08/11/04 01:38:04 3I7lBoNk
■全般
1.支援はあくまで規制を回避するシステムなので必要以上の支援は控えましょう
2.次スレ建設について
・950レスもしくは460kB近くなったらスレを立てるか訊くこと。立てる人は宣言してから
・重複その他の事故を防ぐためにも、次スレ建設宣言から建設完了まで投稿(SS・レス共に)は控えることが推奨されます
※SS投稿中に差し掛かった場合は別です。例 940から投稿を始めて950になっても終わらない場合など
3.誤字修正依頼など
・保管庫への要望、誤字脱字等の修正依頼は次のアドレス(geass_lc_ss@yahoo.co.jp)に
※修正依頼の際には 作品のマスターコード(その作品が始まる際の、スレ番号-レス番号。保管庫の最優先識別コード)を“必ず”記述して下さい
例 0003-0342 のタイトルを ○○ カップリングを ○○
(↑この部分が必須!)
マスターコードを記述されず○スレ目の○番目の……などという指定をされると処理が不可能になる場合があります
4.睡眠は1日7時間は取りましょうw
3:建設巨神イエオン
08/11/04 01:39:44 3I7lBoNk
■SSを投下される方へ
1.投下前後に開始・終了の旨を書いたレスを入れて下さい(または「何レス目/総レス」を名前欄に)
2.規制に掛かりやすくなっていますので、長文の場合は支援要請の旨も冒頭に書いて下さい。
逆に2~3レスほど使用の場合、支援は要らない旨を書いてください。レス毎の投下間隔は3分弱程度がベストです
3.投下前は、他作品への割り込みを防ぐ為に必ずリロード。尚、直前の投下完了宣言から15分程度の時間を置いてください
4.投下許可を求めないこと。みんな読みたいに決まってます!
5.ゲーム内容以外で本編放送前バレ情報があるSSは始めに注意書きを。
6.なるべくタイトル・カップリング・分類の表記をして下さい。(特にタイトルはある意味、後述の作者名よりも重要です)
・読む人を選ぶような内容(オリキャラ・残酷描写など)の場合、始めに注意を入れて下さい。
7.作者名(固定ハンドルとトリップ)について
・投下時(予告・完了宣言含む)にだけ付けること。その際、第三者の成りすましを防ぐためトリップもあるとベスト。
トリップのつけ方:名前欄に「#(好きな文字列)」#は半角で
・トリップがあってもコテハンがないと領地が作れず、??????自治区に格納されます
前書きの中に、以下のテンプレを含むことが推奨されます。(強制ではありません)
【メインタイトル】
【サブタイトル】
【CP・または主な人物】
【ジャンル】
【警告】
【背景色】
【基本フォント色】
4:建設巨神イエオン
08/11/04 01:40:35 3I7lBoNk
■画像投稿報告ガイドライン
ロスカラSSスレ派生画像掲示板
PC用 URLリンク(bbs1.aimix-z.com)
携帯用(閲覧・コメントのみ) URLリンク(bbs1.aimix-z.com)
1.タイトルとコテハン&トリップをつけて絵を投稿する。尚、コテハン&トリップについては、推奨であり強制ではありません。
・挿絵の場合は、誰の何のSSの挿絵と書く
・アニメ他公式媒体などにインスパイアされた場合は、それを書く(例:R2の何話をみてテンさんvsライを描きました)
2.こちらのスレに以下のことを記入し1レスだけ投稿報告。
例:
「挿絵(イメージ画像)を描いてみました。
画像板の(タイトル)です。
・内容(挿絵の場合は、SSの作者、作品名等。それ以外のときは、何によってイメージして描いたのかなど)
・注意点(女装・ソフトSM(首輪、ボンテージファッションなど)・微エロ(キス、半裸など)・ゲテモノ(爬虫類・昆虫など) など、
絵はSSに比べて直接的に地雷になるので充分な配慮をお願いします)
以上です。よかったら見てください。」
画像掲示板には記事No.がありますので、似たタイトルがある場合は記事No.の併記をおすすめします。
*ただし、SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください。
3.気になった方は画像掲示板を見に行く。
画像の感想は、原則として画像掲示板に書き、SSスレの投稿報告レスには感想レスをつけないこと。
画像に興味ない人は、そのレスをスルーしてください。
4.SSスレに投稿報告をした絵師は以下の項目に同意したものとします。
・SSスレに投稿報告した時点で、美術館への保管に同意したものと見なされます
・何らかの理由で保管を希望しない場合は、投稿報告時のレスにその旨を明言してください
・美術館への保管が適当でないと判断された場合、保管されない場合もあります
(不適切な例:ロスカラ関連の絵とは言えない、公序良俗に反するなど)
--------テンプレは以上です--------
5:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 18:55:46 ALsKGGwO
>>1
乙です!
6:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 22:07:27 YJxXwHg7
しかし、もう31かあ。50も夢ではないな。
7:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 22:22:01 iAZc0KVi
31だけにアイスクリームネタが必要かな?
8:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 01:13:13 WkqbPZPv
>>1乙
ちょっと顔出さなかった間に新スレ経ってるんだもんな…
相変わらずの回転率だなぁ
9:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 02:51:12 MJz8avov
スレ立て乙でした。
そう言えばSS1000も見えてきたんでしたっけ。
お祝い参加できるかなー
10:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 03:21:34 O9z7oxhD
実写化したらこの人ですかねライは
URLリンク(jp.youtube.com)
11:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 03:22:55 O9z7oxhD
下げ忘れましたゴメンナサイ……
12:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 03:55:07 nqTBYzjh
上げ下げ以前にSSスレに落とす話題じゃないだろ
13:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 07:07:51 XQ0WQgEs
>>9 そういえばSSもそろそろ1000かあ。31スレ目で1000って投下効率相当良いよね。
14:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 08:32:57 rBp/ibj3
今で920個ぐらいだね
15:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 22:32:12 X7Be0133
>>1乙
16:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 23:00:07 38wjoZ9+
オール・ハイル・>>1!乙!
17:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/05 23:34:51 IYjxb+WJ
(・∀・)つ|投下予告|
親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT
#親衛隊篇準拠、ライが特区日本式典会場にいなかったら?設定でR2直前までの妄想劇場
#当然ながら血染めのユフィ発生にご注意ください
#1章は鰤軍メイン(ネリ様ユフィスザク)前編のみほんの少し脇役にオリキャラ使用
#最終的には全3章の予定です、初投下なのに長くてスマソ
#僕主人公ライが変な人になってしまい全力で土下座
1章前編4レス程度です。予告と終了合わせると6レスなので支援は必要でしょうか…?
18:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 23:38:36 Wyo5WZlL
支援
19:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/05 23:38:59 IYjxb+WJ
親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT 1*血染め の ユフィ(前編)
『行政特区日本式典会場前です。このイレ、いいえ、「日本人」達の開場を待つ長い列をご覧下さい。
ユーフェミア皇女殿下によるセレモニーは12時から行われる予定ですが、未だ黒の騎士団からの声明は…』
ブッ
「あー」
映像が突然切れたので抗議の声をあげると、怒れる女神が仁王立ちで僕を睨みつけていた。美人は怒っていても美人ですが
個人的には怒っていない美人の方を希望したいと思います。主に生命の危機的な意味で。
「なにが『あー』だ、この脆弱者」
怖い、怖いですコーネリア様。何が怖いってお手元のリモコンが僕の喉元を狙っているあたりが。
「ライ、ここで何をしている」
「ニュースを見ています」
僕が即答すると、コーネリア様は更にまなじりをキリリと上げた。
「私が聞いているのは、なぜお前が、この私の執務室に、プロジェクターを持ち込んでニュースを見ているのかということだ!」
「せっかくの妹君の晴舞台ですから大画面でご覧頂こうと思いまして会議室から拝借」
「いらん!」
…もの凄い勢いで執務室を叩き出されてしまいました。本当は会場に行きたくてたまらない癖に素直でない方だ。すかさず扉が
開いたのでうっかり心の声が聞こえたのかと思ったら、プロジェクターとスクリーンが部屋の外に放り出される。酷い、設置するの
結構手間だったんですよ。せっかく繋いで電源入れたら《NO SIGNAL》って出るし、やっと映ったと思ったら上下が逆転してるし。
「ライ卿」
騒ぎが収まるのを待っていたかのように控室の扉が開いて、丸眼鏡の青年がひょっこり顔を出した。
彼は事務官のルビエラくんです。僕とそう歳も変わらないけど真面目で優秀ないい人です。
どれぐらいいい人かというと、今もプロジェクターを会議室に戻すのを手伝ってくれて、」
「手伝いますからそんな遠回しな頼み方をなさらないで下さい…」
「おお、つい心の声が」
そう僕がすっとぼけるとルビエラくんはため息をつきつつも片づけを手伝ってくれる。ほらね、いい人でしょう?
20:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 23:39:38 Wyo5WZlL
支援!
21:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/05 23:40:59 IYjxb+WJ
「そんなに式典がご覧になりたいのなら、ユーフェミア皇女殿下の警護の任をお受けすればよかったのでは?」
プロジェクターを運びながらルビエラくんが尋ねる。そう、僕は式典に参加して欲しいと頼まれていたんだ。
他ならぬユーフェミア皇女殿下直々に。
行政特区の宣言をしてからのユーフェミア皇女殿下は迷いがなくなったようにいきいきとしていた。いきいきとした女性は好きだ。
美人なら尚のことだし、それが親友の主であるのだから喜ばしい事だと思う。でもこの主従は妙に行動派、しかも天然なので
時々突拍子もない行動にでるのが問題でもあった。
間違っても大国ブリタニアの第三皇女でこのエリア11の副総督ともあろう方が、控室でサボり中のヒラ騎士を襲撃されては困るのです。
いきなり飛び込んできた皇女様に、僕はあやうくコーヒーを吹き出しそうになり、ルビエラくんは大量の書類を床にぶちまけた。
当の皇女様は「お忙しかったかしら?」とニコニコしている。いっそ皮肉であって欲しいが彼女はいたって真面目だ。
スザクだけは申し訳なさそうにしていたけど何の慰めにもならない。止めてくれ、頼むから。僕ごときにアポはいりませんが
心の準備は欲しいです。
彼女の要件は来週に迫った《行政特区日本》の式典に、スザクと共に警護として参加して欲しいとの事だった。
皇族に、と言うよりユーフェミア皇女殿下の行動に免疫がない気の毒なルビエラくんにはとりあえず席を外してもらい、
僕は皇女殿下にソファを勧める。スザクは彼女の横に不動の姿勢で立つ。専任騎士が板についてきたなぁ。
ただ、と皇女殿下は続ける。
「名目上は『警護』ですけど、実際はその必要はないとわたくしは考えています」
ユーフェミア様、と咎めるようにスザクが口を挟んだ。
「ゼロは危険な男です。何が起こるかわかりません!ランスロットも待機させないと言うからせめて身辺警護だけでも厳重に…」
「問題ありません」
でも、となおも言い募るスザクの唇の前に人差し指を立てて発言を遮ると慈愛の姫君は微笑む。
妙に確信めいた笑みが気になった。彼女は何か知っているのだろうか?
22:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 23:42:10 Wyo5WZlL
支援
23:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/05 23:43:10 IYjxb+WJ
「スザク、ダールトン将軍にこの書類を届けてくれないかしら?宣言文の草案なの」
つまり遠回しに席を外せと言っているのだ。もちろんそれにスザクも気づく。なにか言いたげに僕の方を見るので、(また後で)と
目でサインを送ると不承不承の態で彼は一礼し、部屋を出て行った。少し気の毒な気もする。スザクは本当にこの姫君を敬愛しているのだ。
僕はひとつため息をついて彼女に向き直る。
「皇女殿下…、」
「ユ・フ・ィ・で・す!」
私的な場では友人としてお話しする約束だったはずです!と抗議するユフィ。可愛らしく頬を膨らませて怒る姿が微笑ましい。
ひょっとしたら僕は美人に怒られるのが好きなのかもしれない。
「ごめんごめん、ユフィ。わかってるよ」
ユフィはからかわれたと思ったのか、更に頬を丸くする。いや、実に申し訳ない。
政庁の外でなぜかユフィと遭遇することが多かった僕は、自然とユフィの「友達」になった。ユフィの弁を借りると、政庁以外の場で
話しかけてくれたのはスザクと僕だけだったらしい。…それはきっと他の皆は租界で楽しそうにしているお姫様に自分の目を疑ったのか
見なかった事にしたのか、どちらかのような気がしたけれどあえて口には出さない。
僕とユフィはお互い大切に思う人が一緒な(誰が、とか言うまでもない)ある意味似た者同士だ。話が合うのは当然とも言える。
24:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/05 23:44:36 IYjxb+WJ
「警護と言うよりは、わたくしの大切な友人として新しい特区設立に立ち会っていただきたいのです。
スザクや、ライさんの力添えがあってこその特区ですから」
「いや、僕はなにもしていないよ。行政特区なんて僕には思いつきも出来なかったんだから」
本当にびっくりしたしね、と僕が言うとユフィはいたずらが成功した子供のような笑みを見せたが、ふいに何かを思い出したのか
その笑顔がみるみるしぼみ、俯いてしまった。上目で僕をじっと見る。
「…お姉さまは何か言ってましたか?」
たぶんこれが今回の訪問の目的だ。特区日本の宣言以来、コーネリア様とユフィはちょっとした冷戦状態になっている。ただでさえ専任騎士に
スザクを選びコーネリア様と少しぎくしゃくしてしまった件もあったので、スザクの前では言い出しにくかったのだろう。
「大丈夫、殿下は理解してらっしゃる。少し時間が必要なだけだよ」
ユフィを安心させようと僕は微笑む。コーネリア様に仕えるようになってからまだ日も浅い僕だけど、この姉妹がお互いを
とても大切に思い合っているのはよく分かる。ブリタニアの皇族という難しい立場のなか、ずっと過ごしてきた時間があるんだ。
これぐらいのすれ違いで揺らぐような関係ではないはずだ。
そう、ユフィ達は大丈夫。問題は別のところにある。
「ただゴメン、ユフィ。気になることがあって今はコーネリア殿下のお側にいたいんだ」
「気になることですか?」
「うん。大したことにはならないと思うんだけど、エニアグラム卿も気になされていたので少しね」
「ナイト・オブ・ラウンズのエニアグラム卿が…。わかりました。ライさん、どうかお姉さまをお願いしますね」
25:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/05 23:46:05 IYjxb+WJ
《行政特区日本》構想がいきなり公表された直後は、確かにコーネリア様はご立腹だった。
しかしそれはユフィ自身や、案そのものに対する怒りと言うよりは、このエリア11責任者である総督があずかり知らぬ所で
話が進んでしまっていたのがコーネリア様の統治者としての信条に背くものだったのだろう。
ユフィがシュナイゼル殿下には相談していたのがさらに火に油を注いだ。
シュナイゼル殿下から事情を説明され今は納得していらっしゃるようだが、さすがのコーネリア様でも溺愛する妹が独り立ちしていくのを
応援する気持ちになるにはもう少し時間が掛かりそうだった。要するに怒っているのではなく、頼られなかったことを拗ねているのだ。
拗ねるコーネリア殿下なんて珍しいものが見られたのは良かったけど、」
「ライ卿、また頭の中漏れてますよ…」
ルビエラくんにツッコまれてしまいました。いかん、また心の声が。万が一でもギルフォード卿に聞かれたら大変です。
僕はあらためてスクリーンを抱え直し、会議室へ向かった。さっさと片付けてしまおう。
「…………」
あと3時間で式典が始まる。黒の騎士団は、ゼロは姿を現すだろうか。
空は晴天。なのに何でだろう、ひどく胸騒ぎがする。
26:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/05 23:46:58 IYjxb+WJ
#(・∀・)本文が長杉言われたので1レス増えましたw 1章前編終了。後編に続きます。
#改行の文字数などお見苦しい点がありましたら指摘ヨロ
27:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 00:13:21 s3EkaJvm
やはりライの雰囲気や描写に少し違和感がある、かな
文章力はあって読みやすいので、これは少し勿体無いと思う
28:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 00:28:03 nS15awx1
>>26
初投下、乙!
特区をコーネリア側から見るという視点が新鮮です。
これから惨劇が起こるということに覚悟をしなくてはなりませんが、続きが気になります!
次回の投下を楽しみにしています。
29:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 00:48:20 +HDUD9XP
>>26
(・∀・)卿、初投下乙でしたー
やはりライの性格や雰囲気に違和感は感じました。
しかし、読みやすい文章に面白そうな設定を見てると
大変続きが気になってきます!
今から急に性格を変えるのもどうかと思いますので
このまま突っ走っても良いんじゃないかと思いました。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
30:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 01:04:14 qAHJXThn
ほのぼの補正がかかっていそうなのに血染めのユフィ・・・
どう、どうなるんですかこれは
文章はしっかりしていて安心感。信じて乗っかっていきます。
面白いアナザーに連れて行ってもらえそうでドキドキ。
次回1章後編、楽しみにお待ちしています!
31:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 07:17:54 em6cJRDB
>>26 初投下乙です。確かにライのキャラに補正かかってますが、しっかりとした設定と文章力があるうえでのことなので、作風と意図がちゃんと伝わってきて問題なしです。続き楽しみにしています!
32:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 08:00:00 A5dwcdyA
>>26
初投下おつ~
他の人がいうとおりライの性格がちょっときになるかな?
でもここからあの惨劇につながるかと思うと楽しみですな
33:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 08:13:11 xM94sbnF
>>26
こういう主人公改変ものって普通は嫌われたりすることが多いんだけど
これは文章力が見事に補ってますね。続き楽しみにしてます。
34:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 08:20:20 CA1wSBUv
ほのぼの路線かと思いきやこの跡にアレが待ち構えてるのか…
楽しみやら怖いやら
でもやっぱり楽しみ!次回の投下を全力でお待ちしております!
35:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 08:27:50 qe/UNR6L
このライは某「ロスカラさん」に通じるものがあるなw
36:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 11:46:46 kbTsO15m
>>26 乙です。ギャグ路線以外ではキャラクターの性格改変物は苦手なのですが違和感なく読めました
これからあの悲劇が始まるわけですがこのライがどんな活躍をするか楽しみにしてます
37:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 20:27:10 We9r6apz
人居ますか?
38:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 20:33:37 l0HkHScy
おりますよ。
39:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 20:41:10 We9r6apz
じゃあ人が居るみたいなので投下します
覚えてる人居るかな?
魔法少女ライマーユニーにシリーズで「狂王2」です
カップリングは特になし
約19レス
注意点
・ぶっ壊れ系ギャグです
・また、世界、キャラともにぶっ壊れ方が激しいので注意してください
・このシリーズのライは最早スーパーアイドルですのでお気をつけて
では投下
40:萌は文化
08/11/06 20:43:57 We9r6apz
「では見ていただこう。来月公開の『狂王2』だ」
ゼロが言うと照明が落とされた。
『狂王2』
前回までのあらすじ
「前作を見てください」
「待て! それではあらすじの意味がないぞ!」
サラッと言って画面から去ろうとするライに杉山が突っ込むとライは杉山を睨みつけた。
「前作も見てないクセに見に来る奴に説明なんか必要ない」
「頼むからお客さんから反感買うような発言止めてくれ!」
杉山が頭を下げるとライは渋々、あらすじの説明を始めた。
「あらすじ、凪沙さんが素敵、凪沙さんは美しい、凪沙さん最高。凪沙さん好きだ」
「ええと、前回までのあらすじ。ライは昏睡状態の千葉さんの治療費を稼ぐため、夜の街で知り合った謎の男ゼロに誘われ流行らないホストクラブ『狂王』のホストとなった。ライは千葉さんの治療費を稼ぐため『狂王』を立て直し、No.1のホストを目指すのであった」
もはやライはあてにしないことにした杉山は淡々とあらすじを説明した。
「お疲れ様です」
「……殴りたい。こいつすごく殴りたい」
ライと杉山のあらすじの説明が終わると本編がスタートした。
41:萌は文化
08/11/06 20:46:26 We9r6apz
本編が始まるとライ達が新しくなったホストクラブ『狂王』の店内で経営方針について話し合っていた。
「やはり、ホストクラブ定番のフルーツ盛り合わせだけじゃなくてウチだけの特別な何かが欲しいな」
ライの提案にゼロは頷いた。
「うむ、もっともだな。確かにライが入ったことでウチのホストのレベルが上がったがライ以外は地味な美形とヤクザなギリ美形メガネくらいしかいないからな」
「誰が地味だ。誰が脇役だ。誰が影が薄いって?」
「ヤクザなギリ美形って僕のことかい?」
「とあるホステスの店ではホステス達の手料理を出すそうだ。ウチにもそれくらいのインパクトがあるサービスが欲しいな」
「「無視か!?」」
杉山と朝比奈を無視て頭を悩ませるライとゼロ。
「フッ、ならば僕の実力を見せてあげようじゃないか。杉山君、例の物を」
「お、わかった。あれだな」
自信満々に朝比奈が言うと杉山は席を立ち、厨房からあるものを運んで来た。
「はい、どうぞ」
杉山がライの前に置いたのは丼に入ったホカホカのラーメンだった。
「………おい」
「ん……ブァッハ!」
そのラーメンを見たライは近くにあった灰皿を手にとり杉山を殴りつけた。
42:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 20:48:46 We9r6apz
「何すんだよ! 殺す気か!!」
殴られた杉山は頭から血を流しながら怒った。
「黙れ地味男。ラーメンってなんだラーメンって。ホストクラブを舐めてんのか君は!」
「だったら朝比奈に言えよ! なんで俺が殴られなきゃいけないんだよ!」
「目の前にいたからだろ」
「納得いくか!」
さぞ当然のように言うラスとゼロに杉山はツッコミを入れた。
「まったく、杉山君をいくら殴ろうとかまわないが僕のラーメンを食べもしないで文句を言うのは納得いかないな」
「嫌、かまえよ!」
「まずは食べてみてくれ」
「無視かよ!」
騒ぐ杉山を無視して飽くまでもラーメンを押す朝比奈。
ライは渋々ラーメンを口に運んだ。
「む、これは!」
ライは再び灰皿を手にするとそのまま杉山を殴りつけた。
「グハッ!」
「美味いじゃないか」
「フッ、当然さ」
ライに自分の作ったラーメンを褒められ得意気な朝比奈。
「いや、その前に何故俺を殴った」
「ラーメンが美味しいからさ」
「ふざけるな美形!」
43:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 20:49:54 Mewj/wq5
支援
44:萌は文化
08/11/06 20:53:05 We9r6apz
一方、杉山は殴られて怒り爆発中である。
「だが残念なことに………そのチャーシューを食べてみてくれ」
そんな杉山を無視して朝比奈が言うとライはラーメンの具の厚みのあるチャーシューを口に運んだ。
チャーシューをしばらく噛み締めるとライは近くの灰皿を拾い杉山の顔面に投げつけた。
「ブベハッ!」
「まずい! なんだこれは! ラーメンの味を何一つ生かさずに作られたこの不快感はなんだ!」
拳を握りしめ、杉山を何度も不必要に踏み続けるライ。
「ちなみにチャーシューは杉山君が作ったから僕のせいじゃないよ」
「やはりお前は脇役な上に地味な男だな。略してワジオだ!」
「マ○オみたいに言うな! っていうかやりすぎだろ!!」
ポタポタ垂れる鼻血を押さえ、杉山は立ち上がり3人に怒鳴った。
「いいからさっさと掃除をしろワジオ」
「あと買い出しよろしく杉山君……おっと失礼ワジオ君」
「ロクに笑いもとれなそうなあだ名をつけるな!!」
ブツクサ文句を言いながらも素直に店内を掃除し始める杉山。
「ラーメンは意外といけるから採用。でももう少しメニューにバリエーションが欲しいな」
「ほう、バリエーションとは?」
45:萌は文化
08/11/06 20:54:37 We9r6apz
ゼロが興味深げに聞くとライは説明を始めた。
「ラーメンだけでなく味にこだわった美味しい料理をウチの店の目玉にするんだ。美味しい料理が食べられ、ホストがご奉仕してくれる。これをウチのスタイルにしようと思うんだ」
なるほど、とゼロは頷いた。
「少し値は張るが、それでも文句がないほど美味しい料理を作ればいい。うまく行けばホスト目当てじゃなくて料理目当てで来るお客さんも増えるかもしれない」
「なるほど、流石だな。元々ホストで出される料理はぼったくりだ。だから普通のレストランの値段より上乗せしてもそれほど気にはならないということか」
「そういうこと。某ホストクラブではただのフルーツ盛り合わせで2、3万を普通に取るからね」
得意気に語るライ。だが朝比奈はここで重要な問題に気づいた。
「ちょっと待て、その料理は誰が作るんだ? 言っておくが僕はラーメンくらいしか大したのは作れないぞ。まあ、肉じゃがとか醤油を使った料理なら結構自信あるけどね」
「ホストで肉じゃが出されてもキモイよ醤油馬鹿」
ボソッと杉山が呟くと朝比奈は近くにあった花瓶を掴み杉山に投げつけ、見事ヒットした杉山は大きく吹き飛んだ。
46:萌は文化
08/11/06 20:59:37 We9r6apz
「やはり、そこが問題なんだよね」
脳震盪を起こし、ふらつく杉山を無視してライはうーん、と唸り頭を悩ませた。
「その話、聞かせていただきましたよ!」
「何!」
すると突然入り口の扉が開き、ライ達の視線が入り口に集まった。
そこには何故か薔薇をくわえた咲世子が変なポーズで立っていた。
「あ、あなたは…」
「フッ、私ですか?」
ライが言うと咲世子待ってましたと言わんばかりにニヤリと笑った。
「フッ、私ですか………私はスーパーメイド咲世子。そして人は私をスーパーメイド咲世子と呼ぶ!!」
(まんまだ!)
(そのまんまだ!)
無意味にポーズを決めると咲世子はくわえていた薔薇を近くのゴミ箱に捨てた。
(捨てたよ! 地味に薔薇を捨てたよ!)
(流石スーパーメイドだ)
「さて、何故私がここに来たのか言いますと…」
誰も聞いてないのに咲世子は遠くを見ながら急に語り出した。
「率直にいいます。私を雇ってみませんか?」
突然の来訪者からの突然の申し出。
47:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:02:50 l0HkHScy
支援
48:萌は文化
08/11/06 21:04:19 We9r6apz
「ウチはホステスは募集してないが?」
「いや、胸をさらしでごまかして男装させればいけるかもしれないよゼロ」
「君達はバカかい? ウチはメイド喫茶じゃないのでお引き取りください」
「バカはてめぇら全員だ!」
だがトンチンカンなことを言うゼロ、朝比奈、ライの3人。とりあえず杉山は大声で突っ込んでおいた。
「もちろん、ホストでもホステスでもなく、ましてやメイドとして雇ってもらうのではなく、ここ、ホストクラブ『狂王』の厨房係として雇って欲しいのです」
「……何!」
咲世子の申し出を聞き、朝比奈の目の色が変わった。
「君、醤油は好きかい?」
「はい、好きです」
「ゼロ、僕は賛成だ」
醤油が好きか嫌いを確認した朝比奈はキッパリと言った。
「適当すぎだろ!」
「何を! 醤油の好き嫌いは重大だろ!」
醤油至上主義の朝比奈に意義を申し、杉山と朝比奈は口論を始めた。
「ただし、それには条件があります」
そんな喧嘩する2人を無視して咲世子は話を続けた。
「私とご奉仕勝負をしてもらいます」
「ご奉仕勝負?」
ライが繰り返すと咲世子は頷いた。
49:萌は文化
08/11/06 21:06:45 We9r6apz
「そう、ホストとホステスの基本中の基本としてご奉仕勝負をさせていただきます。もしこの勝負であなた達が勝ったら私を雇ってください」
何故か雇われる側のクセに偉そうな咲世子。
「もし負けたら?」
「この店をもらいます」
サラリとあまりにも不公平な条件を出す咲世子。
「いいよ」
だがライはあっさり了承した。
「おい待て! どう考えてもこっちのデメリット大きすぎだろ!!」
慌てライに問い詰めるゼロ。
「大丈夫だゼロ。だってここ、僕の店じゃないもん。損するのは君だけさ」
キッパリとライはいい切った。
「それもそうか」
そして何故かゼロは納得をした。
「いいのか! それでいいのかゼロ」
「黙れ杉っち! 僕らには人事だ」
ツッコミを入れる杉山に朝比奈が怒鳴った。
50:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:07:36 l0HkHScy
支援
51:萌は文化
08/11/06 21:13:19 We9r6apz
「何その黙らせかた! ってか杉っちって俺のことか!?」
「うるさいぞ機動戦死杉ダム」
「少し黙れスーギ」
「せめてあだ名を統一しろ!」
そんなこんなでホストクラブ『狂王』チーム対スーパーメイド咲世子によるご奉仕勝負が始まった。
「……ふう、今日は遅くなったな」
場面変わって狂王の店の前。
狂王の店の前を偶々扇が歩いていた。
その時、店の扉が開き、中から飛び出して来たロープが扇の首に絡みついた。
「がっ、な、なに…うわぁぁ!」
困惑する扇はそのまますごい力で店内へと引きずり込まれた。
無理矢理引きずり込まれた扇はソファーに座らせられると目の前に偉そうに座る仮面の男ことゼロに驚愕した。
「ようこそ狂王へ」
「ヒィィ!?」
目の前の怪しい仮面男にビビる扇。
「ルールは簡単、この人を満足させた方の勝ちです」
扇の首に巻かれたロープを外しながら咲世子は言った。
「いいだろう。では先にお前からだ」
「ええ、いいでしょう」
扇の意識は総シカトで咲世子は扇を個室へと引っ張って行った。
「時間は30分だぞ」
「わかってます」
「ちょっと、一体何なんですか!?」
52:萌は文化
08/11/06 21:15:16 We9r6apz
扇の叫びなとお構いなしに、個室の扉が閉められた。
30分後、扉が開くと中からパレオを着た咲世子と鼻の下がだらしなく伸びてる扇が出てきた。
「いや~、いいもの見た」
デレデレににやけた顔で扇は笑った。
「フフフ、どうですか? 必殺個室で男性のためにコスプレショーですよ。これで満足しない男はそうはいません。私の勝ちですね」
プルンと胸を揺らし、咲世子は偉そうに腕を組んだ。
「フッ、馬鹿め。水着はパレオよりハイレグだ!」
「何を言っているゼロ。ビキニ一択だろ」
「いやいや、ワンピース型だろ」
「会話がかみ合ってないぞ!」
杉山が3人に突っ込むとライは小さく咳払いをした。
「フッ、舐められたものだ。僕らには彼を満足させるだけの切り札がある」
「何ですって!?」
自信満々でクールに笑うライ。
「フッ、いいでしょう。お手並み拝見いたしましょう」
そう言うと咲世子は少し離れた所に何故かグラビアアイドルのようなポーズで座った。
「では、次はここに座って」
「は、はい…」
ライに言われ扇はゼロの目の前のソファーに座った。
53:萌は文化
08/11/06 21:17:09 We9r6apz
「では始めようか扇要君」
「な、何故俺の名前を…!」
名乗ってもいないのに自分の名前を呼ばれた扇の表情が凍りついた。
「フッ、君が咲世子さんのコスプレショーを楽しんでる30分。僕達が何もしてないと思ったのかい?」
まるで悪の組織の総帥のような悪い笑みでライは言い手帳を開いた。
「扇要、27歳O型。○○小学校の教師をしている。両親はすでに他界。現在妹と2人暮らし。立派なものですね」
スラスラと手帳の中身を読み上げるライの説明を聞き、扇の体から嫌な汗が流れた。
「さて、実はこの勝負、私が負けると私の全財産であるこの店があのメイドにとられてしまうのだよ。この意味わかるな」
「……え、ええ」
テーブルの上に足を乗せ、どこか威圧的にゼロは言った。
「ところで君には可愛い妹がいるそうだね。確か名前はカレンだったかな?」
「!?!」
朝比奈の言葉に扇は絶句した。
「君の妹さんの帰り道はすごく危険だよね。あの辺は人通りも少なく、少し部活で遅くなったら真っ暗だ。そこで何かあったら悲鳴は誰にも届かないだろうね」
「あ、あんたまさか!!」
肩を震わせ扇が立ち上がった。
54:萌は文化
08/11/06 21:19:46 We9r6apz
「何をそんな驚いているんだい? 僕達はただ君の妹さんの話をしているだけだよ」
涼やかな笑みを浮かべ朝比奈は笑った。
「最近、物騒だからな。そうそう、物騒と言えば君の担当しているクラスの生徒達だが子どもは可愛いな。みんな仲良く集団下校だからな。だがその集団下校の最中にもし、もしもだぞ? 飲酒運転のトラックが突っ込んで来たら恐ろしいな」
朝比奈に続き、今度はゼロが語り始め、扇は恐ろしいものを見るようにゼロに視線を向けた。
「もちろんそんなことがないのを願うが最近は物騒だからな…そうそう君は同じ職場の女性に好意を持ってるようだな。名前は…」
「止めろー! 止めてくれ!!」
耐えきれなくなった扇は耳を塞ぎ悲鳴を上げた。
「何をそんな嫌がるんだい? 僕達は君の周りの世間話をしているだけだよ。ああ、そういえば君の家の、立派だね。立て直したばかりだっけ? でも気をつけるんだよ。木造ってわりと早く簡単に燃えるからね」
「うわぁぁぁ」
クスクス笑うライを見て扇は慌てて走り出し、店の入り口の扉へと向かった。
「助けてくれ! 助けてくれ!! 誰か! 誰かぁ!!」
55:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:20:46 Z+014wW7
おお、狂王が投下されてる支援
56:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:23:01 l0HkHScy
支援
57:萌は文化
08/11/06 21:23:23 We9r6apz
必死に扉を叩く扇だが押しても引いても扉は開かず、扇は惨めに叫びながらひたすら扉を叩いていた。
「何をそんなに恐れる扇要よ」
「本当だよ、これじゃあ僕達が怖い人みたいじゃないか」
「ホント…傷つくな」
そんな扇を追い詰めるようにゼロ、ライ、朝比奈の3人が扇を取り囲んだ。
「ヒッ! た、頼む…助けてくれ」
跪き命乞いをする扇。
「助けるって何をだいゼロ?」
「さあな。だがこの勝負負けるわけにはいかんのでな。まだ帰られるのは困るな」
とぼけた顔で話すライとゼロ。
「わ、わかった! あんたらの勝ちだ。文句ないだろ! あんたらの勝ちだ!」
今にも泣き出しそうな扇は訴えるように叫んだ。
「やったねゼロ。僕達何もしてないのに勝ったよ」
「そうだなライよ。なんて優しい審査員だったんだろうな」
「僕達はラッキーだね」
(悪魔だこいつら…)
勝利に喜ぶ3人を見て杉山は心底そう思い、扇に同情した。
「フッ、流石ですね。私の負けです」
それでいいのか?
咲世子はどこか満足そうに笑い、ゼロに手を差し出した。
「何、君もよくやったよ」
「いや、むしろお前ら最低だ」
固い握手を交わすゼロに杉山は突っ込んだ。
58:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:23:34 Z+014wW7
支援
59:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:24:25 qjoQ0lnd
フルメタねたか・・
60:萌は文化
08/11/06 21:26:03 We9r6apz
「よし、これで厨房とウェイターの確保は出来たね」
「? 咲世子さんが厨房係ってのはわかるけどウェイターはどこから来たんだ?」
ライの言葉に疑問を感じた杉山が言うとライは扇を指差した。
「彼」
「何を!?」
いきなりウェイターに任命された扇は驚き声を上げた。
するとゼロがマントを翻して言った。
「安心しろ。すでに辞表は代わりに出しといてやった」
「なんだってぇー!!」
「これで貴様はウチの専属ウェイター兼雑用係だ」
力無く膝をついた扇。
そんな扇を見かねてライは扇の肩を叩き、そっと囁いた。
「君にもう自由なんてないんだよ」
ライの囁きを聞いた瞬間、扇の顔から光が消えた。
「う、うわぁぁぁ!!」
「悪魔だ……なんで俺こんな店にいるんだろ」
熱くなる目尻を押さえ、杉山は黙って扇に同情をした。
『狂王2』 終
61:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:26:19 Z+014wW7
支援
62:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:28:23 l0HkHScy
支援
63:萌は文化
08/11/06 21:28:23 We9r6apz
「うう……すごいよ……ライマーユニーの新作だけじゃなくて狂王2まで見れるなんて…」
「…………感激」
狂王2を見終わるとモニカとアーニャは周りドン引きするほど号泣していた。
「とりあえず涙ふけ2人とも」
そんな2人を見かね、ノネットがハンカチを差し出した。
「うう…ありがとーノネット」
ノネットからハンカチを受け取り、モニカが自分の涙を拭いたその時だった。
「ごめんゼロ。渋滞で遅れちゃった」
扉を開け、ライが息を切らしながらやっと到着した。
「「ライ様!?」」
扉近くの一番後ろの席のアーニャとモニカがすかさず反応した。
すぐ目の前に憧れのライ様がいる。
そう思った2人は緊張で身体が固くなった。
「遅いぞライ。おかげで狂王2まで見終わってしまったぞ」
「そうみたいだね。たった今終わったのかな………あれ」
ゼロと言葉を交わしたライは自分の方を見て固くなってるモニカとアーニャの視線に気づいた。
するとライは2人の元まで行き、自分のポケットからハンカチを取り出しそっと2人の涙を拭いた。
「もしかして狂王2を見て泣いてくれたのかな? フフ、ありがとう綺麗で可愛らしいお嬢さん達」
64:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:28:42 Z+014wW7
支援
65:萌は文化
08/11/06 21:30:05 We9r6apz
「綺麗で…」
「可愛らしい…」
爽やか笑みを向けられ、アーニャとモニカの2人は絶頂とも言える胸の高鳴りを感じていた。
流石、黒の騎士団が誇るスーパースターと言うべきである。
※ 忘れ気味ですが黒の騎士団はレジスタンスです
「あの…ライ様ですよね……良かったら握手を…」
ライのオーラに少し押されながらもノネットがライに恐る恐るお願いをした。
意外なことに先程までライ様(ライマーユニー)に会えると興奮し、騒いでいた連中は本当のライを目にした瞬間、驚くほど静まり返りライを見つめていた。
「あ、すみません。悪いけどそれはまた後で、凛々しきお姉さん」
「っ!」
やんわりと断り、ステージに向かうライ。
そんなライの姿を断られたノネットはどこか熱っぽくポーっと眺めていた。
「あれが……本当のライ様………こんな気持ち初めてだ…」
「ライ様が…私を綺麗で…可愛いって……」
「………死んでもいい」
完全にトリップ状態のノネットとモニカとアーニャであった。
「それではライが来たところでこれから撮影の説明を始める」
こうして説明会は無事に終わった。
66:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:30:37 Z+014wW7
支援
67:萌は文化
08/11/06 21:32:20 We9r6apz
説明会が終わった後、ゼロとライ、井上、朝比奈、ディートハルトを中心とした黒の騎士団達はこれからの撮影の予定を話し合っていた。
「やはりナイトオブラウンズは全員ライマーユニーに出演させた方がいいのではないですか?」
「そうだね。正直、ライマーユニーの方は役者が足りなくなって来たし、ちょうどいいね」
ディートハルトと朝比奈の言葉を聞いてゼロは静かに頷いた。
「なるほど、ライマーユニーの方はお前達に任せよう。狂王の方はどうする井上?」
「うーん、正直狂王は美形が不足してるから美形が欲しいんだけど……」
困ったように井上が言うと朝比奈が意を反するように手を上げた。
「だがこちらも役者は不足している。使えそうな人材も少ないしあまり狂王に分け与える余裕はない」
「ちょっと、分け与えるって何よ。それじゃ狂王がまるでライマーユニーより下みたいじゃない!」
朝比奈の言葉に机を叩き、井上が噛みついた。
「何を言ってるんだ? ライマーユニーの方が収益が圧倒的に上だろ。狂王なんか女性ターゲットの副産物にすぎないよ」
68:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:32:44 Z+014wW7
支援
69:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:33:03 l0HkHScy
あれ、雲行きが…支援
70:萌は文化
08/11/06 21:34:36 We9r6apz
「キィー! 収益が多ければ偉いって! 狂王だって必死こいて作ってるのよ。それを、それを副産物だなんて……」
朝比奈の発言に悔しそうにギリギリと唸る井上
「……ライ君もなんか言ってあげて!!」
「え、あ……僕としてはライマーユニーと違って女性しなくていいから狂王の方が楽だな………なんて」
軽く笑い、ライはお茶をすすった。
「ええい、喧嘩は止めろ2人とも!! 仕様がない。互いに使いたい役者を名前を後で私に提出しろ。後で私とディートハルトでスケジュールを組む。それでいいな」
「わかったわゼロ」
「OKそれで行こう」
ゼロの提案に朝比奈と井上は互いに納得し、会議は終了した。
「では、ライ君はこれからアッシュフォード学園で講演会があるので急いでください」
「はいはい、また移動か…」
偶には休ませて欲しいと思いながらライはため息をつき、車へと向かった。
71:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:34:51 Z+014wW7
支援
72:萌は文化
08/11/06 21:37:01 We9r6apz
おまけ
テレビ『さて、ここで番組からのお知らせです。今度のスペシャルではなんとライマーユニーとライ様をゲストとしてお呼びするのですが抽選で2名の方にライ様またはライマーユニーとのハニカミデートのチャンスが! 宛先はこちら……』
皇帝「ヌアッハハハハ! あやつめ、やりおったな!!」
V.V「シャルル! 出来れば僕の分のハガキも手伝ってよ。腕がもう痛くて…」
皇帝「ヌアッハハハハ!」
V.V「いいじゃん! シャルルはライマーユニー目当てで僕はライ様目当てなんだから!」
皇帝「あやつめ、やりおったな!!」
V.V「わかったよ。自分の分は自分で書くよ。シャルルのケチ!」
73:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:37:27 Z+014wW7
支援
74:萌は文化
08/11/06 21:41:24 We9r6apz
以上で終了
久しぶりすぎて文体がおかしい気がする……
いつ終わるのかなこのシリーズ
では支援ありがとうございました
75:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:50:00 Z+014wW7
お疲れっす!
てっきり終わったかと思ってたこのシリーズ。続きが読めて嬉しいです。
さて、感想ですけど、ライが黒いな~wてっきりギアスで物にするのかと思って
ましたが、脅迫とは読めなかったなあw扇はこれから杉山のポストなのかな?
素のライもノネットさんを篭絡するとは、朱に交わって真っ赤ッかになったのかと
思いましたがあれも演技とは、、、、凄まじいですな。
次回の投下を首を長くしてお待ちしております。
できれば幕間も独立してそれだけを読みたいですね。
76:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 22:07:33 /oz19Gih
>>74
杉山が哀れで、目から汗が…
でも、地味な美形はその通りで擁護できないw
朝比奈でギリ美形ってハードル高っ!
扇も可哀想だが、ウエイター姿は似合う気がするw
咲世子の万能ぶりはどこまでいくんだ?
朝比奈と井上の熱いガチバトルがもっとみたい気がするが、きっとそんな人間は少数派
ラウンズの内訳がどうなったかも気になるけど、美形不足ってことはジノは狂王に参加か?
>>75さんの言ってる幕間ものも一回くらい見てみたい気がするw
シャルルとV.V.のライマーユニーな日々って感じでwww
77:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 22:53:44 eq3N4sFV
>>74
GJ!ライがかつてなく黒いwそして杉山、負けるんじゃないぞw
ブリタニアも巻き込んでのこのプロジェクト、どこまで行くんだろう。
続きをお待ちしています。
さて、23:10に投下します。本文・あとがき合わせて11レス分あります。
78:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 22:59:45 +HDUD9XP
>>74
萌は文化卿、GJでした!
全体的に黒いなwww
杉山がある意味美味しいポジションにw 頑張れ、ちょっと目立ってるぞw
いきなりの咲世子さん登場に吹いたw
今回の一番の被害者、扇要……泣けんでぇ
そして皇帝はwwwもう自重しなくていいよwww突き進んじゃいなよwww
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
79:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:08:24 f2RnanhJ
つか、扇への手口はまんまフルメタルパニックじゃねーか!!
おもしろかったけどさ
80:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/06 23:11:14 eq3N4sFV
さて、そろそろ投下します。
作者:余暇
タイトル:解読不能?
(設定と注意)
・騎士団編カレンEND後で、特区成立から一年が経過。
・ジャンルはギャグ…のつもり。
・最後の方にライカレ要素あり。
・ディートハルトを初めて書きました。彼の雰囲気を出したつもりですが、少し自信ありません。
本文・あとがき合わせて11レスあります。
81:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:13:31 Z+014wW7
風呂が沸くまで支援
82:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/06 23:14:40 eq3N4sFV
『解読不能?』
今日は特区日本の成立一周年記念式典の日。僕とカレンは、会場で警備を担当していた。
そしてその時、モニターの中でゼロの演説が始まった。
「日本人の諸君!私は嬉しい。何故なら、本日は日本という名が復活してちょうど一年に当たる、記念すべき日だからである!
思えばあの日から、日本復活に向けた苦難の道は始まった……。」
マントをなびかせ、またある時はありえない腰の曲げ方をして、さらにある時は手で前髪を掻き上げるような仕草をしつつ、ゼロの熱い演説は進んだ。今日もノリノリだな、絶好調だ。
「しかし、わからないな。」
「え?何がなの?」
僕はふと思った疑問を口にして、その言葉にカレンが振り返った。
「いや、演説のたびにあんなに激しい動きをして、彼は一体何がしたいんだろうと思う時があるんだ。」
「ああ、確かに。派手に見せる演出なのかもしれないけど、それだけの理由であそこまでは考えつかないわ。それに、きっと体を痛めると思うのよね。」
カレンも僕に同調した。そうだ、あんな動きを繰り返せば、確実に体にガタが来る。何しろ中身は、あのルルーシュだ。なのに演説後も平然としているのはおかしい。
演説の時だけ中身が入れ替わっているとも思えないし、すごく不思議だ。
「フフフ。その理由、知りたいですか?」
声がした方へ振り向くと、そこにはディートハルトが立っていた。
83:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:14:54 Z+014wW7
支援
84:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:16:41 J3qBnUwW
支援
85:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/06 23:16:48 eq3N4sFV
「ディートハルト、もしかしてあの動きの真意を知っているのか?」
僕の問いかけに、彼はニヤリと笑った。
「まあ、確証は得られていませんがね。そもそも報道に携わる者とは、多種多様な情報の伝達方法を嫌でも目にします。またその中で、様々なコミュニケーションの取り方を知るものなのです。
何しろ世界は広い、文化圏や言語の違いだけで、コミュニケーションの取り方も差異の大小があるとはいえ、変わってくるものです。」
ふむ、やはりそういうものなのか。色々な世界を見てきたであろう彼が言うと、説得力があるな。
「それで、ゼロがあの動きをしている真意は何?何か大きな意味があるの?」
カレンがディートハルトに尋ねた。
「ええ、ありますとも。ゼロが用いているのは、たとえ言葉が通じなくとも、その仕草を見れば相手に自分の伝えたいことが見事に伝わってしまう、
原始的かつシンプル、しかして高度なテクニックを必要とする方法なのです。その名も……。」
そこで、ディートハルトが妙にリアルな顔になった。正直、顎が気持ち悪い。
「ボディ…ランゲージ。」
その言葉を聞いて、僕とカレンは目が点になった。ディートハルト、それは本気で言っているのか?
86:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:16:59 Z+014wW7
支援
87:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/06 23:19:21 eq3N4sFV
「ボディランゲージ?」
「えーと、要するにジェスチャーか?」
「まあ、平たく言えばそうなりますな。それもゼロの場合は、ごく少数にしか解読不可能な、裏のメッセージを送っているものと思われます。」
その時、僕とカレンに衝撃が走った。
「う、裏のメッセージ!?そんな、ゼロが私たちに隠し事を?」
「それってまさか、世界に散らばる反ブリタニア勢力に対して一斉蜂起を促すとか、重大なものなのか?」
するとディートハルトは、首を横に振った。
「ああ、ご安心を。真面目な演説の中にコミカルなエッセンスを加えて、こっそりと空気を和ませようとする程度のものですよ。
第一そんな重要な作戦があるのならば、少なくとも幹部の方にはお伝えするはず。準備など込み入ったものがありますからね。
ところが、騎士団の双璧であるあなた方にすら伝わっていないということは、決して大きな事項ではないということです。」
僕たちは言葉もなかった。ゼロがそんな裏メッセージを考えていたとは。
「ですが、騎士団の双璧であるあなた方がゼロのメッセージを理解していらっしゃらないのは、少々格好がつきませんな。
では明日の午後、アジトの視聴覚室にお越し下さい。より双璧らしくなるよう、私がレクチャーして差し上げますよ。それでは。」
僕たちが呆然としている間に、ディートハルトは一方的に明日の予定を決めると、さっさとどこかへ行ってしまった。
「ど、どうする、ライ?何だか一方的に決められたけど。」
「ま、まあ明日は休みだし、そんなに重要な事柄ではないのなら少しくらい付き合ってあげてもいいんじゃないか?」
「そ、そうね。それに行かなかったら、後がうるさそうだし。」
だがこんな会話、平和な世の中でなければ絶対できないな。僕は心の中で、相変わらずモニターの中でマントをなびかせるゼロにお礼を言った。
88:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:19:39 Z+014wW7
支援
89:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/06 23:22:27 eq3N4sFV
翌日、僕とカレンはアジトの視聴覚室にいた。そしてそこへ、ディートハルトが現れた。
「やあ、お待たせしました。少々編集作業に手間取りましてね。」
そして彼は、DVDプレーヤーの中にディスクを入れた。
「さて、それでは始めましょうか。最初に言っておきます、ゼロのボディランゲージは彼にとってはあくまでお遊びの一環であると、私は考えます。
おそらく、日頃の激務でストレスや疲れもたまっていることでしょう。そこで、ばれる可能性の低い密かな伝言ゲームをして、ストレスを発散させているのでしょう。
私も研究の末、最近ようやく解読できるようになりましたよ。しかし、さすがはゼロ。今のレベルに到達するまで骨が折れましたよ、ハッハッハ。」
彼の説明を、僕たちは口を開けたまま聞いていた。ゼロが本当に遊んでいるかどうかはともかく、ディートハルトがそんなくだらない研究に情熱を注いでいたことの方が驚きだった。これも平和ボケの一種だろうか。
「じゃあゼロに聞くことなく、あなたが自分で勝手に研究し、推測を立てたと?」
僕の問いかけに、彼は頷いた。
「ええ、そうです。密かに研究して確証を得た時に、ゼロにお聞きしようかと考えていましてね。その方がゼロも驚くでしょうし、何より自力で自分のメッセージを解読してくれたと喜ぶでしょう。
そうすれば、よりゼロに取り入りやすくなりますからね。」
結局目的はそこなのか。危険人物なのか違うのか、まったくわからないな。だがこんな研究をするのなら、今は大丈夫なのかもしれない。
「さて、そろそろ始めましょうか。あくまでこれはお遊びです、あまり身構えず、柔軟な発想でお願いしますよ。では、再生します。」
そしてディートハルトは、DVDプレーヤーの再生ボタンを押した。
90:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:22:49 Z+014wW7
支援
91:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/06 23:25:24 eq3N4sFV
『日本人の諸君!私は嬉しい。何故なら、本日は日本という名が復活してちょうど一年に当たる、記念すべき日だからである!
思えばあの日から、日本復活に向けた苦難の道は始まった……。』
画面の中で、ゼロが体をカクカクさせている。本当にどうやっているんだ。
「さて、それでは戦闘隊長殿。早速これを表現して下さい。」
「えっ、僕からなのか?」
ディートハルトからの指名に、僕はあわてた。お遊びとは言うけど、どうすればいいんだ。
「本当に単純な発想でいいのですよ。楽に考えて下さい。」
「ライ、頼むわよ。あなたの出来次第で、私の方向性とかプレッシャーとか、色々変わってくるから。」
カレン、横からさらっとプレッシャーをかけないでくれ。余計に考えにくくなる。
「本当に遊びでいいんだな?笑ってしまうようなものでも構わないと?」
「ええ、ご自由に。ボディランゲージとは、遊びの要素も含む場合がありますから。」
むう、ディートハルトがそう言うなら、何か考えるか。あのゼロの動きを見て、真っ先に思い浮かぶのは何だろう。
「うーん、何かの体操に見えなくもないが……はっ!そうか、そういうことか!」
とあるインスピレーションを得た僕は、早速演技を開始した。
「はい、まずは両腕を肩の高さまで上げて、そこで腰を鋭く曲げる!そして流れるような動きで腕を回した後、再び腰を鋭く曲げる!
よーしその調子だ、いいぞ私。フフフ、いい感じに腹筋が燃えてきたぞ。よし、今の動きをワンモアセッ!」
僕が思いついたのは、以前テレビでやっていたエクササイズの番組だった。動きは全然違うが、彼はこれにヒントを得たのかもしれないと思ったのだ。
「アハハ!ライったらおかし…ハハハ!あー、お腹痛い。」
どうやら、カレンにはウケたようだ。そんなにおかしかったか?だが柔軟に考えた結果だ、これなら……。
「残念ながら、違います。」
「ええっ、違うのか!?」
だが、あっさりディートハルトに否定されてしまった。柔軟に考えたつもりなんだが。
92:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:25:47 Z+014wW7
支援
93:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/06 23:29:35 eq3N4sFV
「確かにエクササイズに見えなくもありません。ですが、もっと身近なことです。
エクササイズはやらない人もいるでしょう?そういう意味では、少し遠いのです。」
「むう、結構難しいな。」
そしてディートハルトは、カレンに向き直った。
「では紅月隊長、次はあなたの番ですよ。柔軟に、身近なことを思い浮かべて下さい。」
「え、ええ。わかったわ、身近なことね。」
カレンが、テレビの画面に映るゼロの動きを注視する。
「うーん。でも身近なことって……はっ!ま、まさか、そういうことだったの!?」
カレンはおもむろに椅子から立ち上がった。何か思いついたか。
「どうかな、この私のマント?今日も風に吹かれて、美しく揺れているだろう?
そして見るがいい、この服!パリッとした仕上がりで、なおかつこんな柔軟な動きにも対応できてしまうのだ、すごいだろう?
今日も私は美しい。さあ見るがいい、この美しい腰のラインを!ほう、もう一度見たいのだな?良かろう、特別に見せてやろう。
しかし、美し過ぎる私は本当に罪な男だな、ハーッハッハッハ!」
……何だ、これは。一体何にヒントを得たらこうなるんだ。
「あ、あのさ。それは一体、何?」
僕はおそるおそるカレンに尋ねた。すると彼女は、顔を赤くして答えた。
「あのね、この間租界を歩いていたら、すごくゴージャスな服を着た女の人がいたの。何だか高飛車な感じがして私は嫌いだったんだけど、服の見せびらかし方がゼロの動きに似ている気がしたのよ。
だからやってみたんだけど、おかしかった?」
「いや、おかしくはないが何と言えばいいか……。」
僕がコメントに窮していると、ディートハルトが口を開いた。
「残念ながら、これも違いますな。もう少しましな答えを期待したのですが、がっかりです。」
「そこでバッサリ斬り捨てるか、普通!?」
「が、がっかり!?そんな、一生懸命考えたのに!」
カレンが床に膝をついた。ディートハルトの奴、配慮がなさ過ぎる。お遊びじゃなかったのか。
94:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:29:50 Z+014wW7
支援
95:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/06 23:33:52 eq3N4sFV
「おっと、失礼。少々口汚くなってしまいましたか、私の悪い癖です。
ですがゴージャスな人物というのは誰の周りにでもいるものではありませんし、誰にでも縁があるものでもありません。
そういう意味では、やはり遠くなってしまうかと。」
「だったら最初からそう言いなさいよ。傷つくじゃない。」
カレンが不満を漏らした。
「何だ、こんな所で何をしているのだ?」
見ると、視聴覚室の入り口付近に当事者であるゼロが立っていた。
「ん?その映像は、昨日の式典の際の私の演説ではないか。」
「ええ、そうですとも。ちょうどいい、ゼロ、あなたにお聞きしたいことがあったのです。」
「私に聞きたいこと?答えられる範囲でならば、答えよう。」
ディートハルトの言葉に、ゼロが頷いた。
「この演説の際のポーズ、これにはどのようなメッセージが込められているのですか?」
「ポーズ?メッセージ?どういうことだ。」
「ディートハルトが言うには、君のこの動きには、演説とは違う裏のメッセージが込められているそうだ。ゼロ、彼が言うことは本当か?」
「う、裏のメッセージだと?何を言っているのか、さっぱりわからんぞ。」
僕の言葉に、ゼロは呆気にとられた。
「あれ?ゼロ、この動きはボディランゲージで、ゼロはこれをすることで日頃のストレスを発散しているんじゃないんですか?」
カレンがゼロに尋ねた。その問いかけに、ゼロは大きく首を横に振った。
「何をバカなことを言っている。あれは演出だ、演出。ああいうポーズをとれば演説がより効果的に見えると思ったのだ。
メッセージという観点で見れば、そのまま表の意味だ。そして、私は別にあれでストレスを発散しているつもりはない。」
その言葉を聞いて、ディートハルトは愕然とした。
「な、何と……。私の予測はすべて外れだったのですか?私がこれまでに費やした時間は一体何だったのだ。」
まあ気持ちはわからなくはないが、最初から本人に聞くという選択肢を除外したのは間違いだったと思う。
96:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:34:45 Z+014wW7
支援
97:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:35:17 gw98Hykt
支援
98:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/06 23:36:56 eq3N4sFV
「ちょっとディートハルト!言っていることと全然違うじゃない!何のために私たちにあんな恥ずかしいことをさせたのよ!」
カレンがディートハルトに詰め寄った。
「カレン、ディートハルトにも悪気があったわけじゃない。それに彼に付き合った挙句、あえて恥ずかしい方向に進んだのは僕たちだ。
すべてを彼のせいにするのは、何となく違う気がする。」
「それはわかっているけど……。」
僕はカレンをなだめたが、彼女はまだ不満げに唇を尖らせている。
「恥ずかしいことって何だ?」
「ゼロ、すまない。それは聞かないでやってくれ。僕たちもどうかしていたんだと思う。」
「そ、そうなのか?」
とてもじゃないが、ゼロの動きを見てとんでもない想像をしていたなんて言えない。
「いやあ、さすがはゼロ!あなたはいつも、私の想像を超えている!とても私の知力など足元にも及ばないということを、改めて教わりました!」
突然ディートハルトが復活して、ゼロを称賛し始めた。本当に切り替えが早いな。
「しかし、昨日のあのポーズは本当に素晴らしい。今までの演説の中でも、最も動きにキレがあり、実に輝いていたと思いますよ。」
「む、そうか?やはり昨日の演説はそんなに良かったのか。実は私自身、昨日はかなり良い動きができたと考えているのだよ。
まさに、心と体の波長が完全にシンクロしていたと言ってもいいくらいだった。」
ディートハルトの褒め言葉で、ゼロがすっかりその気になった。あの動きを褒められて、そんなに嬉しいのか?
「そうでしたか。おお、そうだ。もしよろしければ、演説とポーズに関する逸話などをお聞かせ願えませんか?
より魅力的にあなたを記録するヒントを得られるかもしれませんので。」
「ああ、いいだろう。それでは私の部屋に来るがいい、いくらでも話してやろう。」
ゼロとディートハルトは、仲良く視聴覚室を出ていった。取り残された僕とカレンは、あまりの急展開に呆然としていた。
99:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:37:23 Z+014wW7
支援
100:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/06 23:39:55 eq3N4sFV
「まったく。ディートハルトの奴、本当に調子がいいんだから!」
アジトからの帰り道、カレンはずっとご機嫌斜めだった。
「よくあんなにコロッと態度を変えて、媚を売ることができるわね。ゼロもゼロよ、簡単にその気になるんだから。」
「まあまあ。ディートハルトが意外にお茶目だったとわかっただけでもいいじゃないか。これから話しやすくなった気がする。
それにゼロだって、ポーズを褒められたことがなかったから嬉しかったんだろう。」
「もう、ライは本当に甘いんだから。」
僕の言葉を聞いて、カレンは苦笑した。
「でもボディランゲージって理解するのが難しいな。人によって解釈の違いが出るから、ゼロのポーズじゃなくても十人十色の答えが出るだろうな。」
「そうね、でも私は使いたくないな。身振り手振りなんか使わなくても、言葉や態度、行動をはっきりさせれば相手にちゃんと気持ちが伝わるもの。」
そう言うとカレンは僕の腕に抱きつき、体を密着させてきた。僕の腕を通して、彼女のぬくもりや鼓動を感じる。
「こんな風に、ねっ。」
「そうだな。色々な話をしたり、喧嘩したり、抱き合ったり。そうやってお互いをさらけ出して見せ合う方が僕たちには合っているし、幸せだってわかりやすいからな。」
カレンが僕の手に自分の指を絡ませてきた。僕はその指に自分の指を絡ませ、優しく包む。
「特区が成立して一年ということは、僕たちも付き合いだして一年ということだよな。早いような短いような、不思議な感覚だな。」
「ええ、そうね。」
僕とカレンは互いに見つめ合った。
「今まで一緒にいてくれてありがとう。そしてもちろん、これからもよろしく。」
「ええ、こちらこそ。これからも、二人で仲良く歩きましょう。」
僕たちは租界の往来の中で、素早くキスをした。誰にも見られないような、それでいて今の幸せを実感できる、最愛の人に送る二人だけのサインだった。
101:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:40:09 Z+014wW7
支援
102:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/06 23:43:39 eq3N4sFV
おまけ
後日、僕はゼロの部屋で彼にあることを尋ねた。
「演説の時にあれだけ動くと、体に負担がかからないものなのか?特に君は体力がない、あんな動きができること自体が不思議で仕方ないんだが。」
「確かに、最初の頃は翌日に筋肉痛で苦しんだ。トレーニングで体力をつけようかとも考えたが、そんな悠長なことをしている時間もない。そこで、これを開発した!」
ゼロがマントと服を脱ぎ捨てると、彼の体には小型モーターがついたギプスのような器具が取り付けられていた。
「これぞ、ゼロのポーズをカッコ良く見せるための補助器具、『ゼロ・メーカー』だ!演説時間や内容をデータ入力するだけで、ポーズをカッコ良く決めるためのサポートをしてくれるぞ。
ポーズをとることによる体への負担を五分の一に減らしてくれ、しかも軽量なため、私は楽々あの動きができるのだ。どうだ、すごいだろう?」
「……あ、ああ。凄過ぎて言葉もない。」
そこまでして、あのポーズをとりたいのか。その情熱には敬服するが、最早体力作りは諦めたのか?君に必要なのは、まさにそれなんだが。
「実はな、これを商標登録して売り出そうかと考えている。」
「何!?これをか?」
ゼロの発言に、僕は驚いた。
「最近ではすっかり平和になって、ブリタニア人も私に敵意の目を向けなくなった。子供たちもみな、私の真似をするようになった。
そこでだ、ゼロのコスプレセット及び『ゼロ・メーカー』を売り出して、多くの人にゼロに親しんでもらおうかと思うのだ。
名付けて、『百万人のゼロ大作戦』!時期は今度のクリスマス商戦を狙っているのだが、どうだ?」
……これも平和な証拠だろうか。それとも、ブリタニアへのささやかな反逆のつもりか?
「まあ、いいんじゃないか。でも本当に、百万なんて数が売れるのか?」
「ふっ、私に不可能はないさ。何故なら私は、ゼロだからだ!」
また難解なポーズをとりながら、ゼロが叫んだ。これも、表のメッセージとやらか?
ちなみに、意外にもゼロのコスプレセットは本当にミリオンヒットを記録した。
もしかして、あのポーズに興味を持つ人ってかなりいるのだろうか。まさに解読不能、予測不能だ。
103:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:44:13 Z+014wW7
支援
104:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/06 23:46:48 eq3N4sFV
以上です、支援ありがとうございました。
ディートハルトを書くのは初めてなのに、ほとんどメイン級にしてしまいました。
105:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:50:26 Z+014wW7
お疲れです。
ディートの転んでも只では起きない姿勢が良かったですねえw
あのゼロの動きが実は補助具が有ったとはwしかもミリオンヒットとはこの世界
はほんとに平和なんだななあが良く解かりますね。次回の投下を楽しみにしています。
106:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:57:16 gw98Hykt
>>104
乙!
ディートハルトの台詞がジョージの声で再生されましたww
テロってる時も碌なことしませんでしたけど、平和でも碌なことしませんね、彼
単なるゼロマニアになっておる…ww
コスプレセットは忘年会用に売れたんだろうなあw
107:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:59:53 +HDUD9XP
>>104
余暇卿、GJでした!
あんなボディランゲージは無いwwwと思いながらもゼロならば! と思い読んでましたw
ライとカレンの解釈が面白すぎるwww
……というかディートハルトの解釈は何だったんだ!?
ゼロ・メーカー……欲しい。
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
108:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:20:56 yPo7qM5z
平和ですなあ……
ディートハルトのナイスボケも楽しませていただきましたが
自分はライカレの方で綺麗に癒されました
最近殺伐としたものばかり描いてる自分ですから……
ところで
0時30分に投下させていただきましたがよろしいでしょうか?
10~12レスですので、
支援をヘルプしただければ幸いでした
109:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:25:45 p1l9fNZx
支援しますよ
110:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:26:59 en8urNNR
支援
保管庫消えてる?
111:カズト
08/11/07 00:29:08 yPo7qM5z
タイトル「追憶の旅路 第十一章 光の糸」
注意点
・実質完全オリジナルです
・カレンがライの過去編を精神体という形で見ております
・オリキャラ多数 あくまで別人です……あくまで
初めて読む方へ
心を閉ざしたライの心に飛び込んだカレン
ブリタニアの辺境の国の皇子
ライエル=スメラギ=フォン=ブリタニア
ライは「魔法使い」からギアスを授けられ
父と兄達を殺し、ついに王となった
改革を推し進めていくが
いつしか、心が磨り減っていき
ギアスも不安定になっていく・・・・・・
そして、「北の蛮族」との決戦が少しづつ近づいていく・・・・・
112:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:29:46 en8urNNR
支援
113:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:29:47 p1l9fNZx
支援
114:カズト
08/11/07 00:30:15 yPo7qM5z
「北の蛮族」との決戦も近くなり、帝都から先遣隊1万が来訪した
ライは先遣隊の長であるカルロス師団長と面会をした
赤い髪にカイゼル髭の男……
エリート意識丸出しの態度にライは心の中で呆れていた……
「はっはっは!ライエル王よ!私が来たからには奴らなど一網打尽ですぞ!!」
大口を叩くカルロスにライはため息をつく
(ふん、お前如きで奴らを倒せるのなら、誰も苦労はしない……
帝都の将もこんなものか……
私が皇帝なら貴様の様な馬鹿は一兵卒からやり直させるがな……)
しばらく話をしていたが、カルロスに兵士が何やら耳打ちしていた……
「な、何!?皇女殿下が……全く、あの方も困ったものだ……
ライエル王よ、少々厄介事が起こりましたので、話は後日また……」
「わかりました……私も仕事を片付けますので……」
(ふん……これであの鬱陶しい面から、解放される……
それにしても、皇女殿下だと……視察に来るとは聞いていたが、
物見遊山に来られても、困るのだがな……)
「通常政務は母上に……私は部屋で休む……」
そういってライは、兵士に指示を出した……
部屋で休むと言っていたライはフードをかぶり、馬に乗って町にいた……
ライは睡眠薬の入った袋を持っていた……
王宮の医師では、これ以上の量を処方できなかったので、町の薬屋から手に入れた
もちろん、薬屋の店員全てに「商品に毒物を混ぜてはならない」とギアスをかけていた
最近では睡眠薬の効きが悪くなり、王宮の医師が処方する量では眠れなくなっていた……
王宮に帰る途中、青果店が何やら騒がしい……二人の兵士らしき男がリンゴを店先から掴んで大口を開けて食べていた
「どうか御代をお願いします……うちも商売ですから……」
「いいじゃねえかよ!!たかがリンゴの一個や二個ぐらい……」
「そうそう……この国を守ってやるんだからなあ」
ほとんど押し込み強盗のようなものである……さすがにライも黙ってられない……
115:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:31:21 p1l9fNZx
支援
116:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:31:33 en8urNNR
支援
117:カズト
08/11/07 00:32:51 yPo7qM5z
「何をしているんだ……」ライは馬から降り見慣れぬ格好の兵士を睨んだ
「なんだこのガキ……俺達はこの国を守るために帝都からわざわざ来てやったんだよ
ありがたく思え!」
「何だと!?お前達が……?だからどうしたというんだ?盗みを働く理由にはなっていないが……」
「いいじゃねえかよ……たかが……」
「たかがリンゴでも商品だ!!食べた以上代償は支払うのが当然の常識だ!!」
「なっ……ガキのクセに帝都の兵に対して生意気なんだよ!!」
片方の男がライを突き飛ばす!!
ドンッ
ライは尻餅をついた……
近くにこの国の警備兵がいた
「おい!!強盗だ!!こいつらをさっさと……」
「このガキ!!少し痛い目見ないとわからないようだな!!」
男がライの襟を引っつかんだ……ライは男を睨んだ
「鬱陶しい……お前達のような下衆が帝都の兵士だと……だったら逆にお前達に痛い目を見せ……」
「何をしているのです!」
凛とした少女の声が辺りに響いた……
質素な馬車と数人の護衛の騎馬兵がそこにいた……
馬車のドアが開き少女が降りて来た……
「……っ!」
ライはその少女に目を奪われた
花の髪飾りを付けた長髪をなびかせ……
それはまるで、
天より舞い降りしオペラの主人公(タイトルロール)の如く……
118:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:34:58 p1l9fNZx
支援
119:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:36:08 l2SJAXrm
いかん、支援
120:カズト
08/11/07 00:36:41 yPo7qM5z
少女の前に護衛の一人が前に出る
その男はライより頭二つほど高い筋骨隆々の巨漢であった
何よりも、その男から溢れ出てくる闘気は並外れていた
歴戦の勇士……ライはそう感じた
「貴様ら!!帝都の兵でありながら、追い剥ぎの真似とは何事であるか!!」
「ア、アレクサンデル将軍!!こ、これは……何といいますか……」
「言い訳は訊かん!!」
「まあまあアレク……お金は私が払いますから、ここは穏便に……」
少女がアレクサンデルと呼ばれた男をなだめる
すると、さっきまで威気高々だった二人の兵士は青ざめ
「は、払います!!払いますから……どうか、お許しを!!」
「じ、自分も払いますので、どうかこれ以上は……皇女殿下!」
「な、何だと!!皇女殿下だと!!」
ライが驚くのも無理はない……
先遣隊の長に黙って勝手に消えて、
わずか数人の護衛を連れて町を散策しているのだから
皇女殿下がライに向き直り会釈をした
「私どもの兵士達が迷惑をかけました
私はブリタニア第5皇女レフィーナ=リ=ブリタニアと申します……」
「ぼ、僕の名は……僕の名は……ラ……」
名乗ろうとするが、何故か上手くいえない……
そうこうしている間に、こちらに向かって警備兵が息を切らせて走ってきた!!
「け、警備隊長!!あちこちで窃盗、暴行等が横行して手がつけられません!!
彼らは帝都の兵と名乗っており徴発行為と思われます!!」
「帝都の兵士だと……何とか宥め大人しくしてもらって……」
警備隊長は対応に迷っている……
121:カズト
08/11/07 00:40:02 yPo7qM5z
ライは怒りに震えていた……
歴史上、宗主国が属国に対して権威を振りかざし、徴発、略奪行為、暴行などを行うという事はよくある事であるが、まさかブリタニアがその様な品性に欠けた真似をするなど思いもよらなかったのだ
「姫様!!これは急いで、城に戻りカルロスに兵を止めさせなければ!!」
「そうですね、彼の兵士の規律がここまで乱れているとは……」
「レフィーナ皇女殿下……それでは時間がかかります……」ライが彼女の前に出て言上した
「しかし、それしか方法が……」
「自分なら、すぐ治められますので……」(そこで見ていろ……皇女様……)
そう言ってライはフードを後ろに下げる
「ぬ、ぬうううう!!」(なんという眼光!!)
アレクサンデルは年に似合わぬ気配を発するライに目を見張った!!
「あ……」レフィーナは銀の髪をなびかせながら
鋭い眼光を放つライに見惚れていた
それはまるで魔王に魅せられた淑女の如く……
「へ、陛下!!なぜここに!?」警備兵が驚きの声を上げる
「陛下ですと!?も、もしや……この者が、ミコト殿の……」
「そのようです……ライエル=スメラギ=フォン=ブリタニア……この国の王……ミコト様の御子息……」
122:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:40:32 p1l9fNZx
支援
123:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:41:02 en8urNNR
支援
124:カズト
08/11/07 00:42:58 yPo7qM5z
(よしコイツはギアスを使ったことがある……)
「警備隊長!!そいつらを全警備兵をもって逮捕させよ!!」
「しかし、彼らは帝都の先遣隊でありまして……」
「……ならば言い方を変える!!
我が国に帝都の兵を騙る「賊」が侵入した!!
これは我がブリタニアの名誉を著しく汚す蛮行である!!
罪状を詳しく把握し、全力を持ってこれに当たれ!!
もう一度言う……私の名において命ずる!!「賊」をひっとらえろ!!」
「イ、イエス!!ユアハイネス!!馬をもて!!」
警備隊長は馬に乗り、一目散に駆け出した!!
「これで騒ぎは治まります……御安心を皇女殿下……」
「なるほど……一人の兵士が馬を駆り、別の詰め所に行き
そこの数人の兵士がまた馬を駆り、別の詰所に行き……
それを繰り返す事で、情報伝達を迅速に行う……
さすがですわ……ライエル王……」
「ほう……少しはわが国のことを知っておられるようですな
まあ、このアイデアは私の発案ではないのですが……」
ライは防犯、犯罪者の制圧等を目的とした治安維持専門の部隊を創設
今は亡き師匠である海堂のアイデアを実現し
この国の治安率を飛躍的に上げていた
海堂のアイディアは治安のみではない
ライは低金利貸付けによる商業振興、特産品の開発、貴族特権にとらわれない人材登用、市街地の開発など、ライの政治は国民が中心になっていた
「街を見て回りましたが、活気に溢れていますわ
辺境という危険地帯でも希望を失わず、皆懸命に生きています
ライエル様の手腕を拝見させて頂きました」
125:カズト
08/11/07 00:45:00 yPo7qM5z
「それは何よりです皇女殿下……
それでは、私は事後処理の為に城に戻らせていただきます……」
ライはこの少女に褒められて、なぜか悪い気はしなかった
「ライエル様……城まで御一緒しませんか……
あなた様の馬はアレクに任せますので……」
レフィーナはそう言ってライを馬車の中に案内した
「……お言葉に甘えさせて頂きます」
馬車の中の重苦しい雰囲気を和らげようとレフィーナ皇女が口を開く
「ライエル様……私この国に来たばかりでわかりませんが
ミコト様はお元気でしょうか?」
「……っ!」ライは痛いところをつかれたのか、体が強張る……
最近ライは母とはあまりプライベートで話をしていない……
「わ、私も王としてはまだ若輩者ですから、
母上には助けてもらっています……皇女殿下は母上を御存知で?」
「ええ……隣国討伐の勅令の件以来、何度か……
あの方は素晴らしい方ですわ……ニッポンの話もっと聞きたいです」
「そ、そうですか……」
ライの中にイライラする様な、モヤモヤする様な、何か違う様な妙な感情が湧きはじめていた……
互いにぎこちない会話をして行くうちに馬車は城にたどり着く
(さてと……カルロスの件を片付けねばならん……)
ライは馬車から降りるとレフィーナに一礼をして、カルロスの元に向かった
三日後……王宮の会議室にて援軍等に関する契約が行われていた
ライを目の前にして、カルロスは震えていた……
帝都のエリートとして、子供の御守のつもりで辺境くんだりまで来たのだ
助けに来てやってるという増上慢が普段蔑ろにしている下々の兵士達に伝わり、この国での徴発事件が起こってしまった……しかも、帝都の兵という権威を無視して、200名以上全員逮捕という事態……
さらに、ライは事件の翌日に悪質と判断された逮捕者二十数名を公開処刑にした
その様子をカルロスと先遣隊の各隊長はライに連れられて見せ付けられたのだった……
126:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:45:55 en8urNNR
支援
127:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:45:59 p1l9fNZx
支援
128:カズト
08/11/07 00:47:47 yPo7qM5z
今回の任務ではレフィーナ皇女とアレクサンデル将軍も来ている
自分の指揮管理能力を疑われてしまう……この事が皇帝陛下の耳に入れば、軍を追われてしまうかもしれない……それどころか、貴族の地位まで……
「おや……どうかされましたか?カルロス師団長殿……」
ライは覇気を押さえることなくカルロスを威圧していた……
「狂王」と呼ばれていても、ただ暴威を振るうだけの子供だと思っていた……
雛鳥の尻拭いのつもりだったが、彼は獅子に喧嘩を売っていた事に、今更気付いて激しい後悔を味わっていた……
「では……こちらが我々が手直しした契約書です……」
そう言ってライはカルロスに一枚の紙を渡した
「なっ……こ、これは……あまりにも……」
契約書の内容はライの国に余りにも都合のいいものだった
徴発行為の禁止、徴発事件の賠償、この国における帝都の先遣隊の生活スケジュールの取り決めはまだしも
帝都からの借入金の利子はほとんど無いに等しい
しかも、帝都から来た援軍は全てライエル王およびこの国の将官の指揮に全面的に従うといった内容である
ライもわざとカルロスに対してふっかけていた
自分の目標よりふっかけた上で、相手に心理的なプレッシャーをかけ、情をかける事で
目標の条件を達成し、さらには相手を支配下に置く
契約の駆け引きにおける一つの手段である
ライの覇気に圧倒されたカルロスは食い下がりも押しが弱かった……
同席していたレフィーナ皇女とアレクサンデル将軍の抗弁を受け入れ
ライは、カルロスから目標どおりの成果を引き出したのだった
さらに、ライは付け加えた
「ああ……それと、残りの逮捕者ですが……我が軍の兵士を付けて、帝都に送還しておきました……カルロス殿の名誉を傷つけた愚か者ですからね……」
「なっ……!」カルロスは言葉を失った……
無論ライは彼らに「大人しく帝都に帰り皇帝陛下の御裁断を受けよ」とギアスをかけていた……
129:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:49:42 gRfuNxSi
支援。保管庫が消えた?
130:カズト
08/11/07 00:50:32 yPo7qM5z
危急存亡にある国が援軍として送った帝都の兵士を帰す……
それは、ライにとっては筋を通す事であるが
ある意味皇帝に対しての挑戦状でもある……
カルロスにとっては、不心得者を出した事実を皇帝に知られるという事……
「カルロス殿……期待しておりますよ……貴殿の働きを……」
ライはカルロスに最後通牒を告げた……
この戦いで大きな手柄を立てるしか助かる道は無いのだと……
ライはすでに彼を捨て石として、使おうと考えていた……
会議室を出たライはレフィーナ皇女を廊下に見つけた
ライを待っていたようだった……
「さすがですわ、あそこまでカルロスをへこませるなんて」
交渉の手腕に感心している様子だった
カルロスを嫌ってる事もあるのだろう
「いえ……私は国王として筋を通しただけですので……」
「お恥ずかしい話です……帝都にはあの様な輩もいるのです」
「アレクサンデルといいましたね、なぜあの者に指揮を執らせないのですか?」
「アレクは姉上様の騎士ですから……今回は私の護衛が主な任務なのです
私からも聞きたいのですが、ライエル様はなぜ自ら戦場に?」
「……!そ、それは……」ライは逃げ場とは言えずに口ごもる……
「陛下!!「北の蛮族」の兵が国境付近に陣取っています!!」
ライはその知らせを渡りに船と感じた
「皇女殿下……私は奴らを迎え撃ちますので……」
「あ……ライエル様……」
いつもは嬉々として戦場に向かうライであったが、何故か今は後ろ髪を引かれる様な感じを受けていた……
カレンはそんな二人の様子を見て胸が苦しくなった……
それでも、愛する人にだってそういう過去もあるのだと自分を納得させていた……
131:カズト
08/11/07 00:52:47 yPo7qM5z
ウラバナシ⑨
帝都ペンドラゴンにて
「ふはははははははは!!面白い!!狂王ライよ!!我を試すか!!」
ブリタニア皇帝は玉座にて嬉々として、ライからの親書を読んでいた
人材不足でカルロスのような愚物を送るしかなかったのだが
彼に自らの愚かさを思い知らせただけではなく、兵の一部を帝都に強制送還してくるとは……
ライに興味を持った皇帝に対し、周りにいた他の皇族達は焦りを感じていた……
皇帝が大げさにライを褒めたのは興味を持ったからでもあるが、辺境に守られ安穏と自分の立場に甘んじている者達に喝を与えるためであった……
(アレクサンデルからの手紙からは、「戦においては勇猛果敢、されど王でありながら前に出すぎるきらいあり……」「政治においては強い実行力を持ち民に慕われている」「資質はあるが今の貴族社会をかなり否定しているため皇帝推挙には二の足を踏む」
「現在心身不安定であり、帝都に迎えるには数年の時を要する」などとあった……あの者にこの国を任せるのは、博打というべきか……
レフィーナは狂王を大層気に入っているようだが……)
「帰された者どもは二、三日牢に放り込んでおけ!!主の信を失った兵士など我が軍に必要ない!!貴族の地位も剥奪せよ!!」皇帝は覇気を全開にし沙汰を下した
帰された兵士はすぐに釈放された……
彼らはこの後に起こる「あの惨劇」から免れたものの、
辺境の王と皇帝の怒りを買ったものとして職を失い、家族からは家の恥として勘当される者、婚約を破棄される者など……、彼らはブリタニアの恥さらし、国中の笑いものとして一生を過ごす事になるのであった……
この事件はライの意図とは別に、他の辺境の国に大きな影響を与えた
彼らは帝都に対する引け目を取り去って、帝都の防壁としてのプライドを目覚めさせた
そして、それは遠い未来、世界三大勢力となるであろうブリタニアの強さを成す要因の一つとなるのであった……
132:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:55:55 en8urNNR
支援
133:カズト
08/11/07 00:56:39 yPo7qM5z
投下終了です
微エロとかはガーーーーッという感じで書けるのですが
こういう描写は難しい……
次回あたりでリンクできれば幸いです
支援感謝です!!ではまた!!
134:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:57:42 l2SJAXrm
ピンク皇女と将軍のご先祖様かな?
支援
135:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 01:06:13 eTswZjK9
それなら紫の皇女さまと眼鏡の騎士様にも登場していただきたいですねw
支援
136:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 02:06:41 5yo6WVwx
>>133
カズト卿、乙でしたー!
ライのばっさり感が凄まじい。
そして皇女と会ったライは微妙に調子が狂っているようですね。
惨劇はいつ起こるのかなぁーとワクワクしてきた自分が嫌だ……orz
貴公の次の投下を全力で待っています!
137:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 02:33:02 zPlZ7kwJ
SS保管庫がないんだけど…(´・ω・`)
138:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 03:30:36 S5+Lu9KG
まさか保管庫がフレイヤの餌食になるなんて…
冗談はこのぐらいにして、実際どうしたのだろうか
139:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 07:44:49 7NFhnh4n
一時消えたみたいだけどさっき接続したら見れたよ。
140:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 07:56:49 +7nuqdj0
こっちも大丈夫
しかしなんだ、yahooのサーバーって結構落ちやすいんだな
141:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 08:17:26 +7nuqdj0
もうみんな知ってるかもしれんけど一応
ギアス×パンヤ
URLリンク(www.pangya.jp)
ここの活性化の一助になれば嬉しい
142:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 10:18:46 gd7slLbA
10:30くらいから投下したいと思っていますが、人はいますでしょうか?
143:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 10:26:36 7NFhnh4n
居ます。お願いします。
144:年下専門 ◆BheL.TnbIA
08/11/07 10:31:18 gd7slLbA
何やら前スレでは自分の作品から端を発して問題が起きてしまったようで…すみません。
年下専門です、長編の続きを8レスほど投下します。
タイトルは「優しい世界で目覚めて 第十一話 ライの災難」
・ギアス篇と学園篇の複合エンド後にしてR2終了後からの話
・ライは黒の騎士団入ってて学園篇エンドを迎えた、ルート的にはランペルージ兄妹メインに万遍なく頑張ったライ君
・ジャンル傾向はほのぼのしんみり系
・カップリングは今のところないですが「ライ←複数ヒロイン」の要素があります
・アフターに関しては情報が少ないため、自己解釈の要素を多分に含んでいます
145:年下専門 ◆BheL.TnbIA
08/11/07 10:35:37 gd7slLbA
「あ、焦った……」
軽く息を切らしながら、ライはポケットから取り出した帽子を深く被った。
現在位置は十階フロアの階段。
わざわざエレベーターを使わず階段で上り下りをする人間は少ないため、周囲に人の気配はほとんどない。
カレンあたりならば運動になるからと階段をのぼって来る可能性はあるが、それならばすぐにわかる。
「……まあ、元気そうでよかった」
相変わらずの紅の少女の姿に顔をほころばせる。
ナイトメアパイロットという死亡率の高い役割をこなしながらも、後遺症一つない元気そうな姿。
背中を預けあった相棒の無事に、ライは安堵の息を吐きながらも誇らしさを感じていた。
「とりあえず部屋で大人しくしておくか。待っていればアーニャも戻ってくるだろうし」
下手にうろうろしてまた知人と出会っては目も当てられない。
カレンがいたということは、ミレイやニーナ、リヴァルあたりもいる可能性がある。
会いたくないわけではない。
むしろ会いたいという気持ちのほうが強い面々ではあるが、今はまだ駄目だ。
僅かな名残惜しさに引かれながらも、ライは自分の部屋へと歩を進める。
(――ん?)
と、その時。
前方から歩いてくる一人の女性が目に入った。
歳は二十代から三十代といったところだろうか。
カレンに劣らぬ見事なスタイルと、美人と形容するほかない凛とした美貌。
女性らしい外見でありながらも、男性的な印象を見る者に抱かせるその女性にライは目を惹きつけられる。
一目惚れなどといった色っぽい意味ではない。
女性の全身から放たれる鋭利な覇気に、少年は戦士の本能をかきたてられたのだ。
(強い)
紫色のマントの下に、白を基調にした騎士を連想させる服装。
その下に隠れている肉体は、日々の練磨によって鍛えられていることが想像できる。
一見細身に見える身体から発せられる威圧感は、つい先程出会ったジノやアーニャに通じるものがあった。
(いや、この人は多分、アーニャ達よりも――強い)
146:年下専門 ◆BheL.TnbIA
08/11/07 10:38:15 gd7slLbA
日々の鍛錬は怠っていないとはいえ、アーニャ達は戦士を引退した身である。
それに対し、この女性は現在もおそらく戦場に身を置いているのだろう。
戦士特有の気とでもいえばいいのだろうか。
そういったものがアーニャ達と比べて鋭利なのだ。
かといって常に精神が張り詰めて余裕がないようにも見えず、あくまで自然体にしか見えない。
(格好からして、ブリタニアの……軍関係者?)
あまりジロジロ見るつもりはなかったのだが、つい気になって女性を目で追ってしまう。
すると、女性のほうもこちらに気がついたのかチラリと視線を向けてきた。
『……』
交錯する視線。
向けられる瞳は鋭く、こちらの心の奥までを見透かそうとしているようだった。
このまま目を合わせ続けているのはマズイ。
正直、女性の顔をジロジロ見てしまったという気恥ずかしさもあった。
咄嗟にライはできるだけさりげなさを装って目を逸らし、顔を俯かせる。
ここで突然引き返すのも不自然なので足を止めるわけにはいかない。
そのまま、ライは廊下の中央で女性とすれ違った。
(……ふう、緊張した)
すれ違い、女性の姿が視界から消えるとライは安堵から大きく息を吐き出した。
だが、次の瞬間。
耳が聞こえるべき音――つまり、女性の足音をとらえなくなったのと同時に、ライは反射的にその場にしゃがみこんだ。
特に理由はない、ただ本能が伏せろと命じたのだ。
ヒュンッ!
刹那、今までライの頭があった場所に鋭い風切り音が通り過ぎる。
「なっ……!」
「ほう、よくかわしたな」
見上げれば、先程すれ違ったばかりの女性が蹴り上げていた右足を地に降ろしていた。
状況から考えて、この女性は自分にハイキックを繰り出してきたと見て間違いない。
ライは瞬間的にアーニャと出会った時のことを思い出していた。
(確か、あの時もいきなり頭部を狙われた気がする……僕の周りには危険な女性しか寄ってこないのだろうか……)
147:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 10:40:33 dvoYPycJ
出掛ける前に、一度だけ支援。
148:年下専門 ◆BheL.TnbIA
08/11/07 10:42:49 gd7slLbA
カレンもどっちかといったら物騒だし、咲世子さんも……
本人に聞かれたら洒落にならないことを考えつつもライは油断なく襲撃者を見据えた。
(今度はスコップじゃないけど……危険度じゃあ大差ない!)
自身を襲った恐るべき凶器が視界に入る。
男ならば見惚れてしまいそうな女性らしい流麗なラインを魅せる足だ。
だが、ライにはわかっていた。
あれが直撃したら洒落にならないダメージを受けるだろうということが。
「いきなり何をする!」
「フッ!」
抗議に対する返事は鎌のような前蹴りだった。
当たれば骨が砕け散るであろう高速の爪先が少年の顎を襲う。
しかし、あらかじめ警戒していたライは間一髪身体を仰け反らせると、バク転でその攻撃を回避。
そのまま後方に飛びずさり、距離を取った。
「へえ、なかなかの美少年じゃないか」
ライの顔を見た女性が感心したように呟く。
回避の際、帽子を飛ばされてしまったため現在ライは素顔を露出させられてしまっている。
女性の様子からして、自分の素性を知って襲ってきたわけではないようだ。
だが、それならば何故自分は襲われなければならないのか。
「そう恐い顔をするな。折角の美形が台無しだぞ?」
「いきなり攻撃されて、にこやかに笑えるほど人間はできていない」
相手の意図がわからない以上、油断などできない。
殺気はないようだが、先程の攻防を考えれば一瞬たりとも気を抜くことはできなかった。
ライの思考が徐々に戦闘者のそれにシフトしていく。
「それは悪かったな。だが、こちらもお前のような怪しい奴を放っておくわけにもいかないんだ」
「何……?」
「おいおい、まさか自分が怪しくないとか思っていたわけではないだろうな?」
女性のからかうような言い草に、しかしライは反論することができなかった。
顔を隠すように帽子を深く被って頭を伏せている男。
確かに怪しさは満点だ。
149:年下専門 ◆BheL.TnbIA
08/11/07 10:45:36 gd7slLbA
「そしてその身のこなしは間違いなく只者ではない。まあ、テロリストにしては変装が単純だが……」
「僕はテロリストなんかじゃない」
「だろうな、目を見ればわかる。だがこちらもハイそうですか、で引き下がるわけにはいかないんだよ」
女性は口元を笑みの形に吊り上げると、いつもでも飛びかかれるような姿勢をとった。
猫科の野生動物を思わせる表情はまるで今の状況を楽しんでいるかのように見える。
案外、怪しい奴云々は口実で、実のところは強そうな人間に喧嘩を売りたかっただけなのかもしれない。
「……もし、僕がただの一般人だったらどうするつもりだったんだ」
「その時は全力で謝ったさ。とはいえ、ほぼ確信していたがな」
実際当たっていただろう?
そう笑いかけてくる女性を見ていると、何故か突然の凶行も許せそうになるから不思議だ。
だが、事態は継続中であり気を許すことはできない。
口ぶりから考えて、彼女は誰か身分の高い人物の護衛なのだろう。
身のこなしや佇まいからして、彼女自身も相当な身分の者なのだろうが。
(マズイな……)
まともにやりあえば、勝つ自信がないわけではない。
だが、その結果無事である保証はなかった。
グズグズしていれば向こうには救援が来るかもしれない。
自身の素性とアーニャ達のことを考えるとここで捕まるわけにはいかなかった。
「――シッ!」
しかしそんなライの思考を遮るように、踏み込んできた女性の拳が顔面を襲ってきた。
「く……」
「ほらほら、どうした? 手を出さないのか!」
かわし、捌き、受け止める。
次々と襲い来る猛攻を防御しながら、ライはこの状況から逃れる術を探索していた。
時間をかけるわけにはいかず、かといって反撃はできない。
別に女性だからといって攻撃ができないというほどフェミニストではないが、殺し合いでもないのに女性を殴るというのは気が引ける。
ベストの選択は逃げることなのだが、向こうがその隙を見せてくれない。
(どうする……そうだ!)
150:年下専門 ◆BheL.TnbIA
08/11/07 10:50:25 gd7slLbA
チラリ、と視界の隅に入ったある物に気づく。
瞬時に策を練り上げたライは、わざと体の正面に隙を作り出した。
向こうもこれが罠だとわかってはいるだろうが、かなり決定的な隙だ、見逃せるはずもない。
次の瞬間、狙い通り女性の突きが胸元目がけて打ち放たれる。
「――ッ!」
「何ッ!?」
騎士服の女性の驚愕の声がその場に響いた。
ライは相手の拳が着弾するのと同時に後ろに跳ね飛び、大きく後退する。
殺しきれなかった打撃のダメージに顔を顰めながらも、銀髪の少年は己の狙いが成功したことに頬を緩めた。
着地地点のすぐそばにあったのは備え付けの消火器。
「ちっ!」
「遅い!」
させるか、と女性が追撃をかけようと足を踏み込むがライのほうが一瞬早かった。
栓の抜かれた消火器から白い泡が煙幕のように吹き出て廊下を覆っていく。
(チャンス!)
勿論、この好機を逃すライではなかった。
相手の視界を封じた隙に一気にその場を離脱する。
「あ、こら待て!」
背後から憤りの声が聞こえてくるが知ったことではない。
ライは一目散に廊下を曲がると、階段を駆け下りてホテルの外へと向かうのだった。
「……逃がしたか」
消火器による煙幕が消えた後の視界には、予想通り少年の姿は見えない。
獲物をまんまと取り逃がし、しかしそれでも女性――ノネット・エニアグラムの顔には苦々しさはなかった。
「まさかこの私が取り逃がすとはな」
言葉とは裏腹に、口調には残念そうな響きはない。
元々、半分以上は興味本位で仕掛けたことだ。
あの銀髪の少年が自分の主に危害を加えようとしているテロリストではないことなど一目見た瞬間にわかっていた。
それでも攻撃を仕掛けたのは、念の為ということと、退屈しのぎに過ぎなかった。
悪逆皇帝ルルーシュが死亡した後、世界からは大規模な戦争が消えてしまったため、ノネットはいささか戦いに餓えていたのだ。
無論、そんな彼女の一感情に巻き込まれたライからすればたまったものではなかっただろうが。
151:年下専門 ◆BheL.TnbIA
08/11/07 10:54:16 gd7slLbA
後片付けを部下に命じたノネットは少年が逃走ルートに使ったと思われる階段を下りながら先程のことを思い出していた。
見た目はただの優男だったが、なかなかどうして。
僅か数十秒の攻防ではあったが、かの少年の力量はラウンズに勝るとも劣らない。
結局、何者であったかはわからないままだったが、不思議とそんなことはどうでもよかった。
また会えるだろうという根拠のない自信がノネットにはあったのだ。
(それに、あの眼……)
最初にこちらを睨みつけてきた時の猛禽の如き鋭い眼光が脳裏によぎる。
不覚にもあの時、ノネットは背筋に剣を突きつけられたような気分だった。
初めてシャルル皇帝に謁見した時に感じた、王の威圧。
それと同じ感覚をあの一瞬、銀髪の少年から感じたのだ。
「退屈な護衛任務かと思いきや、楽しみができたな……本国にいるコーネリア殿下にいい土産話ができそうだ」
ニヤ、と口元を吊り上げながら元ナイトオブナインの女性は笑う。
その笑いはあまりに艶やかで、まるで追い求めていた運命の男性を見つけた乙女のようにも見えて。
それでいて、良い玩具を見つけた時の子供のような、そんな無垢な表情でもあった。
「ノネット。ノネットじゃないか!」
「ん? おお、ジノじゃないか」
階段を下りて一階のラウンジ。
元同僚の登場にノネットの顔がほころぶ。
見れば彼の後ろには同じく元同僚のアーニャと、戦後知り合った紅の少女の姿があった。
「アーニャとカレンも久しぶりだな、どうだ元気だったか?」
「久しぶり」
「お久しぶりです、ノネットさん!」
ぼそっとした端的な声と、かなりの友好が混じった友好的な声が唱和する。
アーニャに関してはいつものことであり、カレンについては事情を知らないものからすればなかなかに珍しい光景であった。
片や元ナイトオブナイン。
片や元黒の騎士団のトップエース。
そんな正反対の立場にいた二人だが、波長が合ったのかこの戦乙女コンビは出会った時から非常に仲が良い。
まるで十年来の親友のようだと評しても問題ないくらいに親しいのだ。
なお、初邂逅の時ジノがこの二人を見比べノネットを見て「……カレンの未来の姿を見た」と複雑そうな顔で呟いたのは余談である。
152:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 10:57:19 FDR6uYbt
支援
153:年下専門 ◆BheL.TnbIA
08/11/07 10:57:48 gd7slLbA
元ナイトオブナイン、ノネット・エニアグラム。
ルルーシュが皇帝の地位を簒奪してから起きた戦いにおいて、彼女はひたすら我関せずを貫いていた。
我が忠誠は皇帝陛下にあり。
この一言で協力を依頼してきたシュナイゼルの手の者を追い返し、自領の防衛に専念。
結局、ゼロによるルルーシュ殺害という一連の事態の決着まで彼女は一切の関与をしなかった。
親しい仲であったコーネリアの要請すらも断った女騎士に対する評判は様々なものがある。
全ての真実を見通していたから参加しなかった智謀の士。
ルルーシュの要請(最終決戦時、ルルーシュはノネットへ協力要請をしていない)をひたすらに待っていた忠義の騎士。
死を恐れて決戦への参加をしり込みした臆病者。
諸説様々ではあるが、実際のところ彼女が何を思って我関せずを貫いたのかは今でも不明であり、元同僚であるジノですら知らない。
おそらく、その理由を知るのはノネット本人ただ一人だけなのだから。
そんな大戦を生き残った数少ないラウンズの一人である彼女は皇帝からの要請を受け、現在皇帝親衛隊の隊長という役職に就いていた。
勿論、警護する対象は神聖ブリタニア帝国第百代皇帝ナナリー・ヴィ・ブリタニアである。
「お前達も今夜のパーティーに招待されたのか?」
「ああ、そっちはやっぱりナナリー陛下の警護か?」
「その通りだ。今は部下に警護を任せているんで私は自由時間なのだが」
肩をすくめる元同僚の着るラウンズ専用の騎士服を見て、ジノとアーニャは僅かに目を細める。
軍人を引退したため、今はもう袖を通すことのない、誇りの衣装。
世界でもノネットを除いて身に着ける者がいないラウンズの証はラウンジでも注目の的だった。
「しかしこれで元ラウンズの生き残りが全員集合か」
「ああ、『全員』このホテルに集まることになるとはな」
「……うん」
ノネットの呟いた『全員』のニュアンスに気がつかなかったのはジノ一人。
アーニャとカレンはその単語の意味するところを悟り、視線を天井に向けた。
そこに、四人目の元ラウンズがいるであろうことを知っていたが故に。
154:年下専門 ◆BheL.TnbIA
08/11/07 11:00:31 gd7slLbA
「ふむ? そういえばアーニャ、お前は一人のようだがパートナーはどうするんだ?」
通常、身分の高いものが集まるパーティにおいては異性のパートナーを同伴させることは至極当然のことである。
だからこそジノはカレンを誘ったわけなのだが、現在アーニャは一人きりだ。
「ジェレミア・ゴットバルトだったか……奴はどうした?」
「彼なら一緒に来てる。でも、私のパートナーは違う」
予想外の返事にノネットは僅かに目を見開く。
気持ちはわかる、とばかりにジノとカレンが頷くのが目に入り、アーニャは不機嫌そうに顔を顰めた。
「聞いて驚くなよ。アーニャのパートナーは俺達と同年代の美少年だ!」
「ほう……それはまた驚きの事実だな」
「……ジノ、ノネット」
怒りを多分に含んだアーニャの声音に二人は口を閉じる。
だが、彼らの目は相変わらず楽しそうに揺らめいていた。
勿論アーニャとしてはそんな彼らの姿が面白いはずもない。
結局、彼女が機嫌を直すまで少なくない時間がかかることになり、ジノ達が苦労する羽目になったのは言うまでもない。
(流石元同僚だけあって仲がいいのね)
そうカレンがしみじみと思ったのも無理のないことであった。
155:年下専門 ◆BheL.TnbIA
08/11/07 11:01:58 gd7slLbA
投下終了、支援感謝です。
ノネットさんとカレンは絶対出会ったら仲良くなると思うんだ。
こー、ノネットさんがカレンの頭を撫で回してカレンが「もう、子ども扱いしないで下さいよ」的な!
156:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 11:46:39 5yo6WVwx
>>155
年下専門卿、GJでした!
ノネットさん登場……いきなりバトル!?
戦いに餓えて不審者っぽい人に蹴りかかる、人としてどうよ、と思わなくとも無かったりしましたが
らしい、という思いの方が強かったり……いや、訳も聞かずに腹殴る人だし
ライはギリギリ逃げ切れた、といった所でしょうか。
>ノネットさんがカレンの頭を撫で回して
うん、なんか鮮明に思い浮かびます。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
157:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 14:02:42 b7W/BP+a
>>155
ああ、面白かった!幸せです。
今日はノネットさん大活躍で嬉しくてたまらないです。
怪しさにかこつけて興味本位で強襲、ノネットさんならやりかねんのですよ。
次々繰り出される攻撃と、ライのさばきっぷりに燃えました。
生き残りが全員、最後のひとり…。彼と、ライとの邂逅が楽しみです。
続きを拝見できるのを心待ちに。
ありがとうございました!
158:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 17:17:18 87Rdj283
>>155
GJ!面白かった!
ノネットさんを野放しにしちゃ危険だww
本編でノータッチだったルルタニアでのノネットさんの行動の描写にも彼女らしいと感じました。
ノネットさんとカレンとの絡みをもっと見てみたい気がする!
ラウンズの最後の一人がどう出てくるのか非常に楽しみです。
次回の投下も全力でお待ちしております!
159:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/07 22:36:29 aBwBEMgf
(・∀・)つ|投下予告|
親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT
#第1章後編。>>25 の続きです。前編ではたくさんのご感想ありがとうございます
#ご指摘が多かったライの性格ですが、親衛隊篇では特区のアレまで記憶が戻っていないのと
#平穏から悲劇へのギャップを作りたくてアホの子増し増しにしましたが、少しやりすぎた模様
#今回はやや控えめに。親衛隊篇だと周囲にボケてくれる人が少ないので困ります
予告と終了合わせて7レスです。支援無くても大丈夫かな?
160:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/07 22:39:24 aBwBEMgf
親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT 1* 血染め の ユフィ(後編)
「ゼロの狙いをどう見る」
あの時、コーネリア様が僕にそう尋ねたのはきっと気まぐれだったんだろう。
エリア11副総督による突然の《行政特区日本》設立宣言は電波に乗り、瞬く間に世界に流れた。ブリタニアにとって
一番気になるのは最大の対抗勢力・中華連邦の動向。ユフィの宣言が世間知らずのお姫様の余興ではない、本気の行動だと
知ったコーネリア様が真っ先に情報収集をさせたのはそれだった。その報告が届くのを待っている時のことだった。
僕は言葉を選びながら答える。
「おそらくゼロにとってもこの《行政特区》は寝耳に水の事態だったのではないかと思います」
《行政特区》。
善意で見ると地域限定ではあるが日本人の権利を回復し、「自由」が保証される構想。黒の騎士団を始めとする
日本人の抵抗にブリタニアが譲歩したように見えなくもない。しかしその裏を見ると今までの『名誉ブリタニア人』制度の
名前が『日本人』になり個人レベルではなく地域レベルに広がっただけで、更に言うならば地域を限定したために
『日本人』と《特区》外に住む『イレブン』との格差をさらに増長する結果になる。日本人内での格差は、独立への結束に
ヒビを入れかねない。
黒の騎士団側はそこを指摘してブリタニアの罠だと喧伝する手もあった。ゼロほどの役者なら良いパフォーマンスになっただろう。
だが先にユフィ自らゼロ、黒の騎士団に特区への参加の呼びかけを行われたことで先手を打たれてしまった。
もちろんユフィ本人にその意図があったとは思えない。だが放送を見た多くの日本人は苛烈なブリタニアにあって
慈愛の姫君と謳われる美しい少女(しかも彼女の騎士は日本人だ!)が自らの兄弟を殺したゼロを許し、日本人に自由を
求める姿に感じ入っただろう。特区構想の裏側に気づきもせずに。いつだって人は見たいと欲する現実しか見ようとしない。
161:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 22:41:13 5FLzAXbg
一応、支援
162:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/07 22:41:26 aBwBEMgf
特区に参加するとなると黒の騎士団は武装解除し解体される。あくまでブリタニアからの独立を望む一部の日本人からは
黒の騎士団がブリタニアの軍門に下ったと見なされるだろう。参加を断ればブリタニア側からの歩み寄りを拒絶したとして、
世論と《特区》参加を望む日本人から反感を受けるだろう。
これほどまで鮮やかに黒の騎士団を事実上無効化する方法を僕は思いつかない。
だが、ナンバーズを区別し強者による統治を国是とするブリタニア側からは間違っても出ないはずの提案。手の1つとして
予想は出来ても実際にそれが実行されるとは思ってもみなかっただろう。それだけに衝撃は大きいはずだ。
そう僕が説明すると、あまり面白くもなさそうにコーネリア様はふん、と鼻を鳴らした。
「行政特区の案をゼロから吹き込まれた可能性はない、か」
神根島でユフィとゼロが1日とは言え、一緒に居たのを気に掛けているのだ。
「ええ、ユーフェミア皇女殿下のお人柄は最初に述べられた《行政特区日本》の理念と合致しています」
《行政特区日本》は今のところ看板だけ立派で穴だらけな構想だ。しかしその「穴」が逆にユフィの善意を感じさせる。
僕が邪推したような黒の騎士団の無効化を狙った特区構想だとしたら、もっとつけ入る隙のない仕組みを先に作り上げるだろう。
「自由」の名の下に日本人を飼い殺すための仕組みを。
ユフィの凄いところはすべて計算ではなく素から出た行動だと言うことだ。天然とは恐ろしい。神根島で直接相対したゼロは
そんなユフィの性格を把握しただろうか。もし理解したのであればゼロは頭のいい人間だ、良い意味でユフィを利用して
ユフィが描いた《行政特区日本》と言う砂上の楼閣に柱を立て壁を塗り、ただの夢物語から現実に変えていけるかもしれない。
ユフィの理想とゼロの実行力、その2つで僕が想像も出来ないような優しい世界を作ることが出来るかもしれない。
…それはブリタニアが望む世界ではないかもしれないけれど。
163:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 22:42:30 5FLzAXbg
支援
164:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/07 22:43:13 aBwBEMgf
「ゼロが参加の条件として特区を運営する権限を要求する可能性が一番高いと思われますが、あくまで特区内であれば
問題は少ないと思われますし、それにユーフェミア皇女殿下は信念に背くようなことには絶対に同意しな…、いっ?!」
そこまで話したところでコーネリア様が半眼で僕を睨んでいるのに気づき、僕は言葉を飲み込んだ。
「…随分とあれの性格に詳しいのだな」
なぜか酷く不機嫌な声で呟かれ、僕の表情が凍る。
まさか時々呼び出されてはユフィの『世間を知る』手伝いをさせられているとはとても言えない。スザクが一緒の場合はまだいいが、
彼女はひとりで抜け出してくる時も多く(いわく「最近スザクまで口うるさいのよ」だそうだ。スザクの気持ちも分かる。
2階から飛び降りるのはもちろん、マンホールから出てきたのにはさすがに言葉を無くした)僕の精一杯と言ったら
ユフィが危険に飛び込まないよう未然に防ぐのと、ユフィが満足する頃合いをみてスザクにSOSメールを送るぐらいだ。
初めのうちは恐縮していたスザクだったが、最近僕にも風当たりが強くなっているような気がする。僕がユフィを連れだしてる
訳ではないし、正直あのスザクでさえ撒いてくるような彼女に僕がかないっこないと主張したい、全力で。
「いや、その、ユーフェミア皇女殿下の騎士スザクは僕の友人なので、話をよく」
冷や汗まじりに弁解する。でも、なんで僕は弁解なんかしてるんだ?別にやましいことはしてない、…はず。
「失礼します、報告書が…」
疑わしげなコーネリア様がさらに何か言おうとしたとき、運良くギルフォード卿が現れなんとか追及の手を逃れられた。
僕がギルフォード卿に心から感謝したのは言うまでもない。