コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ 31at GAL
コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ 31 - 暇つぶし2ch50:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:07:36 l0HkHScy
支援

51:萌は文化
08/11/06 21:13:19 We9r6apz
「何その黙らせかた! ってか杉っちって俺のことか!?」
「うるさいぞ機動戦死杉ダム」
「少し黙れスーギ」
「せめてあだ名を統一しろ!」

そんなこんなでホストクラブ『狂王』チーム対スーパーメイド咲世子によるご奉仕勝負が始まった。

「……ふう、今日は遅くなったな」
場面変わって狂王の店の前。
狂王の店の前を偶々扇が歩いていた。
その時、店の扉が開き、中から飛び出して来たロープが扇の首に絡みついた。

「がっ、な、なに…うわぁぁ!」

困惑する扇はそのまますごい力で店内へと引きずり込まれた。
無理矢理引きずり込まれた扇はソファーに座らせられると目の前に偉そうに座る仮面の男ことゼロに驚愕した。

「ようこそ狂王へ」
「ヒィィ!?」

目の前の怪しい仮面男にビビる扇。

「ルールは簡単、この人を満足させた方の勝ちです」

扇の首に巻かれたロープを外しながら咲世子は言った。
「いいだろう。では先にお前からだ」
「ええ、いいでしょう」
扇の意識は総シカトで咲世子は扇を個室へと引っ張って行った。
「時間は30分だぞ」
「わかってます」
「ちょっと、一体何なんですか!?」

52:萌は文化
08/11/06 21:15:16 We9r6apz
扇の叫びなとお構いなしに、個室の扉が閉められた。
30分後、扉が開くと中からパレオを着た咲世子と鼻の下がだらしなく伸びてる扇が出てきた。

「いや~、いいもの見た」

デレデレににやけた顔で扇は笑った。

「フフフ、どうですか? 必殺個室で男性のためにコスプレショーですよ。これで満足しない男はそうはいません。私の勝ちですね」

プルンと胸を揺らし、咲世子は偉そうに腕を組んだ。

「フッ、馬鹿め。水着はパレオよりハイレグだ!」
「何を言っているゼロ。ビキニ一択だろ」
「いやいや、ワンピース型だろ」
「会話がかみ合ってないぞ!」

杉山が3人に突っ込むとライは小さく咳払いをした。

「フッ、舐められたものだ。僕らには彼を満足させるだけの切り札がある」
「何ですって!?」

自信満々でクールに笑うライ。

「フッ、いいでしょう。お手並み拝見いたしましょう」

そう言うと咲世子は少し離れた所に何故かグラビアアイドルのようなポーズで座った。

「では、次はここに座って」
「は、はい…」

ライに言われ扇はゼロの目の前のソファーに座った。

53:萌は文化
08/11/06 21:17:09 We9r6apz
「では始めようか扇要君」
「な、何故俺の名前を…!」

名乗ってもいないのに自分の名前を呼ばれた扇の表情が凍りついた。

「フッ、君が咲世子さんのコスプレショーを楽しんでる30分。僕達が何もしてないと思ったのかい?」

まるで悪の組織の総帥のような悪い笑みでライは言い手帳を開いた。

「扇要、27歳O型。○○小学校の教師をしている。両親はすでに他界。現在妹と2人暮らし。立派なものですね」

スラスラと手帳の中身を読み上げるライの説明を聞き、扇の体から嫌な汗が流れた。

「さて、実はこの勝負、私が負けると私の全財産であるこの店があのメイドにとられてしまうのだよ。この意味わかるな」
「……え、ええ」

テーブルの上に足を乗せ、どこか威圧的にゼロは言った。

「ところで君には可愛い妹がいるそうだね。確か名前はカレンだったかな?」
「!?!」

朝比奈の言葉に扇は絶句した。

「君の妹さんの帰り道はすごく危険だよね。あの辺は人通りも少なく、少し部活で遅くなったら真っ暗だ。そこで何かあったら悲鳴は誰にも届かないだろうね」
「あ、あんたまさか!!」

肩を震わせ扇が立ち上がった。

54:萌は文化
08/11/06 21:19:46 We9r6apz
「何をそんな驚いているんだい? 僕達はただ君の妹さんの話をしているだけだよ」

涼やかな笑みを浮かべ朝比奈は笑った。

「最近、物騒だからな。そうそう、物騒と言えば君の担当しているクラスの生徒達だが子どもは可愛いな。みんな仲良く集団下校だからな。だがその集団下校の最中にもし、もしもだぞ? 飲酒運転のトラックが突っ込んで来たら恐ろしいな」

朝比奈に続き、今度はゼロが語り始め、扇は恐ろしいものを見るようにゼロに視線を向けた。

「もちろんそんなことがないのを願うが最近は物騒だからな…そうそう君は同じ職場の女性に好意を持ってるようだな。名前は…」
「止めろー! 止めてくれ!!」

耐えきれなくなった扇は耳を塞ぎ悲鳴を上げた。

「何をそんな嫌がるんだい? 僕達は君の周りの世間話をしているだけだよ。ああ、そういえば君の家の、立派だね。立て直したばかりだっけ? でも気をつけるんだよ。木造ってわりと早く簡単に燃えるからね」
「うわぁぁぁ」

クスクス笑うライを見て扇は慌てて走り出し、店の入り口の扉へと向かった。

「助けてくれ! 助けてくれ!! 誰か! 誰かぁ!!」

55:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:20:46 Z+014wW7
おお、狂王が投下されてる支援

56:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:23:01 l0HkHScy
支援

57:萌は文化
08/11/06 21:23:23 We9r6apz
必死に扉を叩く扇だが押しても引いても扉は開かず、扇は惨めに叫びながらひたすら扉を叩いていた。
「何をそんなに恐れる扇要よ」
「本当だよ、これじゃあ僕達が怖い人みたいじゃないか」
「ホント…傷つくな」

そんな扇を追い詰めるようにゼロ、ライ、朝比奈の3人が扇を取り囲んだ。

「ヒッ! た、頼む…助けてくれ」

跪き命乞いをする扇。

「助けるって何をだいゼロ?」
「さあな。だがこの勝負負けるわけにはいかんのでな。まだ帰られるのは困るな」

とぼけた顔で話すライとゼロ。

「わ、わかった! あんたらの勝ちだ。文句ないだろ! あんたらの勝ちだ!」
今にも泣き出しそうな扇は訴えるように叫んだ。

「やったねゼロ。僕達何もしてないのに勝ったよ」
「そうだなライよ。なんて優しい審査員だったんだろうな」
「僕達はラッキーだね」
(悪魔だこいつら…)

勝利に喜ぶ3人を見て杉山は心底そう思い、扇に同情した。
「フッ、流石ですね。私の負けです」

それでいいのか?
咲世子はどこか満足そうに笑い、ゼロに手を差し出した。
「何、君もよくやったよ」
「いや、むしろお前ら最低だ」
固い握手を交わすゼロに杉山は突っ込んだ。

58:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:23:34 Z+014wW7
支援

59:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:24:25 qjoQ0lnd
フルメタねたか・・

60:萌は文化
08/11/06 21:26:03 We9r6apz
「よし、これで厨房とウェイターの確保は出来たね」
「? 咲世子さんが厨房係ってのはわかるけどウェイターはどこから来たんだ?」

ライの言葉に疑問を感じた杉山が言うとライは扇を指差した。

「彼」
「何を!?」

いきなりウェイターに任命された扇は驚き声を上げた。
するとゼロがマントを翻して言った。

「安心しろ。すでに辞表は代わりに出しといてやった」
「なんだってぇー!!」
「これで貴様はウチの専属ウェイター兼雑用係だ」

力無く膝をついた扇。
そんな扇を見かねてライは扇の肩を叩き、そっと囁いた。

「君にもう自由なんてないんだよ」

ライの囁きを聞いた瞬間、扇の顔から光が消えた。

「う、うわぁぁぁ!!」
「悪魔だ……なんで俺こんな店にいるんだろ」

熱くなる目尻を押さえ、杉山は黙って扇に同情をした。


『狂王2』 終

61:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:26:19 Z+014wW7
支援

62:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:28:23 l0HkHScy
支援

63:萌は文化
08/11/06 21:28:23 We9r6apz
「うう……すごいよ……ライマーユニーの新作だけじゃなくて狂王2まで見れるなんて…」
「…………感激」

狂王2を見終わるとモニカとアーニャは周りドン引きするほど号泣していた。

「とりあえず涙ふけ2人とも」

そんな2人を見かね、ノネットがハンカチを差し出した。

「うう…ありがとーノネット」

ノネットからハンカチを受け取り、モニカが自分の涙を拭いたその時だった。

「ごめんゼロ。渋滞で遅れちゃった」

扉を開け、ライが息を切らしながらやっと到着した。

「「ライ様!?」」

扉近くの一番後ろの席のアーニャとモニカがすかさず反応した。
すぐ目の前に憧れのライ様がいる。
そう思った2人は緊張で身体が固くなった。

「遅いぞライ。おかげで狂王2まで見終わってしまったぞ」
「そうみたいだね。たった今終わったのかな………あれ」

ゼロと言葉を交わしたライは自分の方を見て固くなってるモニカとアーニャの視線に気づいた。
するとライは2人の元まで行き、自分のポケットからハンカチを取り出しそっと2人の涙を拭いた。

「もしかして狂王2を見て泣いてくれたのかな? フフ、ありがとう綺麗で可愛らしいお嬢さん達」

64:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:28:42 Z+014wW7
支援

65:萌は文化
08/11/06 21:30:05 We9r6apz
「綺麗で…」
「可愛らしい…」

爽やか笑みを向けられ、アーニャとモニカの2人は絶頂とも言える胸の高鳴りを感じていた。
流石、黒の騎士団が誇るスーパースターと言うべきである。
※ 忘れ気味ですが黒の騎士団はレジスタンスです

「あの…ライ様ですよね……良かったら握手を…」

ライのオーラに少し押されながらもノネットがライに恐る恐るお願いをした。
意外なことに先程までライ様(ライマーユニー)に会えると興奮し、騒いでいた連中は本当のライを目にした瞬間、驚くほど静まり返りライを見つめていた。

「あ、すみません。悪いけどそれはまた後で、凛々しきお姉さん」
「っ!」

やんわりと断り、ステージに向かうライ。
そんなライの姿を断られたノネットはどこか熱っぽくポーっと眺めていた。

「あれが……本当のライ様………こんな気持ち初めてだ…」
「ライ様が…私を綺麗で…可愛いって……」
「………死んでもいい」

完全にトリップ状態のノネットとモニカとアーニャであった。

「それではライが来たところでこれから撮影の説明を始める」

こうして説明会は無事に終わった。

66:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:30:37 Z+014wW7
支援

67:萌は文化
08/11/06 21:32:20 We9r6apz
説明会が終わった後、ゼロとライ、井上、朝比奈、ディートハルトを中心とした黒の騎士団達はこれからの撮影の予定を話し合っていた。

「やはりナイトオブラウンズは全員ライマーユニーに出演させた方がいいのではないですか?」
「そうだね。正直、ライマーユニーの方は役者が足りなくなって来たし、ちょうどいいね」

ディートハルトと朝比奈の言葉を聞いてゼロは静かに頷いた。

「なるほど、ライマーユニーの方はお前達に任せよう。狂王の方はどうする井上?」
「うーん、正直狂王は美形が不足してるから美形が欲しいんだけど……」

困ったように井上が言うと朝比奈が意を反するように手を上げた。

「だがこちらも役者は不足している。使えそうな人材も少ないしあまり狂王に分け与える余裕はない」
「ちょっと、分け与えるって何よ。それじゃ狂王がまるでライマーユニーより下みたいじゃない!」

朝比奈の言葉に机を叩き、井上が噛みついた。

「何を言ってるんだ? ライマーユニーの方が収益が圧倒的に上だろ。狂王なんか女性ターゲットの副産物にすぎないよ」

68:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:32:44 Z+014wW7
支援

69:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:33:03 l0HkHScy
あれ、雲行きが…支援

70:萌は文化
08/11/06 21:34:36 We9r6apz
「キィー! 収益が多ければ偉いって! 狂王だって必死こいて作ってるのよ。それを、それを副産物だなんて……」

朝比奈の発言に悔しそうにギリギリと唸る井上

「……ライ君もなんか言ってあげて!!」
「え、あ……僕としてはライマーユニーと違って女性しなくていいから狂王の方が楽だな………なんて」

軽く笑い、ライはお茶をすすった。

「ええい、喧嘩は止めろ2人とも!! 仕様がない。互いに使いたい役者を名前を後で私に提出しろ。後で私とディートハルトでスケジュールを組む。それでいいな」
「わかったわゼロ」
「OKそれで行こう」

ゼロの提案に朝比奈と井上は互いに納得し、会議は終了した。

「では、ライ君はこれからアッシュフォード学園で講演会があるので急いでください」
「はいはい、また移動か…」

偶には休ませて欲しいと思いながらライはため息をつき、車へと向かった。

71:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:34:51 Z+014wW7
支援

72:萌は文化
08/11/06 21:37:01 We9r6apz
おまけ

テレビ『さて、ここで番組からのお知らせです。今度のスペシャルではなんとライマーユニーとライ様をゲストとしてお呼びするのですが抽選で2名の方にライ様またはライマーユニーとのハニカミデートのチャンスが! 宛先はこちら……』

皇帝「ヌアッハハハハ! あやつめ、やりおったな!!」
V.V「シャルル! 出来れば僕の分のハガキも手伝ってよ。腕がもう痛くて…」
皇帝「ヌアッハハハハ!」
V.V「いいじゃん! シャルルはライマーユニー目当てで僕はライ様目当てなんだから!」
皇帝「あやつめ、やりおったな!!」
V.V「わかったよ。自分の分は自分で書くよ。シャルルのケチ!」

73:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:37:27 Z+014wW7
支援

74:萌は文化
08/11/06 21:41:24 We9r6apz
以上で終了

久しぶりすぎて文体がおかしい気がする……
いつ終わるのかなこのシリーズ

では支援ありがとうございました


75:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 21:50:00 Z+014wW7
お疲れっす!
てっきり終わったかと思ってたこのシリーズ。続きが読めて嬉しいです。
さて、感想ですけど、ライが黒いな~wてっきりギアスで物にするのかと思って
ましたが、脅迫とは読めなかったなあw扇はこれから杉山のポストなのかな?
素のライもノネットさんを篭絡するとは、朱に交わって真っ赤ッかになったのかと
思いましたがあれも演技とは、、、、凄まじいですな。
次回の投下を首を長くしてお待ちしております。
できれば幕間も独立してそれだけを読みたいですね。

76:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 22:07:33 /oz19Gih
>>74
杉山が哀れで、目から汗が…
でも、地味な美形はその通りで擁護できないw
朝比奈でギリ美形ってハードル高っ!
扇も可哀想だが、ウエイター姿は似合う気がするw
咲世子の万能ぶりはどこまでいくんだ?
朝比奈と井上の熱いガチバトルがもっとみたい気がするが、きっとそんな人間は少数派
ラウンズの内訳がどうなったかも気になるけど、美形不足ってことはジノは狂王に参加か?
>>75さんの言ってる幕間ものも一回くらい見てみたい気がするw
シャルルとV.V.のライマーユニーな日々って感じでwww

77:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 22:53:44 eq3N4sFV
>>74
GJ!ライがかつてなく黒いwそして杉山、負けるんじゃないぞw
ブリタニアも巻き込んでのこのプロジェクト、どこまで行くんだろう。
続きをお待ちしています。

さて、23:10に投下します。本文・あとがき合わせて11レス分あります。

78:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 22:59:45 +HDUD9XP
>>74
萌は文化卿、GJでした!
全体的に黒いなwww
杉山がある意味美味しいポジションにw 頑張れ、ちょっと目立ってるぞw
いきなりの咲世子さん登場に吹いたw
今回の一番の被害者、扇要……泣けんでぇ
そして皇帝はwwwもう自重しなくていいよwww突き進んじゃいなよwww
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

79:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:08:24 f2RnanhJ
つか、扇への手口はまんまフルメタルパニックじゃねーか!!
おもしろかったけどさ

80:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/06 23:11:14 eq3N4sFV
さて、そろそろ投下します。

作者:余暇
タイトル:解読不能?

(設定と注意)
・騎士団編カレンEND後で、特区成立から一年が経過。
・ジャンルはギャグ…のつもり。
・最後の方にライカレ要素あり。
・ディートハルトを初めて書きました。彼の雰囲気を出したつもりですが、少し自信ありません。

本文・あとがき合わせて11レスあります。

81:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:13:31 Z+014wW7
風呂が沸くまで支援

82:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/06 23:14:40 eq3N4sFV
                『解読不能?』

今日は特区日本の成立一周年記念式典の日。僕とカレンは、会場で警備を担当していた。
そしてその時、モニターの中でゼロの演説が始まった。
「日本人の諸君!私は嬉しい。何故なら、本日は日本という名が復活してちょうど一年に当たる、記念すべき日だからである!
思えばあの日から、日本復活に向けた苦難の道は始まった……。」
マントをなびかせ、またある時はありえない腰の曲げ方をして、さらにある時は手で前髪を掻き上げるような仕草をしつつ、ゼロの熱い演説は進んだ。今日もノリノリだな、絶好調だ。
「しかし、わからないな。」
「え?何がなの?」
僕はふと思った疑問を口にして、その言葉にカレンが振り返った。
「いや、演説のたびにあんなに激しい動きをして、彼は一体何がしたいんだろうと思う時があるんだ。」
「ああ、確かに。派手に見せる演出なのかもしれないけど、それだけの理由であそこまでは考えつかないわ。それに、きっと体を痛めると思うのよね。」
カレンも僕に同調した。そうだ、あんな動きを繰り返せば、確実に体にガタが来る。何しろ中身は、あのルルーシュだ。なのに演説後も平然としているのはおかしい。
演説の時だけ中身が入れ替わっているとも思えないし、すごく不思議だ。
「フフフ。その理由、知りたいですか?」
声がした方へ振り向くと、そこにはディートハルトが立っていた。


83:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:14:54 Z+014wW7
支援

84:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:16:41 J3qBnUwW
支援

85:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/06 23:16:48 eq3N4sFV
「ディートハルト、もしかしてあの動きの真意を知っているのか?」
僕の問いかけに、彼はニヤリと笑った。
「まあ、確証は得られていませんがね。そもそも報道に携わる者とは、多種多様な情報の伝達方法を嫌でも目にします。またその中で、様々なコミュニケーションの取り方を知るものなのです。
何しろ世界は広い、文化圏や言語の違いだけで、コミュニケーションの取り方も差異の大小があるとはいえ、変わってくるものです。」
ふむ、やはりそういうものなのか。色々な世界を見てきたであろう彼が言うと、説得力があるな。
「それで、ゼロがあの動きをしている真意は何?何か大きな意味があるの?」
カレンがディートハルトに尋ねた。
「ええ、ありますとも。ゼロが用いているのは、たとえ言葉が通じなくとも、その仕草を見れば相手に自分の伝えたいことが見事に伝わってしまう、
原始的かつシンプル、しかして高度なテクニックを必要とする方法なのです。その名も……。」
そこで、ディートハルトが妙にリアルな顔になった。正直、顎が気持ち悪い。
「ボディ…ランゲージ。」
その言葉を聞いて、僕とカレンは目が点になった。ディートハルト、それは本気で言っているのか?


86:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:16:59 Z+014wW7
支援

87:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/06 23:19:21 eq3N4sFV
「ボディランゲージ?」
「えーと、要するにジェスチャーか?」
「まあ、平たく言えばそうなりますな。それもゼロの場合は、ごく少数にしか解読不可能な、裏のメッセージを送っているものと思われます。」
その時、僕とカレンに衝撃が走った。
「う、裏のメッセージ!?そんな、ゼロが私たちに隠し事を?」
「それってまさか、世界に散らばる反ブリタニア勢力に対して一斉蜂起を促すとか、重大なものなのか?」
するとディートハルトは、首を横に振った。
「ああ、ご安心を。真面目な演説の中にコミカルなエッセンスを加えて、こっそりと空気を和ませようとする程度のものですよ。
第一そんな重要な作戦があるのならば、少なくとも幹部の方にはお伝えするはず。準備など込み入ったものがありますからね。
ところが、騎士団の双璧であるあなた方にすら伝わっていないということは、決して大きな事項ではないということです。」
僕たちは言葉もなかった。ゼロがそんな裏メッセージを考えていたとは。
「ですが、騎士団の双璧であるあなた方がゼロのメッセージを理解していらっしゃらないのは、少々格好がつきませんな。
では明日の午後、アジトの視聴覚室にお越し下さい。より双璧らしくなるよう、私がレクチャーして差し上げますよ。それでは。」
僕たちが呆然としている間に、ディートハルトは一方的に明日の予定を決めると、さっさとどこかへ行ってしまった。
「ど、どうする、ライ?何だか一方的に決められたけど。」
「ま、まあ明日は休みだし、そんなに重要な事柄ではないのなら少しくらい付き合ってあげてもいいんじゃないか?」
「そ、そうね。それに行かなかったら、後がうるさそうだし。」
だがこんな会話、平和な世の中でなければ絶対できないな。僕は心の中で、相変わらずモニターの中でマントをなびかせるゼロにお礼を言った。


88:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:19:39 Z+014wW7
支援

89:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/06 23:22:27 eq3N4sFV
翌日、僕とカレンはアジトの視聴覚室にいた。そしてそこへ、ディートハルトが現れた。
「やあ、お待たせしました。少々編集作業に手間取りましてね。」
そして彼は、DVDプレーヤーの中にディスクを入れた。
「さて、それでは始めましょうか。最初に言っておきます、ゼロのボディランゲージは彼にとってはあくまでお遊びの一環であると、私は考えます。
おそらく、日頃の激務でストレスや疲れもたまっていることでしょう。そこで、ばれる可能性の低い密かな伝言ゲームをして、ストレスを発散させているのでしょう。
私も研究の末、最近ようやく解読できるようになりましたよ。しかし、さすがはゼロ。今のレベルに到達するまで骨が折れましたよ、ハッハッハ。」
彼の説明を、僕たちは口を開けたまま聞いていた。ゼロが本当に遊んでいるかどうかはともかく、ディートハルトがそんなくだらない研究に情熱を注いでいたことの方が驚きだった。これも平和ボケの一種だろうか。
「じゃあゼロに聞くことなく、あなたが自分で勝手に研究し、推測を立てたと?」
僕の問いかけに、彼は頷いた。
「ええ、そうです。密かに研究して確証を得た時に、ゼロにお聞きしようかと考えていましてね。その方がゼロも驚くでしょうし、何より自力で自分のメッセージを解読してくれたと喜ぶでしょう。
そうすれば、よりゼロに取り入りやすくなりますからね。」
結局目的はそこなのか。危険人物なのか違うのか、まったくわからないな。だがこんな研究をするのなら、今は大丈夫なのかもしれない。
「さて、そろそろ始めましょうか。あくまでこれはお遊びです、あまり身構えず、柔軟な発想でお願いしますよ。では、再生します。」
そしてディートハルトは、DVDプレーヤーの再生ボタンを押した。


90:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:22:49 Z+014wW7
支援

91:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/06 23:25:24 eq3N4sFV
『日本人の諸君!私は嬉しい。何故なら、本日は日本という名が復活してちょうど一年に当たる、記念すべき日だからである!
思えばあの日から、日本復活に向けた苦難の道は始まった……。』
画面の中で、ゼロが体をカクカクさせている。本当にどうやっているんだ。
「さて、それでは戦闘隊長殿。早速これを表現して下さい。」
「えっ、僕からなのか?」
ディートハルトからの指名に、僕はあわてた。お遊びとは言うけど、どうすればいいんだ。
「本当に単純な発想でいいのですよ。楽に考えて下さい。」
「ライ、頼むわよ。あなたの出来次第で、私の方向性とかプレッシャーとか、色々変わってくるから。」
カレン、横からさらっとプレッシャーをかけないでくれ。余計に考えにくくなる。
「本当に遊びでいいんだな?笑ってしまうようなものでも構わないと?」
「ええ、ご自由に。ボディランゲージとは、遊びの要素も含む場合がありますから。」
むう、ディートハルトがそう言うなら、何か考えるか。あのゼロの動きを見て、真っ先に思い浮かぶのは何だろう。
「うーん、何かの体操に見えなくもないが……はっ!そうか、そういうことか!」
とあるインスピレーションを得た僕は、早速演技を開始した。
「はい、まずは両腕を肩の高さまで上げて、そこで腰を鋭く曲げる!そして流れるような動きで腕を回した後、再び腰を鋭く曲げる!
よーしその調子だ、いいぞ私。フフフ、いい感じに腹筋が燃えてきたぞ。よし、今の動きをワンモアセッ!」
僕が思いついたのは、以前テレビでやっていたエクササイズの番組だった。動きは全然違うが、彼はこれにヒントを得たのかもしれないと思ったのだ。
「アハハ!ライったらおかし…ハハハ!あー、お腹痛い。」
どうやら、カレンにはウケたようだ。そんなにおかしかったか?だが柔軟に考えた結果だ、これなら……。
「残念ながら、違います。」
「ええっ、違うのか!?」
だが、あっさりディートハルトに否定されてしまった。柔軟に考えたつもりなんだが。


92:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:25:47 Z+014wW7
支援

93:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/06 23:29:35 eq3N4sFV
「確かにエクササイズに見えなくもありません。ですが、もっと身近なことです。
エクササイズはやらない人もいるでしょう?そういう意味では、少し遠いのです。」
「むう、結構難しいな。」
そしてディートハルトは、カレンに向き直った。
「では紅月隊長、次はあなたの番ですよ。柔軟に、身近なことを思い浮かべて下さい。」
「え、ええ。わかったわ、身近なことね。」
カレンが、テレビの画面に映るゼロの動きを注視する。
「うーん。でも身近なことって……はっ!ま、まさか、そういうことだったの!?」
カレンはおもむろに椅子から立ち上がった。何か思いついたか。
「どうかな、この私のマント?今日も風に吹かれて、美しく揺れているだろう?
そして見るがいい、この服!パリッとした仕上がりで、なおかつこんな柔軟な動きにも対応できてしまうのだ、すごいだろう?
今日も私は美しい。さあ見るがいい、この美しい腰のラインを!ほう、もう一度見たいのだな?良かろう、特別に見せてやろう。
しかし、美し過ぎる私は本当に罪な男だな、ハーッハッハッハ!」
……何だ、これは。一体何にヒントを得たらこうなるんだ。
「あ、あのさ。それは一体、何?」
僕はおそるおそるカレンに尋ねた。すると彼女は、顔を赤くして答えた。
「あのね、この間租界を歩いていたら、すごくゴージャスな服を着た女の人がいたの。何だか高飛車な感じがして私は嫌いだったんだけど、服の見せびらかし方がゼロの動きに似ている気がしたのよ。
だからやってみたんだけど、おかしかった?」
「いや、おかしくはないが何と言えばいいか……。」
僕がコメントに窮していると、ディートハルトが口を開いた。
「残念ながら、これも違いますな。もう少しましな答えを期待したのですが、がっかりです。」
「そこでバッサリ斬り捨てるか、普通!?」
「が、がっかり!?そんな、一生懸命考えたのに!」
カレンが床に膝をついた。ディートハルトの奴、配慮がなさ過ぎる。お遊びじゃなかったのか。


94:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:29:50 Z+014wW7
支援

95:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/06 23:33:52 eq3N4sFV
「おっと、失礼。少々口汚くなってしまいましたか、私の悪い癖です。
ですがゴージャスな人物というのは誰の周りにでもいるものではありませんし、誰にでも縁があるものでもありません。
そういう意味では、やはり遠くなってしまうかと。」
「だったら最初からそう言いなさいよ。傷つくじゃない。」
カレンが不満を漏らした。
「何だ、こんな所で何をしているのだ?」
見ると、視聴覚室の入り口付近に当事者であるゼロが立っていた。
「ん?その映像は、昨日の式典の際の私の演説ではないか。」
「ええ、そうですとも。ちょうどいい、ゼロ、あなたにお聞きしたいことがあったのです。」
「私に聞きたいこと?答えられる範囲でならば、答えよう。」
ディートハルトの言葉に、ゼロが頷いた。
「この演説の際のポーズ、これにはどのようなメッセージが込められているのですか?」
「ポーズ?メッセージ?どういうことだ。」
「ディートハルトが言うには、君のこの動きには、演説とは違う裏のメッセージが込められているそうだ。ゼロ、彼が言うことは本当か?」
「う、裏のメッセージだと?何を言っているのか、さっぱりわからんぞ。」
僕の言葉に、ゼロは呆気にとられた。
「あれ?ゼロ、この動きはボディランゲージで、ゼロはこれをすることで日頃のストレスを発散しているんじゃないんですか?」
カレンがゼロに尋ねた。その問いかけに、ゼロは大きく首を横に振った。
「何をバカなことを言っている。あれは演出だ、演出。ああいうポーズをとれば演説がより効果的に見えると思ったのだ。
メッセージという観点で見れば、そのまま表の意味だ。そして、私は別にあれでストレスを発散しているつもりはない。」
その言葉を聞いて、ディートハルトは愕然とした。
「な、何と……。私の予測はすべて外れだったのですか?私がこれまでに費やした時間は一体何だったのだ。」
まあ気持ちはわからなくはないが、最初から本人に聞くという選択肢を除外したのは間違いだったと思う。


96:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:34:45 Z+014wW7
支援

97:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:35:17 gw98Hykt
支援

98:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/06 23:36:56 eq3N4sFV
「ちょっとディートハルト!言っていることと全然違うじゃない!何のために私たちにあんな恥ずかしいことをさせたのよ!」
カレンがディートハルトに詰め寄った。
「カレン、ディートハルトにも悪気があったわけじゃない。それに彼に付き合った挙句、あえて恥ずかしい方向に進んだのは僕たちだ。
すべてを彼のせいにするのは、何となく違う気がする。」
「それはわかっているけど……。」
僕はカレンをなだめたが、彼女はまだ不満げに唇を尖らせている。
「恥ずかしいことって何だ?」
「ゼロ、すまない。それは聞かないでやってくれ。僕たちもどうかしていたんだと思う。」
「そ、そうなのか?」
とてもじゃないが、ゼロの動きを見てとんでもない想像をしていたなんて言えない。
「いやあ、さすがはゼロ!あなたはいつも、私の想像を超えている!とても私の知力など足元にも及ばないということを、改めて教わりました!」
突然ディートハルトが復活して、ゼロを称賛し始めた。本当に切り替えが早いな。
「しかし、昨日のあのポーズは本当に素晴らしい。今までの演説の中でも、最も動きにキレがあり、実に輝いていたと思いますよ。」
「む、そうか?やはり昨日の演説はそんなに良かったのか。実は私自身、昨日はかなり良い動きができたと考えているのだよ。
まさに、心と体の波長が完全にシンクロしていたと言ってもいいくらいだった。」
ディートハルトの褒め言葉で、ゼロがすっかりその気になった。あの動きを褒められて、そんなに嬉しいのか?
「そうでしたか。おお、そうだ。もしよろしければ、演説とポーズに関する逸話などをお聞かせ願えませんか?
より魅力的にあなたを記録するヒントを得られるかもしれませんので。」
「ああ、いいだろう。それでは私の部屋に来るがいい、いくらでも話してやろう。」
ゼロとディートハルトは、仲良く視聴覚室を出ていった。取り残された僕とカレンは、あまりの急展開に呆然としていた。


99:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:37:23 Z+014wW7
支援

100:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/06 23:39:55 eq3N4sFV
「まったく。ディートハルトの奴、本当に調子がいいんだから!」
アジトからの帰り道、カレンはずっとご機嫌斜めだった。
「よくあんなにコロッと態度を変えて、媚を売ることができるわね。ゼロもゼロよ、簡単にその気になるんだから。」
「まあまあ。ディートハルトが意外にお茶目だったとわかっただけでもいいじゃないか。これから話しやすくなった気がする。
それにゼロだって、ポーズを褒められたことがなかったから嬉しかったんだろう。」
「もう、ライは本当に甘いんだから。」
僕の言葉を聞いて、カレンは苦笑した。
「でもボディランゲージって理解するのが難しいな。人によって解釈の違いが出るから、ゼロのポーズじゃなくても十人十色の答えが出るだろうな。」
「そうね、でも私は使いたくないな。身振り手振りなんか使わなくても、言葉や態度、行動をはっきりさせれば相手にちゃんと気持ちが伝わるもの。」
そう言うとカレンは僕の腕に抱きつき、体を密着させてきた。僕の腕を通して、彼女のぬくもりや鼓動を感じる。
「こんな風に、ねっ。」
「そうだな。色々な話をしたり、喧嘩したり、抱き合ったり。そうやってお互いをさらけ出して見せ合う方が僕たちには合っているし、幸せだってわかりやすいからな。」
カレンが僕の手に自分の指を絡ませてきた。僕はその指に自分の指を絡ませ、優しく包む。
「特区が成立して一年ということは、僕たちも付き合いだして一年ということだよな。早いような短いような、不思議な感覚だな。」
「ええ、そうね。」
僕とカレンは互いに見つめ合った。
「今まで一緒にいてくれてありがとう。そしてもちろん、これからもよろしく。」
「ええ、こちらこそ。これからも、二人で仲良く歩きましょう。」
僕たちは租界の往来の中で、素早くキスをした。誰にも見られないような、それでいて今の幸せを実感できる、最愛の人に送る二人だけのサインだった。


101:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:40:09 Z+014wW7
支援

102:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/06 23:43:39 eq3N4sFV
おまけ
後日、僕はゼロの部屋で彼にあることを尋ねた。
「演説の時にあれだけ動くと、体に負担がかからないものなのか?特に君は体力がない、あんな動きができること自体が不思議で仕方ないんだが。」
「確かに、最初の頃は翌日に筋肉痛で苦しんだ。トレーニングで体力をつけようかとも考えたが、そんな悠長なことをしている時間もない。そこで、これを開発した!」
ゼロがマントと服を脱ぎ捨てると、彼の体には小型モーターがついたギプスのような器具が取り付けられていた。
「これぞ、ゼロのポーズをカッコ良く見せるための補助器具、『ゼロ・メーカー』だ!演説時間や内容をデータ入力するだけで、ポーズをカッコ良く決めるためのサポートをしてくれるぞ。
ポーズをとることによる体への負担を五分の一に減らしてくれ、しかも軽量なため、私は楽々あの動きができるのだ。どうだ、すごいだろう?」
「……あ、ああ。凄過ぎて言葉もない。」
そこまでして、あのポーズをとりたいのか。その情熱には敬服するが、最早体力作りは諦めたのか?君に必要なのは、まさにそれなんだが。
「実はな、これを商標登録して売り出そうかと考えている。」
「何!?これをか?」
ゼロの発言に、僕は驚いた。
「最近ではすっかり平和になって、ブリタニア人も私に敵意の目を向けなくなった。子供たちもみな、私の真似をするようになった。
そこでだ、ゼロのコスプレセット及び『ゼロ・メーカー』を売り出して、多くの人にゼロに親しんでもらおうかと思うのだ。
名付けて、『百万人のゼロ大作戦』!時期は今度のクリスマス商戦を狙っているのだが、どうだ?」
……これも平和な証拠だろうか。それとも、ブリタニアへのささやかな反逆のつもりか?
「まあ、いいんじゃないか。でも本当に、百万なんて数が売れるのか?」
「ふっ、私に不可能はないさ。何故なら私は、ゼロだからだ!」
また難解なポーズをとりながら、ゼロが叫んだ。これも、表のメッセージとやらか?

ちなみに、意外にもゼロのコスプレセットは本当にミリオンヒットを記録した。
もしかして、あのポーズに興味を持つ人ってかなりいるのだろうか。まさに解読不能、予測不能だ。


103:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:44:13 Z+014wW7
支援

104:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/06 23:46:48 eq3N4sFV
以上です、支援ありがとうございました。
ディートハルトを書くのは初めてなのに、ほとんどメイン級にしてしまいました。

105:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:50:26 Z+014wW7
お疲れです。
ディートの転んでも只では起きない姿勢が良かったですねえw
あのゼロの動きが実は補助具が有ったとはwしかもミリオンヒットとはこの世界
はほんとに平和なんだななあが良く解かりますね。次回の投下を楽しみにしています。


106:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:57:16 gw98Hykt
>>104
乙!
ディートハルトの台詞がジョージの声で再生されましたww
テロってる時も碌なことしませんでしたけど、平和でも碌なことしませんね、彼
単なるゼロマニアになっておる…ww

コスプレセットは忘年会用に売れたんだろうなあw



107:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/06 23:59:53 +HDUD9XP
>>104
余暇卿、GJでした!
あんなボディランゲージは無いwwwと思いながらもゼロならば! と思い読んでましたw
ライとカレンの解釈が面白すぎるwww
……というかディートハルトの解釈は何だったんだ!?
ゼロ・メーカー……欲しい。
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!

108:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:20:56 yPo7qM5z
平和ですなあ……
ディートハルトのナイスボケも楽しませていただきましたが
自分はライカレの方で綺麗に癒されました
最近殺伐としたものばかり描いてる自分ですから……



ところで
0時30分に投下させていただきましたがよろしいでしょうか?
10~12レスですので、
支援をヘルプしただければ幸いでした

109:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:25:45 p1l9fNZx
支援しますよ

110:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:26:59 en8urNNR
支援
保管庫消えてる?

111:カズト
08/11/07 00:29:08 yPo7qM5z
タイトル「追憶の旅路 第十一章 光の糸」

注意点
・実質完全オリジナルです
・カレンがライの過去編を精神体という形で見ております
・オリキャラ多数 あくまで別人です……あくまで
初めて読む方へ

心を閉ざしたライの心に飛び込んだカレン
ブリタニアの辺境の国の皇子
ライエル=スメラギ=フォン=ブリタニア
ライは「魔法使い」からギアスを授けられ
父と兄達を殺し、ついに王となった
改革を推し進めていくが
いつしか、心が磨り減っていき
ギアスも不安定になっていく・・・・・・
そして、「北の蛮族」との決戦が少しづつ近づいていく・・・・・


112:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:29:46 en8urNNR
支援

113:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:29:47 p1l9fNZx
支援

114:カズト
08/11/07 00:30:15 yPo7qM5z
「北の蛮族」との決戦も近くなり、帝都から先遣隊1万が来訪した
ライは先遣隊の長であるカルロス師団長と面会をした
赤い髪にカイゼル髭の男……
エリート意識丸出しの態度にライは心の中で呆れていた……
「はっはっは!ライエル王よ!私が来たからには奴らなど一網打尽ですぞ!!」
大口を叩くカルロスにライはため息をつく
(ふん、お前如きで奴らを倒せるのなら、誰も苦労はしない……
帝都の将もこんなものか……
私が皇帝なら貴様の様な馬鹿は一兵卒からやり直させるがな……)
しばらく話をしていたが、カルロスに兵士が何やら耳打ちしていた……
「な、何!?皇女殿下が……全く、あの方も困ったものだ……
ライエル王よ、少々厄介事が起こりましたので、話は後日また……」
「わかりました……私も仕事を片付けますので……」
(ふん……これであの鬱陶しい面から、解放される……
それにしても、皇女殿下だと……視察に来るとは聞いていたが、
物見遊山に来られても、困るのだがな……)
「通常政務は母上に……私は部屋で休む……」
そういってライは、兵士に指示を出した……

部屋で休むと言っていたライはフードをかぶり、馬に乗って町にいた……
ライは睡眠薬の入った袋を持っていた……
王宮の医師では、これ以上の量を処方できなかったので、町の薬屋から手に入れた
もちろん、薬屋の店員全てに「商品に毒物を混ぜてはならない」とギアスをかけていた
最近では睡眠薬の効きが悪くなり、王宮の医師が処方する量では眠れなくなっていた……

王宮に帰る途中、青果店が何やら騒がしい……二人の兵士らしき男がリンゴを店先から掴んで大口を開けて食べていた
「どうか御代をお願いします……うちも商売ですから……」
「いいじゃねえかよ!!たかがリンゴの一個や二個ぐらい……」
「そうそう……この国を守ってやるんだからなあ」
ほとんど押し込み強盗のようなものである……さすがにライも黙ってられない……

115:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:31:21 p1l9fNZx
支援

116:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:31:33 en8urNNR
支援

117:カズト
08/11/07 00:32:51 yPo7qM5z
「何をしているんだ……」ライは馬から降り見慣れぬ格好の兵士を睨んだ
「なんだこのガキ……俺達はこの国を守るために帝都からわざわざ来てやったんだよ
ありがたく思え!」
「何だと!?お前達が……?だからどうしたというんだ?盗みを働く理由にはなっていないが……」
「いいじゃねえかよ……たかが……」
「たかがリンゴでも商品だ!!食べた以上代償は支払うのが当然の常識だ!!」
「なっ……ガキのクセに帝都の兵に対して生意気なんだよ!!」
片方の男がライを突き飛ばす!!
ドンッ
ライは尻餅をついた……
近くにこの国の警備兵がいた
「おい!!強盗だ!!こいつらをさっさと……」
「このガキ!!少し痛い目見ないとわからないようだな!!」
男がライの襟を引っつかんだ……ライは男を睨んだ
「鬱陶しい……お前達のような下衆が帝都の兵士だと……だったら逆にお前達に痛い目を見せ……」



「何をしているのです!」
凛とした少女の声が辺りに響いた……

質素な馬車と数人の護衛の騎馬兵がそこにいた……
馬車のドアが開き少女が降りて来た……

「……っ!」
ライはその少女に目を奪われた

花の髪飾りを付けた長髪をなびかせ……
それはまるで、
天より舞い降りしオペラの主人公(タイトルロール)の如く……

118:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:34:58 p1l9fNZx
支援

119:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:36:08 l2SJAXrm
いかん、支援

120:カズト
08/11/07 00:36:41 yPo7qM5z
少女の前に護衛の一人が前に出る
その男はライより頭二つほど高い筋骨隆々の巨漢であった
何よりも、その男から溢れ出てくる闘気は並外れていた
歴戦の勇士……ライはそう感じた
「貴様ら!!帝都の兵でありながら、追い剥ぎの真似とは何事であるか!!」
「ア、アレクサンデル将軍!!こ、これは……何といいますか……」
「言い訳は訊かん!!」
「まあまあアレク……お金は私が払いますから、ここは穏便に……」
少女がアレクサンデルと呼ばれた男をなだめる
すると、さっきまで威気高々だった二人の兵士は青ざめ
「は、払います!!払いますから……どうか、お許しを!!」
「じ、自分も払いますので、どうかこれ以上は……皇女殿下!」

「な、何だと!!皇女殿下だと!!」
ライが驚くのも無理はない……
先遣隊の長に黙って勝手に消えて、
わずか数人の護衛を連れて町を散策しているのだから
皇女殿下がライに向き直り会釈をした

「私どもの兵士達が迷惑をかけました
私はブリタニア第5皇女レフィーナ=リ=ブリタニアと申します……」

「ぼ、僕の名は……僕の名は……ラ……」
名乗ろうとするが、何故か上手くいえない……
そうこうしている間に、こちらに向かって警備兵が息を切らせて走ってきた!!

「け、警備隊長!!あちこちで窃盗、暴行等が横行して手がつけられません!!
彼らは帝都の兵と名乗っており徴発行為と思われます!!」
「帝都の兵士だと……何とか宥め大人しくしてもらって……」
警備隊長は対応に迷っている……

121:カズト
08/11/07 00:40:02 yPo7qM5z
ライは怒りに震えていた……
歴史上、宗主国が属国に対して権威を振りかざし、徴発、略奪行為、暴行などを行うという事はよくある事であるが、まさかブリタニアがその様な品性に欠けた真似をするなど思いもよらなかったのだ

「姫様!!これは急いで、城に戻りカルロスに兵を止めさせなければ!!」
「そうですね、彼の兵士の規律がここまで乱れているとは……」

「レフィーナ皇女殿下……それでは時間がかかります……」ライが彼女の前に出て言上した
「しかし、それしか方法が……」
「自分なら、すぐ治められますので……」(そこで見ていろ……皇女様……)
そう言ってライはフードを後ろに下げる

「ぬ、ぬうううう!!」(なんという眼光!!)
アレクサンデルは年に似合わぬ気配を発するライに目を見張った!!

「あ……」レフィーナは銀の髪をなびかせながら
鋭い眼光を放つライに見惚れていた

それはまるで魔王に魅せられた淑女の如く……

「へ、陛下!!なぜここに!?」警備兵が驚きの声を上げる

「陛下ですと!?も、もしや……この者が、ミコト殿の……」
「そのようです……ライエル=スメラギ=フォン=ブリタニア……この国の王……ミコト様の御子息……」



122:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:40:32 p1l9fNZx
支援

123:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:41:02 en8urNNR
支援

124:カズト
08/11/07 00:42:58 yPo7qM5z
(よしコイツはギアスを使ったことがある……)
「警備隊長!!そいつらを全警備兵をもって逮捕させよ!!」
「しかし、彼らは帝都の先遣隊でありまして……」
「……ならば言い方を変える!!
我が国に帝都の兵を騙る「賊」が侵入した!!
これは我がブリタニアの名誉を著しく汚す蛮行である!!
罪状を詳しく把握し、全力を持ってこれに当たれ!!
もう一度言う……私の名において命ずる!!「賊」をひっとらえろ!!」
「イ、イエス!!ユアハイネス!!馬をもて!!」

警備隊長は馬に乗り、一目散に駆け出した!!

「これで騒ぎは治まります……御安心を皇女殿下……」
「なるほど……一人の兵士が馬を駆り、別の詰め所に行き
そこの数人の兵士がまた馬を駆り、別の詰所に行き……
それを繰り返す事で、情報伝達を迅速に行う……
さすがですわ……ライエル王……」
「ほう……少しはわが国のことを知っておられるようですな
まあ、このアイデアは私の発案ではないのですが……」
ライは防犯、犯罪者の制圧等を目的とした治安維持専門の部隊を創設
今は亡き師匠である海堂のアイデアを実現し
この国の治安率を飛躍的に上げていた

海堂のアイディアは治安のみではない
ライは低金利貸付けによる商業振興、特産品の開発、貴族特権にとらわれない人材登用、市街地の開発など、ライの政治は国民が中心になっていた

「街を見て回りましたが、活気に溢れていますわ
辺境という危険地帯でも希望を失わず、皆懸命に生きています
ライエル様の手腕を拝見させて頂きました」

125:カズト
08/11/07 00:45:00 yPo7qM5z
「それは何よりです皇女殿下……
それでは、私は事後処理の為に城に戻らせていただきます……」
ライはこの少女に褒められて、なぜか悪い気はしなかった
「ライエル様……城まで御一緒しませんか……
あなた様の馬はアレクに任せますので……」
レフィーナはそう言ってライを馬車の中に案内した
「……お言葉に甘えさせて頂きます」

馬車の中の重苦しい雰囲気を和らげようとレフィーナ皇女が口を開く
「ライエル様……私この国に来たばかりでわかりませんが
ミコト様はお元気でしょうか?」
「……っ!」ライは痛いところをつかれたのか、体が強張る……
最近ライは母とはあまりプライベートで話をしていない……
「わ、私も王としてはまだ若輩者ですから、
母上には助けてもらっています……皇女殿下は母上を御存知で?」
「ええ……隣国討伐の勅令の件以来、何度か……
あの方は素晴らしい方ですわ……ニッポンの話もっと聞きたいです」
「そ、そうですか……」
ライの中にイライラする様な、モヤモヤする様な、何か違う様な妙な感情が湧きはじめていた……
互いにぎこちない会話をして行くうちに馬車は城にたどり着く
(さてと……カルロスの件を片付けねばならん……)
ライは馬車から降りるとレフィーナに一礼をして、カルロスの元に向かった

三日後……王宮の会議室にて援軍等に関する契約が行われていた
ライを目の前にして、カルロスは震えていた……
帝都のエリートとして、子供の御守のつもりで辺境くんだりまで来たのだ
助けに来てやってるという増上慢が普段蔑ろにしている下々の兵士達に伝わり、この国での徴発事件が起こってしまった……しかも、帝都の兵という権威を無視して、200名以上全員逮捕という事態……
さらに、ライは事件の翌日に悪質と判断された逮捕者二十数名を公開処刑にした
その様子をカルロスと先遣隊の各隊長はライに連れられて見せ付けられたのだった……

126:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:45:55 en8urNNR
支援

127:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:45:59 p1l9fNZx
支援

128:カズト
08/11/07 00:47:47 yPo7qM5z
今回の任務ではレフィーナ皇女とアレクサンデル将軍も来ている
自分の指揮管理能力を疑われてしまう……この事が皇帝陛下の耳に入れば、軍を追われてしまうかもしれない……それどころか、貴族の地位まで……

「おや……どうかされましたか?カルロス師団長殿……」
ライは覇気を押さえることなくカルロスを威圧していた……
「狂王」と呼ばれていても、ただ暴威を振るうだけの子供だと思っていた……
雛鳥の尻拭いのつもりだったが、彼は獅子に喧嘩を売っていた事に、今更気付いて激しい後悔を味わっていた……
「では……こちらが我々が手直しした契約書です……」
そう言ってライはカルロスに一枚の紙を渡した
「なっ……こ、これは……あまりにも……」
契約書の内容はライの国に余りにも都合のいいものだった
徴発行為の禁止、徴発事件の賠償、この国における帝都の先遣隊の生活スケジュールの取り決めはまだしも
帝都からの借入金の利子はほとんど無いに等しい
しかも、帝都から来た援軍は全てライエル王およびこの国の将官の指揮に全面的に従うといった内容である

ライもわざとカルロスに対してふっかけていた
自分の目標よりふっかけた上で、相手に心理的なプレッシャーをかけ、情をかける事で
目標の条件を達成し、さらには相手を支配下に置く
契約の駆け引きにおける一つの手段である

ライの覇気に圧倒されたカルロスは食い下がりも押しが弱かった……
同席していたレフィーナ皇女とアレクサンデル将軍の抗弁を受け入れ
ライは、カルロスから目標どおりの成果を引き出したのだった
さらに、ライは付け加えた
「ああ……それと、残りの逮捕者ですが……我が軍の兵士を付けて、帝都に送還しておきました……カルロス殿の名誉を傷つけた愚か者ですからね……」
「なっ……!」カルロスは言葉を失った……
無論ライは彼らに「大人しく帝都に帰り皇帝陛下の御裁断を受けよ」とギアスをかけていた……


129:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:49:42 gRfuNxSi
支援。保管庫が消えた?

130:カズト
08/11/07 00:50:32 yPo7qM5z
危急存亡にある国が援軍として送った帝都の兵士を帰す……
それは、ライにとっては筋を通す事であるが
ある意味皇帝に対しての挑戦状でもある……
カルロスにとっては、不心得者を出した事実を皇帝に知られるという事……
「カルロス殿……期待しておりますよ……貴殿の働きを……」
ライはカルロスに最後通牒を告げた……
この戦いで大きな手柄を立てるしか助かる道は無いのだと……
ライはすでに彼を捨て石として、使おうと考えていた……

会議室を出たライはレフィーナ皇女を廊下に見つけた
ライを待っていたようだった……

「さすがですわ、あそこまでカルロスをへこませるなんて」
交渉の手腕に感心している様子だった
カルロスを嫌ってる事もあるのだろう
「いえ……私は国王として筋を通しただけですので……」
「お恥ずかしい話です……帝都にはあの様な輩もいるのです」
「アレクサンデルといいましたね、なぜあの者に指揮を執らせないのですか?」
「アレクは姉上様の騎士ですから……今回は私の護衛が主な任務なのです
私からも聞きたいのですが、ライエル様はなぜ自ら戦場に?」
「……!そ、それは……」ライは逃げ場とは言えずに口ごもる……

「陛下!!「北の蛮族」の兵が国境付近に陣取っています!!」
ライはその知らせを渡りに船と感じた
「皇女殿下……私は奴らを迎え撃ちますので……」
「あ……ライエル様……」
いつもは嬉々として戦場に向かうライであったが、何故か今は後ろ髪を引かれる様な感じを受けていた……

カレンはそんな二人の様子を見て胸が苦しくなった……
それでも、愛する人にだってそういう過去もあるのだと自分を納得させていた……

131:カズト
08/11/07 00:52:47 yPo7qM5z
ウラバナシ⑨
帝都ペンドラゴンにて
「ふはははははははは!!面白い!!狂王ライよ!!我を試すか!!」
ブリタニア皇帝は玉座にて嬉々として、ライからの親書を読んでいた
人材不足でカルロスのような愚物を送るしかなかったのだが
彼に自らの愚かさを思い知らせただけではなく、兵の一部を帝都に強制送還してくるとは……
ライに興味を持った皇帝に対し、周りにいた他の皇族達は焦りを感じていた……
皇帝が大げさにライを褒めたのは興味を持ったからでもあるが、辺境に守られ安穏と自分の立場に甘んじている者達に喝を与えるためであった……

(アレクサンデルからの手紙からは、「戦においては勇猛果敢、されど王でありながら前に出すぎるきらいあり……」「政治においては強い実行力を持ち民に慕われている」「資質はあるが今の貴族社会をかなり否定しているため皇帝推挙には二の足を踏む」
「現在心身不安定であり、帝都に迎えるには数年の時を要する」などとあった……あの者にこの国を任せるのは、博打というべきか……
レフィーナは狂王を大層気に入っているようだが……)

「帰された者どもは二、三日牢に放り込んでおけ!!主の信を失った兵士など我が軍に必要ない!!貴族の地位も剥奪せよ!!」皇帝は覇気を全開にし沙汰を下した

帰された兵士はすぐに釈放された……
彼らはこの後に起こる「あの惨劇」から免れたものの、
辺境の王と皇帝の怒りを買ったものとして職を失い、家族からは家の恥として勘当される者、婚約を破棄される者など……、彼らはブリタニアの恥さらし、国中の笑いものとして一生を過ごす事になるのであった……

この事件はライの意図とは別に、他の辺境の国に大きな影響を与えた
彼らは帝都に対する引け目を取り去って、帝都の防壁としてのプライドを目覚めさせた
そして、それは遠い未来、世界三大勢力となるであろうブリタニアの強さを成す要因の一つとなるのであった……

132:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:55:55 en8urNNR
支援

133:カズト
08/11/07 00:56:39 yPo7qM5z
投下終了です
微エロとかはガーーーーッという感じで書けるのですが
こういう描写は難しい……
次回あたりでリンクできれば幸いです
支援感謝です!!ではまた!!

134:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 00:57:42 l2SJAXrm
ピンク皇女と将軍のご先祖様かな?
支援

135:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 01:06:13 eTswZjK9
それなら紫の皇女さまと眼鏡の騎士様にも登場していただきたいですねw
支援

136:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 02:06:41 5yo6WVwx
>>133
カズト卿、乙でしたー!
ライのばっさり感が凄まじい。
そして皇女と会ったライは微妙に調子が狂っているようですね。
惨劇はいつ起こるのかなぁーとワクワクしてきた自分が嫌だ……orz
貴公の次の投下を全力で待っています!

137:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 02:33:02 zPlZ7kwJ
SS保管庫がないんだけど…(´・ω・`)

138:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 03:30:36 S5+Lu9KG
まさか保管庫がフレイヤの餌食になるなんて…

冗談はこのぐらいにして、実際どうしたのだろうか

139:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 07:44:49 7NFhnh4n
一時消えたみたいだけどさっき接続したら見れたよ。

140:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 07:56:49 +7nuqdj0
こっちも大丈夫
しかしなんだ、yahooのサーバーって結構落ちやすいんだな

141:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 08:17:26 +7nuqdj0
もうみんな知ってるかもしれんけど一応
ギアス×パンヤ
URLリンク(www.pangya.jp)
ここの活性化の一助になれば嬉しい

142:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 10:18:46 gd7slLbA
10:30くらいから投下したいと思っていますが、人はいますでしょうか?

143:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 10:26:36 7NFhnh4n
居ます。お願いします。

144:年下専門 ◆BheL.TnbIA
08/11/07 10:31:18 gd7slLbA
何やら前スレでは自分の作品から端を発して問題が起きてしまったようで…すみません。
年下専門です、長編の続きを8レスほど投下します。
タイトルは「優しい世界で目覚めて 第十一話 ライの災難」

・ギアス篇と学園篇の複合エンド後にしてR2終了後からの話
・ライは黒の騎士団入ってて学園篇エンドを迎えた、ルート的にはランペルージ兄妹メインに万遍なく頑張ったライ君
・ジャンル傾向はほのぼのしんみり系
・カップリングは今のところないですが「ライ←複数ヒロイン」の要素があります
・アフターに関しては情報が少ないため、自己解釈の要素を多分に含んでいます

145:年下専門 ◆BheL.TnbIA
08/11/07 10:35:37 gd7slLbA
「あ、焦った……」
軽く息を切らしながら、ライはポケットから取り出した帽子を深く被った。
現在位置は十階フロアの階段。
わざわざエレベーターを使わず階段で上り下りをする人間は少ないため、周囲に人の気配はほとんどない。
カレンあたりならば運動になるからと階段をのぼって来る可能性はあるが、それならばすぐにわかる。
「……まあ、元気そうでよかった」
相変わらずの紅の少女の姿に顔をほころばせる。
ナイトメアパイロットという死亡率の高い役割をこなしながらも、後遺症一つない元気そうな姿。
背中を預けあった相棒の無事に、ライは安堵の息を吐きながらも誇らしさを感じていた。

「とりあえず部屋で大人しくしておくか。待っていればアーニャも戻ってくるだろうし」
下手にうろうろしてまた知人と出会っては目も当てられない。
カレンがいたということは、ミレイやニーナ、リヴァルあたりもいる可能性がある。
会いたくないわけではない。
むしろ会いたいという気持ちのほうが強い面々ではあるが、今はまだ駄目だ。
僅かな名残惜しさに引かれながらも、ライは自分の部屋へと歩を進める。
(――ん?)
と、その時。
前方から歩いてくる一人の女性が目に入った。
歳は二十代から三十代といったところだろうか。
カレンに劣らぬ見事なスタイルと、美人と形容するほかない凛とした美貌。
女性らしい外見でありながらも、男性的な印象を見る者に抱かせるその女性にライは目を惹きつけられる。
一目惚れなどといった色っぽい意味ではない。
女性の全身から放たれる鋭利な覇気に、少年は戦士の本能をかきたてられたのだ。
(強い)
紫色のマントの下に、白を基調にした騎士を連想させる服装。
その下に隠れている肉体は、日々の練磨によって鍛えられていることが想像できる。
一見細身に見える身体から発せられる威圧感は、つい先程出会ったジノやアーニャに通じるものがあった。
(いや、この人は多分、アーニャ達よりも――強い)

146:年下専門 ◆BheL.TnbIA
08/11/07 10:38:15 gd7slLbA
日々の鍛錬は怠っていないとはいえ、アーニャ達は戦士を引退した身である。
それに対し、この女性は現在もおそらく戦場に身を置いているのだろう。
戦士特有の気とでもいえばいいのだろうか。
そういったものがアーニャ達と比べて鋭利なのだ。
かといって常に精神が張り詰めて余裕がないようにも見えず、あくまで自然体にしか見えない。
(格好からして、ブリタニアの……軍関係者?)
あまりジロジロ見るつもりはなかったのだが、つい気になって女性を目で追ってしまう。
すると、女性のほうもこちらに気がついたのかチラリと視線を向けてきた。
『……』
交錯する視線。
向けられる瞳は鋭く、こちらの心の奥までを見透かそうとしているようだった。
このまま目を合わせ続けているのはマズイ。
正直、女性の顔をジロジロ見てしまったという気恥ずかしさもあった。
咄嗟にライはできるだけさりげなさを装って目を逸らし、顔を俯かせる。
ここで突然引き返すのも不自然なので足を止めるわけにはいかない。
そのまま、ライは廊下の中央で女性とすれ違った。

(……ふう、緊張した)
すれ違い、女性の姿が視界から消えるとライは安堵から大きく息を吐き出した。
だが、次の瞬間。
耳が聞こえるべき音――つまり、女性の足音をとらえなくなったのと同時に、ライは反射的にその場にしゃがみこんだ。
特に理由はない、ただ本能が伏せろと命じたのだ。
ヒュンッ!
刹那、今までライの頭があった場所に鋭い風切り音が通り過ぎる。
「なっ……!」
「ほう、よくかわしたな」
見上げれば、先程すれ違ったばかりの女性が蹴り上げていた右足を地に降ろしていた。
状況から考えて、この女性は自分にハイキックを繰り出してきたと見て間違いない。
ライは瞬間的にアーニャと出会った時のことを思い出していた。
(確か、あの時もいきなり頭部を狙われた気がする……僕の周りには危険な女性しか寄ってこないのだろうか……)

147:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 10:40:33 dvoYPycJ
出掛ける前に、一度だけ支援。

148:年下専門 ◆BheL.TnbIA
08/11/07 10:42:49 gd7slLbA
カレンもどっちかといったら物騒だし、咲世子さんも……
本人に聞かれたら洒落にならないことを考えつつもライは油断なく襲撃者を見据えた。
(今度はスコップじゃないけど……危険度じゃあ大差ない!)
自身を襲った恐るべき凶器が視界に入る。
男ならば見惚れてしまいそうな女性らしい流麗なラインを魅せる足だ。
だが、ライにはわかっていた。
あれが直撃したら洒落にならないダメージを受けるだろうということが。
「いきなり何をする!」
「フッ!」
抗議に対する返事は鎌のような前蹴りだった。
当たれば骨が砕け散るであろう高速の爪先が少年の顎を襲う。
しかし、あらかじめ警戒していたライは間一髪身体を仰け反らせると、バク転でその攻撃を回避。
そのまま後方に飛びずさり、距離を取った。

「へえ、なかなかの美少年じゃないか」
ライの顔を見た女性が感心したように呟く。
回避の際、帽子を飛ばされてしまったため現在ライは素顔を露出させられてしまっている。
女性の様子からして、自分の素性を知って襲ってきたわけではないようだ。
だが、それならば何故自分は襲われなければならないのか。
「そう恐い顔をするな。折角の美形が台無しだぞ?」
「いきなり攻撃されて、にこやかに笑えるほど人間はできていない」
相手の意図がわからない以上、油断などできない。
殺気はないようだが、先程の攻防を考えれば一瞬たりとも気を抜くことはできなかった。
ライの思考が徐々に戦闘者のそれにシフトしていく。
「それは悪かったな。だが、こちらもお前のような怪しい奴を放っておくわけにもいかないんだ」
「何……?」
「おいおい、まさか自分が怪しくないとか思っていたわけではないだろうな?」
女性のからかうような言い草に、しかしライは反論することができなかった。
顔を隠すように帽子を深く被って頭を伏せている男。
確かに怪しさは満点だ。

149:年下専門 ◆BheL.TnbIA
08/11/07 10:45:36 gd7slLbA
「そしてその身のこなしは間違いなく只者ではない。まあ、テロリストにしては変装が単純だが……」
「僕はテロリストなんかじゃない」
「だろうな、目を見ればわかる。だがこちらもハイそうですか、で引き下がるわけにはいかないんだよ」
女性は口元を笑みの形に吊り上げると、いつもでも飛びかかれるような姿勢をとった。
猫科の野生動物を思わせる表情はまるで今の状況を楽しんでいるかのように見える。
案外、怪しい奴云々は口実で、実のところは強そうな人間に喧嘩を売りたかっただけなのかもしれない。
「……もし、僕がただの一般人だったらどうするつもりだったんだ」
「その時は全力で謝ったさ。とはいえ、ほぼ確信していたがな」
実際当たっていただろう?
そう笑いかけてくる女性を見ていると、何故か突然の凶行も許せそうになるから不思議だ。
だが、事態は継続中であり気を許すことはできない。
口ぶりから考えて、彼女は誰か身分の高い人物の護衛なのだろう。
身のこなしや佇まいからして、彼女自身も相当な身分の者なのだろうが。
(マズイな……)
まともにやりあえば、勝つ自信がないわけではない。
だが、その結果無事である保証はなかった。
グズグズしていれば向こうには救援が来るかもしれない。
自身の素性とアーニャ達のことを考えるとここで捕まるわけにはいかなかった。

「――シッ!」
しかしそんなライの思考を遮るように、踏み込んできた女性の拳が顔面を襲ってきた。
「く……」
「ほらほら、どうした? 手を出さないのか!」
かわし、捌き、受け止める。
次々と襲い来る猛攻を防御しながら、ライはこの状況から逃れる術を探索していた。
時間をかけるわけにはいかず、かといって反撃はできない。
別に女性だからといって攻撃ができないというほどフェミニストではないが、殺し合いでもないのに女性を殴るというのは気が引ける。
ベストの選択は逃げることなのだが、向こうがその隙を見せてくれない。
(どうする……そうだ!)

150:年下専門 ◆BheL.TnbIA
08/11/07 10:50:25 gd7slLbA
チラリ、と視界の隅に入ったある物に気づく。
瞬時に策を練り上げたライは、わざと体の正面に隙を作り出した。
向こうもこれが罠だとわかってはいるだろうが、かなり決定的な隙だ、見逃せるはずもない。
次の瞬間、狙い通り女性の突きが胸元目がけて打ち放たれる。
「――ッ!」
「何ッ!?」
騎士服の女性の驚愕の声がその場に響いた。
ライは相手の拳が着弾するのと同時に後ろに跳ね飛び、大きく後退する。
殺しきれなかった打撃のダメージに顔を顰めながらも、銀髪の少年は己の狙いが成功したことに頬を緩めた。
着地地点のすぐそばにあったのは備え付けの消火器。
「ちっ!」
「遅い!」
させるか、と女性が追撃をかけようと足を踏み込むがライのほうが一瞬早かった。
栓の抜かれた消火器から白い泡が煙幕のように吹き出て廊下を覆っていく。
(チャンス!)
勿論、この好機を逃すライではなかった。
相手の視界を封じた隙に一気にその場を離脱する。
「あ、こら待て!」
背後から憤りの声が聞こえてくるが知ったことではない。
ライは一目散に廊下を曲がると、階段を駆け下りてホテルの外へと向かうのだった。

「……逃がしたか」
消火器による煙幕が消えた後の視界には、予想通り少年の姿は見えない。
獲物をまんまと取り逃がし、しかしそれでも女性――ノネット・エニアグラムの顔には苦々しさはなかった。
「まさかこの私が取り逃がすとはな」
言葉とは裏腹に、口調には残念そうな響きはない。
元々、半分以上は興味本位で仕掛けたことだ。
あの銀髪の少年が自分の主に危害を加えようとしているテロリストではないことなど一目見た瞬間にわかっていた。
それでも攻撃を仕掛けたのは、念の為ということと、退屈しのぎに過ぎなかった。
悪逆皇帝ルルーシュが死亡した後、世界からは大規模な戦争が消えてしまったため、ノネットはいささか戦いに餓えていたのだ。
無論、そんな彼女の一感情に巻き込まれたライからすればたまったものではなかっただろうが。

151:年下専門 ◆BheL.TnbIA
08/11/07 10:54:16 gd7slLbA
後片付けを部下に命じたノネットは少年が逃走ルートに使ったと思われる階段を下りながら先程のことを思い出していた。
見た目はただの優男だったが、なかなかどうして。
僅か数十秒の攻防ではあったが、かの少年の力量はラウンズに勝るとも劣らない。
結局、何者であったかはわからないままだったが、不思議とそんなことはどうでもよかった。
また会えるだろうという根拠のない自信がノネットにはあったのだ。
(それに、あの眼……)
最初にこちらを睨みつけてきた時の猛禽の如き鋭い眼光が脳裏によぎる。
不覚にもあの時、ノネットは背筋に剣を突きつけられたような気分だった。
初めてシャルル皇帝に謁見した時に感じた、王の威圧。
それと同じ感覚をあの一瞬、銀髪の少年から感じたのだ。
「退屈な護衛任務かと思いきや、楽しみができたな……本国にいるコーネリア殿下にいい土産話ができそうだ」
ニヤ、と口元を吊り上げながら元ナイトオブナインの女性は笑う。
その笑いはあまりに艶やかで、まるで追い求めていた運命の男性を見つけた乙女のようにも見えて。
それでいて、良い玩具を見つけた時の子供のような、そんな無垢な表情でもあった。

「ノネット。ノネットじゃないか!」
「ん? おお、ジノじゃないか」
階段を下りて一階のラウンジ。
元同僚の登場にノネットの顔がほころぶ。
見れば彼の後ろには同じく元同僚のアーニャと、戦後知り合った紅の少女の姿があった。
「アーニャとカレンも久しぶりだな、どうだ元気だったか?」
「久しぶり」
「お久しぶりです、ノネットさん!」
ぼそっとした端的な声と、かなりの友好が混じった友好的な声が唱和する。
アーニャに関してはいつものことであり、カレンについては事情を知らないものからすればなかなかに珍しい光景であった。
片や元ナイトオブナイン。
片や元黒の騎士団のトップエース。
そんな正反対の立場にいた二人だが、波長が合ったのかこの戦乙女コンビは出会った時から非常に仲が良い。
まるで十年来の親友のようだと評しても問題ないくらいに親しいのだ。
なお、初邂逅の時ジノがこの二人を見比べノネットを見て「……カレンの未来の姿を見た」と複雑そうな顔で呟いたのは余談である。

152:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 10:57:19 FDR6uYbt
支援

153:年下専門 ◆BheL.TnbIA
08/11/07 10:57:48 gd7slLbA
元ナイトオブナイン、ノネット・エニアグラム。
ルルーシュが皇帝の地位を簒奪してから起きた戦いにおいて、彼女はひたすら我関せずを貫いていた。
我が忠誠は皇帝陛下にあり。
この一言で協力を依頼してきたシュナイゼルの手の者を追い返し、自領の防衛に専念。
結局、ゼロによるルルーシュ殺害という一連の事態の決着まで彼女は一切の関与をしなかった。
親しい仲であったコーネリアの要請すらも断った女騎士に対する評判は様々なものがある。
全ての真実を見通していたから参加しなかった智謀の士。
ルルーシュの要請(最終決戦時、ルルーシュはノネットへ協力要請をしていない)をひたすらに待っていた忠義の騎士。
死を恐れて決戦への参加をしり込みした臆病者。
諸説様々ではあるが、実際のところ彼女が何を思って我関せずを貫いたのかは今でも不明であり、元同僚であるジノですら知らない。
おそらく、その理由を知るのはノネット本人ただ一人だけなのだから。
そんな大戦を生き残った数少ないラウンズの一人である彼女は皇帝からの要請を受け、現在皇帝親衛隊の隊長という役職に就いていた。
勿論、警護する対象は神聖ブリタニア帝国第百代皇帝ナナリー・ヴィ・ブリタニアである。

「お前達も今夜のパーティーに招待されたのか?」
「ああ、そっちはやっぱりナナリー陛下の警護か?」
「その通りだ。今は部下に警護を任せているんで私は自由時間なのだが」
肩をすくめる元同僚の着るラウンズ専用の騎士服を見て、ジノとアーニャは僅かに目を細める。
軍人を引退したため、今はもう袖を通すことのない、誇りの衣装。
世界でもノネットを除いて身に着ける者がいないラウンズの証はラウンジでも注目の的だった。
「しかしこれで元ラウンズの生き残りが全員集合か」
「ああ、『全員』このホテルに集まることになるとはな」
「……うん」
ノネットの呟いた『全員』のニュアンスに気がつかなかったのはジノ一人。
アーニャとカレンはその単語の意味するところを悟り、視線を天井に向けた。
そこに、四人目の元ラウンズがいるであろうことを知っていたが故に。

154:年下専門 ◆BheL.TnbIA
08/11/07 11:00:31 gd7slLbA
「ふむ? そういえばアーニャ、お前は一人のようだがパートナーはどうするんだ?」
通常、身分の高いものが集まるパーティにおいては異性のパートナーを同伴させることは至極当然のことである。
だからこそジノはカレンを誘ったわけなのだが、現在アーニャは一人きりだ。
「ジェレミア・ゴットバルトだったか……奴はどうした?」
「彼なら一緒に来てる。でも、私のパートナーは違う」
予想外の返事にノネットは僅かに目を見開く。
気持ちはわかる、とばかりにジノとカレンが頷くのが目に入り、アーニャは不機嫌そうに顔を顰めた。
「聞いて驚くなよ。アーニャのパートナーは俺達と同年代の美少年だ!」
「ほう……それはまた驚きの事実だな」
「……ジノ、ノネット」
怒りを多分に含んだアーニャの声音に二人は口を閉じる。
だが、彼らの目は相変わらず楽しそうに揺らめいていた。
勿論アーニャとしてはそんな彼らの姿が面白いはずもない。
結局、彼女が機嫌を直すまで少なくない時間がかかることになり、ジノ達が苦労する羽目になったのは言うまでもない。

(流石元同僚だけあって仲がいいのね)
そうカレンがしみじみと思ったのも無理のないことであった。

155:年下専門 ◆BheL.TnbIA
08/11/07 11:01:58 gd7slLbA
投下終了、支援感謝です。
ノネットさんとカレンは絶対出会ったら仲良くなると思うんだ。
こー、ノネットさんがカレンの頭を撫で回してカレンが「もう、子ども扱いしないで下さいよ」的な!

156:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 11:46:39 5yo6WVwx
>>155
年下専門卿、GJでした!
ノネットさん登場……いきなりバトル!?
戦いに餓えて不審者っぽい人に蹴りかかる、人としてどうよ、と思わなくとも無かったりしましたが
らしい、という思いの方が強かったり……いや、訳も聞かずに腹殴る人だし
ライはギリギリ逃げ切れた、といった所でしょうか。
>ノネットさんがカレンの頭を撫で回して
うん、なんか鮮明に思い浮かびます。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

157:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 14:02:42 b7W/BP+a
>>155
ああ、面白かった!幸せです。

今日はノネットさん大活躍で嬉しくてたまらないです。
怪しさにかこつけて興味本位で強襲、ノネットさんならやりかねんのですよ。
次々繰り出される攻撃と、ライのさばきっぷりに燃えました。
生き残りが全員、最後のひとり…。彼と、ライとの邂逅が楽しみです。

続きを拝見できるのを心待ちに。
ありがとうございました!

158:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 17:17:18 87Rdj283
>>155
GJ!面白かった!
ノネットさんを野放しにしちゃ危険だww

本編でノータッチだったルルタニアでのノネットさんの行動の描写にも彼女らしいと感じました。
ノネットさんとカレンとの絡みをもっと見てみたい気がする!
ラウンズの最後の一人がどう出てくるのか非常に楽しみです。
次回の投下も全力でお待ちしております!

159:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/07 22:36:29 aBwBEMgf
(・∀・)つ|投下予告|

親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT

#第1章後編。>>25 の続きです。前編ではたくさんのご感想ありがとうございます
#ご指摘が多かったライの性格ですが、親衛隊篇では特区のアレまで記憶が戻っていないのと
#平穏から悲劇へのギャップを作りたくてアホの子増し増しにしましたが、少しやりすぎた模様
#今回はやや控えめに。親衛隊篇だと周囲にボケてくれる人が少ないので困ります

予告と終了合わせて7レスです。支援無くても大丈夫かな?

160:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/07 22:39:24 aBwBEMgf
親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT 1* 血染め の ユフィ(後編)


「ゼロの狙いをどう見る」
あの時、コーネリア様が僕にそう尋ねたのはきっと気まぐれだったんだろう。

エリア11副総督による突然の《行政特区日本》設立宣言は電波に乗り、瞬く間に世界に流れた。ブリタニアにとって
一番気になるのは最大の対抗勢力・中華連邦の動向。ユフィの宣言が世間知らずのお姫様の余興ではない、本気の行動だと
知ったコーネリア様が真っ先に情報収集をさせたのはそれだった。その報告が届くのを待っている時のことだった。

僕は言葉を選びながら答える。
「おそらくゼロにとってもこの《行政特区》は寝耳に水の事態だったのではないかと思います」

《行政特区》。
善意で見ると地域限定ではあるが日本人の権利を回復し、「自由」が保証される構想。黒の騎士団を始めとする
日本人の抵抗にブリタニアが譲歩したように見えなくもない。しかしその裏を見ると今までの『名誉ブリタニア人』制度の
名前が『日本人』になり個人レベルではなく地域レベルに広がっただけで、更に言うならば地域を限定したために
『日本人』と《特区》外に住む『イレブン』との格差をさらに増長する結果になる。日本人内での格差は、独立への結束に
ヒビを入れかねない。
黒の騎士団側はそこを指摘してブリタニアの罠だと喧伝する手もあった。ゼロほどの役者なら良いパフォーマンスになっただろう。
だが先にユフィ自らゼロ、黒の騎士団に特区への参加の呼びかけを行われたことで先手を打たれてしまった。
もちろんユフィ本人にその意図があったとは思えない。だが放送を見た多くの日本人は苛烈なブリタニアにあって
慈愛の姫君と謳われる美しい少女(しかも彼女の騎士は日本人だ!)が自らの兄弟を殺したゼロを許し、日本人に自由を
求める姿に感じ入っただろう。特区構想の裏側に気づきもせずに。いつだって人は見たいと欲する現実しか見ようとしない。

161:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 22:41:13 5FLzAXbg
一応、支援

162:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/07 22:41:26 aBwBEMgf
特区に参加するとなると黒の騎士団は武装解除し解体される。あくまでブリタニアからの独立を望む一部の日本人からは
黒の騎士団がブリタニアの軍門に下ったと見なされるだろう。参加を断ればブリタニア側からの歩み寄りを拒絶したとして、
世論と《特区》参加を望む日本人から反感を受けるだろう。
これほどまで鮮やかに黒の騎士団を事実上無効化する方法を僕は思いつかない。

だが、ナンバーズを区別し強者による統治を国是とするブリタニア側からは間違っても出ないはずの提案。手の1つとして
予想は出来ても実際にそれが実行されるとは思ってもみなかっただろう。それだけに衝撃は大きいはずだ。

そう僕が説明すると、あまり面白くもなさそうにコーネリア様はふん、と鼻を鳴らした。
「行政特区の案をゼロから吹き込まれた可能性はない、か」
神根島でユフィとゼロが1日とは言え、一緒に居たのを気に掛けているのだ。
「ええ、ユーフェミア皇女殿下のお人柄は最初に述べられた《行政特区日本》の理念と合致しています」

《行政特区日本》は今のところ看板だけ立派で穴だらけな構想だ。しかしその「穴」が逆にユフィの善意を感じさせる。
僕が邪推したような黒の騎士団の無効化を狙った特区構想だとしたら、もっとつけ入る隙のない仕組みを先に作り上げるだろう。
「自由」の名の下に日本人を飼い殺すための仕組みを。
ユフィの凄いところはすべて計算ではなく素から出た行動だと言うことだ。天然とは恐ろしい。神根島で直接相対したゼロは
そんなユフィの性格を把握しただろうか。もし理解したのであればゼロは頭のいい人間だ、良い意味でユフィを利用して
ユフィが描いた《行政特区日本》と言う砂上の楼閣に柱を立て壁を塗り、ただの夢物語から現実に変えていけるかもしれない。
ユフィの理想とゼロの実行力、その2つで僕が想像も出来ないような優しい世界を作ることが出来るかもしれない。
…それはブリタニアが望む世界ではないかもしれないけれど。

163:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 22:42:30 5FLzAXbg
支援

164:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/07 22:43:13 aBwBEMgf
「ゼロが参加の条件として特区を運営する権限を要求する可能性が一番高いと思われますが、あくまで特区内であれば
問題は少ないと思われますし、それにユーフェミア皇女殿下は信念に背くようなことには絶対に同意しな…、いっ?!」
そこまで話したところでコーネリア様が半眼で僕を睨んでいるのに気づき、僕は言葉を飲み込んだ。
「…随分とあれの性格に詳しいのだな」
なぜか酷く不機嫌な声で呟かれ、僕の表情が凍る。
まさか時々呼び出されてはユフィの『世間を知る』手伝いをさせられているとはとても言えない。スザクが一緒の場合はまだいいが、
彼女はひとりで抜け出してくる時も多く(いわく「最近スザクまで口うるさいのよ」だそうだ。スザクの気持ちも分かる。
2階から飛び降りるのはもちろん、マンホールから出てきたのにはさすがに言葉を無くした)僕の精一杯と言ったら
ユフィが危険に飛び込まないよう未然に防ぐのと、ユフィが満足する頃合いをみてスザクにSOSメールを送るぐらいだ。
初めのうちは恐縮していたスザクだったが、最近僕にも風当たりが強くなっているような気がする。僕がユフィを連れだしてる
訳ではないし、正直あのスザクでさえ撒いてくるような彼女に僕がかないっこないと主張したい、全力で。

「いや、その、ユーフェミア皇女殿下の騎士スザクは僕の友人なので、話をよく」
冷や汗まじりに弁解する。でも、なんで僕は弁解なんかしてるんだ?別にやましいことはしてない、…はず。
「失礼します、報告書が…」
疑わしげなコーネリア様がさらに何か言おうとしたとき、運良くギルフォード卿が現れなんとか追及の手を逃れられた。
僕がギルフォード卿に心から感謝したのは言うまでもない。

165:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/07 22:44:41 aBwBEMgf
ユフィを心配させたくなかったから、あえて詳しくは言わなかった『気になること』。
それは黒の騎士団と言うよりはゼロ個人の思惑だった。
エニアグラム卿─ノネットさんが気にしていた、ゼロはコーネリア様を個人的に狙っているのではないかと言う疑問。
その時はあまり深く考えなかったが、今となってはその心配も理解出来る。ナリタの件にしても片瀬少尉捕獲作戦での
行動にしても、ゼロの狙いは総督の身柄に絞られているように見える。だが腑に落ちない。

ブリタニアが黒の騎士団を瓦解させたければ、首領であるゼロひとりを殺せばいい。なぜなら黒の騎士団はゼロという
カリスマに率いられた組織だからだ。だがブリタニア軍は違う。嫌な仮定だが例えばコーネリア総督を捕らえ、殺しても
ブリタニア軍は崩壊しないし日本は解放出来ない。一時的な混乱は起きるかもしれないが、またすぐに次の頭がやってくる。
それが大国と言うものだ。ゼロほどの人間がそれに気づかない訳が無い。

だとすると執拗にコーネリア様を狙う理由は別にあるのだろうか。彼女はこのエリア11の総督であると同時に
ブリタニア皇族でもある。先にクロヴィス殿下をゼロは簡単に殺しているのを考えると、皇族に恨みを持つ者かと
思ったが神根島でゼロと遭遇したユフィは殺されていない。
クロヴィス殿下はシンジュクゲットーで日本人を殺害したから?ユフィは副総督ではあるけど表立っての活動は
文化的な内容で、日本人に恨まれる理由は多くないから?

それだけの違いなんだろうか?

ともあれ、行政特区日本が成立すればゼロは「黒の騎士団」として表立ってコーネリア様と戦えなくなる。
その前にゼロが個人的にコーネリア様を襲うのではないかと懸念して、ここ数日はコーネリア様のお側を離れないようにしていた。
なんだか微妙に胡散臭がられていたような気もするが、ノネットさんにも頼まれていたし警戒するにこした事は無い。
しかし《行政特区宣言》以降、黒の騎士団はなんのアクションも起こしていなかった。
「…考え過ぎだったのかな?」
クラブの様子でも見てこよう。僕は格納庫に足を向けた。

166:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/07 22:48:11 aBwBEMgf
特派を離れるときに餞別でもらったランスロット・クラブ。もったいないぐらいの僕の専用機。
メカニックに軽く挨拶をしてそのコックピットに収まり、もうすっかり慣れた手順で計器のチェックを始める。
今は親衛隊の1人として公式の行事に随伴したり、デスクワークを見よう見まねで勤しんでみたりするけれど
やはり失われた僕の記憶の断片が見え隠れするのは、戦場に身を置いたときだった。
「記憶、か」
チェックの手を休め、僕は独り言ちる。
僕の記憶は中に何が入っているのか分からない引き出しのようなものだ。ラベルは貼ってあるようで、例えば
《ナイトメアフレーム》と書かれた引き出しを迷い無く開けられる。そして開けてみて初めて、そこに第1世代から
第5世代まで一体どこで覚えたんだと呆れるほどの知識がぎっちりと詰まっているのを発見するのだった。
だけど自分に関する─《家族》や《友人》と言った引き出しをいくら覗き込んでも、ただ真っ暗でからっぽな空間があるだけ。

その真っ暗な底をみるのが嫌で記憶探しを続けてきたけれど、ふと引き出しを見やるとからっぽだったはずの場所に
キラキラと輝くカケラがしまわれている。それはミレイさん達アッシュフォード学園での思い出だったり、特派の家族のような
暖かさだったり、親衛隊での厳しいけれど充実した毎日だったり。それに気づいた時、僕は失われた記憶を求めるのをやめた。
これからだってコーネリア様やスザク、ユフィ達と一緒に沢山の輝く思い出を作れるんだ。
それこそ引き出しがいっぱいに溢れるほどに。
僕は時刻を確認する。もう式典が始まっている頃だ。特区の成功を祈って、僕はそっと瞳を閉じる。

167:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/07 22:49:25 aBwBEMgf
《特区日本式典会場で大規模な暴動が発生した模様!黒の騎士団の介入が報告されている!
総員、緊急騎乗準備!整備士は至急サザーランドを所定の場所へ誘導せよ!》

突如鳴り響いたエマージェンシーコールがそんな僕のささやかな祈りを打ち砕く。暴動?!いったい何故?!

「お待ち下さい、コーネリア様!」
「ついて来られる者だけ来ればよい!」
ギルフォード卿の切羽詰まった声にコックピットから身を乗り出すと、マントを脱ぎ捨てたコーネリア様が
ご自身のグロースターに向かうところが見えた。僕と目が合った彼女は鋭く叫ぶ。
「出るぞライ!」
「イエス、ユア・ハイネス!!」

168:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 22:50:09 f0xtLoPs
しえん

169:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/07 22:50:34 aBwBEMgf
#(・∀・)最後の最後に本文長杉でまた1レスオーバー…。1章終了です
#そろそろボケてる場合じゃないので全力で軌道修正
#創作の糧になりますので、遠慮ないご意見お待ちしています。無駄にライが理屈っぽいとかでもおk
#次章はずっとシリアスなターン「ブラックリベリオン」
#TVシリーズとの整合性と戦闘シーンに四苦八苦しているので少しお時間頂きます

170:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 23:14:31 87Rdj283
>>169
GJ!
マンホールから出てくる皇女……すごく、シュールですw
記憶を引き出しに例える表現はよくある方法ですが、書き方がうまいなあと思いました。
ライの一人称という語り口が柔らかいせいか、特区構想がすごく分かりやすかったです。

しかし、明るいのはここまでかと思うとちょっと辛い。
辛いと思いつつも次回の投下を心からお待ちしております!

171:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/07 23:35:57 5yo6WVwx
>>169
(・∀・)卿、GJでした!
ラストの急展開には結構ドキドキしました!
このちょっとしたほのぼのは終わりなのですか、そうなのですか。
特区日本の概要がかなり分かりやすく説明されており読みやすかったでした!
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!

172:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/08 00:03:11 knEHB2zd
ジェレミアのみかん畑って和歌山にあるらしいな。

173:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/08 03:12:35 RWc4xI8C
>169
なんだかシリアスだ!漂う緊張感にドキドキとしてきます。

砂上の楼閣に柱を立て、壁を塗る。いいですね。
そんな世界もあったはずなのですが・・・続きを読むのが怖い。
ライは、コーネリアを支えることができるんでしょうか。

174:エノコロ草 ◆svacoLr1WE
08/11/08 21:21:09 9yqLuwSP
画像掲示板投下報告です。

0030-0893 夜、薫る より
「キンモクセイ」

前スレ埋めに投下されていた名前のない方のSSより。
降り散るキンモクセイの中のライとナナリーです。
(今回はちびキャラではなく、極力アニメに似せて描いた絵です。
 横顔ですが、ライが顔出ししているので気になる方はご注意を。)

彼らのひと時を切り取った作品、
夜の闇とキンモクセイのオレンジの花のイメージが鮮烈で、
とても美しいと思いました。
静かな語り口も素敵だったと思います。

よろしければ、>>4の画像掲示板よりご覧いただければ幸いです。

175:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/08 21:38:52 9RNy/mG7
なんかここ数日すこしさみしいな
>>174
拝見させていただきました
この二人にぴったりなとても優しくてやわらかい感じがしました


176:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/08 22:05:34 F71PD1Bi
22:20頃から投下します。本文・あとがき合わせて14レスあります。

177:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/08 22:12:50 RWc4xI8C
支援待機します

178:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/08 22:21:29 F71PD1Bi
では、投下します。フィナーレが近づいてきました、『虫食い同好会』シリーズです。

作者:余暇
タイトル:いざ、決戦の地へ!

(注意)
・完全にカオスです、真面目な展開はありません。
・オリキャラで朱禁城の兵士が出てきます。

本文・あとがき合わせて14レスあります。

179:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/08 22:22:00 RWc4xI8C
支援

180:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/08 22:24:05 F71PD1Bi
              『いざ、決戦の地へ!』

ある日、僕と卜部さん、そしてゼロは、虫食い同好会のアジトを訪れた客人と相対していた。
それは何と、敵対するプラント団の幹部であるエルンスト卿、モニカ、そしてニーナだった。
「モニカ、今日はみんな揃ってどうしたんだ?僕たちって一応、敵同士だよな?その僕たちに大事な用事って、一体何だ?」
僕の問いかけに、モニカが口を開いた。
「実は私たち、プラント団を脱退したの。」
「えっ!?プラント団に何かあったのか?」
僕は驚いた。卜部さんやゼロも驚きを隠せないでいる。彼らに一体何があったのだろうか。だが僕には、彼女たち三人が脱退する理由が何となくわかる気がした。
「南佳高……。」
ぼそっとモニカが呟いた。それは、できることなら今は聞きたくない名前だった。
「あいつのせいで、プラント団の方向性がおかしくなっちゃったの!私たちは純粋に植物を守りたいだけなのに、あいつは植物を利用して、ロリコンを広めようとしているだけなの!
そんな彼にドン・ウー様と星刻が同調して、どんどんおかしな事態になって。ついていけなくなった私たちは、脱退を決意したの。」
モニカの説明を聞きながら、僕は酷い頭痛に襲われていた。予想したそのままの理由だったからというのもあるが、そんな南があまりにも痛々しかったからだ。
「南の奴め、黒の騎士団が誤解されたらどうするつもりだ!」
ゼロが拳を震わせている。まあ、黒の騎士団の全員がそういう人間だという誤解をされると、大いに困るな。


181:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/08 22:24:37 RWc4xI8C
支援

182:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/08 22:26:58 F71PD1Bi
「それで、これからどうするつもりだ?脱退した後も僕たちとは……。」
気になることを僕が尋ねると、モニカは首を横に振った。
「いいえ、これからは普通に暮らすわ。そもそも虫が植物を食べるのは食物連鎖の一環であって、それを私たち人間が捻じ曲げていいものではなかったのよ。
もし食べられたくない花とかがあれば、念入りに手入れしておけばいいだけの話だし。月下マンと敵対したのも、ノリだけの部分があったから。」
モニカ、それにもっと早く気づいてくれれば、ここまで話がこじれることはなかったのに。
ていうか、ノリでここまで話を大きくしたのか?それに付き合った僕たちも、半分はノリだったかもしれないが。
「最近では、どうして月下マンと戦っているのか、私たちでさえわからない時があったほどですから。これはちょうどいい機会だと思うんです。」
すっかり初心を忘れてしまっていたのか、ニーナ。いや、僕自身も何故こんなことになっているのか、時々わからなくなっていたが。
「私はモニカに脅されて、仕方なく参加していたからな。もうこんなくだらん話に付き合わなくて済むと思うと、ほっとするよ。」
エルンスト卿、あなたも被害者だったのですね。
「それで、ドン・ウーや星刻さんは今どうしている?」
卜部さんの問いに、エルンスト卿が口を開いた。
「彼らは今、中華連邦にいる。何でも、天子様を見に行くとか。頼む、ドン・ウー様を、いやオデュッセウス殿下をお救いしてくれ。あのお方をまともな道に戻せるのは、お前たちしかいないのだ。」
「ええっ!?ドン・ウーって、ブリタニアの第一皇子だったんですか!?」
「ああ、そうだ。だがこれは、くれぐれも内密にな。こんなことが世間に知れたら、皇族方の権威失墜に繋がりかねん。」
まさか、あんなに普通の人っぽいドン・ウーが皇族だったとは。
(まったく、世話の焼ける兄上だ……。)
ゼロは深いため息をついていた。一体何を思っているのだろうか。


183:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/08 22:27:22 RWc4xI8C
支援

184:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/08 22:31:04 F71PD1Bi
「よし、それでは俺たちも中華連邦に行こう。おそらくそこが決戦の地になるだろう。」
卜部さんが立ち上がった。
「そうですね、これ以上騒ぎが大きくならないうちに収めましょう。そして向こうには僕たち三人だけで行きましょう。
他の人たちは僕たちのように変身できないし、あまり変な方向に向かわせたくありませんから。」
「そうだな、こんなバカな流れになったのも、私たちが虫食い同好会を始めたのが原因だからな。我々の手で決着をつけよう。」
こうして、僕とゼロ、そして卜部さんの三人で中華連邦に向かうこととなった。
「ライさん。これは、彼らが身に着けている『プラント・レンジャー・システム』の効果を解除する『ユーフェミア様印のきびだんご』です。
これを食べさせれば、二度と変身できなくなります。ちなみに商標登録済みです。」
僕はニーナから、きびだんごの入った袋を受け取った。袋には、何故か水着姿のユーフェミア殿下が写ったシールが貼られていた。
これはブリタニア的にいいのだろうか。そもそも、商標登録する必要があるのか?
「あ、ありがとう。彼らのことは任せてくれ。」
「はい、よろしくお願いします。それと…頑張って下さい。」
僕は静かに頷いた。袋については、あえて何も言わないでおこう。
「よし、それでは行くとするか。急がねば天子様が危ない。」
「そうですね。星刻さんが歯止め役になってくれているといいですけど。」
(待っていろ、ナナリー。お前は俺が守ってやるからな。そしてオデュッセウス兄上、あなたとは一度、拳で語り合わねばならんようですな。)

『ついに最終局面を迎える、虫食い同好会とプラント団との不毛な争い。
我々のナレーションも、もう少しで役目を終える。ロロ、心してかかれ!』(by藤堂さん)
『ええ、わかっています。あ、それとエルンスト卿、クルシェフスキー卿、ニーナさん、今までお疲れ様でした。』(byロロ)

「えっ!?もう出ないこと確定?ていうか、どうしてナレーションに決定権があるのよ!」
「言うな、モニカ。これ以上私をカオスに巻き込まないでくれ。」
「え、えーと。とりあえず、『お疲れ様でした』でいいのかな?」


185:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/08 22:32:43 RWc4xI8C
支援

186:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/08 22:35:11 F71PD1Bi
「さあ、中華連邦に着いたぞ!」
翌日、僕たち三人は中華連邦の朱禁城近くまで来ていた。そして卜部さんは当然のように虫籠と虫捕り網を装備し、虫籠の中にはここへ来る途中で捕まえたトンボやらが入っていた。
ちなみに、「つい最近まで冬だったんじゃないのか」とかいう疑問は、横に置いといてくれるとありがたい。
「まったく。卜部さん、これは旅行や遠足じゃないんですよ。天子様をお守りし、プラント団と決着をつけるために来たんですから、もう少し真面目にして下さい。」
「わかっている、俺はいたって真面目だ。真面目に天子様を助け、真面目にプラント団と決着をつけ、そして真面目に虫捕りをするんだ。」
ダメだ、この人本気だ。
「実は二人とも、折り入って頼みがある。ドン・ウー、いや、オデュッセウスとは直接私の手で決着をつけたい。だから、彼が現れた時には手出しせず、一対一で戦わせて欲しい。」
ゼロが僕と卜部さんに訴えた。
「それは、ブリタニアに反逆する者としての決意か?」
卜部さんの問いに、ゼロは首を振った。
「まあ本来であればそうなのだが、今回はあまり意味を持たない。これは虫食い同好会名誉顧問として、プラント団の首領と決着をつけるため。彼の野望を阻止するためだ。」
お得意のゼロポーズをとりながら、ゼロが宣言する。裏を返せば、ナナリーをロリコンの魔の手から守るためだが。
「おお、ゼロ!ようやく虫食い同好会に本腰を入れて参加する決意を固めてくれたのか!感謝する、ありがとう!」
「あ、ああ。と、当然ではないか、私はゼロだぞ?」
卜部さんがゼロの手を固く握った。絶対勘違いしているよ、あの人。そして思わぬ方向に話が進んだためか、ゼロも動揺している。だがそれを表に出すのはどうかと思うぞ。
「ま、まあ、とりあえずドン・ウーが出てきたらゼロに任せましょう。残りの南と星刻さんは、僕と卜部さんが相手をするということで。」
「よし、それでいこう。」
「理解してもらえて嬉しいよ、諸君の健闘を祈る。」
方向性が決まった僕たちは、『ユーフェミア様印のきびだんご』を三等分して持つことにした。


187:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/08 22:36:34 RWc4xI8C
支援

188:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/08 22:38:17 F71PD1Bi
「はあ、はあ、はあ。……きゃあっ!」
その時だった。朱禁城の中から一人の少女が出てきて、転んで道端に倒れた。ん?あの姿はまさか……。
「もしや、あなた様は天子様ですか?」
卜部さんが天子様と思われる少女に近づいた。
「そ、そうですけど、誰?」
天子様がビクッと肩を震わせた。まあ初対面な上に、卜部さんは外見が怖そうだからな。
「あ、申し遅れました。自分は卜部巧雪と申します、天子様をお助けに参上しました。そしてこちらの二人は、自分の部下Aと部下Bです。」
「「おいこら。」」
卜部さんの発言に、僕とゼロのツッコミがハモッた。
「ああ、すまん。場を和ませようとしたギャグだよ、ギャグ。」
「ギャグとはいえ、やっていいことと悪いことがあるだろう!まったく、お前はこういう少女の和ませ方をわかっていない。私に任せろ。」
ゼロがマントを翻しながら、天子様に近づいた。
「お初にお目にかかる。私の名はゼ…」
「こ、怖い……!お顔が怖い!」
「んなあっ!?」
ゼロが名乗り終えないうちに、天子様がチューリップ型の仮面を全否定した。そのことにショックを受けたゼロは、ガックリと地面に膝をついた。
「何てことだ、この仮面を否定されては、ゼロを否定されたも同然。私は今まで、何のために……。」
「いや、待て。ゼロの存在意義のすべてを仮面に求めるのは、あまりにもおかしい。仕方がない、僕が行こう。うまくいく自信はないけど。」
僕は天子様を怖がらせないよう、ゆっくりと彼女に近づいた。

『むっ、ついに本命が来たか。』(by藤堂さん)
『立つかな、またフラグ立てちゃうのかな?』(byロロ)


189:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/08 22:39:48 RWc4xI8C
支援

190:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/08 22:42:32 F71PD1Bi
「天子様、僕はライと言います。今日はちょっとお見せしたい物があるんです。」
僕は懐から、桜色をした折り紙を取り出した。
「天子様は僕の知り合いの女の子よりも年下だと伺ったので、折り紙は好きかなと思いまして。
それと、外の世界に興味がおありなんですよね?これなら、少しだけ外の世界を知ることができると思いますよ。」
彼女に話しかけている間に僕は折り紙を折っていき、桜の花が完成した。以前ナナリーに作ってあげたのと同じ物だ。
「はい、どうぞ。」
「うわあ、かわいいお花!ねえ、何て言うお花なの?」
僕から受け取った桜の折り紙を見て、天子様は目を輝かせた。
「これは、主に日本に咲く桜の花ですよ。」
「桜、桜……。うふふっ、いいお名前!ありがとう、これ大事にするね!」
天子様が満面の笑みで僕に告げた。そして僕も、彼女に優しく微笑みかけた。
「ところで天子様、あの二人は僕の仲間なんです。決して怪しい者ではありませんし、何より星刻さんとは仲間だったんです。」
「星刻と?」
天子様が目を丸くした。
「はい。僕たちは天子様と星刻さんを助けたくて、日本から来ました。決して悪いようにはしません、僕たちを信じて下さい。」
「うん、ライが言うなら信じる。お願い、星刻を助けてあげて!」
「はい、仰せのままに。」
僕は片膝をつき、天子様に礼をした。そんな僕を、後ろからゼロと卜部さんが見つめていた。
「さすがは戦闘隊長殿、見事な人心掌握術。我々には真似できんな。」
「やはり彼を特区日本の外交担当にしたのは正解だったな。他国との交渉で失敗したことがない。だが交渉のたびに、カレンの機嫌が悪くなるのはいただけないな。
彼女が備品に八つ当たりするから、そのたびに扇が泣く羽目になっている。」
よく聞こえなかったが、「カレンが扇さんを泣かせている」だって?それは良くないな、一度ちゃんと話をしなければ。


191:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/08 22:43:42 RWc4xI8C
支援

192:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/08 22:45:41 F71PD1Bi
「ところで、何故朱禁城の外に?護衛の者はどうしました?」
すると、天子様が顔を曇らせた。
「一週間くらい前かな、眼鏡をかけた男の人と緑の仮面をつけた男の人が、星刻と一緒に来たの。その二人の男の人が私を怖い目で見つめてきて、星刻はその人たちを注意したの。
そうしたら二、三日して、大宦官たちが星刻を捕まえちゃったの。何だか…ロリ?だったかな、私にはよくわからないことを言っていたの。」
「大宦官が!?」
何てことだ。南の奴、大宦官まで懐柔して味方につけたのか。そして邪魔になった星刻さんを捕まえた、と。
しかし彼が捕まったとなると厄介だ。大宦官を味方につけたということは、誰にも南を止められないということだ。ドン・ウーには申し訳ないが、そうとしか思えない。
「それで、天子様は何故外に出てこられたのですか?城の中で何かあったのですか?」
卜部さんが天子様に尋ねた。確かにそうだ、天子様がこんな場所にいるのは不自然だ。大宦官や兵士たちが放っておかないだろう。
「うん、私が眼鏡の人に捕まりそうになったから、香凛が逃がしてくれたの。その後兵士さんにも捕まりそうになったけど、その時も洪古が助けてくれたの。
洪古には『どこか安全な場所にお隠れ下さい』って言われたけど、私じっとしていられなくて。」
「なるほど、それで外に助けを求めに行こうとされたのですね?」
「うん……。」
僕の問いに、天子様が頷いた。お飾りになるのが嫌で、自分の力で何かを変えたくて、思い切って外へ出て自分の言葉を発信しようとされたのだろう。健気なお方だ。


193:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/08 22:47:04 RWc4xI8C
支援

194:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/08 22:48:24 F71PD1Bi
「そうなると、ドン・ウーと南を倒しつつ、星刻とその二人の仲間も探さねばならんのか。
建物の構造はわかるが、中の兵士たちの配置がどうなっているかわからん以上、うかつには動けんな。」
ゼロが腕組みをしながら呟いた。その時、天子様が言った。
「それだったら、私も一緒に連れてって!私がいれば、兵士さんもあなたたちに手を出せないと思う。私も星刻を助けたいの、だからお願い、連れてって!」
「天子様。それはつまり、あなた様を捕虜として連れて行けと?ですがそれは危険です。大宦官が強硬策に出て、天子様を傷つけてでも僕たちを倒そうとする可能性もあります。
それでも、星刻さんを助けたいですか?それだけの覚悟はおありですか?」
僕の問いかけに、天子様は力強く頷いた。
「うん、大丈夫。少し怖いけど、それでも星刻を助けたいから。それに、ライたちがいてくれるから平気。だからお願い、私も一緒に行かせて!」
その言葉を聞いて僕と卜部さん、そしてゼロは、天子様の手に自分たちの手を重ね合わせた。
「わかりました。天子様は僕たちが全力でお守りします、一緒に頑張りましょう!」
「天子様、あなた様のお覚悟、しかと受け止めました!」
「その願い、私たちが叶えよう!」
「みんな……、ありがとう!」
こうして、僕たちは天子様を連れて朱禁城へ乗り込むことが決まった。


195:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/08 22:50:08 RWc4xI8C
支援

196:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/08 22:57:18 sjSh9I19
自援、さるに引っ掛かりましたorz

197:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/08 22:59:55 F71PD1Bi
「ゼロ、これからどう動く?向こうの出方にもよるが、兵士全員の相手をしているわけにはいかないと思うが。」
そして僕たちは今、作戦会議を開いていた。
「ふむ、こちらの戦力は我々三名のみ。しかも彼女を守りながらの戦いになる。これはなかなかのハンデだな、長期戦だけは避けたいところだ。」
天子様を見つつ、ゼロが言った。彼女には悪いが、確かに少し動きづらくなるか。
「確かに南たちと対決するまでは、なるべく体力は温存したいな。」
すると、卜部さんが立ち上がった。
「よし、ならば俺に任せろ。要するに、兵士たちを足止めすればいいんだろう?」
卜部さんは両腕を空に向かって掲げた。
「世界中に散らばる虫たちよ、俺に力を貸してくれ!」
何をしているんだろう、まるでナントカ玉でも作りそうな感じだが……?
「むっ、この何かが細かく振動するような音は何だ?しかも、かなりの数だ。」
ゼロが周りを見渡し始めた。すると、天子様が叫んだ。
「ねえ、あの黒い塊は何?」
見ると、空の向こうから黒々とした物体が近づいてくる。どうやら今鳴り響く音の正体はその物体らしい。あ、何だか嫌な予感がしてきた。
「天子様、ちょっと失礼します!」
「え?え?」
僕は素早く天子様を抱きかかえ、彼女の目と耳を塞いだ。もし予想通りなら、彼女に外の世界を誤解されてしまう。下手をすればトラウマものだ。
「よーし、来てくれたか。我が友である虫たちよ!」
卜部さんの頭上に集まったのは、大小様々な飛べる虫たちだった。さっきから聞こえていたのは、虫たちの羽音だ。
僕の予想通り、この光景はまさに世界の終わりかと思わせるものだった。


198:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/08 23:01:37 7Pp4e330
支援追加

199:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/08 23:01:38 8Eqq/pyI
支援をヘルプいたします!

200:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/08 23:03:38 F71PD1Bi
「な、な、何だこれは!?卜部、何をする気だ!」
明らかに動揺しているゼロが、卜部さんを問い詰めた。
「簡単な話だ、彼らに城内の兵士たちの相手をしてもらう。」
「相手?それってまさか……。」
僕は、これから起こるかもしれない地獄絵図を想像して顔から血の気が引いた。
「そう、そのまさかだ。俺の必殺・百虫夜行!」
卜部さんが腕を振り下ろすと、虫たちは朱禁城内へと突入した。その瞬間、僕とゼロは心の中で城内の兵士たちに詫びていた。

『えー、ここから先は大変聞き苦しい音声が中心になるため、地獄絵図が終結するまでしばらくお待ち下さい。』(byロロ)
『何だか鳥肌が立ってきたな、全身がかゆいぞ。』(by藤堂さん)

やがて、城内から悲鳴が聞こえなくなった。全身が鳥肌だらけだ、まだ羽音と悲鳴が耳の奥でこだましている。そして僕と同じなのか、ゼロもガックリ膝をついていた。
「よし、終わったな。そろそろ行こうか。」
「いや、卜部さん。僕とゼロが立ち直るまで、少し待ってもらえますか。」
「何だ、これくらいのことでだらしがないな。」
いや、あなたと一緒にしないで下さい。
「ねえ、ライ。顔色が悪いけど大丈夫?一体何があったの?」
天子様が心配そうに僕を見つめ、その手を僕の頬に添えてきた。
「はい、大丈夫です。それと、今あったことはお気になさらないで下さい。この世には、知らない方が幸せなこともあるんです。」
「………?」
天子様、あなた様だけはどうか、その無垢な心をお忘れにならないで下さい。


201:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/08 23:05:28 7Pp4e330
支援

202:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/08 23:07:32 F71PD1Bi
僕とゼロが立ち直った後、四人は朱禁城に入った。あちこちに兵士たちが倒れている。彼らの服の中で何かがモゾモゾ動いているのは、見なかったことにしよう。
「ねえ、あの人たち大丈夫なの?」
天子様が不安そうな顔をした。
「ええ、大丈夫ですよ。少しショックを受けて気絶しただけですから。」
彼女の問いに、卜部さんが笑顔で答えた。あの光景を見て、ショックが『少し』で済むのだろうか。
「むっ、怪しい奴!」
そこへ、城内を警備する兵士たちが現れた。全員を倒したわけではなかったのか、しかも結構な数だ。
「あっ、この臭いは虫よけスプレーか!しまった、その手があったか!」
卜部さんが頭を抱えた。だがあれだけの数の虫ですら近寄れないスプレーって、どれだけ強いんだ。
「はっ、天子様!?貴様ら、天子様を人質にとるとは!」
「フハハハハハハ!さあ、彼女の命が惜しくば道を開けろ!」
悪人っぽい高笑いをしながら、ゼロが両手の親指と人差し指で作った二丁拳銃を天子様に突き付けた。はっきり言おう、何の威圧にもなっていないぞ。
「お、おのれ、何と卑劣な!」
「待て、何故そこで怯む。」
「はっ、しまった!つい雰囲気に乗せられた!」
僕のツッコミに、兵士たちが我に返った。ノリが良過ぎるぞ、こいつら。
「おのれ!こいつらを捕まえろ、天子様は傷つけるな!」
兵士たちが臨戦態勢に入った。言って聞いてくれる雰囲気ではないな。
「みんな、ここは逃げよう!」
僕は天子様を脇に抱えて走りだした。だが、ここで問題が発生した。
「むっ、オニヤンマ!待てー!」
卜部さんがオニヤンマと呼ばれるトンボを見つけ、虫捕り網を持って僕たちとは反対方向へ走りだしてしまった。



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