:19:42 ac2avdz1
>499
酒に乱れた井上さんの様子に、胸倉掴んでガクガクさせてながら
お前それでいいのか?彼女でいいのか?と問い質したい衝動にw
誤解させられたカレンが気の毒wですが、きれいな背負いを決めてくれた上に
それでもライをあきらめないその意気や良し!!
・・・ということでCC共々正々堂々取りあっていただきたいものです。
れっつ修羅場。
ありがとうございました!!
503:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 22:04:51 So36ipDA
>>499
萌は文化卿、GJでした!
ふっ、当然ながら見事に騙されたぜ!
あぁいいなぁ……と、思いつつ、ノットライカレで笑いましたw
そして出てくる井上さん、酔っ払いは手におえないw
ラストのゼロはやたら冷静ですねwww
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
504:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 22:24:34 v7m0c+Lu
22:30あたりから投下しようと思うのですがよろしいでしょうか?
505:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 22:31:56 oaHR96av
まだいますか?
携帯でよければ支援できます
506:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/11 22:33:42 v7m0c+Lu
予告と終了あわせて8レスなのでまったりお願いします。
(・∀・)つ|投下予告|
親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT
#第2章前編。>>167 の続きです。1章に引き続き鰤軍がメイン
#1期23話以降のネタバレを含みますのでご注意。R2に繋げるため基本的なストーリーは変わりません
#ナイトメアフレームについての捏造があると思われます。The Completeを買うべきでしょうか
507:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 22:34:32 oaHR96av
支援
508:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/11 22:35:23 v7m0c+Lu
親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT 2*ブラックリベリオン(前編)
ユーフェミア皇女殿下が収容されたとの連絡を受けアヴァロンに駆けつけた僕が最初に耳にしたのは、
魂を引き裂かれるようなスザクの慟哭だった。僕は大切な友達をひとり、失ったのだ。
実は私たちも全てを把握している訳ではないの、そう前置きしてからセシルさんは状況をかいつまんで説明してくれた。
式典の直前になってゼロが単機やってきたこと、ユフィと2人きりで会談をしたこと、突然ユフィがひとりで戻ってきて
日本人の虐殺を命じたこと、自らの銃で日本人を殺しそれを引き金にブリタニア軍による日本人の虐殺が始まったこと、
直後に黒の騎士団が式典会場に突入したこと。
何もかもが悪夢のような話だった。
いや、きっとこれは悪夢なのだろう。証拠に視界はぐるぐる回っているし頭はハンマーで殴られたようにガンガンする。
あのユフィが、なぜこんなことに。
だって僕はつい先週、彼女と話をしたじゃないか。
花のような笑顔。希望にキラキラ輝く瞳。
どうして彼女の未来がこんな形で閉ざされなければならないのか!
「ユフィは虐殺なんて命じていない」
扉が開きスザクが姿を現した。彼はまだ血で濡れた礼服に身を包んだままで、その拳は固く握られている。
「スザク」
「コーネリア総督はどうされている」
「…この場は僕に任せられ、軍を整えるためにいったんトウキョウ租界にお戻りになられた」
愛する妹の死を知ったコーネリア様は戦闘の中止命令を出して政庁に引き上げてしまった。僕はギルフォード卿の判断で
アヴァロンに状況を確認しにきていたのだった。わざわざ足を運ばせたのはおそらく彼の心配りなのだろう。
509:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/11 22:37:15 v7m0c+Lu
「…そう」
スザクは扉を振り返った。あの向こうにユフィが眠っている。彼女の愛らしい笑顔はもう二度と見られない。
「総督に伝えてくれないか。ユフィの仇は俺が、必ず俺がゼロを殺すと」
彼らしからぬ台詞に思わずスザクの顔を凝視してしまう。その時はじめてスザクと目が合った。
「…ッ!」
いつも明るい光を宿していた翠玉の瞳に暗い炎が灯っている。僕は息を呑んだ。
僕はこの瞳を知っている。底知れぬ深い憎悪を糧に暗く燃えさかる負の感情。でもどこで?
「じゃあ、…もう行くよ」
きびすを返すスザクの後をセシルさんが追う。僕はその背に掛ける言葉もなく立ち尽くすしかなかった。
この時スザクをそのまま行かせてしまったのを、僕はずっと後悔し続けることになる。
僕はアヴァロンを降りギルフォード卿の元に出頭した。コーネリア様は既に陣頭で指揮を執られているようだ。
今更ながらコーネリア様の強靱な精神力に感嘆する。
ごめん、ユフィ。
僕は心の中で大切な友達に語りかける。
まだ君のために涙を流せない。あの方が泣いていないのに、どうして僕が泣けるのだろうか。
「敵は黒の騎士団を中心としてトウキョウ租界を目指し進軍を開始している」
遅れて到着した僕のために、ギルフォード卿は租界周辺の地図を映しだしたモニターで手早く現状を説明してくれた。
「エリア11の各地でイレブンの蜂起が始まっているとの連絡も入っている。だが当面の敵は黒の騎士団、彼らをいま
抑えれば地方の動きも沈静化するだろう」
状況は防衛戦。一時的にトウキョウ租界を黒の騎士団に明け渡しシュナイゼル殿下の援軍と合流した上での反撃も
検討されたが、ここで悪しき前例を作るのは他の《エリア》の統治にも影響が出かねないとして却下となったようだった。
510:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 22:37:54 Nf/IhJ6i BE:1963802887-2BP(0)
しえん
511:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/11 22:39:40 v7m0c+Lu
まずは租界への侵入を防ぐ。その上で援軍と合流し、速攻で黒の騎士団を叩く。今回はこれまでの局地的な戦闘とは
明らかに違う。黒の騎士団はこの一戦に賭けている。
ゼロとて戦闘が長期に及べば自分たちが不利だと分かっているだろう。それだけに租界外周は激しい攻防が予想された。
「ライ、貴公はテュール第3分隊をもってポイントD-4の守備にあたれ」
「イエス、マイ・ロード」
親衛隊直轄のサザーランド機動隊、イシカワ侵攻時に任された倍以上の戦力だ。あの時はダールトン将軍の指示のもと
特定のポイントを攻めるだけでよかったが、いま受け手に回っているのは僕らの方だ。
…特区日本式典会場にいたダールトン将軍の行方はまだわかっていない。
よほどこわばった顔をしていたのだろうか、ギルフォード卿は僕の緊張をほぐすように笑顔を見せるとポン、と肩を叩いた。
「臆するな、私も隣のポイントで指揮を執る。貴公の働きに期待しているぞ」
命令された配置につくために再び格納庫に急いだ。
僕のクラブはランスロットほど潤沢にサクラダイトを使用できていない。とりわけ違いが顕著なのは出力だった。
スザクのような無茶な動きをクラブでしようとすると大量にエナジーフィラーを消費してしまう。防衛戦ともなると
そう頻繁にエナジーの換装は行えないだろう。いっそう効率の良い戦い方が求められてくる。
クラブのデータをロイドさんが収集しにきた際に、エナジーの消費量について意見をしたことがあるが
『だからライくんの専用機なんだよ』とあっさり返されてしまった。スザクのランスロットといい僕のクラブといい、
搭乗者を選ぶようなピーキーな機体ばかり作って量産機にどうやって反映させるのだろうか。不思議でならない。
僕は悩んだ末にキュウシュウ戦役の際に取り付けられたフロートユニットを外すようメカニックに指示をした。
飛ぶ必要がなければただの重りでしかない。空からの支援は航空部隊に任せよう。
その足で指揮を任された第3分隊とのミーティングを済ませ、僕らは出撃する。ゼロが通告したという24時の
刻限まで、あと僅かな時間しかなかった。
512:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 22:40:26 Nf/IhJ6i BE:315611633-2BP(0)
支援
513:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/11 22:41:40 v7m0c+Lu
両軍が対峙する中、時計がタイムリミットの24時を刻む。それと同時に地を揺るがす轟音が鳴り響いた。
「何ッ!」
トウキョウ租界のフロアパーツが次々と切り離され、崩落していく。租界の外周に陣を敷く形を取っていた
ブリタニア軍はひとたまりもなかった。
「ハーケンを放て!退避ッ!!」
僕はとっさにそう叫ぶと同時にスラッシュハーケンを放ち、崩れる足場を間一髪で逃れる。
崩落に巻き込まれ、ブロックに押し潰された戦車やナイトメアが炎を吹き上げながら眼下を滑り落ちていく。
いや、目の前だけじゃない。租界の外周に沿ってどこまでも、どこまでも。
その延々と続く破壊の光景と、遠いどこかの光景が重なった。
(ライが命じる、我が国に害なす者達を皆殺しにせよ!!)
(一兵たりとも生かして帰すな!)(国王ライ万歳!!)
(お兄さま、助けてお兄さま!!きゃあああああ!!)
(国王ライ万歳!!)(国王ライ万歳!!)(国王ライ万歳!!)
(─おやすみ)
ガクン、と激しい衝撃がコックピットを襲い、僕は我に返った。
《しっかりしろ!ライ!!》
僕のクラブはギルフォード卿が放ったハーケンに絡み取られ、かろうじて落下を免れている。過去の記憶に気を
とられていた僕は最初に退避した足場が更に崩れたのに気づかなかったのだった。
514:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/11 22:43:18 v7m0c+Lu
思い出した、全てを。
思い出してしまった。
僕の愚かしい罪も、失った大切な人達も。
《ライ!どこか負傷しているのか!?》
ギルフォード卿からの呼びかけに否と答え、両手で頬を打ち頭を振って過去のビジョンを追い払う。
改めて操縦桿を握り直し、前方を見据えた。僕にはまだやるべき事が残っている。
さすがは親衛隊直轄の部隊と言うべきか、僕が指揮を任された隊の被害は軽微だった。ハーケンを命綱に無事崩落から
逃れたようだ。だが瞬時にして戦力の大半を失ったために兵の動揺が激しい。
これまでもゼロの戦い方は常に先手・奇襲で相手の戦力を大きく削り、指揮系統を混乱させての各個撃破。
だから今回も何か奇策を打ってくる。それはブリタニア軍も分かっていたはずだったが、宙に堂々と浮くガウェインの
威容とタイムリミット24時の宣告に、黒の騎士団が正面から攻めてくると思い込んでしまったのだった。
やはり戦略ではゼロが一枚上手。
この崩落でトウキョウ租界への入り口である幹線道路を封鎖していた部隊はほぼ壊滅してしまった。それに瓦礫の山が
租界を取り巻き、絶好の足場を築いている。これではどこからでも敵の侵入を許してしまう。すべて計算尽くか!
《全軍に告ぐ》
コーネリア様からの通信が届く。
《全軍ブリタニア政庁まで後退せよ!繰り返す、全軍ブリタニア政庁まで後退せよ!》
515:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 22:44:05 Nf/IhJ6i BE:701358454-2BP(0)
支援!
516:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/11 22:45:11 v7m0c+Lu
ブリタニア軍は戦力と地の利を失った。このままみすみす黒の騎士団に各個撃破を許すわけにはいかない。
僕は他の負傷者をかばうように隊の陣形を整えさせると政庁までの後退を開始した。だが、移動を始めてすぐに
隊の1機が遅れがちなのに気がつく。見ると右のランドスピナーの回転率が悪いようだった。
「5番機、駆動系に問題が?」
《先程の衝撃で破損したようです。多少出力は落ちていますが、まだ走れます》
「了解した、後方のフォローに回る。2番機、僕の位置に入れ。陣形を崩すな」
そう言って僕が遅れた5番機の後ろに回り込もうとした時だった。
レーダーに熱源反応が映った、と認識するより体が反応する方が早かった。振り上げた僕のランスと相手の刃が
ぶつかり合いギイィィイインと耳障りな音を立てる。続けざまに襲ってくる刃を下から跳ね上げ、空いた胴に柄で
突きを入れる。後方に跳ね、避ける敵にアサルトライフルで追い打ちを掛けるが、相手は刀を回転させてそれを防ぐ。
《隊長!!》
「僕に構うな!!行けッ!」
《イ、イエス!マイ・ロード》
走り去る5番機と敵の間をふさぐようにして僕はそのナイトメアに対峙する。
黒のカラーリング、頭部に二房の赤い飾り髪。
黒の騎士団のTYPE-03F─月下。
搭乗者は『奇跡の藤堂』。
517:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/11 22:47:40 v7m0c+Lu
#(・∀・)支援ありがとうございました。2章前編終了、後編に続きます
#藤堂さんとは我が騎士との対戦後に遭遇したと言うことにして下さい。連戦お疲れ様です
#本編沿いはどうしても劣化コピーになってしまう…改めてLCシナリオライターさんは凄い
518:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:00:46 Nf/IhJ6i BE:631223036-2BP(0)
(・∀・)卿
gjです!
これからどう本編とどう変わっていくのか、それ以上に藤堂対ライにwktkだったりします。
>>499
gjです!
カプは井上さんでしたか!
酔っていたシーンはレナみたいな井上さんを想像してしまいました。
カレンには気の毒ですがさすが一級フラグ建築士ですねw
あいかわらず、上手かわいいSSごちそうさまです。
さて、自分も一つ16レス分のSSを投下しようと思っているんですが、23時15分から投下してもよろしいですか?
519:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:03:57 at4YaNWm
支援はお任せを
520:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:16:27 Nf/IhJ6i BE:841630638-2BP(0)
俺式ロスカラ続編~騎士団カレンルート~ 4話
一応シリアス系でタイトルどおり、騎士団カレンルートから特区日本の失敗ifからの続き。
ライカレ前提のお話ですが、今回は戦闘メイン
だいたいライ視点。
「ライくん002チャンネルで面白いものやってるわよ~」
ちょうど今、中華連邦の山岳地帯で実地試験を行っていた最中だったのにラクシャータさんから通信がはいってきた。
今回の試験は前回のように輻射波動の試験ではなく、暁の指揮官機 残月のテストを僕がそれに乗って行うというもの。
外見や名前は以前の暁0式と変わらないものの、駆動系などの中身は明らかなチューンアップを実現していた。
試験内容はおもにペイント弾での模擬戦闘なので、以前より安全なところで行えるのである。
「日本人よ私は帰ってきた!聞けブリタニアよ、葛目せよ力をもつすべての者たちよ!」
モニターからは、一年前に見てからそれ以来見ることがなくなった仮面の男
『ゼロ』が大袈裟にマントを翻しながら演説を行っている。
「ついに成功したんだ!カレンたちは!」
模擬戦などほったらかして画面に釘付けになる。
「ラクシャータさん。当初の作戦通りただちに上海方面に戻りましょう!
たぶんブリタニアは、今つかまってる黒の騎士団の処刑を近いうちに行うはずです。」
521:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:17:02 at4YaNWm
支援
522:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:18:03 Nf/IhJ6i BE:1402716285-2BP(0)
ライの予想はしっかりあたっていた。
しかし、急いで試験を終わらせてトラックを飛ばしても中華連邦の奥地で模擬戦を行っていたため、
神楽耶のところに着いた時には処刑の一時間前。
「ゼロ様はこのピンチを潜り抜けられるでしょうか?」
と神楽耶が訪ねてくる。
「愚問ですな。咲世子 先々の手配を、それと戦闘隊長は新型の積み込みを。」
ディートハルトは当然というように自信たっぷりである。
はたして本当に大丈夫だろうか。
僕は移動中にゼロが起こしたバベルタワーでの情報を集めてみた。
あのタワーを爆破しその瓦礫によってカラレスを押しつぶした。
さらには倒れた塔を道として使い中華連邦の総領事館に立てこもったという。
この手並みから、あのゼロは本物で中身はルルーシュだと確信はできる。
けれど、アッシュフォード学園の状況は以前C.C.から聞いていたので
ルルーシュは常に記憶が戻ってないように行動しなければならな事もしっている。
はたしてここまでの逆境を跳ね返すことができるのだろうか。
「信じましょう。ゼロ様を。今の私たちにはそれくらいしかできないのだから。」
僕が心配しているとそれが伝わったのか神楽耶が僕の強く握ったこぶしの上に手をそっと置いた。
「私なら悪を為して巨悪を討つ」
それまでのギルフォードとゼロの会話はオープンチャンネルだったため、ライたちには全て聞こえてはいたが
ライは一切耳を傾けずにこの作戦が成功する事例を片っ端から想定していった。
しかし、先ほどの言葉がライを思考の世界から現実に引き戻してくれたのだ。
正確にはあの言葉もそうだが、直後に起こった音により引き戻された。
あの言葉の次の瞬間、映像の中からすごい音とともに処刑場が崩れて下がっていくのがわかった。
そう、それはまるで かつて僕が参加できなかったブラックリベリオンのように
処刑場の地面となる基盤の対震構造となるベースをパージしたのだ。
523:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:19:51 at4YaNWm
支援
524:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:20:05 Nf/IhJ6i BE:1402716858-2BP(0)
決闘の武器として鎮圧用の盾を借りた意味がようやく理解できた時、ルル―シュは既に中華連邦の総領事館に入っていた。
神楽耶の言うとおりどんな事例を想像したって連絡すらとれない今では意味がない。
最初から彼を信じていれば、歴史的瞬間をもっと落ち着いた状態で友を見守ることができた事に少し後悔を覚える。
僕らの基地ではみんなが大喜びしていた。
カメラからは崩れた地面の向こう側の情報はわからない。
このあとのブリタニア軍の追撃の様子は一切わからないが、そうかんたんには手だしできないだろうし
なによりも扇さんたちが救われた事は間違いない。
自分たちのこの一年の活動が実り、大きな成功を導けたこと、嬉しくないはずはない。
ディートハルトはモニターを抱えながら飛び回り、咲世子と神楽耶はハイタッチしている。
ラクシャータですら相当の笑顔でキセルをポンポンとリズムよく手のひらに当てながら喜んでいる。
ゼロが起こす奇跡によって団員が魅了され、作戦が成功する度に少人数でこうやって喜ぶ。
人数はかなり減ってしまったが、僕が入ったころの騎士団の様子とあまり変わらない。
咲世子と神楽耶が僕にハイタッチを求めてきた。
笑顔がとてもかわいらしく見えた事はカレンには口が裂けでもって言えない。
ただ、今はとてもうれしいし断る理由もない。
「これから忙しくなる事がこんなに嬉しいなんて思っても見なかったよ。」
と、嬉しくて頬が緩む。
「お義兄様はこれからいーっぱい働くんだから、いまの言葉 忘れちゃダメですわよ。」
いたずらっぽく笑いながら僕の胸を小突く彼女をまたもかわいいと思ってしまった。
いけない、いけない…
ふと浮かんできたカレンは紅蓮のコクピットから僕をひきつった笑顔で見下ろしていた。
たぶん長いあいだカレンにあってないから、色々溜まってるんだろう。
と都合よく解釈して頭の中で怒ってるカレンを気にしない事にした。
525:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:21:41 at4YaNWm
支援
526:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:23:10 ac2avdz1
支援
527:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:23:51 Nf/IhJ6i BE:736426837-2BP(0)
そして、その日のうちに僕とラクシャータさんは潜水艦の準備を開始し、咲世子さんは蓬莱島の手配に取りかかった。
数日経ってからゼロからの連絡がついにきた。
主な内容は卜部さんの戦死やバベルタワー、団員奪還作戦での被害状況。
それと、どうやら明日ナナリーが新総督として日本にくるらしいので
こちらの残った全戦力で奪取を試みるらしい。
向こうはありったけの戦力をぶつけるつもりらしいが、それでも戦力として乏しいものがある。
今回の通信目的は、その増援として直ちに出発せよとの事だった。
積もる話もあったが、ゼロと二人きりで話す そんな事はできないとわかっていたので、
“精一杯頑張ろう”とルルーシュへのメッセージを送った。
案の定、僕の発言の意味を知ってか鼻で笑いながら
”頑張るだけでは無意味であり結果が全て”と訂正してきた。
どうやら、兄としての覚悟は決まっているらしい。
「すまない。当たり前のことだったな。」
仮面のしたで彼はフンと鼻で笑ったのが相変わらずのしぐさであり、とても彼らしい仕草だ。
528:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:24:43 ac2avdz1
支援
529:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:24:49 at4YaNWm
支援
530:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:26:11 Nf/IhJ6i BE:1963803078-2BP(0)
作戦開始から一時間がすぎている。
ブリタニア軍の東京からの援軍ももう到着しているだろう。
ライのテストへの参加により予定よりも早期に完成した暁が潜水艦には数機あったが、僕は単独で発進する事にした。
ゼロに実地試験でのラウンズによる奇襲を報告し、僕らが地下活動の時に集めた戦力で海洋警戒部隊の陽動作戦をするように頼んだ。
そのおかげもあって、この潜水艦は途中攻撃される事もなく日本にむかう事ができたものの、これから先 母艦への敵襲がないとは限らない。
それに、脱出した騎士団の回収も行わなければならないからだ。
出撃してすぐにナナリーの乗る旗艦を捕捉できたものの状況はすこぶるよくない。
こちらの戦力は少し前に朝比奈さんが脱出した上無事な機体はどうやら月下3機とカレンの紅蓮だけのようだ。
それに比べ、向こうはラウンズが2人もいる上に以前戦ったヴィンセントのような機体だけでも5機いる。
あらかじめ、僕らを警戒していたハワイ駐屯部隊の一部が合流していたのだろう。
「聞いてたとおり、戦力は多いわね。」
藤堂のハーケンを使い3機目のフロートユニット装備型サザーランドを仕留めた紅蓮のパイロットはそうこぼした。
護衛艦にとりついた機体が本艦に取りつくまで、敵の増援もあってか予定以上に遅れてしまった。
その上、こちらの戦力は全員がエースといえどたったの4機。加えてナイトオブラウンズまで出てきたという始末。
さすがに、この戦力差と作戦へのプレッシャーからは黒の騎士団のエースでも逃れることは難しいのだ。
「ライっ、はやく来て…」
一方そのころ、ブリッジにアラートが鳴り響いた。
大型物体が自分たちの船に接近している事を意味するアラート
「右翼護衛艦操舵不能!このままでは本艦に直撃します。」
「はぁ?!」
アーニャの駆る機体。ラウンズの中でも重装甲機であるモルドレットがシュタルクハドロン砲を構える。
531:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:28:47 Nf/IhJ6i BE:631223036-2BP(0)
しかし、彼女がトリガーを押すことはなかった。
なのにnけたたましい音と閃光が戦艦は爆発を起こす。
原因は斜め下からの赤黒い光線だった。
「相変わらずだな、モルドレットのやることは」
「……私じゃない」
「えっ?」
―――――――
小型艦を撃破して間を開けず輻射波動砲弾を撃ちはなった。
固まっていたヴィンセントの部隊への射程距離はギリギリだったものの、ヴィンセントを二機撃破できた。
海のようなやや深い青色の機体、頭部についている機体より濃い青の毛束。
キラキラと銀色に光る水面のようにその機体の左腕は輝いている。
海を背景に海のような機体が飛んでくる様はとても綺麗でどこか幻想的だった。
以前の暁0式を残月用の試験機として改造した機体。先行試作型残月。
「みなさんお久しぶりです。こちらライ。これより援護します!」
532:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:29:27 ac2avdz1
支援
533:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:30:46 Nf/IhJ6i BE:2209278479-2BP(0)
誤字すいません。
なのにnけたたましい音と閃光が戦艦は爆発を起こす。
↓
なのに、けたたましい音と先行が起こり戦艦は爆発する。
534:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:31:18 ac2avdz1
支援
535:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:31:26 Nf/IhJ6i BE:561086944-2BP(0)
「助かった戦闘隊長殿!!」
「ありがとうライ!」
音声だけの通信だけれど、みんなが喜んでくれているのが分かりこちらまで嬉しくなる。
以前 王と呼ばれ自ら戦にたった時にも、こういった歓喜を浴びせられるのは心地いいものだった。
ヴィンセントの残った部隊は混乱をすぐに回復し、藤堂さんたちに追撃をかけている。
どうやら優秀な指揮官がヴィンセント隊の指揮を取っているのだろう。
援護するために、機体を動かそうとした時。巨大なハーケンがこちらに飛んできた。
かわす事が無理だと判断し即座にシールドを展開する。
ハーケンが大きかったせいか機体へのダメージはないものの、かなりの衝撃をもらってしまう。
攻撃してきた機体は以前、試験を襲撃してきた機体とかなり似ていた。
「ちぃっ、あの時のラウンズか!」
特徴から、機体のバージョンアップだろう。パイロットは以前 孤島での奇襲時に戦ったであろうジノ・ヴァインベルグ。
しかし、こちらも暁のポテンシャルを超えた機体、残月の先行試作型を使っている。
以前よりも十分に強化されているだけでなく、勘を取り戻すためと言うよりはむしろ腕前を上げるために
シュミレーションでの 対精鋭多数戦や大幅な性能差がある機体との模擬戦など、僕自身も様々な努力をしてきた。
それらに加えて、この戦場には以前と違ってみんながいる。そのことがなにより心強い。
それらの好条件がそろい、今はとても澄んだ感覚で残月を操縦できる。
「この間のかりを返させてもらう!」
僕はトリスタンに狙いをつける。
536:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:32:23 Nf/IhJ6i BE:736426837-2BP(0)
ちょうどそのとき、別方向から新しい機体がこちらに向かってくるのが見えた。
どうやら少し離れた輸送艦からスザクがランスロットを発進させてきたようだ。
(しまった、こちらはトリスタンの相手とヴィンセントへの牽制で精一杯。)
「まずいカレン。艦の中へ!」
「でも、まだみんなが」
と言ってランスロットのヴァリスを輻射波動で受ける。
しかし、スザクは連続してハドロンブラストを放つ。
流石のグレンもこれには耐えきれず、右腕と頭部を破損させてしまう。
その衝撃により取り付いていた戦艦から落ちてしまう。
「紅月!!」
と千葉さんの月下が助けようとするが、間に合わないどころかモルドレットに捕まってしまい、傷ひとつ付けられないまま撃破されてしまう。
「だめ、脱出レバーが動かない。」
脱出勧告する画面は出ているものの一向に紅蓮の脱出機構は作動しない。
ガコッという音が虚しくコクピットに響き渡る。
「落ちちゃう。ごめんね紅蓮 お母さん、お兄ちゃん………………………ライっ。」
「カレン大丈夫かい?」
目の前にいるラウンズと戦いながら、音声だけで通信を行う
「ライ、どうしよう。脱出できないの」
「大丈夫だよカレン。もうそろそろだから。」
何の事かわからず落ち着かない様子で首を傾げるカレン
そこへいきなり、ラクシャータが通信を送ってきた。
「ベストポジションじゃない」
「ラクシャータさん!?」
「おまたせ~ 黒の騎士団特製、飛翔滑走翼。教本の予習はやった?」
「はい!」
「じゃあ問題ないわね~ 舞上がりな~ 飛翔滑走翼~」
537:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:32:33 at4YaNWm
支援
538:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:33:54 ac2avdz1
支援
539:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:34:35 Nf/IhJ6i BE:2209278097-2BP(0)
今、相手にしなければならない僕の敵は6機
そのうち3機は藤堂さんの追撃。援護したいのは山々だが、さすがにラウンズが三人もいる以上彼らから目を話す事は許されない。
ラウンズの機体は火力重視の機体と、スザクが駆るバランスのとれたランスロット。
そして、以前戦ったトリスタン
どう戦うか様々なシュミレーションを頭の中で即座に行いながら僕は残月のレバーをさらに強く握りしめた。
「二人とも、本気でいけ! あのパイロット ラウンズ並みの腕前だ。
奴に対して無闇に背中を見せるのは危険だ。総督はこいつを何とかしてから助けよう。」
「ジノがそう言うなんて、以外…」
「ジノがそこまで言うなんて…あの機体やっぱり……」
「おいおい、二人ともさり気にひどい事いってないか?」
そんな他愛もない会話を行っていてもやはり腕前は帝国最強というラベルをもらうことはある。
隙のない攻撃と間合い。ラウンズを簡単に突き崩せないという事を改めて実感せざるを得ない。
3機のラウンズ専用機が一斉に攻撃を行うがシールドと機体の反応速度をフルに利用した精密な操作入力で、
弾をかわしつつランスロットに斬りかかったものの、向こうもMVSで斬り防いぎ、鍔ぜりあいに持ちこまれた。
流石にもう油断はしてくれないみたいだ。
「ライ!ライなんだろう?ジノやロイドさんから話は聞いていたけど、やはり生きていたんだね。」
「あぁ、この通りな。でも、どこかの虐殺皇女様のおかげで本当に殺されそうだったよ。
そのせいでゼロも守りきれなかったしね。」
と皮肉を込めて挑発してみる。
「何も知らないくせにっ!ユフィを、ユフィを愚弄するなぁっ!」
「落ち着けスザク!」
案の定、 スザクは挑発に引っかかり、一度距離をあけてからこちらに突撃してきた。
どうやら、ジノの制止すら聞けない位に冷静さを失っているらしい。
「知ってるよ。キミのことも、そしてゼロのことも。」
540:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:35:50 ac2avdz1
支援
541:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:36:09 Nf/IhJ6i BE:946833293-2BP(0)
輻射波動を構えるフェイントに簡単に引っかかったランスロットのヴァリスを破壊するのはとても簡単だった。
そしてちょうどそのとき、藤堂さんと仙波さんの月下は大破してしまったものの
残りのヴィンセントを紅蓮が全て撃破してからこちらの戦線に復帰した。
ついに黒の騎士団の双璧が、本当の意味で復活したのだ。
「カレン、こうやって君の背中に立てるのは久しぶりだね。」
以前日本で潜伏していた時もカレンと作戦をともに行うことはあったが、
乗っていた機体は現地の無頼だったためライは指揮を取る方が多く、前線で一緒になることは滅多になかった。
「そうね、今日はちゃんとした機体使ってるみたいだし期待してるわよ。」
紅い機体が突撃し、青い機体が紅い機体に向けて攻撃を行う機体を牽制しつつ突撃の補助を行う。
そして、カレンの突撃力の迫力もさることながら、ライの機転の利いた判断力や的確な敵行動の予測。
それらによってなされる完璧な連携攻撃は3対2の戦況をいとも簡単に優位な立場に持ち返す。
赤と青の機体が入り乱れ可憐な紫色の連携攻撃をしかける様は、他の団員にはとても綺麗な希望の色に見えただろう。
ランスロットの左足と左腕を破壊しスザクを退かすことに成功。
残りのラウンズも、僕らを警戒し後手に回っているようだったので、一気にたたみかけるように攻撃をしかけた。
「結構やっかい。」
赤黒く比較的大きな機体に乗る最年少のラウンズがボソッとこぼした。
542:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:37:52 ac2avdz1
支援
543:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:38:53 Nf/IhJ6i BE:1402716285-2BP(0)
戦況で言えば騎士団がやや有利。
しかし状況ではお互いに全く良くはない。
ゼロとナナリーを乗せた旗艦があと一分で沈没するらしい情報をライは聞いた。
(そうか、スザクの後退にはそういう理由があったのか)
「双璧をなめるな~」
カレンがモルドレットのフロートを破壊する事に成功したので
ランスロットのむかう先にゼロがいる可能性が高いとカレンに告げ、ライはこの場を受け持った。
トリスタンと空戦機動力の低下したモルドレット。
モルドレットを攻撃しようとしてもトリスタンがうまく援護をおこなう。
以前と似たような状態がまた出来上がった。
しかし、今回は決定的な違いがある。機体はお互いに性能が上昇しているが、ライ自身の性能の差
以前より対精鋭多数に苦手意識がなくなった上、調子も良好 手応えはいい感じといったところだろう。
トリスタンの攻撃を全て紙一重でかわしながら、モルドレットとの距離をつめる。
モルドレットはミサイルやハドロン砲で牽制してくるのがやっかいだったので、
2つの機体が近づいた時ゲフィオンネットを発射してみた。
無論 このミサイルの効果は知られてるはずだが、これで動きをとめる事が目的ではない。
2つの機体を離す事が本当の目的。
こうして生まれた刹那の1対1の状況。
「逃がすかぁぁぁぁぁ!!」
544:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:39:36 D0CwwXPl
支援
545:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:39:41 Nf/IhJ6i BE:946833293-2BP(0)
一気にブーストを使ってモルドレットに突撃をする。
ブレイズルミノスによって残月の左腕が直接モルドレットをつかむ事はなかったものの、
(この距離なら)
一気にボタンを押し至近距離で輻射波動砲弾をたたきこむ。
イケる。
そう思った瞬間、急に頭痛に襲われた。
「何だ?この人の意識みたいなものが流れてくる感じは」
どこかで味わった事のあるこの感覚。
必死に思い出そうとして、思いついたのは1年前の特区日本でCCに触った時の感覚にどことなく似ている。
しかしそんな事をうっすらと思い出せても、戦闘が継続できないくらい頭が痛いのは変わらない。
敵の目の前で意識を手放すという事は二度と目を覚ませなくなる可能性が極めて高い。
ふと相手の機体をみてみると向こうも動いていない。
それが死を直前にした恐怖から止まってみえたものと勘違いし、ライは絶望により意識を手放した。
このときのライには知る術もなかった。
モルドレットも自分と同じように落ちていたから動いていないように見えただけで、
モルドレットのパイロットもライと同じように頭痛に侵されていたという事を。
546:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:40:16 ac2avdz1
支援
547:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/11 23:41:18 Nf/IhJ6i BE:526018853-2BP(0)
以上です。タイミングのいい支援ありがとうございました。
前回に続き今回も戦闘メインです。
ssってイメージ湧いてもうまく表現するの難しいですよね^^;
まぁ、うまく表現できているかわかりませんが。。。それがss書く面白さだったり。
わたくし、第六話はR2で最終回と同じくらい好きなんです。
なので、あの時の紅蓮のかっこよささをライの機体でうまく表現できてたらいいなと思ってます。
それでは、次回も頑張らせていただきます。
548:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/11 23:56:11 ac2avdz1
>547
投下おつかれさまでした!
ライの新型、残月の輻射波動バージョン。
藤堂さんと並んでも絵になりそうですね。
アーニャとライ、敵同士の位置にいて、どう絡んでいくのか。
マリアーニャは絡むのか?
気になることは多々あれど。
仙波さんが死なずに済んだみたいで嬉しかったり。
次回の投下を楽しみにしております。
>>517
とうとうブラックリベリオン突入。
鬼神と化したスザク、折れることができずにいるコーネリアが辛い。
彼らを気遣うライが切なく思えました。
ここで立ちはだかるのは藤堂さんなんですね。
以外に本編でいいとこ見せられなかったりする藤堂さんの
活躍が増えますように。楽しみになります。
しかし、辛いですね。ブラックリベリオンは。
この先どう変化した世界を見せていただけるのか、楽しみにお待ちしています。
549:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 00:05:42 zcq+WNvz
>>547 乙です。なんかライカレって安心しますよね。次作もお待ちしています。
550:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 00:50:07 qGJgnToR
>>517
(・∀・)卿、GJでした!
ユフィのあっさりとした死に口が開きっぱなしでした。
いや、確かにそうだったけど……やはり、辛い。
そして、アシバーストで全てを思い出すとは!
精神的にはかなり悪い時にVS藤堂、期待せずにはいられません!
>>547
B.B.卿、GJでした!
アシバーストでの勝利を見て喜ぶ騎士団の面々、なんかいいねぇ!
試作残月、登場がナイスなタイミング!
挑発により、スザクのヴァリスを破壊、さらにカレンとの連携!
……燃えるぜ!
ラストの描写は非常に気にかかりますね。
貴公らの次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
551:うにゃら…
08/11/12 17:29:43 IybxDZn2
投下します。
支援は必要ありません。
タイトルは「アッシュフォード生徒会の何気ない日常~迷走編その2~」
前回の続きです。
前作を読んでない方、前作を読んでつまらないと思われた方はスルーしてください。
また、終了レスはしませんので、文章の最後に<おわり>と出ていたら、それで終了です。
全部でこのレスを含め4レスです。
552:うにゃら…
08/11/12 17:30:30 IybxDZn2
アッシュフォード生徒会の何気ない日常~迷走編その2~
ルルーシュから事実を知らされて一週間が経った。
だが、僕は迷い続けている。
僕は本当は何をしたいのか。
それさえも判らなくなっていた。
そんな時だった。
あの光景を見たのは…。
その日、僕は生徒会室に行きたくなくて一人で街を彷徨っていた。
皆と一緒にいることは楽しいし、嬉しい事だ。
出来れば一緒にいたいと思う。
だが、ミレイさんの顔を見るのが辛い。
いや、それもあるがそれが原因ではない。
自分自身を誤魔化してどうする。
優柔不断でやりたいことさえ判らず、不甲斐ない自分を見せたくないという自己的な理由じゃないか…。
逃げの口実を作ってしまってどうするというんだ。
なんて情けないんだ、僕は。
そう思っているとある光景が僕の目に入った。
普段だったら気にもしない街中のカップル達。
だが、そのカップルのうちの一組が問題だった。
553:うにゃら…
08/11/12 17:31:35 IybxDZn2
そこには、眼鏡をかけた背の高い男性と二人で歩く着飾ったミレイさんの姿があった。
男性の腕に手を絡め、なにか楽しそうに会話をしているようだ。
そして、最近は見ることが出来なくなっていたミレイさんの楽しそうな笑顔が今、そこにある。
だが、その笑顔が向けられているのは、僕ではない。
僕は、それを見て悟った。
やはり、僕は…。
僕では、駄目なんだ。
あはははは…。
口から自然と自嘲の笑いが出た。
そして、気が付くと頬が涙で濡れている。
頭の中が真っ白になっていたが、その光景から目を離せないでいた。
そして、二人の姿が見えなくなると、ふらりとその場を後にした。
もう、どうでもいいや…。
自暴自棄というのはこういう気持ちなのかもしれない。
自然と僕はゲットーへと足を向けた。
もう、租界にも学園に戻りたくない。
その思いだけが僕を突き動かしていく。
そして、僕はこの街を後にした。
554:うにゃら…
08/11/12 17:33:01 IybxDZn2
ライが学園に姿を見せなくなって3日が過ぎようとしていた。
部屋に戻った形跡は無い。
思い詰めていた表情だけが頭に浮かぶ。
あの馬鹿がっ…。
俺は焦っていた。
あまりにも言い方が冷たすぎただろうか。
そういう思いが沸きあがってくる。
だが、いくらオブラートに包もうが現実は変らない。
だから、俺ははっきりと言い切った。
やつなら、きっと大丈夫だと思ったし、会長を任せられると思ったから。
だからこそ、奮起のつもりで言ったはずだった。
それがこんな事になるとは…。
自分の読みの甘さとライの不甲斐なさに怒りさえ沸いてくる。
しかし、今はライを探し出すことが先決だ。
そう思い、俺はあらゆる情報網を使って彼を探した。
その手段の一部がゼロとしての力であったとしても躊躇しなかった。
それほど彼との関係は大切だと俺には思えたのだ。
ライは、俺の親友だからな。
気恥ずかしかったが、それが俺が出した結論。
だから、俺を失望させるな。
<おわり>
555:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 17:44:26 b9ZqU5Qp
>>554
お疲れ様です!ライはちゃんと戻ってきますよね!?
このシリーズが好きなので次に期待してます!!
556:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 18:24:39 qGJgnToR
>>554
うにゃら…卿、GJでした!
ライの受けた衝撃、ルルーシュの友情
あぁ、目から水が溢れてきた……
ライの行方、そして話の続きは如何に!?
貴公の次の投下を全力で待っています!
557:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 20:12:11 9CJdBdp+
投下します。1レス物です。
タイトルは、『蒼き亡霊 ep00,11 ~過去。はじまりの銃声~』
支援は要りません。(当たり前か…)
558:御錬師 ◆u/BSqNBIsk
08/11/12 20:13:09 9CJdBdp+
蒼き亡霊 ep00,11 ~過去。はじまりの銃声~
「君が姿を消したのは……あの力のせいだね。
とりあえず、君の好きなようにするといい。
でも、僕は君をあきらめないよ。
なんといっても、君は最高のデヴァイサーだからね。
それに、僕のクラブも持っていっちゃってるんだから絶対に返しにきてよね。
んっふっふっふ~」
つい昨日、クラブのコックピットで聞いた言葉。
僕は、眠りにつくまえにやらなきゃいけないことがある。
そのために、僕は
少年は帝都へ梶を向けた。
為すべき事を為すために。
蒼き亡霊
連載開始。
変革の波が世界を揺るがす。
559:御錬師 ◆u/BSqNBIsk
08/11/12 20:20:56 9CJdBdp+
最後3行は作品ではありません。あとがきです。
最後の三行は保管しなくて結構です。
ps
トーマス卿へ
0031ー0230「紅と銀と碧△ピザ」のタイトルを、「紅と銀と碧~△ピザ~」
に変更と、0030ー0493「紅と銀と碧」カラのリンクお願いします。
560:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 20:39:58 CzM6icro
これは面白そうな話になりそうw
どんな展開になるか期待。
561:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 22:53:43 qGJgnToR
>>559
御錬師卿……ん~、なんて言えばいいんだろう?
乙でした! でいいのかな?
なかなか気になる予告、本編が楽しみですね。
1レスでは先は全く読めず、待つしかないのは結構辛い。
貴方の次の投下を全力で楽しみにしております!
562:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 23:15:18 tMFs0CBm
23:30に投下予定です
9スレほどになります、支援があれば嬉しいです
563:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 23:16:17 VnL0vML+
了解、支援します
564:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 23:23:13 Yr1MZys2
とりあえずツッコもう
長っ!
565:ピザの配達人 ◆l.sZv3iNKk
08/11/12 23:30:20 tMFs0CBm
毎度ありがとうございます、ピザーライです
久々にSSのお届けに参りました
今回は「コードギアス REGAIN COLORS」の22話を投下します
注意をよく読み、お召し上がりください
注意点
・これはライをR2に登場させたお話です
・「ギアス編」終了後からという設定になります
・ライを中心におくため本編をカットする場合があります
>>564
申し訳ありません、いつもこのくらい間隔あけていたので・・・・
566:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 23:31:08 ACSVyty3
支援いたす。
567:コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk
08/11/12 23:32:21 tMFs0CBm
第22話「悲しき願い」
「ここ・・・は・・・・・」
目を開けたライの視界に映るのは見覚えのある天井だった。
斑鳩の医務室だ、何度か怪我をしてここに来たことがあるし間違いない。
「目が覚めたみたいだな」
「藤堂さん?」
どうにか体を起こそうとするが、痛みが走り顔を歪ませてしまう。
「無理するな、脇腹に風穴を開けられていたんだぞ」
藤堂からあの後のことをライは聞くことにした。
ライはすぐに病院に運ばれて緊急治療を受けたそうだ。
その後、容態が安定すると第二の刺客の可能性も考えられるためライを斑鳩に移したらしい。
「しかし、あのゼロがあそこまで怒るとはな」
「怒る?」
「あぁ、仮面で表情は見えなかったが、刺客に対して並々ならぬ怒りがあったらしい」
無関係であったシャーリーが巻き込まれてしまった。
彼女はギアスによって幾度となく危ない目に合ってしまったのだ。
それがルルーシュにとって許せないことなのだろう。
幸いシャーリーの姿を見た男たちは殺しているため彼女に危険が及ぶことはないだろう。
568:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 23:33:43 /r948Dqk
支援
569:コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk
08/11/12 23:35:11 tMFs0CBm
「さて、私は皆にも君が目が覚めたことを伝えてくるとしよう」
そうやって立ち上がった藤堂にライは話しかけた。
「あの・・・・ゼロは?」
「極秘の任務中だ。内容は私たちでさえ教えられていない」
そうやって出て行く藤堂の言葉にまたしてもライは嫌な予感に囚われていた。
そういえばギアス嚮団について有力な情報を手に入れたと聞いていたのを思い出す。
当初はそこを押さえるための作戦にライも参加の予定だった。
しかし、それが行われる前にこの前の事件が起きた。
そして、今の話を聞く限り・・・・・。
「まさか・・・・・ルルーシュ」
ライはそう呟くと掛けてあった自分の騎士団の服に手を掛けた。
扇たちが見舞いに来た時にはライの姿はなくなっていた。
その直後、ライの暁が無断で発艦したという報せが扇たちの耳に届いた。
朝比奈たちが止めるために格納庫に行ったが、全機体の飛翔滑走翼が取り外されていたらしい。
整備員も何故自分が取り外したのか分からないと言っていた。
取り付け作業が終わった頃にはライの暁はレーダーの範囲外へと消えていた。
570:コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk
08/11/12 23:38:16 tMFs0CBm
広大な砂漠を飛んでいると前方に爆発が見えた。
どうやら戦闘が行われているようだ。
カメラの最大望遠を使って確認するとそこには蜃気楼やロロのヴィンセントの姿があった。
相手はライもデータで見たことのあるナイトギガフォートレスと呼ばれていたものだ。
「ルルーシュ!」
『なっ!?ライ、何故お前がここにいる!』
ライの突然の登場にルルーシュは驚きの声を上げた。
「ルルーシュたちが心配だったんだ。心配した通りだったみたいだね」
『お前は撃たれているんだぞ!』
「大丈夫。僕の体は頑丈だからね」
バトレーの研究によってライの体は頑丈に出来ている。それに自然治癒も一般人とは違うのだ。
とはいえライが重傷であるということには変わりない。
ルルーシュも通信のモニターを見て分かるようにライは痛みを押してここにやってきたのだ。
571:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 23:39:52 dwOcp5QX
支援
572:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 23:40:08 qGJgnToR
支援……たぶん>>564は9スレの誤字にツッコミ入れてたんじゃ……
573:コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk
08/11/12 23:41:31 tMFs0CBm
『へぇ、狂王ライまで来るとはね・・・・・・・本当に君は僕らの邪魔ばかりするね』
「僕はもうあんな思いをしたくないだけだ」
そう言って蒼い暁は一気にジークフリートへと詰め寄る。
ジークフリートのスラッシュハーケンが暁へと迫るが、暁はそれを器用に避けていく。
『君が僕とシャルルの盤上を狂わせた!君さえいなければ!』
1つのスラッシュハーケンが暁の眼前へと迫ってきた。
暁は左腕でそのスラッシュハーケンを掴み、輻射波動で爆散させる。
「君や皇帝のことなど知ったことじゃない、僕は僕にとって大切な人たちを守ってきた。
今までも・・・・・そして、これからも!」
ジークフリートへと斬りかかろうとするが、電磁装甲のため攻撃が弾かれる。
『無駄だよ、ジークフリートにはそんな攻撃は通用しないよ』
するといつの間にかロロのヴィンセントもジークフリートへと向かってきていた。
『今度はロロかな。君も僕に嘘をついたんだね、僕にギアスは効かないって知ってるくせに』
ヴィンセントは強引にジークフリートへと向かっていく。
『取り付くだけなら!』
『君はね、失敗作だったんだよ。ギアスを使っている間自分の心臓も止まってしまうなんて、いつ死んでもおかしく欠陥品さ』
『それでも・・・・・僕は兄さんのためなら!』
そう言ってヴィンセントはジークフリートに取り付く。
しかし、電磁ユニットによってヴィンセントを高圧電流が襲った。
兄のために戦うロロの姿を見た時、ライの体は自然と動いていた。
574:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 23:43:38 qGJgnToR
支援
575:コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk
08/11/12 23:44:23 tMFs0CBm
「良くやってくれた、ロロ。では、ここでお前と・・・・・」
そう言ってヴィンセントに仕掛けられた爆弾のスイッチをルルーシュが押そうとした時だった。
『うおおおおぉぉぉぉっ!!』
ライの暁がジークフリートに向かっていく。
「なっ!?ライ、離れろ!」
今の状況でヴィンセントを爆発させればライまで巻き込むことになってしまう。
暁は剥き出しになった電磁ユニットに取り付く。
ヴィンセントと同じように高圧電流がライの暁を襲う。
『ぐうぅぅっ・・・う・・・・うおおおおおぉぉぉぉぉっ!!』
そのまま電磁ユニットを左腕で掴むと輻射波動で破壊する。
それと同時にもう片方の電磁ユニットを砲撃が襲い、破壊していた。
ライはボロボロになったヴィンセントを抱えて、ジークフリートから距離を取る。
砲撃をした暁に乗っていたのは第二皇女コーネリアだった。
(まさかコーネリアがここにいようとは・・・・・)
しかし、今は目の前のジークフリートへと意識を向ける。
「ジークフリートの装甲は破損した!後は直接・・・・滅せよ、ギアスの源」
ルルーシュとコーネリアの攻撃によってジークフリートは墜落していった。
576:コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk
08/11/12 23:47:19 tMFs0CBm
その後、ジークフリートに乗っていたV.V.をルルーシュとライは探していた。
「ライ、無理はするな。もう後は俺に任せろ」
『そういうわけにはいかない。僕も一緒に行く』
先ほどの戦闘で傷口が開いていないのはライにとっては幸いだろう。
頑なに断るライにルルーシュも何も言うことができなかった。
もしかしたらC.C.ならライを止められたのかもしれないと頭の中で考える。
しかし、C.C.とは先ほどから連絡が取れていない。
『ルルーシュ!生体反応が!』
そんなライの言葉でルルーシュもセンサーの反応に気が付く。
2人がそこを見た時、傷だらけのV.V.の姿を見つけた。
「元の場所に戻っていたか、V.V.!」
『ルルーシュ!前の扉が!』
そちらを見ると神根島で見たことがある扉が開き、光が溢れてきていた。
「何っ!?しまった、これは神根島の!」
その瞬間、ルルーシュとライは光に包まれた。
577:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 23:47:46 Yr1MZys2
支援
578:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 23:48:09 qGJgnToR
支援!
579:コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk
08/11/12 23:49:24 tMFs0CBm
気が付けば目の前に広がるのは見覚えのない場所だった。
まるで古代の神殿・・・・・・祭壇のような作りをしている。
隣にはルルーシュが立っている。
2人とも自分の機体から降りた記憶はなかった。
「何で僕たちは機体から・・・・・」
「それにここは・・・・ホログラムとかじゃない?」
「そのとおり!」
今の状況に戸惑っていた2人に目の前の祭壇の上から声が下りてきた。
「そして、ナイトメアなど無粋なもの。アーカーシャの剣、このシステムの前にはな」
ルルーシュは憎しみを持った視線で壇上にいる人物を睨む。
「貴様ぁ!」
「我が息子ルルーシュよ。そして、狂王ライよ。時は来た、贖いの時が・・・・・・」
ライとルルーシュをすぐに機体の陰に身を隠す。
「久しいな、ルルーシュ。そして、お初にお目に掛かる、狂王ライよ。」
ルルーシュはライの呼び名に疑問を持つ暇もない。
「8年前の質問に答えてもらう。何故母さんを守らなかった。
他の皇族たちが母さんを疎んじていることを知りながら!」
「人は平等ではない。お前たちは他のものにはない力、ギアスを持っている。その力で聞き出せば良かろう」
その言葉にルルーシュとライはお互い目を合わせる。
580:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 23:50:41 qGJgnToR
支援
581:コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk
08/11/12 23:52:31 tMFs0CBm
(ルルーシュ、ここは僕のギアスを使えば・・・・・・・)
(いや、俺にやらせてくれ。ライ)
ルルーシュがシャルルを見るということはシャルルもルルーシュを見ることになる。
そうなるならば自分が出ようとしたライだが、ルルーシュはそれを断った。
シャルルの相手は自分だ、とでも言うようだった。
「どうした、狂王ライのギアスならば恐れることはなかろう」
「ふざけるな!お前の相手は・・・・・・俺だ!」
ルルーシュはそう答えると手に持っていたスイッチを押す。
その瞬間、蜃気楼の拡散構造相転移砲にある液体金属のプリズムが発射される。
そして、それが砕けてルルーシュたちの頭上へと落ちてくる。
砕けた破片は鏡となり、隠れたルルーシュの目の前に破片に映し出されたシャルルの顔が見えた。
「貴様は・・・・・死ね!」
「ぬわあああああぁぁぁぁぁっ!」
ルルーシュのギアスがシャルルへと届いた。
「よかろう」
シャルルは拳銃を取り出すと自分の胸に当て・・・・引き金を引いた。
582:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 23:55:39 Yp52QpDY
支援
583:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/12 23:55:59 dwOcp5QX
支援
584:コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk
08/11/12 23:56:35 tMFs0CBm
ライはハッと目を開ける。
「ここは・・・・どこだ?」
辺りを見回すが、そこは見覚えのない場所だった。
「確か・・・・僕は・・・・」
死んだはずのシャルルが生きていた。
それはシャルルがC.C.と同じように不老不死になっていたからだった。
そして、自分とルルーシュはシャルルが作動させた何かによって光に包まれて・・・・。
「くそっ、色々と理解できないことが多過ぎる」
そう呟きながら辺りを見回すが、ルルーシュの姿がなかった。
「ルルーシュ?ルルーシュ!どこにいるんだ!」
「ルルーシュは別の場所だ、ライ」
その声を聞き振り返るとC.C.の姿があった。
「C.C.!何で君がここに・・・・」
「なに、少し挨拶をと思ってな」
「挨拶?」
目の前にいるC.C.はいつものような顔をしていなかった。
とても悲しそうに・・・・・しかし、決意しているような顔だった。
「ライ、私の願いを知っているか?」
「C.C.の・・・・願い?」
「そうだ。私の願いは・・・・・・・」
ライはその答えを聞きたくなかった。耳を塞ぎたかった。夢であって欲しかった。
「死ぬことだ」
585:ピザの配達人 ◆l.sZv3iNKk
08/11/13 00:01:54 tMFs0CBm
以上です!いかがでしたでしょうか?
今回はほとんど本編準拠でオリジナルとすれば最後の部分のみ
しかし、次回の話からは自分のオリジナルがかなり入ってしまうと思います
それでもライを中心にしたお話なので入れておきたいものなので
それでは次回第23話「さよなら」の配達をお楽しみに!
そして>>562の誤字の注意ありがとございます。
9レスです、本当に9スレなんて無茶すぎますね。申し訳ありません
586:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/13 00:23:27 KAfwNMQe
>>585
ピザの配達人卿、GJでした!
今回も美味しくいただきました!
目覚めてすぐに嚮団へと向かうライ、そしてロロを援護……無理しすぎだ!
皇帝と合間見えたライ、その後で知ったC.C.の願い。
それを聞いたライの心境はやはり……
次回から更にオリジナルが多くなるとは! かなり楽しみです!
貴公の次の配達を全力を挙げてお待ちしております!
587:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/13 00:25:20 KAfwNMQe
……あれ?
ゴメンナサイ、sage忘れました
588:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/13 11:45:53 AlaH4ooL
>>585
遅ればせながらもピザの配達人卿GJでした!
2,3回前辺りからオリジナル展開が目立ってきてるな~と思ったら次回からは「かなり」ですか!
…これは期待せざるを得ない
卿の次回の投下を全力でお待ちしています!
589:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/13 23:09:36 uggtvoUc
23:15あたりから投下しようと思うのですが、どなたかいらっしゃいますかー?
590:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/13 23:12:17 uW/JK3QE
imasu
591:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/13 23:13:12 A80I1t3X
支援
592:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/13 23:15:36 uggtvoUc
(・∀・)つ|投下予告|
親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT
#第2章後編。>>516 の続きです。引き続き鰤軍メイン
#1期23話以降のネタバレを含みます。R2に繋げるため基本的なストーリーは変わりません
#ナイトメアフレームについての激しい捏造があります
#もうシリアスは疲れたよパトラッシュ
予告と終了あわせて9レスです。まったり支援願います。
593:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/13 23:16:11 uW/JK3QE
支援
594:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/13 23:17:17 uggtvoUc
親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT 2*ブラックリベリオン(後編)
今の攻防でお互いの実力は知れた。さすがはスザクに武術を教えた男だけあって、そう簡単に倒せる相手ではない。
ただ、僕の目的は負傷者が政庁に撤退する時間の確保。
致命打は必要ない。足止めし、あわよくば相手の動きを鈍らせるような一撃を加えるだけで充分。
そう狙いを決め、改めて月下に向かい合う。
《君が『もう1体の白兜』か》
オープンチャンネルで藤堂が呼びかけてきた。
《変わった経歴の持ち主らしいが、なぜブリタニアに与する》
おかしい、僕はロイドさんが作った偽造のIDを持っているが、そこには平凡な経歴しか載っていないはずだ。
それに僕の過去を知っている人はもう誰も生きていない。あの【契約者】を除いて。
だがこうやって時間を稼げるなら好都合だ。僕は藤堂との会話に乗ることにした。
「僕を知っているのか?」
《『興味深い男がいる』そうゼロが話していた。記憶がなく、正体不明の男がコーネリアの親衛隊にいると》
「…記憶は、戻った」
《何?》
「確かに僕は『今の』ブリタニアにも日本にも関わりはない。言うなれば過去の亡霊かな」
自嘲気味な気持ちがつい言葉に乗ってしまった。藤堂の声に熱がこもる。
《ではブリタニアで戦う理由は何だ?奴らの卑劣なやり方に何も感じないのか?拾われた恩義なのか?》
「今のブリタニアが正しいとは思っていない」
595:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/13 23:17:39 uW/JK3QE
支援
596:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/13 23:19:07 uggtvoUc
僕は思う。
統治者として生き、その責任と誇りを体現するあの女性を。
その影で悩み、迷いながらも自分の道を歩み始めていた少女を。彼女を隣で支える白き騎士の姿も。
共に歩いていきたいと願った人たちを。
「でも僕は、行政特区日本の成立を心から望んでいた。そこから変えていけると信じた」
藤堂はしばらく沈黙した。
《…君の言葉は真であると信じよう。だが、今この場で相対したからには、お互い信じるものの為に戦うのみ》
カラーリングの違う同じタイプのナイトメアが2機、藤堂の側に現れる。しまった、増援か。
《参る!!》
藤堂ともう1機が左右から迫る。後から現れた2機目は僕の退路を断つような位置で控えていた。3機で来てくれれば
突破する隙も生まれようものの、ああやって見張られてては逃げようがない。
かと言って2機同時に相手をするのは自殺行為だ。僕はあえて藤堂機に向かって突っ込んでいく。廻転刃刀の突きに
対してスラッシュハーケンを合わせる。ハーケンごときじゃとても突きに対抗できるものじゃないけれど、動きを
一瞬遅らせるだけでいい。懐に入り込んでランスで腹部をなぎ払う。
しかしそれはあくまでフェイク!跳んで避ける藤堂機には目もくれず、背面に迫っていたヤツに対して振り向きざまに
突きを入れる。僕の狙いは始めからこっちだ。
「なっ!」
控えていたはずのもう1機の刃が僕を襲っていた。思わぬ方向からの斬撃に僕の反応が僅かにずれる。
刃を避けきれず、左肩のシールドパーツが持っていかれた。
腕の動作に支障はないが、左のファクトスフィアからの情報が途絶えている。控えてたヤツが戦闘に参加したってことは
退路が出来たんじゃないかと期待したけれど、今度は藤堂機がもう逃げ道を塞いでいる。
597:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/13 23:20:15 uW/JK3QE
支援
598:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/13 23:21:11 uggtvoUc
やれやれ、彼らはただの増援じゃない。機体性能の差を絶妙なコンビネーションで補っている。
いや、補うどころか乗算の効果を挙げていると言ってもいいだろう。これが『奇跡の藤堂』とその懐刀たちの実力か。
もう充分に時間は稼いだが、今度は自分自身の脱出が難しくなってしまった。黒の騎士団のエース級3名を相手に
とても無傷では済みそうにない。どこか冷静な頭に、ロイドさんとの会話が甦る。
「クラブの起動キーを渡す前にひとつ言っておきたいんだけどね」
「…自壊コードでしょうか」
「ご名答!どうしてそうだと思ったの?」
「わざわざスザクに聞かれないように話す内容なら、僕にとってマイナスの事だと思いました」
「ふふーん?やっぱりキミは勘がいい。じゃあ理由は話すまでもないかな?」
このクラブは試作機とは言えブリタニア最新技術の塊だ。敵に捕獲され、その技術を奪われる事態は避けなければいけない。
特派の機体がどんなに強力でもそう頻繁に実戦に投入されなかったり、形勢が不利になったらいち早く離脱したりするのは
それなりの理由があるのだ。…もっともそれは本来の場合であって、今の特派が疎まれているのはデヴァイサーのスザクが
日本人であることが一番の理由である。
(コードを入力したら早く機体から離脱してね。キミ自身が一番重要な《パーツ》なんだから)
自壊コードを入力するとメインシステムの消去と共にコアルミナスに使われているサクラダイトが核融合反応を
引き起こし、機体を破壊する。それが最後の手段。
─いや、まだ手は残っていた。僕は眼窩の奥底で紅い鳥が今にも羽ばたこうとしているのを感じる。
使うのか、あれを。自国の民を滅ぼし大切な人を死に追いやったギアスを。
ユフィを助けられなかったのに、自分だけが生き残るために使うのか!!
599:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/13 23:21:41 uW/JK3QE
支援
600:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/13 23:23:22 uggtvoUc
ふいに大量の熱反応をレーダーが感知した。
藤堂たちとの間を遮るようにミサイルが着弾する。包囲の一角に隙が出来たのを見逃さず、僕はアサルトライフルを
連射しながら突破を図った。追撃にきた相手の鼻先にハーケンをぶつけて怯ませ、安全圏まで距離をとる。
《隊長!ご無事ですか!》
第3分隊の数名が援護に戻ってきてくれたのだ。その中に1機、見慣れないグロースターがある。
「貴方は確かグラストンナイツの…」
《アルフレッド・G・ダールトンです。卿のお噂は父よりかねがね。もっと落ち着いた場所できちんと
ご挨拶したかったのですが、こんな状況なので失礼します》
近々このエリアに配属されると聞いていたダールトン将軍の『息子』だった。
《コーネリア殿下がお呼びです。ひとまず政庁へお戻りを》
それ以上藤堂たちは追ってこなかった。
見逃してくれたのか、僕たちに構っている時間が無かったのかは、わからない。
政庁に戻る間中ずっと、あの紅い鳥が頭から離れず僕は自己嫌悪に陥っていた。
メカニックにエナジーフィラーの交換を指示し、僕はいったんクラブを降りる。
政庁内は戦場のようだった。ああ、比喩ではない。ここは戦場なのだ。
各ポイントの状況が刻々と伝えられてくる。
航空戦力はガウェインのハドロン砲によって一掃されてしまった。空からの支援は期待できない。
放送局はすべて黒の騎士団に押さえられている。湾岸施設・航空管制塔も制圧されたようだった。
601:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/13 23:25:20 uggtvoUc
《学園地区、黒の騎士団によって占拠された模様》
届いたばかりの情報に驚く。アッシュフォード学園!?あそこには民間人しかいない。人質のつもりなのだろうか。
ミレイさんたち学園の皆の無事を、今の僕は祈ることしか出来ない。僕は歯がみをする思いでその報告を聞いた。
こんな時スザクがいてくれたら、と虚しく考える。
僕の生きた時代と違い、現代の戦争は1人の力が及ぶ範囲は限られている。全体を見る戦略に対し、その流れに
個の力で抗えるのは一部の局面だけだ。ブリタニア軍に一度も負けなかった藤堂鏡志朗がいても日本は負けた。
個人は英雄にはなれるが勝者にはなれない。
だが、スザクは違う。彼の力は戦略をひっくり返せる。
スザクと2人ならこの綿密に練られたゼロの戦略をうち破れる。
でもいま、僕の隣に彼はいない。
「コーネリア殿下!」
屋上庭園に向かう廊下の入り口で、やっと僕はコーネリア様を見つけた。
「ライか」
彼女にしては珍しく、何かを言いかけてまた口を閉じる。そして少し眉を寄せて呟いた。
「…酷い顔をしているな」
「は?」
「自覚がないのか。…まあ良い。ライ、お前はグラストンナイツと共にギルフォードをサポートしろ」
「イエス、ユア・ハイネス。殿下はどちらへ?」
「私は祭の準備だ」
602:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/13 23:25:30 uW/JK3QE
支援
すまない、誰か頼む。トイレ行きたい
603:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/13 23:27:02 uggtvoUc
コーネリア様に命じられた通り一度は政庁防衛の配置についた僕だったが、やはりコーネリア様のお側に親衛隊が
誰1人ついていないのは不安に感じた。グラストンナイツも全員前線に出ている。どこかで防衛線を突破され、
政庁への侵入を許せば万が一のこともありえる。やはり戻ろうか。逡巡する僕に通信が入った。
《…ライか》
「その声は、ダールトン将軍!ご無事でしたか!!」
行政特区日本の式典会場で行方不明となっていたダールトン将軍だ。僕は目の前が明るくなる思いだった。
《…姫様は今いずこにおられる》
「コーネリア殿下は政庁内に…。将軍、もしや負傷されているのでは?!」
将軍の苦しそうな声色が心配になる。僕が到着した時には既に式典会場は黒の騎士団に制圧され、近寄れない状態だった。
あそこから脱出してきたのであれば怪我を負っていても不思議ではない。
《大事ない、貴公は引き続き政庁を守れ。姫様はこのダールトンが責任を持つ》
「イエス、マイ・ロード!殿下をお願いいたします!」
ダールトン将軍が戻ってきた。それだけで希望が持てる。
クラブは策敵能力に優れたレーダーを持っているので、政庁防衛における僕の役割は直接相手とやり合うより
敵の規模や位置を把握し、応対する指示を出すのが主だった。藤堂たちとの戦いで左のファクトスフィアは
壊れてしまったから、そちら側に関してはカメラの目視しかない。その視界の隅を一瞬、白い輝きが横切った。
「ランスロット?出撃していたのか」
広域レーダーで確認すると、ランスロットの識別番号を表す光点が急速に戦場を離れつつあった。
「スザク、いったいどこへ…?」
最後に別れた際の彼の様子が気になっていたので後を追いたかったが、持ち場を離れる訳にはいかない。
それにフロートユニットを外してしまっている。エナジーも残り少ない。
成す術なくランスロットが去った方向を見やった僕の目に一条の光が射し込む。
夜明けだ。
604:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/13 23:29:22 uggtvoUc
戦闘が始まってから5時間が経過した。錯綜する通信の中に混じったある情報が僕の気を引く。
《ゼロとの連絡が取れない》
黒の騎士団のナイトメアはブリタニア軍から奪った物も多く含まれている。混乱の中、黒の騎士団の誰かが誤って
オープンチャンネルを使って通信をしてしまったのだろうか。フェイクの可能性もあったが、この時間になって敵軍は
明らかに個々での応対を迫られているように見えた。もしこれがゼロの作戦だとしても、この最終局面では悪手でしかない。
「ギルフォード卿、敵の指揮系統に乱れがあるようです」
《ライもそう思うか。ここで攻勢に出れば亀裂を入れられるな》
「ええ、敵が再編成される前に叩くべきかと」
ギルフォード卿の決断は早かった。
《全軍突撃!反乱軍を一挙に粉砕する!!》
号令が響く。
ブリタニア軍の突撃を受け、浮き足立っていた黒の騎士団は脆くも崩れた。
政庁の包囲は崩れ、勢いはブリタニア軍に傾く。戦局は完全に決した。
その黒の騎士団の敗走を待っていたかのようにクラブのエナジーフィラーが尽きる。動かなくなったクラブのコックピットの中で
僕は深いため息をついた。力一杯握りすぎて固まった手を操縦桿から何とか引き剥がし、震える指でミレイさんの携帯に連絡を入れる。
何回かコールを繰り返し、僕が焦り出した頃になってようやく応答があった。
「もしもし、ミレイさん!?ライです。そちらの状況は?」
『ライ?こっちは無事。今はスザク君のところの…、なにか大きな航空艦に生徒を収容してもらったわ』
電話の向こうから(アヴァロンだよー)と、のんきに指摘する声が聞こえる。ロイドさんだ。
「良かった!そこなら安全だ。生徒会の皆も怪我はしていないか?」
『ルルーシュとナナリーは別の所にいるけど大丈夫、スザクくんが保護してくれているそうよ』
良かった。本当に良かった。
ホッとしたら力が抜けた。電話を切った僕はシートにもたれ、もう一度、それこそ肺が空っぽになりそうな程のため息をついた。
街の被害は計り知れない。両軍共に死傷者はかなりの数に上るだろう。それでも長い夜は終わったんだ。
605:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/13 23:31:06 uggtvoUc
#支援ありがとうございましたー(・∀・)2章終了。3章アッシュフォード学園編に続きます。やっとR2…
#この頃スザクがルルーシュを「保護」してる訳です。悲劇回避補正のまるで無いライでサーセン
#軍人篇のライは隊長or後方支援型イメージ。ナイトメア無双はスザクに任せます
#R2に繋げるためとは言え、このライはフラグをミスり杉
606:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/13 23:31:31 BihR3mxx
支援
607:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/14 00:01:50 X1A+3FP/
(・∀・)卿、乙であります!支援!!
っていうか、これで終わりじゃにですよね?続きますよね!?
608:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/14 00:06:19 aH9KTD06
とりあえず3章に続きますよー。そして全力で自己訂正
>>601
祭→宴
ガウェインで政庁の屋上に現れたゼロ。そこで見たものは櫓が建てられ提灯きらめく祭り会場だった!
はっぴを着たコーネリアが太鼓を叩きながら叫ぶ。
「ようこそゼロ(ドン)、ブリタニア政庁納涼大会へ!(ドッドン)」
C.C「似ているな、アリエスの離宮に」
ルル「似るかッーーーーーー!!」
ごめん
609:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/14 00:12:02 NduP2AJR
>>605
乙です。これからR2につながるということは、ナナリー達のことを知ったライはどう思うんだろう。
次回をお待ちしています。
>>608
ハチマキとサラシを巻いた、凛々しいネリ様を想像した。似合ってるなーw
610:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/14 00:24:53 X1A+3FP/
>>609さん
まさに『いなせ』ですなw
611:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/14 01:15:13 y+IWnHh6
>>605
(・∀・)卿、GJでした!
確かに色々ミスってますね、ライ
ニアミスというか、なんというか……
……しかし、逆に新鮮味があっていいかんじです!
ルルーシュを「保護」……あぁ、普通にそうなりますか
まぁ、仕方ないよね。
R2へと繋がるとのことで続きが非常に楽しみです。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
612:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/14 14:42:23 ICIjzQrs
>>605
GJ!
ああ、フラグをミスりまくっているライが悲しすぎる…
私達読者はいわゆる神の視点を持っているわけですからこの展開は見ていてもどかしすぎますね。
しかし半日以上書き込みがないとか珍しいなー
613:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/14 22:21:49 ig6C4+Yr
確かに書き込み自体が最近減ってきてるよね…。
久しぶりにロスカラやってロスカラ分を補給しよっと。
614:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 01:45:41 KalPTaFy
皆忙しい訳ですね。
615:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 02:16:27 Kms27JO0
実はロスカラ2のシナリオを協力してるんだよ、きっと
616:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 05:12:31 3nYuSWja
少し経ったら長編ssを一気に投下してくれるんですね
わかります
617:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 07:44:26 72Vn1NfZ
まぁ、マジレスするとこの時期はリアルが忙しい時期だからな。
618:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 07:58:06 KalPTaFy
そうですねぇ。
619:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 11:46:48 NLARla7I
誰かいますか?
620:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 11:50:52 3IsVFKfI
いますん
621:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 11:53:10 3IsVFKfI
ゴホン……います。いつもの癖で自動変換が出た
622:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 11:55:54 NLARla7I
親衛隊アナザーの人です。
連投で申し訳ないのですが、都合で来週中に完結させないと年越してしまいそうなので…。
前置きと終了あわせて全11レス、12:00から投下します。
623:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/15 12:01:16 NLARla7I
(・∀・)つ|ご注意|
親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT
#>>604の続き、第3章の前編です。R2より半年前ぐらいの時間設定ですが2期のネタバレがあります
#メインは生徒会メンバー。2期なので当然ニーナとカレンはいません
#帝国の制度についてのかなりの捏造があります
#軍人篇と学園篇混ぜるな危険。ギアスにコスプレは必須のようなのでつい
#はっちゃけています
624:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/15 12:03:44 NLARla7I
親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT 3*偽り の 学園(前編)
主がいない政庁の屋上庭園。形ばかり修復されてはいるが、コーネリア様が愛した美しい庭園は見る影もない。
《ブラックリベリオン》と呼ばれるようになったあの夜から4ヶ月が経った。
焼き払われ無惨な姿を晒している花々、ランスに貫かれ破壊されたグロースターは炎を残し煙を上げていた。
傷ついたコーネリア様を抱え、医療班を呼ぶギルフォード卿の取り乱した声。すべて昨日のことのように覚えている。
ゼロと交戦し負傷したコーネリア様は治療のために本国に戻り、その怪我が癒えるか癒えないかの頃に忽然と姿を消した。
エリア11の総督の地位を返上し、誰にも、唯一の専任騎士であるギルフォード卿にさえも行き先を告げぬままに。
理由もなく職務を放棄するようなコーネリア様ではない。
あの夜にゼロと何があったのか、コーネリア様の行方を知るすべを探して僕ら親衛隊は奔走した。通信記録から
コーネリア様と最後に会話をしたのはスザクだと判明している。スザクはコーネリア様からゼロの居場所を伝えられ、
そして騎士の称号を授けられたのだった。後からそれを知った僕たちが当時の詳しい状況を尋ねようにも
既にスザクは捕らえたゼロを連行してブリタニア本国に戻っていた。その後すぐにスザクはナイトオブセブンに叙され、
…ラウンズに命令を下せるのはブリタニア皇帝ただひとりだ。
満足な捜索活動も行えず焦燥ばかりがつのるが、主不在の僕たちは圧倒的に権限が不足している。僕と言えば
エリア11に赴任してきたカラレス新総督の元、残されたレジスタンスの掃討に駆り出される日々だった。
気が進まないので、かなり手を抜いている。今の僕を見たらコーネリア様はきっと叱咤するだろうな。
『この脆弱者が』と。
625:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/15 12:08:15 NLARla7I
そんなある日、ギルフォード卿の呼び出しを受けた僕は政庁に出頭していた。
ブラックリベリオンの後始末やら復興作業やら、新総督就任に伴う異動人事のゴタゴタやらで僕は1ヶ月以上も
ギルフォード卿と顔を合わせていなかった。
「久し振りだな、ライ」
コーネリア様の肖像が描かれた絵皿に一礼し、ギルフォード卿は僕に向き直る。
「卿は確か学生だったな」
「はい。もっとも、この数ヶ月は休学状態でありますが」
「復学する気はないか」
「は!?」
耳を疑った。
「それはつまり、もう僕は親衛隊に不要ということでしょうか」
思わず刺々しい口調になってしまう僕をギルフォード卿は苦笑いで制した。
「ともかく話を聞け。…黒の騎士団は壊滅した。矯正エリアとして軍も増強されグラストンナイツも健在の今
エリア11を脅かす存在は多くない。それに卿は今の任務に納得していないのだろう?」
どうやら僕の手抜きはバレているようだ。
ロイドさんたち特派(「元」だ)がナイトオブセブンことスザクの専任機関となり、僕のランスロット・クラブは
ブラックリベリオンの際に受けたダメージの修理が出来ないまま格納庫で眠っている。本当は早く修理してあげたい
(きっとロイドさんも今のクラブを見たら泣くだろうな、ごめんなさい)が、スザクと共に転戦する彼らは
エリア11に立ち寄っている暇がない。だから僕は最近の戦闘では借り物のグロースターに騎乗している。
クラブじゃないと嫌だと言っている訳じゃない。人々に恐怖を与えるだけの戦いに僕のクラブが使われずに済んで
むしろホッとしていた。それに今クラブを見ると特派を、スザクを、ユフィを思い出してしまい正直言って辛い。
626:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 12:08:41 3IsVFKfI
支援
627:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/15 12:09:09 2RB1LfrL
推参支援
628:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/15 12:10:29 NLARla7I
ギルフォード卿は話を続ける。
「今の私は預かりの身。姫様の捜索がしたくとも思うように動けない。我らには自由に動ける人間が必要なのだ。
卿ならばそれを任せることが出来る。復学を理由に軍を休職し、この件の調査を行って欲しい。
必要なバックアップは出来る限りしよう」
本当ならば自分で、今すぐにでもコーネリア様を探しに行きたいに違いない。僕は彼の気持ちを酌むことにした。
「わかりました。その任、慎んでお受け致します。…でも休職なんて制度が軍にあったとは知りませんでしたよ」
「ああ、推薦状も書いたしな」
「…推薦状?」
「『右の者は文武両道に秀で、かつ判断力に優れた希有な人材であり帝国の発展に貢献することが期待される。
特例として官僚試験資格取得のために1年間の就学を要望する。ギルバート・G・P・ギルフォード』」
僕はのけぞった。官僚、官僚と言いやがりましたかこの眼鏡は。
絶句する僕を見てギルフォード卿はニヤリと笑う。ああ、これは『してやったり』って顔だ。
「推薦したからには試験も受けてもらうぞ、せいぜい励めよ」
「い、イエス、マイ・ロード…」
なんだか責任重大な気がしてきた…。
629:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/15 12:14:09 NLARla7I
あの学園祭以来のアッシュフォード学園だ。ブラックリベリオンでこの学園も戦火に巻き込まれたが、幸か不幸か
黒の騎士団の作戦司令部に使われた関係で施設の大部分は損傷もなく、今は授業も再開しているとの話だった。
でもねぇミレイさん、なんで貴女も当たり前のように学生やっているんですか…。
(まだまだモラトリアムは終わっていないのよ!!)
電話口で叫んでいたミレイさんの声を思い出して僕は笑う。コーネリア様の捜索と言う任務とは別に、またこの学園で
過ごせる時間を楽しみになっていた。学園に向かう足が自然と早くなる。
ところが学園の敷地内に一歩足を踏み入れた瞬間、僕は違和感を覚えて立ち止まってしまう。
何だ?
その原因を探るためにぐるっと周りを見渡した。校舎、中庭、クラブハウス、講堂。風景に変わりはない。
違うのはそこにいる人たちだ。
見慣れないあの教師、彼は軍の関係者なのか?軍人特有の訓練された歩き方をしている。それに生徒達、確かに僕は
そんなに学園に通っていた時間は長くはなかったけれど仮にも生徒会の仕事もしていたし物覚えも悪くはない
(過去の記憶を失っていたのはギアスによるものなのでノーカウント)。なのに、見覚えのある顔が誰ひとり
見つけられないのはどういうことだ?
630:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/15 12:19:27 NLARla7I
学校の変化に戸惑いつつ、最初に生徒会室に足を向ける。ミレイさんが待っていてくれているはずだ。
「ライーー!!」
扉を開けるなりミレイさんとシャーリーが飛びついてくる。その後ろでルルーシュがひらひらと手を振って歓迎してくれた。
僕は心が暖かくなるのを感じる。迎えてくれる人がいるのはこんなに嬉しいものなんだな。
ミレイさんたちは、僕がいなかった間の近況を口々に話してくれた。
ニーナは独自に行っていた研究内容が認められ、ブリタニア本国に渡って研究開発室のチーフを務めているらしい。
人見知りで物静かだったけど、研究については目を輝かせて話してくれたニーナ。またどこかで会うことが出来るだろうか。
そしてカレン。彼女のことを考えると心が痛む。結局僕は、ブラックリベリオンの指名手配者リストにカレンの名前を
見つけるまでその正体に気付かなかった。記憶を無くした僕の『お世話係』として租界を案内してくれた彼女。
日本人の境遇に心を痛めているのは知っていたが、まさか黒の騎士団の、しかもあの紅い機体のパイロットだとは
考えもしなかった。今思えば、軍の仕事でスザクと一緒に授業を抜け出す僕の姿を、いつも何かもの言いたげな顔をして
見ていた気がする。
カレンは黒の騎士団が学園を占拠したときに、その素顔を晒して抵抗をしないよう説得したそうだ。
きっと学園の皆が傷つくのを見たくなかったのだろう。優しい彼女らしい行動だった。
「怪我をしていないといいけれど…」
ミレイさんが寂しそうに呟く。
631:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/15 12:25:11 NLARla7I
そうそう、とシャーリーが暗くなった雰囲気を変えるように両手を叩いた。
「そう言えばライ、学園祭のコスプレ喫茶でチャイナ服を着たんだって?」
「このミレイさんに黙って!ずるいわ!そんな美味しいものを!」
僕の顔が青くなる。なぜそれを。
生徒会でそれを知っているのは一緒に仮装をしたスザク(あまり思い出したくない)と、うっかり遭遇したルルーシュ…。
見るとルルーシュは手元の書類に没頭するフリをしている。間違いなく情報の漏洩源はここのようだった。
「いきなりだったから大した準備も出来なかったのが残念だわ」
そう言いながらミレイさんが紙袋から取り出した『それ』に僕の顔色は青を通り越して白くなった。
「おーっす、ライ!久し振りじゃないか」
リヴァルが生徒会室に入ってきた。中の様子に彼は目を丸くする。
「おろ?なんだか羨ましいことになってる?」
前からシャーリー、後ろからミレイさんに羽交い締めにされている僕は世間一般的に羨ましいと呼ばれる体勢なのかもしれない。
…この後に起こる悲劇を除けば。
「何だったら代わるか?」
そう聞いた僕があまりにも悲壮な顔つきをしていたのだろう、リヴァルは慌てて首を振り半笑いを浮かべながら後ずさる。
こうなったらルルーシュも道連れだ、きっと僕なんかよりずっと似合うに違いない。
ところがさっきまでいたルルーシュの姿が見えない。
「あー、ルルーシュならさっき『すまないライ!俺も自分の身が可愛いッ!』とか叫んで走っていった」
リヴァルが気の毒そうに告げる。
ル、ルルーシュ!!
「さーて、着替え着替え!!」
ミレイさん達に引きずられて行く僕をリヴァルだけが見送ってくれていた。