08/11/04 21:06:55 kpZjVXvC
夜の庭へ僕たちはゆっくりと歩きだした。厳しかった残暑も十月に入れば気配は遠くなり、人も動物も
少しずつ到来する冬への準備を始める。虫の声に耳を澄ましていると、ふわりと鼻先を甘い匂いが掠めた。
「あ、金木犀……。もうそんな季節なんですね」
匂いの正体をナナリーは僕に教えた。ナナリーの示す方向へと足を進めていくと、オレンジ色の小さな
花が地面に星を撒いたように散らばっていた。
昼間にも同じ場所を通っていたはずだが、僕は気が付かなかった。夜の方が強く香るのだろうか。
それともナナリーが一緒に居るからだろうか。
ざわりと風が木を揺らして、星のような花がまた落ちてきた。ナナリーの髪にも花が絡む。
「ナナリー、髪に」
僕は声をかけてからそれを取ろうとしたが、白いてのひらに止められた。
「そのままでいいです。―いい香り。お兄様にも教えてあげたい」
闇の中に金木犀の香りは一層強く立ち上った。
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以上で終了ー。
そろそろロスカラ2の制作発表でも出てこないもんかなと期待しつつ。